JP5081932B2 - 密閉型電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
有機溶媒系の電解液を用いた密閉型の電池では、過充電状態や正極端子間が短絡状態となって大電流が流れると、電解液が分解し、それに伴って、電池内部にガスが発生する。発生したガスにより、電池内部の圧力が上昇し、電池の破裂する原因となる。防爆機構は、このような内圧による電池の破裂などを防止するための機構である。
このような構造によって、内圧が上昇した場合、防爆板の変形によって正極と上蓋との導通を遮断したり、あるいは、防爆板を開裂させて内部のガスを放出したりして電池の破裂を防止する。
リード取付部材に開裂機能を付与した構造もある(例えば、特許文献1参照)。
リード取付部材が防爆板に接触すると、ダイアフラムの接触部分が損傷し、内部の電解液が漏れたり、防爆機構の機能が損なわれたりすることに繋がる。
また、本発明の密閉型電池の製造方法は、上蓋、ダイアフラム、接続板、および絶縁板を予め一体化して防爆機構を製作する工程と、電極群を製作する工程と、電極群を有底円筒状の電池容器に収容する工程と、電極群と接続板とを接続部材で接続する工程と、電池容器に電解液を注入する工程と、電解液の注入後に防爆機構をガスケットを介して電池容器にかしめる工程とを備え、接続板には、レーザ溶接のためダイアフラムとの対向面側が窪んだ所定面積の薄肉部が形成され、接続部材は接続板の薄肉部の裏面側にレーザ溶接されることを特徴とする。
以下、この発明の密閉型電池を、リチウムイオン円筒型二次電池を一実施形態として図面と共に説明する。
図1は、この発明の円筒型電池の一実施形態を示す断面図であり、図2は、図1に示された円筒型電池の分解斜視図である。
円筒型電池1は、例えば、外形40mmφ、高さ100mmの寸法を有する。
この円筒型電池1は、有底円筒型の電池容器2およびハット型の上蓋3の内部に、以下に説明する発電用の各構成部材を収容している。有底円筒型の電池容器2には、その開放側である上端部側に電池容器2の内側に突き出した溝2aが形成されている。
軸芯15は、中空円筒状を有し、軸芯15に接する最内周には第1のセパレータ13が捲回され、その外側を、正極電極11、第2のセパレータ13および負極電極12が、この順に捲回されている。そして、最外周は負極電極12およびその外周に捲回されたセパレータ13となっている。図示はしないが、最外周のセパレータ13が接着テープ19で止められる。
図1において、中空な円筒形状の軸芯15には軸方向(図面の上下方向)の上端部の内面に、内径が径大とされ、溝15aが形成されこの溝15aに正極集電部材31が圧入されている。正極集電部材31は、例えば、アルミニウムにより形成され、円盤状の基部31a、この基部31aの内周部において軸芯15側に向かって突出し、軸芯15の内面に圧入される下部筒部31b、および外周縁において上蓋3側に突き出す上部筒部31cを有する。正極集電部材31の基部31aには、電池内部で発生するガスを放出するための開口部31dが形成されている。また、正極集電部材31の基部の中央部には負極導電リード23を電池容器2にスポット溶接する際、円柱状の電極棒(図示せず)を差し込むための開口部31eが形成されている。
また、正極集電部材31をアルミニウムで形成することにより、正極シート11aの正極リード16を超音波溶接またはスポット溶接等により溶接することが可能となる。
負極シート12aの負極リード17は、すべて、負極集電部材21の外周筒部21cに超音波溶接またはスポット溶接により溶接される。各負極リード17は大変薄いため、大電流を取りだすために、軸芯15への巻き始めから巻き終わりまで全長にわたり、所定間隔で多数形成されている。
負極集電部材21の下面には、銅製の負極通電リード23が溶接されている。
負極通電リード23は、電池容器2の底部において、電池容器2に溶接されている。電池容器2は、例えば、0.5mmの厚さの炭素鋼で形成され、表面にニッケルメッキが施されている。このような材料を用いることにより、負極通電リード23は、電池容器2に抵抗溶接により溶接することができる。
電極群10を構成する正極シート11aの多数の正極リード16が正極集電部材31の上部筒部31cに溶接され、正極集電部材31と電極群10とが一体的にユニット化された発電ユニット20が構成される(図2参照)。
図4は防爆機構30の拡大断面図であり、以下、防爆機構30の説明には図4を合わせ参照されたい。
防爆機構30は、絶縁板41、接続板35、ダイアフラム37および上蓋3を有する。
絶縁板41は、内側に開口部41aを有するリング形状をしており、開口部41a側に、正極集電部材31側に向かって突出す側部41bを有している。側部41bの外面に正極集電部材31の上部筒部31cの内面が嵌合する。
上蓋3は、炭素鋼等の鉄で形成してニッケルめっきが施されており、ダイアフラム37に接触する円盤状の周縁部3aとこの周縁部3aから上方に突出す有頭無底の筒部3bを有するハット型を有する。筒部3bには開口部3cが形成されている。この開口部3cは、電池内部に発生するガス圧によりダイアフラム37が開裂した際、ガスを電池外部に放出するためのものである。
なお、上蓋3が鉄で形成されている場合には、別の円筒型電池と直列に接合する際、鉄で形成された別の円筒型電池とスポット溶接により接合することができる。
防爆機構30の接続板35の薄肉部36の下面36aに接続部材33の一端部が接合されている。
この場合、防爆機構30は、上蓋3、ダイアフラム37および接続板35が一体化されて構成されているため、接続板35の下面に接続部材33を溶接する方法として、超音波溶接を用いることができない。しかし、レーザ溶接は超音波溶接に比して、生産効率は高いが、熱変形による盛り上がりが大きいので、従来の構造ではレーザ溶接を採用することができない。本発明では、接続板35に上面側が窪んだ薄肉部36を形成することにより、防爆機構30として一体化された接続板35に接続部材33をレーザ溶接することを可能とし、生産効率を向上することができた。この場合、レーザ溶接による方法が超音波溶接よりも生産効率が高いというだけでなく、防爆機構30を一体化する工程自体が従来の組付け方法より効率的であることによっても、さらに効率が向上する。
また、接続板35の薄肉部36の面積は、レーザのビーム面積よりも大きくされているため、薄肉部36が熱変形によりダイアフラム37側に盛り上っても接続板35がダイアフラム37に接触することを確実に防止することができる。
そして、詳細は後述するが、プレス等により、電池容器2と共にガスケット43の外周壁部43bを折曲して基部43aと外周壁部43bにより、ダイアフラム37と上蓋3を軸方向に圧接するようにかしめ加工される。これにより、防爆機構30が電池容器2に固定され、防爆機構30により、正極集電部材31と電極群10が一体化された発電ユニット20が電池容器2内において軸方向に移動不能に固定される。
次に、上記構成の円筒型電池の製造方法の一例を説明する。
正極シート11aの両面に、正極合剤11bおよび正極未処理部11cが形成され、また、多数の正極リード16が形成された正極電極11を作製する。また、負極シート12aの両面に負極合剤12bおよび負極処理部12cが形成され、多数の負極リード17が形成された負極電極12を作製する。
正極電極11と負極電極12とを、両電極間にセパレータ13を挟んで軸芯15の周囲に多重に捲回して電極群10を作製する。
以下において、説明を簡素にして明瞭にするために、この有底円筒部材を電池容器2として説明する。
電池容器2内に収納した発電ユニット20の負極通電リード23を、電池容器2に抵抗溶接等により溶接する。この際、正極集電部材31の開口部31eから電極棒を差し込み軸芯15の中空部内を挿通して、電極棒の先端を負極通電リード23に当接する。そして、負極通電リード23が電池容器2の底面に接触している状態で電極棒介して電流を供給して溶接する。
次に、電池容器2の上端部側に一部を絞り加工して内方に突出し、外面にほぼV字状の溝2aを形成する。
次に、発電ユニット20が収容された電池容器2の内部に、非水電解液を所定量注入する。
次に、正極集電部材31の上面に接続部材35の一端部を超音波溶接等により溶接する。
この状態で、電池容器2の溝2aと上端面の間の部分をプレスにより圧縮し、いわゆるかしめ加工により、ガスケット43と共にダイアフラム37を電池容器2に固定する。
これにより、図1に図示された円筒型電池が作製される。
次に、上述した実施形態に従って作製した防爆機構の実施例について説明する。比較のために作成した比較例の防爆機構についても併記する。
(実施例1)
厚み1.0mmの接続板35に、上面からの段差が0.1mmで下面36aが周辺領域と平坦な薄肉部36を形成した。この接続板35を用いて防爆機構30を作製し、接続板35の薄肉部36の下面36aに接続部材33をレーザ溶接にて接合した。
厚み1.0mmの接続板35に、上面からの段差が0.3mmで下面36aが周辺領域と平坦な薄肉部36を形成した。この接続板35を用いて防爆機構30を作製し、接続板35の薄肉部36の下面36aに接続部材33をレーザ溶接にて接合した。
厚み1.0mmの接続板35に、上面からの段差が0.5mmで下面36aが周辺領域と平坦な薄肉部36を形成した。この接続板35を用いて防爆機構30を作製し、接続板35の薄肉部36の下面36aに接続部材33をレーザ溶接にて接合した。
厚み1.0mmの接続板35に、上面からの段差が0.7mmで下面36aが周辺領域と平坦な薄肉部36を形成した。この接続板35を用いて防爆機構30を作製し、接続板35の薄肉部36の下面36aに接続部材33をレーザ溶接にて接合した。
厚み1.0mmの接続板35に薄肉部を設けず、防爆機構30を作製し、接続板35の下面に接続部材33をレーザ溶接にて接合した。
しかしながら、実施例4では、溶接時に接続板を突き抜ける不良が発生した。これは、接続板の厚さが薄いためと判断される。
また、比較例1の防爆機構は、作動圧不良と、ダイアフラムの損傷が生じていることが判明した。
また、接続板35の薄肉部36の厚さが、0.5mm以上であれば、すなわち、接続部材33の厚さと同一以上であればダイアフラムの損傷を防止可能であることが確認された。
上記実施形態では、正極集電部材31と接続板35を1つの接続部材33により接続したものであった。図5は、接続部材を2つの接続部材61、62を用いて正極集電部材31と接続板35を接続した構造を示す。
この構造の場合には、第1の接続部材61の一端部は接続板35の薄肉部36にレーザ溶接しておく。また、第2の接続部材62の一端部を正極集電部材31に溶接しておく。溶接は、レーザ溶接に限らず超音波溶接または抵抗溶接等を用いることができる。電池容器2内に非水電解液を注入後、第1の接続部材61の他端部と第2の接続部材62の他端部とを溶接する。この溶接もレーザ溶接に限らず超音波溶接または抵抗溶接等を用いることができる。
変形例に示す構造の場合には、接続部材61、62の溶接および非水電解液の注入が容易となる。但し、溶接の回数が多くなり、また、接続部材の全長が長くなるため抵抗が大きくなる。
また、円筒型電池として、リチウム電池を例として説明したが、この発明は、リチウム電池に限られるものではなく、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池など、他の円筒型電池にも適用をすることができる。また、円筒型電池に限らず角型二次電池など、円筒型電池以外の密閉型電池に適用することが可能である。
また、本発明の密閉型電池の製造方法は、上蓋、ダイアフラム、接続板、および絶縁板を予め一体化して防爆機構を製作する工程と、電極群を製作する工程と、電極群を有底円筒状の電池容器に収容する工程と、電極群と前記接続板とを接続部材で接続する工程と、電池容器に電解液を注入する工程と、電解液の注入後に防爆機構をガスケットを介して前記電池容器にかしめる工程とを備え、接続板には、レーザ溶接のため前記ダイアフラムとの対向面側が窪んだ所定面積の薄肉部が形成され、接続部材は前記接続板の薄肉部の裏面側にレーザ溶接されるものであればよい。
2 電池容器
3 上蓋
3a 周縁部
10 電極群
11 正極電極
11a 正極シート
11b 正極合剤
12 負極電極
12a 負極シート
12b 負極合剤
13 セパレータ
16 正極リード
17 負極リード
15 軸芯
20 発電ユニット
21 負極集電部材
31 正極集電部材
33 接続部材(接続リード)
35 接続板
36 薄肉部
37 ダイアフラム
41 絶縁板
43 ガスケット
Claims (7)
- 正極電極と負極電極とが積層して構成された電極群と上蓋との間に、電池内圧の上昇よって変形または開裂する防爆機構を有する密閉型電池であって、
前記防爆機構は、ダイアフラムと、前記ダイアフラムに溶接された接続板と、前記接続板に溶接された接続リードとを具備し、前記接続板は、前記接続リードが接続された箇所が薄肉とされ、且つ、下面側が周辺に対して同一面または周辺から窪んでおり、かつ、前記接続板の薄肉とされた部分の上面側が、前記接続板の上面から窪んだ段部とされていることを特徴とする密閉型電池。 - 請求項1に記載の密閉型電池において、前記接続板の薄肉とされた部分は、前記接続リードが溶接された接合面積よりも大きいことを特徴とする密閉型電池。
- 請求項1または2のいずれか1項に記載の密閉型電池において、前記接続板の薄肉とされた部分は、前記接続板の周囲より0.1mm以上薄く、且つ、前記接続リードの厚さ以上の厚さであることを特徴とする密閉型電池。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の密閉型電池において、前記上蓋は前記ダイアフラムによりかしめられ、前記接続板は、その周縁部を絶縁板に嵌合された状態で前記ダイアフラムに溶接されることにより、前記上蓋、前記ダイアフラム、前記接続板および前記絶縁板が一体化されていることを特徴とする密閉型電池。
- 請求項4に記載の密閉型電池において、前記上蓋、前記ダイアフラム、前記接続板および前記絶縁板が一体化された状態において、前記接続リードが前記接続板にレーザ溶接されていることを特徴とする密閉型電池。
- 上蓋、ダイアフラム、接続板、および絶縁板を予め一体化して防爆機構を製作する工程と、
電極群を製作する工程と、
前記電極群を有底円筒状の電池容器に収容する工程と、
前記電極群と前記接続板とを接続部材で接続する工程と、
前記電池容器に電解液を注入する工程と、
前記電解液の注入後に前記防爆機構をガスケットを介して前記電池容器にかしめる工程とを備え、
前記接続板には、レーザ溶接のため前記ダイアフラムとの対向面側が窪んだ所定面積の薄肉部が形成され、
前記接続部材は前記接続板の薄肉部の裏面側にレーザ溶接されることを特徴とする密閉型電池の製造方法。 - 請求項6の密閉型電池の製造方法において、
前記接続部材は、前記接続板の薄肉部の裏面側に前記薄肉部よりも狭い面積内でレーザ溶接されることを特徴とする密閉型電池の製造方法。
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