JP5735302B2 - 偏光フィルムの製造方法、偏光フィルム及び偏光フィルム用pva系樹脂 - Google Patents

偏光フィルムの製造方法、偏光フィルム及び偏光フィルム用pva系樹脂 Download PDF

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本発明は、ポリビニルアルコール(以下、PVA)系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの製造方法に関し、より詳細には、短時間で染色し得る工程を備えた偏光フィルムの製造方法、短時間の染色工程を経て得ることができる偏光フィルム及び該偏光フィルム用PVA系樹脂に関する。
従来、液晶表示装置などにおいては、PVA系樹脂フィルムを用いて形成された偏光フィルムが広く用いられている。
PVA系樹脂を用いた偏光フィルムの製造に際しては、PVA系樹脂フィルムを一軸延伸し、次に染色し、しかる後、ホウ素化合物で固定化処理を行う。あるいは、PVA系樹脂フィルムを染色した後一軸延伸し、次にホウ素化合物で固定処理を行う。
例えば、下記の特許文献1には、このようなPVA系樹脂フィルムを用いた偏光フィルム及びその製造方法が開示されている。特許文献1では、フィルム幅が2m以上であり、幅方向に1cm離れた2点間のレターデーション差が5nm以下であり、かつ幅方向に1m離れた2点間のレターデーション差が50nm以下であるPVA系樹脂重合体フィルムが開示されている。このPVA系樹脂重合体フィルムでは、色むらが少なく、均一な延伸が可能であるとされている。
また、偏光フィルムでは、優れた偏光性能を有することが強く求められている。そのため、特許文献1では、用いるPVAとして、けん化度が95モル%以上が好ましく、特に99.5モル%以上であることが望ましいとされている。
また、例えば下記の特許文献2には、支持フィルム上にPVA系樹脂の塗布層を形成し、支持フィルムごと延伸し、染色して得られる偏光板及びその製造方法が記載されている。PVA系樹脂としては、重合度が1700と2600である、完全けん化品が開示されている。
特許第3422759号 特開2000−338329号公報
特許文献1に記載のような従来のPVA系樹脂を用いた偏光フィルムの製造に際しては、ヨウ化カリウム水溶液などを用いて染色した後に一軸延伸し、あるいは一軸延伸した後ヨウ化カリウム水溶液などを用いて染色処理を施す。また、染色及び延伸後に、ホウ酸水溶液を用いて固定化処理を行っていた。この場合、染色や固定化処理に比較的長い時間を要していた。従って、偏光フィルムの生産性が低いという問題があった。
また、特許文献2に記載された偏光板の製造方法では、ヨウ素カリウム水溶液などを塗布した後に室温で乾燥し、ホウ酸水溶液を塗布して室温で乾燥させた後に、50℃で5分間の乾燥処理を行うことによって、偏光フィルムを染色及び固定化している。この場合にも、染色や固定化処理に比較的長い時間を要しており、偏光フィルムの生産性が低いという問題があった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、短時間で確実に染色でき、かつ固定処理に必要な時間も短縮することができ、従って生産性を飛躍的に高め得る偏光フィルムの製造方法、並びに高い生産性で得ることが可能な偏光フィルム及び高い生産性を実現し得る偏光フィルム用PVA系樹脂を提供することにある。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法は、JIS K 6726に準拠して求められるけん化度が92〜98.5モル%であるPVA系樹脂からなるPVA系樹脂フィルムを用意する工程と、前記PVA系樹脂フィルムを染色する工程と、前記PVA系樹脂フィルムを延伸する工程とを備える。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法のある特定の局面では、前記PVA系樹脂フィルムを用意する工程は、支持フィルム上に前記PVA系樹脂と溶媒とを含む樹脂溶液を流延し、乾燥することにより行われる。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法の他の特定の局面では、前記PVA系樹脂フィルムを染色する工程が、前記支持フィルム上にPVA系樹脂フィルムを支持した状態で行われる。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法においては、上記染色工程を実施した後にまたは染色工程と同じ工程で延伸しても良く、延伸工程を実施した後に染色工程を実施しても良い。もっとも、固定化処理は上記染色工程が終了した後に行われる。
本発明に係る偏光フィルムは、JIS K 6726に準拠して求められたけん化度が92〜98.5モル%であるPVA系樹脂フィルムを用いて構成されている。
本発明に係る偏光フィルム用PVA系樹脂は、JIS K 6726に基づき求められるけん化度が92〜98.5モル%であるPVA系樹脂からなる偏光フィルム用PVA系樹脂である。
本発明においては、該偏光フィルム用PVA系樹脂からなるフィルムを染色及び延伸することにより得られた偏光フィルムも提供される。
本発明に係る偏光フィルムの製造方法では、けん化度が92〜98.5モル%の範囲内にあるPVA系樹脂フィルムを用いているため、後述の実施例から明らかなように、従来のPVA系樹脂フィルムを用いた偏光フィルムの製造方法に比べて染色時間を大幅に短縮することができる。また、染色後に行われる固定処理工程の時間も大幅に短縮することができる。しかも偏光性能はさほど低下しない。従って、良好な偏光性能を有するPVA系樹脂を用いた偏光フィルムを高い生産性で得ることが可能となる。
本発明に係る偏光フィルムは、けん化度が上記特定の範囲内にあるPVA系樹脂を用いて得られるため、製造工程における染色工程を大幅に短縮化することができるので、偏光フィルムのコストを大幅に低減することが可能となる。
また、本発明に係る偏光フィルム用PVA系樹脂は、けん化度が92〜98.5モル%の範囲内にあるため、上記のように染色性において非常に優れているので、偏光フィルムの生産性を大幅に高めることが可能となる。
以下、本発明の詳細を説明する
(PVA系樹脂)
本発明で用いられるPVA系樹脂は、従来より周知の方法に従って、ビニルエステルを重合し、得られたポリマーをけん化すなわち加水分解することにより得られる。本発明では、用いるPVA系樹脂のけん化度は、JIS K 6726に準拠して測定した値で、92〜98.5モル%であることが必要である。
けん化度とは、JIS K 6726に準拠して測定することにより得られた値であり、けん化によるビニルアルコール単位に変換される単位のうち、実際にビニルアルコール単位にけん化されている単位の割合を示すものである。けん化度が小さすぎると、偏光フィルムの偏光性能が低下する。けん化度が大きすぎると、染色に長時間を必要とし、偏光フィルムの生産性を高めることができない。より好ましくは、けん化度は、92〜98.5モル%の範囲である。
上記けん化度の調整方法は特に限定されないが、けん化すなわち加水分解条件により適宜調整することができる。
上記ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを用いることができる。
また、上記ビニルエステルを重合してなるポリマーは、上記ビニルエステルと他のモノマーとの共重合体であってもよい。このような他のモノマーすなわち共重合されるコモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;(メタ)アクリル酸及びその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル類;アクリルアミド、n−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩などの(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどのハロゲン化ビニル類、酢酸アリル、塩化アリルなどのアリル化合物;マレイン酸及びその塩またはそのエステル;イタコン酸及びその塩またはそのエステル;ビニルトリメトキシシランなどのビニルシリル化合物;酢酸イソプロピニルなどを挙げることができる。上記のようなコモノマーを共重合し、変性PVAとする場合、変性量は15モル%以下であることが好ましく、より好ましくは5モル%以下が望ましい。
上記PVAの重合度は特に限定されないが、好ましくは、1000〜4000、より好ましくは1500〜3000、さらに好ましくは1800〜3000の範囲である。重合度が低すぎると、偏光フィルムの強度が低下することがあり、重合度が高すぎると、溶媒に対する溶解性が低くなり、溶液流延による成膜が困難となる場合がある。なお、上記重合度は、JIS K 6726に準拠して測定することができる。
上記PVA系樹脂からなる樹脂フィルムを用意するに際しては、上記PVA系樹脂を適宜の方法で成膜する方法を用いることができる。好ましくは、支持体上において、PVA系樹脂と、溶媒とを含むPVA系樹脂溶液を流延し、乾燥する方法が用いられる。このような溶媒としては、上記PVA系樹脂を溶解し得る限り特に限定されるものではない。このような溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジグリセリンなどを挙げることができる。これらの溶媒の1種または2種以上を用いることができる。なかでも、水、水とグリセリンとの混合溶媒、ジメチルスルホキシドが、PVAの溶解に優れているため、好適に用いられる。
なお、上記PVA系樹脂溶液中には、必要に応じて、可塑剤、界面活性剤などを含有させておいてもよい。
上記可塑剤としては、特に限定されないが、多価アルコールが好適に用いられる。このような多価アルコールとしては、上記溶剤としても用いられる、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコールなどを挙げることができる。このような多価アルコールは1種のみが添加されてもよく、2種以上が添加されてもよい。延伸性を高めるためには、ジグリセリン、エチレングリコール及びグリセリンが好ましい。
上記多価アルコールの添加量は、PVA100重量部に対し1〜25重量部が好ましい。1重量部未満では、染色性や延伸性が低下するおそれがあり、25重量部を超えると、PVA系樹脂フィルムが柔軟になりすぎ、染色や延伸に際しての取扱い性が低下するおそれがある。上記界面活性剤としては、特に限定されず、適宜のアニオン性またはノニオン性の界面活性剤を好適に用いることができる。
上記PVA系樹脂溶液におけるPVA系樹脂の濃度は、特に限定されないが、5〜60重量%であることが望ましい。より好ましくは、10〜55重量%である。PVA系樹脂の濃度が低すぎると、乾燥に長時間を必要とし、良好な膜質のPVA系樹脂フィルムを得ることが困難となることがあり、高すぎると、溶液流延が困難となることがある。
上記溶液流延に際し用いられる支持フィルムとしては、溶液流延に際しPVA系樹脂溶液を表面に維持し、かつPVA系樹脂フィルムを支持し得る限り特に限定されない。このような支持フィルムを構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル系樹脂などを挙げることができる。
上記溶液流延により支持フィルム上に形成されるPVA系樹脂フィルムの厚みは、偏光フィルムを得るためには、延伸後の厚みを10〜200μmの範囲とすることが望ましい。
また、溶液流延後の乾燥については、自然乾燥、PVA系樹脂のTg以下の温度での加熱乾燥などの適宜の方法を用いることができる。
(偏光フィルムの製造)
本発明の偏光フィルムの製造方法では、上記PVA系樹脂フィルムを染色する工程と、PVA系樹脂フィルムを延伸する工程と、固定処理工程とを備える。この場合、染色後または染色と同じ工程で延伸してもよく、延伸後に染色してもよい。また、固定処理は、染色後に延伸と同時に行ってもよく、染色及び延伸工程が終わってからでもよい。
PVA系樹脂フィルムの染色に際しては、適宜の染料を用いることができる。このような染料としては、ヨウ素−ヨウカリウム、ダイレクトブラック17,19,154、ダイレクトブラウン44,106,195,210,223、ダイレクトレッド2,23,28,31,37,39,79,81,210,242,247、ダイレクトブルー1,15,22,78,90,08,151,158,202,236,249,270、ダイレクトバイオレット9,12,51,98、ダイレクトグリーン1,85、ダイレクトイエロー8,12,44,86,87、ダイレクトオレンジ26,39,106,107などの二色性染料を用いることができる。上記染料は1種のみを用いてもよく、2種以上の染料を併用してもよい。
染色に際しては、上記染料を含有する染料溶液中にPVA系樹脂フィルムを浸漬すればよい。もっとも、PVA系樹脂フィルム上に染料溶液を塗工してもよい。
また、溶液流延によりPVA系樹脂フィルムを支持フィルム上において形成する方法では支持フィルムからPVA系樹脂フィルムを剥離して染色してもよい。あるいは、支持フィルム上に支持されたPVA系樹脂フィルムを、そのままの状態で染色してもよい。支持フィルム状に支持されたPVAフィルム系樹脂フィルムを染色する場合には、まず延伸してから行うことが好ましい。いずれにしても、本発明によれば、PVA系樹脂のけん化度が、92〜98.5モル%の範囲内にあるため、染色を速やかに行うことができる。
PVA系樹脂フィルムの延伸は、PVA系樹脂フィルムを一軸延伸することにより行う。一軸延伸の方法は、湿式延伸法または乾熱延伸法のいずれあってもよい。また、染色と同時に延伸を行ってよい。その場合には、染料溶液中にPVA系樹脂フィルムを浸漬した状態で延伸すればよい。
さらに、前述したように、染料溶液を用いて染色した後に、PVA系樹脂フィルムを空気中で延伸してもよい。
延伸温度は特に限定されないが、PVA系樹脂フィルムを単独で湿式延伸する場合には30〜90℃、単独で乾熱延伸する場合は、50〜180℃の範囲の温度が好適である。支持フィルム等に支持した状態で乾熱延伸する場合、支持フィルムの種類によるが、支持フィルムが延伸される温度以上であり、かつ、PVA系樹脂フィルムの劣化や分解が起こらない温度以下に適宜設定すればよい。支持フィルムが湿式延伸に適用できるものであれば、湿式延伸してもよい。
延伸倍率については、4倍以上が好ましく、より好ましくは5倍以上である。延伸倍率を高めることにより偏光性能を高めることができる。もっとも、延伸倍率が高すぎると、均一に延伸することができないおそれがある。従って、延伸倍率は8倍以下であることが望ましい。
本発明においては、染色を終了した後に、染料をPVA系樹脂フィルムに確実に固定化するための固定処理を行う。この固定処理は、周知の方法に従って行うことができる。すなわち、ホウ酸及び/またはホウ素化合物溶液中にPVA系樹脂フィルムを浸漬することにより、上記固定処理を行うことができる。固定処理に際しての温度は特に限定されず、30〜90℃程度とすればよい。固定処理は、染色後に延伸と同時に行ってもよく、延伸後に行ってもよい。
上記のように支持フィルム上にPVA系樹脂フィルムを成膜した場合には、支持フィルムからPVA系樹脂フィルムを剥離した後延伸してもよく、支持フィルムにPVA系樹脂フィルムが積層されたまま支持フィルムごと延伸してもよい。
なお、染色前に延伸を行う場合には、支持フィルムごとPVA系樹脂フィルムを延伸することが好ましい。それによって、PVA系樹脂フィルムをより均一に延伸することができる。
上記のように染色及び延伸並びに固定処理を経た後、PVA系樹脂フィルムを乾燥することにより、本発明の偏光フィルムを得ることができる。この乾燥は、自然乾燥により行ってもよいが、乾燥速度を高めるには、加熱乾燥することが望ましい。加熱温度は30〜150℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは50〜100℃の範囲である。
上記のようにして得られた本発明の偏光フィルムは、上記のようにJIS K 6726に基づき測定されたけん化度が92〜98.5モル%である上記PVA系樹脂を用いて得られているので、染色工程及び固定処理に必要な時間を大幅に短縮することができる。従って、高い生産性で本発明の偏光フィルムを得ることができる。
なお、本発明の偏光フィルムは、液晶表示装置の偏光板などの様々な光学デバイスや表示デバイスに用いられる。その場合、通常、偏光フィルムの両面または片面に保護膜を積層し偏光板を構成することが好ましい。このような保護膜としては、三酢酸セルロース(TEC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CEB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどを用いることができる。また、貼り合わせ用の接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを用いることができる。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明の効果を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
けん化度98.5モル%のPVA系樹脂(セキスイ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:CELVOL C350、重合度2500)100重量部と、グリセリン10重量部とを混合してなる混合物に水を添加し、混合物濃度が40重量%であるPVA系樹脂水溶液を調製した。
得られたPVA系樹脂溶液を、支持フィルムとしてのポリプロピレンフィルム上に塗布し、乾燥させ、PVA系樹脂フィルムを得た。
上記支持フィルムに支持されたPVA系樹脂フィルムを、ヨウ素0.4g/リットル及びヨウ化カリウム40g/リットルの濃度でヨウ素及びヨウ化カリウムを含む水溶液中に、30℃の温度で120秒間浸漬し、染色した。次に、ホウ酸濃度40g/リットルのホウ酸55℃水溶液中にPVA系樹脂フィルムを支持フィルムごとに2分間浸漬すると同時に、支持フィルムごとにPVA系樹脂フィルムを5.5倍の延伸倍率となるように55℃の温度で一軸延伸し、偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムの厚みは25μmであった。この偏光フィルムに厚み80μmのトリアセチルセルロースフィルムを用い貼り合わせ、偏光板を得た。
(実施例2)
けん化度93モル%のPVA系樹脂(セキスイ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:CELVOL C543、重合度2450)にPVA系樹脂を変更したこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを作製し、かつ偏光板を得た。
(比較例1)
PVA系樹脂として、けん化度99.3モル%のPVA系樹脂(セキスイ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:CELVOL C165、重合度2500)を用いたことを除いては、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製し、かつ偏光板を作製した。
(比較例2)
PVA系樹脂として、けん化度99.3モル%のPVA系樹脂(セキスイ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:CELVOL C125、重合度1800)を用いたことを除いては、実施例1と同様にして偏光フィルムを作製し、かつ偏光板を作製した。
(比較例3)
PVA系樹脂として、けん化度99.3モル%のPVA系樹脂(セキスイ・スペシャリティ・ケミカルズ製、商品名:CELVOL C165、重合度2500)を用いたこと、染色時間を240秒及びホウ酸処理時間を5分間としたこと以外は実施例1と同様にして偏光フィルムを作製し、かつ偏光板を得た。
(実施例及び比較例の評価)
(1)偏光度の測定
実施例1,2及び比較例1〜3で得た各偏光板の偏光度Pを、島津製作所,分光光度計UV−3101PC装置を用いて、クロス透過率及びパラレル透過率を測定して求めた。クロス透過率をYC、パラレル透過率をYPとしたとき、偏光度P={(YP−YC)/(YP+YC)}1/2
上記偏光度の評価において、偏光度の評価を以下の基準で行った。結果を下記の表1に示す。
○:99以上
△:90以上かつ99未満
×:90未満
Figure 0005735302
表1から明らかなように、比較例3では、偏光度は良好であるものの、染色に240秒を要し、ホウ酸による固定処理に5分と非常に長い時間を要していた。
また比較例1及び2では、実施例1,2と同様に染色時間を120秒及びホウ酸処理時間を2分としたが、得られた偏光フィルムの偏光度が90未満と低かった。これに対して、実施例1及び2によれば、染色時間を120秒、固定処理時間を2分と短くしているにもかかわらず、得られた偏光フィルムの偏光度は良好であった。従って、けん化度の低いPVA系樹脂を用いた上記実施例1及び2によれば、良好な偏光性能を有する偏光フィルムを、高い生産性で得られることがわかる。

Claims (4)

  1. JIS K 6726に準拠して求められるけん化度が92〜98.5モル%であり、かつ重合度が1800〜3000であるPVA系樹脂と、該PVA系樹脂100重量部に対し、1〜25重量部の範囲で添加されている多価アルコールとを含むPVA系樹脂フィルムを用意する工程と、
    前記PVA系樹脂フィルムを染色する工程と、
    前記PVA系樹脂フィルムを延伸する工程とを備え
    前記PVA系樹脂フィルムを用意する工程を、支持フィルム上に、前記PVA系樹脂と溶媒とを含み、かつ前記PVA系樹脂の濃度が36.4〜55重量%である樹脂溶液を流延し、乾燥することにより行う、偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記PVA系樹脂フィルムを染色する工程を、前記支持フィルム上にPVA系樹脂フィルムを支持した状態で行う、請求項に記載の偏光フィルムの製造方法。
  3. 前記PVA系樹脂フィルムを染色する工程の後に、前記PVA系樹脂フィルムを延伸する、請求項1又は2に記載の偏光フィルムの製造方法。
  4. 前記PVA系樹脂フィルムを染色する工程の前、または染色工程時に、前記PVA系樹脂フィルムを延伸する工程を実施する、請求項1又は2に記載の偏光フィルムの製造方法。
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