JP2013230528A - 締め付け工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】
工具本体を回すことにより締め付け具として利用できる締め付け工具を提供する。
【解決手段】
ハンマ22によって回転されるアンビル20がハウジングに収容され、出力軸18を回転させる締め付け工具において、アンビル20と出力軸18を一体に構成するとともに、アンビル20に対して同軸上で微小角だけ相対回転可能なキャリア部材33を設けた。アンビル20の外周面の一部に逃がし面20aを形成し、キャリア部材33の対向する位置に切り欠き部33bを設け、そこに係合部材37を介在させることによりアンビル20とロックリング38との相対回転を制限するロック機構とした。ハンマ22の回転停止中に工具本体を手動にて回転させると、係合部材37はアンビル20とロックリング38との相対回転を制限する。ロック状態は、モータ4の回転を開始させると直ちに解除される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電気モータ等により回転駆動され、モータによる回転力でネジやボルト等を締め付ける締め付け工具に関し、特にモータ停止後に締め付け工具を用いて締結部材の手締めを行うことができる締め付け工具に関する。
ネジやボルト等の締め付けを行う締め付け工具として、モータによる回転力を回転するハンマに伝達し、ハンマをアンビルに打撃させる事により打撃力に変換するインパクト工具が知られている。このようなインパクト工具として、特許文献1があり、スチールボールを介してハンマの回転運動を軸方向の後退運動に変換するカムを、スピンドルとハンマのそれぞれに形成し、一定の締め付けトルクに達するとハンマが後退しアンビルとハンマの爪部の噛みあいが外れ、ハンマ後退時たくわえられるスプリングの保存エネルギーによりハンマの回転エネルギーを付勢してハンマがアンビルを打撃し、ボルトの締め付けや緩めを行う。
特開2011−73087号公報
特許文献1によるインパクト工具の締結力は、スプリングにたくわえられたエネルギーによりハンマがアンビルを打撃するものである。しかしながら、小型のインパクト工具の場合は、締め付けトルクが不足して、場合によっては作業者は増し締めをしたい場合が生ずる。その際、ドライバー等の手締め用の別の工具を用いると、工具を持ち替えねばならずに大変煩わしい。そこで動力により動作する工具自体を用いて増し締めができるようにした締め付け工具が知られるようになったが、その場合は締め付け工具による締め付け後に、出力軸ロックボタンを操作する必要があり、また、手締め作業を行った後に出力軸ロックを解除させる必要があり、これらの切り替え作業が煩わしかった。また、特許文献1のようなインパクト工具に手締めのための出力軸ロック機構を設けると、ハンマより先端側の構造が複雑になるため製造コストが上昇してしまうという問題があった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、モータ等の動力を停止させた際に、工具本体を締め付け具として利用できる締め付け工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、手締め用にアンビルの回転を固定するロック機能を有する締め付け工具において、アンビル及びアンビル周辺の形状を簡素化して製造原価の低減を実現することにある。
本発明のさらに他の目的は、手締め用にアンビルの回転を固定するロック機能を有する締め付け工具において、アンビル打撃部から出力軸に回転打撃力を伝達する際に発生する衝突音を低減させることにある。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの特徴を説明すれば、次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、駆動源を収容するハウジングと、駆動源によって回転方向に駆動されるハンマと、ハンマと係合すると回転方向に駆動されるアンビルと、アンビルのハウジングに対する相対回転をロックするか否かを切り替えるロック機構を有する締め付け工具において、ロック解除部材をアンビルに対して回動可能に設け、ハンマが回転するとハンマがアンビルと係合する前にロック解除部材と係合してロック機構のロックを解除するよう構成し、ハンマがアンビルと係合した状態でロック解除部材がハンマとアンビルの間で回動可能となるよう構成した。ハンマは前方に延びる第1の突起部を有し、アンビルは、ハウジングに対して回転可能な軸部と、軸部から第1の突起部と係合するよう径方向外側に延びる第2の突起部を有し、ハンマが回転すると第1の突起部が第2の突起部と係合する前にロック解除部材と係合してロック機構のロックを解除するよう構成した。第1の突起部にはロック解除部材の一部を受け入れる凹部が設けられる。
本発明の他の特徴によれば、締め付け工具は先端工具を保持する出力軸を有し、アンビルと出力軸を一体に構成し、ロック解除部材はアンビルに対して同軸上で微小角だけ相対回転可能なように取り付けられ出力軸を貫通させる筒状のキャリア部材とした。ロック機構は、キャリア部材の出力軸側への移動を制限するロックリングと、アンビルとロックリングとの相対回転を制限する係合部材と、アンビルの外周面の一部に形成された平面状の逃がし面を含んで構成され、キャリア部材の逃がし面と対向する位置に切り欠き部を形成し、切り欠き部により係合部材を保持するように構成した。キャリア部材はアンビルの円筒状部分の外径よりわずかに大きい内径を有する円筒形の基本形状であって、切り欠き部はキャリア部材の複数箇所に形成される。係合部材は切り欠き部にそれぞれ一つずつ配置される円柱状の部材であって、その軸方向が出力軸の軸方向と平行になるように配置される。
本発明の他の特徴によれば、ハンマの回転停止中にアンビルをハウジングに対して回転させるときには、アンビルとロックリングとの相対回転を制限する。キャリア部材とアンビルの相対回転角が所定の角度よりも大きくなって逃がし面の中心位置が係合部材と離れた際に、係合部材はアンビルの外周面とロックリングの内周面により挟まれることによりアンビルのロックリングに対する相対回転を制限する。キャリア部材は、円筒形の部分から径方向に延び、アンビルの第2の突起部と対向するように突出する第3の突起部を有し、第3の突起部は駆動源の回転時にハンマの第1の突起部と当接することにより、キャリア部材をアンビルに対してわずかに移動させ、移動されるキャリア部材に係合部材が接触することにより係合部材が逃がし面の中央に位置するように保持される。
本発明のさらに他の特徴によれば、切り欠き部は、円筒形の部分の前方側開口から軸方向後方に凹状に切り欠かれたものであって周方向の対角線上に2箇所設けられ、円筒形の部分の後方側開口には周方向にみて切り欠き部とそれぞれ90度隔てた位置にアンビルの第2の突起部を収容する第2の切り欠き部が形成され、第2の突起部は第2の切り欠き部の周方向縁部から径方向に突出する形状である。第1の突起部には、アンビルを打撃する第1の打撃面と、キャリア部材の第3の突起部に接する第2の打撃面が形成され、キャリア部材の第3の突起部は、ハンマの第2の打撃面にそれぞれ対応するように設けられる。ハンマを回転させると、第2の打撃面がキャリア部材の第3の突起部に最初に当接して押圧することによりキャリア部材を回転方向に回転させ、その後に第1の打撃面が第2の突起部に当接する。
請求項1の発明によれば、ハンマが回転するとハンマがアンビルと係合する前にロック解除部材と係合してロック機構のロックを解除するよう構成し、ハンマがアンビルと係合した状態でロック解除部材がハンマとアンビルの間で回動可能となるよう構成したので、ハンマが回転するとまずロック機構のロックが解除されてアンビルが回転可能となる。またハンマの打撃力がロック解除部材を介さずに直接アンビルに伝達されるので、ロック解除部材の剛性が低くてもハンマの打撃力が効率よく伝達される。
請求項2の発明によれば、ハンマが回転すると第1の突起部が第2の突起部と係合する前にロック解除部材と係合してロック機構のロックを解除するよう構成し、第1の突起部にロック解除部材の一部を受け入れる凹部を設けたので、ハンマが回転するとまずロック機構のロックが解除されてアンビルが回転可能となる。またアンビル側の第2の突起部にロック解除部材を受け入れる凹部を設けた場合は、第2の突起部から径方向内側にある軸部へと至る間でアンビルの剛性が低下してしまうが、これに対して凹部をハンマ側の第1の突起部に設けたので、アンビルの剛性の低下を抑えられハンマの打撃力が効率よく伝達される。
請求項3の発明によれば、アンビルに対して同軸上で微小角だけ相対回転可能なキャリア部材を設け、アンビルの外周面の一部に平面状の逃がし面を形成し、キャリア部材の切り欠き部にアンビルとロックリングとの相対回転を制限する係合部材を設けたので、簡単な構成で出力軸のロック機構を実現できる。また、従来からのアンビルと出力軸との基本構造をほとんど変えることなく出力軸ロック機構を実現でき、先端工具に効率良くトルクを伝達することが可能となる。さらに、締め付け工具で締め付け作業を行った後に手動による増し締めを行う場合には、その締め付け工具を使って行うことが可能となる。
請求項4の発明によれば、係合部材は切り欠き部にそれぞれ一つずつ配置される円柱状の部材であって、その軸方向が出力軸の軸方向と平行になるように配置されるので、係合領域を比較的大きく確保でき、アンビルの回転をハウジングに対して強固にロックすることができる。
請求項5の発明によれば、ハンマの回転が停止中にアンビルをハウジングに対して回転させるときには、アンビルとロックリングとの相対回転を制限するので、出力軸をロックするための特別な操作は不要であって、操作性の極めて高く誤作動を起こさない信頼性の高い締め付け工具を実現できる。
請求項6の発明によれば、キャリア部材とアンビルの相対回転角が所定の角度よりも大きくなって逃がし面の中心位置が係合部材と離れた際にロック状態になるので、作業者は先端工具を締め付け材に押し当てたままハウジング本体をわずかに回転させるだけで容易に出力軸ロックを実現できる。
請求項7の発明によれば、駆動部の回転中は、移動されるキャリア部材に係合部材が接触することにより係合部材が逃がし面の中央に位置するように保持されるので、ハウジングと出力軸がフリー状態となって空転することが可能となり、駆動源による通常の締め付け作業を支障なく行うことができる。
請求項8の発明によれば、突起部は第2の切り欠き部の周方向縁部から径方向に突出する形状であるので、ハンマの打撃面を利用して容易にキャリア部材をアンビルに対して相対回転させることができる上に、キャリア部材を配置するためにアンビルとロックリング間の距離を伸ばす必要が無く、実装効率を低下させずに出力軸ロック機構を実現できる。
請求項9の発明によれば、ハンマにはアンビルを打撃する第1の打撃面と、キャリア部材に当接する第2の打撃面を有するので、ハンマの爪部の形状を変えるだけで2つの部材(アンビル、キャリア部材)を打撃することができる。
請求項10の発明によれば、ハンマを回転させると、第2の打撃面がキャリア部材に最初に当接し、次に第1の打撃面がアンビルに当接するので、ハンマによってアンビルを打撃する直前にキャリア部材を移動させることができ、確実に出力軸ロック状態を解除することができる。
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
本発明の実施例に係るインパクト工具1の全体を示す縦断面図である。 図1の打撃部付近の分解斜視図である。 図1の打撃部付近の拡大断面図である。 図1の打撃部付近の組立斜視図である。 本発明の実施例に係るハンマとキャリアとアンビルの形状を示す部分拡大図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具1を駆動して締め付け作業を行う際の状態を示す図である。 図4のA−A断面位置におけるアンビル20と係合ピン37の位置関係を説明するための図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具1の停止時に手締め作業を行う際の状態を示す図である。 本発明の第2の実施例に係る打撃部付近の拡大断面図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。図1は本発明の実施例に係る締め付け工具の一例であるインパクト工具1の全体を示す断面図である。
インパクト工具1は、バッテリーパック50により供給される電力を利用し、駆動源たるモータ4を回転させる。バッテリーパック50はバッテリーハウジング3の端部の開口部3aから内部空間に装着及び取り外しが可能な略円筒形であって、いわゆるカセット式に構成される。バッテリーパック50には2箇所の掛止部51aが形成され、バッテリーハウジング3の内壁に形成された凹部(図示せず)と係合することによりバッテリーパック50を保持する。バッテリーパック50を取り外すには、ラッチ51を押しながらバッテリーパック50を開口部3aから引き出す。バッテリーパック50の内部には、例えば14500サイズのリチウムイオン電池セル(図示せず)が3本収容され、その定格電圧は直流10.8Vである。バッテリーパック50の後端部(図では下側)の形状は、バッテリーハウジング3の開口部3aを覆うように形成される。開口部3aに続くバッテリーパック50の装着空間の他端には基板54が設けられ、基板54から開口部3aに向かって複数のターミナル52が延びるように設けられる。バッテリーパック50の前端部(図では上側)には、複数の端子53が設けられ、バッテリーパック50をバッテリーハウジング3に装着することにより端子53は基板54側に形成されるターミナル52と接触する。
モータ4の回転は減速機構10によって減速されてスピンドル28に伝達され、スピンドル28が所定の速度で回転駆動される。インパクト工具1のハウジングは、モータハウジング2とバッテリーハウジング3によって構成される。モータハウジング2とバッテリーハウジング3は、回動軸8を中心に約70度だけ回動可能であり、図1では回動させた状態を示している。後述する出力軸ロック機構を作用させて、インパクト工具1の本体を使って手動にて締結部材を締めたり緩めたりする場合は、バッテリーハウジング3を図1のように回動させた状態で行うと好ましい。また、図示していないが、バッテリーハウジング3が、スピンドル28やモータの回転軸4aと同軸上に配置されるように回動させることも可能である。モータハウジング2は、プラスチック等の合成樹脂の成形によって左右に2分割可能に構成され、図示しないネジによって左右部分が固定される。尚、本実施例の締め付け工具では、インパクト機構19や減速機構10を合成樹脂製のモータハウジング2の内部に直接収容したが、これらを金属製の一体成形によって形成された略カップ状のケース(ハンマケース)に収容して、ケースをモータハウジングに接続するように構成しても良い。
インパクト工具1には、モータ4の回転のオン/オフを制御するためのトリガスイッチ7が設けられる。トリガスイッチ7は、作業者がトリガ操作部6を引くことによりオン又はオフにすることができる。本実施例においてトリガスイッチ7はオン又はオフの切り替えスイッチであるが、これを可変スイッチとしてトリガ操作部6の引き量に応じてモータ4の回転数を調整するように構成しても良い。回転切替スイッチ9はモータ4の回転方向を切り替えるためのスイッチで、出力軸18の回転方向を正方向(締め付け方向)又は逆方向(緩め方向)に切り替えることができる。
減速機構10は、モータ4の回転軸4aが太陽歯車11に接続される複数の遊星歯車12を有し、遊星歯車12は、その外周側に位置する内歯車13との間において、自転しながら太陽歯車11の周りを公転する。スピンドル28はハンマ22を回転させるための部材であって、スピンドル28の後端側は複数の遊星歯車の回転軸に接続され、遊星キャリアとしての機能を果たす。この結果、遊星歯車12の公転運動がスピンドル28の回転運動に変換される。スピンドル28は、ハンマ22とカム機構によって連結され、このカム機構は、スピンドル28の外周面に形成されたV字状のカム溝26と、ハンマ22の内周面に形成されたハンマカム溝24と、これらのカム溝に係合するスチールボール25によって構成される。
ハンマ22は、スプリング27によって常に前方に付勢されており、静止時にはスチールボール25とカム溝24、26との係合によって打撃アーム21の端面とは隙間を隔てた位置にある。そして、ハンマ22とアンビル20の相対向する回転平面上の2箇所には突起部たるハンマ爪23と打撃アーム21がそれぞれ対称的に形成される。スピンドル28が回転駆動されると、その回転は前記カム機構を介してハンマ22に伝達され、ハンマ22が半回転しないうちにハンマ22のハンマ爪23がアンビル20の打撃アーム21に係合してアンビル20を回転させるが、そのときの係合反力によってスピンドル28とハンマ22との間に相対回転が生ずると、ハンマ22はカム機構のカム溝26に沿ってスプリング27を圧縮しながらモータ4側へと後退を始める。
ハンマ22の後退動によってハンマ爪23が打撃アーム21を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ22は、スピンドル28の回転力に加え、スプリング27に蓄積されていた弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、スプリング27の付勢力によって前方へ移動し、そのハンマ爪23が打撃アーム21を強く打撃することによりアンビル20を回転させる。アンビル20の前方側には出力軸18が接続され、出力軸18の取付穴に装着される先端工具48を介してネジに回転打撃力が伝達される。以後、同様の回転及び打撃動作が繰り返され、例えば、ネジ等の締結部材が木材等の図示しない被締結材にねじ込まれる。尚、本実施例では出力軸18とアンビル20は一体成形にて製造されるため、これらの間にがたつきがなく剛性が高くて打撃音が静かなインパクト工具を実現できる。
図2は図1の打撃部付近の組立構造を示す分解斜視図である。本実施例においては、従来から用いられている機械式のインパクト機構部で用いられるアンビル20と、アンビル20と一体的に形成される出力軸18をモータハウジング2に軸支するロックリング38の構造に、アンビル20のモータハウジング2(ロックリング38)に対する相対回転をロックするためのロック機構を設けた。ロック機構は主に、アンビル20の一部に形成された逃がし面20aとロックリング38と2つの係合ピン37を含んで構成され、本実施例においてはロック機構のロック状態を解除するためのロック解除部材としてキャリア33を設けた。キャリア33はロックリング38とアンビル20の間に介在されるものである。尚、キャリア33と2つの係合ピン37を追加したことに合わせてハンマ22の形状やアンビル20の形状の一部を変更した。ハンマ22は所定の質量を有するように金属の一体成形で製造され、カム機構によってスピンドル28と連結される。ハンマ22の前方側には円周方向の2箇所にハンマ爪23(第1の突起部)が形成される。ハンマ爪23は、打撃アーム21を打撃する打撃面となる突起部であって前方に延びるように突出し、その円周方向の両側の面において正回転方向の打撃面23a、逆回転方向の打撃面23bがそれぞれ形成される。ここで本明細書では、正回転方向とは例えばねじやボルトを締め付ける方向であり、逆回転方向とはねじやボルトを緩める方向であるとして説明する。本実施例のハンマ爪23は、さらに打撃面23aの内周側に形成された第2の打撃面たる打撃面23cが形成される、同様にして打撃面23bの内周側には打撃面23dが形成される。この第2の打撃面は、第1の打撃面に対して周方向打撃方向に対して凹んだ凹部となっている。
アンビル20はハンマ22によって打撃される部材であって、本実施例においてはアンビル20の先端側に出力軸18が接続されたような形状であって、これらは一体成形にて製造される。尚、図2において出力軸18は概略図であって、先端工具48を装着される装着穴やボール43を挿入するための径方向に形成される貫通孔の図示は省略している。アンビル20の形状は、円筒形の本体部材から径方向に延びる打撃アーム21(第2の突起部)が2本形成される。打撃アーム21は回転角で180度隔てた位置に形成され、ハンマ爪23(第1の突起部)と係合するよう径方向外側に延びるように設けられる。打撃アーム21は打撃される部材という性質上、アンビル20から延びる形状が四角柱状としたが、この形状だけでなく十分な強度と耐久性を有するならば円柱状の基本形状であっても、その他のシンプルな形状であっても良い。打撃アーム21には2つの平面状の被打撃面が形成されることが重要であり、周方向の片面が正方向の被打撃面21aとなり、もう一方の周方向の片面が逆方向の被打撃面21bとなる。アンビル20の本体部分の180度隔てた2箇所には、一部が平面状に削り落とされた逃がし面20aが形成される。
出力軸18の前方側にはロックリング38が設けられる。ロックリング38の主な機能は、出力軸18を回転可能に軸支するものであって、ロックリング38の内周面はメタル等のすべり軸受けが一体的に形成される。ロックリング38の径方向に180度離れた2箇所には、立方体状のネジボス38bが形成され、ネジボス38bの左右側面にはネジ穴38cが形成される。本実施例においてはインパクト機構19の全体を覆うカップ状のハンマカバーを用いる代わりに、ロックリング38を用いて出力軸18をモータハウジング2に対して固定する。モータハウジング2は、左右に2分割状に形成されるので、モータハウジング2の外部から図示しないねじを用いてロックリング38を固定することで、出力軸18を軸支すると共に、左右のモータハウジング2が接合される。
キャリア33はロック解除部材として機能し、基本形状が円筒形であってアンビル20に対して同軸上で、かつ、アンビル20の径方向外側に配置される。キャリア33はアンビル20に固定されるのではなく、アンビル20に対して同軸上で微小角だけ相対移動(回転)可能なように取り付けられる。キャリア33は、アンビル20の円筒状部分の外径とほぼ等しい内径(但し微小角度だけ相対回転ができる必要な隙間は確保する)を有する円筒部を有し、円筒部の後方部分の対角位置に2箇所の凹部(第2の切り欠き部)33aが形成され、凹部33aの周方向両縁部(両端部)から径方向に突出する爪部(第3の突起部34)が形成される。凹部33aの周方向両端部の間隔は打撃アーム21の径方向の幅よりも若干広くなるように構成する。本実施例では打撃アーム21がアンビル20の円柱状部分から180度隔てた位置から外側に2本形成されるので、それぞれの被打撃面に対向する位置に突起部34が4箇所形成される。突起部34は、ハンマ22に追加で形成された追加の打撃面23c、23dによって接触される部分であって、打撃面23c、23dが当たることによってキャリア33のアンビル20に対する相対位置を変化させることができる(但し、その回転角度は±10度程度である)。キャリア33の逃がし面20aと対向する位置には切り欠き部33bが形成される。切り欠き部33bは、係合ピン37を収容する空間を画定するためのものであって、切り欠きの内周側はアンビル20の逃がし面20aにより覆われ、切り欠き部33bの外周側はロックリング38の円筒部38dによって覆われ、切り欠き部33bの前方側はロックリング38の段差部38eによって覆われ、後方側及び径方向の両端部は切り欠き部33bの壁部で覆われる。このように係合ピン37は切り欠き部33bを用いて画定される空間内でアンビル20とほぼ同期して転動(公転)する。この係合ピン37は、アンビル20とキャリア33の相対位置がわずかながら径方向にずれると、アンビル20とロックリング38の相対回転を制限するロック機構として作用するが、この作用の詳細については後述する。
図3は図1の打撃部付近の拡大断面図である。図3から理解できるように、キャリア33はハンマ22の先端側であって、打撃アーム21と後端部が同じとなるように配置される。キャリア33の先端部は、ロックリング38の段差部38eによって前端側が保持され、外周側が円筒部38dによって保持され、内周側がアンビル20の外周面によって保持される。アンビル20の後端側中央付近には円柱形の嵌合穴28aが形成され、その穴にはスピンドル28の先端に形成された嵌合軸20bが収容される。このようにアンビル20の後端とスピンドル28の前端部が相対回転かのようなように軸支されるため、剛性が高い打撃部を実現できる。ロックリング38は、円柱形の基本形状であるが、被回転部材(固定部材)であるロックリング38と公転部材である係合ピン37の摩擦抵抗が大きくならないように、係合ピン37の軸方向先端部に微小接触領域(凸部など)を形成すると好ましい。尚、ロックリング38の軸受部38aには、打撃機構部分からグリースが漏れないようにOリング39が装着される。出力軸18の先端には、先端工具48を挿入するための軸方向に垂直な断面形状が六角形の装着穴18aが形成される。出力軸18の先端側には先端工具の装着部40が設けられる。出力軸18の側面には、ボール43を移動可能に収容する貫通孔18bが形成され、ボール43が貫通孔18bから内周側に抜け落ちることがないようにその形状が形成される。ボール43の径方向外側は、スプリング44によって付勢されたスリーブ41にて保持される。スプリング44の前方側はワッシャ42により固定され、ワッシャ42はCリング45によって軸方向に移動しないように保持される。先端工具48を出力軸18に装着又は取り外すときは、スリーブ41を図3に示す定常位置からスプリング44の付勢力に抗して軸方向前方に移動させることにより行うことができる。スリーブ41を前方に移動させると、ボール43の外周部がスリーブ41の内周側に形成された凸面との当接状態が解除され、ボール43が径方向外側にわずかに移動できるので、先端工具48の装着及び取り外しを抵抗なく行うことができる。尚、モータハウジング2の一部であって出力軸18の下側には、先端工具方向を照射するためのLED47が設けられる。LED47には電源線49を介して電力が供給される。
図4は図1の打撃部付近の組立後の斜視図である。位置関係がわかるようにモータハウジング2を付けていない状態を示している。このように組立時点においては、図のように斜めから見るとキャリア33は見えない上、従来のインパクト工具とほぼ同じ形状である。しかしながら本実施例においては、キャリア33と2つの係合ピン37を用いたことにより特有の動作をさせることが可能となる。以降の図では、A−A部の断面図とB−B部の断面図を用いて本実施例に係るインパクト工具1の動作を説明する。ここで、A−A部の断面とは、ロックリング38の左右方向に設けられる2つのネジ穴38cを通る面であって、軸方向と垂直な断面である。B−B部の断面とは、ハンマ爪23及び打撃アーム21の軸方向中心を通る面であって、軸方向と垂直な断面である。
図5は本発明の実施例に係るハンマとキャリアの形状を示す部分拡大断面図であって、図4のB−B部の断面図である。円周方向の対角状に配置される2つのハンマ爪23は楕円周方向の外周側に位置する2つの打撃面23a、23bに加えて、内周側に2つの打撃面23c、23dが追加されたような形状とされる。ここで、打撃面23a、23bは被打撃面21a、21bを打撃するために形成されるものであって、これらは従来のインパクト工具で用いられるハンマ爪と同等の機能を有し、基本形状もほぼ同等である。打撃面23c、23dはキャリア33の突起部34を押圧するためのものである。ここで、図5の位置関係からわかるように、ハンマ22がネジを締める際に回転すると(図5では反時計回り)、ハンマ爪23の打撃面23cが最初に突起部34の被打撃面34aに接触する。前述したようにキャリア33と打撃アーム21は微小角度(回転角にして20度程度)だけ相対移動可能なので、打撃面23cは被打撃面34aを押す形となり、打撃をするという程ではない。その状態の後、キャリア33がハンマ22の回転によって反時計回りに回転すると、ハンマ22の打撃面23aが打撃アーム21の被打撃面21aに衝突又は係合する。この衝突においては、アンビル20と一体に構成される出力軸18には先端工具48から締め付け部材の反力が伝わるため、この衝突は強い打撃となる。図5は打撃面23aと被打撃面21aとの係合がおきた瞬間の状態を示したものであるが、この際、突起部34と打撃アーム21との間に所定の間隔が生ずるような形状とした。つまり、突起部34の回転方向の厚さbに対して、打撃アーム21の被打撃面21aと、ハンマ爪23の打撃面23cの距離はaであり、a<bの関係とした。このように構成することにより、打撃が行われる際、あるいは、ボルト等の着座前の回転時にはハンマ爪23の力が打撃アーム21に直接作用することになるので、キャリア33はトルク伝達には寄与せず、キャリア33を介在させたことによる悪影響はほとんど無いことになる。また、キャリア33には強い打撃力が伝わらないので、キャリア33へ伝わる衝撃を低減でき長寿命化を図ることができる。
次に図6を用いてインパクト工具1を駆動して締め付け作業を行う際の状態について説明する。図6(1)〜(4)は、それぞれA−A部の断面と、B−B部の断面を左右に並べて図示したものであって、ここではハンマ22がモータ4によって駆動される。ハンマ22、アンビル20、キャリア33及びそれに付随する各部品は回転中心を軸に回転対称(2回対称)であり、図示の都合上参照符号は一部にしか付与していない。キャリア33は、アンビル20の打撃アーム21を挟み込み、且つアンビル20の被打撃面21a、21bから一定の隙間を有するように突起部34を設けて、キャリア33の回動角度を一定の範囲に制限する。図6(1)の状態はハンマ爪23が打撃アーム21と離れている状態(例えばハンマ22の回転開始時の状態)を示す図であるが、この状態からモータ4の回転によって回転駆動力が減速機構10(図1参照)を介してスピンドル28に伝達され、カム機構によって保持されるハンマ22が矢印61の方向に回転する。この際の打撃アーム21の位置(アンビル20の回転角)と、キャリア33の突起部34の位置関係は図示の通りであり、キャリア33の凹部33a(図2参照)の周方向両側縁付近から径方向に伸びる突起部34と打撃アーム21の間には所定の間隔62、63が存在する位置で安定して保持される。図6(1)からわかるように、アンビル20の軸部(=出力軸18)は、キャリア33の円筒部分の内側に収容され、切り欠き部33bの内側空間にはそれぞれ係合ピン37が位置する。ここで、キャリア33とアンビル20は嵌め込まれているだけであって、それらの形状を設定することによってお互いが微小角度だけ相対回転ができるように構成される。
図6(2)はハンマ22が矢印64の方向に更に回転して、ハンマ爪23の打撃面23cが突起部34の被打撃面34aに当接したキャリア33の回転開始の状態を示す図である。モータ駆動によりハンマ22が回転すると、ハンマ22はアンビル20を回転打撃する前にキャリア33に接触し、キャリア33が回転する。このため、打撃面23cが突起部34に当接する際には、打撃面23aは打撃アーム21に接触していないようにハンマ爪23の形状が設定される。この状態から更に回転すると図6(3)の右側の図に示すように、ハンマ爪23はキャリア33を矢印65の方向に回転させながら、打撃面23aが打撃アーム21の被打撃面21aに接触する(アンビル20を打撃)。ここで、図5で説明したように、太線67の部分は隙間が存在するため、キャリア33が打撃アーム21を打撃することはない。また、この際には矢印66の部分の隙間は、(1)の矢印62の隙間に比べて大きくなる。このようにキャリア33が打撃アーム21に対して微小角度だけ回転すると、その結果(3)の左側図のようにキャリア33の切り欠き部33bの周方向にエッジ部分が係合ピン37の外周部分に接触し、係合ピン37をアンビル20の周面に設けられた逃がし面20aの中央付近へ押し退ける。ハンマ22はキャリア33を回転させながらアンビル20を打撃し、先端軸側へ回転を伝達する。係合ピン37の内周側は逃がし面20aに接触している状態でアンビル20が回転するが、その接触部分(軸方向に平行な線)は逃がし面20aの周方向のほぼ中央にとどまる。
図6(4)は、(3)の状態からハンマ22がさらに回転した状態を示す図である。この状態では、ハンマ爪23の打撃面23aが打撃アーム21の被打撃面21aを押すような形又は強く打撃するような形でアンビル20を回転させる。この際の、係合ピン37はキャリア33の切り欠き部33bのエッジ部分に接触したままである。このため、非回転部分(ロックリング38)の内壁と強く干渉することなく、回転部分(アンビル20、キャリア33、係合ピン37)は図6(4)の相対位置関係を保ったままハンマ22によって連続回転が可能である。つまり、キャリア33が勢いよく回転してキャリア33により転動された係合ピン37がロックリング38とアンビル20の逃がし面20a端部に衝突してしまうことを回避することができる。さらに、アンビル20とキャリア33の間にハンマ22が落込んでしまうことを防ぎ、キャリア33がアンビル20より先に回転することを確実に行うことが可能である。
図7は図4のA−A断面位置におけるアンビル20と係合ピン37の位置関係を説明するための図である。図6(4)のように、ハンマ22が回転しているときには、ハンマ爪23の打撃面23aが打撃アーム21の被打撃面21aを押すような形でアンビル20を回転させるため、アンビル20と係合ピン37の位置関係は図7(1)のようになる。この状態では、係合ピン37は逃がし面20aの上下方向(周方向)ほぼ中央に位置する、即ち、逃がし面20aの上下方向(周方向)幅を2cとすると、アンビル20と係合ピン37の接触点72は上からc、下からcの位置に位置する。この状況では回転中心71から係合ピン37の外周面までの最遠距離はR1となる。R1は、(アンビル20の半径−逃がし面20aの削り量+係合ピン37の直径)となる。本実施例においては、R1がロックリング38の円筒部38dの内径よりも小さくなるように構成すれば、係合ピン37はアンビル20及びキャリア33の回転を制限することがない。
次に、図8を用いてモータ4の回転を停止させて、先端工具48を図示しないネジ頭に嵌合させた状態でインパクト工具1自体を回転させることによりドライバーと同じように作業者が手でネジ等を締めるときの状態(手締め作業)を説明する。図8(1)はインパクト工具1自体を回転させる直前の状態(中立位置)を示す断面図であって、それぞれA−A部の断面と、B−B部の断面を左右に並べて図示したものである。尚、手締め作業を行う際にはハンマ22は何ら作用しないので、ハンマ22の回転位置については重要ではなく、図8に示すハンマ22位置は単なる例示であって、特に意味があるわけではない。図8(1)において手締めの作業ために作業者はモータハウジング2を回転させる。このモータハウジング2を回転させることによって、ロックリング38は矢印81の方向に回転する。その結果、A−A断面位置においては、打撃アーム21が相対的に矢印81と反対方向に微小角だけ回転させたことと同じ状態になる。
次に、作業者が図8(2)のようにインパクト工具1自体をさらに回転させると、打撃アーム21の被打撃面21aが突起部34に当接する。この結果、キャリア33とアンビル20との相対位置関係が変化することになり、アンビル20に形成された逃がし面20aと係合ピン37との相対位置関係も変化する。この相対位置関係の変化を示すのが図7(2)である。図7(2)においては、矢印73のようにアンビル20が相対回転すると係合ピン37は相対的に矢印74の方向に移動したことと同じ位置関係になる。但し、動くのはアンビル20側であって、係合ピン37は動いていない。その結果、係合ピン37と逃がし面20aの接触する位置が、図7(1)の接触点72から図7(2)の接触点75に移動する。この結果、アンビル20の回転中心71から係合ピン37の外周面への最遠距離が、(1)のR1からR2に変化する。このR2は図から理解できるように、R1<R2の位置関係になるため、ロックリング38の内径Rcを、R1<Rc<R2の関係になるようにそのサイズを設定すると、(2)のような係合ピン37の相対位置関係の変化によって、係合ピン37がロックリング38とアンビル20の逃がし面20aの端部間に食い込み、ロックリング38とアンビル20が一体になることにより出力軸のロック機構として動作する。つまり、作業者が、非稼働時のインパクト工具1自体を回転させるとアンビル20の回転がロックされたままとなるため、有効に手締め作業が行えることになる。
尚、インパクト工具1自体を回転させて、ねじ等を締め付けるだけでなく、緩める場合であっても同様にアンビル20の回転がロックされる。この状態を示すのが図8(3)であり、アンビル20に形成された逃がし面20aと係合ピン37との相対位置関係のずれが図8(2)と逆回転方向になるだけで、アンビル20の回転が同様にロックされる。以上説明したように本実施例では、モータ4を停止させて、インパクト工具1自体を回転させる手締め作業を行うと、ロックリング38の作用によってアンビル20がロックリング38に対して回転不能なようにロックされ、出力軸ロック機能が実現できるので、インパクト締め付けを行う締め付け工具であっても容易に手締め作業を行うことができる。しかも、駆動源を用いた締め付け作業から手締め作業へ移行させる時に、作業者による操作レバーを操作する等の特別の操作は一切不要であって、単にインパクト工具1自体を回転させるだけで良いので、使い勝手のきわめてよい締め付け工具を実現できる。
この手締め作業が終わった後に、次のねじを締め付ける際には、トリガ操作部6を引いてモータ4を回転させるが、図6(1)〜(3)のようにハンマ爪23がキャリア33の突起部34を押すことにより、係合ピン37のアンビル20に対する相対位置が、図7(1)の位置に戻ってフリー状態となるため(ロック解除)、モータ4による通常の締め付け作業には何ら影響することなく、従来通りの締め付け作業を行うことができる。
以上、本実施例のインパクト工具1によれば、アンビル20と出力軸18は一体構造で製造し、キャリア33と係合ピン37を付加するだけで出力軸ロック機構を実現したので、アンビル20の形状を簡単にすることができ、ハンマ22の打撃エネルギーを先端工具48に効率よく伝達することができる。特に、アンビル20と出力軸18を分割構造として接合部形状を設ける必要がないので、ハンマ22による打撃時にアンビル20の被打撃面21a、21bから出力軸18に回転を伝達する際の衝撃音と振動を大幅に低減させることができる。さらに、インパクト工具1は回動軸8を中心として、折り曲げることが可能であるので、本体を回転させて締め付け作業を行う際には、高いトルクを加えることが可能になる。
また、モータ4による締め付けを行うために、ロックリング38と出力軸18が固定された状態から、締め付け方向に回転させる場合(手締め方向と逆方向)は、ハンマ22を回転させてキャリア33に最初に当接するだけでハウジング2bと出力軸18がフリー状態にして空転させることができるので、出力軸ロックを利用した手締め作業とモータ4による締め付け作業の切り替えを意図する必要がない。このように本実施例では、出力軸ロックスイッチ等を操作することなく、締め付けが完了してモータ4が停止した後に、インパクト工具1本体を締結部材の締め付け方向に回転させることにより、締結部材の増し締めや、締め付け確認を行うことができる。
次に図9を用いて本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例と同じ構成部品には同じ番号の参照符号を付しており、構成やその動作が同じであるので繰り返しの説明は省略する。第1の実施例と異なる点は、出力軸118を軸支するのにメタルでなくボールベアリング141を用いた点である。その形状に合わせてロックリング138の形状も変更されているが、その変更点は先端付近だけであって、係合ピン37を保持する円筒部138dの形状や、図示しないネジボス部やネジ穴のサイズや形状は図2で示したロックリング38の形状と同一である。また、モータハウジング102の先端部の形状もボールベアリング141を保持するための形状にわずかながら変更されている。さらに、出力軸118についても、ボールベアリング141の軸方向前側への抜けを防止するために、円周方向に連続する溝118cを形成し、そこに止め輪142を装着した。第2の実施例のようにボールベアリング141にて出力軸118を軸支することにより、剛性感が高くてスムーズに回転が可能なインパクト工具を実現できた。
以上、本発明を実施例に基づき説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば上記の実施例では締め付け工具の例としてメカニカル方式のインパクト工具を用いて説明したが、オイルパルス式のインパクト工具にも同様に適用できる。さらに、インパクト工具だけに限られず、ドライバドリルにも同様に本発明を適用できる。
1 インパクト工具 2 モータハウジング
2b ハウジング 3 バッテリーハウジング
3a 開口部 4 モータ
4a 回転軸 6 トリガ操作部
7 トリガスイッチ 8 回動軸
9 回転切替スイッチ 10 減速機構
11 太陽歯車 12 遊星歯車
13 内歯車 18 出力軸
18a 装着穴 18b 貫通孔
19 インパクト機構 20 アンビル
20a 逃がし面 20b 嵌合軸
21 打撃アーム(第2の突起部) 21a、21b 被打撃面
22 ハンマ 23 ハンマ爪(第1の突起部)
23a、23b 打撃面(第1の打撃面)
23c、23d 打撃面(第2の打撃面)
24 ハンマカム溝 25 スチールボール
26 カム溝 27 スプリング
28 スピンドル 28b (スピンドルの)嵌合穴
33 キャリア 33a 凹部
33b 切り欠き部 34 突起部(第3の突起部)
34a 被打撃面 37 係合ピン
38 ロックリング 38a 軸受部
38b ネジボス 38c ネジ穴
38d 円筒部(軸受面) 38e 段差部
39 Oリング 40 装着部
41 スリーブ 42 ワッシャ
43 ボール 44 スプリング
45 リング 47 LED
48 先端工具 49 電源線
50 バッテリーパック 51 ラッチ
51a 掛止部 52 ターミナル
53 端子 54 基板
71 回転中心 72、73、75 接触点
102 モータハウジング 118 出力軸
118c 溝 138 ロックリング
138d 円筒部 141 ボールベアリング
142 止め輪

Claims (10)

  1. 駆動源を収容するハウジングと、
    前記駆動源によって回転方向に駆動されるハンマと、
    前記ハンマと係合すると回転方向に駆動されるアンビルと、
    前記アンビルの前記ハウジングに対する相対回転をロックするか否かを切り替えるロック機構と、
    を有する締め付け工具において、
    ロック解除部材を前記アンビルに対して回動可能に設け、前記ハンマが回転すると前記ハンマが前記アンビルと係合する前に前記ロック解除部材と係合して前記ロック機構のロックを解除するよう構成し、
    前記ハンマが前記アンビルと係合した状態で前記ロック解除部材が前記ハンマと前記アンビルの間で回動可能となるよう構成したことを特徴とする締め付け工具。
  2. 駆動源を収容するハウジングと、
    前記駆動源によって回転方向に駆動され、前方に延びる第1の突起部を有するハンマと、
    前記ハウジングに対して回転可能な軸部と、前記軸部から前記第1の突起部と係合するよう径方向外側に延びる第2の突起部を有するアンビルと、
    前記アンビルの前記ハウジングに対する相対回転をロックするか否かを切り替えるロック機構と、
    を備えた締め付け工具において、
    ロック解除部材を前記アンビルに対して回動可能に設け、前記ハンマが回転すると前記第1の突起部が前記第2の突起部と係合する前に前記ロック解除部材と係合して前記ロック機構のロックを解除するよう構成し、
    前記第1の突起部に前記ロック解除部材の一部を受け入れる凹部を設けたことを特徴とする締め付け工具。
  3. 駆動源と、前記駆動源によって回転されるハンマと、
    前記ハンマによって連続的に又は断続的に回転されるアンビルと、これらを収容するハウジングを有し、前記アンビルに接続される出力軸を回転させる締め付け工具において、
    前記アンビルと前記出力軸を一体に構成し、
    前記アンビルに対して同軸上で微小角だけ相対回転可能なように取り付けられ、前記出力軸を貫通させる筒状のキャリア部材と、
    前記キャリア部材の前記出力軸側への移動を制限するロックリングを設け、
    前記アンビルの外周面の一部に平面状の逃がし面を形成し、
    前記キャリア部材の前記逃がし面と対向する位置に切り欠き部を形成し、
    前記切り欠き部に前記アンビルと前記ロックリングとの相対回転を制限する係合部材を設けたことを特徴とする締め付け工具。
  4. 前記キャリア部材は、前記アンビルの円筒状部分の外径よりわずかに大きい内径を有する円筒形の基本形状であって、
    前記切り欠き部は前記キャリア部材の複数箇所に形成され、
    前記係合部材は前記切り欠き部にそれぞれ一つずつ配置される円柱状の部材であって、その軸方向が前記出力軸の軸方向と平行になるように配置されることを特徴とする請求項3に記載の締め付け工具。
  5. 前記ハンマの回転停止中に前記アンビルを前記ハウジングに対して回転させるときには、前記係合部材は前記アンビルと前記ロックリングとの相対回転を制限することを特徴とする請求項4に記載の締め付け工具。
  6. 前記キャリア部材と前記アンビルの相対回転角が所定の角度よりも大きくなって前記逃がし面の中心位置が前記係合部材と離れた際に、前記係合部材は前記アンビルの外周面と前記ロックリングの内周面により挟まれることにより前記アンビルの前記ロックリングに対する相対回転を制限することを特徴とする請求項5に記載の締め付け工具。
  7. 前記キャリア部材は、前記円筒形の部分から径方向に延び、前記アンビルの第2の突起部と対向するように突出する第3の突起部を有し、
    前記第3の突起部は前記駆動源の回転時に前記ハンマの第1の突起部と当接することにより、前記キャリア部材を前記アンビルに対してわずかに移動させ、
    移動される前記キャリア部材に前記係合部材が接触することにより前記係合部材が前記逃がし面の中央に位置するように保持されることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の締め付け工具。
  8. 前記切り欠き部は、前記円筒形の部分の前方側開口から軸方向後方に凹状に切り欠かれたものであって周方向の対角線上に2箇所設けられ、
    前記円筒形の部分の後方側開口には、周方向にみて前記切り欠き部とそれぞれ90度隔てた位置に前記アンビルの第2の突起部を収容する第2の切り欠き部を形成し、
    前記第3の突起部は、前記第2の切り欠き部の周方向縁部から径方向に突出する形状であることを特徴とする請求項7に記載の締め付け工具。
  9. 前記第1の突起部には、前記アンビルを打撃する第1の打撃面と、前記キャリア部材の第3の突起部に接する第2の打撃面が形成され、
    前記第3の突起部は、前記第2の打撃面にそれぞれ対応するように設けられることを特徴とする請求項8に記載の締め付け工具。
  10. 前記ハンマを回転させると、前記第2の打撃面が前記第3の突起部に最初に当接して押圧することにより前記キャリア部材を回転方向に回転させ、その後に前記第1の打撃面が前記第2の突起部に当接することを特徴とする請求項9に記載の締め付け工具。
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