JP2012133904A - 二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】発電ユニット20が収納された電池缶2の缶底2aに開裂用溝210が形成されている。開裂用の溝210の、内面側および外面側に薄肉部215を形成するための内側溝211および外側溝212が設けられている。内側溝211および外側溝212の断面形状は、対面側に向かって漸次減少する滑らかな曲面とされている。電池缶2の内面および外面には、内側溝211および外側溝212を含んで全体にめっき層が形成されている。
【選択図】図4
Description
しかしながら、通常、二次電池では、電池容器を構成する電池缶または電池蓋のいずれかに、正極集電板または負極集電板に溶接するために、内面および外面にめっきを施す必要がある。しかるに、断面V字状の開裂溝は、めっき層の形成に適していない。すなわち、電池容器の材料としてめっき層が形成された先めっき鋼板を用いる場合には、V字状の開裂溝の底部において金型の擦れによりめっき層剥れ発生の要因となる。また、電池容器を成型後にめっき層を形成する後めっき鋼板を用いる場合には、V字状の開裂溝の底部は狭面積となっているため、この部分にはめっき層が付着しづらく、ピンホール等が形成され腐食発生の要因となる。
(二次電池の全体構成)
以下、この発明の二次電池を、リチウムイオン円筒形二次電池を一実施の形態として図面と共に説明する。
図1は、この発明の円筒形二次電池の断面図であり、図2は、図1に示された円筒形二次電池の分解斜視図である。
円筒形二次電池1は、例えば、外形40mmφ、高さ100mmの寸法を有する。
この円筒形二次電池1は、有底円筒形の電池缶2とハット型の電池蓋3とを、通常、ガスケットと言われるシール部材43を介在してかしめ加工を行い、外部から密封された構造の電池容器4を有する。有底円筒形の電池缶2は、鉄、ステンレス等の金属板をプレス加工して形成され、内面および外面の表面全体にニッケル等のめっき層が形成されている。ステンレスを用いる場合には、めっきの必要がない。電池缶2は、その開放側である上端部側に開口部202を有する。電池缶2の開口部202側には、電池缶2の内側に突き出した溝201が形成されている。電池缶2の内部には、以下に説明する発電用の各構成部材が収容されている。
軸芯15は、中空円筒状を有し、軸芯15には、負極電極12、第1のセパレータ13、正極電極11および第2のセパレータ14が、この順に積層され、捲回されている。最内周の負極電極12の内側には第1のセパレータ13および第2のセパレータ14が数周(図3では、1周)捲回されている。電極群10の最外周は負極電極12およびその外周に捲回された第1のセパレータ13の順となっている。最外周の第1のセパレータ13が接着テープ19で留められる(図2参照)。
負極合剤12bの幅WCが正極合剤11bの幅WAよりも大きいことにより、異物の析出による内部短絡を防止する。これは、リチウムイオン二次電池の場合、正極活物質であるリチウムがイオン化してセパレータを浸透するが、負極側に負極活物質が形成されておらず負極シート12aが露出していると負極シート12aにリチウムが析出し、内部短絡を発生する原因となるからである。
図1および図3において、中空な円筒形状の軸芯15は軸方向(図面の上下方向)の上端部の内面に径大の溝15aが形成され、この溝15aに正極集電部材27が圧入されている。
また、正極集電部材27をアルミニウムで形成することにより、正極シート11aの正極リード16を超音波溶接またはスポット溶接等により溶接することが可能となる。
負極シート12aの負極リード17は、すべて、負極集電部材21の外周筒部21cに超音波溶接等により溶接される。各負極リード17は大変薄いため、大電流を取りだすために、軸芯15への巻き始めから巻き終わりまで全長にわたり、所定間隔で多数形成されている。
負極集電部材21の下面には、ニッケルからなる負極通電リード23が溶接されている。
負極通電リード23は、鉄製の電池缶2の底部において、電池缶2に溶接されている。
電池缶2を、例えば、0.5mmの厚さの炭素鋼で形成し、内面側および外面側の表面にニッケルめっきを施して形成することが望ましい。負極集電部材21を抵抗値の小さい銅で形成する場合、銅と鉄を、直接、溶接することは困難である。負極通電リード23をニッケルにより形成し、電池缶2の内面にニッケルめっきを施すことにより、負極通電リード23を、電池缶2に抵抗溶接等により溶接することができる。また、ニッケルからなる負極通電リード23と銅からなる負極集電部材21とは、抵抗溶接により溶接することができる。
絶縁板34は、開口部34a(図2参照)と下方に突出す側部34bを有している。絶縁板34の開口部34a内には接続板35が嵌合されている。接続板35の下面には、フレキシブルな接続部材33の他端が溶接されて固定されている。
電池蓋3は、炭素鋼等の鉄で形成され、外側および内側の表面全体にニッケル等のめっき層が施されている。電池蓋3は、ダイアフラム37に接触する円盤状の周縁部3aとこの周縁部3aから上方に突出す有頭無底の筒部3bを有するハット型を有する。筒部3bには開口部3cが形成されている。この開口部3cは、電池内部に発生するガス圧によりダイアフラム37が開裂した際、ガスを電池外部に放出するためのものである。
なお、電池蓋3が鉄で形成されている場合には、別の円筒形二次電池と直列に接合する際、鉄で形成された別の円筒形二次電池とスポット溶接により接合することが可能である。
まず、ダイアフラム37に電池蓋3を固定しておく。ダイアフラム37と電池蓋3との固定は、かしめ等により行う。図2に図示された如く、当初、ダイアフラム37の側部37bは基部37aに垂直に形成されているので、電池蓋3の周縁部3aをダイアフラム37の側部37b内に配置する。そして、ダイアフラム37の側部37bをプレス等により変形させて、電池蓋3の周縁部の上面および下面、および外周側面を覆って圧接する。
上述したように、電池蓋ユニット30の接続板35は接続部材33により正極集電部材27と接続されている。従って、電池蓋3は正極集電部材27と接続されている。このように、正極集電部材27と接続されている電池蓋3は他方の出力端として作用し、この他方の出力端として作用する電池蓋3と一方の出力端として作用する電池缶2より電極群10に蓄えられた電力を出力することが可能となる。
次に、電池缶の構造について詳述する。
図4は、本発明の二次電池における開裂溝の構造に係る実施形態1を示し、図1に図示された電池缶2の缶底の二点鎖線で囲んだ部分Aの拡大断面図である。また、図5は、電池缶2を缶底側からみた平面図である。
電池缶2は、板厚が0.4〜0.8mm程度の鉄、ステンレス等から形成されている。
電池缶2の上部には、内方に突き出す、断面がほぼU字形状の溝201が形成されている。この溝201は、上述した如く、電池缶2と電池蓋ユニット30とをシール部材43を介してかしめるために形成されたものである。
電池缶2の缶底2aには、開裂用の溝210が設けられている。開裂用の溝210は、内面側に設けられた内側溝211と外面側に設けられた外側溝212とから構成される。
電池缶2の缶底2aに開裂用の溝210を形成することにより、缶底2aにおける内側溝211および外側溝212の間には薄肉部215が形成される。
図5では、開裂用の溝210のうち、外側溝212のみが図示されているが、内側溝211も外側溝212と同一の形状を有する。
電池缶2の外面に形成されためっき層221は、電池缶2の腐食を防止する。また、複数の二次電池を溶接して複数の二次電池から構成される電池モジュールを構成する際には、二次電池同士の溶接を良好にする機能を果たす。
電池缶2に設けられる内側溝211および外側溝212は、それぞれ、本実施形態においては、断面がほぼ円弧形状、より厳密には、円弧の中心が缶底2aの内面または外面と同一面上に位置する、半円形状を有する。つまり、内側溝211および外側溝212は同一形状に形成されており、幅および深さが同一である。また、内側溝211と外側溝212の円弧の中心を結ぶ線は、電池缶2の内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置し、かつ、缶底2aの板厚の厚さ方向の中央部に位置する。
w1=w2
d1=d2>t
以下、本発明の実施形態として示す円筒形二次電池の製造方法について説明する。
〔電極群作製〕
先ず、電極群10を作製する。正極シート11aの両面に、正極合剤11bおよび正極合剤未処理部11cが形成され、また、多数の正極リード16が正極シート11aに一体に形成された正極電極11を作製する。また、負極シート12aの両面に負極合剤12bおよび負極合剤未処理部12cが形成され、多数の負極リード17が負極シート12aに一体に形成された負極電極12を作製する。
上述の方法で作製した電極群10の軸芯15の下部に負極集電部材21を取り付ける。
負極集電部材21の取り付けは、負極集電部材21の開口部21bを軸芯15の下端部に設けられた段部15bに嵌入して行う。次に、負極集電部材21の外周筒部21cの外周の全周囲に亘り、負極リード17をほぼ均等に配分して密着し、負極リード17の外周に押え部材22を巻き付ける。そして、超音波溶接等により、負極集電部材21に負極リード17および押え部材22を溶接する。次に、軸芯15の下端面と負極集電部材21とに跨るように負極通電リード23を負極集電部材21に溶接する。
一方、電池缶2の作製には、先めっき鋼板または後めっき鋼板を用いて電池缶2をプレス成型により作製する。電池缶2には、缶底2aとなる部分に内側溝211および外側溝212の形成と同時に同時に絞り加工を行い有底円筒形状に形成する。絞り加工は、何回か行い、徐々に、深さを深くする。なお、この時点では、電池缶2には、溝201は形成しない。電池缶2の作製に後めっき鋼板を用いた場合には、成型後に、電池缶2の内面および外面にめっきを施す。
そして、電池缶2に発電ユニット20を収容する。
電池缶2内に収納した発電ユニット20の負極通電リード23を、電池缶2に抵抗溶接等により溶接する。この場合、正極集電部材27の開口部27eから、図示はしないが、電極棒を差し込み、軸芯15の中空部を挿通して、負極通電リード23を電池缶2の底部に押し付けて溶接する。
次に、発電ユニット20が収容された電池缶」2の内部に、非水電解液を所定量注入する。非水電解液は、上述した如く、例えば、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液を用いる。
一方、上記電池缶2に対する組立プロセスとは別に、電池蓋ユニット30を作製しておく。
電池蓋ユニット30は、前述した如く、絶縁板34、絶縁板34の開口部34aに嵌入された接続板35、接続板35に溶接されたダイアフラム37およびダイアフラム37に、かしめにより固定された電池蓋3により構成されている。電池蓋ユニット30の作製方法は上述した通りである。
電極群10と電池蓋ユニット30とを電気的に接続する。先ず、電池缶2の溝201の上にシール部材43を載置しておく。この状態におけるシール部材43は、図2に図示するように、リング状の基部43aの上方に、基部43aに対して垂直な外周壁部43bを有する構造となっている。
そして、接続部材33の一端部を電池缶2内に収容された正極集電部材27の基部27aの上面に超音波溶接等により接合する。
次に、このような状態の接続部材33の他端部に、上述した電池蓋ユニット30を接合する。
接続部材33の他端部側を折り返し、電池蓋ユニット30の接続板35を、図示はしない保持具により、接続部材33の折り返した他端部に接触させた状態に保持し、接触部にレーザを照射してレーザ溶接する。この場合、電池蓋ユニット30の接続板35に接合される接続部材33の他端部の接合面は、正極集電部材27の基部27aに接合されている一端部の接合面と同一面側である。
そして、電池缶2内に電池蓋ユニット30を収納して、電池缶2と電池蓋ユニット30とをかしめ加工することにより封口して外部から密封する。
電池缶2の上部にグルービングにより、U字形状の溝201を形成する。溝201の内面側上部にシール部材43を収納し、接続部材33の一端部を正極集電部材27に溶接し、他端部を、電池蓋ユニット30を構成する接続板35に溶接する。接続部材33の一端部と正極集電部材27との溶接は、発電ユニット20を電池缶2に収納する前に行っておいてもよい。そして、電池缶2に電池蓋ユニット30を、シール部材43を間に介在させてかしめ加工を行う。これにより、電池蓋ユニット30と電池缶2の先端部側がシール部材43と共にかしめられ、外部から密封されて封口される。
このようにして、図1に図示されたリチウムイオン二次電池が完成される。
この場合、円弧形状の内側溝211および外側溝212の円弧の中心が、電池缶2の缶底2aの内面または外面より外側に位置する形状の場合には、内側溝211および外側溝212の幅w1、w2は円弧の直径より小さくなり、深さd1、d2は、円弧の半径より小さくなる。また、円弧形状の内側溝211および外側溝212の円弧の中心が、電池缶2の缶底2aの内面または外面の内側に位置する形状の場合には、内側溝211および外側溝212の深さd1、d2は、円弧の半径より大きくなる。
また、内側溝211および外側溝212の幅w1、w2は、円弧の直径と同一とすることが望ましく、その場合、内側溝211および外側溝212の断面形状はU字形となる。
さらに、電池缶2の缶底2aに設ける開裂用の溝210の形状は、以下に示す如く、種々の形態となすことが可能である。
図7は、本発明の実施形態2を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図7においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、内側溝211の断面形状が円弧形状であるに対し、外側溝212の断面形状は、楕円形状に形成されている。内側溝211の円弧の中心および外側溝212の長軸は、それぞれ、缶底2aの内面または外面と同一面上に位置する。また、内側溝211の中心と外側溝212の長軸の中心を結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置し、かつ、缶底2aの板厚の厚さ方向の中央部に位置する。
w2>w1
d1=d2>t
図8は、本発明の実施形態3を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図8においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、外側溝212の断面形状が円弧形状であるに対し、内側溝211の断面形状は、楕円形状に形成されている。内側溝211の長軸の中心および外側溝212の中心は、それぞれ、缶底2aの内面または外面と同一面上に位置する。また、内側溝211の長軸の中心と外側溝212の中心を結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置し、かつ、缶底2aの板厚の厚さ方向の中央部に位置する。
w1>w2
d1=d2>t
図9は、本発明の実施形態4を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図9においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、内側溝211の断面形状は、U字形状を有している。すなわち、内側溝211の断面は、底部側を半円形部とし、その上部側に半円形部の直径と同一幅の矩形部を配置した形状を有する。また、外側溝212は、長軸が缶底2aの外面の外側に位置する楕円形状を有する。
内側溝211の中心と外側溝212の長軸の中心とを結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置する。しかし、缶底2aの板厚の厚さ方向においては、缶底2aの外面寄りに位置する。
w1<w2
d1>d2
d1+d2+t=T(但し、Tは電池缶2の板厚)
図10は、本発明の実施形態5を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図10においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、内側溝211の断面形状は、U字形状を有している。すなわち、内側溝211の断面は、底部側を半円形部とし、その上部側に半円形部の直径と同一幅の矩形部を配置した形状を有する。また、外側溝212は、半円形状より小さい面積の円弧形状、換言すれば、円形の中心が缶底2aの外面の外側に位置する円弧形状を有する。
内側溝211の中心と外側溝212の長軸の中心とを結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置する。しかし、缶底2aの厚さ方向においては、缶底2aの外面寄りに位置する。
また、外側溝212は、上述の如く、円形の中心が缶底2aの外面の外側に位置する円弧形状であるが、半径を内側溝211の半円形部の半径より大きくして、同一の幅となるようにしている。
w1=w2
d1>d2
d1+d2+t=T(但し、Tは電池缶2の板厚)
図11は、本発明の実施形態6を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図11においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、内側溝211の断面形状は、長軸の中心が缶底2aの内面側と同一面上またはそれよりも内側に位置する楕円形状を有する。また、外側溝212は、半円形より面積が小さい円弧形状、換言すれば、円弧の中心が缶底2aの外面よりも外側に位置する円弧形状を有する。
内側溝211の長軸の中心と外側溝212の中心とを結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置する。しかし、缶底2aの厚さ方向においては、缶底2aの外面寄りに位置する。
w1>w2
d1>d2
d1+d2+t=T(但し、Tは電池缶2の板厚)
図12は、本発明の実施形態7を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図12においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、内側溝211は、半円形状より小さい面積の円弧形状、換言すれば、円弧の中心が缶底2aの内側に位置する円弧形状を有する。外側溝212の断面形状は、U字形状を有している。すなわち、外側溝212の断面は、頭部(底部)側を半円形部とし、その下部側に半円形部の直径と同一幅の矩形部を配置した形状を有する。
内側溝211の中心と外側溝212の中心とを結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置する。しかし、缶底2aの厚さ方向においては、缶底2aの内面寄りに位置する。
また、外側溝212は、上述の如く、円形の中心が缶底2aの外面の外側に位置する円弧形状であるが、半径を内側溝211の半円形部の半径より大きくして、同一の幅となるようにしている。
w1=w2
d1<d2
d1+d2+t=T(但し、Tは電池缶2の板厚)
図13は、本発明の実施形態8を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図13においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、内側溝211の断面は、円弧の中心が缶底2aの内面側よりも内側に位置する円弧形状を有する。また、外側溝212の断面は、長軸が缶底2aの外面と同一平面上または、缶底2aの内側に位置する楕円形状をしている。
内側溝211の中心と外側溝212の長軸の中心とを結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置する。しかし、缶底2aの厚さ方向においては、缶底2aの内面寄りに位置する。
w1<w2
d1<d2
d1+d2+t=T(但し、Tは電池缶2の板厚)
図14は、本発明の実施形態9を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図14においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
本実施形態においては、内側溝211の断面形状は、長軸が缶底2aの内面側よりも内側に位置する楕円形状を有する。また、外側溝212の断面形状は、U字形状を有している。すなわち、外側溝212の断面は、頭部側を半円形部とし、その下部側に半円形部の直径と同一幅の矩形部を配置した形状を有する。
内側溝211の中心と外側溝212の長軸の中心とを結ぶ線は、缶底2aの内面および外面に垂直である。従って、電池缶2の缶底2aの薄肉部215における最小肉厚部は、内側溝211と外側溝212とを結ぶ直線上に位置する。しかし、缶底2aの厚さ方向においては、缶底2aの内面寄りに位置する。
w1>w2
d1<d2
d1+d2+t=T(但し、Tは電池缶2の板厚)
図15は、本発明の実施形態10を示し、電池缶2の缶底2aの開裂用の溝210近傍の拡大断面図である。図15においても、図6と同様、電池缶2の内外面に形成されためっき層221は図示を省略されている。
図15に図示された実施形態10の開裂用の溝210は、内側溝211および外側溝212が、それぞれ、缶底2aの内面または外面に接続される両側縁に縁取り部211a、212aが設けられている点に特徴を有する。各縁取り部211a、212aは、円弧状に形成され角部の無い、滑らかな曲面を有する。
実施形態1〜9に示された開裂用の溝210では、内側溝211および外側溝212が、それぞれ、缶底2aの内面または外面に接続される両側縁が、鋭いエッジ状の角部となっている。このため、電池缶2の内面および外面にめっきと施すと、これら角部に突出状のめっき層が形成される。このように突出状に形成されためっき層は、剥離する可能性が僅かではあるが少し大きい。
図15に図示された開裂用の溝210は、代表として、図6に図示された実施形態1の開裂用の溝210に対して縁取り部211aおよび212aを設けた構造を示す。しかし、内側溝211および外側溝212に縁取り部211aおよび212aを設けた開裂用の溝210の構造は、実施形態2〜9に示された開裂用の溝210のいずれに対しても適用することができる。
図16は、本発明の二次電池の実施形態11を示す分解外観斜視図を示す。
実施形態1〜10は、二次電池を円筒形として説明した。しかし、本発明の二次電池は、角形であってもよい。図16は、電池蓋73に開裂弁75が形成された角形リチウム二次電池の一実施例を示す。
リチウムイオン角形二次電池1Aは、捲回電極群60を絶縁袋71で覆い、電池缶72に収納して作製される。図16において、絶縁袋71は、一部が破断された状態で図示されている。
捲回電極群60は、図示はしないが、実施形態1と同様に、シート状の負極電極と、シート状の第1のセパレータと、シート状の正極電極、シート状の第2のセパレータとを順に積層して捲回して形成されている。実施形態1においては、軸芯15の周囲に捲回して円筒状に形成されているが、角形リチウム二次電池では、捲回電極群60の両端部に円弧部が形成されるように扁平形状に形成されている。
その後、乾燥、プレス、裁断することにより、例えば、活物質合剤層が配された部分の幅80mm、厚さ100μm、長さ4mの正極電極を得ることができる。
その後、乾燥、プレス、裁断することにより、例えば、活物質合剤層が配された部分の幅84mm、長さ4.4mの負極を得ることができる。
レーザ溶接によって電池蓋73を鋼板により形成された電池缶72に溶接することにより、外部から封口される。
電池蓋73の開裂弁75は、開裂用の溝210により構成される。開裂用の溝210の構造として、実施形態1〜10に示した内側溝211および外側溝212のいずれでも適用することができる。
2 電池缶
2a 缶底
3 電池蓋
4 電池容器
10 電極群
20 発電ユニット
30 電池蓋ユニット
72 電池缶
73 電池蓋
210 開裂用の溝
210a、210b 円弧形状部
211 内側溝
212 外側溝
215 薄肉部
221 めっき層
Claims (9)
- 蓋部材と電池缶とにより構成される電池容器内に、正極電極および負極電極を含む電極群が収容され、電解液が注入された二次電池であって、
前記電池容器の前記蓋部材および前記電池缶の少なくとも一方には、内面側および外面側に開裂用の薄肉部を構成するための溝が設けられ、前記溝を含んで内面および外面にめっき層が形成され、前記内面および前記外面に設けられた溝は、それぞれ、前記開裂用の薄肉部の肉厚を最小とする底部を有し、少なくとも前記溝の底部は、断面形状が滑らかな曲面であることを特徴とする二次電池。 - 請求項1に記載の二次電池において、前記内面側および前記外面側に設けられた前記溝の断面形状は、円弧形状部を含むことを特徴とする二次電池。
- 請求項1または2に記載の二次電池において、前記内面および前記外面に形成されためっき層はニッケルめっき層であることを特徴とする二次電池。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池において、前記内面側および前記外面側に設けられた溝は、互いに異なる深さを有することを特徴とする二次電池。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二次電池において、前記内面側および前記外面側に設けられた溝は、互いに異なる幅を有することを特徴とする二次電池。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二次電池において、前記内面側および前記外面側に設けられた溝は、同一の深さを有することを特徴とする二次電池。
- 請求項1乃至3および6のいずれか1項に記載の二次電池において、前記内面側および前記外面側に設けられた溝は、同一の幅を有することを特徴とする二次電池。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の二次電池において、前記開裂用の薄肉部の最小肉厚部の厚さは、少なくとも前記内面側および前記外面側に設けられたいずれか一方の溝の深さよりも小さいことを特徴とする二次電池。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の二次電池において、少なくとも前記電池缶には、前記開裂用の溝が形成されていることを特徴とする二次電池。
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