JP5382695B2 - 電子線干渉装置、および電子線干渉顕微方法 - Google Patents

電子線干渉装置、および電子線干渉顕微方法 Download PDF

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本発明は、電子線バイプリズムを用いた電子線干渉装置および電子線干渉顕微方法に関する。
本発明の説明においては、電子線バイプリズムが用いられる。電子線バイプリズムは光学におけるフレネルの複プリズムと同じ作用をする電子光学系における装置で、電界型と磁界型の二種類がある。このうち、広く普及しているものは電界型電子線バイプリズムで、図11に示すような形状をしている。すなわち、電界型電子線バイプリズムは、中央部の極細線電極9と、その電極を挟む形で平行に保持され接地された一対の平行平板型接地電極99とで構成される。例えば、中央極細線電極9に正電圧を印加すると、図11中に示したごとく、中央極細線電極9の近傍を通過する電子線は、この中央極細線電極の電位により互いに向き合う方向に偏向される(電子線の軌道27参照)。図11中の電子軌道27に垂直に平面22が描かれているが、これは電子線を波として表現するときの等位相面であり、通常は電子軌道と垂直を成す面で一般的には波面と呼ばれる。
中央極細線電極9から離れるほど電子線に作用する電位は小さくなるが作用している空間範囲が長くなるため、結果的に電子線の偏向角度は入射位置に依らず極細線電極への印加電圧に比例する。すなわち、αを電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度とすると、中央極細線電極9への印加電圧Vfと偏向係数kを用いてα=kVfで表わされる簡単な関係を持つ。電子線の偏向角度αが入射位置に依らないことは電子光学装置としては重要な特徴で、平面波は平面波のまま伝播方向のみが偏向されて、電子線バイプリズムを射出することになる。これは光学ではちょうど2つのプリズムを合わせた複プリズムの効果に対応することから、電子線バイプリズムと呼ばれている。
電子線を偏向させるために電位を用いるものを電界型電子線バイプリズム、磁界と電子線とのローレンツ力を用いるものを磁界型電子線バイプリズムと呼ぶ。以下、電子線バイプリズムとして電界型電子線バイプリズムを用いて説明を行う。しかし、本発明は電子線バイプリズムとして電子線が干渉させられる装置であれば電界型、磁界型に依らず構成可能であり、以下の説明で用いる電界型電子線バイプリズムに限定するものではない。また、本発明において「電子線バイプリズム」と記載する場合には、中央極細線電極を含んで広義に電子線偏向装置としての電子線バイプリズム全体を意味し、電子光学系に置ける厳密な位置に言及する場合は原則として「電子線バイプリズムの中央極細線電極」と記載する。
電子線バイプリズムは、光学におけるハーフミラーの様なビームスプリッターが無い電子線においては、電子線干渉を作り出すのに必須の装置である。その理由は図11にも明らかな様に、1つの電子線の波面22を二波に分離するとともに互いに向き合う方向に偏向させる機能にある。この結果、電子線バイプリズムを通過し二波に分離された電子線は、電子線バイプリズムの後方で重畳され、干渉縞8を生じさせる。このような電子光学系を総称して、電子線干渉光学系と呼ぶ。
なお、干渉像から電子波の位相情報を再生させる電子線ホログラフィーの詳細については、例えば非特許文献1に開示されている。
<干渉顕微鏡像の作成>
従来の1段電子線バイプリズム干渉計の光学系の例を図12に示す。電子源もしくは電子銃1で発生された電子線は、光軸2上の照射光学系4を経て試料3に照射される。電子線ホログラフィーに代表される最も一般的な電子線干渉計は、中央極細線電極9と接地された一対の平行平板型接地電極99とで構成される1段の電子線バイプリズムを、光軸2上でかつ対物レンズ5と試料の像面71との間に配置している。11は対物レンズにより結像された光源の像を示している。
中央極細線電極9に正の電圧を印加することによって、試料3を透過した電子線(物体波21:図12では中央極細線電極9の左側を通過する電子線でハッチングを付けて示した)と試料の無い側を透過した電子線(参照波23:図12では中央極細線電極9の右側を通過する電子線)を重畳させて干渉顕微鏡像(31と8:試料像31に干渉縞8の重畳された画像)を得ている。すなわち、試料3が物体波21の波面に与える位相変化が、重畳された干渉縞の変調として記録される。試料3と中央極細線電極9の位置あわせには、試料の微動機構だけでなく、電子線バイプリズムの移動機構、回転機構も十分に活用する。それによって図12に示したごとく、物体波21と参照波23が光軸2の左右に分割することが可能となる。この操作は電子線干渉には一般的なオペレーション作業のひとつであり、本発明においても実施されることを前提としている。1段電子線バイプリズム干渉計では、干渉顕微鏡像中の左右に極細線電極9の端で発生した回折波によるフレネル縞が含まれている。これは一般にコントラストが強く、縞間隔は広いものから狭いものまで幅広い空間周波数帯域に分布するため、干渉顕微鏡像にとっては最も問題となるアーティファクトの源である。そのため、干渉像の位相情報を抽出する画像処理時に除去する、もしくは電子光学系に工夫を施し発生させないことが望ましい。
図13に、極細線電極の端からのフレネル縞が重畳されない干渉顕微鏡像の作成方法、電子線バイプリズムを上下2段に用いる2段電子線バイプリズム干渉光学系を示す。上段の電子線バイプリズムの極細線電極91を試料の像面71に配置し、下段の電子線バイプリズムの極細線電極93を第1結像レンズ61の下方でかつ上段の電子線バイプリズム極細線電極の陰の領域(濃いグレーで示した領域)に配置する。上下段の各電子線バイプリズム91、93はいずれも接地された一対の平行平板型接地電極99を有している。
伝播方向に対する偏向は電子線バイプリズムの特性上、光軸2に対して対称に成されるため、上段の電子線バイプリズム91の下側の第1結像レンズ61による物体波21と参照波23のクロスオーバー(光源の像)121は、光軸2から同一距離だけ離軸して結像される。122は第1結像レンズ61下側のクロスオーバーの分離された虚像を示している。
上段の電子線バイプリズム極細線電極91の端から発生したフレネル縞は像面72すなわち観察・記録面では収束し、下段の電子線バイプリズム極細線電極93は、上段の電子線バイプリズム極細線電極91の陰の領域に配置されているので、フレネル縞はそもそも発生しない。さらに、この2段電子線バイプリズム干渉計では、各々のバイプリズムにより、物体波21と参照波23の重畳する空間の大きさと二波の相対的な伝播角度を制御することが可能であり、干渉顕微鏡像32にとって重要なパラメータの干渉縞間隔と干渉領域幅とをほぼ任意に制御可能となる。
なお、干渉縞間隔と干渉領域幅とをほぼ任意に制御可能な2段電子線バイプリズム干渉光学系については、特許文献1や非特許文献2に詳細に開示されている。
<位相情報の抽出:フーリエ変換法>
次に、干渉顕微鏡像に記録された位相情報を抽出する方法について説明する。位相情報の抽出方法は、ホログラフィーの像再生法としてレーザー光が用いられていたが、近年のコンピュータ技術の発達に伴って、計算機を用いた画像処理の一環として行われるようになった。中でも、レーザー光学系による再生方法をそのまま計算機上に移し変えたフーリエ変換法が主流を占めている。
図14にこの再生手順を示す。図14の(A)は干渉顕微鏡像、(B)は(A)のフーリエ変換像である。図14の(B)で、像の中心部にある白い分布が試料像のパワースペクトル35であり、縞と直交する方向(左右)にある2つのサイドバンド36が、位相情報を含んでいる再生波(1次回折波)とその共役波(−1次回折波)である。この2つのサイドバンド36のいずれか一方を選択し、画像の中心部に移動させた像が図14の(C)である。図14の(C)をフーリエ逆変換し、計算結果の実部と虚部より、それぞれ振幅分布像(図14の(D))と位相分布像(図14の(E))を得ることができる。位相分布像を干渉顕微鏡像として明示する場合には、改めて参照波を与えて干渉像とし、例えば、図14の(F)の様に位相分布を別方向の等位相線で表示する場合もある。いずれにしてもフーリエ変換法では、フーリエ変換像(図14の(B))で試料像のパワースペクトル35とサイドバンド36の分離を行う必要があり、干渉縞の間隔が再生像(振幅分布、位相分布とも)の空間分解能を決定する。
<縞走査法>
電子線による干渉顕微鏡像は、像と干渉縞から構成されているため縞解析の手法が利用可能であり、原理的にフーリエ変換法とは異なる位相情報抽出法(縞走査法、モアレ法など)が可能である。とりわけ、物体波と参照波の相対位相差を利用して干渉縞の位相をコントロールする縞走査法は、再生像の空間分解能が干渉縞間隔に依存しない点で高分解能化が可能な方法である。縞走査法については、例えば、特許文献2、特許文献3、非特許文献3、非特許文献4に詳細に記載されている。
縞走査法の原理は、物体波と参照波の相対位相差を(2π)/MずつずらしながらM枚の干渉顕微鏡像を記録し、その複数の画像のm番目の強度分布をI(x,y;m)とするとき、式(1)および式(2)に基づき物体波の位相分布Φ(x,y)、振幅分布A(x,y)を得るものである。
Figure 0005382695
Figure 0005382695
相対位相差の変調に付随するコントラストの変調(正弦曲線)を決定しなければならない関係から、画像数Mは3以上という制限がある。
電子線干渉顕微鏡像の様に画像中に基本干渉縞が存在する場合には、式(1)は少し変更され、式(3)のごとくとなる。
Figure 0005382695
ここで、Rxは基本干渉縞の空間周波数(搬送空間周波数)で、干渉縞はx軸方向に配列していると仮定した表記である。基本干渉縞は両電子波の相対角度に起因したもので、位相分布としてはx軸方向に直線的な傾斜を表わしており、補正することは容易である。
次に、縞走査法の手順を図15に示す。図15の(A)は1枚目の干渉顕微鏡像、(B)は(A)の干渉像から物体波と参照波の相対位相差を2π/3だけずらした2枚目の干渉顕微鏡像、(C)は(B)の干渉像よりもさらに相対位相差を2π/3((A)からは4π/3)だけずらした3枚目の干渉顕微鏡像である。これら3枚の干渉顕微鏡像について、それぞれ式(3)および(2)に基づく画像処理を施すことによって振幅分布像A(x,y)と位相分布像Φ(x,y)を得ることができる。使用する干渉顕微鏡像の枚数は、この図15の例の様に3枚の場合が最少枚数で、3枚以上であれば枚数には依存しない。図15の(A)での干渉縞と干渉縞の間を埋める干渉縞を持つ干渉顕微鏡像(図15の(B)および(C))を利用することから、この方法による空間分解能は干渉縞間隔には依存せず、高分解能化が可能である。
特開2005−197165号公報 国際公開WO 01/75394 A1 特開平11−15359号公報
A. Tonomura: Electron Holography, 2nd ed. (Springer, Heidelberg. Germany, 1999), Chapter 5. Ken Harada, Akira Tonomura, Yoshihiko Togawa, Tetsuya Akashi and Tsuyoshi Matsuda: Applied Physics Letters, "Double-biprism electron interferometry", Vol. 84, (2004), PP 3229-3231 Q. Ru, J. Endo, T. Tanji and A. Tonomura: Applied Physics Letters, "Phase-shifting electron holography by beam tilting", Vol. 59, (1991), PP 2372-2374. Ken Harada, Keiko Ogai and Ryuichi Shimizu: Journal of Electron Microscopy, "The Fringe Scanning Method as Numerical Reconstruction for Electron Holography", Vol. 39, (1990), PP 470-476.
図15に示した従来の縞走査法は、干渉像作成過程において物体波と参照波の相対位相差を制御しなければならず、その上で干渉顕微鏡像の観察・記録を行い、そのときの相対位相差を既知とした上で位相情報を抽出することから、干渉顕微方法としてはフーリエ変換法よりも高度な作業が必要とされる。そのため、一般的に普及するには至っていない。とりわけ、電子光学系においては、物体波と参照波の相対位相差を高精度に制御する方法が実用化されておらず、試料の位置を移動させて記録後の画像処理によりその位置の移動を補正する方法、電子線バイプリズムを光軸および極細線電極の双方に垂直な方向(図13では紙面の左右方向)に移動させる方法、電子線の試料への入射角度を電子線バイプリズムが電子線に与える偏向と電子光学的に同じ平面内で変化させる方法などが試行されている程度である。
電子線干渉計において縞走査法を実現しようとする場合、物体波と参照波の相対位相差のみに変調を加える方法が必要となる。しかし、前述のとおり試行されている方法は2,3あるものの、高精度に実用化に至っている手法はない。
すなわち、従来の縞走査法には例えば、下記のようなものがあり、夫々問題点があった。
従来法1:試料の位置を移動させて記録後の画像処理によりその位置の移動を補正する。この方法は、電子顕微鏡の試料微動機構を利用でき、試料ドリフトを制御できれば(実際には難しい)精度はナノメートル以下が期待できるが、干渉像取得後に試料の位置を合わせる画像処理が必要となり実時間性に欠ける。
従来法2:電子線バイプリズムを光軸および極細線電極の双方に垂直な方向に移動させる。この方法では、電子線バイプリズムに試料微動機構と同程度の微動精度が要求されるが、一般の電子線バイプリズム装置はその要求レベルを満足していない。
従来法3:電子線の試料への入射角度を電子線バイプリズムが電子線に与える偏向と電子光学的に同じ平面内で変化させる。この方法では、電子線が光軸からずらされることを前提としており、高分解能像観察などにおいては取得する像ごとに像に含まれる収差の影響が異なる。そのため、要求される分解能や干渉顕微鏡像の観察目的によっては方法そのものが不適当となる。また、実験条件(高分解能観察やローレンツ像観察)によって必要となるフォーカスはずれ量は、試料への入射電子線が傾斜している場合には投影像の位置の変化を伴うため、(1)と同様の事後の画像処理を必要とする。
さらに、上記(1)から(3)の従来の方法を図12に示した従来型の電子線干渉計で実行した場合には、干渉像に重畳されたフレネル縞も同時に変化してしまうため、その変化分が新たなアーティファクトとして再生像に含まれ、縞走査法の原理から期待されるほどの精度が得られないという欠点を持っている。
以上のことから、電子線干渉計において縞走査法を実施するのに有効な物体波と参照波の相対位相差を制御する方法・手段、そのための装置は未だ実現されていないのが実情であった。
本発明の目的は、縞走査法を実施するのに必要な試料の像を動かさずにとその像に重畳された干渉縞の位置を物体波と参照波との相対的な位相差を高精度に制御することが出来る電子線干渉装置、および電子線干渉顕微方法を提供することにある。
本発明は以上の問題点に鑑み、電子線干渉計測法における縞走査法を実用化するためになされたもので、物体波と参照波の相対位相差を高精度に制御する方法・手段に関するものである。とりわけ、2段電子線バイプリズム干渉計における実施を念頭においている。物体波と参照波の相対位相差を高精度に制御する原理は、物体波と参照波のクロスオーバー(光源の像)を光軸に対して非対称な位置に配置する点にある。
本発明の代表的なものの一例を示せば以下の通りである。すなわち、本発明は、電子線の光源と、前記光源から放出される電子線を試料に照射するための照射光学系と、前記電子線が照射する試料を保持するための試料保持装置と、前記試料の像を結像するための対物レンズおよび複数のレンズから構成される結像レンズ系と、前記試料像を観察あるいは記録するための画像記録装置を有する電子線装置であって、前記電子線の光軸に沿い、前記試料の配置される位置より該電子線の進行方向の下流側、かつ、前記結像レンズ系に属する1つもしくは複数のレンズを介した前記試料の像面位置に、第1の電子線バイプリズムが配置され、前記電子線の光軸に沿い、かつ、前記第1の電子線バイプリズムよりも前記電子線の進行方向の下流側に、第2の電子線バイプリズムが配置され、前記結像レンズ系に属する少なくとも1つのレンズを介した前記試料の像面位置に、電子線偏向器が配置され、前記電子線偏向器は、前記光軸を挟むようにして対となる第1及び第2偏向装置を有し、前記第1偏向装置から前記第2偏向装置へ電界をかける、もしくは前記第1及び第2偏向装置との間に磁界をかけることを特徴とする。
次に、本発明の縞走査法により、二波の相対位相差を制御する原理を、図1(図1A、図1B)を用いて具体的に説明する。図1Aは、光軸2に対して対称な位置に置かれた2つの光源10による干渉縞8の作成の様子を示している。2つの光源10は、例えば電子線バイプリズムによって分離・偏向されたクロスオーバー(前記図13中の121に相当)がこれに当る。図1Aでは干渉縞8を観察する位置が試料の像面71であることを明確にするため、試料の像31を表す矢印を像面に記載している。2つの光源10が像面71上に成す角度をγ、電子線の波長をλとするとき、干渉縞間隔sは、式(4)のごとく表される。そして、2つの光源10が光軸2に対して対称位置に存在するときには、干渉縞8は光軸に対して左右対称に現れる。
Figure 0005382695
図1Bには、2つの光源10からの電子線に対して像面71にて角度ζの偏向を与えた場合の干渉縞8の作成の様子を示す。2つの光源10は、図1B中ではそれぞれDζだけ図中右側に移動し非対称となっている(後述する図2中の121に相当)。Dはクロスオーバー面から像面71までの距離である。2つの光源10間の距離Dγは偏向が加えられる前(図1A)と変化していないため、近軸近似の成立する範囲内では干渉縞間隔sは式(4)から変更はない。但し、光源10から像面71までの幾何光学距離(r1、r2)は、それぞれの光源で異なるため、干渉縞8は光軸2に対して非対称となる。そのときの干渉縞8の位相のずれ量をΔψとすると、式(5)のごとく各光源10からの電子線へ与えられた偏向角度ζの関数にて表される。
Figure 0005382695
このとき、干渉縞8を観察している面が、試料の像面71にあれば、電子線に与えられた偏向は伝播角度に関するもののみであるため、試料像31は全く変化しない。すなわち、電子線への偏向角度ζを制御することによって、干渉顕微鏡像中の干渉縞8だけを移動させることが可能となる。
改めて、図2により本発明の縞走査法の原理に基く2段電子線バイプリズム干渉光学系に関して説明する。なお、図2以降の図においては、図3Aを除き、電子線バイプリズムに関しては、偏向器の一例を示す平行平板電極との混同を避けるため、中央極細線電極のみを記載し中央極細線電極の両側の接地電極99の作図を省略する。
図2に示した2段電子線バイプリズム干渉光学系では、試料の像面71に上段の電子線バイプリズム91が配置され、さらに、可変電源に接続された一対の電子線偏向器95が試料の像面位置に配置されている。この電子線偏向器95は、電界もしくは磁界の作用で電子線に偏向を与えるように動作する。
この2段電子線バイプリズム干渉光学系おいては、試料の像面71に配置された上段の電子線バイプリズム91により、ここで物体波21と参照波23が空間的にも伝播方向においても分離される。しかし、上段の電子線バイプリズム91の下側の第1結像レンズ61による物体波21と参照波23のクロスオーバー(光源の像)121は、光軸2から同一距離だけ離軸して結像される。
ここで、試料の像面71にて物体波21と参照波23の両電子波に対して電子線偏向器95により同一の偏向(角度ζ)が加えられると、それに伴って両波のクロスオーバー121(光源の像)は、光軸2から同じ方向に同じ距離だけ移動する。従って、光軸2に対して非対称な伝播角度を持つ物体波21と参照波23が作成される。なお、112は対物レンズ5の下側のクロスオーバーの分離された虚像を示している。図2で示したとおり、光軸2に対して非対称な2つの光源121から像面72までの幾何光学距離は異なり、結果として物体波21と参照波23の相対的位相差は電子線偏向器95による偏向角度に依存する。これが、本発明の立脚する二波の位相差をコントロールする原理である。
本発明の方法では、試料の像面71にて二波に偏向を与えるため像への偏向の影響はなく、クロスオーバー121の位置のみが非対称となり、二波に相対位相差を与えるのみである。また、偏向作用は対物レンズ5を透過した後に加えられるため、取得する画像ごとに対物レンズ5の収差の影響が異なる問題点も回避されている。
二波に偏向を与える電子線偏向器95の設置位置は試料の像面であれば良く、図2の位置に限定するものではない。すなわち、2段電子線バイプリズム干渉計における上段の電子線バイプリズム91と電子線偏向器95とは上下に分割配置してもかまわないし、図2のごとく一致させることも可能である。これにより、以下の実施例において説明する電子光学系の構成が考えられる。
本発明によれば、物体波と参照波の相対的な位相差を高精度に制御することが可能となり、干渉顕微鏡像として記録される試料の像とその像に重畳された干渉縞との相対的な位置関係を、試料の像を変化させること無く高精度に制御できる。
具体的には、2段電子線バイプリズム干渉計により干渉顕微鏡像を作成した後、試料の像面に配置した偏向器を用いて電子線の伝播角度を偏向する。偏向器は像面位置に配置されているため、観察・記録面で試料像の位置が移動することはない。また、先述の(従来法2)の様な装置の機械的な移動を伴わず電子線への電磁力による偏向作用を利用するため、十分に高精度な制御が可能となる。電子線の偏向に立脚する点は先述の(従来法3)の方法と同じであるが、対物レンズよりも電子線の進行方向の下流側で偏向を与えることにより、対物レンズの球面収差の影響を回避できる。さらに2段電子線バイプリズム干渉計を利用するためフレネル縞は発生せず、再生像へのフレネル縞の影響は回避される。
本発明における干渉縞の走査原理を示す模式図であり、光軸に対称な2つの光源により干渉縞を作る様子を示している。 本発明における干渉縞の走査原理を示す模式図であり、光軸に対して非対称な2つの光源により干渉縞を作る様子を示している。 本発明の原理に基く、2段電子線バイプリズム干渉光学系を示す模式図である。 本発明の各実施例の光学系が適用される電子線干渉装置のシステム構成例を示す図である。 本発明の各実施例の光学系が適用される電子線干渉装置の情報処理関係システムの機能の一例を示す図である。 本発明の第1の実施例になる光学系の模式図である。 第1の実施例になる光学系を用いて縞走査法を実施するための手順を示すタイムチャートおよび各手順における干渉像を示す図である。 本発明の第2の実施例になる光学系の模式図である。 本発明の第3の実施例になる光学系の模式図である。 本発明の第4の実施例になる光学系の模式図である。 本発明の第5の実施例になる光学系の模式図である。 本発明の第6の実施例になる光学系の模式図である。 電子線バイプリズムと電子線バイプリズムによる電子線の偏向を示す模式図である。 従来の1段電子線バイプリズム干渉計の光学系を示す模式図である。 従来の2段電子線バイプリズム干渉計の光学系を示す模式図である。 フーリエ変換法による位相情報抽出画像処理(像再生)法の各手順(A)〜(F)における像を示す模式図である。 縞走査法により取得する1枚目〜3枚目の干渉顕微鏡像の縞の位置関係を示す模式図である。
以下本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
<電子線装置>
図3Aに、本発明の縞走査法を実施するのに適した電子線装置の全体の構成例を模式的に示す。図3Aは、本発明を汎用型の透過型電子顕微鏡を干渉顕微鏡に用いる場合を想定した模式図であるが、本発明はこの模式図に記載の形態に限るものではない。
図3Aにおいて、電子源としての電子銃1が電子線の流れる方向の最上流部に位置し、電子線は加速管40にて所定の速度にされた後、照射光学系(第1照射(コンデンサ)レンズ41、第2照射(コンデンサ)レンズ42)を経て試料保持装置(図示略)に載置された試料3に照射される。試料3を透過した電子線は、対物レンズ5にて結像される。この結像作用は、対物レンズ5よりも電子線の進行方向下流側の複数の結像レンズ系(第1結像レンズ61、第2結像レンズ62、第3結像レンズ63、第4結像レンズ64)に引き継がれ、最終的に電子線装置の観察記録面89に結像される。その像はCCDカメラなどの画像観察・記録媒体79及び画像観察・記録媒体の制御ユニット78を通じて、画像記録装置77に記録される。76は画像観察・記録装置のモニタ(GUI機能付き)を示している。
上段の電子線バイプリズム91は対物レンズ5の下流側に、電子線偏向器95は第1結像レンズ61の下流側に、そして、下段の電子線バイプリズム93は第2結像レンズ62の下流側に位置している。ただし、これら上段の電子線バイプリズム91と、下段の電子線バイプリズム93と、電子線偏向器95の位置関係は一例であり、後述のとおり様々に変更可能である。
なお、図3A中では電子線装置(以下、特に区別する必要の無いときは単に装置)全体の構成と制御系統を示すことが目的のため、複数の電極から構成される電子線バイプリズム91、93、および電子線偏向器95は、枠でまとめてそれぞれの制御系(第1の電子線バイプリズムの制御ユニット98、第2の電子線バイプリズムの制御ユニット97、電子線偏向器の制御ユニット96)への接続を示している。
また、電子源1、加速管40への印加電圧、試料3の位置と傾斜角度、および電子レンズの励磁状態、電子線バイプリズムの位置、電位の印加状態などの各要素が、装置全体を制御する情報処理装置であるコンピュータ51でコントロールされている。すなわち、装置は、コンピュータ51及びこれに接続された各ユニットの装置の制御系である電子源の制御ユニット19、試料の制御ユニット39、第2照射レンズの制御ユニット47、第1照射レンズの制御ユニット48、加速管の制御ユニット49、対物レンズの制御ユニット59、第4結像レンズの制御ユニット66、第3結像レンズの制御ユニット67、第2結像レンズの制御ユニット68、第1結像レンズの制御ユニット69、などにより制御される。
制御系コンピュータ(情報処理装置)51は、演算手段、メモリやストレージ装置等の記憶手段、及び入出力装置53を備えている。入出力装置53はモニタ52を含み、装置を制御して試料を観察するために必要な制御パラメータや観察条件等をユーザーが入力するGUI機能を備えている。記憶手段には、装置の観測条件探索あるいは動作制御のために必要となる各種パラメータなどの情報が格納される。例えば、電子線偏向器の制御ユニット96を制御して干渉縞を移動させるのに必要な偏向量のパラメータの値をテーブル化したもの等が情報格納用のメモリに記録されている。更に、上記の情報の探索あるいは装置の制御を実行するための各種のソフトウェアがプログラム格納用の記憶手段に格納されており、演算手段によりこれらのソフトウェアが実行される。
図3Bに、本発明の特徴に関係する主な機能及び記憶手段の構成を示す。情報処理装置51は、2段電子線バイプリズムによる干渉顕微鏡像生成機能511、電子線偏向制御機能512、位相・振幅演算処理機能513、画像処理機能514の各機能を備えている。情報格納用のメモリ515には、干渉縞の間隔や干渉領域幅をコントロールするためのデータや偏向量のパラメータの値が保持されている。2段電子線バイプリズムの制御ユニット97、98や電子線偏向器の制御ユニット96、及び画像記録装置77を制御して装置本体100で縞走査法を実行し、画像観察・記録媒体79で得られた像のデータを位相・振幅演算処理機能513、画像処理機能514を用いて画像処理し、測定結果や演算処理の結果を入出力装置53のモニタ52に表示する。なお、図3Bに示した情報処理装置51の機能は一部の機能の例を示すものであり、装置全体を制御する各種のソフトウェアの有する他の機能と組み合わせて実現されるものである。
すなわち、実際の装置ではこの模式図で示した構成要素の他に、電子線の進行方向を変化させる偏向系(像を得るための通常の使用法による)、電子線の透過する領域を制限する絞り機構などが存在し、それらの構成要素もまたコンピュータ51に接続された制御系(装置制御ユニット)でコントロールされている。しかし、これらの装置は本発明には直接的な関係が無いのでこの図では割愛する。なお、この模式図に示すごとく、電子光学要素は真空容器18中に組み立てられ真空ポンプにて継続的に真空排気されているが、真空排気系についても本発明とは直接の関係がないため割愛する。
以下、本発明を実施するための具体的な構成及び方法を説明する。ここでは説明の都合上、電子線バイプリズム、電子線偏向器はともに電界型のものを想定して議論を進めるが、これは本発明の本質とは関係なく、電子線バイプリズム、電子線偏向器ともに、あるいはどちらか一方が磁界型のものであっても何ら問題はない。
<実施例1>
図4に本発明の第1の実施例になる光学系の模式図を示す。これは図1および図2で説明した本発明の原理をそのまま電子顕微鏡にて実現する場合の光学系の構成例である。すなわち、上段の電子線バイプリズム91は対物レンズ5による試料の像面(第1結像レンズの物面)71に配置され、偏向器95は第1結像レンズ61の像面(第2結像レンズの物面)72に配置され、下段の電子線バイプリズム93は第2結像レンズ62の電子線の進行方向下流側で上段の電子線バイプリズム91による陰の領域(濃いグレーで示した領域)に配置されている。
上段の電子線バイプリズム91は第1の電子線バイプリズムの制御ユニット98により印加電圧が制御され、下段の電子線バイプリズム93は第2の電子線バイプリズムの制御ユニット97により印加電圧が制御され、偏向器95は電子線偏向器の制御ユニット96により印加電圧が制御される。
なお、上段の電子線バイプリズム91と下段の電子線バイプリズム93と偏向器95とによる電子線の偏向角度は、それぞれ独立に制御できるように構成されている。
第1の電子線バイプリズム91により分離された物体波21と参照波23が作るクロスオーバー121が、図1での2つの光源10に相当する。第1結像レンズ61下側の両波のクロスオーバー121は、光軸2に対して対称に位置しているが、第1結像レンズ61による試料の像面72にて電子線偏向器95により両波に偏向が加えられると、第2結像レンズ62下側の物体波21と参照波23のクロスオーバー131は、光軸2に対して非対称となる。この光源131の光軸2に対する非対称配置が、物体波21と参照波23の相対位相差を作り出す原因である。なお、33は第2結像レンズ62により結像された試料の像、73は第2結像レンズ62による試料の像面、132は第2結像レンズ62の下側のクロスオーバーの分離された虚像を示している。
電子線偏向器95により像面72にて加えられた偏向角度と両クロスオーバー131の光軸2からの離軸距離にはリニアな関係があるため、偏向角度によって、物体波21と参照波23の相対位相差が制御される。
本発明における電子線偏向器95を備えた第1の実施例を用いて、縞走査法を実施する際の手順について説明する。
(1)電子顕微鏡像を得る様に電子顕微鏡を調整する。
オペレータは、制御系コンピュータ51の画像観察・記録装置のモニタ76や入出力装置53のモニタ52を介して、電子顕微鏡の光学系や試料位置を調整し所定の電子顕微鏡像が得られるように調整する。予め試料の観察条件が分かっている場合、与えられたパラメータに基き伴って装置が自動的に観察条件を調整するようにしても良い。
(2)試料の観察位置と参照波23を透過させる位置(もしくは空間)を確保する。本発明が基礎を置く波面分割型の干渉計では試料の影響を受けない参照波が必要となるので、オペレータは、参照波の透過する十分な広さの領域が確保されるように、装置の状態を設定する。そのためには、電子線バイプリズムの位置の移動機能や回転機能を用いる。予め試料の観察条件が分かっている場合、与えられたパラメータに基き伴って装置が自動的に観察条件を調整するようにしても良い。
(3)干渉顕微鏡像として観察・記録を行う干渉縞間隔sと干渉領域幅を定め、それらが得られる様に上下段の両電子線バイプリズム(91、93)に印加する電圧を調整する。
すなわち、オペレータが入出力装置53のモニタ52を介して、試料の観察に適した干渉縞間隔sと干渉領域幅を設定し、それらのデータは情報格納用のメモリに記録される。予め干渉縞間隔sや干渉領域幅がパラメータとして与えられている場合、そのパラメータに基き伴って装置が自動的に観察条件を調整するようにしても良い。
制御系コンピュータ51は、設定された観察条件に基き、2段電子線バイプリズムによる干渉顕微鏡像生成機能511及び画像処理機能514を実行し、干渉顕微鏡像を生成し、入出力装置53のモニタ52に表示する。
ここまでは、従来の2段電子線バイプリズム干渉計と同じ取り扱いである。
(4)次に、電子線偏向制御機能512が、電子線偏向器の制御ユニット96を制御して電子線偏向器95により、電子線を偏向させる。このとき、電子線偏向器95による偏向と両電子線バイプリズム(91、93)による電子線の偏向は、光軸2を含む電子光学的に同一平面であるように調整されている。また、偏向の方向は正負どちらの方向でもよい。例えば図4中では向かって右方向に偏向されているが、左右どちらの方向でもかまわない。得られた干渉縞8は、画像処理機能514を経て画像観察・記録装置のモニタ76もしくは入出力装置53のモニタ52に表示される。
(5)オペレータは、表示された干渉縞8中の1本に着目し、その縞がちょうど縞間隔1本分(長さs)だけ移動するまで、入出力装置53を介して電子線偏向器の制御ユニット96を制御し、偏向器95により電子線に偏向を加える。例えば、電界型偏向器の場合、最初の制御値すなわち偏向器の偏向板への印加電圧VBDはVpsだったとする(VBD = Vps)。この初期値Vpsは、パラメータとしてメモリに記録される。磁界型偏向器の場合も、同様にしてパラメータ値、例えば偏向コイルへの通電量が得られる。
(6)オペレータは、入出力装置53のモニタ52を介して縞走査法で用いる画像枚数m(少なくとも3以上)を設定する。取得すべき画像枚数mが設定されると、この画像枚数mに基き、縞間隔sに対応する単位の制御値、すなわち、単位の印加電圧Vps/mを求めることができる。この情報はメモリに記録される。
(7)次に、偏向器の偏向板への印加電圧VBDを、上記単位の印加電圧Vps/mごとに変化させながら電子線偏向器の制御ユニット96を制御し、各々の印加電圧に対応する干渉顕微鏡像を記録する。
(8)位相・振幅演算処理機能513により、得られたm枚の干渉顕微鏡像に対して、式(3)、および式(2)に基づく画像処理を施し、試料像の位相分布Φ(x,y)、振幅分布A(x,y)を得る。この情報はメモリに記録され、入出力装置53のモニタ52に出力される。
図5に、制御系コンピュータ51による縞走査法の制御のタイムチャート、すなわち電子線偏向器95、両電子線バイプリズム(91、93)への印加電圧の変化の様子と、取得する干渉顕微鏡像の関係を示す。ここでは、取得画像枚数m=3の場合について説明する。
まず、図5の(i)において、2段電子線バイプリズムによる干渉顕微鏡像生成機能511で制御された両電子線バイプリズム(91、93)への印加電圧VBP1、VBP2とし、偏向器の偏向板への印加電圧VBD =0として、干渉顕微鏡像を定める。
次に、(ii)において、偏向器の偏向板への印加電圧VBDを連続的にあるいはステップ状に増加させる。そして、印加電圧VBD =0の干渉顕微鏡像における1本の干渉縞がちょうど縞間隔sだけ移動する偏向器の偏向板への印加電圧VBDを求める。
さらに、(iii)において、電子線偏向制御機能512で偏向器の偏向板への印加電圧をステップ状に順次変更する。そして、例えば、VBD = Vps/3にて干渉像Aを、VBD = 2Vps/3にて干渉像Bを、VBD = Vpsにて干渉像Cを取得し、それぞれメモリに記録する。
図5の(A)は干渉像A、(B)は干渉像Aから干渉縞の相対位置をs/3だけずらした干渉像B、(C)は干渉像Bよりもさらに干渉縞の相対位置をs/3だけずらした干渉像Cである。
(iv)これら3枚の干渉顕微鏡像A〜Cについて、位相・振幅演算処理機能513により、それぞれ式(3)および(2)に基づく画像処理を施すことによって、試料像の位相分布Φ(x,y)と振幅分布A(x,y)を得ることができる。すなわち、図14の振幅分布像(D)と位相分布像(E)に相当する像、および新たに干渉顕微鏡像(F)に相当する像を得ることができる。
縞走査法では、干渉縞の位置のみがずれた連続する3枚の画像が得られれば良いので、本発明における偏向器への印加電圧VBDは、例えば、(−Vps/3、0、Vps/3)、(5Vps/3、6Vps/3、7Vps/3)であってもかまわない。さらに、偏向作用と印加電圧がリニアな関係の範囲内であれば、縞の移動量は3枚ごとに繰り返されるので、印加電圧VBDは、(2Vps/3、6Vps/3、11Vps/3)などの組み合わせであってもかまわない。
なお、図5に示した電子線偏向器95、両電子線バイプリズム(91、93)への印加電圧のパターンは、あくまでも一例であり、試料の観察条件に応じて、各々独立に、任意の値に制御可能であることは言うまでも無い。
本発明の第1の実施例によれば、干渉顕微鏡像の干渉縞間隔、干渉領域幅が定まれば、観察・記録倍率などの光学系条件が定まり、同一の干渉顕微鏡を用いる限り操作パラメータは大きく変化することはない。すなわち、干渉縞を移動させるのに要する偏向量もほぼ一意に定まる。そのため、予め様々な干渉縞間隔、干渉領域幅について、干渉縞を移動させるのに要する偏向量(制御値)のパラメータVpsの値をテーブル化しておけば、上記操作での作業低減、あるいは縞走査法の自動化が可能となる。
本実施例では、偏向器の偏向板への制御値を変えて干渉顕微鏡像を取得し画像処理するという簡単な処理で、連続する少なくとも3枚の画像が得られる。図14の例のような干渉顕微鏡像のフーリエ変換方式に比べて、干渉縞の間隔に制限されず高分解能化が可能となる。また、従来の縞走査法の課題であった、高精度な操作の必要性や対物レンズによる収差の影響の発生という問題も無い。さらに、1段バイプリズム干渉計での干渉像に重畳されたフレネル縞も同時に変化してしまうという問題も無いため、高精度な再生像を得ることが可能となる。
<実施例2>
図6に、本発明の第2の実施例を示す。この実施例は、実施例1における上段の電子線バイプリズム91と電子線偏向器95の位置を交換した構成である。すなわち、電子線偏向器95が、対物レンズ5の像面71に配置されている。
第1結像レンズ61の物面71と像面72とが入れ換わった状態であるが、一般に物面と像面の関係は光学的には等価であるため、実施例1と全く同様の効果が得られる。試料の像に対する上段の電子線バイプリズム91の位置は、対物レンズ5と第1結像レンズ61を経た像面72の上であるため、試料の投影像の拡大には両レンズ5、61を用いることが可能であり、高倍率高分解能での干渉顕微鏡に有利な光学系となる。
なお、制御系コンピュータ51により縞走査法を実施する手順は、実施例1の場合と全く同様である。
本実施例でも、従来の縞走査法の課題が解決され、高精度な再生像を得ることが可能となる。
<実施例3>
図7に、本発明の第3の実施例を示す。この実施例は、図13で説明した2段電子線バイプリズム干渉計としての干渉顕微鏡像が作成された第2結像レンズ62の像面73以降の像面(図7では第2結像レンズ62の像面)に、偏向器95を配置した例である。作図の都合上、偏向器95より下側のレンズ、および二波の伝播の様子を記載していないが、二波の作るクロスオーバーが光軸非対称となる様子は、偏向器上部に虚像132として示している。すなわち、偏向器95よりも下側の結像光学系を経た後に、先述までの例と同様に二波(21、23)に対する相対位相差を作り出せる光学系である。
なお、縞走査法を実施する手順は、<実施例1>の場合と全く同様である。
本実施例でも、従来の縞走査法の課題が解決され、高精度な再生像を得ることが可能となる。
<実施例4>
図8に、本発明の第4の実施例を示す。電子線偏向器95は第1結像レンズ61の像面72に配置されている。これは図7で説明した光学系において、下段の電子線バイプリズム93と電子線偏向器95との間に結像レンズを含まない光学系である。2段電子線バイプリズム干渉計としての干渉顕微鏡像(8と31)が作成された第1結像レンズ61による試料の像面72において、電子線偏向器95により、両電子線へ直接偏向作用を与える構成となっている。第2結像レンズ62の下側のクロスオーバー131が光軸2に対して非対称な位置に配置されている。本実施例においては、下段の電子線バイプリズム93と偏向器95が全く独立に操作可能であることは言うまでもない。
なお、縞走査法を実施する手順は、<実施例1>の場合と同様である。
本実施例でも、従来の縞走査法の課題が解決され、高精度な再生像を得ることが可能となる。
<実施例5>
図9に、本発明の第5の実施例を示す。この実施例では、上段の電子線バイプリズム91と電子線偏向器95の偏向作用を合わせ持たせた装置(偏向器を兼ね備えた電子線バイプリズムシステム)94を、対物レンズ5の像面71に配置している。すなわち、本発明を実施するに当って、結像レンズの追加を必要としない構成である。言い換えれば、極細線電極の左右で電子線の偏向角度が異なる電子線バイプリズムを2段電子線バイプリズム干渉計の上段の電子線バイプリズム91に用いることを想定している。111は、第1結像レンズ61の上側のクロスオーバーの分離された虚像である。
このような電子線バイプリズムは、例えば、極細線電極の中央極細線径が左右で異なるものを用いる、もしくは、極細線電極の左右の平行平板接地電極99の片側を外部電源に接続することにより電位をコントロール可能とし、横方向電界による偏向作用が電子線バイプリズムの偏向作用に重畳させられる構成とするなどの方法が考えられる。上段の電子線バイプリズムの中央極細線位置と電子線偏向器95としての偏向位置が像面71に一致させられること、および、上段の電子線バイプリズム91と電子線偏向器95の操作が独立に行えることは言うまでもない。
なお、縞走査法を実施する手順は、<実施例1>の場合と同様である。
本実施例でも、従来の縞走査法の課題が解決され、高精度な再生像を得ることが可能となる。
<実施例6>
図10に、本発明の第6の実施例を示す。これは下段の電子線バイプリズム93と電子線偏向器95の偏向作用を合わせ持たせた装置(偏向器を兼ね備えた電子線バイプリズムシステム)94を、第1結像レンズ61による試料の像面72に配置する場合の構成である。すなわち、本発明を実施するに当って、結像レンズの追加を必要としない構成であることは、実施例4、実施例5と同様である。すなわち、実施例4で示した下段の電子線バイプリズム93と電子線偏向器95の機能を、どちらも損なうことなく合わせ持った装置(偏向器を兼ね備えた電子線バイプリズムシステム)94を使用する実施例である。
実施例5と異なるのは、下段の電子線バイプリズム93を第1結像レンズ61による試料の像面72の上方もしくは下方で(図10では極細線電極は、像面の上方に描いている)、かつ上段の電子線バイプリズム極細線電極91の陰の領域に位置させ、偏向器95としての機能は第1結像レンズ61による試料の像面72に一致させている点である。すなわち、実施例5で述べた極細線電極の左右で電子線の偏向角度が異なる電子線バイプリズムの極細線電極が、偏向作用の働く位置よりも上方もしくは下方にずれていればよい。
なお、縞走査法を実施する手順は、<実施例1>の場合と同様である。
本実施例でも、従来の縞走査法の課題が解決され、高精度な再生像を得ることが可能となる。
なお、全実施例を通して、磁界型電子線バイプリズムもしくは磁界型偏向器の場合は、上段の電子線バイプリズム91、下段の電子線バイプリズム93及び偏向器95とが電子線に与える偏向が、本発明の各実施例で述べた電界の作用に代えて、磁界の作用により制御されることは言うまでもない。この場合、実施例1で述べた印加電圧の変更に代えて、電流値などの制御値を段階的、あるいは連続的に変化させることにより、電子線に与える偏向を制御すればよい。
1…電子源もしくは電子銃、10…分離された光源の実像もしくは光源、11…対物レンズにより結像されたクロスオーバーの像、112…対物レンズ下側のクロスオーバーの分離された虚像、12…第1結像レンズにより結像されたクロスオーバーの像、121…第1結像レンズ下側のクロスオーバーの分離された実像、122…第1結像レンズ下側のクロスオーバーの分離された虚像、13…第2結像レンズにより結像されたクロスオーバーの像、131…第2結像レンズ下側のクロスオーバーの分離された実像、132…第2結像レンズ下側のクロスオーバーの分離された虚像、18…真空容器、19…電子源の制御ユニット、2…光軸、21…物体波、22…電子線の波面、23…参照波、27…電子線の軌道、3…試料、31…対物レンズにより結像された試料の像、32…第1結像レンズにより結像された試料の像、33…第2結像レンズにより結像された試料の像、35…パワースペクトル、36…サイドバンド、39…試料の制御ユニット、4…照射光学系、40…加速管、41…第1照射(コンデンサ)レンズ、42…第2照射(コンデンサ)レンズ、47…第2照射レンズの制御ユニット、48…第1照射レンズの制御ユニット、49…加速管の制御ユニット、5…対物レンズ、51…制御系コンピュータ、52…制御系コンピュータのモニタ、53…制御系コンピュータのインターフェース、59…対物レンズの制御ユニット、61…第1結像レンズ、62…第2結像レンズ、63…第3結像レンズ、64…第4結像レンズ、66…第4結像レンズの制御ユニット、67…第3結像レンズの制御ユニット、68…第2結像レンズの制御ユニット、69…第1結像レンズの制御ユニット、71…対物レンズによる試料の像面、72…第1結像レンズによる試料の像面、73…第2結像レンズによる試料の像面、76…画像観察・記録装置のモニタ、77…画像記録装置、78…画像観察・記録媒体の制御ユニット、79…画像観察・記録媒体、8…干渉縞、89…観察・記録面、9…電子線バイプリズム中央極細線電極、91…第1の電子線バイプリズムの中央極細線電極、93…第2の電子線バイプリズムの中央極細線電極、94…偏向器を兼ね備えた電子線バイプリズムシステム、95…電子線偏向器、96…電子線偏向器の制御ユニット、97…第2の電子線バイプリズムの制御ユニット、98…第1の電子線バイプリズムの制御ユニット、99…平行平板接地電極。

Claims (20)

  1. 電子線の光源と、前記光源から放出される電子線を試料に照射するための照射光学系と、前記電子線が照射する試料を保持するための試料保持装置と、前記試料の像を結像するための対物レンズおよび複数のレンズから構成される結像レンズ系と、前記試料像を観察あるいは記録するための画像記録装置を有する電子線装置であって、
    前記電子線の光軸に沿い、前記試料の配置される位置より該電子線の進行方向の下流側、かつ、前記結像レンズ系に属する1つもしくは複数のレンズを介した前記試料の像面位置に、第1の電子線バイプリズムが配置され、
    前記電子線の光軸に沿い、かつ、前記第1の電子線バイプリズムよりも前記電子線の進行方向の下流側に、第2の電子線バイプリズムが配置され、
    前記結像レンズ系に属する少なくとも1つのレンズを介した前記試料の像面位置に、電子線偏向器が配置され
    前記電子線偏向器は、前記光軸を挟むようにして対となる第1及び第2偏向装置を有し、前記第1偏向装置から前記第2偏向装置へ電界をかける、もしくは前記第1及び第2偏向装置との間に磁界をかけることを特徴とする電子線干渉装置。
  2. 請求項1において、
    前記第2の電子線バイプリズムが、前記第1の電子線バイプリズムによって作り出される電子線の陰の領域に位置することを特徴とする電子線干渉装置。
  3. 請求項1において、
    前記第1の電子線バイプリズムと前記第2の電子線バイプリズムと前記電子線偏向器とが電子線の光軸に直交する互いに平行な平面内に配置され、
    前記電子線偏向器により前記試料面で前記電子線を偏向させることを特徴とする電子線干渉装置。
  4. 請求項3において、
    前記第1の電子線バイプリズムと前記第2の電子線バイプリズムと前記電子線偏向器とが、それぞれ独立にその位置の移動、前記光軸を軸とした回転が可能に構成されていることを特徴とする電子線干渉装置。
  5. 請求項3において、
    前記第1の電子線バイプリズムと前記第2の電子線バイプリズムと前記電子線偏向器とによる電子線の偏向角度が、それぞれ独立に制御できることを特徴とする電子線干渉装置。
  6. 請求項1において、
    前記第1の電子線バイプリズムと前記第2の電子線バイプリズムと前記電子線偏向器とが電子線に与える偏向が、電界の作用によるものであることを特徴とする電子線干渉装置。
  7. 請求項1において、
    前記第1の電子線バイプリズムと前記第2の電子線バイプリズムと前記電子線偏向器とが電子線に与える偏向の少なくとも1つが、磁界の作用によるものであることを特徴とする電子線干渉装置。
  8. 請求項1において、
    前記電子線偏向器が、前記第1の電子線バイプリズムの電子線の進行方向の下流側に配置されるとともに、
    前記第2の電子線バイプリズムが、前記電子線偏向器の電子線の進行方向の下流側に配置されることを特徴とする電子線干渉装置。
  9. 請求項1において、
    前記第1の電子線バイプリズムが、前記電子線偏向器の電子線の進行方向の下流側に配置されることを特徴とする電子線干渉装置。
  10. 請求項1において、
    前記電子線偏向器が、前記第2の電子線バイプリズムの電子線の進行方向の下流側に配置されることを特徴とする電子線干渉装置。
  11. 請求項1において、
    前記電子線偏向器と前記第1の電子線バイプリズムとが配置される前記試料の像面が、同一の像面であることを特徴とする電子線干渉装置。
  12. 2段の電子線バイプリズムを含む電子線干渉光学系と、
    前記電子線干渉光学系の対物レンズよりも電子線の進行方向下流側でかつ試料の像面位置に配置された電子線偏向器と、
    前記試料像を観察あるいは記録するための画像観察・記録装置と、
    装置を制御する情報処理装置とを備え、
    前記情報処理装置は、
    前記2段の電子線バイプリズムを制御して前記試料像及び干渉縞を含む干渉顕微鏡像を生成する干渉顕微鏡像生成機能と、
    前記干渉顕微鏡像中の前記試料像の位置は変えずに、前記干渉縞の位置がずれた少なくとも3枚の画像を取得するために、前記電子線偏向器を制御して前記電子線に偏向を与える電子線偏向制御機能と、
    取得された前記少なくとも3枚の画像から前記試料を透過した電子線の位相分布、振幅分布情報を生成する位相・振幅演算処理機能とを備え
    前記電子線偏向器は、前記光軸を挟むようにして対となる第1及び第2偏向装置を有し、前記第1偏向装置から前記第2偏向装置へ電界をかける、もしくは前記第1及び第2偏向装置との間に磁界をかけ
    ことを特徴とする電子線干渉装置。
  13. 請求項12において、
    前記情報処理装置は、
    前記電子線偏向器へ与える制御値を初期状態として、第1の干渉顕微鏡像を定める機能と、
    前記電子線偏向器への制御値を連続的にあるいはステップ状に増加あるいは減少させ、前記第1の干渉顕微鏡像における1本の干渉縞が縞間隔sだけ移動する偏向器への制御値を求める機能と、
    前記縞間隔sに対応する制御値を複数に分割した電子線偏向器への単位の制御値を求める機能と、
    前記初期状態から前記単位の制御値を偏向器に与えて、複数枚の干渉像を取得する機能とを有する
    ことを特徴とする電子線干渉装置。
  14. 請求項13において、
    前記情報処理装置は、
    予め様々な干渉縞間隔、干渉領域幅について、干渉縞を移動させるのに要する偏向量のパラメータVpsの値を持つテーブルを情報格納用のメモリに備えていることを特徴とする電子線干渉装置。
  15. 請求項13において、
    前記各段の電子線バイプリズムと前記電子線偏向器とが電子線の光軸に直交する互いに平行な平面内に配置され、
    前記電子線偏向器により前記試料面で前記電子線を偏向させることを特徴とする電子線干渉装置。
  16. 請求項13において、
    前記情報処理装置は、GUI機能を備えたモニタを備えており、
    前記モニタに前記干渉顕微鏡像を表示する機能と、前記電子線偏向器により制御値を変えて前記電子線を偏向させた状態での該干渉顕微鏡像を表示する機能とを備えていることを特徴とする電子線干渉装置。
  17. 電子線装置を用いた電子線干渉顕微方法であって、
    前記電子線装置は、電子線の光源と、前記光源から放出される電子線を試料に照射するための照射光学系と、前記電子線が照射する試料を保持するための試料保持装置と、前記試料の像を結像するための対物レンズおよび複数のレンズから構成される結像レンズ系と、前記試料像を観察あるいは記録するための画像観察・記録装置と、装置を制御する情報処理装置とを備え、さらに、
    前記電子線の光軸に沿いかつ前記試料の配置される位置より該電子線の進行方向の下流側に前記結像レンズ系に属する1つもしくは複数のレンズを介した前記試料の像面位置に配置された第1の電子線バイプリズムと、
    前記電子線の光軸に沿いかつ前記第1の電子線バイプリズムよりも該電子線の進行方向の下流側に配置された第2の電子線バイプリズムと、
    前記対物レンズよりも前記電子線の進行方向下流側の前記試料の像面位置に配置された電子線偏向器とを備えており
    前記電子線偏向器は、前記光軸を挟むようにして対となる第1及び第2偏向装置を有し、前記第1偏向装置から前記第2偏向装置へ電界をかける、もしくは前記第1及び第2偏向装置との間に磁界をかけ
    前記情報処理装置は、
    前記第1、第2の電子線バイプリズムを制御して干渉顕微鏡像を生成し、
    前記対物レンズよりも前記電子線の進行方向下流側の前記試料の像面位置に配置された電子線偏向器を制御して前記電子線に偏向を与えることにより、前記干渉顕微鏡像中の干渉縞の像面上の位置を移動させる、ことを特徴とする電子線干渉顕微方法。
  18. 請求項17において、
    前記情報処理装置は、
    前記電子線偏向器へ与える制御値を初期状態とし、前記2段の電子線バイプリズムを制御して前記試料像及び干渉縞を含む第1の干渉顕微鏡像を生成し、
    前記電子線偏向器へ与える制御値を連続的にあるいはステップ状に増加させ、前記第1の干渉顕微鏡像における1本の干渉縞が縞間隔sだけ移動する偏向器の偏向板への印加電圧を求め、
    前記縞間隔sに対応する制御値を複数に分割した電子線偏向器への単位の制御値を求め、
    前記初期状態から前記単位の制御値を電子線偏向器へ与えて、少なくとも3枚の干渉像を取得する
    ことを特徴とする電子線干渉顕微方法。
  19. 請求項18において、
    前記情報処理装置は、
    前記電子線偏向器により前記電子線に与える偏向を制御することにより前記干渉顕微鏡像中の前記試料像の位置は同じで前記干渉縞の位置がずれた前記少なくとも3枚の画像を取得し、
    前記少なくとも3枚の画像から前記試料の位相分布、振幅分布情報を取得する
    ことを特徴とする電子線干渉顕微方法。
  20. 請求項17において、
    前記第1の電子線バイプリズムと前記第2の電子線バイプリズムと前記電子線偏向器とが電子線の光軸に直交する互いに平行な平面内に配置されており、
    前記情報処理装置は、
    前記電子線偏向器により前記試料面で前記電子線を偏向させる、ことを特徴とする電子線干渉顕微方法。
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