JP2013229244A - 透過型電子顕微鏡及び電子線干渉法 - Google Patents

透過型電子顕微鏡及び電子線干渉法 Download PDF

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Abstract

【課題】電子線バイプリズム干渉計におけるバイプリズムに加えて、試料微動機構を備えた試料保持装置によって、所定の距離ずつ試料を微動しつつ、列状の検出器で干渉縞の強度変化を観察することで、搬送空間周波数による分解能の制限なく、また、得られたデータを並び替えるだけで干渉顕微鏡像を取得する。
【解決手段】透過型電子顕微鏡40内の電子線干渉電子線バイプリズム干渉計において、光軸に垂直方向に微動可能な試料保持装置13によって、所定の距離ずつ試料3を微動しつつ、列状の検出器で干渉縞の強度変化を観察し、得られたデータを並び替えるという簡単な処理を行う。搬送空間周波数による分解能の制限を受けることなく、高分解能の位相像が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、透過型電子顕微鏡及び電子線干渉法に関する。さらに詳しくは、本発明は、試料微動により干渉顕微鏡像を得る透過型電子顕微鏡装置及び電子線干渉法に関する。
透過型電子顕微鏡を用いて干渉顕微鏡像を得るには、電子線バイプリズムを用いて電子線ビームを2分割し、さらに二つのビームを交差させて干渉させる方法を用いる。一般的に用いられる電子線バイプリズムは、電子線光学系において、光学におけるフレネルの複プリズムと同じ作用をする電子光学素子である。電子線を偏向させるために電位を用いるものを電界型電子線バイプリズム、磁界と電子線とのローレンツ力を用いるものを磁界型電子線バイプリズムと呼び、電界型が広く一般的に使われている。
なお、本明細書では、電子線バイプリズムとして電界型電子線バイプリズムを用いた場合について説明を行うが、電子線バイプリズムとして電子線が干渉させられる装置であれば電界型、磁界型に依らず構成可能であり、以下の説明で用いる電界型電子線バイプリズムに限定するものではない。
また、本明細書において用いられる技術用語の定義として、顕微鏡像は拡大して得られる通常の像を意味し、位相像は試料を透過した電子線の位相分布を、干渉顕微鏡像は位相像をcos関数で表したもの、即ち干渉縞として位相分布を表したものを意味する。
(干渉顕微鏡像の作製)
干渉顕微鏡像の作製に使用される透過型電子顕微鏡を用いた公知の電子線バイプリズム干渉計について説明する。
図6は、一般的な電界型電子線バイプリズムの模式図であり、図7は、従来の電子線バイプリズム干渉計の光学系の例を示す模式図である。
図7に示すように、電子線バイプリズム干渉計において、電子源もしくは電子銃1で発生された電子線は、光軸2上の照射光学系4を経て試料3に照射される。電子線ホログラフィーに代表される最も一般的な電子線干渉計は、中央極細線電極91と接地された一対の平行平板型接地電極99とで構成される電子線バイプリズム90を、光軸2上でかつ対物レンズ系5と試料3の像面71との間に配置している。11は対物レンズ系5により結像された光源の像(クロスオーバー)を示している。
なお、電子光学系では電子レンズは通常、磁界形の電磁レンズが用いられるため、電子線の経路には光軸2に平行な軸を回転中心とした回転が含まれるが、図7では電磁レンズによる電子線の回転を無視し、電子光学系として同一の平面を記載している。以降の光学系を示す図においても同様である。
図6に示すように、電界型電子線バイプリズム90は、中央部にある中央極細線電極91と、その電極を挟む形で平行に保持され接地された一対の平行平板型接地電極99とで構成される。中央極細線電極91に正または負の電圧を印加することによって、透過する電子を偏向することが出来る。図6では、中央極細線電極91に正電位を印加した場合を示しており、中央極細線電極91の近傍を通過する電子線は、この中央極細線電位により互いに向き合う方向に偏向される(電子線の軌道27参照)。図6中の電子軌道27に垂直に平面22が描かれているが、これは電子線を波として表現するときの等位相面であり、通常は電子軌道と垂直を成す面で一般的には波面と呼ばれる。
中央極細線電極91から離れるほど電子線に作用する電位は小さくなるが作用している空間範囲が長くなるため、結果的に電子線の偏向角度は入射位置に依らず中央極細線電極91への印加電圧に比例する。すなわち、平面波は平面波のまま伝播方向のみが偏向されて、電子線バイプリズム90を射出することになる。これは光学でちょうど2つのプリズムを合わせた複プリズムの効果に対応することから、電子線バイプリズム90と呼ばれている。
電子線バイプリズム90は、1つの電子線の波面22を二波に分離するとともに互いに向き合う方向に偏向させる機能があり、これによって電子線バイプリズム90を通過し二波に分離された電子線は、電子線バイプリズム90の後方で重畳され、図6において実線で描く干渉縞8を生じさせる。このような電子光学系を総称して、電子線干渉光学系と呼ぶ。また、ここで観察される干渉縞8の間隔は中央極細線電極91に印加される電圧に逆比例し、高い空間分解能を得るには高い電圧印加によって細かい間隔の干渉縞8を用いる必要があるが、一方で干渉縞8の間隔を細かくした場合には電子線の可干渉性の制約が顕著になり、干渉縞8がぼやけるため、適当な縞間隔を用いることが必要とされる。この縞間隔を、搬送空間周波数と呼ぶ。
なお、干渉像から電子波の位相情報を再生させる電子線ホログラフィーの詳細については、例えば非特許文献1に開示されている。
中央極細線電極91に正の電圧を印加することによって、試料3を透過した電子線(物体波21:図7では中央極細線電極91の左側を通過する電子線でハッチングを付けて示した。)と試料3の無い側を透過した電子線(参照波23:図7では中央極細線電極91の右側を通過する電子線)を重畳させて干渉顕微鏡像(31と8:試料像31に干渉縞8の重畳された画像)を得ている。すなわち、試料3が物体波21の波面に与える位相変化が、重畳された干渉縞8の変調として記録される。この干渉縞8をフィルムや、2次元CCDカメラなどの検出器などを用いて記録し、後に述べるフーリエ変換法や、縞走査法によって物体を透過した電子線の位相情報を抽出する。
試料3と中央極細線電極91の位置あわせには、試料3の微動機構だけでなく、電子線バイプリズム90の移動機構、回転機構によってなされる。それによって図7に示したように、物体波21と参照波23とを光軸2の左右に分割することが可能となる。この操作は電子線干渉には一般的なオペレーション作業のひとつであり、本発明においても実施されることを前提としている。
1段電子線バイプリズム干渉計では、干渉顕微鏡像中の左右に中央極細線電極91の端で発生した回折波によるフレネル縞が含まれている。これは一般にコントラストが強く、縞間隔は広いものから狭いものまで幅広い空間周波数帯域に分布するため、干渉顕微鏡像にとっては最も問題となるアーティファクトの源である。そのため、干渉像の位相情報を抽出する画像処理時に除去する、もしくは電子光学系に工夫を施し、フレネル縞を発生させないことが望ましい。この工夫の一例としては、電子線バイプリズム90を上下2段に用いる、2段電子線バイプリズム干渉光学系があるが、装置の基本設計にかかわるため設計当初から組み込むことが必要であり、広く普及するには至っていない。なお、干渉縞8の間隔と干渉領域幅とをほぼ任意に制御可能な2段電子線バイプリズム干渉光学系については、特許文献1や非特許文献2に詳細に開示されている。
(位相情報の抽出:フーリエ変換法)
次に、干渉顕微鏡像に記録された位相情報を抽出する方法について説明する。位相情報の抽出方法は、ホログラフィーの像再生法としてレーザー光が用いられていたが、近年のコンピュータ技術の発達に伴って、計算機を用いた画像処理の一環として行われるようになった。中でも、レーザー光学系による再生方法をそのまま計算機上に移し変えたフーリエ変換法が主流を占めている。
図8にこの再生手順を示す。図8は、フーリエ変換法による位相再生法の各手順(a)〜(f)における像を示す模式図である。
図8(a)は干渉顕微鏡像、(b)は(a)のフーリエ変換像である。図8(a)で、像の中心部にある白い分布が試料像のパワースペクトル75であり、縞と直交する方向(左右)にある2つのサイドバンド76が、位相情報を含んでいる再生波(1次回折波)とその共役波(−1次回折波)である。この2つのサイドバンド76のいずれか一方を選択し、画像の中心部に移動させた像が図8(c)である。図8(c)をフーリエ逆変換し、計算結果の実部と虚部より、それぞれ振幅分布像(図8(d))と位相分布像(図8(e))を得ることができる。
位相分布像を干渉顕微鏡像として明示する場合には、改めて参照波23を与えて干渉像とし、例えば、図8(f)のように位相分布を別方向の等位相線で表示する場合もある。いずれにしても、フーリエ変換法では、フーリエ変換像(図8(b))で試料像のパワースペクトル75とサイドバンド76の分離を行う必要があり、干渉縞8の間隔が再生像(振幅分布、位相分布とも)の空間分解能を決定する(非特許文献5)。また、再生が複数回のフーリエ変換を用いており、実時間観察などの障害となっている。
(縞走査法)
電子線による干渉顕微鏡像は、像と干渉縞8から構成されているため縞解析の手法が利用可能であり、原理的にフーリエ変換法とは異なる位相情報抽出法(縞走査法、モアレ法など)が可能である。とりわけ、物体波21と参照波23の相対位相差を利用して干渉縞8の位相をコントロールする縞走査法は、再生像の空間分解能が干渉縞間隔に依存しない点で高分解能化が可能な方法である。縞走査法については、例えば、特許文献2、特許文献3、非特許文献3、非特許文献4に詳細に記載されている。
縞走査法の原理は、物体波21と参照波23の相対位相差を(2π)/MずつずらしながらM枚の干渉顕微鏡像を記録し、その複数の画像のm番目の強度分布をI(x,y;m)とするとき、下記式(1)及び式(2)に基づき物体波21の位相分布Φ(x,y)、振幅分布A(x,y)を得るものである。
相対位相差の変調に付随するコントラストの変調(正弦曲線)を決定しなければならない関係から、画像数Mは3以上という制限がある。
電子線干渉顕微鏡像のように画像中に基本干渉縞が存在する場合には、式(1)は少し変更され、下記式(3)のごとくとなる。
ここで、Rxは基本干渉縞の空間周波数(搬送空間周波数)で、干渉縞8はx軸方向に配列していると仮定した表記である。基本干渉縞8は両電子波の相対角度に起因したもので、位相分布としてはx軸方向に直線的な傾斜を表わしており、補正することは容易である。
次に、縞走査法の手順を図9に示す。
図9(a)は1枚目の干渉顕微鏡像、(b)は(a)の干渉像から物体波21と参照波23の相対位相差を2π/3だけずらした2枚目の干渉顕微鏡像、(c)は(b)の干渉像よりもさらに相対位相差を2π/3((a)からは4π/3)だけずらした3枚目の干渉顕微鏡像である。これら3枚の干渉顕微鏡像について、それぞれ式(3)及び(2)に基づく画像処理を施すことによって、振幅分布像A(x,y)と位相分布像Φ(x,y)を得ることができる。使用する干渉顕微鏡像の枚数は、この図9の例のように3枚の場合が最少枚数で、3枚以上であれば枚数には依存しない。図9(a)での干渉縞8と干渉縞8の間を埋める干渉縞8を持つ干渉顕微鏡像(図9(b)及び(c))を利用することから、この方法による空間分解能は干渉縞間隔には依存せず、高分解能化が可能である。
図9は、縞走査法により取得する1枚目〜3枚目の干渉顕微鏡像の縞の位置関係を示す模式図である。
図9に示した縞走査法は、干渉像作成過程において物体波21と参照波23の相対位相差を制御しなければならず、その上で干渉顕微鏡像の観察・記録を行い、そのときの相対位相差を既知とした上で位相情報を抽出することから、干渉顕微方法としてはフーリエ変換法よりも高度な作業が必要とされる。そのため、一般的に普及するには至っていない。とりわけ、電子光学系においては、物体波21と参照波23の相対位相差を高精度に制御する方法が実用化されておらず、電子線バイプリズム90を光軸2及び中央極細線電極91の双方に垂直な方向(図7では紙面の左右方向)に移動させる方法(これを従来法1と呼ぶ。特許文献3参照)、電子線の試料3への入射角度を電子線バイプリズム90が電子線に与える偏向と電子光学的に同じ平面内で変化させる方法(これを従来法2と呼ぶ。非特許文献3参照)などが試行されている程度である。
電子線干渉計において縞走査法を実現しようとする場合、物体波21と参照波23の相対位相差のみに変調を加える方法が必要となる。しかし、前述のとおり試行されている方法はあるものの、高精度に実用化に至っている手法はない。
(従来法1)
電子線バイプリズム90を光軸2及び中央極細線電極91の双方に垂直な方向に移動させる。この方法では、電子線バイプリズム90に試料微動機構と同程度の微動精度が要求されるが、一般の電子線バイプリズム装置はその要求レベルを満足していない。
(従来法2)
電子線の試料3への入射角度を電子線バイプリズム90が電子線に与える偏向と電子光学的に同じ平面内で変化させる。この方法では、電子線が光軸2からずらされることを前提としており、高分解能像観察などにおいては取得する像ごとに像に含まれる収差の影響が異なる。そのため、要求される分解能や干渉顕微鏡像の観察目的によっては方法そのものが不適当となる。また、実験条件(高分解能観察やローレンツ像観察)によって、フォーカス外れ量の操作が必要となる。実験条件に応じてフォーカス外れ量を用いる際に、試料3への入射電子線が傾斜している場合には投影像の位置の変化を伴うため、干渉像取得後に試料3の位置を合わせる画像処理が必要となり、実時間性に欠ける。
更に、上記従来法(1)、(2)を図7に示した従来型の電子線干渉計で実行した場合には、干渉像に重畳されたフレネル縞も同時に変化してしまうため、その変化分が新たなアーティファクトとして再生像に含まれ、縞走査法の原理から期待されるほどの精度が得られないという欠点を持っている。
特開2005−197165号公報 国際公開WO 01/75394 A1 特開平11−15359号公報
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以上のことから、電子線干渉計において縞走査法を実施するのに有効な物体波21と参照波23の相対位相差を制御する方法・手段、そのための装置は未だ実現されていないのが実情であった。
本発明は上記課題に鑑み、実時間に近い物体波の位相抽出が可能であり、再生像の空間分解能が干渉縞間隔に依存せず高分解能化が可能で、高精度な位相抽出が可能な電子線干渉装置としての電子顕微鏡を提供することを第1の目的とし、電子線干渉方法を提供することを第2の目的としている。
上記第1の目的を達成するために、本発明の透過型電子顕微鏡は、電子線バイプリズムと、試料を光軸と垂直な面内において少なくとも1方向に微動可能な試料保持装置と、試料の像及び電子線バイプリズムにより形成される電子線干渉縞が観察される顕微鏡像観察記録面において列状に配設された複数の電子検出素子から構成される電子線検出器と、を備えた透過型電子顕微鏡であって、電子検出素子の信号強度を素子の配列方向が定める軸に沿って出力し、微動可能な試料保持装置により所定の距離だけ試料を微動させることによって変化する電子検出素子からの信号強度を素子の配列方向が定める軸に垂直方向に前記試料の微動に伴って順次出力することにより、2次元の信号強度分布として顕微鏡像を得ることを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、電子線検出器から得られた顕微鏡像を画像処理するための演算装置を備えるとともに、画像処理結果を表示するための表示装置を備える。
好ましくは、電子線バイプリズムにより試料の像に重畳して電子線干渉縞が形成されることにより、顕微鏡像として干渉顕微鏡像が得られる。
好ましくは、演算装置を用いることにより、干渉顕微鏡像から電子線の位相分布像を計算し、表示装置により表示する。
試料保持装置による試料の微動方向は、好ましくは、顕微鏡像観察記録面における試料の像の移動方向として電子検出素子列と垂直方向である。
顕微鏡像観察記録面に形成される電子線干渉縞が、好ましくは、電子検出素子器を構成する素子列と平行方向である。
好ましくは、像観察記録面上において電子検出素子の配列によって構成される列が互いに平行となる少なくとも3個の電子線検出器を備えることにより、それぞれの電子線検出器から個別に干渉顕微鏡像を得ることができる。
好ましくは、演算装置を用いることにより、それぞれの電子線検出器から個別に得られた複数の干渉顕微鏡像から、電子線の位相分布像を計算し、表示装置により表示する。
上記第2の目的を達成するために、本発明の電子線干渉法は、電子線バイプリズムと、試料を光軸と垂直な面内において少なくとも1方向に微動可能な試料保持装置と、試料の像及び電子線バイプリズムにより形成される電子線干渉縞が観察される顕微鏡像観察記録面において列状に配された複数の電子検出素子から構成される電子線検出器とを備えた透過型電子顕微鏡を用いた電子線干渉方法であって、試料の像と電子線干渉縞とを、重畳して像観察記録面に形成し、電子検出素子の信号強度を素子の配列方向が定める軸に沿って出力し、微動可能な試料保持装置により所定の距離だけ試料を微動させることによって変化する電子検出素子からの信号強度を、素子の配列方向が定める軸に垂直方向に試料の微動に伴って順次出力することにより、2次元の信号強度分布を取得して干渉顕微鏡像を得ることを特徴とする。
上記構成において、好ましくは、干渉顕微鏡像を演算処理することにより電子線の位相分布像を得る。
好ましくは、像観察記録面上において電子検出素子の配列によって構成される列が互いに平行となる少なくとも3個の電子線検出器を備え、それぞれの電子線検出器からそれぞれ個別に干渉顕微鏡像を得る。
好ましくは、それぞれの電子線検出器を用いて個別に得られた複数の干渉顕微鏡像の演算処理により、料を透過した電子線の位相分布像を得る。
本発明の透過型電子顕微鏡によれば、従来の電子線バイプリズム干渉計におけるバイプリズムに加えて、試料微動機構を備えた試料保持装置によって、所定の距離ずつ試料を微動しつつ、列状の検出器で干渉縞の強度変化を観察することで、搬送空間周波数による分解能の制限なく、また、得られたデータを並び替えるだけで干渉顕微鏡像を得ることが可能となる。
本発明の電子線干渉法によれば、干渉縞を取得する際に、試料位置を高精度に微動させつつ、線上の一次元検出器又は2次元の検出器によって干渉縞の特定の場所での強度を取得するので、物体波と参照波の相対位相差を高精度に検出することができる。
本発明の透過型電子顕微鏡の構成例を模式的に示す図である。 本発明の干渉縞計測法により得られる干渉縞と位相像の模式図である。 本発明の干渉縞計測法に用いられる画像記録装置の模式図である。 本発明の第1の実施例で行った実験の一連の結果を示す図である。 本発明の第2の実施例で行った実験の一連の結果を示す図である。 一般的な電界型電子線バイプリズムと波面の関係を示す模式図である。 従来の電子線バイプリズム干渉計の光学系の例を示す模式図である。 フーリエ変換法による位相再生法の各手順(a)〜(f)における像を示す模式図である。 縞走査法により取得する1枚目〜3枚目の干渉顕微鏡像の縞の位置関係を示す模式図である。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
(透過型電子顕微鏡)
図1は、本発明の透過型電子顕微鏡40の構成例を模式的に示す図である。
図1に示すように、透過型電子顕微鏡40は、電子源1と、照射光学系4と、対物レンズ系5と、結像レンズ系7と、電子線バイプリズム90と、試料3を光軸2と垂直な面内において少なくとも1方向に微動可能な試料保持装置13と、電子検出素子36(図3参照)等と、画像記録装置9と、試料微動制御装置10、演算処理装置12等を含んで構成されている。透過型電子顕微鏡40は、本発明の電子線干渉法に用いる場合を想定した装置であるが、本発明は図1の記載の形態に限るものではない。
電子源1となる電子銃は、電子線の流れる方向の最上流部に位置し、電子線は照射光学系4を経て、微動機能を備えた試料保持装置13に載置された試料3に照射される。試料3を透過した電子線は、対物レンズ系5にて結像される。この結像作用は、対物レンズ系5よりも電子線の進行方向下流側の複数のレンズからなる結像レンズ系7に引き継がれ、最終的に電子線装置の観察記録面89に結像される。その像はCCDカメラなどの画像記録装置9に記録される。結像レンズ系7により結像された試料3の像は符号32で示している。
電子検出素子36(図3参照)は、試料3の像及び電子線バイプリズム90により形成される電子線干渉縞が観察される顕微鏡像観察記録面89において列状に配設されている。必要に応じて、電子検出素子36は、複数配設してもよい。
照射光学系4、対物レンズ系5、結像レンズ系7について系という表現を用いたが、これらの光学系は、それぞれが複数のレンズから構成される場合のみならず、十分な光学性能が得られる場合には単独のレンズで構成しても何ら問題は無い。
ここで、本発明においては、透過型電子顕微鏡40の光軸2の一例は、照射光学系4の光軸、対物レンズ系5の光軸、結像レンズ系7などの電子光学系の光軸を一つに合わせた軸でも良い。
電子線バイプリズム90は対物レンズ系5の下流側に位置している。
以下、本発明を実施するための具体的な構成及び方法を説明する。ここでは説明の都合上、電子線バイプリズム90は電界型のものを想定して議論を進めるが、これは本発明の本質とは関係なく、磁界型のものであっても何ら問題はない。また、電子線バイプリズム90は一段のプリズムを想定して議論を進めるが、この点も本発明の本質とは関係なく、2段以上であっても何ら問題ない。
次に、本発明の干渉縞計測法により、試料3を透過した物体波21の参照波23に対する相対位相差を検出する原理について具体的に説明する。
図1において試料3は、制御装置10により制御しつつ、微動可能な試料保持装置13によって保持されている。本発明において試料3の微動は圧電素子(ピエゾ素子)による微動機構を備えた試料保持装置を用いたが、試料位置を制御しつつ微動可能な装置であれば、その微動の実現方法は問わない。
電子銃1から出た電子線は、1枚以上の電界または磁界レンズからなる照射光学系4によって電子線の明るさと平行度を調整されたのち試料3を含む領域に照射され、一枚以上の対物レンズ系5によって拡大され、前記電子線の進行方向の下流側に配置された一つ以上の電子線バイプリズム90によって干渉縞8(図2参照)を作成する。この際、1枚以上の電界または磁界レンズからなる結像レンズ系7によって前記干渉縞8を適宜拡大し観察記録面89に投影する。得られた干渉縞8を列状に配された複数の電子検出素子36からなる1次元の電子線検出器37、又はそれを複数列配置した2次元の電子線検出器38を用いた画像記録装置9によって記録する。
本発明の実施例で後述する具体例においては、電子線の検出装置としては、2次元の画像データを取得可能なCCDカメラを用いたが、これに関しても本発明に必須の要件ではなく、列状に配置された検出器であれば問題ない。
前記画像記録装置9からの信号を、試料3の微動に伴って順次出力することにより2次元の信号強度分布として顕微鏡像を得る。試料3の微動方向は、縞の方向に垂直な方向としたが、任意の方向であっても、微動の縞に平行な成分に対して試料3の像の位置合わせを行い、微動の縞に垂直な成分を実効的な微動量とすることによって同様に行うことができる。
前記画像記録装置9からそれぞれ個別に得られた前記干渉顕微鏡像は、演算処理装置12によって画像処理され、測定試料3を透過した電子線の位相分布像として表示装置14により表示される。
図2は、本発明の干渉縞計測法により得られる干渉縞8と位相像の模式図である。
図2(a)から(d)は、試料3を微動した時に図1で得られる干渉縞8を模式的に表している。また、この模式図では、試料3は干渉縞8の方向に垂直に(紙面横方向)に微動するとし、それによって作られる干渉縞8を黒い線で表している。実際には黒い線で表した暗部と、黒い線の間で表した明部の強度は黒白の2値ではなく連続的に変化している。また、ここでは検出器は線上の強度を検出するものとする。
試料3を透過した電子線の位相は、試料3の電位や磁場によって変化するため、干渉縞8の位置も変化する。本発明に特徴的な試料3の微動という操作により、干渉縞8中の試料位置が変化するため、縞のずれる位置も試料3の微動に合わせて変位していく。得られた干渉縞8の任意の列34上の強度を1次元の検出器で検出すると、試料3の移動に合わせて対応する位置で縞のずれが起こるため、検出される強度が変化する。それら1次元の強度を試料位置に対応した位置に並べることによって、搬送空間周波数の縞を含まない試料3による電子線位相の変化を、等位相線で表した干渉顕微鏡像として得ることが出来る。さらにこの際、前記干渉縞8上の異なる合計3列以上の列状(図2の35)の強度を用いることで、縞走査法による位相再生を行うことが出来る。
以下の数式によってこれを示す。試料3に平面波が入射する場合、試料3を透過した電子線(以下、物体波21)と、試料3以外の領域を透過した波(以下、参照波23)は、それぞれ、下記式(4)、式(5)のように表される。
ここで、x軸を縞に垂直な方向、y軸を縞に平行な方向とし、φ0及びηは、物体波21の振幅と位相を、mは搬送空間周波数の逆数で、干渉縞8の間隔を表す。図1に示す干渉縞8で得られる干渉像は、式(4)と式(5)の和の二乗で表されるため、下記式(6)のようになる。
物体をxの負の方向に、所定の試料変位量()だけ微動していくと、n回微動した時の物体波21は、下記式(7)で表される。
一方で、参照波23は試料微動の影響を受けないため、n回微動した時の強度は下記式(8)のように表される。
この図2の干渉縞8の強度分布を、任意のx=x1の位置に配置した線上の検出器で検出する場合、得られる強度は式(8)のxにx1を代入した、下記式(9)で表される。
この強度分布は、微動位置nと、縞に平行な方向yの関数とみなすことが出来る。また、試料3による物体波21の振幅変化が無視できる場合、式(9)は物体の位相の余弦関数を取ったものになっており、物体波21の等位相面を等高線で表した干渉顕微鏡像となっている。つまり、得られた試料微動位置毎の列状の強度データを並べるだけで干渉顕微鏡像が得られており、フーリエ変換法のような複雑な処理が必要なく、実時間に近い高速での処理が可能となる。
等位相線としての干渉顕微鏡像でなく、位相、位相分布が必要な場合、下記式(10)のように逆関数をとることによって位相分布を得ることができる。
この処理も逆関数を取るだけであるため高速におこなうことが出来、高い実時間性をもっている。物体による振幅変化が無視できない場合においても、縞走査法と同様の処理によって位相と振幅を得ることができる。また、本発明では得られる位置分解能は試料微動の幅で決まるため、干渉縞8のコントラストの高い幅の広い干渉縞8を用いても高分解能を得ることが出来る。さらに、画像観察面上のある線上の強度を取得しているため、フレネル縞による影響なく位相像を得ることが可能である。
物体波21の振幅変化が大きい場合、縞走査法と同様の位相回復法を用いて位相像、振幅像を得ることも可能である。この場合、観察記録面89上の3列以上の複数の列に対して各々の試料微動位置で強度を取得する。得られた干渉像はそれぞれ異なる試料位置での像となっているため、適宜試料3の位置が同じになるように位置合わせを行うことで、以後、縞走査法と同様の演算によって位相像、振幅像を得ることが出来る。
図3は、本発明の干渉縞計測法に用いられる画像記録装置9の模式図である。
通常画像記録装置として用いられているCCDなどの2次元電子線検出器38は、電子検出素子36が2次元状に配置されたものである。
本発明では、図1で得られる干渉縞8と平行な方向に1次元に並んだ1列または複数列の1次元電子線検出器37を画像記録装置9として用いる。もちろん、前記2次元電子線検出器38の電子検出素子36の信号から対応する列の信号を用いることで、画像記録装置9として用いることが出来る。縞走査法による位相再生を行う際は、複数列の前記1次元電子線検出器37を用いるか、前記2次元電子線検出器38のうちの対応する複数列の電子検出素子36の信号を用いることが出来る。
(実施例1)
図4は、本発明の第1の実施例で行った実験の一連の結果を示す図である。
図4(a)に本発明の第1の実施例で観察対象とした試料3の電子顕微鏡像を示す。試料3は金属マグネシウムを大気中で燃焼させたときに出来る酸化マグネシウムの微結晶で、立方体の形状をしており、一辺の長さは12nmである。この試料3をピエゾ素子によって、電子線バイプリズム90によって得られる干渉縞8に垂直な方向に向かって微動しつつ、強度を取得する。
図4(b)は、微動中のある試料位置での干渉縞8の像である。2次元のCCDカメラを用いたため、複数の縞が記録されている。搬送干渉縞幅は1.17nm、検出器ピクセルサイズ(試料面換算)0.0585nmであった。また、42で示した位置には、試料3による位相変化のために干渉縞8がずれている様子が観察されている。
本発明では、試料3を縞に垂直な方向に微動し、検出器で列状のデータを取得することを繰り返し行う。たとえば、43で示した位置の縞に平行な列状のデータを、試料微動の位置毎に並べ直し、干渉顕微鏡像を得たものが、図4(c)である。試料微動ステップは試料面換算での検出器ピクセルサイズと同じ0.0585nmで取得した。44の位置に試料3の酸化マグネシウム微結晶による位相変化が得られている。
図4(d)は、(c)の逆余弦(arccos、アークコサイン)を取ることによって位相像を得たものである。得られた位相像、図4(d)中の、試料3のある位置45及び、真空領域46で、縞に平行な方向に位相像の強度プロファイルを取ると、それぞれ、図4(f)の47、48のようになる。強度プロファイル47、48共に右肩下がりになっているが、これは、データ取得中の電子線バイプリズム90のドリフトその他によるものであり、これらプロファイルの差49が、正味の酸化マグネシウム微結晶による位相変化を表している。
図4(e)は、本手法によって得られた同じデータを搬送干渉縞1周期分の画像データに対して縞走査法による再生を行って得られた位相像であり、図4(g)はその位相プロファイルを示している。ここで、50が粒子位置、51が真空位置、52が、粒子位置と真空位置の位相変化の差で粒子による正味の位相変化を表している。検出された酸化マグネシウム微結晶による位相変化は1.1radであった。
本実施例では、試料位置の微動は圧電素子への電圧を変えることによって干渉顕微鏡像を取得し得られた列状の強度を並び変えるという簡単な処理で位相像を得ることが出来、図8の例のような干渉顕微鏡像のフーリエ変換方式に比べて、干渉縞8の間隔に制限されず高分解能化が可能となる。また、従来の縞走査法の課題であった、高精度な操作の必要性や対物レンズ系5による収差の影響の発生という問題も無い。更に、1段バイプリズム干渉計での干渉像に重畳されたフレネル縞も同時に変化してしまうという問題も無いため、高精度な再生像を得ることが可能となる。
(実施例2)
本実施例では、従来の縞走査法の課題である得られる位相像の空間分解能が搬送空間周波数に依存するという問題点を解決し、搬送空間周波数に依存しない高精度な再生像を得ることが可能となることを示す。
図5は、本発明の第2の実施例で行った実験の一連の結果を示す図である。
図5(a)に本発明の第2の実施例で観察対象とした試料3の電子顕微鏡像を示す。試料3は実施例1で用いたのと同じ、金属マグネシウムを大気中で燃焼させたときに出来る酸化マグネシウムの微結晶で、立方体の形状をしており、一辺の長さは12nmである。図5(b)は、あるスキャン位置での干渉縞8の像である。2次元のCCDカメラを用いたため、複数の縞が記録されている。搬送干渉縞幅は1.75nm、検出器ピクセルサイズ(試料面換算)は0.0591nmであった。また、42として示した位置には、試料3による位相変化のために縞がずれている様子が観察されている。
本発明では、この画像データ中の列状データを使用する。たとえば、43で示した縞に平行な列状のデータを、試料微動の位置毎に並べ直し干渉顕微鏡像を得たものが、図5(c)である。試料微動ステップは0.00591nmで取得した。44の位置に試料3の酸化マグネシウム微結晶による位相変化が得られている。
図5(c)に対して、逆余弦(アークコサイン)演算によって位相像を得たものが、図5(d)である。得られた位相像、図5(d)中の、試料3のある位置45及び、真空領域46で、縞に平行な方向に位相像の強度プロファイルを取ると、それぞれ、図5(f)の47、48のようになる。強度プロファイル47、48共に右肩下がりになっている他、途中でやや折れ曲がっているが、これは、データ取得中の電子線バイプリズム90のドリフトその他によるものであり、これらプロファイルの差49が酸化マグネシウム微結晶による位相変化を表している。
図5(e)は本手法によって得られた同じデータに対して搬送干渉縞1周期分の画像データに対して縞走査法による再生を行って得られた位相像、図5(g)はそのプロファイルであり、50が粒子位置、51が真空位置、52が、粒子位置と真空位置の位相変化の差で、粒子による正味の位相変化を表している。検出されたMgO微結晶による位相変化は、1.1radであった。なお、実施する手順は、実施例1の場合と全く同様である。
1 :電子源もしくは電子銃
2 :光軸
3 :試料
4 :照射光学系
5 :対物レンズ系
7 :結像レンズ系
8 :干渉縞
9 :画像記録装置
10:試料微動制御装置
11:対物レンズ系により結像されたクロスオーバー
12:演算処理装置
13:微動可能な試料保持装置
14:表示装置
21:物体波
22:電子線の波面
23:参照波
27:電子線の軌道
31:対物レンズ系により結像された試料の像
32:結像レンズ系により結像された試料の像
34:再生に用いる列の位置
35:縞走査法による再生を行う際に再生に用いる列の位置
36:電子検出素子
37:1次元電子線検出器
38:2次元電子線検出器
40:透過型電子顕微鏡
41:酸化マグネシウム微結晶
42:酸化微結晶による干渉縞の変位
43:再生に用いた列の位置
44:再生された酸化微結晶による電子線の位相変化
45:粒子の強度ラインプロファイルの取得位置
46:真空の強度ラインプロファイルの取得位置
47:並び替えによって得られた位相像の粒子の強度ラインプロファイル
48:並び替えによって得られた位相像の真空の強度ラインプロファイル
49:並び替えによって得られた位相像の粒子の強度ラインプロファイルから真空の強度ラインプロファイルを引いた、粒子による位相変化を表すプロファイル
50:縞走査法によって得られた位相像の粒子の強度ラインプロファイル
51:縞走査法によって得られた位相像の真空の強度ラインプロファイル
52:縞走査法によって得られた位相像の粒子の強度ラインプロファイルから真空の強度ラインプロファイルを引いた、粒子による位相変化を表すプロファイル
71:対物レンズ系による試料の像面
75:パワースペクトル
76:サイドバンド
89:観察・記録面
90:電子線バイプリズム
91:電子線バイプリズム中央極細線電極
99:平行平板型接地電極

Claims (12)

  1. 電子線バイプリズムと、
    試料を光軸と垂直な面内において少なくとも1方向に微動可能な試料保持装置と、
    試料の像及び電子線バイプリズムにより形成される電子線干渉縞が観察される顕微鏡像観察記録面において列状に配設された複数の電子検出素子から構成される電子線検出器と、
    を備えた透過型電子顕微鏡であって、
    前記電子検出素子の信号強度を前記素子の配列方向が定める軸に沿って出力し、
    前記微動可能な試料保持装置により所定の距離だけ前記試料を微動させることによって変化する前記電子検出素子からの信号強度を、前記素子の配列方向が定める軸に垂直方向に前記試料の微動に伴って順次出力することにより、2次元の信号強度分布として顕微鏡像を得ることを特徴とする、透過型電子顕微鏡。
  2. 前記電子線検出器から得られた前記顕微鏡像を画像処理するための演算装置を備えるとともに、前記画像処理結果を表示するための表示装置を備えることを特徴とする、請求項1に記載の透過型電子顕微鏡。
  3. 前記電子線バイプリズムにより前記試料の像に重畳して前記電子線干渉縞が形成されこれにより、前記顕微鏡像として干渉顕微鏡像が得られることを特徴とする、請求項1又は2に記載の透過型電子顕微鏡。
  4. 前記演算装置を用いることにより、前記干渉顕微鏡像から前記電子線の位相分布像を計算し、前記表示装置により表示することを特徴とする、請求項3に記載の透過型電子顕微鏡。
  5. 前記試料保持装置による試料の微動方向が、前記顕微鏡像観察記録面における試料の像の移動方向として前記電子検出素子列と垂直方向であることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の透過型電子顕微鏡。
  6. 前記顕微鏡像観察記録面に形成される前記電子線干渉縞が、前記電子検出素子器を構成する素子列と平行方向であることを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の透過型電子顕微鏡。
  7. 前記像観察記録面上において前記電子検出素子の配列によって構成される列が互いに平行となる少なくとも3個の前記電子線検出器を備えることにより、前記それぞれの電子線検出器から個別に干渉顕微鏡像を得ることができることを特徴とする、請求項3から6の何れかに記載の透過型電子顕微鏡。
  8. 前記演算装置を用いることにより、前記それぞれの電子線検出器から個別に得られた複数の前記干渉顕微鏡像から、前記電子線の位相分布像を計算し、前記表示装置により表示することを特徴とする、請求項7に記載の透過型電子顕微鏡。
  9. 電子線バイプリズムと、
    試料を光軸と垂直な面内において少なくとも1方向に微動可能な試料保持装置と、
    試料の像及び電子線バイプリズムにより形成される電子線干渉縞が観察される顕微鏡像観察記録面において列状に配された複数の電子検出素子から構成される電子線検出器と、を備えた透過型電子顕微鏡を用いた電子線干渉方法であって、
    前記試料の像と前記電子線干渉縞とを、重畳して前記像観察記録面に形成し、
    前記電子検出素子の信号強度を前記素子の配列方向が定める軸に沿って出力し、
    前記微動可能な試料保持装置により所定の距離だけ前記試料を微動させることによって変化する前記電子検出素子からの信号強度を、前記素子の配列方向が定める軸に垂直方向に前記試料の微動に伴って順次出力することにより、2次元の信号強度分布を取得して干渉顕微鏡像を得ることを特徴とする、電子線干渉法。
  10. 前記干渉顕微鏡像の演算処理により前記電子線の位相分布像を得ることを特徴とする、請求項9に記載の電子線干渉法。
  11. 前記像観察記録面上において前記電子検出素子の配列によって構成される列が互いに平行となる少なくとも3個の前記電子線検出器を備え、前記それぞれの電子線検出器からそれぞれ個別に干渉顕微鏡像を得ることを特徴とする、請求項9又は10に記載の電子線干渉法。
  12. 前記それぞれの電子線検出器を用いて個別に得られた前記複数の干渉顕微鏡像の演算処理により、試料を透過した電子線の位相分布像を得ることを特徴とする、請求項11に記載の電子線干渉法。
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