JP2013237130A - クーラントを回収する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属材料の加工において排出される金属材料粒子を含むクーラント廃液から、前記金属材料粒子を効率よく除去して、クーラントの再使用を可能とする、クーラントの回収方法の提供。
【解決手段】微細な金属材料粒子を含むクーラント廃液から、分離膜を用いて金属材料粒子を分離してクーラントを回収する方法において、分離精度f(μm)が0.2〜5μmである分離膜を用い、下式で求められる粒子径d(μm)以上の粒子径を有する粒子が、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子の総量100重量部に対し、10〜100重量部を占めるように、分離膜処理前のクーラント廃液に含まれる金属材料粒子の粒径分布を膜分離前調整した後に、分離膜を用いて金属材料粒子を分離することを特徴とする、クーラントの回収方法。
(式)f×0.05=d
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体、太陽電池など、電子部品に使用される金属材料の加工工程で排出される、金属材料粒子とクーラントを含む廃液から、金属材料粒子を除去して、クーラントを回収して再利用を可能とする、クーラントの回収方法に関する。
半導体や太陽電池用として広く用いられているシリコンインゴッドを切断して薄板を製造する過程において、インゴッドとワイヤソーとの接触面にクーラントまたはクーラントに砥粒を混合したスラリーを供給しながら、ワイヤソーを移動させながらインゴッドを薄板状に切断することが行われている。クーラントの使用方法としては、加工用クーラントの貯留タンクを設け、工作機械にクーラントを送液し、加工部位を流れたクーラントを回収して貯留タンクに戻す循環方式の採用が主流となっている。加工に使用したクーラントには金属材料の切削屑や研磨屑などの微細な粒子(以下、金属材料粒子と表記することがある。)が混入しているので、ク−ラントを繰り返し使用するにつれて、加工精度が低下し、不良品が発生しやすくなるという問題が生じる。このため、使用したクーラントを全量交換するか、一部を廃棄して新液を補充しながら再使用することが行われている。クーラントの全量交換はコストの上昇となり、一部交換では、金属材料粒子が残留しているので、残留金属材料粒子による加工精度の問題や加工機械が傷つくことによるメンテナンスの問題がある。
上記のプロセスを改良する試みとして、クーラントを回収して再利用することが検討されている。特許文献1では、金属の加工工程で使用されたクーラントに含まれている、遠心分離、沈降分離等では除去できない金属材料粒子を、中空糸膜を用いて濾過することによりクーラントを浄化し、中空糸膜で濾過された濾過液を金属加工のクーラントとして再利用する方法が開示されている。また、特許文献2では、金属材料粒子とクーラントを含む廃液に、凝集剤を添加して金属材料粒子を凝集させて、クーラントを回収する方法が開示されている。
特開2001−149760号公報 特開2005−007541号公報
特許文献1に開示されている方法では、クーラント廃液中に含まれる金属材料粒子は遠心分離または沈降分離だけの処理では除去が不十分であり、粒径の小さい粒子(特に粒径0.1μm未満の粒子)が多く残留する。これを中空糸膜で処理すると頻繁に目詰まりが起こり、その都度、中空糸膜の交換を行う必要があった。中空糸膜等の分離膜での処理は、一般的に、分離膜の分離精度を細かくすると、目詰まりは発生しにくくなるものの透過流速が遅くなるため必要量のクーラント回収再生がしづらくなり、逆に分離精度を大きくすると短時間で目詰まりが発生し、更に大きくすると小さい粒径の粒子が通過し、さらに目詰まりが発生するという傾向があるため、実用的な処理が困難であった。
また、特許文献2に開示されている方法では、金属を除去した処理液から、処理液中に残存する凝集剤の除去をしなければ、回収クーラントを再利用することができないという問題があった。
したがって、本発明の課題は、金属材料の加工工程で発生する金属材料粒子を含むクーラント廃液を、処理剤を加えることなく、または分離膜の目詰まりを防ぎながら処理して、廃液から金属材料粒子を除去し、清澄化されたクーラントを得ることにより、再利用しても金属加工の加工品質を維持することが可能な、クーラントの回収方法を提供することである。
本発明者は、分離膜を用いて金属材料粒子を含むクーラント廃液から金属材料粒子を取り除く方法において、分離膜による処理の前に、廃液中の金属材料粒子の粒径分布が使用する分離膜の分離精度に対して特定の範囲になるように調整する、あるいは調整された粒径分布に対して適切な分離精度の分離膜を選択することにより、分離膜の目詰まりが起こりにくく、金属材料粒子を効率的に除去した再生クーラントを得ることが可能であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、微細な金属材料粒子を含むクーラント廃液から、分離膜を用いて金属材料粒子を分離してクーラントを回収する方法において、分離精度f(μm)が0.2〜5μmである分離膜を用い、下式で求められる粒子径d(μm)以上の粒子径を有する粒子が、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子の総量100重量部に対し、10〜100重量部を占めるように、分離膜処理前のクーラント廃液に含まれる金属材料粒子の粒径分布を膜分離前調整した後に、分離膜を用いて金属材料粒子を分離することを特徴とする、クーラントの回収方法である。
(式)f×0.05=d
そして、本回収方法の膜分離において、10kPaの差圧をかけた時のクーラント廃液の透過流速が2L/h・m以上であることが好ましい。また、粒径分布を事前調整した後のクーラント廃液の固形分濃度が10重量%未満であることが好ましい。
本回収方法において、前記微細な金属材料を含むクーラント廃液に遠心分離処理を行った後、前記分離膜を用いて、遠心分離処理後のクーラント廃液に残留する金属材料粒子を分離することが好ましく、さらに、前記遠心分離処理後のクーラント廃液に、前記遠心分離処理前のクーラント廃液または金属材料粒子を添加することにより、金属材料粒子の粒径分布の膜分離前調整を行うことが好ましい。
本発明によれば、金属材料粒子の粒径分布を調整して分離膜による濾過を行うことにより、分離膜の早期の目詰まりを防げるので、金属材料粒子の濾過に、従来技術では適用が困難であった分離膜の使用が可能になった。このことにより、クーラント廃液から、金属材料粒子が取り除かれた高品質の再生クーラントを得ることができるようになり、クーラントの取り換えを早めに行うことにより、金属加工の加工精度を維持し、高品質の金属製品を高い回収率で加工生産することができるようになった。
本発明によれば、クーラント廃液からクーラントを再生し利用することが可能であることから、従来のクーラント廃液を廃棄していたことによる産業廃棄物処理の負荷を軽くすることも可能となり、また、クーラントの新液の使用量を減少することも可能となった。
また、本発明によれば、金属材料粒子を取り除くために、濾過助剤、凝集剤等の添加剤を用いることがないので、回収クーラントの品質が高いだけでなく、金属材料粒子等とクーラントとが粘土状となったスラッジの回収、再利用も可能となる。
本発明のクーラント回収方法の第1の実施態様を示す説明図である。 本発明のクーラント回収方法の第2の実施態様を示す説明図である。
(金属材料)
金属加工に用いられる金属材料としては、シリコンインゴッド、ガリウム砒素インゴッド、希土類焼結合金などの金属材料が例示されるがこれに限定されない。これらの金属材料を切断・切削・研磨する加工工程においてクーラントが使用され、加工後には、金属材料粒子を含むクーラント廃液が発生する。クーラントを再使用可能にするためには、クーラント廃液中の金属材料粒子をできるだけ除去することが必要であるが、クーラント廃液には、通常、金属材料粒子が5〜30重量%の濃度で含まれており、金属材料粒子の粒径は、切断に用いるワイヤソーの太さを含めた切断条件によっても異なるが、およそ0.01〜30μmの広範囲に分布している。
この固形分濃度の廃液を分離膜で処理すると、多量の金属材料粒子のために、膜表面に極めて緻密なケーク層が形成されて短時間で目詰まりを引き起こすので、分離膜で処理するためには、廃液中の金属材料粒子の濃度を10重量%未満、好ましくは、7重量%以下に低下させる事前調整を実施することが好ましい。
(廃液に含まれる成分)
半導体、太陽電池などの電子部品に使用される金属材料の加工方式には、クーラントに炭化ケイ素などの砥粒を混ぜて加工を行う遊離砥粒方式と、ワイヤソーにダイヤモンド粒子を固着して切断する固定砥粒方式とがある。
したがって遊離砥粒方式で加工を行った場合には、クーラント廃液には、金属材料粒子だけでなく、比較的粒子径の大きい炭化ケイ素などの非金属の砥粒が含まれており、一方、固定砥粒方式では、固形分の主体は金属材料粒子である。いずれのクーラント廃液であっても、本発明で規定される粒径分布調整を行うことにより膜分離を行うことが出来るが、前者においては、砥粒および金属材料粒子をそれぞれ回収し、再利用するという観点でまず砥粒を予め遠心分離機などで除去、回収し、その後本発明の方法を適用する場合が多い。
後者においては、クーラント廃液には砥粒は含まれていないので、本発明の方法がそのまま適用可能である。
また、クーラント廃液には、SS成分(suspended solids)が含まれる場合がある。SS成分とは、被処理液中に含まれ、被処理液中で、浮遊したり、懸濁したりする物質を意味する。かかる物質としては、汚泥、無機微粒子、有機性不溶物などが挙げられ、肉眼では確認できない微小な浮遊物質やコロイド状で分散する微粒子も含まれる。これらのSS成分の種類、大きさ、量などは、被処理液の種類により様々である。
微粒子としては、フュームドシリカ、コロイダルシリカなどの二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化ケイ素、炭化ケイ素、二酸化マンガン、アルミナ、セリア(酸化セリン)、シリコン切削屑や研磨屑、ワイヤー屑などの微粒子が挙げられる。有機性不溶物としては、煎茶などの抽出液に含まれている煎茶の微量固形物や粉砕された食品屑などが挙げられる。
(砥粒分離のための遠心分離)
上述のように、遊離砥粒方式で金属加工が行われた廃液中には、主に砥粒、金属材料粒子およびクーラントが含まれているために、まず、遠心分離により砥粒を分離し、実質的に砥粒を含まない金属材料粒子含有クーラント廃液を得ることが一般的である。このための遠心分離(第1次)は、100〜1000Gの遠心力で行うのが好ましく、一般に砥粒は金属材料粒子よりも比重が大きいので、金属材料粒子よりも速く沈降する。沈降したスラッジには、砥粒が高濃度で含まれているため、このスラッジは、砥粒の再生に利用可能である。
(クーラント)
金属材料に切断、切削、研磨などの金属加工を施す場合、加工対象の金属材料にクーラントを流しながら行われる。クーラントとしては、防錆剤や界面活性剤を主成分とする水溶性クーラント、エチレングリコールなどの水溶性油剤と水とを混合したクーラント、防錆油、灯油、潤滑油などがベースになった油系クーラントが挙げられるが、本発明は、上記のいずれのクーラントについても、回収を可能とするものである。
(廃液の事前調整)
上記のように、クーラント廃液には、通常、金属材料粒子が5〜30重量%の固形分濃度で含まれており、金属材料粒子の粒径は、およそ0.01〜30μmの広範囲に分布しているため、膜分離に供する前に廃液の事前調整をすることが望ましい。
粒径の大きな金属材料粒子(例えば5μm以上の金属材料粒子)を含む廃液の事前調整方法としては、遠心分離、沈降分離、分級装置などが挙げられる。中でも作業効率の点で、遠心分離を選択するのが好ましい。具体的には、500G〜3000Gの遠心力で処理する。このとき、例えば5〜10μmの粒径の粒子を有するクーラント廃液を処理する場合、1000Gの遠心力に付すことで良好に分離することが可能である。
それ以外の微細な金属材料粒子(例えば5μm未満の金属材料粒子)の固形分濃度は10重量%未満に調整することが好ましく、7重量%以下に調整することがさらに好ましい。微細な金属材料粒子の調整方法としては、上記粒径の大きな金属材料粒子の事前調整方法が問題なく適用できる。
(膜分離前の粒径分布調整)
つぎに粒径分布の調整について説明する。
本発明においては、分離膜を用いてクーラントを回収するにあたり、分離膜の分離精度をf(μm)と表すときに、下式で求められる粒子径d(μm)以上の粒子径を有する粒子が、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子成分の総量100重量部に対し、10〜100重量部を占めるように粒径分布を膜分離前調整することが必須である。また、粒径分布を測定し、それが適切な粒径分布を有していることを確認することも、粒径分布調整に含まれる。あるいは、調整された粒径分布のうち10〜100重量部が粒子径d(μm)以上となるd(μm)の数値を求め、そこから適切な分離精度f(μm)を導き、それに見合う分離膜を用いることが必須である。
f×0.05=d
ここで、分離精度fは0.2〜5μmであることが必須である。より好ましくは、1〜4μmの範囲内、さらに好ましくは2〜3μmの範囲内である。0.2μm未満の場合、粒径分布に関わらずクーラントの透過流速が遅くなり、必要とする回収クーラント量が得られなく傾向があるため本発明においては用いることができない。膜の使用本数を増加することによって解決できるが、膜装置の占める面積や導入コストを考えると現実的ではない。一方、5μmを越えると、クーラント廃液からの粒子の除去性能が低下する傾向があるため用いられない。
さらに、基準となる粒子径d(μm)以上の粒度を有する粒子は、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子成分の総量100重量部に対し、10〜100重量部である。10重量部未満の場合は、膜表面にケーク層を形成する比較的大きなサイズの粒子が不足するため、ケーク層が一部膜表面から内部に入り込んだ形で形成されるため、逆洗の効果が弱い場合があり、膜詰まりの原因となる。なお、100重量部に近づくと、ケーク層を形成しなくとも膜分離される傾向がある。
上記の範囲に粒径分布を調整する調整方法として、下記の態様を例示することができる。各説明においては、分離精度が2μmの分離膜を用いることを前提とし、本発明で提案した式f×0.05=dに基づき、0.1μmの粒径を基準粒径とした。
(第1実施態様)
クーラント廃液中の金属材料粒子の粒径分布を調整する第1の実施態様は図1に示す。まず、X1工程において、金属加工後の金属材料粒子を含むクーラント廃液を、例えば遠心力が3000Gの遠心分離に付し、粒径0.1μm以上の金属材料粒子を分離除去した第一次回収廃液を得る。次に、X2工程において、この第一次回収廃液に遠心分離などの分離手段による分離を行っていないクーラント廃液を所定量加えることにより、固形分濃度が10重量%未満であり、粒径が0.1μm以上、10μm未満の範囲内にある金属材料粒子が、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子成分の総量100重量部に対し10〜100重量部、粒径0.1μm未満の粒子が90〜0重量部を占める膜分離前調整廃液を調整する。続いて、X3工程において、この膜分離前調整廃液を分離膜で濾過して、金属材料粒子を分離除去した回収クーラントを製造する。
上記の例では、より大きな金属材料粒子を加えるために、遠心分離などの分離手段による分離を行わないクーラント廃液を所定量加えたが、このクーラント廃液を用いる代わりに、遠心分離などの分離手段により分離された遠心分離後クーラント廃液や金属材料粒子の一部を加えてもよい。なお、粒径分布の調整のために用いられる金属材料粒子としては、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子と同一素材の金属材料粒子であることが好ましい。このことにより、除去された金属材料粒子も回収して再利用することができる。
なお、この第1の実施様態では、遠心分離においては、例えば3000Gの遠心力で、粒径0.1μm以上10μm未満の範囲にある粒子の分離回収が行われるようになっている。
(第2実施態様)
クーラント廃液中の金属材料粒子の粒径分布を調整する第2の実施態様を図2に示す。まず、X1’工程において、金属加工後の金属材料粒子を含むクーラント廃液を、例えば遠心力が2500Gの遠心分離により金属材料粒子の一部を分離除去して、固形分濃度が10重量%未満であり、粒径が0.1μm以上、10μm未満の範囲内にある金属材料粒子が、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子成分の総量100重量部に対し10〜100重量部、粒径0.1μm未満の粒子が90〜0重量部を占める膜分離前調整廃液を調整し、X2’工程において、この膜分離前調整廃液を分離膜で濾過して、金属材料粒子を分離除去したクーラント含有液を製造する。
なお、この第2の実施様態では、遠心分離においては、例えば2500Gの遠心力で粒径0.1μm以上、10μm未満の範囲にある粒子の分離回収が行われるようになっている。
上記の、クーラント廃液中の金属材料粒子の粒径分布を調整する2種類の実施態様のうち、調整後の膜分離前調整廃液の固形分濃度が膜濾過に適した濃度である点で、第1の実施様態が好ましい。調整後の膜分離前調整廃液の固形分濃度が膜濾過に適した濃度であることによって、膜詰まりしにくく、良好な透過流速によって膜濾過を実施することが可能となる。
(その他の粒子径分布調整方法)
本発明における金属材料粒子の粒径分布の調整は、上記の実施態様に限定されず、膜の濾過性能やクーラントの性能を低下させない範囲で電気凝集法や濾過助剤の添加等により行っても良い。
このようにして、粒径分布が調整された金属材料粒子を含むクーラント廃液を中空糸膜で濾過すると、中空糸膜表面には、ケーク層に適度な空隙が形成され、分離膜の目詰まりを回避することができるので、分離膜の寿命を長くすることができる。
(分離膜)
本発明で用いられる分離膜の形状としては、中空糸膜、管状膜、スパイラル状膜、平膜などいずれの形状でもよいが、なかでも、膜濾過面積を大きく取れる中空糸膜タイプが望ましい。
分離膜を形成する素材としては、特に限定されず、要求特性に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリエーテルスルフォン系樹脂、エチレンービニルアルコール共重合体系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、酢酸セルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ポリパーフルオロエチレン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、他成分を共重合したもの、他の素材をブレンドしたもの、親水化処理などの処理をしたものでもよい。
(分離膜精度)
クーラントの再生に用いる分離膜としては、先述の通り、分離精度が0.2〜5μmの範囲内にあるものを用いることが必須であり、より好ましくは、1〜4μmの範囲内、さらに好ましくは2〜3μmの範囲内である。分離精度は高いほど清澄化の度合いも高いが、クーラントは粘度の高い物が多いため分離膜の透過量を確保するには、分離精度が2μm以上のものが望ましい。なお、ここで、分離膜の分離精度とは、分離膜により粒子の90重量%が阻止できる粒子の大きさを示す。中空糸膜の分離精度(孔径)よりも小さな粒子は中空糸膜の細孔内部に入り込み、逆洗等の物理洗浄の効果を低下させる。上記の分離精度を有する分離膜は、各種の限外濾過膜、精密濾過膜の市販品の中から選択可能である。
(中空糸膜モジュール)
本発明において用いられる中空糸膜モジュールの形態は、濾過方法、濾過条件、洗浄方法などに応じて適宜選択することができ、1本または複数本の膜エレメントを装着して中空糸膜モジュールを構成しても良い。例えば、数十本から数十万本の中空糸膜を束ねてモジュール内でU字型にしたもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により一括封止したもの、中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止したもの、中空糸繊維束の両端を開口したものなどが挙げられる。また、形状も特に限定されることはなく、例えば円筒状であってもスクリーン状であってもよい。特に中空糸繊維束の一端を適当なシール材により1本ずつ固定されていない状態(フリー状態)で封止した構造(片端フリー構造)の中空糸膜モジュールは、バブリング洗浄による膜付着物質の剥離および排出を効果的に行うことができるため好ましい。
(膜濾過装置)
膜濾過装置は、膜モジュールを収容するハウジングを備え、ハウジングに膜モジュールを配置し、ハウジング内に、原水室と処理水室を設ける。原水室には、ポンプにより原水(処理液)を供給し、処理水室には、濾過膜を通過した処理水が収容される。
濾過処理により、濾過膜表面にスラッジが付着し、濾過能力が低下してくると、定期的に逆洗を行い、濾過能力を回復させることが望ましい。すなわち、逆洗方式としては、気体(空気、窒素)逆洗、液体逆洗が挙げられ、適宜選択可能であるが、逆洗後に回収クーラントの組成が変わらない点で気体逆洗が好ましい。液体逆洗を採用する場合は、クーラントや濾過処理水、水道水などの清浄な水、なかでもクーラントや濾過処理水を逆洗水として処理室に圧送し、洗浄用水を処理室から原水室へと濾過膜を原水の濾過方向とは逆方向に通過させ、濾過表面に蓄積したスラッジを剥離除去することが望ましい。なお、剥離除去されたスラッジは、沈降式、遠心分離式、フィルター式などの方法により固液分離し、クーラントのさらなる回収および金属材料粒子の回収を行うことができる。
前述のように、金属材料粒子の粒径分布を調整することにより、分離膜の目詰まりを防ぐことに大きな効果がある。粒径が微細な金属材料粒子のみで膜処理した場合、分離膜の細孔に入り込み、分離膜の目詰まりを引き起こし、また、逆洗を行っても、十分な効果が得られなくなる傾向がある。
(膜処理における透過流速と温度)
本発明においては、膜分離について、10kPaの差圧をかけたときの処理されているクーラント廃液の透過流速が2L/h・m以上であることが望ましい。例えば、10L/h・mで実施することもできるが、同差圧における透過流速は上昇しすぎると膜詰まりしやすくなる可能性がある。一方で、2L/h・m未満の場合、必要とする回収再生クーラント量が得られなくなる傾向があるため好ましくない。
透過流速に与える因子としては、分離膜の分離精度とクーラントの粘度がある。分離精度は膜の孔径とも相関があり、孔径が大きくなるにつれて透過流速が増加するため、本発明で規定するとおり比較的大きな孔径を有する分離精度0.2〜5μmの分離膜を用いる。また、クーラントの粘度にはクーラント成分、固形分濃度、固形分の粒径分布なども複雑に影響するが、クーラント温度が上昇すると粘度が低下する傾向があるため、クーラント温度を上げることは膜分離において好ましく用いられる。
温度が高いほど粘度は低下するが、温度の上昇によるクーラントの変質や、クーラントの蒸散による周辺環境の悪化を防ぐため、処理温度は40〜60℃にするのが望ましい。クーラントは、常温では、50〜80cP程度の粘度を有するが、分離膜で処理するときには、40〜60℃の加温により、10〜30cP程度に粘度が下がることにより、膜処理を容易とする。したがって、膜処理装置(膜モジュールを収容し、処理液入口と出口を備えたハウジング)には、処理液入口に入るクーラント廃液を所定温度に加熱する加熱装置を備えるのが望ましい。
(濾過方式)
濾過方式としては、供給した処理液の全量を濾過する全濾過(デッドエンド濾過)方式と、処理液を膜表面に平行な方向に流しながら、その一部を透過液として膜面とほぼ直角に取り出す循環濾過(クロスフロー濾過)方式があり、いずれの方式においても、処理液を膜の外表面から供給し、透過液を内表面側から取り出す外圧濾過方式と、処理液を膜の内表面側から供給し、透過液を外表面側から取り出す内圧濾過方式とがある。したがって、膜濾過方式としては、外圧全濾過方式、外圧循環濾過方式、内圧全濾過方式、内圧循環濾過方式の4方式があるが、本発明においては、上記何れの濾過方式も用いることができる。なかでも、膜の目詰まりを防止しやすい点で外圧循環濾過方式が好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は本実施例によりなんら限定されるものではない。
(金属材料粒子の粒径の測定)
粒径は、(株)島津製作所製レーザ散乱式粒径分布測定装置(SALD−7000)を使用して測定した。得られた粒径分布のチャートから、粒径の範囲を把握し、また用いる分離膜の分離精度fから求めた粒子径d以上、10μm未満の粒径の粒子の占める割合についてはチャートの面積比率から求めた。
(実施例1)
シリコンインゴッドを、ワイヤソーを用いて切断(クーラントとして、ジエチレングリコール70重量%、水29重量%、その他添加剤として、消泡剤、キレート剤、防錆剤が合計1重量%からなる配合物を使用、砥粒としては平均粒径10μmの炭化ケイ素を使用)した結果、得られたクーラント廃液(A−0)は、固形分濃度53重量%であった。このクーラント廃液(A−0)を遠心分離機(ジー・フォース ジャパン株式会社製、製品番号MG−50型)にて300Gの遠心力を60分間作用させ、砥粒を除去した。砥粒除去後の液(砥粒除去後クーラント廃液(A−1))は、固形分濃度が12重量%であり、粒径分布を測定したところ、砥粒に相当する10μm付近を中心とするピークが消失していた。次に、このクーラント廃液(A−1)の一部を遠心分離機(ジー・フォース ジャパン株式会社製、製品番号NEO−200型)にて3000Gの遠心力を60分間作用させ、微細なシリコン粒子を除去した。微細なシリコン粒子除去後の第一次回収廃液(事前調整廃液)(A−2)は、固形分濃度が4重量%であり、粒径分布を測定したところ、粒径分布は、2つのピークがあり、1つは0.04μmをピークトップとし0.01〜0.2μmの分布を持つものであり、もう1つは1.2μmをピークトップとし、0.2μm以上、5μm未満の分布を持つものであった。使用する分離膜は分離精度が2μmを用いるため、分離精度(f)×0.05=基準粒子径(d)に当てはめて、廃液に含まれる金属材料粒子の総量100重量部に対する、0.1μmの基準粒子径以上の金属材料粒子の比率を求めたところ、5重量部であった。そこで、この第一次回収廃液(A−2)100重量部に、砥粒除去後クーラント廃液(A−1)を10重量部加えて、廃液に含まれる金属材料粒子の総量100重量部に対する、粒子径が0.1μm以上、10μm未満の粒子の比率を、19重量部に調整した。このとき、膜分離前調整廃液(A−3)の固形分濃度は4.7重量%であった。
この膜分離前調整廃液(A−3)を、50℃に加熱して、分離精度が2μmの親水化ポリフッ化ビニリデン中空糸膜[(株)クラレ製、製品名CE−350FS](膜面積1.8mのモジュール)で濾過した。濾過方式は、外圧循環濾過方式(循環線速度0.1m/sec)で、濾過圧力は10kPaで、気体逆洗を定期的に実施した。この処理により、透過流速は4.6L/h・mで濾過液が得られ、濾過液中の固形分濃度は、0.08重量%であった。この回収クーラントは、そのままクーラントとして再使用可能なものであった。
(比較例1)
実施例1において得られた第一次回収廃液(A−2)を、50℃に加熱して、実施例1と同じ方法にて膜濾過を行った。この処理により、透過流速は立上げ直後から急降下し、2時間後には0.5L/h・mまで低下した。さらに膜濾過を継続するためには膜の交換が必要と判断せざるを得ない結果となった。
(実施例2)
実施例1において得られたクーラント廃液(A−1)に、遠心分離機(ジー・フォース ジャパン株式会社製、製品番号NEO−200型)にて3000Gの遠心力を60分間作用させ、微細なシリコン粒子を回収した。該シリコン粒子は、粒子径が0.01μm〜8μm程度の粒子により構成されていた。次に、第一次回収廃液(事前調整廃液)(A−2)100重量部に、上記シリコン粒子を2.5重量部加えて、膜分離前調整廃液(A’−3)を得た。膜分離前調整廃液(A’−3)は、固形分濃度が5.3重量%であり、粒径分布としては、廃液に含まれる金属材料粒子の総量100重量部に対する、0.1μmの基準粒子径以上の金属材料粒子の比率が14重量部であった。この膜分離前調整廃液(A’−3)を、50℃に加熱して、実施例1と同じ方法にて膜濾過を行った。この処理により、透過流速は4.4L/h・mで濾過液が得られ、濾過液中の固形分濃度は、0.07重量%であった。このクーラント含有液は、そのままクーラントとして再使用可能なものであった。
(実施例3)
実施例1において得られたクーラント廃液(A−1)に、遠心分離機(ジー・フォース ジャパン株式会社製、製品番号NEO−200型)にて2500Gの遠心力を30分間作用させ、微細なシリコン粒子を除去した(廃液の事前調整)。微細なシリコン粒子除去後の膜分離前調整廃液(A’’−3)は、固形分濃度が6.3重量%であり、粒径分布を測定したところ、廃液に含まれる金属材料粒子の総量100重量部に対する、粒子径が0.1μm以上、5μm未満の金属材料粒子の比率は22重量部であった。この調整廃液(A’’−3)を、50℃に加熱して、実施例1と同じ方法にて膜濾過を行った。この処理により、透過流速は3.8L/h・mで濾過液が得られ、濾過液中の固形分濃度は、0.07重量%であった。このクーラント含有液は、そのままクーラントとして再使用可能なものであった。
本発明により、半導体、太陽電池など、電子部品に使用される金属材料の加工により発生する金属材料粒子を含むクーラント廃液から、高品質のクーラントの回収を効率的に行い、クーラントの再利用が可能になるので、本発明は、金属加工分野、分離膜分野、廃液処理分野などの種々の産業分野での利用可能性がある。
以上の通り、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
X1 遠心分離工程
X2 混合工程
X3 膜分離工程
X1’ 遠心分離工程
X2’ 膜分離工程

Claims (5)

  1. 微細な金属材料粒子を含むクーラント廃液から、分離膜を用いて金属材料粒子を分離してクーラントを回収する方法において、分離精度f(μm)が0.2〜5μmである分離膜を用い、下式で求められる粒子径d(μm)以上の粒子径を有する粒子が、クーラント廃液に含まれる金属材料粒子の総量100重量部に対し、10〜100重量部を占めるように、分離膜処理前のクーラント廃液に含まれる金属材料粒子の粒径分布を調整した後に、分離膜を用いて金属材料粒子を分離することを特徴とする、クーラントの回収方法。
    (式)f×0.05=d
  2. 膜分離において、10kPaの差圧をかけた時のクーラント廃液の透過流速が2L/h・m以上であることを特徴とする請求項1に記載のクーラントの回収方法。
  3. 粒径分布を調整した後のクーラント廃液の固形分濃度が10重量%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のクーラントの回収方法。
  4. 前記微細な金属材料を含むクーラント廃液に遠心分離処理を行った後、前記分離膜を用いて、遠心分離処理後のクーラント廃液に残留する金属材料粒子を分離する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のクーラントの回収方法。
  5. 前記遠心分離処理後のクーラント廃液に、前記遠心分離処理前のクーラント廃液または金属材料粒子を添加することにより、金属材料粒子の粒径分布の膜分離前調整を行う、請求項4に記載のクーラントの回収方法。
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