JP2013243070A - 巻回電極体を備えた電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】体積エネルギー密度に優れた、巻回電極体を備えた電池を生産性高く提供する。
【解決手段】最外周に3枚以上のセパレータが重なり合わされたセパレータ重なり領域を有する巻回電極体を備えた電池において、セパレータ重なり領域の最外周に巻き回されたセパレータを第1のセパレータ、第1のセパレータよりも1周内側のセパレータを第2のセパレータ、第2のセパレータよりも1周内側のセパレータを第3のセパレータとするとき、第2のセパレータには穴が設けられ、前記穴を覆うように、粘着テープないし糊剤が配されることにより、第3のセパレータと、穴の周囲の第2のセパレータ及び穴と対向する第1のセパレータと、が固定されていることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、正負電極板及びセパレータを渦巻状に巻き取った巻回電極体を備えた電池に関する。
携帯電話、ノートパソコン、タブレット型コンピュータ等の移動情報端末、電動工具、ハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)や電気自動車(EV)等の駆動電源として、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池が広く利用されている。特に、正負電極板及びセパレータを渦巻状に巻き取った巻回電極体は、正負電極板の対向面積が大きく、これを用いた非水電解質二次電池は大電流を取り出し易いので、上記用途に広く用いられている。
しかしながら、巻回電極体の巻取り状態が緩むと、外装体内に巻回電極体を収容(挿入)し難くなるので、作業時間が増大したり、巻回電極体が傷つく等により歩留まりが悪くなったりするという問題がある。
このため、図4に示すように、巻回電極体10の最外周に巻かれたセパレータ3を粘着テープ51で固定して巻解けを防止することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平11-121044号公報
特許文献1は、電池電解液に接触後に、膨潤、溶解又は分解して、電池素子の積層が緩む接着剤又は粘着剤で、電極とセパレータとの積層体からなる電池素子を固定する技術である。この技術によると、電池充電時の電池素子の膨張が抑制されず応力が緩和され、素子の構成材料に与えるストレスを低減でき、これらに起因する電池特性の低下を回避できるとされる。
しかしながら、図4に示すような、巻回電極体10の最外周に巻かれたセパレータ3を粘着テープ51で固定する技術では、巻解けを確実に防止するために、粘着テープ51の貼付面積を大きく確保する必要がある。しかしながら、粘着テープ51の貼付面積が大きくなると、粘着テープ51によって巻回電極体10への電解液の浸透が阻害され、注液工程に時間がかかるようになるとともに、充放電に寄与しない粘着テープの体積増加によって体積エネルギー密度が低下するという問題がある。
本発明は、以上に鑑みなされたものであって、体積エネルギー密度に優れた電池を生産性高く提供することを目的とする。
上記課題を解決するための第1の本発明は、次のように構成されている。
正極板と、負極板と、前記両電極板間に介在するセパレータと、が巻き取られ、巻解けを防止する粘着テープが貼り付けられた巻回電極体を備えた電池において、前記粘着テープは、基材の両面に糊剤層が設けられた両面粘着テープであり、前記巻回電極体の最外周には、3枚以上のセパレータが重なり合わされたセパレータ重なり領域を有し、前記セパレータ重なり領域の最外周に巻き回されたセパレータを第1のセパレータ、前記第1のセパレータよりも1周内側のセパレータを第2のセパレータ、前記第2のセパレータよりも1周内側のセパレータを第3のセパレータとするとき、前記第2のセパレータには穴が設けられ、前記穴を覆うように、前記粘着テープが配されることにより、前記粘着テープの内側糊剤層と、前記第3のセパレータと、が粘着固定され、前記両面粘着テープの外側糊剤層と、前記穴の周囲の前記第2のセパレータ及び前記穴と対向する前記第1のセパレータと、が粘着固定されている、ことを特徴とする。
上述したように、巻回最外周に貼りつける従来の片面粘着テープでは、粘着テープの貼付面積が大きく、電解質と接触後の電極体の巻ゆるみが起こり難い。これに対し、本発明に用いる両面粘着テープは、第2のセパレータと第3のセパレータとの間に配されて第1〜第3のセパレータを固定するものであり、従来の片面粘着テープに比べて小さい貼付面積で巻解けを防止できる。ここで、粘着テープは、電解質の電極体への浸透を阻害してしまうが、本発明によると粘着テープの貼付面積を小さくできるので、注液時間を短くでき、生産性を高めることができる。
また、粘着テープ自体は充放電反応に寄与しないので、粘着テープの貼付面積を小さくすることにより、電池のスペース効率が向上して、電池の小型化や高エネルギー密度化を図れる。
また、粘着テープの貼付面積を小さくすることにより、電解質と接触後において巻回電極体の巻ゆるみが起こり易くなる。巻回電極体の巻ゆるみが起こると、充放電に伴う正負電極活物質の体積膨縮によるストレスが緩和されるので、スムースな充電反応が進行しやすくなり、サイクル特性が高まる。
なお、片面粘着テープ(基材の一方面にのみ糊剤層を設けたもの)を用いて、糊剤層と、穴の周囲の第2のセパレータ及び穴と対向する第1のセパレータと、を粘着固定する方法や、穴を設けずに第3のセパレータ及び第2のセパレータを粘着固定する方法では、巻解けは防止できない。
また、「巻回電極体の最外周には、3枚以上のセパレータが重なり合わされたセパレータ重なり領域を有し」とは、巻回電極体の最外周から部材の重なり合い状態を見た場合に、最外周に巻かれた部材、最外周より1枚内側に巻かれた部材、最外周より2枚内側に巻かれた部材、のいずれもがセパレータである領域が存在していることを意味し、全周にわたって3枚以上のセパレータが重なっている領域が存在する必要はなく、3枚以上のセパレータを用いる必要もない。例えば、第1のセパレータと第3のセパレータとが同一のセパレータである(2枚のセパレータを用いる)構成であってもよく、第1〜第3のセパレータが同一のセパレータ(1枚のセパレータを用いる)構成であってもよく、これら以外であってもよい。
また、上記構成において、前記粘着テープの面積が、前記穴の面積の2倍である、構成とすることができる。
粘着テープの面積が、穴の面積の2倍、すなわち外側糊剤層と第1のセパレータの接触面積とが、外側糊剤層と第2のセパレータの接触面積と等しい構成であると、外側糊剤層と第1のセパレータとの間、外側糊剤層と第2のセパレータとの間、のそれぞれに作用する粘着力が等しくなるので好ましい。
また、上記構成において、前記粘着テープの外側糊剤層は、電解液と接触することにより粘着力が低下する構成とすることができる。
この構成であると、電解質と接触後において巻回電極体の巻ゆるみがさらに起こり易くなり、サイクル特性がさらに高まる。なお、内側糊剤層は、電解液と接触することにより粘着力が低下する構成であってもよいが、電解液接触後における内側糊剤層の粘着力は、粘着が剥がれない程度に確保されていることが好ましい。
上記課題を解決するための第2の本発明は、次のように構成されている。
正極板と、負極板と、前記両電極板間に介在するセパレータと、が巻き取られ、巻解けを防止する糊剤が取り付けられた巻回電極体を備えた電池において、前記巻回電極体の最外周には、3枚以上のセパレータが重なり合わされたセパレータ重なり領域を有し、前記セパレータ重なり領域の最外周に巻き回されたセパレータを第1のセパレータ、前記第1のセパレータよりも1周内側のセパレータを第2のセパレータ、前記第2のセパレータよりも1周内側のセパレータを第3のセパレータとするとき、前記第2のセパレータには穴が設けられ、前記穴を覆うように、前記糊剤が配されることにより、前記第3のセパレータと前記穴の周囲の前記第2のセパレータ及び前記穴と対向する前記第1のセパレータと、が粘着固定されていることを特徴とする。
上記第2の本発明は、基材を有する粘着テープに代えて、基材を有さない糊剤を用いていること以外は、上記第1の本発明と同様である。この構成によっても、上記第1の本発明と同様の効果が得られる。
なお、第2の本発明においても、糊剤の取り付け面積が、穴の面積の2倍である構成とすることができ、糊剤は、電解液と接触することにより粘着力が低下する構成とすることができるが、巻回内外における粘着力を変化させる構成は採用できない。
上記本発明によると、体積エネルギー密度に優れた非水電解質電池を生産性高く提供できる。
図1は、本発明に係る円筒型非水電解質電池の断面斜視図である。 図2は、本発明に用いる巻回電極体を模式的に示す図であって、図2(a)は断面図、図2(b)は、セパレータ重なり領域を示す部分拡大断面図である。 図3は、セパレータ重なり領域の積層状態を模式的に示す解体斜視図である。 図4は、従来の巻回電極体を示す斜視図である。
本発明を実施するための最良の形態を、円筒形外装缶を用いた非水電解質二次電池に本発明を適用した例を用いて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本発明は下記の形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る円筒型非水電解質二次電池の断面斜視図であり、図2は、本発明に用いる巻回電極体を模式的に示す図であって、図2(a)は断面図、図2(b)は、セパレータ重なり領域を示す部分拡大断面図であり、図3は、セパレータ重なり領域の積層状態を模式的に示す解体斜視図である。
本実施の形態に係る非水電解質二次電池は、図1に示すように、正極板1と負極板2とがセパレータ3を介して渦巻き状に巻回した巻回電極体10を備えている。巻回電極体10は、上下にそれぞれ絶縁板5が配置され、有底円筒形の金属製外装缶6の内部に収容されている。負極板2の集電タブ2aは外装缶6の内側底部に溶接され、正極板1の集電タブ1aは、封口体8の下面に溶接されている。これにより、外装缶6が負極外部端子、封口体8が正極外部端子としてそれぞれ機能する。そして、外装缶6の内部には非水電解液(図示せず)が注液されており、外装缶6の開口部はガスケット9を介して封口体8で密閉されている。また、封口体8には、電池内圧が上昇したときに作動する安全機構7が設けられている。
また、図2(a)に示すように、巻回電極体10の最外周には、セパレータが3枚重なり合ったセパレータ重なり領域40を有している。本発明では、セパレータ重なり領域40におけるセパレータを、最外周側から順に第1〜第3のセパレータ3a〜3cと称する。このとき、図2(b)、図3に示すように、第2のセパレータ3bには、穴31が設けられ、穴31を覆うように、基材21aの両面に糊剤層21b・21cが設けられた粘着テープ21が配されることにより、粘着テープ21の内側糊剤層21bと、第3のセパレータ3cと、が粘着固定され、粘着テープ21の外側糊剤層21cと、穴31の周囲の第2のセパレータ3b及び穴31を介した第1のセパレータ3aと、が粘着固定されている。
ここで、巻解けをより防止するためには、第1のセパレータ3aの巻回末端と穴31との距離L1が小さいことが好ましく、例えば円筒形電池に適用する場合、直径の50%以下とすることが好ましい。
本実施の形態では、図3に示すように、穴31の平面形状は楕円であり、粘着テープ21の平面形状は長方形である構成を採用している。しかしながら、この形状に限定されるものではない。しかしながら、テープの張り付けや加工の容易さの観点から、テープの平面形状は長方形であることが好ましく、粘着性の観点から、穴31の平面形状はオーバル(楕円、トラック、角丸長方形)であることが好ましい。この時、テープの長さ(電池高さ方向長さ)L3は、電池の高さの70〜90%であることが好ましく、テープの幅L2は、4〜6mmであることが好ましい。
また、外側糊剤層21cと第2のセパレータ3bと間の粘着力と、外側糊剤層21cと第1のセパレータ3aと間の粘着力とが同等であることが好ましく、このため、穴の面積と粘着テープの面積との比(穴の面積/粘着テープの面積)は、0.4〜0.6であることが好ましく、0.5であることが最も好ましい。
(実施例)
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
〈正極の作製〉
コバルト酸リチウム(LiCoO)からなる正極活物質94質量部と、導電剤としてのアセチレンブラック3質量部と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量部と、N−メチルピロリドンとを混合して正極活物質スラリーとした。この正極活物質スラリーを、ドクターブレード法によりアルミニウム製の正極集電体(厚み15μm)の両面に塗布し、乾燥した。この後、ローラープレス機により圧延し、所定のサイズに切断し、アルミニウム製の正極タブ1aを超音波溶着して正極板1を作製した。
〈負極の作製〉
負極活物質としての天然黒鉛98質量部と、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース1質量部と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム1質量部と、水とを混合して負極活物質スラリーとした。この負極活物質スラリーを銅製の負極集電体(厚み12μm)の両面に塗布し、乾燥した。この後、ローラープレス機により圧延し、所定のサイズに切断し、厚み0.15mmのNi−Cuクラッド材からなる2つの負極タブ2aを超音波溶着して負極板2を作製した。なお、2つの負極タブは、Cu層が負極集電体と当接するように、巻き始め及び巻き終わりとなる位置に取り付けた。
〈粘着テープの作製〉
厚み19.2μmのポリプロピレン基材21aの一方面に、ゴム系粘着剤を塗布して厚み12.3μmの内側糊剤層21bを形成し、ポリプロピレン基材21aの他方面に、アクリル系粘着剤を塗布して厚み12.3μmの外側糊剤層21cを形成して、粘着テープ21を完成させた。なお、JIS Z0237に準拠して測定したはく離力は、内側糊剤層では0.50(N/10mm)以上、外側糊剤層では0.08(N/20mm)以上であった。
〈巻取り工程〉
巻芯を用いて、上記正極板1及び負極板2を、ポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータ3を介して巻回することにより、巻取体を作製する。この時、最外周には、セパレータ3が3枚重なったセパレータ重なり領域40を設ける。
この後、セパレータ重なり領域40の第2のセパレータ3bに100mmの楕円形の穴31をあけ、穴31に対向する第3のセパレータ3cに、上記粘着テープ21(幅4mm×長さ50mm)を、内側糊剤層21bが接するように張り付けるとともに、粘着テープ21の外側糊剤層21cと、穴31の周囲の第2のセパレータ3b及び穴31と対向する第1のセパレータ3aをと粘着させて、巻回電極体10を完成させた。
〈非水電解質の調整〉
非水溶媒としてのエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを体積比30:70(25℃)で混合し、電解質塩としてのLiPFを1M(モル/リットル)となるように溶解して、非水電解質となした。
〈電池の組み立て〉
円筒形外装缶6に下部絶縁板5と上記巻回電極体10を挿入し、負極タブ2aを円筒形外装缶6の缶底に溶接した。
この後、上部絶縁板5を収容し、外装缶6の上部に溝入れ加工した後に、ガスケット9を配置し、正極タブ1aを封口体8と溶接した。上記非水電解質を外装缶6に注液し、外装缶6の開口部をガスケット9を介して封口体8により封口することにより、直径18mm、高さ65mmの非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
第2のセパレータ3bにあける穴の面積を75mm、粘着テープ21の面積を150mm(3mm×50mm)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例3)
第2のセパレータ3bにあける穴の面積を125mm、粘着テープ21の面積を250mm(5mm×50mm)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例3に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例4)
第2のセパレータ3bにあける穴の面積を150mm、粘着テープ21の面積を300mm(6mm×50mm)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例4に係る非水電解質二次電池を作製した。
(実施例5)
第2のセパレータ3bにあける穴の面積を175mm、粘着テープ21の面積を350mm(7mm×50mm)としたこと以外は、上記実施例1と同様にして、実施例5に係る非水電解質二次電池を作製した。
(比較例1)
図4に示すように、巻取体の巻き終わりに、面積が1750mm(35mm×50mm)の片面粘着テープ51を張り付けて巻回電極体10を作製したこと以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1に係る非水電解質二次電池を作製した。
〔挿入性試験〕
上記実施例1〜5、比較例1と同様にして巻回電極体10をそれぞれ1000個作製した。巻回電極体10の状態を目視にて確認し、外装缶に挿入する際にはがれが生じるおそれがあるものを不良、はがれが生じるおそれがないものを良と判定した。不良率を下記表1に示す。なお、この試験はすべて1気圧、25℃条件で行った。
〔サイクル試験〕
上記実施例1〜5、比較例1と同様にして電池をそれぞれ3個作製した。これらの電池に対して、以下に示す条件での充放電を、放電容量が初期(1サイクル目)容量の60%未満となるまで行った。この試験結果(平均値)を下記表1に示す。なお、この試験はすべて1気圧、25℃条件で行った。
充電 1It(1950mA)で電圧が4.2Vとなるまで充電し、その後定電圧4.2Vで電流が0.02It(39mA)となるまで充電
放電 10Aで電圧が2.5Vとなるまで放電
〔非水電解質注液性試験〕
上記実施例1〜5、比較例1と同様にして電池をそれぞれ100個作製した。このとき、非水電解質を7回に分けて、減圧を行いつつ外装缶内部に注液し、非水電解質が電極体に完全に浸透するまでの時間を目視で確認した。この試験結果(平均値)を下記表1に示す。なお、この試験はすべて25℃条件で行った。
上記表1から、従来の巻解け粘着テープを用いた比較例1では、非水電解質の浸透時間が123分と、本発明の両面粘着テープを用いた実施例1〜5の63〜83分よりも顕著に時間がかかっていることが分かる。また、比較例1では、初期容量の60%未満となるサイクル数が877回と、実施例1〜5の897〜1225回よりも少ないことが分かる。特に、粘着テープの面積が150〜300mmである実施例1〜4では、1215〜1225回と、粘着テープの面積が350mmである実施例5の897回よりも顕著に高いことが分かる。
このことは、次のように考えられる。実施例に係る両面粘着テープを用いる場合、従来の片面粘着テープに比べて小さい貼付面積(実施例では150〜350mm、比較例では1750mm)で、巻解けを防止できる。粘着テープは、電解質の電極体への浸透を阻害してしまうが、実施例では粘着テープの貼付面積が小さいので、注液時間が短くなる。
また、比較例1のような従来の片面粘着テープでは、粘着テープの貼付面積が大きいため、電解質と接触後の巻回電極体の巻ゆるみが起こり難いが、実施例のような両面粘着テープでは、粘着テープの貼付面積が小さくなるため、電解質と接触後の電極体の巻ゆるみが起こり易い。特に、実施例の外側糊剤層は、感圧式粘着剤である、アクリル系粘着剤を用いており、非水電解質との接触により粘着力が低下して巻ゆるみが起こり易い。巻ゆるみが起こると、充放電に伴う正負電極活物質の体積膨縮によるストレスが緩和されるので、スムースな充電反応が進行しやすくなり、サイクル特性が高まる。なお、実施例電池においても、粘着テープの面積が大きい場合には巻ゆるみが起こり難くなり、サイクル特性が十分でなくなるおそれがあるので、本実施例サイズの電池の場合、粘着テープの面積は300mm以下とすることが好ましい。
上記表1から、粘着テープの面積が150mmである実施例2では、挿入性不良のものがあったのに対し、粘着テープの面積が200〜350mmである実施例1、3〜5、及び粘着テープの面積が1750mmである比較例1では、挿入性不良のものがなかったことが分かる。
このことは、粘着テープの面積が小さいと、一部において巻ゆるみを十分に抑制できず、不良が生じたためと考えられる。
(追加事項)
なお、上記実施の形態では非水電解質二次電池に適用した例を用いて説明したが、本発明は非水電解質一次電池、ニッケル−水素蓄電池、ニッケル−カドミウム蓄電池等に適用することも可能である。
また、本発明に用いる巻回電極体は、円筒形状であってもよく、扁平状であってもよい。また、巻回電極体を収容する外装体としては、円筒形外装缶、角形外装缶、ラミネート外装体等を用いることができる。
また、粘着テープの基材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂を使用することができる。
また、粘着テープの糊剤としては、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム等のゴム系樹脂を使用することができ、アクリル樹脂等の感圧性粘着剤を用いることもできる。中でも、外側糊剤層には感圧性粘着剤、内側糊剤層にはゴム系樹脂を用いることが好ましい。
また、粘着テープの糊剤材料を、基材を用いない本発明の糊剤として使用することができる。
また、本発明を非水電解質二次電池に適用する場合、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンやこれらの混合ないし積層材料等のオレフィン樹脂を用いることができる。
また、本発明を非水電解質二次電池に適用する場合、非水溶媒としては、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等を用いることができる。
また、本発明を非水電解質二次電池に適用する場合、電解質塩としては、上記LiPF以外に、LiN(CSO、LiN(CFSO、LiClO、LiBF等の一種または複数種の混合物が使用できる。
また、本発明を非水電解質二次電池に適用する場合、非水電解質には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、シクロヘキシルベンゼン、tert−アミルベンゼン等の公知の添加材を添加することができる。
また、本発明を、電池内重合により作製されるポリマー電解質電池に適用することもできる。
また、本発明を非水電解質一次電池に適用する場合、活物質材料としては公知の材料を用いることができ、例えば、正極活物質としては二酸化マンガン、負極活物質としては金属リチウムを用いることができる。
以上に説明したように、本発明によれば、体積エネルギー密度に優れた、巻回電極体を備えた電池を生産性高く提供できる。よって、産業上の利用可能性は大きい。
1 正極板
1a 正極集電タブ
2 負極板
2a 負極集電タブ
3 セパレータ
3a 第1のセパレータ
3b 第2のセパレータ
3c 第3のセパレータ
5 絶縁板
6 外装缶
7 安全機構
8 封口体
9 ガスケット
10 巻回電極体
21 粘着テープ
21a 基材
21b 内側糊剤層
21c 外側糊剤層
31 穴
40 セパレータ重なり領域
51 粘着テープ

Claims (4)

  1. 正極板と、負極板と、前記両電極板間に介在するセパレータと、が巻き取られ、巻解けを防止する粘着テープが貼り付けられた巻回電極体を備えた電池において、
    前記粘着テープは、基材の両面に糊剤層が設けられた両面粘着テープであり、
    前記巻回電極体の最外周には、3枚以上のセパレータが重なり合わされたセパレータ重なり領域を有し、
    前記セパレータ重なり領域の最外周に巻き回されたセパレータを第1のセパレータ、前記第1のセパレータよりも1周内側のセパレータを第2のセパレータ、前記第2のセパレータよりも1周内側のセパレータを第3のセパレータとするとき、
    前記第2のセパレータには穴が設けられ、
    前記穴を覆うように、前記粘着テープが配されることにより、前記粘着テープの内側糊剤層と、前記第3のセパレータと、が粘着固定され、前記両面粘着テープの外側糊剤層と、前記穴の周囲の前記第2のセパレータ及び前記穴と対向する前記第1のセパレータと、が粘着固定されている、
    ことを特徴とする巻回電極体を備えた電池。
  2. 請求項1に記載の巻回電極体を備えた電池において、
    前記粘着テープの面積が、前記穴の面積の2倍である、
    ことを特徴とする巻回電極体を備えた電池。
  3. 請求項1又は2に記載の巻回電極体を備えた電池において、
    前記粘着テープの外側糊剤層は、電解液と接触することにより粘着力が低下する、
    ことを特徴とする巻回電極体を備えた電池。
  4. 正極板と、負極板と、前記両電極板間に介在するセパレータと、が巻き取られ、巻解けを防止する糊剤が取り付けられた巻回電極体を備えた電池において、
    前記巻回電極体の最外周には、3枚以上のセパレータが重なり合わされたセパレータ重なり領域を有し、
    前記セパレータ重なり領域の最外周に巻き回されたセパレータを第1のセパレータ、前記第1のセパレータよりも1周内側のセパレータを第2のセパレータ、前記第2のセパレータよりも1周内側のセパレータを第3のセパレータとするとき、
    前記第2のセパレータには穴が設けられ、
    前記穴を覆うように、前記糊剤が配されることにより、前記第3のセパレータと、前記穴の周囲の前記第2のセパレータ及び前記穴と対向する前記第1のセパレータと、が粘着固定されている、
    ことを特徴とする巻回電極体を備えた電池。
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