JP2013245372A - 蒸着用ルツボの製造方法 - Google Patents

蒸着用ルツボの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2013245372A
JP2013245372A JP2012119256A JP2012119256A JP2013245372A JP 2013245372 A JP2013245372 A JP 2013245372A JP 2012119256 A JP2012119256 A JP 2012119256A JP 2012119256 A JP2012119256 A JP 2012119256A JP 2013245372 A JP2013245372 A JP 2013245372A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crucible
light
vapor deposition
organic compound
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012119256A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5921955B2 (ja
JP2013245372A5 (ja
Inventor
Gokichi Watabe
剛吉 渡部
Shunpei Yamazaki
舜平 山崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd filed Critical Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Priority to JP2012119256A priority Critical patent/JP5921955B2/ja
Publication of JP2013245372A publication Critical patent/JP2013245372A/ja
Publication of JP2013245372A5 publication Critical patent/JP2013245372A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5921955B2 publication Critical patent/JP5921955B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electroluminescent Light Sources (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】炭素を含む膜で被覆されたルツボを簡便に製造する方法を提供する。
【解決手段】酸素濃度が低い環境下で有機化合物が熱分解する、炭化と呼ばれる現象を用いることでルツボの内壁表面を被覆した炭素を含む膜を形成することができる。具体的には、有機化合物が昇華する温度と有機化合物が熱分解する温度とが共存する圧力に制御した減圧下で、蒸着用ルツボを加熱して、加熱された蒸着用ルツボの内壁表面で有機化合物を反応させ、当該反応によって、蒸着用ルツボの内壁表面に炭素を生成させて、蒸着用ルツボの内壁表面に炭素を含む膜を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明の一態様は、蒸着用ルツボの製造方法に関する。
発光性の有機化合物を含む層(以下、EL層ともいう。)を有する発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)と呼ばれており、当該EL層は、抵抗加熱蒸着装置を用いて形成することができる。一般に抵抗加熱蒸着装置は、ルツボ又はボートなど容器に入った固体の蒸着材料を抵抗熱によって加熱し、気化した蒸着材料を被形成物に成膜する装置であり、装置構成が簡便であることから、発光素子を構成する発光性の有機化合物を含む層を形成する装置として汎用されている。
蒸着材料を入れる容器の1つであるルツボは、金属、セラミックス、グラファイト、窒化シリコン、又は窒化ホウ素など様々な材料を用いて製造できる。また、ルツボの耐熱性や熱伝導性などを向上させるために、ルツボを構成する材料とは異なる材料でルツボの外壁又は内壁を被覆する技術もある。
例えば、先行技術文献1には、窒化ホウ素で構成されたルツボの内壁をダイヤモンドコーティングする技術が開示されている。また、先行技術文献2には、蒸着材料を収容する長尺の容器の表面をガラス状カーボンコーティングする技術が開示されている。
特開平8−225926号公報 特開2003−293120号公報
先行技術文献1には、ダイヤモンドコーティングする方法として、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法を含むCVD法を用いる記載がある。また、先行技術文献2には、ガラス状カーボンコーティングする方法として、CVD法又は浸積法を用いて形成する記載がある。
例えば、PBN(熱分解性窒化ホウ素)で構成されたルツボを用いて、無機酸化物(酸化リチウムなど)を成膜する場合、ルツボの温度が高温(例えば800℃以上)になると、当該無機酸化物中の酸素と反応してルツボを構成するPBNが分解されてしまい、ルツボが破損することがある。そのため、先行技術文献1で開示された技術を用いることで、当該破損を抑制することができると考えられる。
また、ダイヤモンドコーティング又はガラス状カーボンコーティングによって形成される膜は、熱伝導性に優れており、当該膜でルツボを被覆することで蒸着材料を均一に加熱することができるなどのメリットもあり、蒸着材料の成膜ムラを抑制するためにも当該膜でルツボを被覆することは有用である。
しかしながら、CVD法又は浸積法を用いて、ダイヤモンドコーティング、又はガラス状カーボンコーティングすることは、蒸着材料を成膜する装置の他にCVD装置など装置が必要であり、原料ガスなども用意する必要があるため、簡便性に欠け、作製コストもかかる。さらには、プラズマCVD法などでは、プラズマによってルツボ本体に損傷をあたえる可能性がある。
また、ルツボの材料として、例えばチタン、タンタル、モリブデン、タングステンなどの金属、又は酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムなどのセラミックスなどがあるが、金属で構成されたルツボでは蒸着材料を成膜する際、形成された膜(蒸着膜ともいう。)に当該金属が不純物として混入する可能性や、蒸着材料と金属が反応して当該蒸着材料が分解する可能性がある。それゆえ、蒸着膜を積層して発光素子(有機EL素子)を形成した場合、混入した不純物によって当該素子の性能及び信頼性が低下する可能性がある。またセラミックで構成されたルツボは、加熱されて高温になるとルツボから酸素など脱ガス成分が生じ、当該脱ガス成分により蒸着材料が酸化されることや、蒸着膜に混入するなどして発光素子の性能及び信頼性が低下する可能性がある。
そこで、本発明の一態様は、炭素を含む膜が被覆されたルツボを簡便に製造する方法を提供することを課題の1つとする。
上記課題を解決するにあたり、酸素濃度が低い環境下で有機化合物が熱分解する、炭化と呼ばれる現象を用いることでルツボの内壁表面を被覆した、炭素を含む膜(以下、炭素膜ともいう。)を形成することができる。
そこで、本発明の一態様は、減圧下で蒸着用ルツボを加熱して、加熱された蒸着用ルツボの内壁表面で有機化合物を反応させ、当該反応によって蒸着用ルツボの内壁表面に炭素を生成させて、蒸着用ルツボの内壁表面に炭素を含む膜を形成することを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法である。
また、本発明の一態様は、真空装置の処理室内の圧力を低下させることで気化する温度を低下させ、有機化合物を加熱する工程を有する。例えば、有機化合物が昇華する温度(昇華点ともいう。)は、有機化合物に加わる圧力によって変化させることができる。
有機化合物は、分子量が大きくなるにつれて熱分解する温度(分解点ともいう。)よりも気化する温度のほうが高くなる傾向がある。有機化合物の熱分解は化学反応の一種であり、当該有機化合物を構成する元素同士の結合力に依るところが大きいため、減圧条件下であっても当該有機化合物の分解点は変わらないといえる。
処理室内を、有機化合物は昇華しつつも炭化しているという状況にすることで、ルツボの内壁表面に炭素膜を形成することができる。これは、処理室を、有機化合物が昇華する温度と有機化合物が熱分解する温度とが共存する圧力に制御する(減圧する)ことで実施できる。
ルツボの内壁表面に炭素膜を形成する真空装置は、所望の発光素子を構成する蒸着膜を形成する蒸着装置を用いることが好ましい。同一の装置を用いることで、炭素膜を形成するためだけに別途、装置を設ける必要がなく、簡便に炭素膜を形成することができる。例えば、蒸着材料の種類や分子量にもよるが、装置構成が比較的簡単な抵抗加熱蒸着装置を用いることが好ましい。
ルツボ内に有機化合物を設ける方法として、単にルツボの底に有機化合物を設ける方法でもよく、ルツボの内壁表面全体に有機化合物を付着させることで設けてもよい。さらには、有機化合物が分散した溶媒、又は有機化合物が溶解した溶液で、ルツボの内壁表面全体を濡らすことで有機化合物を設けてもよい。なお、ルツボの内壁表面全体を濡らした後、溶媒を除去してもよい。このように、有機化合物をルツボ内壁表面全体に設けることによって、ルツボの内壁表面全体を炭素膜で均一に被覆することができる。
ルツボの底に有機化合物を設ける場合、当該有機化合物を昇華させつつ炭化させることでルツボの内壁表面全体に炭素膜を均一に形成することができる。一方、有機化合物をルツボ内壁表面に全体的に設けておく場合は、ルツボの底に有機化合物を設ける場合ほど、処理室内を減圧せずとも内壁表面に炭素膜を均一に形成することができる。
処理室内を減圧下(減圧状態)にすることで、ルツボに含まれている不純物、及び有機化合物に含まれている不純物が、形成される炭素膜に混入することを抑制する効果も発揮するため、本発明の一態様において、処理室内の圧力制御は適宜行うが好ましい。例えば、本発明の一態様は、酸素濃度が0.1重量%以上であるルツボに対して好適に用いることができる。
ルツボ内に設ける有機化合物は、常温常圧において固体の有機化合物、又は常温常圧において液体の有機化合物であれば様々な有機化合物を用いることができるが、分解点などを考慮し、分子量が200以上1500以下であり、芳香族環を有する有機化合物を用いることが好ましい。例えば、所望の発光素子の作製に用いる有機化合物を用いることができる。なお、常温常圧において気体の有機化合物を用いることもできる。また、本明細書において、常温とは概ね5℃以上35℃以下とし、常圧とは1気圧とする。
上記した方法において、炭素膜は簡便に形成することができる非晶質な膜が好ましい。
本発明の一態様により、炭素膜が被覆されたルツボを簡便に製造することができる。また、本発明の一態様に係るルツボを用いることで、形成する蒸着膜に不純物が混入することを抑制できるため、性能及び信頼性が向上した発光素子を作製できる。
ルツボの断面模式図。 蒸着装置の上面模式図。 発光素子の構成を説明する図。 表示パネルの構成を説明する図。 表示パネルの構成を説明する図。 表示パネルの構成を説明する図。
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る蒸着用ルツボについて、図面を参照して説明する。図1に、本発明の一態様に係る蒸着用ルツボの断面模式図を示す。
本発明の一態様に係るルツボ100は、蒸着材料収容部101と、気化した蒸着材料が放出される放出口103が設けられた上蓋105とを具備し、蒸着材料収容部101の内壁表面及び上蓋105の内壁表面には炭素膜107が設けられている。なお、本明細書において、蒸着用ルツボの内壁表面とは、少なくとも蒸着材料収容部101の内壁表面のことをいい、上蓋105の内壁表面を含めてもよい。また、ルツボ100には上蓋105だけではなく、ルツボ100の内側に内蓋を有する構成であってもよく、内蓋を有する場合は当該内蓋にも炭素膜107が形成されている。
蒸着材料収容部101及び上蓋105は、公知の蒸着用ルツボに適用可能な材料で構成されている。例えば、チタン、タンタル、モリブデン、タングステンなどの金属、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムなどのセラミックス、グラファイト、窒化シリコン、又は窒化ホウ素などが挙げられる。例えば、本実施の形態では、蒸着材料収容部101及び上蓋105が熱分解性窒化ホウ素(PBN)で構成されているものとする。
また、蒸着材料収容部101及び上蓋105は、公知の方法で作製することができる。例えば、蒸着材料収容部101及び上蓋105の型を用いて熱分解性窒化ホウ素を成型することで作製することができ、蒸着材料収容部101及び上蓋105の型に熱分解性窒化ホウ素を直接成長させて作製することもできる。
炭素膜107は、非晶質な炭素膜であってもよく、結晶性を有する炭素膜であってもよい。さらに、非晶質な部分と結晶性を有する部分を両方有する炭素膜であってもよい。結晶性を有する炭素膜は、形成するためにかかる時間が長いことから非晶質の炭素膜とするほうが簡便で好ましい。
炭素膜107の厚さは、0.03μm〜1μm程度であることが好ましい。0.03μm未満では、下記する効果が十分に得ることができず、1μm以上では、炭素膜を形成する時間又はコストが増大するため上記した範囲であることが好ましい。
本実施の形態において、ルツボ100の内壁表面に炭素膜107が設けられていることから、ルツボ100を用いて無機酸化物(酸化リチウムなど)を成膜する場合、無機酸化物はルツボ100の内壁に直接接触することがないため、ルツボの温度が高温(例えば800℃以上)になることがあっても、無機酸化物中の酸素とルツボ100とは反応せず、ルツボ100の破損を防ぐことができる。
また、炭素膜107は熱伝導性に優れており、ルツボ100に炭素膜107が設けられていることで蒸着材料を均一に加熱することができ、当該蒸着材料の成膜ムラを抑制することができる。
ルツボ100は炭素膜107が設けられているため、加熱されてルツボ100が高温になった場合でも、蒸着材料収容部101及び上蓋105から酸素などの脱ガス成分が放出されることを抑制できる。また、蒸着材料収容部101及び上蓋105を構成する材料が金属である場合でも、炭素膜107が設けられているため、蒸着材料を成膜する際に蒸着材料収容部101及び上蓋105から当該金属が放出されることを抑制できる。従って、蒸着膜に酸素などの脱ガス成分若しくは金属が混入することや、ルツボ100を構成する材料と反応しやすい蒸着材料に対してその蒸着材料の分解を抑制できるため、ルツボ100を用いることで性能及び信頼性が向上した発光素子を作製できる。例えば、蒸着材料収容部101及び上蓋105に含まれる酸素濃度が0.1重量%以上であるルツボにおいて、当該ルツボの内壁表面を炭素膜107で被覆することにより、蒸着膜に酸素などの脱ガス成分又は金属が混入することを抑制できる。
炭素膜107は、酸素濃度が低い環境下で有機化合物を熱分解(炭化)させることで形成できる。当該有機化合物としては、様々な有機化合物を用いることができる。例えば、常温常圧において固体である有機化合物、常温常圧において液体である有機化合物、又は常温常圧において気体である有機化合物を用いることができる。ただし、常温常圧において気体である有機化合物を用いる場合、当該有機化合物ガスを制御する制御系などを必要とするため、常温常圧において固体である有機化合物、常温常圧において液体である有機化合物を用いることが好ましい。
さらに、本発明の一態様では、常温常圧において固体である有機化合物のほうが、常温常圧において液体である有機化合物よりも扱いやすいため好ましい。例えば、有機化合物をルツボの内壁表面全体に設ける場合、液体の有機化合物でルツボの内壁表面全体を濡らしても、ルツボの底に溜まることになり、ルツボの内壁表面全体に有機化合物を設けることができない場合がある。一方、固体の有機化合物であれば、低沸点の溶媒に分散させた分散液、又は低沸点の溶媒に溶解させた溶液でルツボの内壁表面全体を濡らした後、溶媒を除去することで有機化合物のみをルツボの内壁表面全体に設けることができる。また、芳香族環を有する有機化合物のほうが脂肪族の有機化合物よりも常温常圧において固体として存在するものが多いことから、本発明の一態様では、芳香族環を有する有機化合物を用いることが好ましい。
また、一般に有機化合物は、分子量が大きくなるにつれて分解点よりも気化する温度のほうが高くなる傾向がある。そこで、本発明の一態様では、分子量が200以上1500以下である有機化合物を用いることが好ましい。
炭素膜107を形成するための真空装置は、所望の発光素子を構成する蒸着膜を成膜する蒸着装置を用いることが好ましい。蒸着装置を用いることで炭素膜107を形成するためだけに別途、CVD装置などの真空装置を設ける必要がなく、簡便に炭素膜107を形成することができる。また、蒸着材料の種類や分子量にもよるが、装置構成が比較的簡単な抵抗加熱蒸着装置を用いることが好ましい。
炭素膜107を形成するための有機化合物は被覆するルツボの底に設けてもよく、ルツボの内壁表面全体に有機化合物を付着させることで設けてもよい。
さらには、有機化合物が分散した溶媒、又は有機化合物が溶解した溶液で、ルツボの内壁表面を全体的に濡らすことで有機化合物を設けてもよい。当該溶媒としてはメタノール、エタノールなどのアルコール、又はヘキサンなどの脂肪族炭化水素などが挙げられる。
ルツボの底に有機化合物を設ける場合、昇華させつつ炭化させることで、ルツボの内壁表面全体に炭素膜107を均一に形成することができる。一方、有機化合物をルツボ内壁表面に全体的に設けておく場合は、ルツボの底に有機化合物を設ける場合ほど、処理室内を減圧せずとも内壁表面に炭素膜107を均一に形成することができる。
ここで、本発明の一態様に係るルツボの製造方法は、上記したいずれかの方法を用いてルツボ内に有機化合物を設けて、蒸着装置内の処理室を当該有機化合物が昇華する温度と当該有機化合物が熱分解する温度とが共存する圧力に制御して、加熱することである。当該圧力及び当該ルツボを加熱する温度は用いる有機化合物によって変わるため、相図などを用いて選択することができる。
例えば、有機化合物として、N,N−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N−ビスフェニル−ベンジジンを用いて、これをルツボの底に設けた場合、蒸着装置の処理室内の圧力を100Pa以下の減圧下にし、500℃以上からルツボが熱によって破損する温度より低い温度範囲で加熱することで、ルツボの内壁表面全体を炭素膜107で被覆することができる。
有機化合物を設けたルツボを加熱する際は、室温から有機化合物が昇華しつつ炭化する温度まで徐々に(ゆっくり又は段階的に)昇温することでルツボを加熱してもよく、急速に昇温して炭素膜107を形成してもよい。なお、急速に昇温する場合、有機化合物は昇華よりも炭化しやすい。そこで、有機化合物をルツボの内壁表面全体に設ける場合は、ルツボを急速に昇温することで均一な炭素膜107を簡便に形成することができる。また、徐々に昇温する場合、昇華する割合が急速に昇温する場合に比べて高い。そこで、有機化合物をルツボの底に設ける場合は、ルツボを徐々に昇温することで均一な炭素膜107を簡便に形成することができる。
次に、本発明の一態様によって製造されたルツボは、図2に示すような公知な蒸着装置に適用できる。図2は、本発明の一態様によって製造されたルツボを適用することができる蒸着装置200の上面模式図である。蒸着装置200は、基板を保持しておくロードロック室201と、搬送機構211が設けられた搬送室203と、基板に膜を形成するための処理室205と、を備えている。ロードロック室201と搬送室203の間には開閉可能なゲート207が設けられており、ロードロック室201と搬送室203はゲート207で連結されている。搬送室203と処理室205の間には開閉可能なゲート209が設けられており、搬送室203と処理室205はゲート209で連結されている。
ロードロック室201は、基板を投入するため、又は、取り出すための開閉扉及び基板を保持しておくためのカセットなどを備えている(図示せず)。また、ロードロック室201は、室内を減圧するために排気手段(P)が設けられており、基板の投入又は取り出しの際に、室内を減圧下から大気圧に戻すためのガス供給手段(G)が設けられている。なお、基板を投入する又は取り出す際は、室内を外部よりも陽圧にしておくことが好ましく、このようにすることで室内に外部からパーティクルが混入することを防ぐことができる。
搬送室203は、上記したように搬送機構211が設けられており、さらに図示していないが、搬送室203内の清掃や搬送機構211の修理又はメンテナンスする際に使用する開閉扉が設けられている。搬送機構211はロードロック室201に投入された基板の端部を支持して処理室205に搬送することができる。また、蒸着装置200の成膜方式は、フェイスダウン方式でもフェイスアップ方式でもよい。そのため、搬送機構211に回転機構を設けられていることが好ましい。また、搬送室203は、室内を減圧するために排気手段(P)が設けられており、ロードロック室201及び搬送室203内が共に減圧下で基板を搬送することができる。このようにして基板を搬送することで、搬送中にパーティクルなどが基板上に付着することを抑制でき、結果として成膜時の不良発生を低減することができる。搬送室203の減圧状態を大気圧に戻すためのガス供給手段(G)も設けられている。
処理室205は、蒸着材料の供給や処理室205の修理又はメンテナンスを行う際に使用する開閉扉213と、処理室205内を減圧状態、特に真空するための排気手段(P)と、処理室内を真空から大気圧に戻すためのガス供給手段(G)と、開閉扉213を通してルツボを設置することができる台座(図示せず)と、当該ルツボを加熱するための加熱処理手段(図示せず)と、が少なくとも設けられている。このほかに、成膜材料が処理室205の内壁に付着することを防ぐために防着板215が設けられていてもよい。
本発明の一態様に係るルツボの製造方法を利用して蒸着膜を形成する方法の一例を、以下に示す。
まず、ルツボに有機化合物を設けて、開閉扉213を通して当該ルツボを処理室205に設けられている台座に設置し、処理室205を排気処理手段(P)によって減圧下に制御し、加熱処理手段で当該ルツボを加熱することで、当該有機化合物を昇華させつつ炭化させ、炭素膜107を形成することで形成できる。なお、減圧の条件、又はルツボを加熱する温度などは上記を参照することができる。
その後、開閉扉213を通してルツボ100を取り出し、所望の発光素子を構成する蒸着膜の蒸着材料をルツボ100内に設け、再度、処理室205内の台座に設置する。次いで、あらかじめロードロック室201に設置しておいた基板を搬送機構211で処理室205に搬送した後に、処理室205を減圧下に制御し、加熱処理手段でルツボ100を加熱することで基板に蒸着膜を形成できる。このようにして蒸着することで、蒸着材料収容部101及び上蓋105を構成する材料、並びに酸素など脱ガス成分である不純物の混入が抑制された蒸着膜を作製できる。
以上より、炭素膜が被覆されたルツボを簡便に製造することができる。また、本発明の一態様によって製造されたルツボを用いることで、当該ルツボに含まれる不純物が、形成される蒸着膜に混入することを抑制でき、性能及び信頼性が向上した発光素子を作製できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様によって製造されたルツボを用いて蒸着することにより、作製できる発光素子の構成の一例について、図3を参照して説明する。
例えば、実施の形態1で説明したルツボ及び蒸着装置を用いると、以下に例示して説明する発光素子を作製できる。
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極と第2の電極との間に、少なくとも発光性の有機化合物を含む層(EL層)を備える。第1の電極又は第2の電極のいずれか一方は陽極、他方が陰極として機能する。EL層は第1の電極と第2の電極の間に設けられ、当該EL層の構成は第1の電極と第2の電極の材料に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成はこれらに限定されない。
〈発光素子の構成例1〉
発光素子の構成の一例を図3(A)に示す。図3(A)に示す発光素子は、陽極301と陰極302の間にEL層が挟まれている。
陽極301と陰極302の間に、発光素子のしきい値電圧より高い電圧を印加すると、EL層に陽極301の側から正孔が注入され、陰極302の側から電子が注入される。注入された電子と正孔はEL層において再結合し、EL層に含まれる発光物質が発光する。
本明細書においては、両端から注入された電子と正孔が再結合する領域を1つ有する層又は積層体を発光ユニットという。よって、当該発光素子の構成例1は発光ユニットを1つ備えるということができる。
発光ユニット303は、少なくとも発光物質を含む発光層を1つ以上備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。
発光ユニット303の具体的な構成の一例を図3(B)に示す。図3(B)に示す発光ユニット303は、正孔注入層313、正孔輸送層314、発光層315、電子輸送層316、並びに電子注入層317が陽極301側からこの順に積層されている。
〈発光素子の構成例2〉
発光素子の構成の他の一例を図3(C)に示す。図3(C)に例示する発光素子は、陽極301と陰極302の間に発光ユニット303を含むEL層が挟まれている。さらに、陰極302と発光ユニット303との間には中間層304が設けられている。なお、当該発光素子の構成例2の発光ユニット303には、上記した発光素子の構成例1が備える発光ユニットと同様の構成が適用可能であり、詳細については、発光素子の構成例1の記載を参酌できる。
中間層304は少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。例えば、第1の電荷発生領域304c、電子リレー層304b、及び電子注入バッファー304aが陰極302側から順次積層された構造を適用することができる。
中間層304における電子と正孔の挙動について説明する。陽極301と陰極302の間に、発光素子のしきい値電圧より高い電圧を印加すると、第1の電荷発生領域304cにおいて、正孔と電子が発生し、正孔は陰極302へ移動し、電子は電子リレー層304bへ移動する。電子リレー層304bは電子輸送性が高く、第1の電荷発生領域304cで生じた電子を電子注入バッファー304aに速やかに受け渡す。電子注入バッファー304aは発光ユニット303に電子を注入する障壁を緩和し、発光ユニット303への電子注入効率を高める。従って、第1の電荷発生領域304cで発生した電子は、電子リレー層304bと電子注入バッファー304aを経て、発光ユニット303のLUMO準位に注入される。
また、電子リレー層304bは、第1の電荷発生領域304cを構成する物質と電子注入バッファー304aを構成する物質が界面で反応し、互いの機能が損なわれてしまう等の相互作用を防ぐことができる。
当該発光素子の構成例2の陰極に用いることができる材料は、中間層が発生する正孔を受け取ればよく、仕事関数が比較的大きな材料を適用できる。それゆえ、当該発光素子の構成例2の陰極に用いることができる材料の選択の幅は、構成例1の陰極に用いることができる材料の選択の幅に比べて、広い。
〈発光素子の構成例3〉
発光素子の構成の他の一例を図3(D)に示す。図3(D)に例示する発光素子は、陽極301と陰極302の間に2つの発光ユニットが設けられたEL層を備えている。さらに、第1の発光ユニット303aと、第2の発光ユニット303bとの間には中間層304が設けられている。
なお、陽極と陰極の間に設ける発光ユニットの数は2つに限定されない。図3(E)に例示する発光素子は、発光ユニット303が複数積層された構造、所謂、タンデム型の発光素子の構成を備える。ただし、例えば陽極301と陰極302との間にn(nは2以上の自然数)層の発光ユニット303を設ける場合には、m(mは自然数、1以上(n−1)以下)番目の発光ユニットと、(m+1)番目の発光ユニットとの間に、それぞれ中間層304を設ける構成とする。
また、当該発光素子の構成例3の発光ユニット303には、上述の発光素子の構成例1と同様の構成を適用することが可能であり、また当該発光素子の構成例3の中間層304には、上述の発光素子の構成例2と同様の構成が適用可能である。よって、詳細については、発光素子の構成例1、又は発光素子の構成例2の記載を参酌できる。
発光ユニットの間に設けられた中間層304における電子と正孔の挙動について説明する。陽極301と陰極302の間に、発光素子のしきい値電圧より高い電圧を印加すると、中間層304において正孔と電子が発生し、正孔は陰極302側に設けられた発光ユニット303bへ移動し、電子は陽極側に設けられた発光ユニット303aへ移動する。陰極側に設けられた発光ユニット303bに注入された正孔は、陰極側から注入された電子と再結合し、当該発光ユニット303bに含まれる発光物質が発光する。また、陽極側に設けられた発光ユニット303aに注入された電子は、陽極側から注入された正孔と再結合し、当該発光ユニット303aに含まれる発光物質が発光する。よって、中間層304において発生した正孔と電子は、それぞれ異なる発光ユニットにおいて発光に至る。
なお、発光ユニット同士を接して設けることで、両者の間に中間層と同じ構成が形成される場合は、発光ユニット同士を接して設けることができる。具体的には、発光ユニットの一方の面に電荷発生領域が形成されていると、当該電荷発生領域は中間層の第1の電荷発生領域として機能するため、発光ユニット同士を接して設けることができる。
発光素子の構成例1乃至構成例3は、互いに組み合わせて用いることができる。例えば、発光素子の構成例3の陰極302と発光ユニット303bとの間に中間層を設けることもできる。
また、発光色の異なる複数の発光物質を用いることにより、発光スペクトルの幅を拡げて、例えば白色発光を得ることもできる。白色発光を得る場合には、例えば、EL層を少なくとも2つ備える構成とし、それぞれの層を互いに補色の関係にある色を呈する光を発するように構成すればよい。具体的な補色の関係としては、例えば青色と黄色、あるいは青緑色と赤色等が挙げられる。
さらに、演色性の良い白色発光を得る場合には、発光スペクトルが可視光全域に拡がるものが好ましく、例えば、一つの発光素子が、青色を呈する光を発する層、緑色を呈する光を発する層、赤色を呈する光を発する層を備える構成とすればよい。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様によって製造されたルツボを用いて蒸着することにより、作製できる発光素子を適用した表示パネルの構成の一例について説明する。
〈表示パネルの構成〉
本実施の形態で例示する表示パネルの構成を図4に示す。図4(A)は本実施の形態で例示する表示パネルの構造の上面図であり、図4(B)は図4(A)の切断線A−B及びC−Dにおける断面図であり、図4(C)は図4(A)の切断線E−Fにおける断面図である。
本実施の形態で例示して説明する表示パネル400は、第1の基板410上に表示部401を有し、そこには画素402が複数設けられている。また、画素402には複数(例えば3つ)の副画素が設けられている(図4(A)参照)。また、第1の基板410上には表示部401と共に表示部401を駆動するソース側の駆動回路部403s、及びゲート側の駆動回路部403gが設けられている。なお、駆動回路部を第1の基板410上ではなく、外部に形成することもできる。
表示パネル400は外部入力端子を備え、FPC(フレキシブルプリントサーキット)409を介して、ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、FPCにはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における表示パネルには、表示パネル本体だけでなく、それにFPC又はPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
シール材405は、第1の基板410と第2の基板440を貼り合わせ、その間に形成された空間431に表示部401が封止されている(図4(B)参照)。
表示パネル400の断面を含む構造を図4(B)参照して説明する。表示パネル400は、ソース側の駆動回路部403sと、画素402に含まれる副画素402Gと、引き回し配線408を備える。なお、本実施の形態で例示する表示パネル400の表示部401は、図中に示す矢印の方向に光を射出して、画像を表示する。
ソース側の駆動回路部403sはnチャネル型トランジスタ413と、pチャネル型トランジスタ414とを組み合わせたCMOS回路を含む。なお、駆動回路はこの構成に限定されず、種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で構成してもよい。
引き回し配線408は外部入力端子から入力される信号をソース側の駆動回路部403s及びゲート側の駆動回路部403gに伝送する。
副画素402Gは、スイッチング用のトランジスタ411と電流制御用のトランジスタ412と発光モジュール450Gとを有する。なお、トランジスタ411等の上には、絶縁層416と隔壁418とが形成されている。発光モジュール450Gは、反射膜と半透過・半反射膜と、反射膜と半透過・半反射膜の間に発光素子420Gとを有し、発光素子420Gが発する光を射出する半反射膜の側にカラーフィルタ441Gが設けられている。本実施の形態で例示する発光モジュール450Gは、発光素子420Gの第1の電極421Gが反射膜を、第2の電極422が半透過・半反射膜を兼ねる構成となっている。なお、表示部401が画像を表示する方向は、発光素子420Gが発する光が取り出される方向により決定される。なお、図4(B)及び図4(C)に示した表示パネル400の発光素子420Gは、上面射出(トップエミッションともいう。)型の発光素子ということができる。
また、カラーフィルタ441Gを囲むように遮光膜442が形成されている。遮光膜442は表示パネル400が外光を反射する現象を防ぐ膜であり、表示部401が表示する画像のコントラストを高める効果を奏する。なお、カラーフィルタ441Gと遮光膜442は、第2の基板440に形成されている。
絶縁層416は、トランジスタ411等の構造に由来して生じる段差を平坦化、又は、トランジスタ411等への不純物の拡散を抑制するための、絶縁性の層であり、単一の層であっても複数の層の積層体であってもよい。隔壁418は開口部を有する絶縁性の層であり、発光素子420Gは隔壁418の開口部に形成される。
発光素子420Gは第1の電極421Gと、第2の電極422と、発光性の有機化合物を含む層423とを含む。
〈画素の構成〉
表示部401に設けられた画素402の構成について、図4(C)を参照して説明する。
本実施の形態で例示する画素402は副画素402Gを含み、副画素402Gは、反射膜を兼ねる第1の電極421G、半透過・半反射膜を兼ねる第2の電極422、発光性の有機化合物を含む層423a、発光性の有機化合物を含む層423b並びに中間層424を備える発光素子420Gを備える。また、発光素子420Gと重なるように第2の電極422の側にカラーフィルタ441Gと、を具備する。
また、画素402は、青色を呈する光Bを射出する副画素402B、緑色を呈する光Gを射出する副画素402G、赤色を呈する光Rを射出する副画素402Rを有する。それぞれの副画素は、駆動用トランジスタと発光モジュールとを備える。発光モジュールは、それぞれ反射膜と半透過・半反射膜と、反射膜と半透過・半反射膜の間に発光素子とを備える。
反射膜と半透過・半反射膜を重ねて微小共振器を構成し、その間に発光素子を設けると、半透過・半反射膜から特定の波長の光を効率良く取り出せる。具体的には、取り出す光の波長のn/2倍(nは自然数)になるように微小共振器の光学距離を設けると、光を取り出す効率を高められる。取り出す光の波長は、反射膜と半透過・半反射膜の間の距離に依存し、その距離は、その間に光学調整層を形成して調整できる。
光学調整層に用いることができる材料としては、可視光に対して透光性を有する導電膜の他、発光性の有機化合物を含む層を適用できる。例えば、電荷発生領域を用いて、その厚さを調整してもよい。又は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含む領域を光学調整層に用いると、光学調整層が厚い構成であっても駆動電圧の上昇を抑制できるため好ましい。
発光素子の構成としては、反射膜を兼ねる第1の電極421Gと半透過・半反射膜を兼ねる第2の電極422の間に、発光性の有機化合物を含む層423a、発光性の有機化合物を含む層423b並びに中間層424を備える発光素子420Gを備える。
なお、発光素子の構成例については、実施の形態2に記載した構成を適用できる。
本実施の形態で例示する発光モジュールは、それぞれの発光モジュールに設けられた発光素子の第2の電極422が、半透過・半反射膜を兼ねる構成となっている。具体的には、発光素子420Bと発光素子420Gと発光素子420Rとに共通して設けられた第2の電極422が、発光モジュール450Bと発光モジュール450Gと発光モジュール450Rの半透過・半反射膜を兼ねる。
また、それぞれの発光モジュールに電気的に独立して設けられた発光素子の第1の電極が反射膜を兼ねる構成となっている。具体的には、発光素子420Bに設けられた第1の電極421Bが発光モジュール450Bの反射膜を、発光素子420Gに設けられた第1の電極421Gが発光モジュール450Gの反射膜を、発光素子420Rに設けられた第1の電極421Rが発光モジュール450Rの反射膜を兼ねる。
発光モジュールの反射膜を兼ねる第1の電極は、反射膜上に光学調整層が積層された構成を有する。光学調整層は可視光に対する透光性を有する導電膜で形成され、反射膜は可視光に対する反射率が高く、導電性を有する金属膜が好ましい。
光学調整層の厚さは、発光モジュールから取り出す光の波長の長さに応じて調整する。
例えば、第1の発光モジュール450Bを、青色を呈する光を透過するカラーフィルタ441Bと、光学距離が400nm以上500nm未満のi/2倍(iは自然数)に調整された反射膜を兼ねる第1の電極421Bと半透過・半反射膜を兼ねる第2の電極422を備える構成とする。
また、第2の発光モジュール450Gを、緑色を呈する光を透過するカラーフィルタと、光学距離が500nm以上600nm未満のj/2倍(jは自然数)に調整された反射膜と半透過・半反射膜を備える構成とする。
また、第3の発光モジュール450Rを、赤色を呈する光を透過するカラーフィルタと、光学距離が600nm以上800nm未満のk/2倍(kは自然数)に調整された反射膜と半透過・半反射膜を備える構成とする。
このような構成の発光モジュールは、反射膜と半透過・半反射膜の間で発光素子が発する光が干渉し合い、400nm以上800nm未満の波長を有する光のうち特定の光が強め合い、さらにカラーフィルタが不要な光を吸収する。
なお、第1の発光モジュール450B、第2の発光モジュール450G及び第3の発光モジュール450Rは、いずれも発光性の有機化合物を含む層423a、発光性の有機化合物を含む層423b並びに中間層424を含む。また、発光素子の一対の前記電極の一方が反射膜を兼ね、他方が半透過・半反射膜を兼ねている。
このような構成の発光モジュールは、発光性の有機化合物を含む層と同一の工程で形成できる。又は、反射膜及び半透過・半反射膜を一対の電極が兼ねる。
〈隔壁の構成〉
隔壁418は第1の電極421B、第1の電極421G及び第1の電極421Rの端部を覆って形成されている。
隔壁418の下端部には、曲率を有する曲面が形成されるようにする。隔壁418の材料としては、ポジ型やネガ型の感光性樹脂を用いることができる。
なお、隔壁に可視光を吸収する材料を適用すると、隣接する発光素子一方から他方へ光が漏れる現象(クロストーク現象ともいう。)を抑制する効果を奏する。
また、半透過・半反射膜を第1の基板410側に設けて、発光モジュールが発する光を第1の基板410側に取り出して、画像を表示する構成においては、隔壁に可視光を吸収する材料を適用すると、当該隔壁が、第1の基板410に設けた反射性の膜が反射する外光を吸収し、その反射を抑制できる。
〈封止構造〉
本実施の形態で例示する表示パネル400は、第1の基板410、第2の基板440、及びシール材405で囲まれた空間431に、発光素子を封止する構造を備える。
空間431は、不活性気体(窒素やアルゴン等)で充填される場合の他、樹脂で充填される場合もある。また、不純物(代表的には水及び酸素の一方又は双方)の吸着材(例えば、乾燥剤など)を設けてもよい。
シール材405及び第2の基板440は、大気中の不純物(代表的には水及び/又は酸素)をできるだけ透過しない材料であることが望ましい。シール材405にはエポキシ系樹脂や、ガラスフリット等を用いることができる。
第2の基板440に用いることができる材料としては、ガラス基板や石英基板の他、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル又はアクリル等からなるプラスチック基板や、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)等をその例に挙げることができる。
〈変形例〉
本実施の形態の変形例を図5に示す。図5(A)は図4(A)の切断線A−B及びC−Dにおける断面図であり、図5(B)は図4(A)の切断線E−Fにおける断面図である。
図5に示す表示パネルは、図4に示す表示パネルの変形例であり、図5に示す表示パネルとは画素の構成が異なる。具体的には、カラーフィルタが設けられていない点と、発光色が異なる副画素が、それぞれ異なる発光性の有機化合物を含む層を備える点が、異なる。表示部401に設けられた画素402の構成の変形例について、図5(B)を参照して説明する。
本実施の形態の変形例で例示する画素402は、青色を呈する光Bを射出する副画素402B、緑色を呈する光Gを射出する副画素402G、赤色を呈する光Rを射出する副画素402Rを有する。それぞれの副画素は、駆動用トランジスタと発光モジュールとを備える。発光モジュールは、それぞれ反射膜と半透過・半反射膜と、反射膜と半透過・半反射膜の間に発光素子とを備える。
副画素402Bは、反射膜を兼ねる第1の電極421B、半透過・半反射膜を兼ねる第2の電極422、青色を呈する光を含む光を発光する発光性の有機化合物を含む層423Bと、を備え、スペクトルの半値幅が60nm以下の青色の光を発するように、微小共振器の光学距離が調整されている。
副画素402Gは、反射膜を兼ねる第1の電極421G、半透過・半反射膜を兼ねる第2の電極422、緑色を呈する光を含む光を発光する発光性の有機化合物を含む層423Gと、を備え、スペクトルの半値幅が60nm以下の緑色の光を発するように、微小共振器の光学距離が調整されている。
副画素402Rは、反射膜を兼ねる第1の電極421R、半透過・半反射膜を兼ねる第2の電極422、赤色を呈する光を含む光を発光する発光性の有機化合物を含む層423Rと、を備え、スペクトルの半値幅が60nm以下の緑色の光を発するように、微小共振器の光学距離が調整されている。
なお、それぞれの発光性の有機化合物を含む層に用いることができる材料は実施の形態2に記載した構成を適用できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様によって製造されたルツボを用いて蒸着することにより、作製できる発光素子を適用した表示パネルの構成の一例について説明する。
図6(A)及び図6(B)は図4(A)の切断線A−B及びC−Dにおける断面図である。
図6(A)又は図6(B)に例示する表示パネルは、その上面の構造が実施の形態3で例示した表示パネルのものと同じであるが、断面構造が実施の形態3で例示した表示パネルのものとは異なる。なお、実施の形態3で説明した構成と同じ構成を有する部分には同じ符号を適用して、実施の形態3の説明を援用する。
〈表示パネルの構成例1〉
図6(A)に例示する表示パネルは、副画素402Gを含む表示部と、ソース側の駆動回路部403sとが、第1の基板410上に設けられている。副画素402Gにはトランジスタ471が設けられ、ソース側の駆動回路部403sにはトランジスタ472が設けられており、いずれもボトムゲート型のトランジスタである。
なお、トランジスタのチャネルが形成される領域の半導体に重ねて、第2のゲート電極(バックゲートともいう。)を設けてもよい。第2のゲート電極が設けられたトランジスタの特性(例えば、しきい値電圧)は、第2のゲート電極に印加する電位により、制御できる。
また、隔壁418上に一対のスペーサ445が設けられ、第1の基板410と第2の基板440の間隔が制御されている。第1の基板410と第2の基板440の間でおきる光学的な干渉現象に由来する模様(ニュートンリングともいう。)が観察されて、外観が損なわれる不具合を防止できる。また、隣接する副画素からの光漏れを防ぐように設けて、光学的なクロストーク現象を抑制することができる。
本実施の形態で例示して説明するトランジスタのチャネルが形成される領域に好適に用いることができる半導体の一例について、以下に説明する。
〈表示パネルの構成例2〉
図6(B)に例示する表示パネルには、ボトムゲート型のトランジスタが適用されている。また、表示部の画素に設けられた発光モジュールは、第1の基板410側に光を発する構成となっている。
具体的には、発光モジュール450Gが備える発光素子420Gの第1の電極421Gが半透過・半反射膜を兼ね、第2の電極422が反射膜を兼ねる構成となっている。その結果、発光素子420Gが発する光は、第1の電極421Gと第1の基板410の間に設けられたカラーフィルタ428Gを介して、第1の基板410から取り出される。言い換えると、発光モジュール450Gの発光素子420Gは、下面射出(ボトムエミッションともいう。)型の発光素子ということができる。
また、カラーフィルタ428Gは、トランジスタ481が設けられた第1の基板410上に形成される。なお、遮光膜442がカラーフィルタ428Gを囲むように形成されている。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態3及び実施の形態4で説明した表示パネルに適用されているトランジスタについて説明する。
表示パネル400において、ソース側の駆動回路部403s、及びゲート側の駆動回路部403g並びに副画素にはさまざまな構造のトランジスタを適用できる。
図4(B)及び図4(C)、並びに図5(A)及び図5(B)に例示した表示パネル400には、トップゲート型のトランジスタが適用されている。また、図6(A)及び図6(B)に例示した表示パネル400には、ボトムゲート型のトランジスタが適用されている。
また、これらのトランジスタのチャネルが形成される領域(半導体層)には、さまざまな半導体を用いることができる。具体的には、アモルファスシリコン、ポリシリコン、単結晶シリコンの他、酸化物半導体などを用いることができる。
例えば、表示パネル400に含まれるトランジスタの半導体層に酸化物半導体を用いることで下記の利点を得ることができる。酸化物半導体は、エネルギーギャップが3.0eV以上と大きく、酸化物半導体を適切な条件で加工し、そのキャリア密度を十分に低減して得られた酸化物半導体層が適用されたトランジスタにおいては、オフ状態でのソースとドレイン間のリーク電流(オフ電流)を、従来のシリコンを用いたトランジスタと比較して極めて低いものとすることができることから、表示パネル400の消費電力を低減することができる。
適用可能な酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタノイド(例えば、セリウム(Ce)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd))から選ばれた一種、又は複数種が含まれていることが好ましい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−Zr−Zn系酸化物、In−Ti−Zn系酸化物、In−Sc−Zn系酸化物、In−Y−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
ここで、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素、若しくは上記のスタビライザーとしての元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=3:1:2、あるいはIn:Ga:Zn=2:1:3の原子数比のIn:Ga:Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
酸化物半導体層は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
好ましくは、酸化物半導体膜は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜とする。
以下、CAAC−OS膜について説明する。
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、かつab面に垂直な方向から見て三角形状又は六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状又は金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状又は表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、又は成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
酸化物半導体膜として、CAAC−OS膜を適用する場合、当該CAAC−OS膜を形成する方法としては、三つ挙げられる。
一つめは、成膜温度を200℃以上450℃以下として酸化物半導体膜の成膜を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
二つめは、酸化物半導体膜を薄い膜厚で成膜した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
三つめは、一層目の酸化物半導体膜を薄く成膜した後、200℃以上700℃以下の熱処理を行い、さらに二層目の酸化物半導体膜の成膜を行うことで、酸化物半導体膜に含まれる結晶部のc軸が、被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃った結晶部を形成する方法である。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動を低減することが可能である。よって、当該トランジスタは信頼性が高い。
以上がCAAC−OS膜の説明である。
酸化物半導体膜の形成後において、脱水化処理(脱水素化処理)を行い酸化物半導体膜から、水素、又は水分を除去して不純物が極力含まれないように高純度化し、脱水化処理(脱水素化処理)によって同時に減少してしまった酸素を酸化物半導体に加える、又は過剰な酸素を供給し酸化物半導体膜の酸素欠損を補填することが好ましい。また、本明細書等において、酸化物半導体膜に酸素を供給する場合を、加酸素化処理、又は過酸素化処理と記す場合がある。
このように、酸化物半導体膜は、脱水化処理(脱水素化処理)により、水素又は水分が除去され、加酸素化処理により酸素欠損を補填することによって、i型(真性)化又はi型に限りなく近い酸化物半導体膜とすることができる。このような酸化物半導体膜中には、ドナーに由来するキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)、キャリア濃度は1×1014/cm未満、好ましくは1×1012/cm未満、さらに好ましくは1×1011/cm未満、より好ましくは1.45×1010/cm未満となる。
またこのように、水素濃度が十分に低減されて高純度化され、十分な酸素の供給により酸素欠損に起因するエネルギーギャップ中の欠陥準位が低減された酸化物半導体層を備えるトランジスタは、極めて優れたオフ電流特性を実現できる。例えば、室温(25℃)でのオフ電流(ここでは、単位チャネル幅(1μm)あたりの値)は、100zA/μm(1zA(ゼプトアンペア)は1×10−21A)以下、望ましくは、10zA/μm以下となる。また、85℃では、100zA/μm(1×10−19A/μm)以下、望ましくは10zA/μm(1×10−20A/μm)以下となる。このように、i型(真性)化又は実質的にi型化された酸化物半導体層を用いることで、極めて優れたオフ電流特性のトランジスタを得ることができる。
また、表示パネル400に含まれるトランジスタのチャネルが形成される領域(半導体層)に、単結晶半導体をチャネル形成領域に用いると、トランジスタサイズを微細化することが可能となるため、表示部において画素をさらに高精細化することができる。
半導体層を構成する単結晶半導体としては、代表的には、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第14族元素でなる単結晶半導体基板、化合物半導体基板(SiC基板、GaN基板等)などの半導体基板を用いることができる。好適には、絶縁表面上に単結晶半導体層が設けられたSOI(Silicon On Insulator)基板を用いることができる。
SOI基板の作製方法としては、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて作る方法、水素イオン照射により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開する方法や、絶縁表面上に結晶成長により単結晶半導体層を形成する方法等を用いることができる。
本実施の形態では、単結晶半導体基板の一つの面からイオンを添加して、単結晶半導体基板の一つの面から一定の深さに脆弱化層を形成し、単結晶半導体基板の一つの面上、又は第1の基板410上のどちらか一方に絶縁層を形成する。単結晶半導体基板と第1の基板410を、絶縁層を挟んで重ね合わせた状態で、脆弱化層に亀裂を生じさせ、単結晶半導体基板を脆弱化層で分離する熱処理を行い、単結晶半導体基板より半導体層として単結晶半導体層を第1の基板410上に形成する。なお、第1の基板410としては、ガラス基板を用いることができる。
また、半導体基板に絶縁分離領域を形成し、絶縁分離された半導体領域を用いて、スイッチング用のトランジスタと電流制御用のトランジスタとを形成してもよい。
単結晶半導体をチャネル形成領域として用いることで、結晶粒界における結合の欠陥に起因する、トランジスタのしきい値電圧等の電気的特性のばらつきを軽減できるため、本発明の一態様のパネルは、各画素にしきい値電圧補償用の回路を配置しなくても正常に発光素子を動作させることができる。したがって、一画素における回路要素を削減することが可能となるため、レイアウトの自由度が向上する。よって、表示パネルの高精細化を図ることができる。例えば、マトリクス状に配置された複数の画素を一インチあたり300以上含む(水平解像度が300ppi(pixels per inch)以上である。)、さらに好ましくは400以上含む(水平解像度が400ppi以上である。)構成とすることが可能となる。
さらに、単結晶半導体をチャネル形成領域として用いたトランジスタは、高い電流駆動能力を維持したまま、微細化が可能である。当該微細なトランジスタを用いることで表示に寄与しない回路部の面積を縮小することができるため、表示部においては表示面積が拡大し、かつ表示パネルの狭額縁化が達成できる。
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
100 ルツボ
101 蒸着材料収容部
103 放出口
105 上蓋
107 炭素膜
200 蒸着装置
201 ロードロック室
203 搬送室
205 処理室
207 ゲート
209 ゲート
211 搬送機構
213 開閉扉
301 陽極
302 陰極
303 発光ユニット
303a 発光ユニット
303b 発光ユニット
304 中間層
304a 電子注入バッファー
304b 電子リレー層
304c 電荷発生領域
313 正孔注入層
314 正孔輸送層
315 発光層
316 電子輸送層
317 電子注入層
400 表示パネル
401 表示部
402 画素
402B 副画素
402G 副画素
402R 副画素
403g 駆動回路部
403s 駆動回路部
405 シール材
408 配線
410 第1の基板
411 トランジスタ
412 トランジスタ
413 nチャネル型トランジスタ
414 pチャネル型トランジスタ
416 絶縁層
418 隔壁
420B 発光素子
420G 発光素子
420R 発光素子
421B 第1の電極
421G 第1の電極
421R 第1の電極
422 第2の電極
423 発光性の有機化合物を含む層
423a 発光性の有機化合物を含む層
423b 発光性の有機化合物を含む層
423B 発光性の有機化合物を含む層
423G 発光性の有機化合物を含む層
423R 発光性の有機化合物を含む層
424 中間層
428G カラーフィルタ
431 空間
440 第2の基板
441B カラーフィルタ
441G カラーフィルタ
442 遮光膜
445 スペーサ
450B 発光モジュール
450G 発光モジュール
450R 発光モジュール
471 トランジスタ
472 トランジスタ
481 トランジスタ

Claims (7)

  1. 減圧下で蒸着用ルツボを加熱して、
    加熱された前記蒸着用ルツボの内壁表面で有機化合物を反応させ、
    前記反応によって前記蒸着用ルツボの内壁表面に炭素を生成させて、前記蒸着用ルツボの内壁表面に炭素を含む膜を形成することを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記減圧下として、前記有機化合物が昇華する温度と、前記有機化合物が熱分解する温度とが共存する圧力にすることを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記蒸着用ルツボとして、酸素濃度が0.1重量%以上であるルツボを用いることを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記有機化合物を前記蒸着用ルツボの内壁表面全体に付着させておくことを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    前記有機化合物が分散した溶媒、又は前記有機化合物が溶解した溶液で、前記蒸着用ルツボの内壁表面全体を濡らして、前記有機化合物を前記蒸着用ルツボの内壁表面全体に付着させておくことを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    前記有機化合物として、分子量が200以上1500以下であり、芳香族環を有する有機化合物を用いることを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
    前記炭素を含む膜として、非晶質な膜を形成することを特徴とする、蒸着用ルツボの製造方法。
JP2012119256A 2012-05-25 2012-05-25 蒸着用ルツボの製造方法 Expired - Fee Related JP5921955B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012119256A JP5921955B2 (ja) 2012-05-25 2012-05-25 蒸着用ルツボの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012119256A JP5921955B2 (ja) 2012-05-25 2012-05-25 蒸着用ルツボの製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013245372A true JP2013245372A (ja) 2013-12-09
JP2013245372A5 JP2013245372A5 (ja) 2015-06-11
JP5921955B2 JP5921955B2 (ja) 2016-05-24

Family

ID=49845393

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012119256A Expired - Fee Related JP5921955B2 (ja) 2012-05-25 2012-05-25 蒸着用ルツボの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5921955B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015168880A (ja) * 2014-03-11 2015-09-28 株式会社半導体エネルギー研究所 るつぼ及び蒸着装置
JP2020088361A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 株式会社Kokusai Electric 半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム
WO2020178924A1 (ja) * 2019-03-01 2020-09-10 シャープ株式会社 蒸着装置および表示装置の製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62270491A (ja) * 1986-05-15 1987-11-24 Seitetsu Kagaku Co Ltd サセプタ−の製造方法
JPH01131012A (ja) * 1987-11-17 1989-05-23 Idemitsu Kosan Co Ltd 炭素質膜の製造方法
JPH03257007A (ja) * 1990-03-06 1991-11-15 Kao Corp 熱分解炭素皮膜の生成方法
JPH04209781A (ja) * 1990-11-30 1992-07-31 Nisshinbo Ind Inc ガラス状炭素被覆体の製造方法
JPH0797263A (ja) * 1993-09-28 1995-04-11 Nisshinbo Ind Inc 黒鉛容器及びその製造方法
JPH08225926A (ja) * 1994-10-27 1996-09-03 Sharp Corp ダイヤモンドコーティングが施されたるつぼ並びに該るつぼを用いる蒸着または堆積方法及びその装置
JP2003293120A (ja) * 2002-04-01 2003-10-15 Ulvac Japan Ltd 蒸発源及びこれを用いた薄膜形成装置
JP2009231810A (ja) * 2008-02-26 2009-10-08 Denso Corp 半導体カーボン膜、半導体素子、及び半導体カーボン膜の製造方法
JP2011201753A (ja) * 2010-03-26 2011-10-13 Ngk Insulators Ltd 炭素膜の製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62270491A (ja) * 1986-05-15 1987-11-24 Seitetsu Kagaku Co Ltd サセプタ−の製造方法
JPH01131012A (ja) * 1987-11-17 1989-05-23 Idemitsu Kosan Co Ltd 炭素質膜の製造方法
JPH03257007A (ja) * 1990-03-06 1991-11-15 Kao Corp 熱分解炭素皮膜の生成方法
JPH04209781A (ja) * 1990-11-30 1992-07-31 Nisshinbo Ind Inc ガラス状炭素被覆体の製造方法
JPH0797263A (ja) * 1993-09-28 1995-04-11 Nisshinbo Ind Inc 黒鉛容器及びその製造方法
JPH08225926A (ja) * 1994-10-27 1996-09-03 Sharp Corp ダイヤモンドコーティングが施されたるつぼ並びに該るつぼを用いる蒸着または堆積方法及びその装置
JP2003293120A (ja) * 2002-04-01 2003-10-15 Ulvac Japan Ltd 蒸発源及びこれを用いた薄膜形成装置
JP2009231810A (ja) * 2008-02-26 2009-10-08 Denso Corp 半導体カーボン膜、半導体素子、及び半導体カーボン膜の製造方法
JP2011201753A (ja) * 2010-03-26 2011-10-13 Ngk Insulators Ltd 炭素膜の製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015168880A (ja) * 2014-03-11 2015-09-28 株式会社半導体エネルギー研究所 るつぼ及び蒸着装置
JP2020088361A (ja) * 2018-11-30 2020-06-04 株式会社Kokusai Electric 半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラム
WO2020178924A1 (ja) * 2019-03-01 2020-09-10 シャープ株式会社 蒸着装置および表示装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5921955B2 (ja) 2016-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7357754B2 (ja) 表示装置
JP7032509B2 (ja) 表示装置
JP7170154B2 (ja) 表示装置
JP6231770B2 (ja) 成膜装置
JP6748330B1 (ja) 発光装置
TWI251933B (en) Light emitting device
TWI351895B (ja)
US8900723B2 (en) Organic light emitting diode display
CN100550469C (zh) 蒸发方法、蒸发装置及制造发光器件的方法
KR101004060B1 (ko) 제조 시스템, 발광 장치, 및 유기 화합물 함유 층의 제조방법
TWI718224B (zh) 半導體裝置及包括半導體裝置的顯示裝置
CN104465394B (zh) 半导体装置及半导体装置的制造方法
CN100405529C (zh) 气相淀积设备
CN102263123B (zh) 有机发光二极管显示器及其制造方法
KR20180117076A (ko) 발광 장치, 표시 장치, 및 이들의 제작 방법
US6692326B2 (en) Method of making organic electroluminescent display
JP6216616B2 (ja) 半導体装置
US7544972B2 (en) Organic electroluminescent display device and method of preparing the same
JP2002184575A (ja) 有機elディスプレイ装置
JP5921955B2 (ja) 蒸着用ルツボの製造方法
JP2014006519A (ja) 発光装置及び電子機器

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150417

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150417

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151216

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160405

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5921955

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees