JP2013242341A - ポリビニルアルコール樹脂フィルム材料、偏光フィルム及び偏光フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るポリビニルアルコール樹脂フィルム材料は、偏光フィルムを形成するためのポリビニルアルコール樹脂フィルムを得るために用いられる。本発明に係るポリビニルアルコール樹脂フィルム材料は、けん化度が92モル%以上であり、JIS K6726に準拠して求められる重合度が2000以上、3000以下であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められる重量平均重合度の数平均重合度に対する比が3.0未満であり、ブロックキャラクターが0.3以上、0.6以下であるポリビニルアルコールを含む。
【選択図】なし
Description
本発明に係るポリビニルアルコール(以下、PVAと記載することがある)樹脂フィルム材料は、PVA樹脂フィルムを得るために用いられる。該PVA樹脂フィルムは、偏光フィルムを形成するために用いられる。本発明に係るPVA樹脂フィルム材料は、けん化度が92モル%以上であり、JIS K6726に準拠して求められる重合度が2000以上、3000以下であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められる重量平均重合度(Pw)の数平均重合度(Pn)に対する比(Pw/Pn)が3.0未満であり、ブロックキャラクターが0.3以上、0.6以下であるPVAを含む。PVAはPVA樹脂である。本発明に係るPVA樹脂フィルム材料は、けん化度が92モル%以上であり、重合度が2000以上、3000以下であり、上記比(Pw/Pn)が3.0未満であり、ブロックキャラクターが0.3以上、0.6以下であるPVAのみを含んでいてもよい。本発明に係るPVA樹脂フィルム材料は、けん化度が92モル%以上であり、重合度が2000以上、3000以下であり、上記比(Pw/Pn)が3.0未満であり、ブロックキャラクターが0.3以上、0.6以下であるPVAであってもよく、偏光フィルムを形成するためのPVAであってもよい。
上記PVAは、従来公知の方法に従って、ビニルエステルを重合してポリマーを得た後、ポリマーをけん化、すなわち加水分解することにより得られる。けん化には、一般に、アルカリ又は酸が用いられる。けん化には、アルカリを用いることが好ましい。上記PVAは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記式(1)中、(OH,OAc)は、上記の測定から求められる2単位連続構造(OH,OAc)の割合を表す。(OH,OAc)は、実測値から求められる。(OH)は、水酸基の分量を表す。(OH)=(OH−OH)+(OH−OAc)/2で計算される。(OAc)は、残存酢酸基の割合を表す。(OAc)=(OAc−OAc)+(OH−OAc)/2で計算される。ブロックキャラクターηは0から2までの値を取り得る。残存酢酸基の連鎖分布との関係は次のとおりである。残存酢酸基の分布がブロック的な場合には0≦η<1の値を取り、ηが0の場合、完全にブロック的であり、残存酢酸基の分布がランダムな場合にはη=1であり、残存酢酸基の分布が交互的な場合には1<η≦2である。
PVAを用いてPVA樹脂フィルムを作製する際に、一般に、PVAを溶剤に溶解させる。従来、PVAと溶剤とを含む溶液中には、防腐剤は配合されていなかった。従来、防腐剤が腐食を抑えること自体は公知であるが、偏光フィルムを形成するためのPVA樹脂フィルムを得るための、PVAと溶剤とを含む溶液中には、防腐剤を配合することは一切行われていなかった。このため、仮に、従来のPVAと溶剤とを含む溶液が長期間保管されたり、高温条件や高湿条件などに晒されたりすると、溶液において腐食が生じるという問題があった。この結果、良好な偏光フィルムが得られなかったり、複数の偏光フィルムの品質にばらつきが生じたりしやすかった。
上記PVA樹脂フィルム材料は、溶剤を含むことが好ましい。上記PVA樹脂フィルム材料が溶剤を含まない場合には、上記PVA樹脂フィルム材料は、溶剤が添加されて用いられることが好ましい。PVAと溶剤とを含む材料では、腐食がより一層生じやすいという問題がある。これに対して、PVA樹脂フィルム材料が防腐剤を含むことで、PVA樹脂フィルムが溶剤を含んでいても、腐食が効果的に抑えられる。
上記PVA樹脂フィルム材料は、界面活性剤を含むことが好ましい。該界面活性剤は、PVA樹脂フィルム材料に消泡効果を付与する。このため、界面活性剤の使用により、気泡の含有が抑えられた良好なPVA樹脂フィルムが得られる。上記界面活性剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る偏光フィルムは、上述したポリビニルアルコール樹脂フィルム材料をフィルム状にしたポリビニルアルコール樹脂フィルムを染色、延伸及びホウ素化合物を用いて固定処理を行うことにより得られる。
温度計、攪拌機及び冷却管を備えた反応器内に、酢酸ビニルモノマー2200重量部及びメタノール200重量部を加え、窒素ガスを30分間吹き込んで窒素置換した後、反応器を60℃にて30分間加熱した。次いで、重合開始剤である2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部を添加した後、60℃にて3時間反応させた。反応時間終了後、反応液を冷却した。冷却後に重合率を測定したところ、重合率は18%であった。次いで、減圧下で、残留する酢酸ビニルモノマーをメタノールとともに除去する操作を、メタノールを追加しながら行い、ポリ酢酸ビニル35重量%を含むメタノール溶液を得た。このメタノール溶液の一部を取り、酢酸ビニルに対して0.04mol%の水酸化ナトリウム量となるように水酸化ナトリウムのメタノール溶液を加え、40℃でけん化を行った。得られた固形分を粉砕し、メタノールによる洗浄を行った後、乾燥することによりPVA1を得た。
酢酸ビニルモノマーの使用量を2600重量部、反応時間を3.5時間に変更してポリ酢酸ビニルを得て、次いでけん化の際のポリ酢酸ビニル濃度を39重量%、酢酸ビニルに対する水酸化ナトリウム量を0.035mol%に変更したこと以外は合成例1と同様にして、PVA2を得た。
酢酸ビニルモノマーの使用量を2000重量部、メタノールの使用量を400重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの使用量を0.4重量部、反応時間を4時間に変更してポリ酢酸ビニルを得て、次いでけん化の際のポリ酢酸ビニル濃度を40重量%、酢酸ビニルに対する水酸化ナトリウム量を0.03mol%に変更したこと以外は合成例1と同様にして、PVA3を得た。
酢酸ビニルモノマーの使用量を2700重量部、メタノールの使用量を0重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの使用量を0.2重量部、反応時間を7時間に変更してポリ酢酸ビニルを得て、次いでけん化の際のポリ酢酸ビニル濃度を40重量%、酢酸ビニルに対する水酸化ナトリウム量を0.045mol%に変更したこと以外は合成例1と同様にして、PVA4を得た。
酢酸ビニルモノマーの使用量を2300重量部、反応時間を4時間に変更してポリ酢酸ビニルを得て、次いでけん化の際のポリ酢酸ビニル濃度を50重量%、酢酸ビニルに対する水酸化ナトリウム量を0.02mol%に変更したこと以外は合成例1と同様にして、PVA5を得た。
酢酸ビニルモノマーの使用量を2000重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルの使用量を0.4重量部、反応時間を4時間に変更してポリ酢酸ビニルを得て、次いでけん化の際のポリ酢酸ビニル濃度を45重量%、酢酸ビニルに対する水酸化ナトリウム量を0.025mol%に変更したこと以外は合成例1と同様にして、PVA6を得た。
PVA1(けん化度98.0モル%、重合度2650、重量平均重合度(Pw)3450、数平均重合度(Pn)2050、比(Pw/Pn)1.68、ブロックキャラクター0.34、合成例1で合成)100重量部と、グリセリン10重量部と、防腐剤であるイソチアゾロン化合物(三愛石油社製「サンアイバック IT−20P」)0.15重量部とを混合した混合物に水を添加し、95℃で90分加熱させ、混合物濃度が40重量%であるPVA樹脂フィルム材料(水溶液)を調製した。
PVAの種類を下記の表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、PVA樹脂フィルム材料、偏光フィルム及び偏光板を得た。
(1)重量平均重合度(Pw)及び数平均重合度(Pn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ピリジン中で無水酢酸によりPVAを再酢化して得られたポリ酢酸ビニルを測定することで、PVAの重量平均重合度(Pw)及び数平均重合度(Pn)を測定した。測定値から、比(Pw/Pn)を求めた。
重水にPVAを10重量%の濃度で溶解させた水溶液を用意した。この水溶液において、13C−NMRスペクトル中のメチレン領域に現れる3本のピークの解析(47ppm、45ppm、42ppm付近)により、ブロックキャラクターを求めた。該スペクトルにおいて、3本のピークは、低磁場側より(OH,OH)、(OH,OAc)、(OAc,OAc)に相当する2単位連続構造に相当し、その積分強度は3個の構造の量に比例する。ブロックキャラクターηを、上記式(1)より求めた。
得られた偏光フィルムを目視で観察した。外観むらを下記の基準で判定した。
○:偏光フィルムに外観むらが全く見られない
△:偏光フィルムに外観むらが見られる
×:偏光フィルムに外観むらが見られるだけでなく、偏光フィルムの変形が見られる
得られた偏光板を太陽光に透かして、偏光フィルムの接着界面に気泡が含まれているか否かを観察した。気泡のかみこみを下記の基準で判定した。
○○:接着界面に気泡が含まれていない
○:接着界面に平均直径500μm未満の小さな気泡が含まれており、わずかに偏光むらがある
△:接着界面に平均直径500μm以上の大きな気泡が含まれており、偏光むらがある
×:偏光フィルムが膨潤しており、偏光フィルムの表面に凹凸があり、接着界面に多くの気泡が含まれている
得られた偏光板の偏光度Pを、島津製作所社製の分光光度計UV−3101PC装置を用いて、クロス透過率及びパラレル透過率を測定して求めた。偏光度を下記の基準で判定した。なお、クロス透過率をYC、パラレル透過率をYPとしたとき、偏光度Pは下記式で表される。
[偏光度の判定基準]
○:偏光度が99以上
△:偏光度が90以上、99未満
×:偏光度が90未満
Claims (10)
- 偏光フィルムを形成するためのポリビニルアルコール樹脂フィルムを得るために用いられるポリビニルアルコール樹脂フィルム材料であって、
けん化度が92モル%以上であり、JIS K6726に準拠して求められる重合度が2000以上、3000以下であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより求められる重量平均重合度の数平均重合度に対する比が3.0未満であり、ブロックキャラクターが0.3以上、0.6以下であるポリビニルアルコールを含む、ポリビニルアルコール樹脂フィルム材料。 - 前記ポリビニルアルコールの前記けん化度が98.5モル%以下である、請求項1に記載のポリビニルアルコール樹脂フィルム材料。
- 溶剤をさらに含む、請求項1又は2に記載のポリビニルアルコール樹脂フィルム材料。
- 前記偏光フィルムが、ポリビニルアルコール樹脂フィルム材料をフィルム状にしたポリビニルアルコール樹脂フィルムを染色、延伸及びホウ素化合物を用いて固定処理を行うことにより得られる偏光フィルムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール樹脂フィルム材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール樹脂フィルム材料をフィルム状にしたポリビニルアルコール樹脂フィルムを染色、延伸及びホウ素化合物を用いて固定処理を行うことにより得られる偏光フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリビニルアルコール樹脂フィルム材料をフィルム状にして、ポリビニルアルコール樹脂フィルムを得るフィルム化工程と、
前記ポリビニルアルコール樹脂フィルムを染色する染色工程と、
前記ポリビニルアルコール樹脂フィルムを延伸する延伸工程と、
ホウ素化合物を用いて、固定処理を行う固定化工程とを備える、偏光フィルムの製造方法。 - 前記延伸工程後に、前記固定化工程を行う、請求項6に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 前記フィルム化工程において、支持部材上に、前記ポリビニルアルコール樹脂フィルム材料を流涎し、乾燥することで、前記ポリビニルアルコール樹脂フィルムを得る、請求項6又は7に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 前記染色工程において、前記支持部材上に前記ポリビニルアルコール樹脂フィルムを積層した状態で、前記ポリビニルアルコール樹脂フィルムを染色する、請求項8に記載の偏光フィルムの製造方法。
- 前記染色工程前に、前記延伸工程を行う、請求項6〜9のいずれか1項に記載の偏光フィルムの製造方法。
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