以下では、添付の図面を参照して、本発明の実施例について詳細に説明する。しかし、本発明がこれら実施例に限定されるものではなく、様々な形態に変形可能であることは勿論である。
図面では、本発明を明確且つ簡略に説明するために、説明と関係のない部分の図示を省略し、明細書全体において同一又は類似の部分に対しては同一の図面参照符号を使用する。そして、図面では、説明をより明確にするために、厚さ、幅などを拡大または縮小して示したが、本発明の厚さ、幅などは図面に示したものに限定されない。
そして、明細書全体においてある部分が他の部分を「含む」とするとき、特別に反対の記載がない限り、他の部分を排除するのではなく、他の部分をさらに含むことができる。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとするとき、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が位置する場合も含む。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「直上に」あるとする場合は、中間に他の部分が位置しないことを意味する。
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施例に係る太陽電池及びその製造方法を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る太陽電池の断面図で、図2は、図1の太陽電池の第1電極とエミッタ層の構造を概略的に示す平面図である。
図1及び図2を参照すると、本実施例に係る太陽電池100は、半導体基板10と、半導体基板10の一面に形成される不純物層20,30と、半導体基板10または不純物層20,30に電気的に接続される電極24,34と、を含む。より詳細には、不純物層20,30は、半導体基板10の第1面(以下、「前面」という)に形成されるエミッタ層20と、半導体基板10の第2面(以下、「後面」という)側に位置する後面電界層30と、を含むことができる。そして、電極24,34は、エミッタ層20に電気的に接続される第1電極24と、半導体基板10または後面電界層30に電気的に接続される第2電極34と、を含むことができる。その他にも、反射防止膜22及びパッシベーション膜32をさらに含むことができる。これをより詳細に説明すると、次の通りである。
半導体基板10は、多様な半導体物質を含むことができ、一例として、第1導電型不純物を含むシリコンを含むことができる。シリコンとしては、単結晶シリコンまたは多結晶シリコンを使用することができ、一例として、第1導電型はp型であってもよい。すなわち、半導体基板10は、ボロン(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)などの3族元素がドーピングされた単結晶または多結晶シリコンからなることができる。
このように、p型の半導体基板10を使用すると、半導体基板10の前面にn型を有するエミッタ層20が形成されて、pn接合(junction)をなすようになる。このようなpn接合に光が照射されると、光電効果により生成された電子が半導体基板10の前面側に移動して、第1電極24によって収集され、正孔が半導体基板10の後面側に移動して、後面電極34によって収集される。これによって電気エネルギーが発生する。
図示していないが、半導体基板10の前面及び/又は後面は、テクスチャリング(texturing)によってピラミッドなどの形状の凹凸を有することができる。このようなテクスチャリングにより半導体基板10の前面などに凹凸が形成されて表面粗さが増加すると、半導体基板10の前面などを通じて入射される光の反射率を低くすることができる。したがって、半導体基板10とエミッタ層20との界面に形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができるので、光損失を最小化することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、前面にのみ凹凸を形成してもよく、凹凸を形成しなくてもよい。
半導体基板10の前面側には、第2導電型の不純物を含むエミッタ層20が形成される。エミッタ層20は、半導体基板10とpn接合を形成する。このようなエミッタ層20は、リン(P)、ヒ素(As)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)などの5族元素を半導体基板10にドーピングして形成することができる。
本実施例において、エミッタ層20は、相対的にドーピング濃度が低く、抵抗が大きい前面低濃度ドーピング部210、及び相対的にドーピング濃度が高く、抵抗が小さい前面高濃度ドーピング部220を備える選択的エミッタ(selective emitter)構造を有する。より具体的には、第1電極24に隣接する部分に、抵抗の低い前面高濃度ドーピング部220が形成され、その他の部分に前面低濃度ドーピング部210が形成される。また、前面高濃度ドーピング部220は、前面低濃度ドーピング部210より大きいドーピング深さを有することができる。
このように、本実施例では、光が入射される第1電極24の間に対応する部分に前面低濃度ドーピング部210を形成して、浅いエミッタ(shallow emitter)を具現する。これによって、太陽電池100の電流密度を向上させることができる。これに加えて、第1電極24と隣接する部分に前面高濃度ドーピング部220を形成して、第1電極24との接触抵抗を低減させることができる。すなわち、本実施例のエミッタ層20は、選択的エミッタ構造によって太陽電池100の効率を最大化することができる。
このとき、本実施例では、前面高濃度ドーピング部220が、第1抵抗を有する第1領域222と、第1抵抗より大きい第2抵抗を有する第2領域224と、を含むことができる。このとき、第1領域222は、第2領域224より大きいドーピング深さを有することができる。これについては、以下でより詳細に説明する。
半導体基板10の前面において、エミッタ層20上に反射防止膜22及び第1電極24を形成することができる。
反射防止膜22は、第1電極24が形成された部分を除いて、実質的に半導体基板10の前面全体に形成することができる。このような反射防止膜22は、半導体基板10の前面を通じて入射される光の反射率を減少させる。したがって、半導体基板10とエミッタ層20との界面に形成されたpn接合まで到達する光量を増加させることができる。これによって、太陽電池100の短絡電流(Isc)を増加させることができる。
また、反射防止膜22は、エミッタ層20の表面、またはバルク内に存在する欠陥を不動化させるパッシベーションの役割を共に行うことができる。これによって、少数キャリアの再結合サイトを除去して、太陽電池100の開放電圧(Voc)を増加させることができる。このように、反射防止膜22によって太陽電池100の開放電圧と短絡電流を増加させて、太陽電池100の変換効率を向上させることができる。
反射防止膜22は、反射を防止できる様々な物質を含むことができる。一例として、反射防止膜22は、シリコン窒化膜を含むことができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、反射防止膜22が様々な物質を有することができることは勿論である。すなわち、反射防止膜22が、シリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、MgF2、ZnS、TiO2、CeO2などからなる群から選択されたいずれか一つの単一膜、または2個以上の膜が組み合わされた多層膜構造を有することができる。
第1電極24は、半導体基板10の前面において、反射防止膜22を貫通してエミッタ層20に電気的に接続することができる。このような第1電極24は、様々な平面形状を有することができる。一例として、図2に示すように、第1電極24は、第1間隔D1を有しながら、互いに平行に配置されるフィンガー電極24aを含むことができる。これに加えて、第1電極24は、フィンガー電極24aと交差する方向に形成されて、フィンガー電極24aを連結するバス電極24bを含むことができる。このようなバス電極24bは、一つのみが備えられてもよく、図2に示すように、第1間隔D1より大きい第2間隔D2を有しながら、複数備えられてもよい。このとき、フィンガー電極24aの幅W1よりバスバー電極24bの幅W2が大きくてもよいが、本発明がこれに限定されるものではなく、同一の幅を有することができる。すなわち、上述した第1電極24の形状は、一例として提示したものに過ぎず、本発明がこれに限定されるものではない。そして、第1電極24は、様々な物質で形成することができる。
再び図1を参照すると、半導体基板10の後面側には、半導体基板10より高いドーピング濃度で第1導電型不純物を含む後面電界層30が形成される。このような後面電界層30は、必ず必要なものではなく、設計などによって省略してもよい。
本実施例において、後面電界層30は、相対的にドーピング濃度が低く、抵抗が高い後面低濃度ドーピング部310、及び相対的にドーピング濃度が高く、抵抗が小さい後面高濃度ドーピング部320を備える選択的後面電界(selective back surface field)構造を有することができる。より具体的には、第2電極34に隣接する部分に、抵抗の低い後面高濃度ドーピング部320が形成され、その他の部分に後面低濃度ドーピング部310が形成される。また、後面高濃度ドーピング部320が、後面低濃度ドーピング部310より大きいドーピング深さを有することができる。
このように、本実施例では、光が入射される第2電極34の間に対応する部分に後面低濃度ドーピング部310を形成して、電子と正孔の再結合を効果的に防止することができる。これによって、太陽電池100の電流密度及び開放電圧を向上させることができる。これに加えて、第2電極34と隣接する部分に後面高濃度ドーピング部320を形成して、第2電極34との接触抵抗を低減させることができる。すなわち、本実施例の後面電界層30は、選択的後面電界構造によって太陽電池100の効率を向上させることができる。
このとき、本実施例では、後面高濃度ドーピング部320が、第3抵抗を有する第1領域322と、第3抵抗より大きい第4抵抗を有する第2領域324とを含むことができる。これについては、以下でより詳細に説明する。このとき、第1領域322が、第2領域324より大きいドーピング深さを有することができる。
これに加えて、半導体基板10の後面には、パッシベーション膜32と第2電極34を形成することができる。
パッシベーション膜32は、第2電極34が形成された部分を除いて、実質的に半導体基板10の後面全体に形成することができる。このようなパッシベーション膜32は、半導体基板10の後面に存在する欠陥を不動化して、少数キャリアの再結合サイトを除去することができる。これによって、太陽電池100の開放電圧を増加させることができる。
このようなパッシベーション膜32は、光が透過できるように透明な絶縁物質からなることができる。したがって、このようなパッシベーション膜32を通じて、半導体基板10の後面からでも光が入射できるようにして、太陽電池100の効率を向上させることができる。一例として、パッシベーション膜32は、シリコン窒化膜、水素を含むシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン酸化窒化膜、MgF2、ZnS、TiO2、及びCeO2からなる群から選択されたいずれか一つの単一膜、または2個以上の膜が組み合わされた多層膜構造を有することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、パッシベーション膜32が様々な物質を含むことができることは勿論である。
第2電極34は、電気伝導性に優れた様々な金属などを含むことができる。そして、第2電極34は、図2に示した第1電極24と類似の構造を有するので、第2電極34の具体的な構造については詳細な説明を省略する。
本実施例では、選択的エミッタ構造を有するエミッタ層20、及び選択的後面電界構造を有する後面電界層30が太陽電池100の効率を最大化することができる構造を有する。これについてより詳細に説明する。以下では、明確な説明のために、前面高濃度ドーピング部220及び後面高濃度ドーピング部320を総称して高濃度ドーピング部220,320と呼ぶ。そして、前面高濃度ドーピング部220の第1領域222、及び後面高濃度ドーピング部320の第1領域322を総称して第1領域222,322と呼び、前面高濃度ドーピング部220の第2領域224及び後面高濃度ドーピング部320の第2領域324を総称して第2領域224,324と呼ぶ。そして、前面高濃度ドーピング部220に電気的に接続される第1電極24、及び後面高濃度ドーピング部320に電気的に接続される第2電極34を総称して電極24,34と呼ぶ。
本実施例では、前面高濃度ドーピング部220が、互いに異なる抵抗を有する第1及び第2領域222,224を備えることができ、後面高濃度ドーピング部320が、互いに異なる抵抗を有する第1及び第2領域322,324を備えることができる。これは、前面及び後面高濃度ドーピング部220,230によって正孔と電子の再結合が増加して、電流密度及び開放電圧が減少することを防止するためである。これをより詳細に説明する。
前面高濃度ドーピング部220は、一般的に第1電極24よりも広い幅を有し、後面高濃度ドーピング部320は、一般的に第2電極34よりも広い幅を有する。高濃度ドーピング部220,320を電極24,34と同一の幅に形成する場合、電極24,34の形成時に不可避に発生する工程の誤差によって、電極24,34の全体または一部が高濃度ドーピング部220,320に接触できなくなることがある。すると、電極24,34との接触抵抗を低くすることが難しくなる。そのため、高濃度ドーピング部220,320は、工程マージン(margin)を考慮して、電極24,34よりも広く形成される。ところが、高濃度ドーピング部220,320の低い抵抗は、電極24,34との接触抵抗を低くするのに効果的である反面、高い濃度によって表面再結合が起こりやすくなり、これによって、電流密度及び開放電圧を減少させることがある。
これを考慮して、本実施例では、高濃度ドーピング部220,320が互いに異なる抵抗を有する第1領域222,322及び第2領域224,324を備える。このとき、電極24,34と接触する可能性の高い中間部分に該当する第1領域222,322は、相対的に低い第1抵抗(または第3抵抗)を有するようにする。そして、第1領域222,322の外郭部に位置して、工程誤差が発生する場合にのみ電極24,34と接触する第2領域224,324では、第1抵抗(または第3抵抗)より高く、低濃度ドーピング部210,310よりは低い第2抵抗(または第4抵抗)を有するようにする。これによって、最大工程誤差が発生しても、電極24,34の少なくとも一部が第1領域222,322に接触するようにし、電極24,34の残りの部分は第2領域224,324に位置するようにすることができる。
すなわち、本実施例では、工程マージンを考慮して、電極24,34が接触することができる領域に該当する高濃度ドーピング部220,320は、低濃度ドーピング部210,310より低い抵抗を有するようにして、電極24,34との接触抵抗を低くすることができる。また、電極24,34が接触する可能性の高い第1領域222,322は、相対的に低い第1抵抗を有するようにし、工程誤差が発生する場合にのみ電極24,34と接触する工程マージン領域に対応する第2領域224,324は、相対的に高い第2抵抗を有するようにして、第2領域224,324で表面再結合を減少させることができる。これによって、電流密度及び開放電圧の減少を最小化することができる。結果的に、太陽電池100の効率を極大化することができる。
このとき、本実施例では、第1領域222,322の両側にそれぞれ第2領域224,324が位置して、工程誤差によるミスアラインメント(mis−align)に対してより効果的に対応することができる。
このとき、エミッタ層20の第1領域222の幅T1に対する第2領域224のそれぞれの幅T2の比率が、0.5〜1.5であるとよい。比率が1.5を超えると、第2領域224の領域が広くなるため、電流密度及び開放電圧の減少を防止するのに十分でない可能性があり、比率が0.5未満であると、工程誤差が発生する時、第1電極24が第2領域224を超えて低濃度ドーピング部210にまで位置し得る。すなわち、比率は、工程誤差及び第2領域224の面積などを考慮したものである。同様に、後面電界層30の第1領域322の幅に対する第2領域324のそれぞれの幅の比率が、0.5〜1.5であるとよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、比率が、工程誤差などを考慮して変更可能であることは勿論である。
そして、第1電極24の幅Wに対する第1領域222の幅T1の比率が、0.8〜1.2であるとよい。このとき、第1電極24の幅Wは、フィンガー電極24aにおいては第1幅W1を有し、バスバー電極24bにおいては第2幅W2を有する。したがって、フィンガー電極24aに隣接した部分では、第1幅W1を基準にして、フィンガー電極24aに隣接した第1領域222の幅を考慮する。そして、バスバー電極24bに隣接した部分では、第2幅W2を基準にして、バスバー電極24aに隣接した第2領域224の幅を考慮する。比率が1.2を超えると、相対的に高い濃度及び低い抵抗を有する第1領域222の幅が過度に大きくなるため、この部分で表面再結合が起こって太陽電池100の効率を低下させることがある。比率が0.8未満であると、第1電極24と第1領域222の接触面積が十分でないため、接触抵抗を十分に低くするのに困難がある。同様に、後面電界層30の第1領域322の幅に対する第2電極34の幅の比率が、0.8〜1.2であるとよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、比率が、工程誤差などを考慮して変更可能であることは勿論である。
本実施例において、第1領域222,322の抵抗が30〜70オーム/□(ohm/square)(より正確には、30〜40オーム/□)であり、第2領域224,324の抵抗が80〜90オーム/□であるとよい。そして、低濃度ドーピング部210,310の抵抗が100オーム/□以上(より正確には、100〜120オーム/□)であるとよい。第1領域222,322の抵抗は、電極24,34との接触抵抗を最小化する範囲で決定されたものであり、第2領域224,324の抵抗は、電極24,34との接触抵抗を一定水準以上に確保することができる最小限の抵抗で決定されたものである。そして、エミッタ層20の第2領域224は、第1電極24と半導体基板10のシャントが発生しない範囲で決定されたものである。そして、低濃度ドーピング部210,310は、浅いエミッタ(shallow emitter)を形成できる水準に決定されたものである。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、相互間の抵抗関係のみを満足すれば、様々な抵抗を有してもよいことは勿論である。
本実施例では、半導体基板10及び後面電界層30がp型の不純物を有し、エミッタ層20がn型不純物を有する場合を例示した。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。したがって、半導体基板10及び後面電界層30がn型の不純物を有し、エミッタ層20がp型不純物を有してもよい。
以下、図3A乃至図3Kを参照して、本発明の一実施例に係る太陽電池の製造方法を詳細に説明すると、次の通りである。前述した内容については詳細な説明を省略し、説明していない部分についてのみ詳細に説明する。
まず、図3Aに示すように、第1導電型の半導体基板10を準備する。図示していないが、半導体基板10の前面及び/又は後面は、テクスチャリングによって凹凸を有することができる。テクスチャリングとしては、湿式または乾式テクスチャリングを使用することができる。湿式テクスチャリングは、テクスチャリング溶液に半導体基板10を浸漬することによって行うことができ、工程時間が短いという長所がある。乾式テクスチャリングは、ダイヤモンドドリルまたはレーザなどを用いて半導体基板10の表面を削るものであって、凹凸を均一に形成できる一方、工程時間が長く、半導体基板10に損傷が生じうる。このように、本発明では、様々な方法で半導体基板10をテクスチャリングすることができる。
次いで、図3B乃至図3Dに示すように、半導体基板10の前面にエミッタ層20を形成する。これをより詳細に説明する。
まず、図3Bに示すように、半導体基板10に熱拡散法によって不純物をドーピングして、前面低濃度ドーピング部210を形成する。熱拡散法は、半導体基板10を加熱した状態で不純物の気体化合物(例えば、リン(P)を含む化合物)を拡散させて、不純物をドーピングするものである。製造工程が単純で、コストが低廉であるという長所がある。このような熱拡散法によって、半導体基板10の両面に前面低濃度ドーピング部210を形成することができ、前面低濃度ドーピング部210上にはガラス組成物層212を形成することができる。このようなガラス組成物層212は、熱拡散法によって前面低濃度ドーピング部210を形成する時に必然に形成されるもので、一例として、リンシリケートガラス(phosphorous silicate glass、PSG)を含むことができる。
次いで、図3C及び図3Dに示すように、前面低濃度ドーピング部210上に形成されたガラス組成物層212に選択的に熱を加えて、前面低濃度ドーピング部210より低い抵抗を有する前面高濃度ドーピング部220を形成する。ガラス組成物層212を選択的に加熱すると、その部分に含まれた不純物(例えば、リン)が半導体基板10の内部に拡散して、該当の部分のドーピング濃度を高めることができる。これによって、該当の部分の抵抗もまた低くなる。
より具体的には、図3Cに示したように第1領域222を形成した後に、図3Dに示したように第2領域224を形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2領域224を形成した後に第1領域222を形成してもよい。
このとき、前面高濃度ドーピング部220に対応する部分を選択的に加熱するための様々な方法を使用することができ、一例として、レーザ230を照射する方法を使用することができる。このとき、第1領域222と第2領域224に照射するレーザのパワー(power)を互いに異なるようにして、第1領域222と第2領域224のドーピング濃度及び抵抗を互いに異ならせることができる。
すなわち、図3Cに示すように、第1領域222に対応する部分にレーザ230を照射するときは、パワーを大きくして、第1領域222が相対的に高い濃度及び低い抵抗を有するようにすることができる。そして、図3Dに示すように、第2領域224に対応する部分にレーザ230を照射するときは、パワーを相対的に小さくして、第2領域224が低い濃度及び高い抵抗を有するようにすることができる。一例として、パルスレーザを使用する場合、第1領域222に照射されるレーザのパワーは、1.75〜2ジュール(joule)であるとよく、第2領域224に照射されるレーザのパワーは1〜1.5ジュールであるとよい。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、レーザパワーの具体的な数値は、レーザの種類、波長帯などによって変わることができる。そして、レーザのパワーを異ならせる代わりに、レーザの種類を異ならせてもよい。
このように、レーザ230を使用して、レーザ装置内に入力されたパターンによって選択的にガラス組成物層212を加熱することができ、第1領域222及び第2領域224を薄い幅に形成することができる。
また、本実施例では、熱拡散法により形成されるガラス組成物層212に含まれた不純物を半導体基板10の内部に拡散させることで、選択的エミッタ構造を形成する。これによって、選択的エミッタ構造のための別途のドーピング用層を形成する工程を含まないので、単純な工程で選択的エミッタ構造を形成することができる。また、レーザを使用して、簡単な方法によって、前面高濃度ドーピング部220が互いに異なる抵抗を有する第1領域222及び第2領域224を有するようにすることができる。
次いで、図3Eに示すように、前面高濃度ドーピング部220を形成するステップの後に、ガラス組成物層212を除去する。このようなガラス組成物層212は、フッ酸、塩酸などの酸性エッチング溶液によって除去することができる。
次いで、図3Fに示すように、エミッタ層20上に反射防止膜22を形成することができる。このような反射防止膜22は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷、またはスプレーコーティングなどのような様々な方法によって形成することができる。
次いで、図3G乃至図3Iに示すように、半導体基板10の後面に後面電界層30を形成する。これをより詳細に説明する。
まず、図3Gに示すように、半導体基板10に熱拡散法によって不純物をドーピングして、後面低濃度ドーピング部310を形成する。より具体的には、半導体基板10の後面をエッチングして前面低濃度ドーピング部210を除去した後に、後面低濃度ドーピング部310を形成することができる。または、後面を前面よりも高い濃度でドーピングするオーバードーピング(over doping)によって後面低濃度ドーピング部310を形成することができる。
熱拡散法によって、半導体基板10の後面に後面低濃度ドーピング部310を形成することができ、後面低濃度ドーピング部310上にはガラス組成物層312を形成することができる。このようなガラス組成物層312は、熱拡散法によって後面低濃度ドーピング部310を形成する時に必然に形成されるもので、一例として、ボロンシリケートガラス(boron silicate glass、BSG)を含むことができる。
次いで、図3H及び図3Iに示すように、後面低濃度ドーピング部310上に形成されたガラス組成物層312に選択的に熱を加えて、後面低濃度ドーピング部310より低い抵抗を有する後面高濃度ドーピング部320を形成する。ガラス組成物層312を選択的に加熱すると、その部分に含まれた不純物(例えば、ボロン)が半導体基板10の内部に拡散して、該当の部分のドーピング濃度を高めることができる。これによって、該当の部分の抵抗もまた低くなる。
より具体的には、図3Hに示すように第1領域322を形成した後に、図3Iに示すように第2領域324を形成することができる。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、第2領域324を形成した後に第1領域322を形成してもよい。
このとき、前面高濃度ドーピング部320に対応する部分を選択的に加熱するために様々な方法を使用することができ、一例として、レーザ330を照射する方法を使用することができる。このとき、第1領域322と第2領域324に照射するレーザのパワーを互いに異なるようにして、第1領域322と第2領域324のドーピング濃度及び抵抗を互いに異ならせることができる。
すなわち、図3Hに示すように、第1領域322に対応する部分にレーザ330を照射するときは、パワーを大きくして、第1領域322が相対的に高い濃度及び低い抵抗を有するようにすることができる。そして、図3Iに示すように、第2領域324に対応する部分にレーザ330を照射するときは、パワーを相対的に小さくして、第2領域324が低い濃度及び高い抵抗を有するようにすることができる。具体的なレーザの強度などは、エミッタ層20と似ており、これについての詳細な説明は省略する。
このように、レーザ330を使用して、レーザ装置内に入力されたパターンによって選択的にガラス組成物層312を加熱することができ、第1領域322及び第2領域324を薄い幅に形成することができる。
また、本実施例では、熱拡散法により形成されるガラス組成物層312に含まれた不純物を半導体基板10の内部に拡散させることで、選択的後面電界構造を形成する。これによって、選択的後面電界構造のための別途のドーピング用層を形成する工程を含まないので、単純な工程で選択的後面電界構造を形成することができる。また、レーザを使用して、簡単な方法によって、後面高濃度ドーピング部320が互いに異なる抵抗を有する第1領域322及び第2領域324を有するようにすることができる。
次いで、図3Jに示すように、半導体基板10の後面においてガラス組成物層312を除去し、パッシベーション膜32を形成する。ガラス組成物層312は、フッ酸、塩酸などの酸性エッチング溶液によって除去することができる。そして、反射防止膜32は、真空蒸着法、化学気相蒸着法、スピンコーティング、スクリーン印刷、またはスプレーコーティングなどの様々な方法によって形成することができる。
次いで、図3Kに示すように、半導体基板10の前面に、エミッタ層20の第1領域222に接触する第1電極24を形成し、半導体基板10の後面に、後面電界層30の第1領域322に接触する第2電極34を形成する。
反射防止膜22に開口部を形成し、開口部内にメッキ法、蒸着法などの様々な方法で第1電極24を形成することができる。そして、パッシベーション膜32に開口部を形成し、この開口部内に、メッキ法、蒸着法などの様々な方法で第2電極34を形成することができる。
または、第1及び第2電極形成用ペーストを、反射防止膜22及びパッシベーション膜32上にそれぞれスクリーン印刷などで塗布した後に、焼成(fire through)またはレーザ焼成コンタクト(laser firing contact)などを行って、上述した形状の第1及び第2電極24,34を形成してもよい。この場合には、別途に開口部を形成する工程を行わなくてもよい。
このような第1及び第2電極24,34は、工程誤差が発生しても、少なくとも一部が第1領域222,322に接触することになる。
本実施例では、不純物層であるエミッタ層20と後面電界層30がそれぞれ、第1領域222,322及び第2領域224,324を含む高濃度ドーピング部220,320と共に、低濃度ドーピング部210,310を備えるようにする。これによって、太陽電池100の効率を極大化することができる。
このとき、熱拡散法によって不純物層から形成されたガラス組成物層(例えば、リンシリケートガラスまたはボロンシリケートガラス)にレーザを照射して高濃度ドーピング部220,320を形成することで、別途のドーピング用層を形成しなくてもよい。これによって、単純な工程によって、第1領域222,322及び第2領域224,324を含む高濃度ドーピング部220,320と、低濃度ドーピング部210,310とを形成することができる。
上述した実施例での工程の順序は、一例として提示したものに過ぎず、工程の順序を多様に変更可能であることは勿論である。
そして、上述した実施例では、不純物層であるエミッタ層20及び後面電界層30がそれぞれ、第1領域222,322及び第2領域224,324を含む高濃度ドーピング部220,320と共に、低濃度ドーピング部210,310を備える。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、図4乃至図7に示すように様々な変形が可能である。
すなわち、図4に示すように、後面電界層30が後面高濃度ドーピング部320と後面低濃度ドーピング部310を備え、後面高濃度ドーピング部320が全体的に均一なドーピング濃度及び均一な抵抗を有することができる。すなわち、前面高濃度ドーピング部220は、第1及び第2領域222,224を備え、後面高濃度ドーピング部320は、第1及び第2領域を備えなくてもよい。このような後面高濃度ドーピング部320は、上述した実施例でのように、レーザを用いて形成することができる。または、マスクを用いたイオン注入法などの方法によって、上述した構造の後面電界層30を形成することもできる。
または、図5に示すように、後面電界層30が、全体的に均一なドーピング濃度及び均一な抵抗を有することができる。
これによれば、後面電界層30のドーピング濃度を全体的に低くして、半導体基板10の後面で発生する電子及び正孔の再結合を効果的に防止することができる。また、後面電界層30の製造工程を単純化することができる。
または、図6に示すように、エミッタ層20が前面高濃度ドーピング部220と前面低濃度ドーピング部210を備え、前面高濃度ドーピング部220が全体的に均一なドーピング濃度及び均一な抵抗を有することができる。すなわち、後面高濃度ドーピング部320は、第1及び第2領域322,324を備え、前面高濃度ドーピング部220は、第1及び第2領域を備えなくてもよい。このような前面高濃度ドーピング部220は、上述した実施例でのようにレーザを用いて形成することができる。または、マスクを用いたイオン注入法などの方法によって、上述した構造のエミッタ層20を形成することもできる。
または、図5に示すように、エミッタ層20が全体的に均一なドーピング濃度及び均一な抵抗を有することができる。
これによれば、エミッタ層20のドーピング濃度を全体的に低くして、半導体基板10の前面で発生する電子及び正孔の再結合を効果的に防止することができる。また、エミッタ層20の製造工程を単純化することができる。
本実施例では、工程マージンを考慮して、電極に接触することができる領域に該当する高濃度ドーピング部が、低濃度ドーピング部よりも低い抵抗を有するようにして、電極との接触抵抗を低くすることができる。また、高濃度ドーピング部において、電極に接触する可能性が高い第1領域は、相対的に低い第1抵抗を有するようにし、工程誤差が発生する場合にのみ電極と接触する工程マージン領域に対応する第2領域は、相対的に高い第2抵抗を有するようにして、第2領域で表面再結合を減少させることができる。これによって、電流密度及び開放電圧の減少を最小化することができる。結果的に、太陽電池の効率を極大化することができる。
また、本実施例では、熱拡散法によって形成されるガラス組成物層に含まれた不純物を半導体基板の内部に拡散させて、選択的構造を形成する。これによって、選択的エミッタ構造のための別途のドーピング用層を形成する工程を含まないので、単純な工程で選択的構造を形成することができる。また、レーザを使用して、簡単な方法によって、前面高濃度ドーピング部が互いに異なる抵抗を有する第1領域及び第2領域を有するようにすることができる。
上述したような特徴、構造、効果などは、本発明の少なくとも一つの実施例に含まれ、必ずしも一つの実施例にのみ限定されるものではない。さらに、各実施例で例示した特徴、構造、効果などは、実施例の属する分野における通常の知識を有する者によって、他の実施例に対しても組み合わせ又は変形して実施可能である。したがって、このような組み合わせと変形に係る内容は、本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。