JP5616248B2 - 二次電池およびその製造方法 - Google Patents

二次電池およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5616248B2
JP5616248B2 JP2011020071A JP2011020071A JP5616248B2 JP 5616248 B2 JP5616248 B2 JP 5616248B2 JP 2011020071 A JP2011020071 A JP 2011020071A JP 2011020071 A JP2011020071 A JP 2011020071A JP 5616248 B2 JP5616248 B2 JP 5616248B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
battery
positive electrode
secondary battery
foreign matter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011020071A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012160377A (ja
Inventor
高塚 祐一
祐一 高塚
龍彦 川崎
龍彦 川崎
高橋 宏文
宏文 高橋
慶夫 小野寺
慶夫 小野寺
井上 康介
康介 井上
松浦 勝也
勝也 松浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Automotive Systems Ltd filed Critical Hitachi Automotive Systems Ltd
Priority to JP2011020071A priority Critical patent/JP5616248B2/ja
Publication of JP2012160377A publication Critical patent/JP2012160377A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5616248B2 publication Critical patent/JP5616248B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Sealing Battery Cases Or Jackets (AREA)
  • Connection Of Batteries Or Terminals (AREA)

Description

この発明は、二次電池およびその製造方法に関し、より詳細には、電解液中に混入した異物により生じる内部短絡等を低減することが可能な二次電池およびその製造方法に関する。
リチウム二次電池等に代表される円筒形二次電池においては、正極合剤が形成された正極と負極合剤が形成された負極とをセパレータを介して軸芯の周囲に捲回して電極群を構成する。
正極合剤は正極金属箔の両面に形成され、正極金属箔の長手方向の片側縁部は正極合剤が形成されない正極合剤未処理部が設けられる。正極合剤未処理部には、正極を正極集電部材に溶接するため、通常、タブと言われる正極リードがプレス等により、正極金属箔と一体に形成される。
負極においても同様で、負極合剤は負極金属箔の両面に形成され、負極金属箔の長手方向の片側縁部に設けられた負極合剤未処理部に、負極集電部材に溶接される負極リードがプレス等により、負極金属箔と一体に形成される。
電極群における正極と負極とは、例えば、正極リードまたは負極リードをプレスにより形成する際に発生するバリ等がセパレータを突き破ることによって短絡することがある。このように正極と負極とがスポット的に短絡すると、必要な電圧が得られない等、電池性能が低下する。
このため、バリが発生しやすい正極金属箔における、正極リードが設けられた長手方向の一側辺と反対側の側辺を、隣接するセパレータを折り返して被覆するようにした構造とするものが知られている。このようにすれば、バリ等が2枚のセパレータを突き破る恐れがなくなり、内部短絡を防止することができる、とされている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−4476号公報
しかし、電極群を電池容器内に収容し、電池容器内に電解液を注入した後においても内部短絡が発生する。この現象の詳細は後述するが、要は、電解液中に混入した異物が正極でイオンとなり、セパレータを浸透して負極で成長する、すなわち負極に析出して堆積する、という現象によるものである。この結果、負極に生じた堆積物により正極と負極の内部短絡が生じる。
上述した先行文献に記載された発明では、この現象により生じる内部短絡は解決しない。
請求項1の二次電池に係る発明は、電池容器内に、正極および負極を含む電極群が収容され、電解液が注入された二次電池であって、前記負極に電気的に接続された金属部材に析出した導電性の異物が付着し、前記電池容器内に異物を捕集する粘着層が、少なくとも一部を前記電解液に接触可能に収容されていることを特徴とする。
請求項の二次電池の製造方法に係る発明は、電池容器内に、正極および負極を含む電極群を収容し、電解液を注入して注入口を封口する工程と、前記負極に接続された金属部材に、前記電解液中に混入している導電性の異物を溶解させ、析出させる異物析出工程とを備え、前記金属部材は前記負極に接続された負極集電板であり、前記電池容器は、前記電池缶と、絶縁部材を介して前記電池缶に固定され、前記正極に接続された正極端子と、前記負極に接続された負極端子とを有する電池蓋を具備し、前記異物析出工程は、前記電池蓋を下向きにして、前記負極集電板に異物を析出させる工程を含むことを特徴とする。
請求項の二次電池の製造方法に係る発明は、電池容器内に、正極および負極を含む電極群を収容し、電解液を注入して注入口を封口する工程と、前記負極に接続された金属部材に、前記電解液中に混入している導電性の異物を溶解させ、析出させる異物析出工程とを備え、前記金属部材は前記負極に接続された負極集電板であり、前記電池容器は、前記電池缶と、絶縁部材を介して前記電池缶に固定され、前記正極に接続された正極端子と、前記負極に接続された負極端子とを有する電池蓋を具備し、前記異物析出工程は、前記電池蓋を下向きにして、前記負極集電板に異物を析出させる工程を含むことを特徴とする。
この発明の二次電池および二次電池の製造方法によれば、電池容器内に混入している導電性の異物を負極側の金属部材に析出させるので、非水電解液中に混在する導電性の異物が低減し、あるいは実質的に皆無となり、正極と負極間に入り込む導電性の異物によって生じる内部短絡の発生を低減するという効果を奏する。
本発明に係る二次電池の一実施形態としての円筒形二次電池の断面図。 図1に示された円筒形二次電池の分解斜視図。 図1に図示された電極群の詳細を示し、一部を切断した状態の斜視図。 図1に図示された異物析出部分周辺の拡大断面図。 (A)、(B)は、それぞれ、本発明の二次電池の製造方法における異物析出工程の所定の工程を説明するための二次電池の斜視図。 本発明の二次電池の製造方法の一実施の形態を示す工程フロー図。 本発明に係る二次電池の製造方法の実施形態2を示す工程フロー図。 本発明の実施形態2における異物析出工程を説明するための図。 本発明に係る二次電池の製造方法の実施形態3を示す工程フロー図。 本発明に係る二次電池の実施形態4を示す断面図。 本発明に係る二次電池を角形二次電池に適用した場合の一例であり、本発明の実施形態5としての角形二次電池の分解外観斜視図。 図11に図示された角形二次電池に内蔵された電極群を示す斜視図。 図11に図示された角形二次電池の製造方法の一実施の形態を示す工程フロー図。 図11におけるXIV−XIV線で切断した拡大断面図。 本発明に係る二次電池の製造方法の実施形態6を示す工程フロー図。 本発明に係る二次電池の製造方法の実施形態7を示す工程フロー図。
(実施形態1)
−二次電池の構造−
以下、この発明の二次電池を、リチウムイオン円筒形二次電池を一実施形態として図面と共に説明する。
図1は、この発明の円筒形二次電池の一実施形態を示す断面図であり、図2は、図1に示された円筒形二次電池の分解斜視図である。
円筒形二次電池1は、例えば、外形40mmφ、高さ100mmの寸法を有する。この円筒形二次電池1は、上部が開口された有底円筒形の電池缶2および電池缶2の上部を封口するハット型の蓋3で構成される電池容器4の内部に、以下に説明する発電用の各構成部材が収容され、非水電解液5が注入されている。
有底円筒形の電池缶2は、上部側に開口部2bを有し、その開口部2b付近に電池缶2の内側に突き出した断面U字形状の溝2aが形成されている。
10は、電極群であり、中央部に軸芯15を有し、軸芯15の周囲に、正極および負極が捲回されている。図3は、電極群10の構造の詳細を示し、一部を切断した状態の斜視図である。図3に図示されるように、電極群10は、軸芯15の周囲に、正極11、負極12、および第1、第2のセパレータ13、14が捲回された構成を有する。
軸芯15は、中空円筒状を有し、軸芯15には、負極12、第1のセパレータ13、正極11および第2のセパレータ14が、この順に積層され、捲回されている。最内周の負極12の内側には第1のセパレータ13および第2のセパレータ14が数周(図3では、1周)捲回されている。また、最外周側は負極12およびその外周に捲回された第1のセパレータ13となっている。最外周の第1のセパレータ13が接着テープ19(図2参照)で止められる。
正極11は、アルミニウム箔により形成された長尺な形状を有する正極金属箔11aと、この正極金属箔11aの両面に正極合剤11bが塗布された正極処理部を有する。正極金属箔11aの長手方向に延在する上方側の側縁は、正極合剤11bが塗布されずアルミニウム箔が露出した正極合剤未処理部11cとなっている。この正極合剤未処理部11cには、軸芯15の軸に沿って上方に突き出す多数の正極リード16が等間隔に一体的に形成されている。
正極合剤11bは正極活物質と、正極導電材と、正極バインダとからなる。正極活物質はリチウム酸化物が好ましい。例として、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウム複合酸化物(コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる2種類以上を含むリチウム酸化物)等が挙げられる。正極導電材は、正極合剤中におけるリチウムの吸蔵放出反応で生じた電子の正極への伝達を補助できるものであれば制限は無い。しかし中でも上述の材料である、コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムとニッケル酸リチウムとからなるリチウム複合酸化物を使用することにより良好な特性がえられる。
正極バインダは、正極活物質と正極導電材を結着させ、また正極合剤と正極集電体を結着させることが可能であり、非水電解液5との接触により、大幅に劣化しなければ特に制限はない。正極バインダの例としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)やフッ素ゴムなどが挙げられる。正極合剤層の形成方法は、正極上に正極合剤が形成される方法であれば制限はない。しかし、その中でも、正極合剤11bの構成物質の分散溶液を正極金属箔11a上に塗布する方法が挙げられる。このような方法で製造することにより特性の優れた正極合剤が得られる。
正極合剤11bを正極金属箔11aに塗布する方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法、等が挙げられる。正極合剤11bに分散溶液の溶媒例として、N−メチルピロリドン(NMP)や水等を添加し、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、プレスし、裁断する。正極合剤11bの塗布厚さの一例としては片側約40μmである。正極金属箔11aをプレスにより裁断する際、正極リード16を一体的に形成する。すべての正極リード16の長さは、ほぼ同じである。
負極12は、銅箔により形成された長尺な形状を有する負極金属箔12aと、この負極金属箔12aの両面に負極合剤12bが塗布された負極処理部を有する。負極金属箔12aの長手方向に延在する下方側の側縁は、負極合剤12bが塗布されず銅箔が露出した負極合剤未処理部12cとなっている。この負極合剤未処理部12cには、軸芯15の軸に沿って正極リード16とは反対方向に延出された、多数の負極リード17が等間隔に一体的に形成されている。
負極合剤12bは、負極活物質と、負極バインダと、増粘剤とからなる。負極合剤12bは、アセチレンブラックなどの負極導電材を有しても良い。負極活物質としては、黒鉛炭素を用いること、特に人造黒鉛を使用することが好ましい。黒鉛炭素を用いることにより、大容量が要求されるプラグインハイブリッド自動車や電気自動車向けのリチウムイオン二次電池が作製できる。負極合剤12bの形成方法は、負極金属箔12a上に負極合剤12bが形成される方法であれば制限はない。しかしその中でも次に記載する方法により優れた特性の負極合剤が得られる。負極合剤12bを負極金属箔12aに塗布する方法の例として、負極合剤12bの構成物質の分散溶液を負極金属箔12a上に塗布する方法が挙げられる。塗布方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法等が挙げられる。
負極合剤12bを負極金属箔12aに塗布する方法の例として、負極合剤12bに分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンや水を添加し、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔の両面に均一に塗布し、乾燥させた後、プレスし、裁断する。負極合剤12bの塗布厚さの一例としては片側約40μmである。負極金属箔12aをプレスにより裁断する際、負極リード17を一体的に形成する。すべての負極リード17の長さは、ほぼ同じである。
第1のセパレータ13および第2のセパレータ14の幅をWS、負極金属箔12aに形成される負極合剤12bの幅をWC、正極金属箔11aに形成される正極合剤11bの幅をWAとした場合、下記の式を満足するように形成される。
S>WC>WA(図3参照)
すなわち、正極合剤11bの幅WAよりも、常に、負極合剤12bの幅WCが大きい。これは、リチウムイオン二次電池の場合、正極活物質であるリチウムがイオン化してセパレータを浸透するが、負極側に負極活物質が形成されておらず負極金属箔12aが表出していると、この負極金属箔12aの表出した部分にリチウムが析出し、内部短絡を発生する原因となるからである。
第1のセパレータ13および第2のセパレータ14は、それぞれ、例えば、厚さ40μmのポリエチレン製多孔膜で形成されている。
図1および図3において、中空な円筒形状の軸芯15は軸方向(図面の上下方向)の上端部の内面に径大の溝15aが形成され、この溝15aに正極集電部材27が圧入されている。正極集電部材27は、例えば、アルミニウムにより形成され、円盤状の基部27a、この基部27aの内周部において軸芯15側に向かって突出し、軸芯15の内面に圧入される下部筒部27b、および外周縁において蓋3側に突き出す上部筒部27cを有する。正極集電部材27の基部27aには、電池内部で発生するガスを放出するための開口部27d(図2参照)が形成されている。
正極金属箔11aの正極リード16は、すべて、正極集電部材27の上部筒部27cに溶接される。この場合、図2に図示されるように、正極リード16は、正極集電部材27の上部筒部27c上に重なり合って接合される。各正極リード16は大変薄いため、1つでは大電流を取りだすことができない。このため、軸芯15への巻き始めから巻き終わりまでの全長に亘り、多数の正極リード16が所定間隔に形成されている。
正極集電部材27は、電解液によって酸化されるので、アルミニウムで形成することにより信頼性を向上することができる。アルミニウムは、なんらかの加工により表面が露出すると、直ちに、表面に酸化アルミウム皮膜が形成され、この酸化アルミニウム皮膜により、電解液による酸化を防止することができる。
また、正極集電部材27をアルミニウムで形成することにより、正極金属箔11aの正極リード16を超音波溶接またはスポット溶接等により溶接することが可能となる。
正極集電部材27の上部筒部27cの外周には、正極金属箔11aの正極リード16および押え部材28が溶接されている。多数の正極リード16は、正極集電部材27の上部筒部27cの外周に密着させておき、正極リード16の外周に押え部材28をリング状に巻き付けて仮固定し、この状態で溶接される。
軸芯15の下端部の外周には、外径が径小とされた段部15bが形成され、この段部15bに負極集電部材21が圧入されて固定されている。負極集電部材21は、例えば、銅により形成され、円盤状の基部21aに軸芯15の段部15bに圧入される開口部21bが形成され、外周縁に、電池缶2の底部側に向かって突き出す外周筒部21cが形成されている。
負極金属箔12aの負極リード17は、すべて、負極集電部材21の外周筒部21cに超音波溶接等により溶接される。各負極リード17は大変薄いため、大電流を取りだすために、軸芯15への巻き始めから巻き終わりまで全長にわたり、所定間隔で多数形成されている。
負極集電部材21の外周筒部21cの外周には、負極金属箔12aの負極リード17および押え部材22が溶接されている。多数の負極リード17は、負極集電部材21の外周筒部21cの外周に密着させておき、負極リード17の外周に押え部材22をリング状に巻き付けて仮固定し、この状態で溶接される。
負極集電部材21の下面には、ニッケル製の負極通電リード23が溶接されている。負極通電リード23は、電池缶2の底部において、電池缶2に溶接されている。電池缶2は、例えば、0.5mmの厚さの炭素鋼で形成され、内外面の表面にニッケルめっきが施されている。このような材料を用いることにより、負極通電リード23は、電池缶2の底部内面に抵抗溶接等により溶接することができる。上記負極集電部材21と接続されている電池缶2は他の出力端として作用し、一方の出力端として作用する上記蓋3と他方の出力端として作用する上記電池缶2より蓄えられた電力を出力することが可能となる。
多数の正極リード16が正極集電部材27に溶接され、多数の負極リード17が負極集電部材21に溶接されることにより、正極集電部材27、負極集電部材21および電極群10が一体的にユニット化された発電ユニット20が構成される(図2参照)。但し、図2においては、図示の都合上、負極集電部材21、押え部材22および負極通電リード23は発電ユニット20から分離して図示されている。
また、正極集電部材27の基部27aの上面には、複数のアルミニウム箔が積層されて構成されたフレキシブルな接続部材33が、その一端部を溶接されて接合されている。接続部材33は、複数枚のアルミニウム箔を積層して一体化することにより、大電流を流すことが可能とされ、且つ、フレキシブル性を付与されている。つまり、大電流を流すには接続部材の厚さを大きくする必要があるが、1枚の金属板で形成すると剛性が大きくなり、フレキシブル性が損なわれる。そこで、板厚の小さな多数のアルミニウム箔を積層してフレキシブル性を持たせている。接続部材33の厚さは、例えば、0.5mm程度であり、厚さ0.1mmのアルミニウム箔を5枚積層して形成される。
正極集電部材27の上部筒部27c上には、蓋ユニット30(図2参照)が配置されている。蓋ユニット30は、リング形状をした絶縁板34、絶縁板34に設けられた開口部34aに嵌入された接続板35、接続板35に溶接されたダイアフラム37およびダイアフラム37に、かしめにより固定された蓋3により構成される。
絶縁板34は、円形の開口部34aを有する絶縁性樹脂材料からなるリング形状を有し、正極集電部材27の上部筒部27c上に載置されている。
絶縁板34は、開口部34a(図2参照)および下方に突出する側部34bを有している。絶縁板34の開口部34a内には接続板35が嵌合されている。接続板35の下面には、接続部材33の他端部が溶接されて接合されている。この場合、接続部材33は他端部側において半周程度湾曲されて、正極集電部材27に溶接された面と同じ面が接続板35に溶接されている。
接続板35は、アルミニウム合金で形成され、中央部を除くほぼ全体が均一でかつ、中央側が少々低い位置に撓んだ、ほぼ皿形状を有している。接続板35の厚さは、例えば、1mm程度である。接続板35の中心には、薄肉でドーム形状に形成された突起部35aが形成されており、突起部35aの周囲には、複数の開口部35b(図2参照)が形成されている。開口部35bは、電池内部に発生するガスを放出する機能を有している。
接続板35の突起部35aはダイアフラム37の中央部の底面に抵抗溶接または摩擦拡散接合により接合されている。ダイアフラム37はアルミニウム合金で形成され、ダイアフラム37の中心部を中心とする円形の切込み37aを有する。切込み37aはプレスにより上面側をV字形状に押し潰して、残部を薄肉にしたものである。ダイアフラム37は、電池の安全性確保のために設けられており、電池の内圧が上昇すると、第1段階として、上方に反り、接続板35の突起部35aとの接合を剥離して接続板35から離間し、接続板35との導通を絶つ。第2段階として、それでも内圧が上昇する場合は切込み37aにおいて開裂し、内部のガスを放出する機能を有する。
ダイアフラム37は周縁部において蓋3の周縁部を固定している。ダイアフラム37は図2に図示されるように、当初、周縁部に蓋3側に向かって垂直に起立する側部37bを有している。この側部37b内に蓋3を収容し、かしめ加工により、側部37bを蓋3の上面側に屈曲して固定する。
蓋3は、炭素鋼等の鉄で形成してニッケルめっきが施されており、ダイアフラム37に接触する円盤状の周縁部3aと、この周縁部3aから上方に突出す有頭無底の筒部3bを有するハット型を有する。筒部3bには開口部3cが形成されている。この開口部3cは、電池内部に発生するガス圧によりダイアフラム37が開裂した際、ガスを電池外部に放出するためのものである。蓋3は一方の電力出力端として作用し、蓋3から蓄電された電力を取り出すことができる
なお、蓋3が鉄で形成されている場合には、別の円筒形二次電池と直列に接合する際、鉄で形成された別の円筒形二次電池とスポット溶接により接合することが可能である。
ダイアフラム37の側部37bと周縁部を覆ってガスケット(シール部材)43が設けられている。ガスケット43は、当初、図2に図示されるように、リング状の基部43aの周側縁に、上部方向に向けてほぼ垂直に起立して形成された外周壁部43bが形成された形状を有している。
そして、プレス等により、電池缶2と共にガスケット43の外周壁部43bを折曲して基部43aと外周壁部43bにより、ダイアフラム37と蓋3を軸方向に圧接するようにかしめ加工される。これにより、蓋3とダイアフラム37とがガスケット43を介して電池缶2に固定される。
電池缶2の内部には、非水電解液5が所定量注入されている。非水電解液5の一例としては、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液を用いることが好ましい。リチウム塩の例として、フッ化リン酸リチウム(LiPF)、フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、等が挙げられる。また、カーボネート系溶媒の例として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、或いは上記溶媒の1種類以上から選ばれる溶媒を混合したものが挙げられる。
図1を参照して、電池容器4を構成する電池缶2のU字形状の溝2aの内面側には、導電性金属等からなる析出物Pが付着している。この析出物Pは、非水電解液5中に混在していた導電性の異物が溶解して、析出したものである。以下、このことについて説明する。
上述した如く、正極11に形成された多数の正極リード16は、すべて、正極集電部材27の上部筒部27cの外周に超音波溶接等により溶接される。この場合、正極集電部材27の上部筒部27cの外周の全周囲に亘り、正極リード16をほぼ均等に配分して密着し、正極リード16の外周に押え部材28をリング状にして巻き付ける。そして、超音波溶接等により、正極集電部材27に正極リード16および押え部材28を溶接する、という方法を用いている。
この方法による場合、正極集電部材27に溶接される各正極リード16が、正極集電部材27側に引っ張られる。このため、各正極リード16の基部に対応する正極金属箔11aの正極合剤未処理部11cの部位が各正極リード16と共に正極集電部材27側に寄せられる。これにより、正極合剤未処理部11cの各正極リード16に対応する部分と、その外側に隣接する第2のセパレータ14との間に隙間が生じる。
ところで、電池缶2の内部に注入された非水電解液5中には、多数の微小な金属等の導電性の異物が混在している。このような異物は、正極金属箔11aおよび負極金属箔12aの作製工程、電池缶2の加工工程、正極リード16の正極集電部材27への溶接工程等において発生し、非水電解液5中に混入する。そして、上記の如く、正極リード16と、その外側に隣接する第2のセパレータ14との間に隙間が生じると、この隙間から、上記各工程で発生し、非水電解液5中に混入した異物が正極11と第2のセパレータ14との間に入り込みやすい。また、正極11と第1のセパレータ13、または正極11と第2のセパレータ14との間に生じる他の隙間から、上記各工程等で発生し、非水電解液5中に混入した異物が入り込む場合もある。
正極11と負極12間には、所定の電位、例えば4.1Vがかかっているため、正極11と第1のセパレータ13との間に入り込んだ異物、または正極11と第2のセパレータ14との間に入り込んだ異物はイオン化され、セパレータを浸透して負極12側に流れる。そして、負極12で成長して析出し、堆積されていく。この堆積物により、正極と負極が短絡する現象が生じる。
そこで、本発明では、非水電解液5中に混入した導電性の異物を、予め、異物析出処理を行うことにより、負極12に接続された金属部材、例えば、電池缶2に析出させておくようにしたものである。このようにしておけば、非水電解液5中に混在する導電性の異物をなくすことができるので、正極11と負極12間の短絡をなくすことができる。
以下、導電性の異物を析出する異物析出処理について説明する。
図4は、図1における、析出物Pが析出された二次電池1の上部側の拡大断面図である。
発電ユニット20が収容され、非水電解液5が注入された電池容器4を、蓋ユニット30側を下に向けると、金属等の導電性の異物P’が、自重により非水電解液5中を落下する。この際、異物P’は、負極電位を有する部材が近くに対峙していない正極電位を有する部材、例えば、正極金属箔11a、正極リード16、押え部材28、正極集電部材27等、蓋ユニット30の内面等に接触する。
二次電池1が充電されている状態であれば、正極電位を有する部材に接触することにより、導電性の異物P’はプラスにイオン化される。プラスにイオン化された異物P’は、非水電解液5中に分散し、電気泳動して、非水電解液5が接触している負極12に接続されている金属部材、代表的には、電池缶2の内面において析出する。
図4においては、電池缶2の溝2aが内方に向かって突き出しており、この溝2a付近は、同図に図示される如く、プラスにイオン化された異物P’に近い負極電位を有する部材となり、主に、この溝2aの内面側付近に析出物Pとして析出される。
析出された析出物Pは、正極電位を有する部材とは離間しており、析出物Pによる内部短絡が生じることはない。
導電性の異物P’の溶解、および析出物Pの析出は、電池缶2を、表面元素分析を行うことにより確認することができる。
非水電解液5中に混在する異物P’をイオン化し、負極電位を有する部材に析出させるには、二次電池1を上下反転する方法以外にも、二次電池1を横向きにしたり、回転又は揺動したり、振動を与えたり、あるいはこれらの動作を組み合わせて行ったりする方法としてもよい。
図5(A)は、A:二次電池1を回転させる方法、B:二次電池1に横振動を与える方法、C:二次電池1に縦振動を与える方法を示す図であり、図5(B)は、二次電池1を実線で示す位置と二点鎖線で示す位置とに揺動させる方法を示す図である。
--二次電池の製造方法--
図6は、図1に図示された二次電池の製造方法の一実施の形態を示す工程フロー図であり、以下、同図を参照して二次電池1の製造方法を説明する。
二次電池1は、大別して、工程K1〜K8までの二次電池構造作製工程KAと、工程K11〜K13までの異物析出工程KBと、工程K14およびK15の検査・エージング工程KCの3つの工程により作製される。
先ず、工程K1〜K8の二次電池構造作製工程KAについて説明する。
〔電極群作製〕
先ず、工程K1において、電極群10を作製する。
正極金属箔11aの両面に、正極合剤11bおよび正極合剤未処理部11cが形成され、また、多数の正極リード16が正極金属箔11aに一体に形成された正極11を作製する。また、負極金属箔12aの両面に負極合剤12bおよび負極合剤未処理部12cが形成され、多数の負極リード17が負極金属箔12aに一体に形成された負極12を作製する。
そして、図3に図示するように、軸芯15に、第1のセパレータ13、正極11、第2のセパレータ14、負極12を、この順に捲回して電極群10を作製する。この場合、第1のセパレータ13、第2のセパレータ14を最も内側の側縁部を軸芯15に溶接しておくと、捲回時に加える荷重に抗して捲回することが容易となる。電極群10の最外周のセパレータは接着テープ19により接着する(図2参照)。
〔発電ユニット作製〕
次に、工程K2において、工程K1で作製した電極群10を用いて、発電ユニット20を作製する。
電極群10の軸芯15の下部に負極集電部材21を取り付ける。負極集電部材21の取り付けは、負極集電部材21の開口部21bを軸芯15の下端部に設けられた段部15bに嵌入して行う。次に、負極集電部材21の外周筒部21cの外周の全周囲に亘り、負極リード17をほぼ均等に配分して密着し、負極リード17の外周に押え部材22をリング状に巻き付ける。そして、超音波溶接等により、負極集電部材21に負極リード17および押え部材22を溶接する。次に、軸芯15の下端面と負極集電部材21とに跨る負極通電リード23を負極集電部材21に溶接する。
次に、軸芯15の正極集電部材27の下部筒部27bを軸芯15の上端側に設けられた溝15aに嵌合する。そして、正極11の正極リード16を正極集電部材27の上部筒部27cの外面に密着させる。そして、正極リード16の外周に押え部材28を巻き付け、超音波溶接等により、正極集電部材27の上部筒部27cに正極リード16および押え部材28を溶接する。このようにして、発電ユニット20が構成される。
〔電池缶への収容〕
次に、工程K3において、発電ユニット20を電池缶2に収容する。
発電ユニット20を収容可能なサイズを有する金属製の有底円筒部材に、上述の工程を経て作製された発電ユニット20を収容する。有底円筒部材は、電池缶2となるものである。以下において、説明を簡素にして明瞭にするために、この有底円筒部材を電池缶2として説明する。
〔負極溶接〕
次に、工程K4において、発電ユニット20の負極側を電池缶2に溶接する。
電池缶2内に収納した発電ユニット20の負極通電リード23を、電池缶2の底部内面に抵抗溶接等により溶接する。この場合、図示はしないが、電池缶2の外部から、軸芯15の中空軸に電極棒を挿通し、電極棒により負極通電リード23を電池缶2の底部内面に押し付けて溶接する。
次に、電池缶2の上端部側の一部を絞り加工して内方に突出し、断面ほぼU字状の溝2aを形成する。
電池缶2の溝2aは、発電ユニット20の上端部、換言すれば、正極集電部材27の上端部近傍に位置するように形成する。なお、この工程において形成する溝2aは、後述する如く、最終的な形状またはサイズではなく、仮の形状またはサイズのものである。
〔電解液注入〕
次に、工程K5において、電池缶2の内部に、非水電解液5を所定量注入する。
非水電解液5の一例としては、前述した如く、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液を用いることが好ましい。リチウム塩の例として、フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、フッ化ホウ酸リチウム(LiBF6)、等が挙げられる。また、カーボネート系溶媒の例として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、或いは上記溶媒の1種類以上から選ばれる溶媒を混合したもの、が挙げられる。
〔蓋ユニット作製〕
一方、工程K6において、上記工程K1〜K5とは別に、蓋ユニット30を作製しておく。
蓋ユニット30は、前述した如く、絶縁板34、絶縁板34に設けられた開口部34aに嵌入された接続板35、接続板35に溶接されたダイアフラム37およびダイアフラム37にかしめにより固定された蓋3により構成されている。
蓋ユニット30を作製するには、先ず、ダイアフラム37に蓋3を固定する。ダイアフラム37と蓋3との固定は、かしめ等により行う。図2に図示される如く、当初、ダイアフラム37の側部37bは基部37aに垂直に形成されているので、蓋3の周縁部3aをダイアフラム37の側部37b内に配置する。そして、ダイアフラム37の側部37bをプレス等により変形させて、蓋3の周縁部の上面および下面、および外周側面を覆って圧接する。
また、接続板35を絶縁板34の開口部34aに嵌合して取り付けておく。そして、接続板35の突起部35aを、蓋3が固定されたダイアフラム37の底面に溶接する。この場合の溶接方法は、抵抗溶接または摩擦拡散接合を用いることができる。接続板35とダイアフラム37を溶接することにより、接続板35が嵌合された絶縁板34およびダイアフラム37に固定された蓋3が一体化され、蓋ユニット30が作製される。
〔正極溶接〕
次に、工程K7において、発電ユニット20の正極側と蓋ユニット30とを電気的に接続する。
正極集電部材27の基部27aに接続部材33の一端部を、例えば、超音波溶接等により溶接する。そして、蓋3、ダイアフラム37、接続板35および絶縁板34が一体化された蓋ユニット30を、接続部材33の他端部に近接して配置する。次に、接続部材33の他端部を接続板35の下面に、レーザ溶接により溶接する。この溶接は、接続部材33の他端部における接続板35との接合面が、正極集電部材27に溶接された接続部材33の一端部の接合面と同じ面となるようにして行う。
〔封口〕
次に、工程K8において、電池缶2に収容された発電ユニット20の正極集電部材27に電気的に接続された蓋ユニット30を電池缶2に固定することにより電池缶2を封口する。
先ず、電池缶2の上部にグルービングにより、U字形状の溝2aを形成する。そして、形成された電池缶2の溝2aの上にガスケット43を収容する。この状態におけるガスケット43は、図2に図示するように、リング状の基部43aの上方に、基部43aに対して垂直な外周壁部43bを有する構造となっている。この構造で、ガスケット43は、電池缶2の溝2a上部の内側に留まっている。ガスケット43は、ゴムで形成されており、限定する意図ではないが、1つの好ましい材料の例として、エチレンプロピレン共重合体(EPDM)またはフッ素系樹脂をあげることができる。
次に、ガスケット43の筒部43c上に、発電ユニット20の正極集電部材27に電気的に接続された蓋ユニット30を配置する。詳細には、蓋ユニット30のダイアフラム37を、その周縁部をガスケット43の筒部43c上に対応させて載置する。この場合、絶縁板34の側部34bの外周に正極集電部材27の上部筒部27cが嵌合されるようにする。
この状態で、電池缶2の溝2aと上端面の間の部分をプレスにより圧縮する、いわゆる、かしめ加工により、ガスケット43と共にダイアフラム37を電池缶2に固定する。
これにより、ダイアフラム37、蓋3、接続板35および絶縁板34が一体化された蓋ユニット30が、ガスケット43を介して電池缶2に固定され、また、正極集電部材27と蓋3が接続部材33、接続板35およびダイアフラム37を介して導電接続され、図1に図示された円筒形のリチウムイオン二次電池1が作製される。工程K8が完了すると、二次電池1の組立は完了し、この後、異物析出工程KBの処理が行われる。
次に、工程K11〜K13までの異物析出工程KBについて説明する。
先ず、工程K11において、二次電池構造作製工程KAで作成された二次電池1を、図5(A)および図5(B)に図示されるように、振動、回転または揺動させ、電池容器4内に注入された非水電解液5を、電池容器4内で流動させる。これにより、電極群10を作製する工程において、電極群10の構成部材に付着していた異物P’が非水電解液5中に混入する。
次に、工程K12において、二次電池1を充電する。充電は、図示はしないが、一対のプローブを、それぞれ、正極端子である蓋3および負極端子である電池缶2に接続し、充電回路を動作させて行う。
次に、工程K13において、二次電池1を、図4に図示されるように蓋3が下端面となるように反転する。
この状態では、正極金属箔11a、正極リード16、正極集電部材27等、蓋ユニット30の内面等、正極電位を有する部材と、負極金属箔12aに接続された電池缶2とが、同時に、非水電解液5中に浸されている。また、正極11は充電されている。
従って、非水電解液5中に混在している導電性の異物P’が正極電位を有する金属部材に接触し、プラスにイオン化される。プラスにイオン化された異物P’は、非水電解液5中を電気泳動して、電池缶2の内面において析出物Pとして析出する。
このように、非水電解液5中に混在する導電性の異物の実質的に殆どを、負極電位を有する二次電池1の構成部材に析出させることにより、非水電解液5中に混在する導電性の異物がなくなる。従って、正極11と負極12間に入り込む導電性の異物によって生じる内部短絡の発生を低減することができる。
この場合、イオン化された異物P’は、すべてが電池缶2の内面に析出する訳でもない。例えば、後述する実施形態5において説明する如く、負極金属箔12aの縁部にも付着する可能性はある。しかし、実施形態5において説明する如く、そのようなことが生じた場合にも、析出物Pにより正極との間に短絡を起こすようなことはない。
また、イオン化された異物P’は、粒子毎に電池缶2の内面に付着するものではなく、平滑化され、表面に薄く析出する傾向があり、しかも、付着力は決して小さくはない。従って、析出した析出物Pが正極11および負極12間に入り込むことはない。
工程K13は、数分〜数十分で終了する。つまり、析出物Pを析出させる時間は数分以上とする。
工程K13が完了すると、異物析出工程KBが終了し、次に、検査・エージング工程KCの処理を行う。
工程K14においては、導電性の異物が析出物Pとして析出された二次電池1を、図1に図示する蓋3が上端面となる正規の姿勢に戻す。そして、工程K15において、エージングを行い、二次電池1の作製を終了する。
なお、エージング工程では、二次電池1が満充電になるまで充電し、充電が完了したら、放電終止電圧に達するまで放電を行い、一定時間放置する。そして、その後、例えば、電圧値および内部抵抗値等の電池性能の検査を行う。
以上の如く、実施形態1では、二次電池構造作製後、二次電池1内に注入された非水電解液5中に混在する導電性の異物の実質的に殆どを、負極電位を有する二次電池1の構成部材に析出させる。このため、非水電解液5中に混在する導電性の異物が低減し、あるいは実質的に皆無となり、正極と負極間に入り込む導電性の異物によって生じる内部短絡の発生を低減するという効果を奏する。
(実施形態2)
図7は、本発明の二次電池の製造方法の実施形態2を示す工程フロー図である。
実施形態2においても、工程K1〜K8の二次電池構造作製工程KAは、実施形態1の場合と同様であり、図7においては、工程K8の封口の後の工程のみが図示されている。
工程K8の封口が完了したら、次に、工程K21において、二次電池構造作製工程KAで作成された二次電池1を、振動、回転または揺動させ、電池容器4内に注入された非水電解液5を電池容器4内で流動させる。これにより、電極群10を作製する工程において、電極群10の構成部材に付着していた異物P’が非水電解液5中に混入する。
次に、工程K22において、二次電池1を、蓋3が下端面となるように反転する。
そして、次に、工程K23において、二次電池1を充電する。
図8は、工程K23におけるに二次電池1の状態を示す図である。
二次電池1は、蓋3が下端面となるように反転された状態で、定電圧充電装置のプラス電極を蓋3に、マイナス電極を電池缶2に接続して行われる。この状態では、正極金属箔11a、正極リード16、正極集電部材27等、蓋ユニット30の内面等、正極電位を有する部材と、負極金属箔12aに接続された電池缶2とが、同時に、非水電解液5中に浸されている。
従って、充電の進行に従って、非水電解液5中に混在している導電性の異物P’が正極電位を有する金属部材に接触し、プラスにイオン化される。プラスにイオン化された異物P’は、非水電解液5中を電気泳動して、電池缶2の内面において析出物Pとして析出する。
工程K23が完了したら、工程K24おいて、二次電池1を図1の姿勢に戻し、次いで、K25においてエージングを行う。工程24および25は、それぞれ、実施形態1の工程K14およびK15と同様であるので、説明を省略する。
実施形態2においても、実施形態1と同様な効果を奏する。
(実施形態3)
図9は、本発明の二次電池の製造方法の実施形態3を示す工程フロー図である。
実施形態3においても、工程K1〜K8の二次電池構造作製工程KAは、実施形態1の場合と同様であり、図9においては、工程K8の封口の後の工程のみが図示されている。
工程K8の封口が完了したら、次に、工程K31において、二次電池構造作製工程KAで作成された二次電池1を、定電圧充電する。
次に、工程K32において、二次電池1を、振動、回転または揺動させ、電池容器4内に注入された非水電解液5を電池容器4内で流動させる。これにより、電極群10を作製する工程において、電極群10の構成部材に付着していた異物P’が非水電解液5中に混入する。
次に、工程K33において、二次電池1を、蓋3が下端面となるように反転する。この状態は、実施形態1において、工程K11〜K13の工程を終了した図4に図示された状態と同一である。すなわち、この状態では、正極金属箔11a、正極リード16、正極集電部材27等、正極電位を有する部材と、負極金属箔12aに接続された電池缶2とが、同時に、非水電解液5中に浸されている。
従って、充電の進行に従って、非水電解液5中に混在している導電性の異物P’が正極電位を有する金属部材に接触し、プラスにイオン化される。プラスにイオン化された異物P’は、非水電解液5中を電気泳動して、電池缶2の内面において析出物Pとして析出する。
工程K33が完了したら、工程K34おいて、二次電池1を図1の姿勢に戻し、次いで、K35においてエージングを行う。工程34および35は、それぞれ、実施形態1の工程K14およびK15と同様であるので、説明を省略する。
実施形態3においても、実施形態1と同様な効果を奏する。
(実施形態4)
図10は、本発明の実施形態4を示す要部の断面図である。
図10に図示された実施形態4の二次電池1Aにおいて、図4に図示される二次電池1と相違する点は、電極群10の最外周、すなわち、捲回された第1のセパレータ13の最外周の側面には、粘着テープ51が接着されている点である。
この構造は、図4に図示された構造と同様であり、同一部材には、同一の図面番号を付し、その説明を省略する。
粘着テープ51は、ベースフィルム52と、このベースフィルム52上に形成された粘着層53により構成されている。粘着テープ51は、粘着層53を電極群10側に向け、幅方向の側部が、電極群10の下部側の側部10aから突き出した状態で、粘着層53が電極群10に接着されている。粘着テープ51は、電極群10の外周面に沿ってほぼ一周巻き付けられている。
上述した如く、導電性の異物は、正極11と第1のセパレータ13間に入り込んでイオン化され、セパレータを浸透して負極12側に流れる。そして、負極12で成長して析出し、この析出物が堆積することにより、正極と負極とが内部短絡を起こす。
粘着テープ51は、電池容器4内に混在されている異物を、粘着層53に付着して捕集するためのものである。つまり、粘着テープ51により、電池容器4内の浮遊異物が製造工程で空気中を移動する異物を捕集したり、電解液の注液工程以降の液を介して移動する異物を捕集することができる。
粘着テープ51におけるベースフィルム52は、耐溶剤性に優れた、例えば、ポリプロプレンにより形成されたフィルムである。また、粘着層53は、常温接着型で、例えば、アクリル系粘着剤で形成されている。粘着層53の膜厚は、30〜60μmである。粘着層53は、非水電解液5中においても、粘着力を保持している。
このような構造の二次電池1Aを作製するには、粘着テープ51が接着された電極群10を電池缶2内に収容した後、電池缶2内に非水電解液5を注入する。非水電解液5が注入されると、粘着テープ51は、粘着層53の電極群10の側部10aから突き出した部分が非水電解液5と接触する。
この後、電池缶2の上部開口部に蓋ユニット30を、かしめ加工等により封口した後、二次電池1Aを移動したり、運搬したりする。このとき、二次電池1Aは、振動あるいは揺動する。このため、二次電池1の非水電解液5が振動し、あるいは揺れることにより、非水電解液5中に混入している異物29が粘着層53に付着し、捕集される。
このような、構造の二次電池1Aにおいて、実施形態1の工程K11〜13、実施形態2の工程K21〜K23または実施形態3の工程31〜33に示された異物析出工程の処理を行い、電池缶2の内面に析出物Pを付着させる。
従って、非水電解液5中に混入された導電性の異物は、実施形態1〜3の場合よりも、一層、確実に低減され、導電性の異物の析出による内部短絡の発生をより確実に低減することができる。
(実施形態5)
--角形二次電池の構造--
実施形態1〜4は、二次電池を円筒形として説明した。しかし、本発明の二次電池は、角形であってもよい。
図11は、本発明の二次電池を角形リチウムイオン二次電池100とした場合の一実施の形態の分解外観斜視図である。図11において、絶縁袋71は、一部が破断された状態で図示されている。
角形リチウムイオン二次電池100は、捲回電極群90を電池蓋ユニット80に取り付けて絶縁袋71に収納し、電池缶72の上部側の開口部から収容することにより作製される。
図12は捲回電極群90の巻き終り側を開放した状態の斜視図である。
捲回電極群90は、正極91と負極92とを、第1、第2のセパレータ93、94を介在して扁平状に捲回して形成されたものである。
正極91は、例えば、アルミニウム箔等からなる正極金属箔91aの表裏両面に正極合剤層91bが塗工されたものである。正極合剤層91bは、一側縁に、正極金属箔91aが露出された正極合剤未処理部91cが形成されるように塗工されている。
負極92は、例えば、銅箔等からなる負極金属箔92aの表裏両面に負極合剤層92bが塗工されたものである。負極合剤層92bは、正極合剤未処理部91cが配置された側縁と対向する側縁である他側縁に、負極金属箔92aが露出された負極合剤未処理部92cが形成されるように塗工されている。
正極合剤91bは正極活物質と、正極導電材と、正極バインダとからなる。正極活物質はリチウム酸化物が好ましい。例として、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウム複合酸化物(コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる2種類以上を含むリチウム酸化物)等が挙げられる。正極導電材は、正極合剤中におけるリチウムの吸蔵放出反応で生じた電子の正極への伝達を補助できるものであれば制限は無い。しかし中でも上述の材料である、コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムとニッケル酸リチウムとからなるリチウム複合酸化物を使用することにより良好な特性がえられる。
正極バインダは、正極活物質と正極導電材を結着させ、また正極合剤と正極集電体を結着させることが可能であり、非水電解液5との接触により、大幅に劣化しなければ特に制限はない。正極バインダの例としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)やフッ素ゴムなどが挙げられる。正極合剤層の形成方法は、正極上に正極合剤が形成される方法であれば制限はない。しかし、その中でも、正極合剤91bの構成物質の分散溶液を正極金属箔91a上に塗布する方法が挙げられる。このような方法で製造することにより特性の優れた正極合剤が得られる。
正極合剤91bを正極金属箔91aに塗布する方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法、等が挙げられる。正極合剤91bに分散溶液の溶媒例として、N−メチルピロリドン(NMP)や水等を添加し、混練したスラリを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に正極合剤未処理部91cを残して塗布する。均一に塗布し、乾燥させた後、プレスし、裁断する。正極合剤91bの塗布厚さの一例としては片側約40μmである。
負極合剤層92bは、負極活物質として非晶質炭素粉末100重量部に対して、結着剤として10重量部のポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFという。)を添加し、これに分散溶媒としてN−メチルビロリドン(以下、NMPという。)を添加、混練して作製する。この負極合剤を厚さ10μmの銅箔の両面に負極合剤未処理部92cを残して塗布する。その後、乾燥、プレス、裁断して銅箔を含まない負極活物質塗布部の厚さ(表裏両面の合計)70μmの負極92を得る。
負極合剤92bは、負極活物質と、負極バインダと、増粘剤とからなる。負極合剤92bは、アセチレンブラックなどの負極導電材を有しても良い。負極活物質としては、黒鉛炭素を用いること、特に人造黒鉛を使用することが好ましい。黒鉛炭素を用いることにより、大容量が要求されるプラグインハイブリッド自動車や電気自動車向けのリチウムイオン二次電池が作製できる。負極合剤92bの形成方法は、負極金属箔92a上に負極合剤92bが形成される方法であれば制限はない。しかしその中でも次に記載する方法により優れた特性の負極合剤が得られる。負極合剤92bを負極金属箔92aに塗布する方法の例として、負極合剤92bの構成物質の分散溶液を負極金属箔92a上に塗布する方法が挙げられる。塗布方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法等が挙げられる。
負極合剤92bを負極金属箔92aに塗布する方法の例として、負極合剤92bに分散溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンや水を添加し、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔の両面に負極合剤未処理部92cを残して塗布する。均一に塗布し、乾燥させた後、プレスし、裁断する。負極合剤92bの塗布厚さの一例としては片側約40μmである。
捲回電極群90を形成するには、第1、第2のセパレータ93、94の間に、それぞれ、負極92の巻始め側端部を、正極91の巻始め側端部よりも内側に位置させて配置して捲回する。この場合、正極合剤未処理部91cと負極合剤未処理部92cとは、反対側の側縁に位置するように配置する。負極合剤層92bの幅、換言すれば、捲回方向に直交する方向の長さは、正極合剤層91bの幅よりも広く形成されている。また、図12に図示されるように、第1のセパレータ93の幅は、正極91の正極合剤未処理部91cを一側縁側において外部に露出する寸法とされている。第2のセパレータ94の幅は、負極92の負極合剤未処理部92cを他側縁側において外部に露出する寸法とされている。
捲回電極群90の巻始め側には、第1、第2のセパレータ93、94が数周捲回されている。また、捲回電極群90の巻終り側は、最外周が第2のセパレータ94、その内側が負極92である。従って、正極合剤層91bは、巻始め側から巻終り側までの全長に亘り、幅方向においても、すべての部分が、負極合剤層92bにより覆われている。
このような構造とする理由は、リチウムイオン二次電池の場合、正極活物質であるリチウムがイオン化してセパレータを浸透するが、負極側に負極活物質が形成されておらず負極金属箔92aが露出していると負極金属箔92aにリチウムが析出し、内部短絡を発生する原因となるからである。
このように、捲回電極群90は、正極91においては、正極金属箔91aの正極合剤未処理部91cが外部に露出しており、負極92においては、負極金属箔92aの負極合剤未処理部92cが外部に露出している。
捲回電極群90の正極合剤未処理部91cには、アルミニウム製の正極集電板61の接続片62が超音波溶接によって溶接されている。この場合、捲回された正極合剤未処理部91cは重合されて厚さ方向に溶接されている。正極合剤未処理部91cは、正極合剤処理部に比して厚さが薄いので、厚さ方向に溶接されると、図11に図示されるように、正極合剤処理部の表裏両側の上面から陥没する。図11には、捲回電極群90の裏面側は図示されていないが、正極合剤未処理部91cは、表面側と同様に、正極合剤処理部の上面から陥没している。
正極集電板61には、プレス加工などにより折曲された接続片62が一体に形成されている。
負極集電板63には、プレス加工などにより折曲された接続片64が一体に形成されている。
正極集電板61および負極集電板63は、それぞれ、電池蓋73に固定された正極端子81および負極端子83にそれぞれ絶縁板(図視せず)を介して取り付けられており、これによって、捲回電極群90は、電池蓋73によって支持されるとともに、正極端子81および負極端子83からの充放電が可能となる。
電池蓋73は鋼板により形成されており、内面および外面にニッケルめっきが施されている。電池蓋73には、非水電解液を注入するための注液口74が設けられている。また、電池蓋73には、過充電等により内部圧力が基準値を超えて上昇した際に、圧力を抜くための開裂弁75が設けられている。開裂弁75には、開裂用の溝75aが形成されている。
非水電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:2の割合で混合した混合溶液中へ六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/リットルの濃度で溶解したものを用いることができる。
注液口74は電解液注入後にレーザ溶接によって塞がれる。
レーザ溶接によって電池蓋73を鋼板により形成された電池缶72に溶接することにより、外部から封口される。
--角形二次電池の製造方法--
図13は、図11に図示された角形のリチウムイオン二次電池100を作製する一実施の形態を示す工程フロー図である。
以下、図13を参照して、二次電池100の製造方法の一例を説明する。
先ず、工程K51において、電池蓋73を作製する。
電池蓋73の材料は、アルミニウム金属板に限られるものではなく、例えば、SUS鋼板や樹脂板等、密閉可能な薄板であればよい。
次に、作製した電池蓋73に電池蓋ユニット80を構成するための部材を順次組み付ける。すなわち、電池蓋73に、正極端子81、接続片62が一体に形成された正極集電板61、負極端子83および接続片64が一体に形成された負極集電板63を取り付ける。この場合、正極端子81と正極集電板61との間、および負極端子83と負極集電板63との間には、図示しないが、絶縁板が介在され、それぞれ、電池蓋73とは絶縁される。
次に、電池蓋73に注液口74および開裂弁75を形成する。注液口74と開裂弁75は、電池蓋73が単体の状態で形成してもよい。
このようにして、電池蓋ユニット80を作製する工程K52が完了する。
工程K51およびK52とは別に、工程K53において捲回電極群90を作製する。
次に、工程K54において、捲回電極群90を電池蓋ユニット80に取り付ける。上述した如く、正極集電板61の接続片62に捲回電極群90の正極合剤未処理部91cを、また、負極集電板63の接続片64に捲回電極群90の負極合剤未処理部92cを押圧した状態で、例えば、超音波溶接等により接合する。
次に、工程K55において、電池蓋ユニット80と捲回電極群90とが一体的に構成された状態で、捲回電極群90を、絶縁袋71の上部に設けられた開口部71aから差し込んで、捲回電極群90を絶縁袋71内に収納する。この場合、電池蓋ユニット80の電池蓋73の下面は絶縁袋71と上部から離間しており、両部材間には隙間が形成される。
次に、工程K56において、捲回電極群90が収納された絶縁袋71を電池缶72内に収容する。この場合、電池蓋73の下面は、電池缶72の上面に接触する。そして、電池蓋73と電池缶72とをレーザ溶接により溶接する。
次に、工程K57において、電池蓋73に設けられた注液口74から非水電解液を注入する。非水電解液は、例えば、上述した材料で形成されたものを用いる。
そして、工程K58において、注液口74を封止する。
工程K58が完了すると、二次電池構造作製工程KAが終了する。
この後、二次電池100は、異物析出工程KBに投入される。
異物析出工程KBでは、先ず、工程K61において、二次電池100を、正極集電板61を下方にして横倒しにする。換言すれば、図11において、時計方向に90度回転させる。これにより、捲回電極群90の一側縁部側における正極91および負極92が同時に非水電解液に浸される。
次に、工程K62において、定電圧充電を行う。
この状態では、正極91および負極92の一部が非水電解液に浸されており、充電により、正極91が正極電位となる。このため、非水電解液中に混在している導電性の異物が正極電位を有する金属部材に接触し、プラスにイオン化される。
次に、工程K63において、二次電池100を反転して、負極集電板63を下面となるように横倒しの姿勢にする。換言すれば、図11において、反時計方向に90度回転した姿勢にする。
プラスにイオン化された異物は、非水電解液中を電気泳動して、接続片64を含む負極集電板63の表面に接触し、図11に二点鎖線で示すように、その表面の所定領域に析出物Pとして析出する。また、負極92の負極金属箔92aの負極合剤未処理部92cの側面に析出物Pとして析出する。
図14は、図11におけるXIV−XIV線で切断した拡大断面図である。図14は、下側が図11の接続片64の長手方向の外側の側辺側とした図である。また、図14においては、図示の都合上、接続片64以外の負極集電板63の部分は図示を省略し、接続片64のみが図示されている。さらに、図14においては、負極92は、実際には多数積層して溶接されているが、図面の都合上、3巻き分のみが図示されている。
図14に図示されるように、イオン化された異物は、超音波溶接により接合された負極金属箔92aの負極合剤未処理部92cの側端面および接続片64を含む負極集電板63の外表面に析出物Pとして析出する。
図14に図示される如く、析出物Pは、正極11の側端面91dからかなり離れた位置に付着される。従って、析出物Pにより、正極と負極が短絡されるようなことはない。
工程K63が完了したら、異物析出工程KBが終了し、次に、検査・エージング工程KCの処理を行う。
工程K64においては、導電性の異物が析出物Pとして析出された二次電池100を、図11に図示する電池蓋73が上面となる正規の姿勢に戻す。そして、工程K65において、エージングを行い、二次電池100の作製を終了する。
(実施形態6)
図15は、本発明の二次電池の製造方法の実施形態6を示す工程フロー図である。
実施形態6は、実施形態5における工程K63を省略した方法である。
すなわち、実施形態6では、異物析出工程KBは、実施形態5における工程K61、工程K62および工程K64で構成される。
工程K62において、正極91および負極92が同時に非水電解液に浸され、正極91が正極電位となる。このため、非水電解液中に混在している導電性の異物が正極電位を有する金属部材に接触し、プラスにイオン化される。
次に、工程K64において、二次電池100が、図11に図示されるように、電池蓋73が上面となる姿勢に戻されると、非水電解液が流動し、負極92の下端部および負極集電板63の接続片64の下端部を浸す。このため、イオン化された異物は、実施形態5の場合と同様に、負極金属箔92aの負極合剤未処理部92cの側面および接続片64を含む負極集電板63の外表面に析出する。
工程K64が完了したら、異物析出工程KBが終了し、次に、検査・エージング工程KCの処理を行う。
この場合、検査・エージング工程KCは、工程K65のエージングのみとなる。
(実施形態7)
図16は、本発明の二次電池の製造方法の実施形態7の工程フロー図である。
実施形態7では、異物析出工程KBは工程K71とK72からなり、検査・エージング工程KCは工程K73と工程K74とからなる。
封口工程K58が完了した二次電池100は、工程K71において、反転される。換言すれば、図11において、二次電池100を上下反転して、電池蓋73を下面側にする。この状態では、正極91および負極92の下端部が非水電解液に同時に浸される。
次に、工程K72において、定電圧充電を行う。
これにより、非水電解液中に混在している導電性の異物が正極電位を有する金属部材に接触し、プラスにイオン化される。そして、非水電解液中をプラスにイオン化された異物は、非水電解液中を電気泳動して、接続片64を含む負極集電板63の表面に接触し、その表面の所定領域に析出物Pとして析出する。また、負極92の負極金属箔92aの負極合剤未処理部92cの側面に析出物Pとして析出する。
以上のように、本発明の各実施形態では、二次電池構造作製後、二次電池内に注入された非水電解液中に混在する導電性の異物を、負極電位を有する二次電池の構成部材に析出させる。このため、非水電解液中に混在する導電性の異物が低減し、あるいは実質的に皆無となり、正極と負極間に入り込む導電性の異物によって生じる内部短絡の発生を低減するという効果を奏する。
なお、上記実施形態では、リチウムイオン二次電池の場合で説明した。しかし、本発明は、ニッケル水素電池またはニッケル・カドミウム電池、鉛蓄電池のように水溶性電解液を用いる二次電池にも適用が可能である。
その他、本発明の二次電池および二次電池の製造方法は、発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して適用することが可能である。
1、1A、100 二次電池
2 電池缶
3 蓋
4 電池容器
5 非水電解液
10 電極群
11 正極
12 負極
20 発電ユニット
21 負極集電部材
27 正極集電部材
30 蓋ユニット
51 粘着テープ
52 ベースフィルム
53 粘着層
61 正極集電板
62 接続片
63 負極集電板
64 接続片
71 絶縁袋
72 電池缶
73 電池蓋
90 捲回電極群
KA 二次電池構造作製工程
KB 異物析出工程
KC 検査・エージング工程
P 析出物
P’ 異物

Claims (5)

  1. 電池容器内に、正極および負極を含む電極群が収容され、電解液が注入された二次電池であって、前記負極に電気的に接続された金属部材に析出した導電性の異物が付着し、前記電池容器内に異物を捕集する粘着層が、少なくとも一部を前記電解液に接触可能に収容されていることを特徴とする二次電池。
  2. 電池容器内に、正極および負極を含む電極群を収容し、電解液を注入して注入口を封口する工程と、
    前記負極に接続された金属部材に、前記電解液中に混入している導電性の異物を溶解させ、析出させる異物析出工程とを備え、
    前記金属部材は前記電池容器の一部を構成する電池缶であり、前記電池容器は、前記電池缶と、シール部材を介して前記電池缶に固定され、前記正極に接続された電池蓋とを有し、前記異物析出工程は、前記電池蓋を下向きにして、前記電池缶の内面に異物を析出させる工程を含むことを特徴とする二次電池の製造方法。
  3. 電池容器内に、正極および負極を含む電極群を収容し、電解液を注入して注入口を封口する工程と、
    前記負極に接続された金属部材に、前記電解液中に混入している導電性の異物を溶解させ、析出させる異物析出工程とを備え、
    前記金属部材は前記負極に接続された負極集電板であり、前記電池容器は、前記電池缶と、絶縁部材を介して前記電池缶に固定され、前記正極に接続された正極端子と、前記負極に接続された負極端子とを有する電池蓋を具備し、前記異物析出工程は、前記電池蓋を下向きにして、前記負極集電板に異物を析出させる工程を含むことを特徴とする二次電池の製造方法。
  4. 請求項またはに記載の二次電池の製造方法において、前記異物析出工程は、二次電池を充電する工程と、この後、前記正極の少なくとも一部と前記金属部材の少なくとも一部とを同時に電解液中に浸す工程とを含むことを特徴とする二次電池の製造方法。
  5. 請求項またはに記載の二次電池の製造方法において、前記異物析出工程は、前記二次電池を充電する工程の前または後に、電極群が収容され、電解液が注入された前記電池容器を回転、振動または揺動のいずれか1つの動作または組み合わせの動作をさせる工程を含むことを特徴とする二次電池の製造方法。
JP2011020071A 2011-02-01 2011-02-01 二次電池およびその製造方法 Active JP5616248B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011020071A JP5616248B2 (ja) 2011-02-01 2011-02-01 二次電池およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011020071A JP5616248B2 (ja) 2011-02-01 2011-02-01 二次電池およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012160377A JP2012160377A (ja) 2012-08-23
JP5616248B2 true JP5616248B2 (ja) 2014-10-29

Family

ID=46840743

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011020071A Active JP5616248B2 (ja) 2011-02-01 2011-02-01 二次電池およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5616248B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103700511B (zh) * 2014-01-10 2017-01-11 柯贝尔电能质量技术(上海)有限公司 一种储能装置及其装配方法
CN103680999B (zh) * 2014-01-10 2016-06-08 柯贝尔电能质量技术(上海)有限公司 一种超级电容器
JP2015220216A (ja) * 2014-05-21 2015-12-07 トヨタ自動車株式会社 非水電解質二次電池の製造方法
WO2023149689A1 (ko) * 2022-02-04 2023-08-10 주식회사 엘지에너지솔루션 배터리, 그리고 이를 포함하는 배터리 팩 및 자동차

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11265705A (ja) * 1998-03-16 1999-09-28 Mitsubishi Cable Ind Ltd 電池の製造方法及びその装置
JP4661145B2 (ja) * 2004-09-17 2011-03-30 パナソニック株式会社 リチウムイオン二次電池の製造法
JP4899361B2 (ja) * 2005-07-13 2012-03-21 パナソニック株式会社 非水電解液二次電池の製造法
JP5172138B2 (ja) * 2006-12-19 2013-03-27 パナソニック株式会社 アルカリ蓄電池
JP5225805B2 (ja) * 2008-10-27 2013-07-03 日立ビークルエナジー株式会社 二次電池およびその製造方法
JP5346831B2 (ja) * 2010-02-03 2013-11-20 日立ビークルエナジー株式会社 二次電池およびその製造方法
WO2011111153A1 (ja) * 2010-03-08 2011-09-15 トヨタ自動車株式会社 非水電解液二次電池の処理装置および製造方法
JP5168318B2 (ja) * 2010-05-25 2013-03-21 トヨタ自動車株式会社 水系電解液電池及び水系電解液電池の製造方法
JP5194070B2 (ja) * 2010-07-20 2013-05-08 日立ビークルエナジー株式会社 二次電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012160377A (ja) 2012-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5194070B2 (ja) 二次電池
CN110429320B (zh) 卷绕型电池
JP4207451B2 (ja) 円筒型リチウムイオン二次電池およびその製造方法
JP5396349B2 (ja) 二次電池
JP5103496B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5470142B2 (ja) 二次電池およびその製造方法
CN104620418A (zh) 方形二次电池
KR20050028798A (ko) 2차 전지
WO2007145275A1 (ja) 非水電解質二次電池
JP2011187337A (ja) 非水電解液円筒型電池
US8337572B2 (en) Battery and method for producing the same
JP5690579B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2006032112A (ja) 電気化学素子
JP5616248B2 (ja) 二次電池およびその製造方法
JP5590410B2 (ja) 円筒形二次電池
JP2018147574A (ja) 角形リチウムイオン二次電池
JP5439317B2 (ja) 二次電池
JP5615682B2 (ja) 円筒形二次電池
JP2003007346A (ja) リチウム二次電池及びその製造方法
JP4639883B2 (ja) 非水電解液二次電池の製造方法
JP2000100467A (ja) 偏平形電池およびその製造方法
JP2012185912A (ja) 円筒形二次電池
JP2009016188A (ja) 電池
JP2006269171A (ja) 電気化学素子
JP5377472B2 (ja) リチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140121

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140404

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140430

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140627

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20140711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140812

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140911

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5616248

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250