JP2001322206A - ガスバリア性プラスチック成形品およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア性プラスチック成形品およびその製造方法

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JP2001322206A
JP2001322206A JP2000142948A JP2000142948A JP2001322206A JP 2001322206 A JP2001322206 A JP 2001322206A JP 2000142948 A JP2000142948 A JP 2000142948A JP 2000142948 A JP2000142948 A JP 2000142948A JP 2001322206 A JP2001322206 A JP 2001322206A
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layer
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JP2000142948A
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Takashi Shibuya
崇 澁谷
Toshihiko Higuchi
俊彦 樋口
Satoshi Kondo
聡 近藤
Hirotsugu Yamamoto
博嗣 山本
Hiroshi Shimoda
博司 下田
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア性、耐磨耗性および基材との密着
性に優れた硬化物層(ガスバリア性被膜)を有するガス
バリア性プラスチック成形品およびその製造方法の提
供。 【解決手段】 基材の表面に、順次、活性エネルギ線硬
化性の重合性官能基を2個以上有する多官能性化合物
(a)と光重合開始剤を含む活性エネルギ線硬化性の被
覆組成物(A)、ポリシラザンを主成分とする硬化性の
被覆組成物(B)および(C)の硬化物の層を形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリア性、耐
磨耗性および基材との密着性に優れた硬化物層を有する
ガスバリア性プラスチック成形品およびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ガスバリア性を有する透明プラス
チック基材のニーズが大きくなっている。このようなガ
スバリア性を有する透明プラスチック基材としては、塩
化ビニリデン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリビニ
ルアルコール系樹脂などのガスバリア性の高い樹脂や、
基材の表面にこれらの樹脂をコートしたもの、基材の表
面にアルミナやシリカなどの金属酸化物を蒸着したもの
などが挙げられる。
【0003】たとえば、ガスバリア性の要求される液晶
表示素子やエレクトロルミネッセンス表示素子などに用
いられる基板には、一般にガスバリア性の高いガラスが
用いられている。しかし、ガラスは衝撃に弱く、また重
いため、その代替品としてガスバリア性を有する透明プ
ラスチック基材が用いられるようになっている。表示素
子用途のガスバリア性プラスチック基材としては、透明
性の高い樹脂基材の表面に、真空蒸着法やスパッタリン
グ法などの物理的方法やCVDなどの化学的方法などの
気相法によってガスバリア性被膜、たとえば金属酸化物
の被膜を形成したものが広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
気相法によるガスバリア性被膜では、性能的にガスバリ
ア性、耐擦傷性、耐久性などの点で満足できるものでは
なかった。また、該被膜の形成には、高真空系での精密
な雰囲気制御が必要であるため装置が複雑で大型化し、
必然的に製造コストが高くなっていた。
【0005】また、たとえば特開平8−281861号
公報、特開平11−151774号公報などには、合成
樹脂フィルムの表面に無機酸化物の蒸着膜を設け、その
表面にポリシラザンを塗工してガスバリア性被膜を形成
したガスバリア性フィルムが提案されている。これらの
ガスバリア性フィルムは、ガスバリア性に関してはある
程度満足した性能が得られるが、やはり耐磨耗性および
基材との密着性に関しては未だ充分な性能ではない。
【0006】一方、本出願人による特開平11−240
103号公報には、最外層に接する活性エネルギ線硬化
性の重合性官能基を2個以上有する多官能性化合物
(a)を含む活性エネルギ線硬化性被覆組成物(A)の
硬化物からなる内層と、ポリシラザンまたはポリシラザ
ンを含む被覆組成物からなる被覆剤(B)の硬化物から
なる最外層(シリカ層)を含む少なくとも2層以上の透
明硬化物層を有する透明被覆成形品が記載されている。
この透明被覆成形品は、高い耐擦傷性を有するものの、
内層と最外層の密着性を高めるためには、被覆組成物
(A)と被覆剤(B)の混合層部分を厚くする必要があ
り、その結果、最外層(シリカ単独層)が薄くなってし
まい、ガスバリア性については不充分であった。
【0007】本発明は、ガスバリア性、耐磨耗性および
基材との密着性に優れた硬化物層を有するガスバリア性
被膜が形成されたガスバリア性プラスチック成形品およ
びその製造方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、透明プラスチック基材の片面に、下記被覆組成物
(A)の硬化物の層を形成し、その表面に下記被覆組成
物(B)の硬化物の層を形成し、さらにその表面に下記
被覆組成物(C)の硬化物の層を形成して得られるガス
バリア性プラスチック成形品である。
【0009】被覆組成物(A):活性エネルギ線硬化性
の重合性官能基を2個以上有する多官能性化合物(a)
と光重合開始剤を含む活性エネルギ線硬化性の被覆組成
物。 被覆組成物(B):ポリシラザンを主成分とする硬化性
の被覆組成物。 被覆組成物(C):ポリシラザンを主成分とする硬化性
の被覆組成物。
【0010】本発明の第2は、上記ガスバリア性プラス
チック成形品を製造する方法において、前記透明プラス
チック基材の少なくとも片面に、前記被覆組成物(A)
を塗工後、活性エネルギ線を照射して被覆組成物(A)
の部分硬化物の層を形成した後、前記被覆組成物(B)
を塗工し、活性エネルギ線を照射して、さらに被覆組成
物(C)を塗工した後、これらの層の硬化を活性エネル
ギ線照射、加熱または室温放置により行うことを特徴と
するガスバリア性プラスチック成形品の製造方法であ
る。
【0011】本発明によれば、きわめて優れた耐磨耗性
を有し、かつ基材との密着性およびガスバリア性にも優
れた硬化物層を有するガスバリア性プラスチック成形品
を提供できる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下の説明において、活性エネル
ギ線硬化性の重合性官能基を2個以上有する多官能性化
合物(a)は単に多官能性化合物(a)という。また、
アクリロイル基およびメタクリロイル基を総称して(メ
タ)アクリロイル基といい、(メタ)アクリロイルオキ
シ基、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートなど
の表現も同様とする。
【0013】本発明のプラスチック成形品は、基材の少
なくとも片面に、少なくとも被覆組成物(A)の硬化物
の層を形成し、その表面に被覆組成物(B)の硬化物の
層を形成し、さらにその表面に被覆組成物(C)の硬化
物の層を形成して得られるガスバリア性被膜を有する。
本発明においては、被覆組成物(B)の硬化物の層は被
覆組成物(A)の硬化物の層の表面に直接形成されてい
ることが好ましい。また、被覆組成物(C)の硬化物の
層は被覆組成物(B)の硬化物の層の表面に直接形成さ
れていることが好ましい。各被覆組成物の硬化物の層が
上記のように形成されることにより、高い密着性を確保
できると共に、高い耐擦傷性が得られる。
【0014】また、基材と被覆組成物(A)の硬化物の
層との間には、接着剤層や合成樹脂塗料などの層、また
は他の合成樹脂、たとえば、熱可塑性アクリル樹脂など
の熱可塑性樹脂の層からなる第3の層が存在していても
よい。
【0015】まず、被覆組成物(A)について説明す
る。被覆組成物(A)に含まれる多官能性化合物(a)
としては、特開平11−240103号公報の段落番号
0016〜0020、0023〜0047に記載された
化合物が好ましく挙げられる。
【0016】好ましい多官能性化合物(a)としては、
(メタ)アクリロイル基から選ばれる1種以上の重合性
官能基を2個以上(2〜50個が好ましく、より好まし
くは3〜30個)有する化合物が挙げられる。その中で
も(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合
物、すなわち多価アルコールなどの2個以上の水酸基を
有する化合物と(メタ)アクリル酸とのポリエステルが
好ましい。特に、ウレタン結合を有する(メタ)アクリ
ロイル基含有化合物(以下、アクリルウレタンとい
う。)と、ウレタン結合を有しない(メタ)アクリル酸
エステル化合物が好ましい。
【0017】上記アクリルウレタンとしては、ペンタエ
リスリトールやその多量体であるポリペンタエリスリト
ールとポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メ
タ)アクリレートの反応生成物であるアクリルウレタ
ン、またはペンタエリスリトールやポリペンタエリスリ
トールの水酸基含有ポリ(メタ)アクリレートと、ポリ
イソシアネートとの反応生成物であるアクリルウレタン
であって、活性エネルギ線硬化性の重合性官能基を3個
以上(より好ましくは4〜20個)有する多官能性化合
物が挙げられる。
【0018】また、ウレタン結合を有しない(メタ)ア
クリル酸エステル化合物としては、ペンタエリスリトー
ル系ポリ(メタ)アクリレート、およびイソシアヌレー
ト系ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、ペ
ンタエリスリトール系ポリ(メタ)アクリレートとは、
ペンタエリスリトールやポリペンタエリスリトールと
(メタ)アクリル酸とのポリエステル(好ましくは活性
エネルギ線硬化性の重合性官能基を4〜20個有す
る。)をいう。また、イソシアヌレート系ポリ(メタ)
アクリレートとは、トリス(ヒドロキシアルキル)イソ
シアヌレート、またはトリス(ヒドロキシアルキル)イ
ソシアヌレート1モルに1〜6モルのカプロラクトンや
アルキレンオキシドを付加して得られる付加物と、(メ
タ)アクリル酸とのポリエステル(好ましくは活性エネ
ルギ線硬化性の重合性官能基を2〜3個有する。)をい
う。
【0019】本発明においては、上記の好ましい多官能
性化合物と、他の活性エネルギ線硬化性の重合性官能基
を2個以上有する多官能性化合物(特に多価アルコール
のポリ(メタ)アクリレート)とを併用してもよい。
【0020】被覆組成物(A)は、上記の多官能性化合
物(a)と共に、活性エネルギ線によって重合しうる重
合性官能基を1個有する単官能性化合物(以下、単に単
官能性化合物という。)を含有してもよい。
【0021】単官能性化合物としては、(メタ)アクリ
ロイル基を有する化合物が好ましく、特にアクリロイル
基を有する化合物が好ましい。また、その他に水酸基、
エポキシ基などの官能基を有していてもよい。
【0022】好ましい単官能性化合物は、(メタ)アク
リル酸エステル、すなわち(メタ)アクリレートであ
り、具体的には、特開平11−240103号公報の段
落番号0049に記載されたものが挙げられる。
【0023】単官能性化合物を使用する場合、被覆組成
物(A)における、多官能性化合物(a)および単官能
性化合物(以下、これらを活性エネルギ線硬化性成分と
いう。)との合計に対する該単官能性化合物の割合は、
特に限定されないが、60質量%以下が好ましく、特に
30質量%以下が好ましい。単官能性化合物の割合が多
すぎると、被覆組成物(A)の硬化物が柔らかくなりす
ぎてしまい、後述する被覆組成物(C)の硬化物の層を
形成した際の耐磨耗性が低下する。
【0024】被覆組成物(A)は、活性エネルギ線硬化
性成分を効率よく硬化させるために、光重合開始剤を含
む。光重合開始剤としては、公知のものを使用でき、特
に入手容易な市販のものが好ましい。
【0025】光重合開始剤としては、アリールケトン系
光重合開始剤(たとえば、アセトフェノン類、ベンゾフ
ェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル
類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジ
メチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−ア
シロキシムエステル類など)、含イオウ系光重合開始剤
(たとえば、スルフィド類、チオキサントン類など)、
アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ジアシルホ
スフィンオキシド系光重合開始剤、その他の光重合開始
剤が挙げられる。
【0026】具体的には、特開平11−240103号
公報の段落番号0081〜0085に記載された化合物
が挙げられる。本発明においては、アシルホスフィンオ
キシド系光重合開始剤またはジアシルホスフィンオキシ
ド系光重合開始剤が特に好ましい。光重合開始剤は、複
数の種類を併用してもよく、アミン類などの光増感剤と
組み合わせて使用してもよい。
【0027】被覆組成物(A)における光重合開始剤の
量は、活性エネルギ線硬化性成分100質量部に対して
0.01〜20質量部が好ましく、特に0.1〜10質
量部が好ましい。
【0028】さらに、被覆組成物(A)には、上記の基
本的成分以外に下記の溶剤や種々の機能性配合剤を含む
ことができる。
【0029】被覆組成物(A)において、溶剤は通常必
須の成分であり、活性エネルギ線硬化性成分が特に低粘
度の液体でないかぎり溶剤が使用される。
【0030】溶剤としては、特開平11−240103
号公報の段落番号0089に記載された溶媒や、同公報
の段落番号0055に記載された後述するコロイド状シ
リカを修飾する際に用いられる分散媒をそのまま溶剤と
して用いることができる。なお、基材の種類によって適
切な溶剤を選択して用いることが好ましく、たとえば基
材が耐溶剤性の低い芳香族ポリカーボネート系樹脂の場
合には、低級アルコール類、セロソルブ類、エステル
類、炭化水素類またはそれらの混合物などを用いること
が好ましい。本発明においては、イソプロピルアルコー
ル、メチルエチルケトン、ジブチルエーテル、エチルセ
ロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、キシレン
または酢酸ブチルが特に好ましい。
【0031】また、溶剤の量は必要とする組成物の粘
度、目的とする硬化物層の厚さ、乾燥温度条件などによ
り適宜変更できる。
【0032】本発明において、溶剤は、被覆組成物
(A)中の活性エネルギ線硬化性成分に対して質量で1
00倍以下、好ましくは0.1〜50倍用いられる。
【0033】一方、機能性配合剤としては、ポリメタク
リル酸メチル系樹脂(PMMA)などの高分子量化合
物、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、熱重合防止
剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、赤外
線吸収剤、蛍光増白剤、分散剤、防錆剤、帯電防止剤、
硬化性触媒(酸、アルカリ、塩類)、コロイド状シリ
カ、シランカップリング剤からなる群から選ばれる1種
以上の機能性配合剤が挙げられる。本発明においては、
PMMAなどの高分子量化合物、紫外線吸収剤、光安定
剤などを用いることが特に好ましい。たとえばPMMA
を配合することにより、硬化物層の密着性をより高める
ことができる。
【0034】紫外線吸収剤としては、合成樹脂用紫外線
吸収剤として通常使用されているようなベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、
サリチル酸系紫外線吸収剤などが好ましい。具体的に
は、特開平11−240103号公報の段落番号009
3に記載された化合物が挙げられる。
【0035】光安定剤としては、同様に合成樹脂用光安
定剤として通常使用されているようなヒンダードアミン
系光安定剤(2,2,6,6−テトラアルキルピペリジ
ン誘導体など)が好ましい。具体的には、特開平11−
240103号公報の段落番号0094に記載された化
合物が挙げられる。本発明においては、N−メチル−4
−メタクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジンが特に好ましい。
【0036】コロイド状シリカとしては、特開平11−
240103号公報の段落番号0050〜0078に記
載されている表面未修飾のコロイド状シリカ、または加
水分解性ケイ素基または水酸基が結合したケイ素基を有
する化合物(修飾剤)を用いて表面修飾したコロイド状
シリカ(修飾コロイド状シリカ)を使用できる。また、
コロイド状シリカの平均粒径は、200nm以下が好ま
しく、1〜100nmがより好ましく、1〜50nmが
特に好ましい。
【0037】コロイド状シリカの使用量は、活性エネル
ギ線硬化性成分100重量部に対して5〜300質量部
が好ましく、10〜250質量部がより好ましい。使用
量が少なすぎると充分な耐磨耗性が得られ難く、使用量
が多すぎると曇り(ヘーズ)が発生しやすくなり、また
形成した硬化物層にクラックが生じやすくなるため好ま
しくない。
【0038】被覆組成物(A)により形成される硬化物
の層の厚さは1〜50μmが好ましく、特に2〜30μ
mが好ましい。被覆組成物(A)により形成される層の
厚さが50μm超では、活性エネルギ線による硬化が不
充分になり、基材との密着性が損なわれやすくなる。一
方、1μm未満では、この層の耐磨耗性が不充分となる
おそれがあり、また、後述する被覆組成物(C)の硬化
物の層の耐磨耗性や耐傷付き性が充分発現できないおそ
れがある。
【0039】以下、被覆組成物(B)について説明す
る。被覆組成物(B)に含まれるポリシラザンとして
は、実質的に有機基を含まないポリシラザン(ペルヒド
ロポリシラザン)、アルキル基、アルケニル基、アリー
ル基、シクロアルキル基、または、これらの基の炭素原
子に結合した水素原子の一部または全部を置換基で置換
した基がケイ素原子に結合したポリシラザン、アルコキ
シ基などの加水分解性基がケイ素原子に結合したポリシ
ラザン、窒素原子にアルキル基などの有機基が結合して
いるポリシラザンなどが挙げられる。
【0040】ポリシラザンから形成されるシリカは、加
水分解性シラン化合物から形成されるシリカに比べて、
より緻密なシリカが形成される。たとえばペルヒドロポ
リシラザンから形成されたシリカは、4官能性の加水分
解性シラン化合物(たとえばテトラアルコキシシラン)
から形成されたシリカに比べて、より緻密であり、ガス
バリア性、耐摩耗性などの特性に優れている。
【0041】ポリシラザンは、ケイ素原子に加水分解性
基を有している場合は、硬化の際の加水分解反応により
実質的に有機基を含まないシリカを形成する。特にペル
ヒドロポリシラザンは、その焼成温度の低さおよび焼成
後の硬化物の緻密さの点で好ましい。ペルヒドロポリシ
ラザンが充分に硬化した硬化物は窒素原子をほとんど含
まないシリカとなる。
【0042】また、ケイ素原子にアルキル基などの有機
基が結合しているポリシラザンの場合は、形成される有
機基を含むシリカが、ペルヒドロポリシラザンから形成
されるシリカに比べてガスバリア性、耐摩耗性などの特
性に劣ることがあるが、より強靭な硬化物層が得られ、
また層を厚くできるので、目的によってはペルヒドロポ
リシラザンよりも好ましいことがある。
【0043】これらのポリシラザンは、鎖状、環状もし
くは架橋構造を有する重合体、または分子内にこれらの
複数の構造を有する混合物からなる。ポリシラザンの分
子量は数平均分子量で100〜5万が好ましい。数平均
分子量が100未満では、焼成しても均一な硬化物が得
られにくく、5万超では、溶剤に溶解しにくくなり、好
ましくない。
【0044】被覆組成物(B)には、ポリシラザン以外
に下記の溶剤や種々の機能性配合剤を含むことができ
る。
【0045】溶剤としては、炭化水素類、ハロゲン化炭
化水素類、エーテル類、エステル類、ケトン類を使用で
きる。具体的には、特開平11−240103号公報の
段落番号0106に記載された溶媒が好ましく挙げられ
る。本発明においては、キシレンまたはジブチルエーテ
ルが特に好ましい。
【0046】また、溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶
剤の蒸発速度を調節するために、複数の種類の溶剤を混
合して用いてもよい。
【0047】溶剤の使用量は、採用される塗工方法また
はポリシラザンの構造や平均分子量などによって異なる
が、固形分濃度で0.5〜80質量%となるように調製
することが好ましい。
【0048】機能性配合剤としては、上記被覆組成物
(A)で用いられる機能性配合剤が好ましく挙げられ
る。
【0049】被覆組成物(B)により形成される硬化物
の層の厚さは0.01〜10μmが好ましく、特に0.
05〜3μmが好ましい。被覆組成物(B)により形成
される硬化物の層の厚さが0.01μm未満では、充分
な耐磨耗性が得られない。また、10μm超でも、それ
以上の耐磨耗性の向上は期待できず、クラックが生じる
可能性が高くなる。
【0050】次に、被覆組成物(C)について説明す
る。被覆組成物(C)に含まれるポリシラザンとして
は、上記被覆組成物(B)で用いられるポリシラザンと
同様の化合物を使用できる。特に、緻密なシリカの薄膜
を、低温で形成できるポリシラザンが好ましい。その中
でも、実質的に有機基を含まないポリシラザン、すなわ
ちペルヒドロポリシラザンが最も好ましい。
【0051】一方、厚い膜を形成できるという点から、
ケイ素原子や窒素原子にアルキル基などの有機基が結合
しているポリシラザンが好ましい場合もある。
【0052】本発明においては、上記被覆組成物(B)
に含まれるポリシラザンと被覆組成物(C)に含まれる
ポリシラザンとが同じであってもよく、異なっていても
よい。
【0053】また、被覆組成物(C)には、ポリシラザ
ン以外に上記被覆組成物(B)で用いられる溶剤や種々
の機能性配合剤を含むことができる。
【0054】被覆組成物(C)により形成される硬化物
の層の厚さは0.01〜10μmが好ましく、特に0.
05〜3μmが好ましい。被覆組成物(C)により形成
される硬化物の層の厚さが0.01μm未満では、充分
なガスバリア性および耐磨耗性が得られない。また、1
0μm超でも、それ以上のガスバリア性および耐磨耗性
の向上は期待できず、層が脆くなり、成形品のわずかな
変形によってもこの層にクラックが生じる可能性が高く
なる。
【0055】上記のような被覆組成物(A)、(B)お
よび(C)の硬化物層を有するガスバリア性被膜は、酸
素透過性が10(mL/m2・24hr・(1.013
×105Pa))以下であって、かつ水蒸気透過性が1
0(g/m2・24hr)以下であることが好ましい。
すなわち、本発明のガスバリア性プラスチック成形品
は、酸素透過性が10(mL/m2・24hr・(1.
013×105Pa))以下であって、かつ水蒸気透過
性が10(g/m2・24hr)以下であることが好ま
しい。
【0056】本発明のガスバリア性プラスチック成形品
は、優れたガスバリア性を有するため、液晶表示素子、
エレクトロルミネッセンス表示素子等の表示素子用基板
に特に好適に用いられる。
【0057】次に、基材について説明する。透明プラス
チック基材としては、透明な各種合成樹脂を使用でき、
たとえば芳香族ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン
系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、芳香族ポリ
エステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系
樹脂などが好ましく挙げられる。その他に、ポリエーテ
ルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系
樹脂、セルローストリアセテート系樹脂などが挙げられ
る。本発明においては、芳香族ポリカーボネート系樹
脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、芳香族ポリエス
テル系樹脂、ポリアリレート系樹脂が特に好ましい。
【0058】基材は、予め成形されたものであり、たと
えば平板や波板などのシート状基材、フィルム状基材、
各種形状に成形された基材、少なくとも表面層が上記合
成樹脂からなる積層体などが挙げられる。また、基材の
厚さは、用途により適宜決めればよいが、たとえば液晶
表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子の基板な
どに用いる場合は、厚さ5μm〜1mm、より好ましく
は50〜500μmのシート状またはフィルム状に成形
した基材が好ましい。
【0059】図1には、本発明の一実施例であるガスバ
リア性プラスチック成形品の断面を表す模式図が示され
ている。
【0060】ガスバリア性プラスチック成形品6は、透
明プラスチック基材4の表面に、基材側から、被覆組成
物(A)の硬化物の層3と、被覆組成物(B)の硬化物
の層2と、被覆組成物(C)の硬化物の層1の3層から
なるガスバリア性被膜5が形成されている。
【0061】本発明のガスバリア性プラスチック成形品
は、透明プラスチック基材の片面に、被覆組成物
(A)、(B)および(C)を、後述する方法およびタ
イミングで塗工、硬化して、ガスバリア性被膜を形成す
ることにより製造できる。
【0062】このとき、透明プラスチック基材とガスバ
リア性被膜の間に第3の層を形成してもよい。
【0063】なお、本発明においては、上記ガスバリア
性被膜は、基材の片面のみに形成されていてもよく、両
面に形成されていてもよい。基材の両面にガスバリア性
被膜を形成することにより、より高いガスバリア性、耐
久信頼性を確保できる。
【0064】また、基材の片面のみにガスバリア性被膜
を形成した場合、もう一方の面には、ハードコート層を
形成してもよい。ハードコート層としては、ポリエステ
ル系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ
系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド
系樹脂などの硬化性樹脂からなる硬化物層が挙げられ
る。
【0065】被覆組成物(A)、(B)および(C)
を、基材の表面に塗工する方法としては、特に制限され
ず公知の方法を採用できる。たとえば、ディップコート
法、フロートコート法、スプレーコート法、シャワーコ
ート法、リングコート法、スピンコート法、バーコート
法、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコー
ト法、エアーナイフコート法などの種々の方法を採用で
きる。
【0066】被覆組成物(A)を硬化させる活性エネル
ギ線としては、特に限定されず、紫外線、電子線やその
他の活性エネルギ線を使用できるが、紫外線が好まし
い。紫外線源としては、キセノンランプ、パルスキセノ
ンランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メ
タルハライドランプ、カーボンアーク灯、タングステン
ランプなどを使用できる。
【0067】また、被覆組成物(B)および(C)に含
まれるポリシラザンを硬化させてシリカとする方法とし
ては、特開平11−240104号公報の段落番号01
11〜0115に記載された方法を採用できる。
【0068】ただし、本発明においては、低温(180
℃以下)で焼成してポリシラザンを硬化させることが好
ましい。低温でポリシラザンを硬化させるためには、被
覆組成物(B)および(C)に触媒を添加する必要があ
るが、より低温で硬化できる触媒を用いることが好まし
く、触媒の種類や使用量により、室温でも硬化できる。
そのような触媒としては、たとえば、特開平7−196
986号公報に記載されている金、銀、パラジウム、白
金、ニッケルなどの金属の微粒子などが挙げられる。
【0069】上記金属の微粒子の粒径は0.1μmより
小さいことが好ましく、硬化物の透明性を確保するため
には0.05μmより小さいことが好ましい。また、粒
径が小さいほど比表面積が増大して触媒能も増大するの
で、触媒性能向上の点からもより小さい粒径の触媒を使
用することが好ましい。
【0070】たとえば、被覆組成物(B)および(C)
に予め触媒として上記金属の微粒子を添加する場合、そ
の添加量は、ポリシラザン100質量部に対して0.0
1〜10質量部が好ましく、特に0.05〜5質量部が
好ましい。添加量が0.01質量部未満では充分な触媒
効果が期待できず、10質量部超では触媒どうしの凝集
が起こりやすくなり、透明性を損なうおそれがある。
【0071】被覆組成物(A)の硬化と、被覆組成物
(B)および(C)の塗工〜硬化の組み合わせ(タイミ
ング)としては、以下の1)〜8)のタイミングが挙げ
られる。
【0072】1)被覆組成物(A)を塗工した後、被覆
組成物(A)が充分に硬化するだけの活性エネルギ線
(1000mJ/cm2、以下同じ。)を照射し、その
後被覆組成物(B)を塗工し、その表面にさらに被覆組
成物(C)を塗工し、この被覆組成物(B)、(C)を
硬化させる方法。
【0073】2)被覆組成物(A)を塗工した後、被覆
組成物(A)が充分に硬化するだけの活性エネルギ線を
照射し、その後被覆組成物(B)を塗工し、活性エネル
ギ線を照射して被覆組成物(B)を部分硬化または完全
に硬化させ、その後さらに被覆組成物(C)を塗工して
硬化させる方法。
【0074】3)被覆組成物(A)を塗工した後、指触
乾燥状態になる最低限の活性エネルギ線(〜300mJ
/cm2、以下同じ。)を照射し、被覆組成物(A)の
部分硬化物の層を形成し、次いで被覆組成物(B)を塗
工した後、被覆組成物(C)を塗工する。そして、活性
エネルギ線を照射しながら、または照射後に加熱もしく
は常温に放置することにより、被覆組成物(A)の部分
硬化物、被覆組成物(B)、(C)を完全に硬化させる
方法。
【0075】4)被覆組成物(A)を塗工した後、指触
乾燥状態になる最低限の活性エネルギ線を照射し、被覆
組成物(A)の部分硬化物の層を形成し、次いで被覆組
成物(B)を塗工する。その後、活性エネルギ線(〜3
00mJ/cm2)を照射して、さらに被覆組成物
(C)を塗工する。そして、活性エネルギ線を照射しな
がら、または照射後に加熱もしくは常温に放置すること
により各被覆組成物を完全に硬化させる方法。
【0076】5)被覆組成物(A)を塗工した後、指触
乾燥状態になる最低限の活性エネルギ線を照射し、被覆
組成物(A)の部分硬化物の層を形成し、次いで被覆組
成物(B)を塗工する。その後、被覆組成物(A)が充
分に硬化するだけの活性エネルギ線を照射して被覆組成
物(A)を硬化させた後、被覆組成物(C)を塗工す
る。そして、活性エネルギ線を照射しながら、または照
射後に加熱もしくは常温に放置することにより各被覆組
成物を完全に硬化させる方法。
【0077】6)被覆組成物(A)を塗工した後、被覆
組成物(B)を塗工し、さらに被覆組成物(C)を塗工
する。そして、活性エネルギ線を照射しながら、または
照射後に加熱もしくは常温に放置することにより各被覆
組成物を完全に硬化させる方法。
【0078】7)被覆組成物(A)を塗工し、次いで被
覆組成物(B)を塗工した後、活性エネルギ線を照射し
て被覆組成物(A)を部分硬化させ、その後、被覆組成
物(C)を塗工する。そして、活性エネルギ線を照射し
ながら、または照射後に加熱もしくは常温に放置するこ
とにより各被覆組成物を完全に硬化させる方法。
【0079】8)被覆組成物(A)を塗工し、次いで被
覆組成物(B)を塗工した後、被覆組成物(A)が充分
に硬化するだけの活性エネルギ線を照射して被覆組成物
(A)を硬化させ、その後、被覆組成物(C)を塗工す
る。そして、活性エネルギ線を照射しながら、または照
射後に加熱もしくは常温に放置することにより各被覆組
成物を完全に硬化させる方法。
【0080】なお、上記3)〜8)の方法において、被
覆組成物(B)および(C)の硬化は、硬化触媒の溶液
もしくはその蒸気または水蒸気に接触させて行ってもよ
い。
【0081】本発明においては、各硬化物層の層間密着
力を上げるために、上記4)または5)のタイミングで
行うことが好ましい。また、被覆組成物が溶剤を含有し
ている場合は、塗工後、乾燥して溶剤を除去してから硬
化させることが好ましい。
【0082】
【実施例】以下、本発明を実施例(例1〜14)、比較
例(例15〜17)に基づき説明するが、本発明はこれ
らに限定されない。なお、基材として例1〜11、15
〜17では厚さ250μmの芳香族ポリカーボネート樹
脂フィルム、例12では厚さ250μmの芳香族ポリア
リレート樹脂フィルム、例13では厚さ188μmのポ
リエチレンテレフタレート樹脂フィルム、例14では厚
さ250μmのポリメチルメタクリレート樹脂フィルム
を用いた。また、例1〜17で得られたサンプルについ
ての各種物性の測定および評価は以下に示す方法で行
い、その結果を表1に示した。
【0083】[密着性]サンプルを剃刀の刃で1mm間
隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個の碁
盤目を作る。そして、市販のセロハンテープをよく密着
させた後、90度手前方向に急激にはがした際の、被膜
が剥離せずに残存した碁盤目の数(m)をm/100で
表す。サンプル作成後の初期密着性および60℃、相対
湿度95%の雰囲気において7日間保存した後の耐湿密
着性を測定した(JIS−K1979)。
【0084】[初期曇価、耐磨耗性]JIS−R321
2における耐磨耗試験法により、2つのCS−10F磨
耗輪に、それぞれ500gの重りを組み合わせ500回
転させたときの曇価をヘーズメータにて測定した。曇価
の測定は、磨耗サイクル軌道の4カ所で行い、その平均
値を算出した。
【0085】初期曇価は、耐磨耗試験前の曇価の値
(%)を、耐磨耗性は(磨耗試験後曇価)−(磨耗試験
前曇価)の値(%)を示す。
【0086】[酸素透過性] JIS−K7126、A法(25℃)[mL/m2・2
4hr・(1.013×105Pa)]
【0087】[水蒸気透過性] JIS−K7129、A法(40℃)[g/m2・24
hr]
【0088】[例1]撹拌機および冷却管を装着した1
00mLの4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール
4g、酢酸ブチル16g、2,4,6−トリメチルベン
ゾイルジフェニルホスフィンオキシド300mg、2−
[4−[(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピ
ル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビ
ス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリア
ジンと、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−トリデシ
ルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニ
ル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−
1,3,5−トリアジンの混合物1700mg、および
N−メチル−4−メタクリロイルオキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン400mg、メタクリル酸
メチルを主成分とする高分子量体(ガラス転移温度10
2℃、分子量約15万)(三菱レイヨン社製、商品名
「LR248」)の溶液(固形分濃度30質量%、溶
媒:キシレン68質量%/イソブチルアルコール11質
量%/セロソルブ21質量%)6.5gを加えて溶解さ
せ、続いて水酸基を有するジペンタエリスリトールポリ
アクリレートと部分ヌレート化ヘキサメチレンジイソシ
アネートの反応生成物であるウレタンアクリレート(1
分子あたり平均15個のアクリロイル基を含有)10
g、トリス(2−アクリロイルオシエチル)イソシアヌ
レート10gを加え、常温にて1時間撹拌して、塗工液
1を得た。
【0089】基材にスピンコータを用いて塗工液1を塗
工(ウエット厚さ10μm)して、90℃の熱風循環オ
ーブン中で5分間保持した。そして空気雰囲気中、高圧
水銀灯を用いて150mJ/cm2(波長300〜39
0nm領域の紫外線積算エネルギ量、以下同じ。)の紫
外線を照射して、膜厚5μmの指触乾燥状態の層を形成
した。
【0090】次に、この表面に無触媒のペルヒドロポリ
シラザンのキシレン溶液(固形分濃度20質量%、東燃
社製、商品名「V110」)(以下、塗工液2とい
う。)を、スピンコータを用いて塗工(ウエット厚さ3
μm)して、90℃の熱風循環オーブン中で5分間保持
して溶剤を除去した後、空気雰囲気中、高圧水銀灯を用
いて1500mJ/cm2の紫外線を照射した。さら
に、低温硬化型のペルヒドロポリシラザンのキシレン溶
液(固形分濃度20質量%、東燃社製、商品名「L11
0」)である塗工液3を、スピンコータを用いて塗工
(ウエット厚さ3μm)して、90℃の熱風循環オーブ
ン中で5分間保持して溶剤を除去した後、100℃の熱
風循環オーブン中で120分間保持して塗工液2、3の
層を充分に硬化させた。IR分析により、これらの層
(最外層)がほぼ完全なシリカになっていることを確認
した。こうして基材表面に総膜厚6.2μmの硬化物層
を形成した。
【0091】[例2]例1において、最後に100℃の
熱風循環オーブン中で120分間保持する代わりに、空
気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて1500mJ/cm2
の紫外線を照射し、その後23℃、相対湿度55%の環
境下で1日養生する以外は、例1と同様にした。
【0092】[例3]例1において、塗工液2をケイ素
原子上の水素の一部がトリメチルシリル基で置換された
ポリシラザンのキシレン溶液(固形分濃度20質量%、
東燃社製、商品名「N310」)である塗工液4に変更
した以外は、例1と同様にした。
【0093】[例4]例2において、塗工液2を塗工液
4に変更した以外は、例2と同様にした。
【0094】[例5]例1において、塗工液2を塗工液
3に変更した以外は、例1と同様にした。
【0095】[例6]例2において、塗工液2を塗工液
3に変更した以外は、例2と同様にした。
【0096】[例7]例1において、塗工液2を低温硬
化型のペルヒドロポリシラザンのキシレン溶液(固形分
濃度20質量%、東燃社製、商品名「D110」)であ
る塗工液5に変更した以外は、例1と同様にした。
【0097】[例8]例2において、塗工液2を塗工液
5に変更した以外は、例2と同様にした。
【0098】[例9]例1において、塗工液2を低温硬
化型のペルヒドロポリシラザンのジブチルエーテル溶液
(固形分濃度20質量%、東燃社製、商品名「L12
0」)である塗工液6に変更した以外は、例1と同様に
した。
【0099】[例10]例2において、塗工液2を塗工
液6に変更した以外は、例2と同様にした。
【0100】[例11]例2に示す方法で基材の両面に
コーティングを行った。
【0101】[例12〜14]基材を変更した以外は、
例2と同様にした。
【0102】[例15]基材にスピンコータを用いて塗
工液1を塗工(ウエット厚さ10μm)して、90℃の
熱風循環オーブン中で5分間保持した。そして空気雰囲
気中、高圧水銀灯を用いて1500mJ/cm2の紫外
線を照射し、膜厚5μmの硬化物層を形成した。
【0103】[例16]基材にスピンコータを用いて塗
工液1を塗工(ウエット厚さ10μm)して、90℃の
熱風循環オーブン中で5分間保持した。そして空気雰囲
気中、高圧水銀灯を用いて1500mJ/cm2の紫外
線を照射し、膜厚5μmの硬化物層を形成した。さら
に、塗工液3をスピンコータを用いて塗工(ウエット厚
さ3μm)して、90℃の熱風循環オーブン中で5分間
保持して溶剤を除去した後、100℃の熱風循環オーブ
ン中で120分間保持して塗工液3の層を充分に硬化さ
せた。IR分析により、この層(最外層)がほぼ完全な
シリカになっていることを確認した。こうして基材表面
に総膜厚5.6μmの硬化物層を形成した。
【0104】[例17]基材に塗工液1を塗工(ウエッ
ト厚さ10μm)して、90℃の熱風循環オーブン中で
5分間保持した。そして空気雰囲気中、高圧水銀灯を用
いて150mJ/cm2の紫外線を照射し、膜厚5μm
の指触乾燥状態の層を形成した。次に、この表面に塗工
液2を塗工(ウエット厚さ3μm)して、90℃の熱風
循環オーブン中で5分間保持して溶剤を除去した後、空
気雰囲気中、高圧水銀灯を用いて1500mJ/cm2
の紫外線を照射した。100℃の熱風循環オーブン中で
8時間保持して塗工液2の層を充分に硬化させた。IR
分析により、この層(最外層)がほぼ完全なシリカにな
っていることを確認した。こうして基材表面に総膜厚
5.6μmの硬化物層を形成した。
【0105】
【表1】
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、きわめて優れた耐磨耗
性を有し、かつ基材との密着性およびガスバリア性に優
れた硬化物層を有するガスバリア性プラスチック成形品
を提供できる。
【0107】本発明のガスバリア性プラスチック成形品
は、液晶表示素子、エレクトロルミネッセンス表示素子
用の基板などに特に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例であるガスバリア性プラス
チック成形品の断面を表す模式図である。
【符号の説明】
1.被覆組成物(C)の硬化物の層 2.被覆組成物(B)の硬化物の層 3.被覆組成物(A)の硬化物の層 4.透明プラスチック基材 5.ガスバリア性被膜 6.ガスバリア性プラスチック成形品
フロントページの続き (72)発明者 近藤 聡 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 山本 博嗣 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 下田 博司 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AK01A AK01B AK25A AK42A AK43A AK45A AK52C AK52D BA04 BA07 BA10A BA10D BA13 CA30B EG001 EH461 EH462 EJ081 EJ082 EJ422 EJ521 EJ522 GB41 JA20B JA20D JB12C JB12D JB14B JD03 JD04 JK06 JK09 JN01A YY00 YY00B YY00D

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明プラスチック基材の少なくとも片面
    に、下記被覆組成物(A)の硬化物の層を形成し、その
    表面に下記被覆組成物(B)の硬化物の層を形成し、さ
    らにその表面に下記被覆組成物(C)の硬化物の層を形
    成して得られるガスバリア性プラスチック成形品。 被覆組成物(A):活性エネルギ線硬化性の重合性官能
    基を2個以上有する多官能性化合物(a)と光重合開始
    剤を含む活性エネルギ線硬化性の被覆組成物。 被覆組成物(B):ポリシラザンを主成分とする硬化性
    の被覆組成物。 被覆組成物(C):ポリシラザンを主成分とする硬化性
    の被覆組成物。
  2. 【請求項2】 前記被覆組成物(A)の硬化物の層の厚
    さが1〜50μmであって、かつ前記被覆組成物(C)
    の硬化物の層の厚さが0.01〜10μmである、請求
    項1に記載のガスバリア性プラスチック成形品。
  3. 【請求項3】 酸素透過性が10(mL/m2・24h
    r・(1.013×105Pa))以下であって、かつ
    水蒸気透過性が10(g/m2・24hr)以下である
    請求項1または2に記載のガスバリア性プラスチック成
    形品。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のガスバ
    リア性プラスチック成形品を用いてなる表示素子用基
    板。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかに記載のガスバ
    リア性プラスチック成形品を製造する方法において、 前記透明プラスチック基材の少なくとも片面に、前記被
    覆組成物(A)を塗工後、活性エネルギ線を照射して被
    覆組成物(A)の部分硬化物の層を形成した後、前記被
    覆組成物(B)を塗工し、活性エネルギ線を照射して、
    さらに被覆組成物(C)を塗工した後、これらの層の硬
    化を活性エネルギ線照射、加熱または室温放置により行
    うことを特徴とするガスバリア性プラスチック成形品の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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