JP5980057B2 - 像加熱装置 - Google Patents

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本発明は、電子写真複写機、電子写真プリンタなどの画像形成装置に搭載する定着装置(定着器)として用いれば好適な像加熱装置に関する。
電子写真式の複写機やプリンタに搭載する定着装置(定着器)として、フィルム加熱方式の定着装置が知られている。このタイプの定着装置は、セラミックス製の基板上に発熱抵抗体を有するヒータと、ヒータに接触しつつ移動する定着フィルムと、定着フィルムを介してヒータとニップ部を形成する加圧ローラなどを有している。未定着トナー画像を担持する記録材は定着装置のニップ部で挟持搬送されつつ加熱され、これにより記録材上のトナー画像は記録材に定着される。
この定着装置は、ヒータへの通電を開始し定着可能温度まで昇温するのに要する時間(立ち上がり時間)が短いというメリットがある。従って、この定着装置を搭載するプリンタは、プリント指令の入力後、一枚目の画像を出力するまでの時間(FPOT:first printout time)を短くできる。またこのタイプの定着装置は、プリント指令を待つ待機中の消費電力が少ないというメリットもある。
ところで、このタイプの定着装置では、ヒータによって加熱した定着フィルムの外周面(表面)でトナー画像が記録材上に定着されるため、定着フィルムの熱伝導性を高めることが重要となる。しかし、定着フィルムを薄膜化して熱伝導性を改善しようとすると、定着フィルムの機械的特性が低下し、耐久性が犠牲になるという課題がある。
この課題を解決するために、定着フィルム自体に発熱層を設け、この発熱層に給電することにより定着フィルムそのものを直接発熱させ、トナー画像を記録材上に定着させる方式の定着装置が提案されている(特許文献1、2参照)。この方式の定着装置は、電源の投入から定着可能状態に達するまでの時間がさらに短く、消費電力も更に小さい為、省エネルギー性やユーザーの利便性という観点から非常に優れている。
特開2000−066539号公報 特開平06−202513号公報
発熱層をそれ自体に有する定着フィルムを用いた定着装置において、定着フィルムは、定着フィルムの回転、或いは定着フィルムのアライメントや駆動構成などの様々な要因により、記録材搬送方向と直交する長手方向の左右いずれかの方向に移動することがある。そこで、定着フィルムの長手方向の両端部を定着フランジによって付き当て構成で位置規制することによって、定着フィルムの長手方向の位置を定着フランジの付き当て位置で安定させるようにしている。しかしながら、定着フィルムの回転による寄り力により、定着フィルムの寄り方向側の端部が定着フランジに突き当たって僅かずつではあるが削れて摩耗しまうことがある。
発熱層を定着フィルム自体に有する定着フィルムの給電構成は、定着フィルムの長手方向の両端部に発熱層給電用の導電層を設け、この導電層に給電部材を電気的に接触させる構成としてある。定着フィルムの長手方向の端部の削れ(以下、端部削れと記す)が進行していくと、導電層と給電部材の接触部、もしくは導電層と給電部材の接触部の接触面積が低下するため、接点部の見かけの抵抗が削れに応じて上昇し、電力供給が不安定になりやすい。更に、導電層端部の変形や、導電層と給電部材の間に削れ粉などのゴミなどが挟まったりするなどの複合的要因が重なることにより、リーク放電などの問題を引き起こす可能性がある。
上記の問題を回避する簡易な方法としては、定着フィルムの長手方向において給電部材の幅を耐久による削れ量を見込んで長くする方法がある。しかしながら、定着装置が大型化しコスト増の原因となり、また、想定以上に削れ量が多い場合などもあり得るため、根本的解決方法になっていない。また、定着フィルムの端部削れによる問題は、定着フィルム端部の削れを光学センサーで検知し、定着フィルム端部の削れが所定の削れ量になった時点で交換メッセージを出す等の方法を取ることで回避可能である。しかしながら、新たに光学センサー及びその光学センサーの為の電気回路などを設ける必要があり、コストと性能の両方を同時に満たすことが困難であった。
本発明の目的は、回転可能な筒状の発熱部材の長手方向端部の摩耗を温度検出手段を用いて検知できるようにした像加熱装置を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明に係る像加熱装置の構成は、回転可能な筒状の発熱部材と、前記発熱部材と接触してニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を搬送しつつ画像を加熱する像加熱装置において、温度検出手段を有し、前記発熱部材は、記録材搬送方向と直交する長手方向に、前記画像の加熱を行うための高温領域と、前記高温領域よりも温度の低い低温領域と、前記発熱部材の回転方向に前記高温領域と前記低温領域が共に存在する領域であり前記発熱部材の長手方向端部が摩耗する前の前記発熱部材の長手方向への移動量よりも小さい長手幅を有する領域と、を有し、回転する前記発熱部材の前記領域について前記温度検出手段で検出した温度変動パターンに基づき前記発熱部材の長手方向端部の磨耗を検知することを特徴とする。
本発明によれば、回転可能な筒状の発熱部材の長手方向端部の摩耗を温度検出手段を用いて検知できるようにした像加熱装置の提供を実現できる。
(a)は実施例1に係る定着装置の概略構成を表わす横断面図、(b)は実施例1に係る定着装置の記録材導入側からの概略構成、及び定着フィルムへの給電系の概略構成を表わす図 実施例1に係る定着装置の給電部材、サブサーミスタ及び定着フィルムの層構成を表わす説明図 (a)は従来の自己発熱式の定着フィルムを長手方向に切断して開いた展開図、(b)は実施例1の自己発熱式の定着フィルムを長手方向に切断して開いた展開図 実施例1の定着フィルムが長手方向中央位置から移動したときの定着フィルムの領域と、サブサーミスタと、給電部材の位置関係を表わす図 実施例1の定着フィルムの長手方向端部の削れ(磨耗)を検知するために制御部が実行する定着フィルムの長手方向の位置検出プロセスのフローチャート 実施例2に係る定着装置の自己発熱式の定着フィルムを長手方向に切断して開いた展開図 実施例2に係る定着装置において定着フィルムが長手中央位置から移動したときの定着フィルムの領域と、サブサーミスタと、給電部材の位置関係を表わす図 実施例2の定着フィルムの長手方向端部の削れ(摩耗)を検知するために制御部が実行する定着フィルムの長手方向の位置検出プロセスのフローチャート 実施例2に係る定着装置の温度変動パターンと位置判定プロセスを表わす説明図 画像形成装置の一例の概略構成を表わす横断面図
以下、本発明を図面に基づいて詳しく説明する。
[実施例1]
(1−1)画像形成装置全体の説明
図10は本発明に係る像加熱装置を定着装置として搭載する画像形成装置の一例の概略構成を表わす横断面図である。この画像形成装置は電子写真プロセスを利用したレーザービームプリンタである。
本実施例に示す画像形成装置は、画像情報に基づいて記録材Pに未定着トナー画像を形成する画像形成部Aと、記録材に形成された未定着トナー画像を記録材に定着する定着部(以下、定着装置と記す)Bなどを有している。
画像形成部Aにおいて、21は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光ドラムと記す)である。感光ドラム1は、OPC・アモルファスSe・アモルファスSi等の感光材料層を、アルミニウムやニッケル等の金属材料により形成されたシリンダ(ドラム)状の導電性基体の外周面に形成した構成から成る。
感光ドラム21は、ホストコンピュータやネットワーク上の端末機等の外部装置から出力されるプリント指令に応じて矢印方向に所定の周速度(プロセススピード)にて回転される。そしてこの回転過程で感光ドラム21の外周面(表面)が帯電ローラ(帯電手段)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理される。感光ドラム21表面の一様帯電面は、レーザービームスキャナ(露光手段)23から出力される、外部装置からの画像情報に応じて変調制御(ON/OFF制御)されたレーザービームLによって走査露光がなされる。これにより感光ドラム21表面に目的の画像情報に応じた静電潜像が形成される。
この静電潜像に現像装置(現像手段)24に設けられた現像スリーブ24aによってトナーを付着させトナー画像として現像する。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられることが多い。
一方、給送ローラ26の回転により給送カセット25内に積載収納されている記録材Pが1枚ずつ繰り出されてレジストローラ27に搬送される。この記録材Pはレジストローラ27によって第1のシートパス28aより感光ドラム21表面と転写ローラ29の外周面(表面)とで形成された転写ニップ部Tnに所定の制御タイミングにて送り出される。そしてこの記録材Pは転写ニップ部Tnで感光ドラム21表面と転写ローラ29表面とで挟持されその状態に搬送される。この搬送過程において転写ローラ29にトナーと逆極性の転写バイアスが印加される。これによって感光ドラム21表面のトナー画像が転写ニップ部Tnで記録材P上に静電的に転写され、これにより記録材Pは未定着のトナー画像を担持する。
未定着トナー画像を担持した記録材Pは感光ドラム21表面から分離して転写ニップ部Tnから排出され、第2のシートパス28bより定着装置Bの定着ニップ部(ニップ部)Nに導入される。そしてこの記録材Pが定着ニップ部Nを通過することによって未定着トナー画像は記録材Pに定着される。定着装置Bを出た記録材Pは搬送ローラ31によって第3のシートパス28cに搬送された後に排出ローラ32によって排出トレイ33上に排出される。
記録材P分離後の感光ドラム21表面はクリーニング装置(クリーニング手段)30によって転写残りトナー等が除去されて清浄面化され、感光ドラム21は次の画像形成に供される。
(1−2)定着装置(像加熱装置)B
以下の説明において、定着装置及びこの定着装置を構成する部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。長手幅とは長手方向の寸法をいう。短手幅とは短手方向の寸法をいう。
図1(a)は定着装置Bの概略構成を表わす横断面図、(b)は定着装置Bの記録材導入側からの概略構成、及び定着フィルムへの給電系の概略構成を表わす図である。この定着装置Bは定着フィルム自体が発熱する自己発熱式定着フィルムを用いた定着装置である。図2は給電部材、サブサーミスタ及び定着フィルムの層構成を表わす説明図である。
定着装置Bは、画像形成部Aで記録材上に形成された未定着トナー画像を記録材上に加熱定着するためのものである。図1(a)に示すように、未定着トナー画像tを坦持した記録材Pが定着装置Bの定着ニップ部Nを所定の搬送速度(プロセススピード100mm/s)で通過することにより、未定着トナー画像tは記録材Pに加熱定着される。
本実施例に示す定着装置Bは、自己発熱式の筒状の定着フィルム1(発熱部材)と、定着フィルム1を支持するフィルムホルダ(支持部材)2を有している。更に、定着フィルム1を介してフィルムガイド2と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ(加圧部材)3などを有している。定着フィルム1と、フィルムホルダ2と、加圧ローラ3は、何れも長手方向に長い部材である。
図2に示されるように、定着フィルム1は、基層として筒状の導電性部材10を有している。そしてその導電性部材10の外周面上に中間層11bを形成し、更にその中間層11bの外周面上に表層11aを形成したものである。
導電性部材10は、定着フィルム1のねじれ強度、平滑性などの機械的特性を担うベース層である。この導電性部材10は、ポリイミド等の耐熱性樹脂でできている。更に、その耐熱性樹脂にカーボンなどの導電性フィラーを分散させることにより、定着フィルム1の長手方向両端部に設けられた導電部4a,4bに電流を流すことにより発熱するよう電気抵抗が調整されている。本実施例では、導電性部材10として、外径φ18、長手方向両端までの長手幅240mm、厚み50μmの導電性部材を用いており、長手方向両端間の実抵抗値は室温(23℃)で約20Ωであった。
中間層11bは、表層11aと発熱層10の接合を行う接着剤の役目を担っている。中間層11bbは、ポリイミド系耐熱接着剤などにより形成されている。表層11aは、離型性に優れたPFAやPTFEなどにより形成されている。
定着フィルム1の長手方向両端部には、中間層11bと表層11aは設けられておらず、定着フィルム1の外周面(表面)から導電性部材10に給電可能なように、導電層4a及び導電層4bが形成してある。導電層4a及び導電層4bは、導電性部材10表面上の長手方向両端から長手方向内側までの所定の領域に銀ペーストをコーティングすることによって形成されている。そして導電層4a及び導電層4bの導電性部材10側の裏面が導電性部材10表面と電気的に接続している。導電層4a及び導電層4bの長手幅は5mmとしてある。
導電層4a及び導電層4bの抵抗は導電性部材10の抵抗に比べて1/100以下であるため、導電層4a及び導電層4bがコーティングされている部分は殆ど発熱しない。また、定着フィルム1の周方向が定着フィルム1の長手方向両端部の導電層4a及び導電層4bの周方向において同電位になる為、定着フィルム1の周方向の温度ムラを低減させることができる。
5aは定着フィルム1の導電部4aに給電するための給電部材であり、5bは定着フィルム1の導電部4bに給電するための給電部材である。給電部材5a及び給電部材5bは、SUSの板バネにカーボンチップを接着して形成されている。給電部材5aは板バネの圧力で導電層4aに当接されており、給電部材5bは板バネの圧力で導電層4bに当接されている。そして交流電源Vから給電部材5a及び給電部材5bを介して定着フィルム1の対応する導電部4aと導電部4bを通じて導電性部材10に通電されることによって定着フィルム1の導電性部材10を発熱させるようになっている。
定着フィルム1の長手方向において、給電部材5aと導電部4aが接触している長手幅、及び給電部材5bと導電部4bが接触している長手幅は、それぞれ、4mmとしてある。非回転状態(非駆動状態)の定着フィルム1と、給電部材5a及び給電部材5bと、導電部4a及び導電部4bの位置関係は、次の通りである。定着フィルム1の長手方向中央位置が給電部材5aと給電部材5bのちょうど中間に存在するとき、給電部材4aと給電部材4bはそれぞれ対応する導電層4a,4bの長手方向中央部に位置している。
図1(a)に示されるように、フィルムホルダ2は、液晶ポリマー、PPS、PEEK等の耐熱性樹脂により板状に形成され、定着フィルム1の内側に配設されている。フィルムホルダ2の長手幅は定着フィルム1よりも長い。フィルムホルダ2の長手方向他端部は後述の定着フランジ9bが支持する矩形状の定着ステー7bと係合し、フィルムホルダ2の長手方向一端部は後述の定着フランジ9aが支持する矩形状の定着ステー7aと係合している。フィルムホルダ2の長手方向一端部側の定着ステー7aと長手方向他端部側の定着ステー7bは同じ形状に形成してある。
図1(b)において、9aは定着フィルム1の長手方向一端部側で回転状態(駆動状態)の定着フィルム1の移動を規制する定着フランジ(移動規制部材)である。9bは定着フィルム1の長手方向他端部側で回転状態(駆動状態)の定着フィルム1の移動を規制する定着フランジ(移動規制部材)である。
定着フランジ9aは、基部9a1と、規制部9a2と、ガイド部9a3などを有している。基部9a1は、フィルムホルダ2の長手方向一端部側の定着ステー7aを収容可能に横断面略逆U字形状に形成してある。規制部9a2は、基部9a1の内側端部の外周から定着フィルム1の径方向に突出するように形成してある。規制部9a2の外径は定着フィルム1の外径よりも大きくなっている。ガイド部9a3は、規制部9a2の内側面から定着フィルム1の内部に突出するように形成してある。このガイド部9a3は、定着フィルム1の内径よりも僅かに小さい外径を有する横断面略逆U字形状に形成され、ガイド部9a3の外周面で定着フィルム1の回転をガイドするようになっている。
この定着フランジ9aは、定着フランジ9aの基部9a1を定着フレームに支持させることにより、定着フレームに取り付けられている。定着フランジ9aの基部9a1にはフィルムホルダ2の長手方向一端部側の定着ステー7aが加圧ローラ3の母線方向と直交する垂直方向に移動可能に収容されている。そして定着フィルム1の長手方向において規制部9a2が定着フィルム1の長手方向一端部と対向し、ガイド部9a3が定着フィルム1の長手方向一端部の内部に入り込んでいる。
定着フランジ9bは、基部9b1と、規制部9b2と、ガイド部9b3などを有している。基部9b1は、フィルムホルダ2の長手方向他端部側の定着ステー7bを収容可能に横断面略逆U字形状に形成してある。規制部9b2は、基部9b1の内側端部の外周から定着フィルム1の径方向に突出するように形成してある。規制部9b2の外径は定着フィルム1の外径よりも大きくなっている。ガイド部9b3は、規制部9b2の内側面から定着フィルム1の内部に突出するように形成してある。このガイド部9b3は、定着フィルム1の内径よりも僅かに小さい外径を有する横断面略逆U字形状に形成され、ガイド部9b3の外周面で定着フィルム1の回転をガイドするようになっている。
この定着フランジ9bは、定着フランジ9bの基部9b1を定着フレームに支持させることにより、定着フレームに取り付けられている。定着フランジ9bの基部9b1にはフィルムホルダ2の長手方向他端部側の定着ステー7bが加圧ローラ3の母線方向と直交する垂直方向に移動可能に収容されている。そして定着フィルム1の長手方向において規制部9b2が定着フィルム1の長手方向他端部と対向し、ガイド部9b3が定着フィルム1の長手方向他端部の内部に入り込んでいる。
加圧ローラ3は、SUS、SUM、Al等の金属製の芯金3aの長手方向両端部の軸部(不図示)間の外周面上に弾性層3bを有する弾性ローラである。弾性層3bとしては、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムで形成した弾性ソリッドゴム層を用いることができる。そして弾性層3bの外周面上にパーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)等の離型性層3cを形成している。この加圧ローラ3は、定着フィルム1を介してフィルムホルダ2と対向するように配設され、芯金24aの長手方向両端部の軸部が装置フレームに軸受(不図示)を介して回転可能に支持されている。
定着フランジ9aの内部において定着ステー7aは加圧バネ(不図示)により加圧ローラ3の母線方向と直交する垂直方向に加圧されている。定着フランジ9bの内部において定着ステー7bは加圧バネ(不図示)により加圧ローラ3の母線方向と直交する垂直方向に加圧されている。この加圧バネの加圧力によりフィルムホルダ2が定着フィルム1を介して加圧ローラ3に加圧される。これにより加圧ローラ3の弾性層3bが弾性変形し、定着フィルム1の外周面(表面)と加圧ローラ3の外周面(表面)とで所定の短手幅の定着ニップ部Nが形成される。
6aは定着フィルム1表面において記録材Pが通過する領域(通紙領域)の温度を検出するためのメインサーミスタ(温度検出手段)である。6bは定着フィルム1表面において記録材Pが通過する領域(非通紙領域)の温度を検出するためのサブサーミスタ(温度検出手段)である。メインサーミスタ6aと、サブサーミスタ6bは、それぞれ、定着フィルム1表面に当接している。
Vは交流電源である。100はCPUとROMやRAMなどのメモリとからなる制御部(制御手段)である。メモリには定着装置Bが記録材上の未定着トナー画像tを加熱定着するために必要な各種の制御シーケンスや制御テーブルなどが記憶されている。メインサーミスタ6a及びサブサーミスタ6b、そして交流電源Vは制御部100と電気的に接続しており、メインサーミスタ6a及びサブサーミスタ6bの検出信号(出力信号)に応じて、制御部100が交流電源Vから導電性部材10への通電を制御する。
メインサーミスタ6aとサブサーミスタ6bの二つのサーミスタは、いずれか一方のサーミスタが故障した場合の故障検知の役割も持つ。本実施例においては、メインサーミスタ6aは定着フィルム1表面の通紙領域の温度を検出し、サブサーミスタ6bは定着フィルム1表面の非通紙領域の温度を検出するため、定着フィルム1表面の通紙領域と非通紙領域の温度差などが測定可能である。
(1−3)定着装置の動作
制御部100はプリント指令に応じて定着装置Bの駆動モータ(不図示)を回転駆動する。駆動モータの出力軸の回転は所定のギア列(減速ギア列)を介して加圧ローラ3の芯金3aに伝達される。これにより加圧ローラ3は所定の周速度(プロセススピード)で矢印方向(図1(a)参照)へ回転する。加圧ローラ3の回転は定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ3表面と定着フィルム1表面との摩擦力によって定着フィルム1に伝達される。これにより定着フィルム1は定着フィルム1内面がフィルムホルダ2と接触しつつ加圧ローラ3の回転に追従して矢印方向へ回転する。
また制御部100はプリント指令に応じて通電制御回路(不図示)を立ち上げる。これによって交流電源Vから給電部材5a及び給電部材5bを介して定着フィルム1の対応する導電部4aと導電部4bを通じて導電性部材10に通電される。これによって導電性部材10が発熱して定着フィルム1表面が急速に昇温する。更に、制御部100は、メインサーミスタ6aからの検出信号を取り込む。そしてこの検出信号に基づき導電性部材10に印加する電圧のデューティー比や波数などを決定し適切に制御して定着フィルム1表面の温度を所定の温調温度(目標温度)に維持する。
駆動モータを回転駆動し、かつ定着フィルム1表面の温度を所定の温調温度に維持した状態において、未定着トナー画像tを担持する記録材Pがトナー画像担持面を定着フィルム1側にして定着ニップ部Nに導入(通紙)される。この記録材Pは定着ニップ部Nで定着フィルム1表面と加圧ローラ3表面とで挟持されその状態に搬送(挟持搬送)される。この搬送過程において記録材上のトナー画像tは定着フィルム1により加熱されて溶融すると共に定着ニップ部Nのニップ圧を受けて記録材上に定着される。トナー画像tが定着された記録材Pは定着フィルム1表面から分離して定着ニップ部Nから排出される。
(1−4)定着フィルム1の長手方向端部の摩耗検知の説明
図3(a)は従来の自己発熱式の定着フィルム1Aを長手方向に切断して開いた展開図である。定着フィルム1Aは、定着フィルム1Aの表層11aの無い長手方向一端部と長手方向他端部に、抵抗が低い銀ペーストの導電層4a及び導電層4bがコーティングされている。導電層4a及び導電層4bは定着フィルム1の端面に対して平行に形成してある。
図3(b)は本実施例の自己発熱式の定着フィルム1を長手方向に切断して開いた展開図である。本実施例の定着フィルム1は、表層11aと導通層4bが存在する領域S1を有していることを特徴とする。
図3(b)において、領域S0は、表層11aで覆われている。定着フィルム1の長手方向において領域S0の外側に配設された領域S2は、図3(a)と同様、銀ペーストである導電層4bで覆われている。領域S1は、定着フィルム1の長手方向において領域S2と隣接するように定着フィルム1の長手方向他端部側に設けられている。そしてこの領域S1は、定着フィルム1の周方向において領域S2の導電層4bの内端縁の一部に導電層4bと連続するように設けられた四角形状の突部4b1を領域S0の表層11a内に有している。突部4b1において、長手幅は4mm、定着フィルム1の周方向の寸法は10mmである。
定着フィルム1の領域S1と、給電部材5a及び給電部材5bと、サブサーミスタ6bと、の位置関係は次の通りである。定着フィルム1の長手方向中央位置が給電部材5aと給電部材5bのちょうど中間に存在する(定着フィルム1の基準位置)とき、サブサーミスタ6bは領域S1の突部4b1の長手方向中央に位置するようになっている。
即ち、仮に定着フィルム1が長手方向中央位置から定着フィルム1の長手方向一端部側と長手方向他端部側の左右いずれかに2mmを超えて移動した場合、サブサーミスタ6bは領域S1から外れることになる。定着フィルム1と定着フランジ9a,9bとの間はガタ分として約0.5mmの隙間がある。仮にこのガタ分だけ定着フィルム1が左右いずれかに偏っても、給電部材5a及び給電部材5bは対応する導電層4a及び導電層4bから外れることは無く、またサブサーミスタ6bも領域S1から外れることはない。
定着フィルム1の導電層4aと導電層4bの間に所定の電流を流した場合、この導電層4a及び導電層4bを介して発熱層10に通電され、発熱層10が発熱して導電層4a及び導電層4bに被覆されていない領域が高温領域となる。これに対し、導電層4a及び導電層4bに被覆された領域は電流が抵抗の低い導電層を通るため、発熱しない低温領域となる。
このため、領域S1において、導電層4a及び導電層4bに被覆されていない領域(表層11aだけの領域)が高温領域となり、導電層4bで形成された突部4b1が低温領域となる。その為、領域S1を定着フィルム1の回転方向(図3の縦方向)で見たときに、高温領域と低温領域が混在することになる。ここで、高温領域とは未定着トナー画像tを記録材Pに加熱定着するときの通常の温調f温度では180℃であり、定着フィルム1の通紙領域全体でほぼ均一である。また、低温領域は高温領域からの熱伝導などで徐々に昇温するが、最大でも50℃程度で落ち着く。
つまり、領域S1は、定着フィルム1の回転方向に高温領域と低温領域が共に存在する領域であり、定着フィルム1の長手方向端部が摩耗する前の定着フィルム1の長手方向への移動量(5mm)よりも小さい長手幅(4mm)を有する領域である。
図4は定着フィルム1が長手方向中央位置から移動したときの定着フィルム1の領域S1と、サブサーミスタ6bと、給電部材5bの位置関係を表わす図である。
図4(b)は定着フィルム1の領域S1の突部4b1の長手方向中央にサブサーミスタ6bが存在している状態を表わしている。この場合、給電部材5bは導電層4bの領域内で導電層4bと適切に接触している。従って給電部材5bを介して導電層4bに安定した給電(通電)が行える。
図4(e)は定着フィルム1が回転・発熱しているときにサブサーミスタ6bが検出した領域S1の温度変動パターンを表わしている。サブサーミスタ6bが領域S1内に在る場合、定着フィルム1の回転に伴い導電層4bの突部4a1が一回転毎に1回通過する。そのため、サブサーミスタ6bの検出した温度は、図4(e)に示されるように、定着フィルム1の一回転毎に高温から低温に短時間だけ低下し、再度高温に戻る温度変動パターンを示す。つまり、サブサーミスタ6bが図4(e)に示す温度変動パターンのように高温から低温へ変化する短時間の温度変動を検出している場合、給電部材5bは導電層4b内で導電層4bと適切に接触していることが分かる。
図4(b)中では省略されているが、給電部材5bとは反対側の給電部材5aも導電層4a内で導電層4aと適切に接触しているような位置関係にある。
図4(a)は定着フィルム1の長手方向一端部(図1(b)の左側の端部)が削れることによって、定着フィルム1の長手幅が短くなった場合に、定着フィルム1が長手方向一端部側に2mm以上移動した場合を表わしている。図4(d)は定着フィルム1が回転・発熱しているときにサブサーミスタ6bが検出した領域S2の温度変動パターンを表わしている。
図4(a)の場合、サブサーミスタ6bが接触している定着フィルム1の領域は領域S2になる。このため、図4(d)に示されるように、定着フィルム1が加熱されているにもかかわらずサブサーミスタ6bは導電部4bの温度(温度変動のない一定の低温)を検出することになる。つまり、サブサーミスタ6bが図4(d)に示すような温度変動パターンを検出している場合、定着フィルム1は長手方向一端部側に寄っており、そのため給電部材5bと導電層4bの接触面積が低下していることが分かる。
図4(c)は定着フィルム1の長手方向他端部(図1(b)の右側の端部)が削れることによって、定着フィルム1の長手幅が短くなった場合に、定着フィルム1が長手方向他端部側に2mm以上移動した場合を表わしている。図4(f)は定着フィルム1が回転・発熱しているときにサブサーミスタ6bが検出した領域S0の温度変動パターンを表わしている。
図4(c)の場合、サブサーミスタ6bが接触している定着フィルム1の領域は領域S0になるため、定着フィルム1が加熱されている間、図4(f)に示されるように、サブサーミスタ6bは表層11aの温度(一定の高温)を検出することになる。つまり、サブサーミスタ6bが図4(f)に示すような温度変動パターンを検出している場合、定着フィルム1は長手方向他端部側に寄っており、給電部材5bと導電層4bの接触面積が低下していることが分かる。
定着フィルム1において、領域S1は、高温領域と低温領域が共に存在する領域であり、かつ定着フィルム1の長手方向への移動量以下の長手幅を有する領域である。
図5は定着フィルム1の長手方向端部の削れ(磨耗)を検知するために制御部100が実行する定着フィルム1の長手方向の位置検出プロセスのフローチャートである。
STEP1では、制御部100は定着フィルム一回転分の時間の間のメインサーミスタ6aの検出温度main(X)と、サブサーミスタ6bの検出温度sub(X)と、を取り込む。
STEP2では、サブサーミスタ6bの検知温度sub(X)を時間dtで微分し、d/dt・sub(X)を算出する。ここで、時間dtはサブサーミスタ6bが導電層4bの突部4b1の低温領域を検知するのに十分な時間である必要がある。本実施例では、突部4b1の回転方向長さは10mm、通常時の定着フィルム1の回転速度は100mm/sであるため、突部4b1をセンシングするには10msec間隔のサンプリング時間があれば十分である。即ち、dt=10msecでd/dt・sub(X)を算出することは、10msec毎のサブサーミスタ6bの検出温度差を算出することに等しい。
STEP3では、サブサーミスタ6bの検出温度の微分値d/dt・sub(X)の絶対値が所定値A(本実施例では30℃)以上か未満かを判断する。微分値d/dt・sub(X)の絶対値が所定値A以上である場合(YES)、短時間に大きな温度変動があったと判断し、定着フィルム1の長手方向の位置は正常と判断して、STEP4に進む。微分値d/dt・sub(X)の絶対値が所定値A未満である場合(NO)、定着フィルム1の長手方向の位置が異常と判断して、STEP7に進む。
STEP4では、定着フィルム二回転分(本実施例では2000msec)のサブサーミスタ6bの検出温度の微分値d/dt・sub(X)のうちで、所定値A以上となったタイミングの間隔ΔTを算出する。
STEP5では、ΔTに所定のマージン(例えば通常の1.1倍である)を掛けた値C以上か未満かを判断する。ΔTがC以上である場合(YES)、定着スリップと判断してSTEP6に進む。ΔTがC未満である場合(NO)、全て正常と判断して一連の処理を終了する。
STEP6では、所定の表示部に「定着フィルムスリップ警報」を表示して一連の処理を終了する。
STEP7では、定着フィルム1の移動方向を確認するため、サブサーミスタ6bの検出値の平均値Average{sub(X)}を算出し、Average{sub(X)}が所定値B(本実施例では100℃)以上か未満かを判断する。Average{sub(X)}が所定値B以上である場合(YES)、STEP8aに進む。Average{sub(X)}が所定値B未満である場合(NO)、STEP8bに進む。
STEP8aでは、所定の表示部に「定着フィルム右寄り警報」を表示して一連の処理を終了する。
STEP8bでは、所定の表示部に「定着フィルム左寄り警報」を表示して一連の処理を終了する。
本実施例の定着装置Bは、図5に示す定着フィルム1の長手方向の位置検出プロセスを一定時間毎に行うことで、長期の耐久で定着フィルム1の長手方向端部が削れて摩耗してきた場合に、所定の削れ量を超えた時点でその摩耗を検知することが可能となる。しかも、サブサーミスタ6bを温度検出手段として使用している為、専用の検知手段を持つ必要が無く、低コストで、かつ効果的に定着フィルム1の長手方向端部の摩耗の検知を行なうことができる。
定着装置Bでの記録材Pの搬送異常などを検知する場合、制御部100は次のような処理を行う。即ち、定着フィルム1の一回転に必要な時間が所定以上であった場合に、定着フィルム1が加圧ローラ3に安定的に従動回転されていないと判定し、「定着フィルムスリップ警報」を表示する。これにより、定着装置Bでの記録材Pの搬送異常などを検知することも可能となる。
また、制御部100は、電気ノイズ等による誤検知を回避するため、例えば10回転中で警報が3回以上検知した場合に画像形成装置の稼動を停止する、などの誤検知回避機能などを持っても良い。
[実施例2]
定着装置Bの他の例を説明する。本実施例では、実施例1の定着装置Bと同じ部材及び部分には同一の符号を付している。
(2−1)定着フィルム1の長手方向端部の摩耗検知の説明
図6は本実施例の定着装置Bにおける自己発熱式の定着フィルム1を長手方向に切断して開いた展開図である。図7は定着フィルム1が長手中央位置から移動したときの定着フィルム1の領域S1と、サブサーミスタ6bと、給電部材5bの位置関係を表わす図である。
本実施例の定着フィルム1は、実施例1と同様、表層aと導電層4aが存在する領域S1を有していることを特徴とする。そしてこの点を除いて実施例1の定着フィルム1と同じ構成としてある。上記領域S1は、定着フィルム1の周方向において領域S2の導電層4bの内端縁の一部に導電層4bと連続するように設けられた三角形状の突部4b2を領域S0の表層11a内に有している。突部4b2において、長手幅は4mm、三角形部分は領域S1の面積を表層11aと導電層4bで丁度二分割した形になっている。
定着フィルム1の領域S1と、給電部材5a及び給電部材5bと、サブサーミスタ6bと、の位置関係は次の通りである。定着フィルム1の長手方向中央位置が給電部材5aと給電部材5bのちょうど中間に存在する(定着フィルム1の基準位置)とき、サブサーミスタ6bは領域S1の突部4b2の長手方向中央に位置するようになっている。
即ち、仮に定着フィルム1が長手方向中央位置から定着フィルム1の長手方向一端部側と長手方向他端部側の左右いずれかに2mmを超えて移動した場合、サブサーミスタ6bは領域S1から外れることになる。定着フィルム1と定着フランジ9a,9bとの間はガタ分として約0.5mmの隙間がある。仮にこのガタ分だけ定着フィルム1が左右いずれかに偏っても、給電部材5a及び給電部材5bは対応する導電層4a及び導電層4bから外れることは無く、またサブサーミスタ6bも領域S1から外れることはない。
つまり、領域S1は、定着フィルム1の回転方向に高温領域と低温領域が共に存在する領域であり、定着フィルム1の長手方向端部が摩耗する前の定着フィルム1の長手方向への移動量(5mm)よりも小さい長手幅(4mm)を有する領域である。
図7は定着フィルムが長手方向中央位置から移動してたときの定着フィルム1の領域S1と、サブサーミスタ6bと、給電部材5bの位置関係を表わす図である。
図7(b)は定着フィルム1の領域S1の突部4b2の長手方向中央にサブサーミスタ6bが存在している状態を表わしている。この場合、給電部材5bは導電層4bの領域何で導電層4bと適切に接触している。従って給電部材5bに安定した給電(通電)が行える。
図7(b)中では省略されているが、給電部材5bとは反対側の給電部材6aも導電部4a内で導電部4aと適切に接触しているような位置関係にある。
図7(e)は定着フィルム1が回転・発熱しているときにサブサーミスタ6bが検出した領域S1の温度変動パターンを表わしている。
図7(b)に示されるように、通電・加熱されつつ回転する定着フィルム1が長手方向中央位置に存在する場合、サブサーミスタ6bは表層11a(高温領域)を一回転の半分だけ通過し、導電層4b(低温領域)を同様に一回転の半分通過することになる。
そのときのサブサーミスタ6bが検出した温度は、図7(e)に示されるように、高温領域と低温領域をほぼ同じ時間だけ検出すること事が分かる。逆に言えば、サブサーミスタ6bが検出した温度推移が、高温領域を検出した時間と低温領域を検出した時間が等分の場合、定着フィルム1は長手方向中央位置に存在することが分かる。
図7(a)は定着フィルム1の長手方向一端部が削れることによって、定着フィルム1の長手幅が短くなった場合に、定着フィルム1が長手方向一端部側に移動した場合を表わしている。図7(d)は定着フィルム1が回転・発熱しているときにサブサーミスタ6bが検出した領域S2の温度変動パターンを表わしている。
図7(a)のように、定着フィルム1が長手方向中央位置から定着フィルム1の長手方向一端部側に移動する。すると、図7(d)に示されるように、サブサーミスタ6bが表層11aを通過する時間(即ち高温領域を検出する時間)が短くなり、導電層4bを通過する時間(即ち低温領域を検知する時間)が増える。そして定着フィルム1が長手方向中央位置から2mm以上定着フィルム1の長手方向一端部側に移動した場合、つまり、サブサーミスタ6bが領域S2に達した場合、図7(d)のようにサブサーミスタ6bが検出する温度は低温領域のみの温度となる。
同様に、図7(c)のように、定着フィルム1が長手方向中央位置から定着フィルム1の長手方向他端部側に移動する。すると、図7(f)に示されるように、サブサーミスタ6bが表層11aを通過する時間(即ち高温領域を検知する時間)が長くなり、導電層4bを通過する時間(即ち低温領域を検知する時間)が短くなる。そして定着フィルム1が中央基準で2mm以上定着フィルム1の長手方向他端部に移動した場合、つまり、サブサーミスタ6bが領域S0に達した場合、図7(f)のようにサブサーミスタ6bが検出する温度は高温領域のみの温度となる。
本実施例の定着装置Bでは、制御部100がサブサーミスタ6bの検出した温度を監視し、高温領域の時間と低温領域の時間の比から後述のtpを算出することで、定着フィルム1の長手方向の位置を検知する事が可能となる。ここで、tpとは、フィルムの長手方向の位置情報を表している。例えば定着フィルム1の位置を検知してエラーが発生する前に何らかの手段で定着フィルム1の位置を制御すれば、tpを用いることで定着フィルム1の位置を制御することができる。しかし、本実施例では、アクティブな定着フィルム制御は行わないので、単に定着フィルム1のエラー判定手段として用いている。
また、低温領域から高温領域へ立ち上がる時間間隔(もしくは高温領域から低温領域へ立ち下がる時間間隔)は定着フィルム1の一回転する周期に等しいので、この立ち上がり(もしくは立下り)周期から定着フィルム1の回転速度を求めることが可能となる。
図8は定着フィルム1の長手方向端部の削れ(摩耗)を検知するために制御部100が実行する定着フィルム1の長手方向の位置検出プロセスのフローチャートである。図9は温度変動パターンと位置判定プロセスを表わす説明図である。
ここで、定着フィルム1の直径がφ18、周長が56.62mm、理論上の回転速度が100mm/sであるため、理論上は定着フィルム1の一回転に必要な時間は565.2msecである。制御部100の温度検知は10msec毎に可能であるため、定着フィルム一回転中で約56回の温度検知が可能である。
STEP11では、サブサーミスタ6bの検知温度sub(X)をサンプリングする。基準温度(本実施例では100℃)以上かどうかで高温と低温に2値で規格化する(規格化した温度データを表しているのが図9(a)である)。低温から高温へ立ち上がったタイミングをt0、次に高温から低温へ立ち下がったタイミングをt1、更に再度低温から高温へ立ち上がったタイミングをt2としてSTEP12に進む。
STEP12では、立ち上がり・立ち下がりのいずれかが検知できなかった場合、STEP17に進む。t0、t1、t2の全てが検知できた場合、STEP13に進む。
STEP13では、定着フィルム1の理論上の周長L(本実施例ではφ18の定着フィルムを使用している為、L=56.52mm)をt2からt0を差し引いた値で割り、定着フィルム1の回転速度Rを得る。
STEP14では、定着フィルム1の回転速度Rが所定値(正常な回転速度の95%(本実施例では95mm/s))以上か未満かを判断する。回転速度Rが所定値以上の場合(YES)、正常とみなしてSTEP15に進む。定着フィルムの回転速度Rが所定値未満の場合(NO)、STEP16に進む。
STEP15では、tp=(t1−t0)/(t2−t0)を算出して定着フィルム1の位置を求める。図9(a)のようにtp=0.5のとき、定着フィルム1は長手方向中央位置に在ると判断できる。図9(b)のようにtp<0.5のときは定着フィルム1は長手方向一端部側に移動していると判断できる。図9(c)のようにtp>0.5のときは定着フィルム1は長手方向他端部側に移動していると判断できる。
STEP16では、定着フィルム1の回転速度Rが理論値よりも遅い場合は、図9(d)のように、t0を基準としたt1およびt2が、理論値よりも大きくなる事が分かる。この場合、定着スリップと判断し、所定の表示部に「定着フィルムスリップ警報」を表示して一連の処理を終了する。
STEP17では、定着フィルム1の移動方向を確認するため、サブサーミスタ6bの検知温度の平均値average{sub(x)}を算出し、average{sub(x)}が所定値B(本実施例では100℃)以上か未満かを判断する。average{sub(x)}が所定値B以上である場合(YES)、STEP18aに進む。average{sub(x)}が所定値B未満である場合(NO)、STEP18bに進む。
STEP18aでは、所定の表示部に「定着フィルム右寄り警報」を表示して一連の処理を終了する。
STEP18bでは、所定の表示部に「定着フィルム左寄り警報」を表示して一連の処理を終了する。
本実施例の定着装置Bは、図8に示す定着フィルム1の長手方向の位置検出プロセスを一定時間毎に行うことで、長期の耐久で定着フィルム1の長手方向端部が削れて摩耗してきた場合に、所定の削れ量を超えた時点でその摩耗を検知することが可能となる。
また、定着フィルム1の回転速度が所定値未満になった時点で、「定着フィルムスリップ警報」を表示することにより、定着装置Bでの記録材Pの搬送異常などを検知することも可能となる。
また、定着フィルム1の長手方向の位置は、STEP15で算出されたtpから判断することが可能である。そのため、定着フィルム1と加圧ローラ3の角度を調節する機構を備えることで、定着フィルム1の長手の偏り自体を制御することも可能である。
1:定着フィルム、3:加圧ローラ、4a,4b:導電層、5a,5b:給電部材、6b:サブサーミスタ、10:発熱層、100:制御部、N:定着ニップ部、P:記録材、S0:高温領域、S1:領域、S2:低温領域、t:未定着トナー画像、

Claims (4)

  1. 回転可能な筒状の発熱部材と、前記発熱部材と接触してニップ部を形成する加圧部材と、を有し、前記ニップ部で画像を担持する記録材を搬送しつつ画像を加熱する像加熱装置において、
    温度検出手段を有し、前記発熱部材は、記録材搬送方向と直交する長手方向に、前記画像の加熱を行うための高温領域と、前記高温領域よりも温度の低い低温領域と、前記発熱部材の回転方向に前記高温領域と前記低温領域が共に存在する領域であり前記発熱部材の長手方向端部が摩耗する前の前記発熱部材の長手方向への移動量よりも小さい長手幅を有する領域と、を有し、回転する前記発熱部材の前記領域について前記温度検出手段で検出した温度変動パターンに基づき前記発熱部材の長手方向端部の磨耗を検知することを特徴とする像加熱装置。
  2. 前記高温領域は通電により発熱する発熱層によって形成され、前記低温領域は前記発熱層と電気的に接続され前記発熱層よりも抵抗の低い導電層によって形成され、前記導電層に給電部材を接触させ、前記給電部材を介して前記導電層に通電することにより前記発熱層を発熱させることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  3. 制御手段を有し、前記制御手段は、前記発熱部材が回転している際に、前記温度検出手段で検出した前記温度変動パターンに基づいて、前記発熱部材の長手方向の位置を判断することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
  4. 制御手段を有し、前記制御手段は、前記発熱部材が回転している際に、前記温度検出手段で検出した前記温度変動パターンに基づいて、前記発熱部材の回転速度を求めることを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
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