JP4597849B2 - 回転打撃工具 - Google Patents
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特許文献1に記載のインパクトレンチは、駆動モータによって回転されるスピンドルと、スピンドルの同軸上に配置されるアンビルと、スピンドルの外周に嵌合されるハンマーと、スピンドルとハンマーとの間に介在される回転打撃機構を有している。回転打撃機構は、スピンドルとハンマーとの間に所定値以上のトルクが作用すると、ハンマーに軸方向移動と所定角度の周方向移動との複合運動を行わせてハンマーの爪をアンビルの爪に係合させてアンビルに回転打撃を加える構成になっている。さらに該インパクトレンチは、付加ハンマーを有している。付加ハンマーは、ハンマーに対して係脱可能に設けられており、ハンマーに係止されることで回転打撃を増強する構成になっている。
そこで本発明は、ハンマーに対して係脱される付加ハンマーを有し、ハンマーに付加ハンマーを係止させた状態においても適度な打撃のタイミングを得ることのできる回転打撃工具を提供することを課題とする。
請求項1に記載の発明によると、ハンマーに対して係脱される付加ハンマーと、付加ハンマーをハンマーに対して係止させた係止位置と離脱させた離脱位置とに切替える操作部と、付加ハンマーを離脱位置から係止位置にすることでハンマーをアンビルに向けて付勢する付勢機構の付勢力を増強する調整機構とを有している。
しかもその調整は、付加ハンマーの位置を調整することで、自動的になされ得る。
したがって付加ハンマーをハンマーに対して離脱させた状態においては、第一のばねのみによってハンマーが付勢される。そして付加ハンマーをハンマーに対して係止させた状態においては、ハンマーが第一のばねと第二のばねによって付勢されて、付勢力が増強されている。
したがって付加ハンマーをハンマーに対して離脱させた位置から係止させた位置に移動させると、ばねの付勢力が調整機構によって増強される。
回転打撃工具の一例である実施の形態1のインパクトドライバ1を図1〜9にしたがって説明する。
インパクトドライバ1は、図1に示すようにハウジング10の後側内部に収容される駆動モータ2と、駆動モータ2によって回転されるスピンドル3と、スピンドル3の同軸上に配置されるアンビル6と、スピンドル3の外周に嵌合されるハンマー4と、ハンマー4に対して係脱される付加ハンマー8を有している。
遊星歯車列12は、出力軸11に設けられたピニオンギヤ(サンギヤ)13と、ピニオンギヤ13と噛み合う複数の遊星ギヤ14と、遊星ギヤ14に噛み合うインターナルギヤ15を有している。インターナルギヤ15は、ハウジング10に固着されたギヤボックス16に固着され、各遊星ギヤ14は、スピンドル3の後端部外周から張出しているスピンドル3のキャリア部3aに取付けられた支軸17に回転可能に支持されている。
スピンドル3の先端側外周には、図2に示すようにハンマー4が嵌合され、ハンマー4とスピンドル3の間には、回転打撃機構5が設けられている。
V溝20は、図2,7に示すようにスピンドル3の外周に断面半円形で回転軸線に傾斜したV字状に形成されている。係合凹部21は、ハンマー4の内周面に断面半円形で側面視逆V字状に形成されている。したがってハンマー4は、回転打撃機構5を介してスピンドル3に対して軸方向に所定量移動可能で、かつ周方向に所定角度回転可能に連結されている。
第一のばね23とキャリア部3aの間には、ボール19aとワッシャ−19bが設けられており、第一のばね23は、キャリア部3aに対して軸中心に回転可能に支持されている。
アンビル6は、ハウジング10の前端部に取付けられるインパクトケース29に軸受33を介して回転可能に支持されている。アンビル6の先端部には、ソケット6bが設けられている。ソケット6bは、インパクトケース29から突出しており、先端工具であるビットが着脱可能に装着される。
付加ハンマー8は、円筒状であって、ハンマー4に対して軸方向に移動可能になっている。付加ハンマー8の内周面には、複数の内歯8aが形成されている。内歯8aは、ハンマー4の外周部に形成された複数の外歯4bに対して軸方向に嵌合し、嵌合することで外歯4bに対して周方向に回転不能でかつ軸方向に移動可能になる。したがって付加ハンマー8をハンマー4に対して軸方向に移動させることで、付加ハンマー8をハンマー4に対して係脱させることができる。
第二のばね24は、圧縮スプリングであって、第一のばね23の外周側に配設される。第二のばね24は、図2に示すように付加ハンマー8をハンマー4に対して離脱させた離脱位置においては自由状態になる。そして第二のばね24は、図3に示すように付加ハンマー8をハンマー4に対して係止させた係止位置においては、付加ハンマー8の鍔8bによってハンマー4に向けて押付けられて弾性圧縮され、ハンマー4をアンビル6側に付勢する。したがって第二のばね24は、第一のばね23とともにハンマー4をアンビル6に向けて付勢する付勢機構7の一部材をなす。
操作部9は、図4,5に示すようにインパクトケース29の外周面上に配設されるカバー25と、カバー25に取付けられるねじ26を有している。
カバー25は、断面円弧状であって、インパクトケース29の外周面に対して摺動可能で、かつインパクトケース29に形成されたガイド穴32を覆い隠す構成になっている。
ねじ26は、図5に示すようにインパクトケース29とインパクトケース29のガイド穴32を貫通し、付加ハンマー8に形成された凹部8cに届く脚部26aを有している。
摺動部材27は、円筒状であって、ガイド穴32に内設され、ガイド穴32に対して脚部26aがガタ付くことを抑制する。
摺動部材28は、矩形筒状であって、摺動部材27よりも脚部26aの先端部に取付けられ、脚部26aに螺合するめねじ部を内周面に有している。摺動部材28は、付加ハンマー8の外周の全周に渡って凹状に形成された凹部8cに内設され、凹部8cに対して摺動する。
摺動部材28は、ガイド穴32よりも径が大きく、ねじ26がインパクトケース29から脱落することを防止する構成にもなっている。
すなわち付勢機構7の付勢力は、付加ハンマー8に形成された鍔8bによって第二のばね24がハンマー4に押されることで増強される(調整機構)。
すなわちインパクトドライバ1は、図2,3に示すように付加ハンマー8と、付加ハンマー8をハンマー4に対して係止させた係止位置と離脱させた離脱位置とに切替える操作部9と、付加ハンマー8を離脱位置から係止位置にすることでハンマー4をアンビル6に向けて付勢する付勢機構7の付勢力を増強する調整機構(8b)とを有している。
しかもその調整は、付加ハンマー8の位置を調整することで、自動的になされ得る。
したがって付加ハンマー8をハンマー4に対して離脱させた状態においては、第一のばね23のみによってハンマー4が付勢される。そして付加ハンマー8をハンマー4に対して係止させた状態においては、ハンマー4が第一のばね23と第二のばね24によって付勢されて、付勢力が増強されている。
実施の形態2を図10,11にしたがって説明する。
実施の形態2は、実施の形態1とほぼ同様に形成されている。しかし実施の形態2は、図2に示す実施の形態1の付勢機構7に代えて図10に示す付勢機構30を有している点において実施の形態1と相違している。以下、相違点を中心に実施の形態2について説明する。
ばね31は、圧縮スプリングであって、付加ハンマー8に形成された鍔8bとハンマー4との間に介装され、ハンマー4をアンビル6に向けて前方に付勢している。
すなわち付勢機構30は、ばね31を有している。調整機構(8b)は、付加ハンマー8に設けられ、付加ハンマー8を離脱位置から係止位置にすることでばね31をハンマー4に向けて押し、ハンマー4をアンビル6に向けて付勢するばね31の付勢力を増強する構成になっている。
したがって付加ハンマー8をハンマー4に対して離脱させた位置から係止させた位置に移動させると、ばね31の付勢力が調整機構(8b)によって増強される。
本発明は、実施の形態1,2に限定されず、以下の形態であっても良い。
(1)すなわち実施の形態1は、第一のばねと第二のばねを有しており、第二のばねが付加ハンマーを解除位置した際に自由状態になっていた。しかし第二のばねが付加ハンマーを解除位置にした際において弾性圧縮される形態であって、付加ハンマーを係止位置にすることで弾性圧縮量が大きくなり、ハンマーをアンビルに向けて付勢する付勢力が増強される構成になっていても良い。
(2)実施の形態1,2は、回転打撃工具の一つであるインパクトドライバであったが、インパクトレンチであっても良い。
(3)実施の形態1,2の付加ハンマーは、ハンマーに対して軸方向に移動することで係脱する構成になっていた。しかし付加ハンマーが径方向に移動することでハンマーに対して係脱する構成になっていても良い。
2…駆動モータ
3…スピンドル
4…ハンマー
5…回転打撃機構
6…アンビル
7…付勢機構
8…付加ハンマー
8b…鍔(調整機構)
9…操作部
10…ハウジング
16…ギヤボックス
23…第一のばね
24…第二のばね
25…カバー
27,28…摺動部材
29…インパクトケース
30…付勢機構
31…ばね
32…ガイド穴
Claims (3)
- 駆動モータによって回転されるスピンドルと、該スピンドルの同軸上に配置されるアンビルと、前記スピンドルの外周に嵌合されるハンマーと、前記スピンドルと前記ハンマーとの間に介在され、前記スピンドルと前記ハンマーとの間に所定値以上のトルクが作用すると、前記ハンマーに対して軸方向移動と周方向移動との複合運動を行わせて前記ハンマーの爪を前記アンビルの爪に係合させて前記アンビルに回転打撃を加える回転打撃機構を有する回転打撃工具であって、
前記ハンマーに対して係脱される付加ハンマーと、前記付加ハンマーを前記ハンマーに対して係止させた係止位置と離脱させた離脱位置とに切替える操作部と、前記付加ハンマーを離脱位置から係止位置にすることで前記ハンマーを前記アンビルに向けて付勢する付勢機構の付勢力を増強する調整機構とを有していることを特徴とする回転打撃工具。 - 請求項1に記載の回転打撃工具であって、
付勢機構は、スピンドルとハンマーとの間に介装されて前記ハンマーをアンビルに向けて付勢する第一のばねと、付加ハンマーと前記ハンマーとの間に介装される第二のばねとを有しており、
調整機構は、前記付加ハンマーに設けられ、前記付加ハンマーを離脱位置から係止位置にすることで自由状態の前記第二のばねをハンマーに向けて押して、前記第二のばねと前記第一のばねとによって前記ハンマーを前記アンビルに向けて付勢する構成になっていることを特徴とする回転打撃工具。 - 請求項1に記載の回転打撃工具であって、
付勢機構は、付加ハンマーとハンマーとの間に介装されて前記ハンマーをアンビルに向けて付勢するばねを有しており、
調整機構は、前記付加ハンマーに設けられ、前記付加ハンマーを離脱位置から係止位置にすることで前記ばねをハンマーに向けて押し、前記ハンマーを前記アンビルに向けて付勢する前記ばねの付勢力を増強する構成になっていることを特徴とする回転打撃工具。
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