JP2013240883A - ガスバリア性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにそのガスバリア性フィルムを備えた装置を提供する。
【解決手段】プラスチック基材1と、プラスチック基材1上に形成された有機層2と、有機層2上に形成された無機層3とを有し、有機層2が、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて形成されるガスバリア性フィルム10により、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法並びにそのガスバリア性フィルムを備えた装置に関する。
ガスバリア性フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)、液晶表示素子、薄膜トランジスタ、太陽電池、タッチパネル、電子ペーパー等の装置に対し、それらの性能を劣化させる酸素又は水蒸気等の化学成分の透過を防ぐために好ましく適用されている。特に最近の電子デバイスの高性能化と高品質化に伴い、ガスバリア性フィルムにおいても高いガスバリア性が求められている。
近年のガスバリア性フィルムには、プラスチックフィルムと、そのプラスチックフィルム上に設けられた有機層と、その有機層上に設けられた無機層とで構成されているものがある。有機層は、ガスバリア性の無機層の下に平坦化層として設けられ、無機層に生じる欠陥を低減してガスバリア性を高めるという役割を担うとされている。こうした有機層は、屋外で長期間使用されると、外部からの紫外線の照射により劣化し、有機層の透明性が低下したり、ガスバリア性フィルムのガスバリア性が低下するという問題があり、ガスバリア性フィルムを屋外で安定的に長期間使用することが難しいという問題があった。そのため、屋外で使用されるガスバリア性フィルムには、ガスバリア性に加えて、屋外での長期間の使用に耐えられる高い耐候性が求められている。
上記した構成を有するガスバリア性フィルムは、従来から種々提案されている。特許文献1には、基材上に、少なくともプライマー層及び表面保護層を積層してなるフィルムであって、そのプライマー層及び表面保護層が、それぞれ白色又は透明を呈し、その表面保護層が電離放射線硬化性樹脂及びその樹脂と反応性を有するヒンダードアミン系光安定剤又は常温で固体のヒンダードアミン系光安定剤を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなるフィルムに関する技術が提案されている。この技術によれば、極めて厳しい環境下においても黄変せず、基材上に設ける層の割れや脱離が生じない、耐候性に優れたフィルムを提供することができるとのことである。
特許文献2には、光安定剤を含有する樹脂基材の少なくとも片面に、Si又はAlを含む酸化物、窒酸化物又は窒化物を主成分とするセラミック層を少なくとも1層有し、且つ、水蒸気透過率が、0.01g/m/24時間以下であることを特徴とする耐候性樹脂基材に関する技術が提案されている。この技術によれば、熱、光及び水分による影響を受けても十分な耐候性を有する耐候性樹脂基材及び光学部材を提供することができるとのことである。
特開2011−207183号公報 WO2009/150992 A1(国際公開パンフレット)
最近の高性能化の要請はガスバリア性フィルムに対しても同様であり、必要十分なガスバリア性を確保した上で、耐候性を高くすることが望まれている。具体的には、本発明者の検討によれば、上記した特許文献1及び特許文献2に記載された技術では、初期の透明性及びガスバリア性は良好であっても、外部から長時間にわたり紫外線を照射した場合、有機層の透明性が悪化したり、ガスバリア性が低下したので、耐候性が不十分であるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決したものであって、その目的は、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルム及びその製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、良好なガスバリア性と耐候性を示す装置を提供することにある。
本発明者は、上記課題に対して鋭意検討し、ガスバリア性フィルムに外部から長時間にわたって紫外線を照射することにより、有機層の透明性が悪化したり、ガスバリア性フィルムのガスバリア性が低下する現象は、外部からの紫外線の照射により有機層に酸化反応が生じ、その結果、有機層が劣化すること(以下、単に「光酸化劣化」ともいう。)に原因があると推定した。本発明者は、電離放射線硬化性樹脂に反応性ヒンダードアミン系光安定剤及び開裂型光重合開始剤を含有させた電離放射線硬化性組成物を、紫外線照射により硬化させて有機層を形成することにより、外部からの紫外線の照射による有機層の経時的な劣化が防げられたことを見出した。具体的には、ガスバリア性フィルムを外部からの紫外線照射下に長期間保持した場合であっても、この有機層の透明性を維持でき、また、ガスバリア性フィルムの良好なガスバリア性を維持できることを見出し、本発明を完成させた。
上記課題を解決するための本発明に係るガスバリア性フィルムは、プラスチック基材と、該プラスチック基材上に形成された有機層と、該有機層上に形成された無機層とを有し、前記有機層が、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて形成されることを特徴とする。
この発明によれば、有機層が電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて形成されるので、電離放射線硬化性樹脂が均一に架橋されるとともに、電離放射線硬化性樹脂と反応性ヒンダードアミン系光安定剤とが均一に架橋されたものになると考えられる。そのため、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層から経時的にブリードアウトするのを抑制できる。また、有機層が均一に架橋されたものになり、且つ、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層に均一に含有されたものになると考えられる。その結果、外部からの紫外線照射等によりガスバリア性フィルムが経時的に劣化するのを抑制できるので、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルムになる。
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、前記ヒンダードアミン系光安定剤が、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。一般式(1)中、Rは水素、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜5のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルケニル基を示す。
Figure 2013240883
本発明に係るガスバリア性フィルムにおいて、前記電離放射線硬化性樹脂が、ウレタンアクリレート又はウレタンメタクリレートであることが好ましい。
上記課題を解決するための本発明に係る装置は、上記本発明に係るガスバリア性フィルムを備える表示装置又は発電装置であることを特徴とする。
この発明によれば、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルムを備えたので、良好な耐候性を示す装置になる。
上記課題を解決するための本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法は、プラスチック基材上に、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を塗布する工程と、前記電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて有機層を形成する工程と、前記有機層上に無機層を形成する工程と、を有することを特徴とする。
この発明によれば、プラスチック基材上に、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を塗布する工程を有するので、電離放射線硬化性樹脂を均一に架橋することができるとともに、電離放射線硬化性樹脂と反応性ヒンダードアミン系光安定剤を均一に架橋した有機層を形成できると考えられる。そのため、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層から経時的にブリードアウトするのを抑制できる。また、有機層が均一に架橋したものになり、且つ、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層に均一に含有したものになると考えられる。その結果、外部からの紫外線照射等によりガスバリア性フィルムが経時的に劣化するのを抑制できるので、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルムを製造できる。
本発明に係るガスバリア性フィルムによれば、外部からの紫外線照射等によりガスバリア性フィルムが経時的に劣化するのを抑制できるので、ガスバリア性フィルムが良好なガスバリア性と耐候性を示すものになる。また、本発明に係るガスバリア性フィルムの製造方法によれば、外部からの紫外線照射等によりガスバリア性フィルムが経時的に劣化するのを抑制できるので、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルムを製造できる。
本発明に係る装置によれば、装置が良好な耐候性示すものになる。
本発明に係るガスバリア性フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明に係るガスバリア性フィルムの他の一例を示す模式的な断面図である。 (A),(B)及び(C)は、本発明に係るガスバリア性フィルムのさらに他の一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ガスバリア性フィルム]
本発明に係るガスバリア性フィルム10は、図1〜図3に示すように、プラスチック基材1と、プラスチック基材1上に形成された有機層2と、有機層2上に形成された無機層3とを有する。そして、有機層2が、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて形成されることに特徴がある。
こうしたガスバリア性フィルム10によれば、電離放射線硬化性樹脂が均一に架橋されるとともに、電離放射線硬化性樹脂と反応性ヒンダードアミン系光安定剤とが均一に架橋されたものになると考えられるので、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層から経時的にブリードアウトするのを抑制できる。また、有機層が均一に架橋されたものになり、且つ、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層に均一に含有されたものになると考えられる。その結果、外部からの紫外線照射等によりガスバリア性フィルムが経時的に劣化するのを抑制できるので、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルムを提供できる。
なお、有機層2と無機層3は、図1に示すようにプラスチック基材1の一方の面S1にその順で少なくとも設けられるが、図2に示すように他方の面S2にも有機層2’と無機層3’とをその順で設けてガスバリア性をさらに高めてもよい。また、他方の面S2には、図1に示すように有機層2’も無機層3’も設けなくてよく、また、有機層2’を設けずに無機層3’を設けてもよい。
ガスバリア性フィルム10は、図1及び図2に示すように、平坦な有機層2と無機層3とで形成されていてもよいし、図3(A),(B)及び(C)に示すように、凹凸形状のある有機層2で形成されていてもよい。図3(A)に示すガスバリア性フィルム10Cは、プラスチック基材1の一方の面S1に単位プリズムを構成する複数の三角断面又は略三角断面の凹凸形状4が形成されている例である。こうした凹凸形状4は、凹凸形状4を有する有機層2及び無機層3で形成され、入射した光を偏向させたり、指向させたりするプリズムの機能を付与することができる。また、図3(B)に示すガスバリア性フィルム10Dは、プラスチック基材1の一方の面S1にフレネルレンズ形の凹凸形状5が形成されている例である。こうした凹凸形状5は、凹凸形状5を有する有機層2及び無機層3で形成され、入射した光を集光するフレネルレンズの機能を付与することができる。また、図示しないが、ガスバリア性フィルム10は、プラスチック基材1の一方の面にレンチキュラーレンズ形の凹凸形状を形成し、入射した光を拡散させるレンチキュラーレンズの機能を付与してもよい。
図3(C)に示すガスバリア性フィルム10Eは、プラスチック基材1の一方の面S1に凹凸形状を有する有機層2を設け、この凹凸形状の凹部に機能性材料を充填して機能性部6を形成した例であり、無機層3は、凹凸形状を有する有機層2と機能性部6との上に平坦に形成されている。こうした機能性部6としては、特に限定されないが、例えば、熱線を吸収する熱線吸収部、熱線を反射する熱線反射部等が挙げられる。有機層2に設けられた凹凸形状の凹部の側面と、ガスバリア性フィルム10Eの面に対して垂直な線Pとがなす角度θは、特に限定されないが、例えば、0°以上15°以下である。この角度θが0°の場合、機能性部6の断面形状は矩形になる。また、角度θが0°を超えると、機能性部6の断面形状は2つの底辺がガスバリア性フィルム10Eの面と平行な台形形状になり、この2つの底辺のうち、有機層2に形成された凹凸形状の凹部の底にある方が短いものになる。こうしたガスバリア性フィルム10Eは、例えば、有機層2に太陽光を透過するプリズムとしての機能を付与でき、機能性部6に熱線吸収部としての機能を付与できるので、熱線制御を目的とした機能性フィルムとして好ましく使用できる。
こうした有機層2の凹凸形状は、上記した例に限定されず、目的とする光学特性を有するように適宜設計できる。例えば、プラスチック基材1の一方の面S1に設けられる複数の単位プリズムの断面形状は、三角形の他、四角形、五角形、六角形等の多角形でもよいし、円、楕円正弦曲線等の曲線でもよいし、扇形等の直線と曲線との組み合わせ形状でもよい。また、こうした断面形状を有する単位プリズムの配列は、ガスバリア性フィルム10の表面の1方向のみに溝が形成されて単位プリズムが形成される1次元配列でもよいし、ガスバリア性フィルム10の表面に縦横方向に溝が形成されて単位プリズムが形成される2次元配列でもよい。
ガスバリア性フィルム10は、幅広い用途に応用することができる。こうした用途としては、例えば、液晶ディスプレイ反射防止用シート、太陽電池用バックシート、電子ペーパー用フィルム、プラズマディスプレーの電磁波遮蔽性フィルム、有機エレクトロルミネッセンス用フィルム、鉄道車両、自動車、自動販売機等の表面に貼付して用いられるマーキング用フィルムの表面保護等を目的としたオーバーレイフィルム、外装看板の表面保護用フィルム、建物の屋外の窓や自動車窓等に貼り合せられる採光、熱線反射、及び熱線制御等を目的とした窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム、その他各種反射フィルム、集光フィルム、採光フィルム、導光フィルム等が挙げられる。特に、ガスバリア性フィルム10は、良好な耐候性を示すので、長期間の紫外線照射により、ガスバリア性や透明性が経時的に悪化してその機能が大きく低下する問題を解消できる。そのため、主として高い耐候性が要求される用途で用いられ、特に、屋外等の紫外線に晒される環境下で好ましく使用できる。
次に、ガスバリア性フィルム10の構成要素をさらに詳しく説明する。
<基材>
プラスチック基材1は、有機層2を形成できるものであれば特に限定されないが、実使用の見地から、ポリエステル系樹脂を好ましく挙げることができる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、これらの共重合体、及びポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂のうちでも、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びこれらの共重合体が好ましい。特に好ましくは、プラスチック基材1をポリエチレンナフタレートフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムとすることである。
プラスチック基材1の材質としてポリエステル系樹脂を適用する場合、その全てがポリエステル系樹脂からなるフィルム状基材であってもよいし、有機層2が形成される側(図1における片面S1又は図2における両面S1,S2)に少なくともポリエステル系樹脂層が形成されているフィルム状積層基材であってもよい。このフィルム状積層基材において、有機層2が形成されるポリエステル系樹脂層以外の層は、ポリエステル系樹脂層でなくてもよい。ポリエステル系樹脂層以外の層の種類の選定にあたっては、耐熱性、熱膨張及び光透過性等を考慮して各種の樹脂層が任意に選定される。
プラスチック基材1の厚さは特に限定されないが、10μm以上500μm以下程度であることが好ましい。
プラスチック基材1の表面は、必要に応じて、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、加熱処理、薬品処理、及び易接着処理等の表面処理を行ってもよい。こうした表面処理の具体的な方法は従来公知のものを適宜用いることができる。また、有機層2を直接形成しない側の面には、他の機能層を設けてもよい。機能層の例としては、マット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、被印刷層、及び易接着層等が挙げられる。
<有機層>
有機層2は、プラスチック基材1上に設けられて、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて形成される。なお、ガスバリア性フィルム10は、プラスチック基材1と有機層2とが接している例であるが、本発明において、両者は必ずしも接している必要はなく、必要に応じ、その間に他の層を設けてもよい。
有機層2は、電離放射線硬化性樹脂で構成される。電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合が可能なラジカル重合性の化合物であれば特に限定されない。こうした化合物としては、アクリレート基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー(単量体)、オリゴマー及びプレポリマーから選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。こうしたオリゴマー及びプレポリマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、シリコーンアクリレート及びポリオールアクリレート等から選ばれる1種又は2種以上を挙げることができる。なお、本明細書において、「アクリレート基」は、アクリロイル基とアクリロイルオキシ基を含み、「アクリロイル基」はメタクリロイル基を含み、「アクリロイルオキシ基」はメタクリロイルオキシ基を含み、「アクリレート」はメタクリレートを含む。また、電離放射線とは、電子線及び紫外線の他、可視光線、X線、γ線等の電磁波、α線等の荷電粒子線のことであり、電離放射線硬化性樹脂とは、電離放射線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂のことである。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、単官能モノマー及び多官能モノマーを挙げることができる。単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカブロラクトン、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、スチレン等のビニルモノマー;フェノキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、バラクミルフェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソオクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、オルトフェニルフェノキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、アクリロイルモルホリン等のアクリレートモノマー;及びアクリルアミド誘導体が挙げられる。多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ノナンジオールジアクリレート、ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ビスフェノールAポリエトキシジオールジアクリレート、ビスフェノールAポリプロポキシジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリルトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等、及びこれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、及びカプロラクタン変性物等が挙げられる。こうしたモノマーは、1種を用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、そうしたモノマーが結合して生成したオリゴマーであってもよい。
電離放射線硬化性樹脂は、分子中に3以上5以下のアクリレート基を有するアクリレートモノマーを主に含有することが好ましく、こうしたアクリレートモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、グリセロールアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート等、及びこれらのエチレンオキシド変性物、プロピレンオキシド変性物、及びカプロラクタン変性物等から選ばれる1種又は2種以上のモノマーを挙げることができる。
分子中に3以上5以下のアクリレート基を有するアクリレートモノマーには、分子中に3以上5以下のアクリレート基を有するオリゴマーが含まれていてもよい。分子中に3以上5以下のアクリレート基を有するオリゴマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、及びシリコーンアクリレート等から選ばれる1種又は2種以上のオリゴマーを挙げることができる。中でも、耐候性の面からウレタンアクリレートを好ましく挙げることができる。こうしたオリゴマーは、3未満のアクリレート基を有するモノマーが結合して生成したものであってもよい。
電離放射線硬化性樹脂が分子中に3以上5以下のアクリレート基を有する多官能アクリレートモノマーを主に含有することにより、有機層2は、架橋密度が高いものになると考えられる。そのため、緻密な有機層2を形成できると考えられるので、有機層2上に緻密な無機層3を成膜できると考えられる。その結果、良好なガスバリア性を示すガスバリア性フィルム10になる。
電離放射線硬化性樹脂が2以下のアクリレート基を有するアクリレートモノマーを主に含有すると、有機層2の架橋密度が低いものになると考えられる。そのため、有機層2の緻密性が不十分になると考えられるので、有機層2上に緻密な無機層3を成膜できないおそれがある。また、電離放射線硬化性樹脂が6以上のアクリレート基を有するアクリレートモノマーを主に含有すると、有機層2が硬化する際、無機層3を成膜する際、又は、湿熱環境下に保持した際等に生じる有機層2の硬化収縮が大きくなるおそれがあり、有機層2と無機層3との密着性が低下することがある。
上記したモノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、要求される性能や工業生産性等に応じて、いずれか1種を単独で用いたり、いずれか2種を混合して用いたり、又は、それぞれの1種若しくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
反応性ヒンダードアミン系光安定剤は、反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤(HALS)のことである。ヒンダードアミン系光安定剤は、有機層2に外部からの紫外線が照射すること等により発生するラジカル分子を触媒的に捕捉し、安定化させる働きを有する。反応性官能基は、電離放射線硬化性樹脂との反応性を有する反応性官能基であれば特に限定されないが、ラジカル重合性不飽和基を有することが好ましい。反応性ヒンダードアミン系光安定剤は、具体的には、下記の一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2013240883
一般式(1)中、Rは水素、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜5のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルケニル基を示す。
反応性ヒンダードアミン系光安定剤は、一般式(1)で表わされる化合物のうち、有機層の架橋密度の観点から、Rが水素、メチル基、炭素数1〜5のアルキル基、又は、炭素数3〜5のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基で表される化合物であることが好ましい。Rが炭素数6以上のアルキル基であると、有機層2の架橋密度が低下してしまうおそれがあり、緻密な有機層2を形成できないことがある。
反応性ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレートを挙げることができる。この1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレートは、一般式(1)中、Rが水素で、Rが炭素数3のメタクリロイル基で表される。
電離放射線硬化性組成物に反応性ヒンダードアミン系光安定剤を1種又は2種以上含有させて有機層2を形成することにより、有機層2に外部からの紫外線照射等に起因するラジカル分子の発生を抑制できると考えられる。そのため、有機層2の光酸化劣化を抑制できるので、ガスバリア性フィルム10の耐候性を向上させることができる。また、反応性ヒンダードアミン系光安定剤は、電離放射線硬化性樹脂と反応性官能基を介して結合するので、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層2の表面にブリードアウトするのを抑制できる。そのため、ブリードアウトにより有機層2中のヒンダードアミン系光安定剤が経時的に減少するのを防止できると考えられる。また、有機層2と無機層3との間にヒンダードアミン系光安定剤が析出することによる有機層2と無機層3との密着性の低下を防止できる。その結果、外部からの紫外線照射等によりガスバリア性フィルム10が経時的に劣化するのを抑制できるので、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルム10になる。
反応性ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、電離放射線硬化性樹脂の全量に対して、0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。反応性ヒンダードアミン系光安定剤の電離放射線硬化性樹脂の全量に対する配合量を0.5質量%以上10質量%以下にすることにより、耐候性をより向上させることができ、また、緻密な有機層2を形成できると考えられる。反応性ヒンダードアミン系光安定剤の配合量が電離放射線硬化性樹脂の全量に対して10質量%を超えると、有機層2の架橋密度が低下するおそれがあり、緻密な有機層2を形成できないおそれがある。
開裂型光重合開始剤は、光重合開始剤のうち、光を吸収して活性化し、分子内で開裂反応を起こすことによりラジカル分子を生成するものである。このラジカル分子は、電離放射線硬化性組成物を3次元的に架橋させるラジカル重合反応を引き起こすので、電離放射線硬化性組成物を硬化させて有機層2を形成できる。開裂型光重合開始剤としては、生成したラジカル分子がヒンダードアミン系光安定剤により安定化されないものであれば特に限定されず、例えば、アセトフェノン系化合物及びアシルフォスフォンオキサイド系化合物等を挙げることができる。アセトフェノン系化合物としては、例えば、アセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、アミノアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン]、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等を挙げることができ、アシルフォスフォンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。中でも、アセトフェノン系化合物が、形成される有機層2の透明性の点から好ましい。こうした開裂型光重合開始剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
開裂型光重合開始剤の配合量は、電離放射線硬化性組成物の全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
光重合開始剤のうち、特に開裂型光重合開始剤を用いることにより、ガスバリア性フィルム10が良好なガスバリア性と耐候性を示すものになった。この理由は現段階では明らかではないが、開裂型光重合開始剤を用いることにより、電離放射線硬化性樹脂が架橋重合するに連れてラジカル重合反応が次第に生じなくなったり、ラジカル重合反応が停止したりすることを最小限に抑えることができるためであると推測される。そのため、電離放射線硬化性樹脂が均一に架橋されたものになると考えられるので、有機層2が均一に架橋されたものになると考えられる。その結果、有機層2は劣化し難く耐候性に優れるものになる。
さらに、開裂型光重合開始剤と反応性ヒンダードアミン系光安定剤を併用することで、上記した開裂型光重合開始剤の働きにより、反応性ヒンダードアミン系光安定剤を有機層2中により均一に架橋できると考えられる。そのため、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層2に均一に含有されたものになるため、有機層2に局所的な光酸化劣化が生じることを最小限に抑えることができると考えられる。その結果、外部からの紫外線照射等によりガスバリア性フィルム10が経時的に劣化するのを抑制できるので、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルム10になる。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、必要に応じて添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、熱安定剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、色素(着色染料、着色顔料)、体質顔料、光拡散剤等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、添加剤として、カップリング剤を添加してもよいし、添加しなくてもよい。有機層2と無機層3との密着性を向上させる観点からは、カップリング剤を添加することが好ましい。カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤を好ましく挙げることができる。シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、ラジカル重合性不飽和基を有するビニル系シランカップリング剤、メタクリロキシ系シランカップリング剤、及びアクリロキシ系シランカップリング剤から選ばれる1種又は2種以上を好ましく挙げることができる。安全性を考慮すると、メタクリロキシ系シランカップリング剤を用いることが最も好ましい。
電離放射線硬化性組成物には、製造時の粘度調整の見地から溶剤を含有させてもよい。溶剤としては、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ハロゲン化炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;又はこれらの混合物を挙げることができる。こうした溶媒は、本発明の要旨の範囲内において、任意の割合で混合して用いてもよい。
有機層2は、電離放射線硬化性組成物に紫外線を照射して硬化することで形成される。紫外線源としては例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯等の光源が用いられる。紫外線の波長としては、190〜380nmの波長域を使用することができる。紫外線を照射する時間は、工業生産性を考慮しつつ有機層の確実な硬化を行う見地から、適宜調整すればよい。
有機層2が紫外線照射によって硬化したものであるかどうかの判断は、有機層2が硬化物であるため、一般的には困難である。しかしながら、例えば、有機層2が電子線照射によって硬化されたものであったり、加熱により硬化されたものである場合、開裂型光重合開始剤が開裂しないまま有機層2に残留すると考えられる。そうすると、有機層2の形成後に外部から紫外線が照射されると、有機層2中に残留した開裂型光重合開始剤が開裂し、光酸化劣化を引き起こすラジカル分子を生成するので、ガスバリア性フィルム10の耐候性が低いものになると考えられる。そのため、有機層2が紫外線照射によって硬化したものであるかどうかの判断は、ガスバリア性フィルム10の耐候性を評価することで判断できる。
有機層2の厚さは、単層又は2層以上に関わらず、基板のたわみの観点から0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、さらに表面性や生産性の観点を加えると0.5μm以上10μm以下であることがより好ましい。なお、有機層2の厚さとは、有機層2の厚さが最大となる箇所の値を表す。
<無機層>
無機層3は、水蒸気等のガスを遮断する機能層として有機層2上に形成される。無機層3の形成材料としては、例えば、無機酸化物、無機酸化窒化物、無機窒化物、無機酸化炭化物、無機酸化炭化窒化物、及び酸化珪素亜鉛等から選ばれる1又は2以上の無機化合物を挙げることができる。具体的には、珪素、アルミニウム、マグネシウム、チタン、スズ、インジウム、セリウム、及び亜鉛から選ばれる1種又は2種以上の元素を含有する無機化合物を挙げることができ、より具体的には、珪素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、珪素亜鉛合金酸化物及びインジウム合金酸化物等の無機酸化物、珪素窒化物、アルミニウム窒化物、及びチタン窒化物等の無機窒化物、酸化窒化珪素等の無機酸化窒化珪素を挙げることができる。特に好ましくは、無機層3が、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、及び酸化珪素亜鉛から選ばれる1種又は2種以上からなる層である。無機層3は上記材料を単独で用いてもよいし、本発明の要旨の範囲内で上記材料を任意の割合で混合して用いてもよい。
無機層3の厚さは、使用する無機化合物によっても異なるが、ガスバリア性確保の見地から、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また、クラック等の発生を抑制する見地から、通常5000nm以下、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下である。また、無機層3は1層であってもよいし、合計厚さが上記範囲内となる2層以上の無機層3であってもよい。2層以上の無機層3の場合には、同じ材料同士を組み合わせてもよいし、異なる材料同士を組み合わせてもよい。
<その他の構成>
ガスバリア性フィルム10は、上述のとおり、プラスチック基材1、有機層2、及び無機層3で構成されているが、例えば、無機層3の上に用途に応じて他の機能層を適宜設けてもよい。他の機能層としては、例えば、マット剤層、保護層、帯電防止層、平滑化層、密着改良層、遮光層、反射防止層、ハードコート層、応力緩和層、防曇層、防汚層、及び被印刷層等が挙げられる。
[製造方法]
本発明に係るガスバリア性フィルム10の製造方法は、プラスチック基材上1に、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を塗布する工程(塗布工程)と、電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて有機層2を形成する工程(有機層形成工程)と、有機層2上に無機層3を形成する工程(無機層形成工程)と、を有することに特徴がある。
こうしたガスバリア性フィルム10の製造方法によれば、電離放射線硬化性樹脂を均一に架橋できるとともに、電離放射線硬化性樹脂と反応性ヒンダードアミン系光安定剤とを均一に架橋した有機層2を形成できると考えられる。そのため、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層2から経時的にブリードアウトするのを抑制できる。また、有機層2が均一に架橋したものになり、且つ、反応性ヒンダードアミン系光安定剤が有機層2に均一に含有したものになると考えられる。その結果、外部からの紫外線照射による経時的な光酸化劣化を抑制できるので、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルム10を製造できる。以下、各工程について説明する。
(塗布工程)
塗布工程は、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物をプラスチック基材1上に塗布する工程である。プラスチック基材1及び電離放射線硬化性組成物については、それぞれ上記「プラスチック基材」及び「有機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
電離放射線硬化性組成物をプラスチック基材1上に塗布する方法としては、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスロールコート法、リバースロールコート法、ミヤバーコート法、グラビアコート法、スピンコート法、及びダイコート法等を挙げることができる。また、有機層2が凹凸形状を有する場合は、例えば、成形型の表面に所望の凹凸形状4,5の反転形状を形成し、その成形型に電離放射線硬化性組成物を流し、その電離放射線硬化性組成物上にプラスチック基材1を載せることで、電離放射線硬化性組成物をプラスチック基材1に塗布できる。なお、成形型の表面に所望の凹凸形状4,5の反転形状を形成する方法としては、従来公知の方法を適用でき、例えば、ブラスト加工やプレス加工等の方法を適用できる。
電離放射線硬化性組成物を塗布した後は、必要に応じて乾燥を行う。乾燥温度は、常温であってもよいが、電離放射線硬化性組成物が溶剤を含有する場合には、溶剤の沸点以上の温度として溶剤を除去するための乾燥を行うことが好ましい。
(有機層形成工程)
有機層形成工程は、プラスチック基材1上に付着した電離放射線硬化性組成物に紫外線を照射して有機層2を形成する工程である。紫外線照射の条件は、上記「有機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。なお、有機層2が凹凸形状を有する場合で、成形型を用いてプラスチック基材1に電離放射線硬化性組成物を塗布した場合は、硬化後の有機層2を成形型から離型させる。また、図3(C)のガスバリア性フィルム10Eのように、有機層2に形成された凹凸形状の凹部を機能性部6とした有機層2を形成する場合は、矩形又は台形形状の凹部を有する有機層2を形成した後に、目的とする機能性材料を上記した塗布方法でこの有機層2に塗布し、その後、スキージ等で掻き取って、この凹部に機能性材料を充填させた後、機能性材料を硬化させて、上記した有機層2を形成できる。
(無機層形成工程)
無機層形成工程は、有機層2上に無機層用材料(無機層の形成材料)を堆積して無機層3を形成する工程である。無機層用材料は、上記「無機層」の説明欄で説明したとおりであるので、ここではその説明を省略する。
無機層3の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法又はプラズマ化学気相成長法等を好ましく挙げることができる。こうした各種の形成方法での成膜条件は、得ようとする無機層3の物性及び厚さ等を考慮し、従来公知の成膜条件を適宜調整して行えばよい。
より具体的には、(1)無機酸化物、無機窒化物、無機酸化窒化物、又は金属等の原料を基材上に加熱蒸着させる真空蒸着法、(2)原料に酸素ガスを導入して酸化させ、基材に蒸着させる酸化反応蒸着法、(3)ターゲット原料にアルゴンガス、酸素ガスを導入してスパッタリングすることにより、基材に堆積させるスパッタリング法、(4)原料をプラズマガンで発生させたプラズマビームで加熱させ、基材に堆積させるイオンプレーティング法、(5)有機珪素化合物等を原料とし、酸化珪素膜を基材に堆積させるプラズマ化学気相成長法、等を利用することができる。
なお、ガスバリア性フィルム10が、上述した他の機能層を有する場合には、それらの層の形成工程が任意に含まれる。
[装置]
本発明に係る装置は、上記本発明のガスバリア性フィルム10を用いる表示装置又は発電装置であることを特徴とする。これにより、良好なガスバリア性と耐候性を示すガスバリア性フィルム10を用いたので、良好な耐候性を示す装置になる。特に、屋外に使用される装置の品質特性を低下させる外部からの紫外線照射等の影響を低減できる。
表示装置としては、例えば、有機EL素子、液晶表示素子、タッチパネル、電子ペーパー等を挙げることができる。また、これらの表示装置をアクティブマトリックス駆動する薄膜トランジスタも、この表示装置に含まれる。なお、これら各表示装置の構成は特に限定されず、それぞれ従来公知の構成を適宜採用することができ、且つそうした各表示装置に適用するガスバリア性フィルム10による封止手段も特に限定されず、従来公知の手段とすることができる。
具体的には、例えば、有機EL素子としては、本発明に係るガスバリア性フィルム10上に陰極と陽極を有し、両電極の間に、有機発光層(単に「発光層」ともいう。)を含む有機層を有するものを挙げることができる。発光層を含む有機層の積層態様としては、陽極側から、正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の順に積層されている態様が好ましい。さらに、正孔輸送層と発光層との間、又は、発光層と電子輸送層との間には、電荷ブロック層等を有していてもよい。また、陽極と正孔輸送層との間に正孔注入層を有してもよく、陰極と電子輸送層との間に電子注入層を有してもよい。また、発光層は一層だけでもよく、また、第一発光層、第二発光層及び第三発光層等のように発光層を分割してもよい。さらに、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。なお、有機EL素子は発光素子であることから、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
発電装置としては、例えば、太陽電池素子(太陽電池モジュール)を挙げることができる。発電装置の構成は特に限定されず、従来公知の構成を適宜採用することができる。さらに、そうした発電装置に適用するガスバリア性フィルム10による封止手段も特に限定されず、従来公知の手段とすることができる。例えば、ガスバリア性フィルム10を太陽電池素子の裏面保護シートや表面保護シートとして用いることができる。
具体的には、例えば、太陽電池モジュールとしては、本発明に係るガスバリア性フィルム10を太陽電池バックシートとして使用した例を挙げることができる。こうした太陽電池モジュールは、太陽光側から厚さ方向に順に、前面基材(ガラス又はフィルム等の高光線透過性を有するもの)、充填材、太陽電池素子、リード線、端子、端子ボックス、太陽電池バックシートの構成で、それらがシール材を介して両端の外装材(アルミニウム枠等)に固定されている。その太陽電池バックシートとしては、裏面封止用フィルムと、外層側に配置されるフィルムとの間に、本発明に係るガスバリア性フィルム10を挟んで構成される例を挙げることができるし、外層側に配置されるフィルムとして本発明に係るガスバリア性フィルム10を用いる例を挙げることができる。裏面封止用フィルムとしては、太陽電池モジュール側で太陽光を反射して電換効率を高めるべく、高度な反射率を有する例えば白色のポリエステルフィルム等が使用される。また、外層側に配置されるフィルムとしては、耐候性が要求されるので、高い耐候性を有するガスバリア性フィルム10を好ましく適用できる。
本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
プラスチック基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製、商品名:コスモシャイン A4100)の片面に、下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物Aをダイコートにて塗布し、70℃で1分間乾燥させた後、波長260nm〜400nmの範囲の紫外線を積算光量300mJ/cmの条件で照射し、厚さ3μmの有機層を形成した。
(電離放射線硬化性組成物Aの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア184):0.4質量部
無機層は、上記有機層上に形成した。具体的には、上記有機層が形成されたプラスチック基材の有機層側を成膜する向きにしてホローカソード型イオンプレーティング装置にセットした。そして、蒸発源材料である酸化珪素(高純度化学研究所製)をホローカソード型イオンプレーティング装置内の坩堝に投入した後、真空引きを行った。真空度が5×10−4Paまで到達した後、プラズマガンにアルゴンガスを15sccm導入し、電流110A、電圧90Vのプラズマを発電させた。チャンバー内を1×10−1Paに維持することと磁力によりプラズマを所定方向に曲げ、蒸発源材料に照射させた。坩堝内の蒸発源材料は溶融状態を経て昇華することが確認された。イオンプレーティングを15秒間行って基板に堆積させることにより、膜厚70nmの酸化珪素層を形成した。
以上のようにして得た実施例1のガスバリア性フィルムの層構成は、プラスチック基材と、有機層と、無機層とがその順で積層した層構成である。
[実施例2]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物Bは、開裂型光重合開始剤の種類を変更したこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物Bの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−{4−(1−メチルビニル)フェニル}プロパノン](開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:エサキュアワン):0.4質量部
[実施例3]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例3のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物Cは、開裂型光重合開始剤の種類を変更したこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物Cの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア907):0.4質量部
[実施例4]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例4のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物Dは、開裂型光重合開始剤の種類を変更したこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物Dの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア369):0.4質量部
[実施例5]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例5のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物Eは、開裂型光重合開始剤の種類を変更したこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物Eの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア819):0.4質量部
[実施例6]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物Fを用いたこと以外は、実施例1と同様にして実施例6のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物Fは、電離放射線硬化性樹脂と反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤の配合量を変更したこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物Fの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19.6質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):0.4質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア184):0.4質量部
[比較例1]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物aを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例1のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物aは、反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤の代わりに、反応性官能基を有さないヒンダードアミン系光安定剤を用いたこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物aの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・デカン二酸ビス[2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物(反応性官能基を有さないヒンダードアミン系光安定剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:チヌビン123):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア184):0.4質量部
[比較例2]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例2のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物bは、反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤を含有しないで、電離放射線硬化性樹脂の含有量を変更したこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物bの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):20質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(開裂型光重合開始剤、日本チバガイギー株式会社製、商品名:イルガキュア184):0.4質量部
[比較例3]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物cは、開裂型光重合開始剤の代わりに水素引き抜き型光重合開始剤を用いたこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物cの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・4−フェニルベンゾフェノン(水素引き抜き型光重合開始剤、LAMBSON社製、商品名:スピードキュアPBZ):0.4質量部
[比較例4]
下記の組成に調製した電離放射線硬化性組成物dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較例4のガスバリア性フィルムを製造した。電離放射線硬化性組成物dは、開裂型光重合開始剤の代わりに水素引き抜き型光重合開始剤を用いたこと以外は、電離放射線硬化性組成物Aと同様のものである。
(電離放射線硬化性組成物dの組成)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(電離放射線硬化性樹脂、日本化薬株式会社製、商品名:PET−30):19質量部
・1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート(反応性官能基を有するヒンダードアミン系光安定剤、株式会社ADEKA製、商品名:LA82):1質量部
・メチルエチルケトン:37.5質量部
・トルエン:37.5質量部
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(メタクリロキシ系シランカップリング剤、信越化学工業株式会社製、商品名:KBM−503):5質量部
・4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド(水素引き抜き型光重合開始剤、LAMBSON社製、商品名:スピードキュアBMS):0.4質量部
実施例1〜6及び比較例1〜4の電離放射線硬化性組成物の組成を表1に示す。なお、反応性ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、電離放射線硬化性樹脂の全量に対しての配合量を表し、光重合開始剤の反応欄は、ラジカル分子を発生させる反応形式を表している。
Figure 2013240883
[評価と結果]
実施例1〜6及び比較例1〜4のガスバリア性フィルムについて、(ア)製造直後(初期)の水蒸気透過率の測定、(イ)耐候性試験後の水蒸気透過率の測定、(ウ)耐候性試験後のヘイズ測定、(エ)製造直後と耐候性試験後の黄変測定を行った。
水蒸気透過率の測定は、温度37.8℃、湿度100%RHの雰囲気下で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN−W3/31)を用いて行った。この装置の測定限界は、0.05g/m/dayである。
耐候性試験は、超促進耐候性試験機(岩崎電気株式会社製、商品名:アイスーパーUVテスター、型番:SUV−W23)を用いて、ガスバリア性フィルムに下記の(A),(B),(C)を1サイクルとし、これを21サイクル繰り返すことにより行った。
(A)温度:63℃、湿度:50%RHの雰囲気下で、照度:60mW/cm、ピーク波長:365nmの紫外線を20時間照射する。
(B)散水処理(シャワー)を30秒間行う。
(C)温度:63℃、湿度:98%RHの雰囲気下で4時間保持する(紫外線の照射は無し)。
ヘイズ測定は、全自動直読ヘイズコンピューター(スガ試験機株式会社製、型番:HGM−2DP)を用いて、厚み方向のヘイズを測定することにより行った。結果は、ヘイズが1.0%未満のものを「良い」とし、ヘイズが1.01%以上3.0%未満のものを「悪い」とし、ヘイズが3.01%以上のものを「非常に悪い」とした。
黄変測定は、分光式色差計(日本電色工業株式会社製、型番:SE−2000)を用いて、JIS−K7105の記載に準拠して透過法により行った。黄変の評価は、JIS−K7105に規定される色相を示す尺度のうち、黄味を示す尺度であるb値の増加量により行なった。結果は、耐候性試験後のb値の増加量が1.0未満のものを「良い」とし、耐候性試験後のb値の増加量が1.0以上3.0未満のものを「悪い」とし、耐候性試験後のb値の増加量が3.0以上のものを「非常に悪い」とした。
結果を表2に示す。
Figure 2013240883
表2から、実施例1〜6のガスバリア性フィルムは、耐候性試験前後において、水蒸気透過率が0.05g/m/day未満となり、高いガスバリア性と耐候性を示した。また、耐候性試験後において低いヘイズ値を示し、顕著な黄変の増加も確認されなかったので、優れた耐候性を示した。
比較例1のガスバリア性フィルムは、初期の水蒸気透過率が高く、ガスバリア性が不十分であった。また、耐候性試験後において、高いヘイズ値を示し、且つ黄変が増加して、透明性が低下した。比較例2のガスバリア性フィルムは、初期のガスバリア性は良好であったが、耐候性試験後において、水蒸気透過率が高くなりガスバリア性が低下し、また、高いヘイズ値を示し、且つ黄変が増加して透明性が低下した。比較例3,4のガスバリア性フィルムは、初期の水蒸気透過率は低く、ガスバリア性は若干良好であったが、耐候性試験後において、水蒸気透過率が高くなりガスバリア性が低下し、また、高いヘイズ値を示し、且つ黄変が増加して透明性が低下した。
1 プラスチック基材
2,2’ 有機層
3,3’ 無機層
4,5 凹凸形状
6 機能性部
10,10A,10B,10C,10D,10E ガスバリア性フィルム
S1 プラスチック基材の片面
S2 プラスチック基材の他の面

Claims (5)

  1. プラスチック基材と、該プラスチック基材上に形成された有機層と、該有機層上に形成された無機層とを有し、
    前記有機層が、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて形成されることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記ヒンダードアミン系光安定剤が、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
    Figure 2013240883
    (式中、Rは水素、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜5のアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を示し、Rは炭素数2〜4のアルケニル基を示す。)
  3. 前記電離放射線硬化性樹脂が、ウレタンアクリレート又はウレタンメタクリレートである、請求項1又は2に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルムを備える表示装置又は発電装置であることを特徴とする装置。
  5. プラスチック基材上に、電離放射線硬化性樹脂、反応性ヒンダードアミン系光安定剤、及び開裂型光重合開始剤をそれぞれ1種又は2種以上含有する電離放射線硬化性組成物を塗布する工程と、
    前記電離放射線硬化性組成物を紫外線照射により硬化させて有機層を形成する工程と、
    前記有機層上に無機層を形成する工程と、を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
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