JP4877316B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
定着装置の温度を定着温度まで加熱するには、ウォームアップ時間を要するが、このウォームアップ時間の短縮化を図り、待ち時間を短縮化するため、例えば、特許文献1には定着装置の加熱媒体として、熱容量の小さい薄肉の定着ベルトを利用した定着装置が開示されている。
定着ベルト110は、可撓性を有する薄肉のニッケルなどの中空金属導体から形成される導電層を含み、定着ベルト110の外周表面には、フッ素樹脂をコーティングした耐熱性の離型層が形成されている。定着ベルト110の肉厚は、20μm〜60μmである。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、ウォームアップ時間を短縮することが可能で、かつ、定着ベルトの蛇行が生じにくい定着装置及び当該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
又、本発明に係る画像形成装置は、前記定着装置を備える画像形成装置である。
さらに、非通紙領域においては、ベルトが第1ローラに密嵌されるようにすることができるので、ベルトと第1ローラとの間の摩擦力を大きくして、ベルトが第1ローラ上を滑りにくくし、ベルトが第1ローラ上を軸方向に蛇行走行するのを有効に防止することができる。
これにより、第1ローラとベルトとの間に形成される空気の断熱層の厚さを最適化することができ、ベルトの昇温速度を高め、ベルトのウォームアップ時間の短縮効率を高めることができる。
これにより、第1ローラに対するベルトの嵌着強度を最適化することができ、充分な蛇行防止効果が得られる。
第1ローラの外径に段差が生じる領域が、通紙領域から離隔されているので、当該段差により生じる、第2ローラにより押圧できない領域が第1ローラの通紙領域内に発生しないように調整することができ、記録シートを定着ニップに通紙した場合に、通紙領域において、加圧状態のムラが生じるのを防止し、定着不良が生じないようにすることができる。
こととすることができる。
これにより、ベルトが第1ローラに密嵌される領域をより広くとることができるので、密嵌される領域が非通紙領域の一部の領域の場合に比べ、ベルトの蛇行防止力をより高めることができるとともに、非通紙領域と通紙領域との間の段差が少なくなるように、非通紙領域と通紙領域との境界近縁の領域においてスロープが形成されるので、第2ローラにより押圧できない領域が第1ローラの通紙領域内に発生するのを軽減することができる。
[1]プリンタの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンタ1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の構成を示す図である。
プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)からのプリントジョブの実行指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像形成を実行する。
画像プロセス部3は、作像部3Y,3M,3C,3K、露光部10、中間転写ベルト11などを有している。
作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラ34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。
この露光走査により、帯電器32Y〜32Kにより帯電された感光体ドラム31Y〜31K上に静電潜像が形成される。各静電潜像は、現像器33Y〜33Kにより現像されて感光体ドラム31Y〜31K上にY〜K色のトナー像が、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わせて一次転写されるようにタイミングをずらして実行される。
給紙部4は、記録シート(記録シートとしては、紙の用紙やOHPシートなどのフィルムシートを利用できるが、ここでは、記録シートを用紙Sとする。)を収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の用紙Sを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された用紙Sを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対44などを備えており、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて給紙部4から用紙Sを二次転写位置46に搬送し、二次転写ローラ45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して用紙S上に二次転写される。
[2]定着装置の構成
図2は、上記定着装置5の構成を示す部分断面斜視図である。同図に示すように、定着装置5は、定着ローラ150と、定着ベルト153と、加圧ローラ160と、磁束発生部170と、を有する。
芯金151は、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等からなる、外径が約20mmの円柱体である。
弾性体層152A及び152Bの材質は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の発泡弾性体であり、耐熱性及び断熱性の高いものが望ましい。
図3(b)に示すように、通紙領域においては、弾性体層152Bと定着ベルト153との間に隙間を設けることができるので、両者の間に空気の断熱層を形成することができ、当該断熱層の断熱効果により、定着ベルト153上の熱が弾性体層152Bに逃げるのを防止し、定着装置5のウォームアップ時間を短縮することができる。
同図において縦軸は、ニップ圧を表し、横軸は、定着ローラ150の回転軸
方向における中央部の位置を0としたときの、回転軸方向における、中央部からの距離を表し、符号Cは、段差周辺領域を表す。
これにより、用紙Sを定着ニップ153nに通紙した場合に、通紙領域において、加圧状態のムラが生じるのを防止し、定着不良が生じないようにすることができる。
図3(c)は、定着ベルト153の構成を示す図である。
定着ベルト153には、自立して円筒形を保持できるベルトが用いられている。定着ベルト153のベルト幅方向(定着ローラ150の回転軸方向に相当)長さは、最大サイズの用紙Sの幅方向長さよりも長くなっている。
弾性体層153bは、厚みが約200μmのシリコーンゴムなどからなる。
この他にも、フッ素ゴムなどを使用してもよい。
図2に戻って、加圧ローラ160は、円柱状の芯金161の周囲に、弾性体層162を介して離型層163が積層されてなり、定着ベルト153の周回経路外側に配置され、定着ベルト153の外側から定着ベルト153を介して定着ローラ150を押圧して、定着ベルト153表面との間に周方向に所定幅を有する定着ニップ153nが形成される。
磁束発生部170は、コイルボビン171と、裾コア172と、励磁コイル173と、コア174と、カバー175とを有する。
励磁コイル173は、定着ベルト153に含まれている発熱層153cを加熱するための磁束を発生させるものであり、コイルボビン171に巻かれている。
[3]断熱効果について
図4は、定着ベルトと定着ローラの間に設けられた隙間の大きさと定着ベルトの表面温度の昇温速度との関係を示す図である。
同図に示すように、上記昇温速度は、第1径差が1.4mm未満の範囲では、第1径差の増加に伴い、徐々に増加する傾向を示しているが、第1径差が1.4mm以上になると増加量が急上昇し、第1径差が1.4mm未満の場合における昇温速度に比較し、明らかに高くなる傾向を示している。
室温(15℃〜30℃)状態で内径が40mmの無端の円筒状の定着ベルト(定着ベルト153と同じ構成の定着ベルト)と、室温状態で外径が0.2mm間隔で異なる、外径が40mm〜37mmの範囲の各定着ローラ(定着ローラ150と同一の構成で外径が均一の定着ローラ)とをそれぞれ組み合わせて定着装置を作成した。その他の定着装置の構成要素は、定着装置5の構成要素として用いたものと同等の構成要素を用いた。又、磁束発生部に誘導電流として投入した電力は、1050W、加圧ローラの回転速度は、300mm/秒、加圧ローラから負荷したニップ加重は475ニュートンとした。
定着ベルトと定着ローラは、図4で使用したものと同じ構成のもの(具体的には、内径が40mmの定着ベルトと外径がそれぞれ、40mm(隙間がない場合)、38mm(隙間が有る場合)の定着ローラ)を用いた。
両者の温度変化を比較すると、隙間がない場合には、定着ベルトが定着温度の目標温度(例えば、170℃)に達するのに約48.2秒かかるのに対し、隙間がある場合には、約31.5秒で目標温度に達し、隙間がない場合に比較して約35%ウォームアップ時間が短縮されている。
[4]蛇行防止効果について
図6は、定着ベルトの嵌着強度と定着ベルトの蛇行の有無との関係を調べた実験結果を示す図である。
なお、定着ベルトは、本実施の形態に係る定着ベルト153(室温時における内径40mm)を使用し、当該内径は、室温から定着温度まで上昇してもほとんど変化しない。
定着ベルトの蛇行の有無の判定は、内径40mmの定着ベルト153と、弾性体層の厚みが異なる上記各定着ローラとをそれぞれ組み合わせて、定着装置5と同様の構成の定着装置を作成し、当該定着装置を稼動させた後、蛇行の有無を目視により確認することにより行われた。
ここで、「ねじれの位置関係」とは、定着装置のすべての部品の公差が最悪の状態で組みつけられた場合に得られる位置関係のことをいい、当該位置関係においては、定着ベルトに加わる軸方向の力(以下、「蛇行力」という。)が公差の範囲内で最も大きくなる。
このように、第2径差の大きさを大きくして、定着ローラに対する定着ベルトの嵌着強度を高めることにより、定着ベルトの蛇行を防止することができる。
[5]変形例
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
・ 上記実施の形態においては、定着ローラ150における弾性体層の厚さを、
非通紙領域の一部の領域において、通紙領域における厚さよりも厚くなるように構成することとしたが、非通紙領域全体において、通紙領域における厚さよりも厚くなるように構成することとしてもよい。
又、上記のように、非通紙領域全体において弾性体層の厚さを厚くする場合に、通紙領域との間に段差があると、通紙領域内においてニップ圧が0の無圧領域が生じるので、これを防ぐため両者の領域の境界において、スロープを形成するように、非通紙領域全体の内、通紙領域との境界近縁の領域における弾性体層152Aの厚さが、境界から離れるにつれて段階的に厚くなるように弾性体層を構成することとしてもよい。
(2)上記の実施の形態に係る定着ローラ150において、定着ベルト153の蛇行防止効果をさらに高めるために、定着ローラ150の端部において、蛇行規制カラーを設けることとしてもよい。図8は、蛇行規制カラーが設けられた定着装置5の具体例を示す。同図に示すように、定着ローラ150の芯金151に、蛇行規制カラー154が弾性体層152から突出するように嵌挿されている。符号155は、蛇行規制カラー154を芯金151に固定するための止め輪を表す。
又、蛇行規制カラー154を設けた場合、従来技術の場合のように、定着ベルトが定着ローラに密嵌されない場合には、定着ベルトの蛇行が起こりやすいため、定着ベルトが蛇行力により蛇行規制カラー154を押圧し、蛇行規制カラー154と強く接触することにより擦れて磨耗しやすくなるが、上記実施の形態に係る定着ローラ150を使用した場合には、定着ベルトが非通紙領域において定着ローラ150に密嵌されるので、定着ベルトの蛇行が起こりにくく、定着ベルトと蛇行規制カラー154との擦れを軽減することができるので、定着ベルトの磨耗が起こりにくく、定着ベルトの耐久性を向上させることができる。
(3)上記実施の形態においては、定着ベルト153を電磁誘導加熱方式により加熱することとしたが、定着ベルト153の加熱方式は、電磁誘導加熱方式に限定されず、定着ベルト153を直接加熱する方式であれば、他の方式であってもよい。例えば、ヒータにより定着ベルト153を直接加熱することとしてもよい。
(4)上記実施の形態においては、定着ローラ150を芯金151と弾性体層とで構成したが、弾性体層の代わりに非弾性体層を用いることとしてもよい。
3 画像プロセス部
4 給紙部
5 定着装置
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31Y〜31K 感光体ドラム
32Y〜32K 帯電器
33Y〜33K 現像器
34Y〜34K 一次転写ローラ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ対
45 二次転写ローラ
46 二次転写位置
60 制御部
71 排出ローラ対
72 排出トレイ
150 定着ローラ
151、161 芯金
152A、152B 弾性体層
153 定着ベルト
160 加圧ローラ
170 磁束発生部
Claims (7)
- 周回駆動される無端状のベルトと、その周回経路内側に配された第1ローラと、前記ベルトの外周面に接する第2ローラと、を備え、第1ローラを、前記ベルトを介して第2ローラで押圧して当該ベルト表面と第2ローラとの間に定着ニップを形成し、前記ベルトを加熱して記録シートを定着ニップに通紙し、トナー像を融着する定着装置であって、
第1ローラは、前記ベルトが非通紙領域の少なくとも一部の領域において密嵌され、通紙領域において遊嵌されるように、前記一部の領域における外径と前記通紙領域における外径とが異なる
ことを特徴とする定着装置。 - 前記第1ローラは、芯金の外周面を弾性部材で被覆してなり、前記密嵌される一部の領域における外径が、前記ベルトを外した状態において、前記ベルトの内径よりも大きく、前記通紙領域における外径が、前記ベルトの内径よりも小さい
ことを特徴とする請求項1記載の定着装置。 - 前記通紙領域において、前記第1ローラの外径は、前記ベルトの内径よりも1.4mm以上小さい
ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。 - 前記密嵌される一部の領域における前記第1ローラの外径は、前記ベルトを外した状態において、前記ベルトの内径よりも0.8mm以上大きい
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の定着装置。 - 前記密嵌される一部の領域は、通紙領域と非通紙領域との境界から離隔している
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の定着装置。 - 前記密嵌される領域は、非通紙領域全体であり、当該領域の内、通紙領域との境界近縁の領域における第1ローラの外径は、当該境界から離れるにつれて段階的に大きくなり、当該境界近縁の領域においてスロープを形成している
ことを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の定着装置。 - 請求項1〜6の何れかに記載の定着装置を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
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