本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンにより支持された前記媒体に液体を吐出するヘッドユニットと、
前記プラテンにより支持された前記媒体に向けて風を送る送風機と、を有する液体吐出装置であって、
前記送風機は、前記媒体に向けて該送風機により送られる風が前記媒体の法線方向と角度を有する方向に向かうように取り付けられていることを特徴とする液体吐出装置。
かかる液体吐出装置によれば、液体を適切に乾燥させることが可能となる。
また、前記ヘッドユニットの下面には、液体を吐出するためのノズルを有するノズル面が設けられており、
前記風を遮ることにより、該風が前記ノズル面と前記媒体との間の空間へ送られることを抑制する遮風体をさらに有することとしてもよい。
かかる場合には、液体の飛行曲がりの発生を適切に抑えることが可能となる。
また、前記媒体を搬送方向に搬送する搬送部を備え、
前記送風機は、該搬送方向における前記ヘッドユニットの側端部に取り付けられており、
前記遮風体は、遮風板であり、
該遮風板は、前記ヘッドユニットから延出し、前記送風機の下方に位置する下方延出板を有することとしてもよい。
かかる場合には、風が前記空間へ送られることを効果的に抑制することが可能となる。
また、前記遮風板は、
前記下方延出板と繋がっており、前記搬送方向と交差する前記媒体の幅方向における前記送風機の一方の側端部と対向する第一側端部対向板と、
前記下方延出板と繋がっており、前記幅方向における前記送風機の他方の側端部と対向する第二側端部対向板と、をさらに有し、
前記下方延出板、前記第一側端部対向板、前記第二側端部対向板で、前記送風機を両側方及び下方から囲んでおり、
前記第一側端部対向板及び前記第二側端部対向板の先端部間の距離は、前記第一側端部対向板及び前記第二側端部対向板の根元部間の距離よりも大きいこととしてもよい。
かかる場合には、液体をより適切に乾燥させることが可能となる。
また、前記送風機は、
前記ヘッドユニットに対して、前記搬送方向と交差する前記媒体の幅方向に相対移動自在に、
取り付けられていることとしてもよい。
かかる場合には、液体をより適切に乾燥させることが可能となる。
また、前記送風機は移動送風機であり、
液体吐出装置本体に固定され、前記プラテンにより支持された前記媒体に向けて風を送る固定送風機と、
前記固定送風機により送られる該風を遮ることにより、該風が前記空間へ送られることを抑制する第二遮風体と、をさらに有することとしてもよい。
かかる場合には、液体の飛行曲がりの発生を適切に抑えることが可能となる。
次に、媒体を支持するプラテンと、前記プラテンにより支持された前記媒体に液体を吐出するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットに設けられ、前記プラテンにより支持された前記媒体に向けて風を送る送風機と、を有する液体吐出装置を準備することと、
前記送風機が、前記媒体の法線方向と角度を有する斜め下方向に、風を送ることと、を有することを特徴とする送風方法。
かかる送風方法によれば、液体を適切に乾燥させることが可能となる。
===画像記録装置1の構成例について===
液体吐出装置の一例としての画像記録装置1(本実施の形態においては、インクジェット式プリンター、特に、ラテラルスキャン型のラベル印刷機)の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、画像記録装置1の概略断面図である。図2は、画像記録装置1のブロック図である。
なお、以下の説明において、「上下方向」、「左右方向」をいう場合は、図1に矢印で示した方向を基準として示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1において紙面に直交する方向を示すものとする。
また、本実施の形態においては、画像記録装置1が画像を記録する媒体の一例として、ロール状に巻かれた透明なメディア(以下、ロール状透明メディア2という)を用いて説明する。
本実施の形態に係る画像記録装置1は、図1及び図2に示すように、搬送部の一例としての搬送ユニット20、及び、該搬送ユニット20がロール状透明メディア2を搬送する搬送経路(図1において、当該搬送経路は、ロール状透明メディア巻軸18からロール状透明メディア巻き取り駆動軸92までの間の、ロール状透明メディア2が位置する部分により表されている)に沿って、給送ユニット10、プラテン29、巻き取りユニット90、を有し、さらに、搬送経路上の画像記録領域Rにおいて複数種類の液体の一例としてのインクを吐出して画像記録を行うヘッドユニット30と、インク補給ユニット35と、クリーニングユニット43と、ヒーターユニット70と、プラテン29上のロール状透明メディア2に風を送る送風ユニット80と、これらのユニット等を制御し画像記録装置1としての動作を司るコントローラー60と、検出器群50と、を有している。
給送ユニット10は、ロール状透明メディア2を搬送ユニット20に給送するものである。この給送ユニット10は、ロール状透明メディア2が巻かれ回転可能に支持されるロール状透明メディア巻軸18と、ロール状透明メディア巻軸18から繰り出されたロール状透明メディア2を巻き掛けて搬送ユニット20に導くための中継ローラー19と、を有している。
搬送ユニット20は、給送ユニット10により送られたロール状透明メディア2を、予め設定された搬送経路に沿って搬送方向に搬送するものである。この搬送ユニット20は、図1に示すように、中継ローラー19に対して水平右方に位置する中継ローラー21と、中継ローラー21から見て右斜め下方に位置する中継ローラー22と、中継ローラー22から見て右斜め上方(プラテン29から見て搬送方向における左側)に位置する第一搬送ローラー23と、中継ローラー22と第一搬送ローラー23との間に位置するステアリングユニット(舵取りユニット)20aと、第一搬送ローラー23から見て右方(プラテン29から見て搬送方向における右側)に位置する第二搬送ローラー24と、第二搬送ローラー24から見て鉛直下方に位置する反転ローラー25と、反転ローラー25から見て右方に位置する中継ローラー26と、中継ローラー26から見て上方に位置する送り出しローラー27と、を有している。
中継ローラー21は、中継ローラー19から送られたロール状透明メディア2を、左方から巻き掛けて下方に向かって弛ませるローラーである。
中継ローラー22は、中継ローラー21から送られたロール状透明メディア2を、左方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
第一搬送ローラー23は、不図示のモーターにより駆動される第一駆動ローラー23aと、該第一駆動ローラー23aに対してロール状透明メディア2を挟んで対向するように配置された第一従動ローラー23bとを有している。この第一搬送ローラー23は、下方に弛ませたロール状透明メディア2を上方に引き上げ、プラテン29に対向する画像記録領域Rへ搬送するローラーである。第一搬送ローラー23は、画像記録領域R上のロール状透明メディア2の部位に対して画像印刷がなされている期間、一時的に搬送を停止させるようになっている(すなわち、後述するように、ヘッド31が、左右方向及び前後方向へ移動しつつ、停止しているロール状透明メディア2の当該部位にインクを吐出することにより、当該部位に1ページ分の画像記録が成されることとなる)。なお、コントローラー60の駆動制御により、第一駆動ローラー23aの回転駆動に伴って第一従動ローラー23bが回転することによって、プラテン29上に位置させるロール状透明メディア2の搬送量が調整される。
搬送ユニット20は、上述したとおり、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間に巻き掛けたロール状透明メディア2の部位を下方に弛ませて搬送する機構を有している。このロール状透明メディア2の弛みは、コントローラー60により、不図示の弛み検出用センサーからの検出信号に基づき監視される。具体的には、中継ローラー21、22と第一搬送ローラー23との間において弛ませたロール状透明メディア2の部位を、弛み検出用センサーが検出した場合には、該部位に適切な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20はロール状透明メディア2を弛ませた状態で搬送することが可能となる。一方、弛み検出用センサーが弛ませたロール状透明メディア2の部位を検出しない場合は、該部位に過剰な大きさの張力が与えられていることになるため、搬送ユニット20によるロール状透明メディア2の搬送が一時的に停止され、張力が適切な大きさに調整される。
ステアリングユニット20aは、図1に示すように、傾斜した状態で搬送経路上に位置し、回動することによりロール状透明メディア2の幅方向位置(幅方向(図1に示す前後方向)においてロール状透明メディア2が位置する位置)を変化させるためのものである。すなわち、ロール状透明メディア2が搬送経路に沿って搬送される際、中継ローラー等の軸ずれや組み付け誤差等によりロール状透明メディア2に作用する張力が変動すること等に起因して、ロール状透明メディア2の幅方向位置が変位する場合がある。そして、当該ステアリングユニット20aは、ロール状透明メディア2の当該幅方向位置を調整するためのものである。
第二搬送ローラー24は、不図示のモーターにより駆動される第二駆動ローラー24aと、該第二駆動ローラー24aに対してロール状透明メディア2を挟んで対向するように配置された第二従動ローラー24bとを有している。この第二搬送ローラー24は、ヘッドユニット30により画像が記録された後のロール状透明メディア2の部位を、プラテン29の支持面に沿って水平右方向に搬送した後に鉛直下方に搬送するローラーである。これにより、ロール状透明メディア2の方向が転換されることになる。なお、コントローラー60の駆動制御により、第二駆動ローラー24aの回転駆動に伴って第二従動ローラー24bが回転することによって、プラテン29上に位置するロール状透明メディア2の部位に対して付与される所定の張力が調整される。
反転ローラー25は、第二搬送ローラー24から送られたロール状透明メディア2を、左側上方から巻き掛けて右斜め上方に向かって搬送するローラーである。
中継ローラー26は、反転ローラー25から送られたロール状透明メディア2を、左側下方から巻き掛けて上方に向かって搬送するローラーである。
送り出しローラー27は、中継ローラー26から送られたロール状透明メディア2を、左側下方から巻き掛けて巻き取りユニット90に送り出すようになっている。
このように、ロール状透明メディア2が各ローラーを順次経由して移動することにより、ロール状透明メディア2を搬送するための搬送経路が形成されることになる。なお、ロール状透明メディア2は、搬送ユニット20により、画像記録領域Rと対応した領域単位で間欠的にその搬送経路に沿って搬送される(すなわち、画像記録領域R上のロール状透明メディア2の部位に1ページ分の画像記録が成される毎に、間欠的な当該搬送が行なわれる)。
ヘッドユニット30は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール状透明メディア2の部位に画像を記録するためのものである。すなわち、ヘッドユニット30は、搬送ユニット20により搬送経路上の画像記録領域Rに(プラテン29上に)送り込まれたロール状透明メディア2の部位に、インク吐出ノズル(ノズルに相当)からインクを吐出して画像を形成する。このヘッドユニット30は、ヘッド31とキャリッジ33とを有している。
ヘッドユニット30(ヘッド31)の下面には、インクを吐出するためのインク吐出ノズルを有するノズル面32が設けられている。そして、ヘッド31は、当該ノズル面32に、列方向にインク吐出ノズルが並んだインク吐出ノズル列を有している。本実施の形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ホワイト(W)の色毎にそれぞれ複数のインク吐出ノズル♯1〜♯Nからなるインク吐出ノズル列を有している。各インク吐出ノズル列の各インク吐出ノズル♯1〜♯Nは、ロール状透明メディア2の搬送方向に交差する交差方向(つまり、当該交差方向が前述した列方向である)に直線状に配列されている。各インク吐出ノズル列は、当該搬送方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。
各インク吐出ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各インク吐出ノズル♯1〜♯Nから吐出される。
キャリッジ33は、不図示のモーターの駆動により、キャリッジガイドレール41(図1に二点鎖線で示す)に沿ってヘッド31と一体となって搬送方向(左右方向)へ移動するよう構成されている。すなわち、キャリッジ33は、ヘッド31を支持し、ヘッド31の移動に伴って搬送方向(左右方向)へ往復移動するようになっている。また、キャリッジ33には、列方向(前後方向)に延びる不図示のヘッドガイドレールが設けられており、ヘッド31は、前記モーターの駆動により、当該ヘッドガイドレールに沿って列方向(前後方向)へ移動するよう構成されている。
このように、ヘッド31は、前記搬送方向(すなわち、前記左右方向)と前記列方向(すなわち、前記前後方向)に往復移動することができるようになっている。
インク補給ユニット35は、ヘッド31によるインクの吐出に起因してヘッド31内のインクの量が減った際に、ヘッド31にインクを補給するためのものである。
このインク補給ユニット35は、インクの色毎に設けられている。すなわち、イエロー色のインクを補給するためのイエローインク補給ユニット、マゼンタ色のインクを補給するためのマゼンタインク補給ユニット、シアン色のインクを補給するためのシアンインク補給ユニット、ブラック色のインクを補給するためのブラックインク補給ユニット、ホワイト色のインクを補給するためのホワイトインク補給ユニットが設けられている。
インク補給ユニット35は、インクカートリッジ、インクの流路(通り道)となる多数のチューブ、当該チューブを開閉するための多数のバルブ等から構成されている。なお、当該インクカートリッジが設置されている場所を、図1における符号35で表している。
クリーニングユニット43は、ヘッド31をクリーニングするためのものである。このクリーニングユニット43は、ホームポジション(以下、HPと呼ぶ。図1参照)に設けられており、キャップと、吸引ポンプ等とを有している。ヘッド31(キャリッジ33)が搬送方向(左右方向)に移動してHPに位置すると、ヘッド31の下面(ノズル面32)に不図示のキャップが密着するようになっている。このようにキャップが密着した状態で吸引ポンプが作動すると、ヘッド31内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたインク吐出ノズルが不吐出状態から回復することによってヘッド31のクリーニングが完了する。
また、搬送方向(左右方向)におけるHPとプラテン29との間には、フラッシングユニット44が設けられており、ヘッド31(キャリッジ33)が搬送方向(左右方向)に移動してフラッシングユニット44に対向する位置に位置すると、ヘッド31は前記インク吐出ノズル列に属する各インク吐出ノズルからインクを吐出してフラッシングを行なうフラッシング動作を実行する。
プラテン29は、ロール状透明メディア2を支持し、かつ、加熱するためのものである。すなわち、プラテン29は、搬送経路上の画像記録領域Rに位置するロール状透明メディア2の部位を支持するとともに、該部位を加熱する。このプラテン29は、図1に示すように、搬送経路上の画像記録領域Rに対応させて設けられ、かつ、第一搬送ローラー23と第二搬送ローラー24との間の搬送経路に沿った領域に配置されている。そして、プラテン29は、ヒーターユニット70が発生させた熱の供給を受けることにより、ロール状透明メディア2の該部位を加熱することができる。
ヒーターユニット70は、ロール状透明メディア2を加熱するためのものであり、不図示のヒーターを有している。このヒーターは、ニクロム線を有しており、当該ニクロム線をプラテン29内部に、プラテン29の支持面から一定距離となるように配置させて構成されている。このため、ヒーターは、通電されることによってニクロム線自体が発熱し、プラテン29の支持面上に位置するロール状透明メディア2の部位に熱を伝導させることができる。このヒーターは、プラテン29の全域にニクロム線を内蔵させて構成されているため、プラテン29上のロール状透明メディア2の部位に対して熱を均一に伝導することができる。本実施の形態において、プラテン上のロール状透明メディア2の部位の温度が45℃となるように、該ロール状透明メディア2の部位を均一に加熱する。これにより、該ロール状透明メディア2の部位に着弾されたインクを乾燥させることができる。
送風ユニット80は、プラテン29上のロール状透明メディア2の部位に風を送ることにより、プラテン29(ヒーターユニット70)と協働して、当該部位上に吐出されたインクを乾燥させるためのものである。送風ユニット80については後に詳述する。
巻き取りユニット90は、搬送ユニット20により送られたロール状透明メディア2(画像記録済みのロール状透明メディア)を巻き取るためのものである。この巻き取りユニット90は、送り出しローラー27から送られたロール状透明メディア2を、左側上方から巻き掛けて右斜め下方へ搬送するための中継ローラー91と、回転可能に支持され中継ローラー91から送られたロール状透明メディア2を巻き取るロール状透明メディア巻き取り駆動軸92と、を有している。
コントローラー60は、画像記録装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図2に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と画像記録装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、画像記録装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
検出器群50は、画像記録装置1内の状況を監視するものであり、例えば、前述の弛み検出用センサー、搬送ローラーに取り付けられてロール状透明メディア2の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送されるロール状透明メディア2の有無を検出する用紙検出センサー、キャリッジ33(又はヘッド31)の搬送方向(左右方向)の位置を検出するためのリニア式エンコーダー、ロール状透明メディア2の幅方向における紙端(エッジ)位置を検出する紙端位置検出センサーなどがある。
<<<送風ユニット80について>>>
次に、送風ユニット80について、図1、図3乃至図5を用いて説明する。図3乃至図5は、オンキャリッジファン202及びその周辺の周辺部材の構成を示した模式図である。図4は、これらの部材を図3の太黒矢印の方向から見た図である。図5は、これらの部材を図3の太白矢印の方向から見た図である。
なお、図を分かり易くするために、図1においては、第一側方板214、第二側方板216、天井ファン風除け板220の記載を、図4においては、ヘッド31の記載を、それぞれ省略している。
送風ユニット80は、前述したとおり、プラテン29上のロール状透明メディア2の部位に風を送ることにより、当該部位上に吐出されたインクを乾燥させるためのものである。この送風ユニット80は、画像記録装置本体に固定された固定送風機の一例としての天井ファン200と、移動送風機の一例としてのオンキャリッジファン202と、遮風体の一例としての遮風板210と、第二遮風体の一例としての天井ファン風除け板220と、を有している。
天井ファン200は、回転することにより、プラテン29上のロール状透明メディア2の部位に向けて風を送って(送風して)、当該部位に着弾されたインクを乾燥させる。この天井ファン200は、軸流ファンであり、図1に示すように、画像記録装置本体(具体的には、画像記録装置本体に設けられた開閉可能な不図示のカバー)に複数設けられている。そして、この各々の天井ファン200は、図1に示すように、カバーが閉じた際に、プラテン29の上方に位置して、当該プラテン29の支持面(当該プラテン29上のロール状透明メディア2)と対向するようになっている。そして、天井ファン200は、対向するプラテン29により支持されたロール状透明メディア2に向けて下方向へ風を送る(風の向きを、図1の天井ファン200に付した矢印で示す)。
オンキャリッジファン202も、天井ファン200と同様、回転することにより、プラテン29上のロール状透明メディア2の部位に向けて風を送って(送風して)、当該部位に着弾されたインクを乾燥させる。このオンキャリッジファン202も、軸流ファンであり、ヘッドユニット30(本実施の形態においては、ヘッドユニット30のうちのキャリッジ33)に二つ設けられている。すなわち、図1及び図3に示すように、一方のオンキャリッジファン202は、搬送方向においてヘッドユニット30よりも左側に、他方のオンキャリッジファン202は、搬送方向においてヘッドユニット30よりも右側に、それぞれ備えられている。なお、本実施の形態において、二つのオンキャリッジファン202は、常に、同時に作動する(一方のみが作動することはない)。なお、二つのオンキャリッジファン202の構成は同様であるので、以下、一つのオンキャリッジファン202について説明する。
オンキャリッジファン202は、図3乃至図5に示すように、略直方体形状を有している。また、オンキャリッジファン202は、図3に示すように、搬送方向におけるヘッドユニット30の側端部30a(すなわち、ヘッドユニット30の側部であって、搬送方向におけるヘッドユニットの端)の下端部分に取り付けられている。さらに、オンキャリッジファン202は、前記搬送方向と交差するロール状透明メディア2の幅方向(つまり、前後方向)において、ヘッドユニット30の中央部に備えられている。
さらに、オンキャリッジファン202は、ロール状透明メディア2に向けてオンキャリッジファン202により送られる風の方向(当該風の方向を、図1及び図3のオンキャリッジファン202に付した矢印で示す)がロール状透明メディア2の法線方向(すなわち、上下方向)と角度を有する斜め下方向となるように、ヘッドユニット30に取り付けられている。つまり、オンキャリッジファン202は、当該オンキャリッジファン202の搬送方向における前記側端部30aに近い側の側面202aが遠い側の側面202bよりも下方に位置するように設けられているため、軸流ファンであるオンキャリッジファン202の軸が、前記法線方向から傾いている(図1及び図3のオンキャリッジファン202に付した矢印参照)。
このように、オンキャリッジファン202は、ヘッドユニット30に設けられているため、ヘッドユニット30(ヘッド31)の搬送方向における移動に伴って当該搬送方向に移動しながら、プラテン29により支持されたロール状透明メディア2に向けて風を送るようになっている(この点で、移動しながら送風することのない天井ファン200とは異なっている)。
また、オンキャリッジファン202は、その軸が前記法線方向から傾いているため、下方向ではなく、斜め下方向であってヘッド31から遠ざかる方向へ送風するようになっている(ただし、後述する遮風板210の存在により、オンキャリッジファン202により斜め下方向に送られた風が、当該斜め下方向に位置する(換言すれば、オンキャリッジファン202の軸の延長上に位置する)ロール状透明メディア2上の部位まで必ずしも直進しないようになっている)。また、オンキャリッジファン202は、ヘッドユニット30の前記幅方向における中央部に設けられているため、ロール状透明メディア2が最大幅のものであれば、オンキャリッジファン202により送られる風は、当該ロール状透明メディア2の幅方向における中央部に向かうようになっている。
遮風板210は、オンキャリッジファン202により送られる風を遮ることにより、当該風がノズル面32とロール状透明メディア2との間の空間34へ送られることを抑制し、ノズル面32のインク吐出ノズルからロール状透明メディア2へ向けて吐出されるインク滴の飛行曲がりを抑える役割を果たす。この遮風板210は、薄い金属製の板状部材であり、2つのオンキャリッジファン202の各々に対応させるため、二つ設けられている(二つの遮風板210の構成は同様であるので、以下、一つの遮風板210について説明する)。
また、遮風板210は、図4に示すように、下方延出板212、第一側端部対向板の一例としての第一側方板214、第二側端部対向板の一例としての第二側方板216を備えている。
下方延出板212は、図5に示すように、ヘッドユニット30から延出するようにヘッドユニット30(本実施の形態においては、ヘッドユニット30のうちのキャリッジ33)に取り付けられており、図3及び図4に示すように、オンキャリッジファン202の下方に位置している。そのため、図3に示すように、下方延出板212は、オンキャリッジファン202と前記空間34との間に位置することとなり、オンキャリッジファン202により送られる風を遮って、当該風が空間34へ送られることを効果的に抑制する。なお、本実施の形態において、当該下方延出板212は、図5に示すように、長方形状を有し、図3に示すように、先端部212aが後端部212bよりも若干下方に位置するように設けられている。
第一側方板214及び第二側方板216は、図4に示すように、それぞれ、前記幅方向におけるオンキャリッジファン202の一方の側端部202cと当該幅方向において対向する板、及び、前記幅方向におけるオンキャリッジファン202の他方の側端部202dと当該幅方向において対向する板であり、オンキャリッジファン202により送風される風が前記幅方向へ分散されるのを抑制する役割を果たす。この第一側方板214及び第二側方板216は、図3に示すように、同一の長方形状を有し、双方とも下方延出板212と繋がっている(なお、下方延出板212との成す角は略90度となっている)。具体的には、第一側方板214の下端が、下方延出板212の幅方向における一端(図4における左端)と繋がっており、第二側方板216の下端が、下方延出板212の幅方向における他端(図4における右端)と繋がっている。なお、本実施の形態においては、下方延出板212、第一側方板214、及び、第二側方板216(すなわち、遮風板210)は、一枚の板を二箇所で直角に曲げたものとなっている(図4参照。しかしながら、これに限定されるものではなく、異なる三枚の板を繋ぎ合わせたものでもよい)。
そして、図4に示すように、遮風板210は、下方延出板212、第一側方板214、第二側方板216で、オンキャリッジファン202を両側方及び下方から囲んでおり、このことによって、オンキャリッジファン202により送られた風が、遮風板210により、適切に(つまり、前記空間34へ風が到達しないように)案内されるようになっている。
天井ファン風除け板220は、天井ファン200により送られる風を遮ることにより、当該風がノズル面32とロール状透明メディア2との間の空間34へ送られることを抑制し、ノズル面32のインク吐出ノズルからロール状透明メディア2へ向けて吐出されるインク滴の飛行曲がりを抑える役割を果たす。この天井ファン風除け板220は、薄い金属製の板状部材であり、ヘッドユニット30に二つ設けられている。すなわち、図3に示すように、一方の天井ファン風除け板220は、搬送方向においてヘッドユニット30よりも左側に、他方の天井ファン風除け板220は、搬送方向においてヘッドユニット30よりも右側に、それぞれ備えられている。なお、二つの天井ファン風除け板220の構成は同様であるので、以下、一つの天井ファン風除け板220について説明する。
天井ファン風除け板220は、図3に示すように、側方延出板222と切り欠き板224とを備えている。
側方延出板222は、図3に示すように、ヘッドユニット30の上面から側方(搬送方向)へ延出するようにヘッドユニット30に取り付けられており、天井ファン200の下方にて天井ファン200と対向している。そのため、側方延出板222は、天井ファン200により下方に向けて送られた風をブロックするようになっている。つまり、仮に天井ファン風除け板220が備えられていない場合には、図5において、記号Xで示した位置(ヘッドユニット30及びオンキャリッジファン202(遮風板210)の近傍位置)において、天井ファン200からの風が下方向(図5において、紙面を貫く方向)へ移動し、その後、当該風が前記空間34へ回り込む恐れがあるが、側方延出板222が風をブロックすることにより、このことを効果的に抑制する。なお、本実施の形態において、当該側方延出板222は、長方形状を有し、ロール状透明メディア2の幅方向における当該側方延出板222の長さは、ヘッドユニット30の当該幅方向における長さと同等となっている。
切り欠き板224は、図3に示すように、ヘッドユニット30の側端部30aと搬送方向において対向する板であり、搬送方向に移動する風をブロックすることにより、記号Xで示した位置に側方から風が入るのを抑える役割を果たす。この切り欠き板224は、図4に示すように、オンキャリッジファン202や遮風板210との物理的干渉を回避するため、長方形状の板の下方に長方形状の切り欠き224aが施されたものであり、側方延出板222と繋がっている(なお、側方延出板222との成す角は略90度となっている)。具体的には、切り欠き板224の上端が、側方延出板222の搬送方向における端と繋がっている。なお、本実施の形態においては、側方延出板222、切り欠き板224(すなわち、天井ファン風除け板220)は、一枚の板を直角に曲げたものとなっている(図3参照。しかしながら、これに限定されるものではなく、異なる二枚の板を繋ぎ合わせたものでもよい)。
===画像記録装置1の動作例について===
上述した通り、本実施の形態に係る画像記録装置1には、列方向(前後方向)にインク吐出ノズルが並んだインク吐出ノズル列を有するヘッド31が設けられている。そして、コントローラー60が、当該ヘッド31を搬送方向(左右方向)に移動させながら、インク吐出ノズルからインクを吐出させ、搬送方向(左右方向)に沿ったラスタラインを形成すること(このこと、すなわち、かかる動作を、画像記録パス又は単にパスと呼ぶ)により、画像記録領域R上のロール状透明メディア2の部位に1ページ分の画像記録を行なう。
ここで、本実施の形態に係るコントローラー60は、複数パス(4パス、6パス、8パス等)による印刷を実行する。すなわち、列方向における画像の解像度を高くするために、パス毎に列方向におけるヘッド31の位置を少しずつ変えて印刷を行なう。また、画像形成方法としては、例えば、公知のインターレース(マイクロウィーブ)印刷が実行される。
これについて、図6を用いてより具体的に説明する。図6は、8パスで印刷するケースにおいて各パスで形成されるラスタラインを示した模式図である。
図6の左側にはヘッド31のインク吐出ノズル列(インク吐出ノズル)が表されており、当該ヘッド31(インク吐出ノズル列)が搬送方向に移動しながらインク吐出ノズルからインクが吐出されることにより、ラスタラインが形成される。図に表されているヘッド31(インク吐出ノズル列)の列方向における位置は、1パス目のときの位置であり、かかる位置を維持したままヘッド31(インク吐出ノズル列)が搬送方向に移動すると、1パス目の印刷が実行され、図に表された3つのラスタライン(右端にパス1と書かれているラスタラインL1)が形成される。なお、図6においては、図を分かり易くするために、途切れた部分のない一直線のラスタラインを表しているが、当然のことながら、印刷データがない場合には、ラスタラインに途切れた部分が生じ得る。
そして、次に、ヘッド31(インク吐出ノズル列)が列方向に移動して、移動後の位置を維持したままヘッド31(インク吐出ノズル列)が搬送方向に移動すると、2パス目の印刷が実行され、図に表された2つのラスタライン(右端にパス2と書かれているラスタラインL2)が形成される。なお、インターレース(マイクロウィーブ)印刷が採用されているため、前記ラスタラインL1に隣接するラスタラインL2は、ラスタラインL1を形成するインクが吐出されたインク吐出ノズルとは異なるインク吐出ノズルから吐出されたインクにより形成されることとなる。そのため、ヘッド31(インク吐出ノズル列)の列方向への移動距離は、ノズル間距離(例えば、1/180インチ)の1/8分(1/180×1/8=1/1440インチ)ではなく、これより大きな距離(以下では、この距離を距離dとする)となる。
以下、同様の動作が行なわれることにより、3〜8パス目の印刷が実行されて、図に表された残りのラスタライン(右端にパス3〜8と書かれているラスタラインL3〜L8)が形成される。このように、8パスでラスタラインが形成されることにより、列方向における画像の解像度を8倍(=1440÷180)の解像度とすることが可能となる。
なお、本実施の形態においては、所謂双方向印刷が行なわれる。すなわち、1パス、3パス、5パス、7パス目の印刷が行なわれるときにヘッド31(インク吐出ノズル列)が移動する方向と2パス、4パス、6パス、8パス目の印刷が行なわれるときにヘッド31(インク吐出ノズル列)が移動する方向は互いに逆方向となる。
ところで、本実施の形態においては、カラー画像(ここでは、ラベルの画像)を印刷するカラー画像印刷と当該カラー画像の背景となる背景画像を印刷する背景画像印刷が行われる。そして、かかる場合には、前述した1ページ分の画像記録(すなわち、画像記録パスを複数回実行することによる画像記録)が、2回(すなわち、カラー画像の画像記録と背景画像の画像記録)実施され、カラー画像の層(以下、レイヤーとも呼ぶ)と背景画像の層とが重ねられる。
以下では、画像記録装置1の動作例として、背景画像記録パスを8回実行して背景画像をロール状透明メディア2に印刷する背景画像印刷処理を行い、当該背景画像印刷処理に引き続いてカラー画像記録パスを8回実行してカラー画像をロール状透明メディア2に印刷するカラー画像印刷処理を行うケースを例に挙げて説明する。
<<<画像記録装置1の画像記録動作例について>>>
ここでは、画像記録装置1の画像記録動作例について、前記ケースに基づき図7を用いて説明する。図7は、画像記録装置1の画像記録動作例を説明するための説明図である。なお、当該画像記録動作は、主としてコントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明する各種の動作を行なうためのコードから構成されている。
前述した間欠的なロール状透明メディア2の搬送が行なわれてロール状透明メディア2が停止すると、画像記録領域R上のロール状透明メディア2の部位に1ページ分の背景画像記録を行なうための背景画像印刷処理が、コントローラー60により開始される。
先ず、コントローラー60は、1回目の背景画像記録パスを実行する。すなわち、コントローラー60は、ヘッド31をロール状透明メディア2に対して搬送方向に相対移動させつつ(本実施の形態においては、ヘッド31の方を搬送方向に移動させる)、ヘッド31に背景画像用インクを吐出させて、1パス目の背景画像印刷(図6に示されたラスタラインL1の形成)を実行する(ステップS1)。なお、本実施の形態においては、背景画像として白画像(所謂白ベタ画像)を印刷する。そのため、背景画像用インクとして、ホワイトインクが用いられる。
次に、コントローラー60は、2回目の背景画像記録パスを実行する。すなわち、コントローラー60は、ヘッド31を列方向へ距離dだけ移動させてから、ヘッド31を搬送方向に移動させつつ、ヘッド31にホワイトインクを吐出させて、2パス目の背景画像印刷(図6に示されたラスタラインL2の形成)を実行する(ステップS3)。
そして、以下、2回目の背景画像記録パスと同様の動作が6回繰り返し行なわれることにより、3〜8パス目の背景画像印刷(図6に示されたラスタラインL3〜L8の形成)がコントローラー60により実行されることとなる(ステップS5、S7、S9、S11、S13、S15)。
このように、コントローラー60は、ヘッド31をロール状透明メディア2に対して搬送方向(移動方向に相当)に相対移動させつつヘッド31に背景画像用インクを吐出させる背景画像記録パスを、前記搬送方向と交差する列方向(交差方向に相当)におけるヘッド31のロール状透明メディア2に対する相対位置を変えて複数回(8回)実行して、カラー画像の背景となる背景画像をロール状透明メディア2に印刷する背景画像印刷処理を実行する。そして、かかる背景画像印刷処理の実行により、1ページ分の白ベタ画像がロール状透明メディア2に形成されることとなる。
次に、背景画像印刷処理からのロール状透明メディア2の停止状態を維持しつつ、画像記録領域R上のロール状透明メディア2の部位(すなわち、白ベタ画像が形成されている部位)に1ページ分のカラー画像記録(本実施の形態においては、ラベルの画像記録)を行なうためのカラー画像印刷処理が、コントローラー60により開始される。
先ず、コントローラー60は、1回目のカラー画像記録パスを実行する。すなわち、コントローラー60は、ヘッド31をロール状透明メディア2に対して搬送方向に相対移動させつつ(本実施の形態においては、ヘッド31の方を搬送方向に移動させる)、ヘッド31にカラー画像用インクを吐出させて、1パス目のカラー画像印刷(図6に示されたラスタラインL1の形成)を実行する(ステップS17)。なお、本実施の形態においては、カラー画像用インクとして、4色のインク、すなわち、イエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及び、ブラックインクが用いられる。
次に、コントローラー60は、2回目のカラー画像記録パスを実行する。すなわち、コントローラー60は、ヘッド31を列方向へ距離dだけ移動させてから、ヘッド31を搬送方向に移動させつつ、ヘッド31にイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及び、ブラックインクを吐出させて、2パス目のカラー画像印刷(図6に示されたラスタラインL2の形成)を実行する(ステップS19)。
そして、以下、2回目のカラー画像記録パスと同様の動作が6回繰り返し行なわれることにより、3〜8パス目のカラー画像印刷(図6に示されたラスタラインL3〜L8の形成)がコントローラー60により実行されることとなる(ステップS21、S23、S25、S27、S29、S31)。
このように、コントローラー60は、ヘッド31をロール状透明メディア2に対して搬送方向(移動方向に相当)に相対移動させつつヘッド31にカラー画像用インクを吐出させるカラー画像記録パスを、前記搬送方向と交差する列方向(交差方向に相当)におけるヘッド31のロール状透明メディア2に対する相対位置を変えて複数回(8回)実行して、カラー画像をロール状透明メディア2に印刷するカラー画像印刷処理を実行する。そして、かかるカラー画像印刷処理の実行により、1ページ分のカラー画像(ラベルの画像)がロール状透明メディア2に形成されることとなる。換言すれば、1ページ分のカラー画像が1ページ分の背景画像(白ベタ画像)上に重ねられる(背景画像のレイヤー上にカラー画像のレイヤーが重ねられる)。
そして、当該カラー画像印刷処理が終了した際に、コントローラー60は、前述した間欠的なロール状透明メディア2の搬送を行う。そして、当該搬送に引き続いて、次ページの1ページ分の背景画像記録を行なうための背景画像印刷処理を開始する(図7参照)。
なお、図7には、各ステップの間に、PW又はLWの記号が記されているが、これらは、後述するウェイト処理が実行されることを意味する。PWは、2つの連続するパスの間に実行されるパス間ウェイト処理であり、LWは、2つのレイヤー(すなわち、背景画像のレイヤーとカラー画像のレイヤー)形成の間(換言すれば、背景画像印刷処理とカラー画像印刷処理の間)に実行されるレイヤー間ウェイト処理である。また、パス間ウェイト処理のうち、2つの連続する背景画像記録パスの間に実行される処理を背景画像記録パス間ウェイト処理(BPW)とし、2つの連続するカラー画像記録パスの間に実行される処理をカラー画像記録パス間ウェイト処理(CPW)としている。以下では、当該ウェイト処理について、詳しく説明する。
<ウェイト処理について>
ここでは、ウェイト処理について、図7及び図8を用いて説明する。図8は、図1に対応した図であり、ヘッド31が退避位置に位置するときの画像記録装置1の様子を示した概略図である。
ウェイト処理は、ロール状透明メディア2に着弾されたインクをプラテン29の熱により十分に乾燥させる時間を確保するために、パス間又はレイヤー間で、ヘッド31をプラテン29上から退避した退避位置へ移動させて退避位置にてヘッド31を所定待機時間待機させる処理である。前述したとおり、ウェイト処理としては、パス間ウェイト処理とレイヤー間ウェイト処理が実行される。以下では、パス間ウェイト処理について先ず説明し、これに引き続いて、レイヤー間ウェイト処理について説明する。
パス間ウェイト処理は、パス間で、ヘッド31をプラテン29上から退避した退避位置へ移動させて退避位置にてヘッド31を所定待機時間待機させる処理(以下、待機処理とも呼ぶ)である。本実施の形態においては、図7に示されるように、1ページ分の画像記録を行う間に、背景画像記録パス間ウェイト処理(BPW)が7回、カラー画像記録パス間ウェイト処理(CPW)が7回、それぞれ実行されるが、各パス間ウェイト処理は同様であるので、以下、1回目の背景画像記録パスと2回目の背景画像記録パスの間のパス間ウェイト処理を例に挙げて説明する。
前述したとおり、コントローラー60は、ステップS1で1回目の背景画像記録パス(1パス目の背景画像印刷)を実行した後に、ステップS3で2回目の背景画像記録パス(2パス目の背景画像印刷)を実行する。しかしながら、1回目の背景画像記録パスの実行後すぐに、2回目の背景画像記録パスを実行するのではなく、1回目の背景画像記録パスの実行後に、ヘッド31を退避位置へ移動させて所定待機時間待機させてから、2回目の背景画像記録パスを実行する。
すなわち、コントローラー60が、1回目の背景画像記録パスを実行し終えたときには、ヘッド31はプラテン29の上方に位置しているが、コントローラー60は、かかる位置(以下、上方位置と呼ぶ)に位置しているヘッド31をプラテン29上から退避した退避位置へ移動させる。ここで、プラテン29上から退避した退避位置とは、ヘッド31がこの位置に位置しているときにヘッド31の鉛直方向下方にプラテン29が存在していない位置のことであり、本実施の形態においては、図8に示す位置、すなわち前述したクリーニングユニット43とフラッシングユニット44の間の位置である。そして、コントローラー60は、当該退避位置にて所定待機時間だけヘッド31を待機させる。コントローラー60は、当該所定待機時間が経過すると、ヘッド31を移動させて前記上方位置へ位置させる(戻す)。そして、コントローラー60は、ヘッド31が上方位置へ位置したら、2回目の背景画像記録パスの実行を開始する。
また、本実施の形態に係るコントローラー60は、パス間ウェイト処理として、前記待機処理に加え、送風ユニット80に対する以下の2つの制御を実行する。
第一に、コントローラー60は、天井ファン200の風速を増加させる(以下、天井ファン増速処理とも呼ぶ)。コントローラー60は、1回目の背景画像記録パスを実行する際に、天井ファン200を制御してロール状透明メディア2に向けた送風を行うが、かかる際の天井ファン200の風速が弱い風速(弱風)となるように制御する。なぜならば、パスを実行する際に、当該風速を強い風速(強風)とすると、ヘッド31により吐出されるインクに飛行曲がりが発生し、インクの着弾ずれが生ずる可能性があるからである(上記においては、天井ファン200からの風を天井ファン風除け板220がブロックして、当該風が空間34へ送られることを抑制することを述べたが、この天井ファン風除け板220の構成は、弱風であることを前提に(弱風のときに抑制機能が適切に働くように)設計されている。したがって、風速を強風とすると、天井ファン風除け板220があっても空間34へ風が回り込んでしまう可能性が高い)。
そして、コントローラー60は、1回目の背景画像記録パスを実行し終えて、ヘッド31を退避位置に移動させた際に、ヘッド31を待機させると共に、天井ファン200の風速を強い風速(強風)とする。すなわち、コントローラー60は、インク吐出がされず前記飛行曲がり発生の可能性がなくなったため、背景画像記録パスを実行する際の天井ファン200の風速よりも速い風速で送風を行う。コントローラー60は、前述した所定待機時間が経過すると、天井ファン200の風速を弱風に戻す。そして、コントローラー60は、2回目の背景画像記録パスの実行を開始する。
第二に、コントローラー60は、オンキャリッジファン202による送風を止める(以下、オンキャリッジファン停止処理とも呼ぶ)。コントローラー60は、1回目の背景画像記録パスを実行する際に、天井ファン200と同様、オンキャリッジファン202を制御してロール状透明メディア2に向けた送風を行う。これは、天井ファン200を弱風にすることによりインク乾燥能力が落ちる分を、オンキャリッジファン202で補完するためである。なお、遮風板210の存在により、オンキャリッジファン202による飛行曲がりは殆ど発生しない。
そして、コントローラー60は、1回目の背景画像記録パスを実行し終えて、ヘッド31を退避位置に移動させた際に、ヘッド31を待機させると共に、オンキャリッジファン202による送風を止める。すなわち、コントローラー60は、ヘッド31の退避位置への移動によりオンキャリッジファン202からの風がロール状透明メディア2の背景画像記録部位に当たる状況ではなくなったため、送風を止める。コントローラー60は、前述した所定待機時間が経過すると、送風を再開する。そして、コントローラー60は、2回目の背景画像記録パスの実行を開始する。
このように、本実施の形態に係るパス間ウェイト処理は、待機処理、天井ファン増速処理、オンキャリッジファン停止処理からなる処理となっている。
なお、上述したとおり、パス間ウェイト処理には、背景画像記録パス間ウェイト処理とカラー画像記録パス間ウェイト処理があり、カラー画像記録パス間ウェイト処理においても、背景画像記録パス間ウェイト処理と同様の処理が行われる。しかしながら、前記待機処理の待機時間が双方で異なっている。すなわち、コントローラー60は、複数回のカラー画像記録パスの間、及び、複数回の背景画像記録パスの間、の双方においてウェイト処理を実行するが、ヘッド31を待機させる待機時間が前者よりも後者にて長くなるように当該ウェイト処理を実行する。このことにより、カラー画像記録パス間ウェイト処理における待機時間の方が背景画像記録パス間ウェイト処理における待機時間よりも短くなる。
次に、レイヤー間ウェイト処理について説明する。レイヤー間ウェイト処理は、レイヤー間(すなわち、背景画像印刷処理とカラー画像印刷処理の間)で、ヘッド31をプラテン29上から退避した退避位置へ移動させて退避位置にてヘッド31を所定待機時間待機させる処理である。本実施の形態においては、図7に示されるように、1ページ分の画像記録を行う間に、1回だけ実行される。
前述したとおり、コントローラー60は、ステップS15で8回目の背景画像記録パス(8パス目の背景画像印刷)を実行した後に、ステップS17で1回目のカラー画像記録パス(1パス目のカラー画像印刷)を実行する。しかしながら、8回目の背景画像記録パスの実行後すぐに、1回目のカラー画像記録パスを実行するのではなく、8回目の背景画像記録パスの実行後に、前述したウェイト処理を実行してから、1回目のカラー画像記録パスを実行する。
なお、レイヤー間ウェイト処理においても、パス間ウェイト処理と同様の処理(すなわち、待機処理に加えて、天井ファン増速処理、オンキャリッジファン停止処理)が行われる。しかしながら、前記待機処理の待機時間が双方で異なっている。すなわち、コントローラー60は、パス間及びレイヤー間の双方においてウェイト処理を実行するが、ヘッド31を待機させる待機時間が前者よりも(具体的には、背景画像記録パス間及びカラー画像記録パス間のいずれよりも)後者にて長くなるように当該ウェイト処理を実行する。このことにより、レイヤー間ウェイト処理における待機時間の方がパス間ウェイト処理における待機時間よりも長くなる。
<表刷り印刷と裏刷り印刷について>
図7を用いて説明した前述の画像記録動作例においては、コントローラー60が、先ず背景画像印刷処理を行い、当該背景画像印刷処理に引き続いてカラー画像印刷処理を行っていた。しかしながら、図9に示すように、コントローラー60は、双方の手順を逆にすること、すなわち、先ずカラー画像印刷処理を行い、当該カラー画像印刷処理に引き続いて背景画像印刷処理を行うこともできる。
一般的に、図7に示した手順による印刷と図9に示した手順による印刷は、それぞれ、表刷り印刷、裏刷り印刷と呼ばれている。そして、本実施の形態に係る画像記録装置1においては、双方の印刷が行えるようになっている。つまり、本実施の形態に係るコントローラー60は、背景画像印刷処理を行い、当該背景画像印刷処理に引き続いてカラー画像印刷処理を行う表刷り印刷処理と、カラー画像印刷処理を行い、当該カラー画像印刷処理に引き続いて背景画像印刷処理を行う裏刷り印刷処理と、を選択的に実行する。
そして、図9に示すように、裏刷り印刷処理においても、表刷り印刷処理と同様、1ページ分の画像記録を行う間に、7回のカラー画像記録パス間ウェイト処理、7回の背景画像記録パス間ウェイト処理、及び、1回のレイヤー間ウェイト処理が実行され、各々のウェイト処理において、待機処理、天井ファン増速処理、及び、オンキャリッジファン停止処理が行われる。しかしながら、裏刷り印刷処理と表刷り印刷処理とでは、待機処理の待機時間に関して、以下のように相違している。
第一に、コントローラー60は、表刷り印刷処理における複数回の背景画像記録パスの間、及び、裏刷り印刷処理における複数回の背景画像記録パスの間、の双方においてウェイト処理を実行するが、ヘッド31を待機させる待機時間が後者よりも前者にて長くなるように当該ウェイト処理を実行する。このことにより、表刷り印刷処理における背景画像記録パス間ウェイト処理における待機時間の方が裏刷り印刷処理における背景画像記録パス間ウェイト処理における待機時間よりも長くなる。
第二に、コントローラー60は、表刷り印刷処理における背景画像印刷処理とカラー画像印刷処理の間、及び、裏刷り印刷処理におけるカラー画像印刷処理と背景画像印刷処理の間、の双方においてウェイト処理を実行するが、ヘッド31を待機させる待機時間が後者よりも前者にて長くなるように当該ウェイト処理を実行する。このことにより、表刷り印刷処理におけるレイヤー間ウェイト処理における待機時間の方が裏刷り印刷処理におけるレイヤー間ウェイト処理における待機時間よりも長くなる。
図10は、これまでに説明した待機時間の関係について表に纏めたものである。表において、T1〜T5は時間を表しており、T1<T2<T3<T4<T5である。なお、本実施の形態においては、T1、T2、T3、T4、T5は、それぞれ、1秒、1.3秒、1.5秒、3秒、4秒に設定されている。
===本実施の形態に係る画像記録装置1の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る画像記録装置1は、ロール状透明メディア2を支持するプラテン29と、プラテン29により支持されたロール状透明メディア2にインクを吐出するヘッドユニット30と、ヘッドユニット30に設けられ、プラテン29により支持されたロール状透明メディア2に向けて風を送るオンキャリッジファン202と、を有している。そして、オンキャリッジファン202は、ロール状透明メディア2に向けて該オンキャリッジファン202により送られる風の方向が、ロール状透明メディア2の法線方向ではなく、当該法線方向と角度を有する斜め下方向となるように、ヘッドユニット30に取り付けられている。そのため、風をロール状透明メディア2の広範囲に吹き付けることができ、したがって、ロール状透明メディア2に着弾されたインクをより適切に乾燥させることが可能となる。
また、本実施の形態において、ヘッドユニット30の下面には、インクを吐出するためのインク吐出ノズルを有するノズル面32が設けられており、風を遮ることにより、該風がノズル面32とロール状透明メディア2との間の空間34へ送られることを抑制する遮風板210をさらに有することとした。そのため、広範囲に分散することとなった風が、空間34へ回り込み、当該空間34においてインク滴の飛行曲がりを生じさせる問題を抑えることが可能となる。
また、本実施の形態において、画像記録装置1は、ロール状透明メディア2を搬送方向に搬送する搬送ユニット20を備え、オンキャリッジファン202は、該搬送方向におけるヘッドユニット30の側端部30aに取り付けられており、遮風板210は、ヘッドユニット30から延出し、オンキャリッジファン202の下方に位置する下方延出板212を有することとした。そのため、前述したとおり、下方延出板212が、オンキャリッジファン202と空間34との間に位置することとなる。したがって、オンキャリッジファン202により送られる風を遮って、当該風が空間34へ送られることを効果的に抑制することが可能となる。
また、本実施の形態において、画像記録装置1は、画像記録装置本体に固定され、プラテン29により支持されたロール状透明メディア2に向けて風を送る天井ファン200と、天井ファン200により送られる風を遮ることにより、該風が空間34へ送られることを抑制する天井ファン風除け板220と、をさらに有することとした。そのため、天井ファン200からの風が、空間34へ回り込み、当該空間34においてインク滴の飛行曲がりを生じさせる問題を抑えることが可能となる。
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、主として液体吐出装置について記載されているが、送風方法等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記実施の形態においては、液体吐出装置(液体噴射装置)をインクジェット式プリンターに具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
また、上記実施の形態においては、媒体としてロール状透明メディア2を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、カットされたメディアであってもよいし、透明でないメディアであってもよい。
また、上記実施の形態においては、図5に示したように、下方延出板212は長方形状を有することとしたが(したがって、第一側方板214と第二側方板216が平行となるように配置されていることとしたが)、図11に示すように、下方延出板212が台形形状を有することとしてもよい。すなわち、第一側方板214と第二側方板216が平行ではなく、第一側方板214及び第二側方板216の先端部間の距離d1が、第一側方板214及び第二側方板216の根元部間の距離d2よりも大きいこととしてもよい。
そして、かかる場合には、オンキャリッジファン202からの風をロール状透明メディア2の幅方向において広く分散させることが可能となり、したがって、風をロール状透明メディア2のより広い範囲に吹きつけることができる。そのため、ロール状透明メディア2に着弾されたインクをより適切に乾燥させることが可能となる。
その結果、オンキャリッジファン202は、前記搬送方向と交差するロール状透明メディア2の幅方向長さに渡って設ける必要がなく、以下の式を満足すれば、風をロール状透明メディアのより広い範囲に吹き付けることが可能である。
すなわち、ヘッドユニットの幅方向長さ(または前記搬送方向と交差するプラテンの幅方向長さ)をL1とし、ヘッドユニット30の側端部30aの中央部に備えられたオンキャリッジファン202の幅方向長さをL2としたとき、L1とL2が式1を満たす。
L1≧L2 (式1)
さらに、実験の結果、L1とL2が式2を満たす場合、ロール状透明メディアに着弾されたインクを十分に乾燥させることができた。
1/2L1≧L2≧1/4L1 (式2)
また、上記実施の形態において、オンキャリッジファン202は、ヘッドユニット30に対して、ロール状透明メディア2の幅方向には移動することができない構成を有していたが、図12に示すように、オンキャリッジファン202が、ヘッドユニット30に対して、当該幅方向に相対移動自在に、取り付けられていることとしてもよい。
そして、かかる場合には、ロール状透明メディア2の幅方向における長さ(以下、メディア幅と呼ぶ)に応じて、オンキャリッジファン202を幅方向に相対移動させることにより、オンキャリッジファン202により送られる風が、常に、ロール状透明メディア2の幅方向における中央部に向かうようにすることができる(ロール状透明メディア2のメディア幅が大きいケースについては、図12の左図を、小さいケースについては、図12の右図を、それぞれ参照)。したがって、ロール状透明メディア2に着弾されたインクをより適切に乾燥させることが可能となる。
なお、このような場合には、遮風板210(図12においては、不図示)も、オンキャリッジファン202と一体的に、ヘッドユニット30に対して幅方向に相対移動できるようにしてもよいし、また、第一側方板214と第二側方板216の距離を長くして(したがって、必然的に、下方延出板212も幅方向に長い板となる)、第一側方板214と第二側方板216の間でオンキャリッジファン202が相対移動できるようにしてもよい。
また、上記実施の形態においては、液体吐出装置としてラテラルスキャン型のラベル印刷機を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、シリアルスキャン型のラージフォーマットプリンターであってもよい。
以下では、当該シリアルスキャン型のラージフォーマットプリンター(以下、インクジェットプリンター501と呼ぶ)について、図13及び図14を用いて説明する。図13は、インクジェットプリンター501の外観模式図である。図14は、インクジェットプリンター501の構成を示す概略図である。
図13および図14に示すように、インクジェットプリンター501は、プリンター本体502と、プリンター本体502を支持する支持スタンド503と、を備えている。このインクジェットプリンター501は、ロール状透明メディア521を支持し、かつ、加熱するプラテン(不図示)と、プラテンにより支持され、かつ、加熱されたロール状透明メディア521にカラー画像用インク及び背景画像用インクを吐出するインクジェットヘッド541と、コントローラーと、を備えている。そして、当該インクジェットプリンター501においても、前述した背景画像印刷処理とカラー画像印刷処理がコントローラーにより実行される。
表刷り印刷処理を例に挙げて説明すると、コントローラーは、先ず、インクジェットヘッド541をロール状透明メディア521に対して移動方向(図14において、黒太矢印で示した方向)に相対移動させつつインクジェットヘッド541に背景画像用インクを吐出させる背景画像記録パスを、前記移動方向と交差する交差方向(図14において、白太矢印で示した方向)におけるインクジェットヘッド541のロール状透明メディア521に対する相対位置を変えて複数回実行して、カラー画像の背景となる背景画像をロール状透明メディア521に印刷する背景画像印刷処理を実行する。
ここで、コントローラーは、上述したラベル印刷機と同様、インクジェットヘッド541の方をロール状透明メディア521に対して移動方向に移動させつつインクジェットヘッド541に背景画像用インクを吐出させて背景画像記録パスを実行する。しかしながら、ラベル印刷機においては、当該背景画像記録パスを交差方向におけるインクジェットヘッド541のロール状透明メディア521に対する相対位置を変えて複数回実行する際に、インクジェットヘッド541を交差方向に移動させることにより当該相対位置を変えていたのに対し、インクジェットプリンター501においては、かかる際に、ロール状透明メディア521の方を交差方向に移動させることにより当該相対位置を変える。つまり、インクジェットプリンター501においては、レベル印刷機とは異なり、コントローラーが、ロール状透明メディア521を搬送方向(すなわち、前記交差方向)に送りながら、背景画像印刷処理を実行する。
コントローラーは、背景画像印刷処理の実行が終了したら、これに引き続いてカラー画像印刷処理を実行するが、カラー画像印刷処理を実行する前に、背景画像印刷処理において送った分の搬送量だけ、ロール状透明メディア521をバックフィードする。
次に、コントローラーは、インクジェットヘッド541をロール状透明メディア521に対して移動方向(図14において、黒太矢印で示した方向)に相対移動させつつインクジェットヘッド541にカラー画像用インクを吐出させるカラー画像記録パスを、前記移動方向と交差する交差方向(図14において、白太矢印で示した方向)におけるインクジェットヘッド541のロール状透明メディア521に対する相対位置を変えて複数回実行して、カラー画像をロール状透明メディア521に印刷するカラー画像印刷処理を実行する。
なお、かかる際にも、コントローラーは、インクジェットヘッド541の方をロール状透明メディア521に対して移動方向に移動させつつインクジェットヘッド541にカラー画像用インクを吐出させてカラー画像記録パスを実行し、当該カラー画像記録パスを交差方向におけるインクジェットヘッド541のロール状透明メディア521に対する相対位置を変えて複数回実行する際に、ロール状透明メディア521の方を交差方向に移動させることにより当該相対位置を変える。
そして、このような背景画像印刷処理及びカラー画像印刷処理における背景画像記録パスの間やカラー画像記録パスの間に、上述した待機処理を備えたパス間ウェイト処理を行うようにしてもよい。
また、図13及び図14に示したインクジェットプリンター501に、天井ファンやオンキャリッジファンを設けて、パス間ウェイト処理にて前述した天井ファン増速処理やオンキャリッジファン停止処理を実行してもよい。