JP5420678B2 - 電子線バイプリズム装置および電子線装置 - Google Patents
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Description
本発明は電子線バイプリズム装置と該電子線バイプリズム装置が使用される電子顕微鏡、および電子線装置に関する。
電子線は物質との相互作用が大きく、それを利用して電子回折像観察・電子顕微鏡像観察などによる物質の構造解析や、電子線分光(試料透過後の電子線のエネルギー分析)などによる物質の元素分析など、電子線をプローブとして様々な計測に用いられている。これらの目的に供せられる電子線装置では、電子線が電界や磁界とも相互作用する性質を用いて、結像のための電子レンズや、電子線の伝播方位を制御するための偏向器、そして、電子線を分割し干渉させるための電子線バイプリズムなどが用いられている。これら偏向器や電子線バイプリズムについては、電界型、磁界型のいずれもが構成可能である。電子線への偏向作用は、電界型では電界の方向であるのに対して、磁界型では磁界と垂直方向である点が異なるが、基本的な効果は同等である。そのため、本願では説明の便宜上電界型について説明を行うが、電界型に限定するものではない。
<偏向器>
図1には、対向する2枚の平行平板電極からなる偏向器の断面を示す。紙面は電子線装置の光軸2を含む平行平板電極に垂直な平面(偏向面)であり、平行平板電極に電圧が印加されたとき発生する電界は、光軸2に垂直な方向(紙面上横方向)であり、光軸上上側から入射した電子線は進行方向の垂直方向に電磁力を受けてその軌道27が偏向させられる。平行平板電極の両端部の電界の乱れを無視し、電極の範囲内にだけ電界が発生すると仮定する均一場近似を用いると、偏向角度βは電極の光軸方向の長さl、対向する電極間距離d、電子線の加速電圧V0、印加電圧VBDと偏向係数kBDを用いて図16の〔数1〕に示す簡単な関係で表される〔非特許文献1〕。本願では、以後、特に断らない限り均一場近似を用いて議論を進める。
図1には、対向する2枚の平行平板電極からなる偏向器の断面を示す。紙面は電子線装置の光軸2を含む平行平板電極に垂直な平面(偏向面)であり、平行平板電極に電圧が印加されたとき発生する電界は、光軸2に垂直な方向(紙面上横方向)であり、光軸上上側から入射した電子線は進行方向の垂直方向に電磁力を受けてその軌道27が偏向させられる。平行平板電極の両端部の電界の乱れを無視し、電極の範囲内にだけ電界が発生すると仮定する均一場近似を用いると、偏向角度βは電極の光軸方向の長さl、対向する電極間距離d、電子線の加速電圧V0、印加電圧VBDと偏向係数kBDを用いて図16の〔数1〕に示す簡単な関係で表される〔非特許文献1〕。本願では、以後、特に断らない限り均一場近似を用いて議論を進める。
電子軌道27は、電界中では放物線を描くが、電界領域を射出後は直進する。図1に示した通り、光軸2に沿って入射した電子線の軌道27をそのまま直線で延長した虚の軌道28と、偏向器を射出した後の電子線の軌道を直線のまま遡った虚の軌道29は、ちょうど平行平板電極の中央部で交差する。この2つの虚の直線軌道の交点を偏向点83と呼ぶ。偏向点83の位置する光軸に垂直な平面835は平行平板電極の中央に位置する。
偏向点が位置する光軸に垂直な平面は、干渉光学系を構築する上で重要となる。以後、本願では特に断らない限り、簡単のため偏向器内での電子軌道を直線で描画し、電子線は偏向点、もしくは偏向点を含む光軸に垂直な平面のみで所定の偏向が与えられると仮定する。光軸近傍での電子線の軌道を取り扱う近軸近似の範囲内では、この仮定は問題無く成立することが知られている。
<2段偏向器>
図2に2組の平行平板電極からなる2段偏向器と、その偏向器内で偏向される電子軌道27を描いている。均一場近似を用いているため、電子線は上流側第1の偏向器内で放物線軌道を描いた後、第1の偏向器から下側第2の偏向器までは直線軌道を描き、第2の偏向器内で再び放物線軌道を描いている。
図2に2組の平行平板電極からなる2段偏向器と、その偏向器内で偏向される電子軌道27を描いている。均一場近似を用いているため、電子線は上流側第1の偏向器内で放物線軌道を描いた後、第1の偏向器から下側第2の偏向器までは直線軌道を描き、第2の偏向器内で再び放物線軌道を描いている。
第2の偏向器を射出した電子線の軌道27を直線のまま遡った虚の軌道29は、第1偏向器と第2偏向器の間の電界の無い領域で光軸2に沿った入射電子線の虚の軌道28と交わる。すなわち、2段偏向器においては、上下の偏向器の偏向角度β1とβ2を制御することにより、電界の有無にかかわらず合成された偏向点86と該偏向点86を含む光軸に垂直な平面865の位置を制御することが可能である。
図3は、第2の偏向器の印加電圧の正負を逆にした場合の電子軌道27を例示したものである。偏向点86は2段に構成された偏向器の範囲内だけでなく偏向器の外部で、かつ、実の電子軌道27が光軸2と交わる様にも制御可能であることがわかる。図3では、第2の偏向器への印加電圧の正負を逆転させて、電子線の偏向方向を逆転させるよう描いているが、図3とは対抗する電極への印加電圧を制御して偏向の方向をコントロールすることも可能である。
<電子線バイプリズム>
電子線バイプリズムは、電子線におけるビームスプリッターとして干渉光学系には不可欠の電子光学装置である。入射する電子線を2つの電子線(22、24)に分離するとともに、光軸2からの距離に依らず、同じ角度αだけ2つの電子線を互いに光軸2に近づく方向、もしくは、互いに光軸2から離れる方向に偏向する特徴を持っている。
電子線バイプリズムは、電子線におけるビームスプリッターとして干渉光学系には不可欠の電子光学装置である。入射する電子線を2つの電子線(22、24)に分離するとともに、光軸2からの距離に依らず、同じ角度αだけ2つの電子線を互いに光軸2に近づく方向、もしくは、互いに光軸2から離れる方向に偏向する特徴を持っている。
一般に電界型電子線バイプリズムは、導電性の極細線からなるフィラメント電極9とその電極を挟む形で保持される平行平板型接地電極99から構成される。図4は、電界型電子線バイプリズムの断面図である。紙面は電子線装置の光軸2を含む電子線バイプリズムに垂直な平面であり、中央部の小円は、フィラメント電極9の断面を示している。例えば、フィラメント電極9に正電圧を印加すると、図4に示したごとく、フィラメント電極の両側を通過する電子線(22、24)は、フィラメント電極の電位により互いに向き合う方向に同じ角度αだけ偏向される。逆にフィラメント電極9に負の電圧を印加すると、2つの電子線は互いに離れる方向に同じ角度だけ偏向される。フィラメント電極9から離れるほど電子線に作用する電位は小さくなるが、作用している空間範囲が長くなるため、結果的に電子線の偏向角度は入射位置に依らずフィラメント電極9への印加電圧に比例する。すなわち、aを電子線バイプリズムによる電子線の偏向角度とすると、フィラメント電極9への印加電圧VFと偏向係数kFを用いて図16に示す〔数2〕で表される簡単な関係を持つ。
このように電子線バイプリズムが電子線を、光軸2からの離心距離に依らず光軸2に対して対称に互いに向き合う方向、もしくは互いに離れる方向に同じ角度だけ偏向させる特徴は、光学における2つのプリズムを合わせた複プリズムの効果に対応することから、電子線バイプリズムと呼ばれている。電子線が可干渉性を持つ場合には、電子線バイプリズムの下流側の分離された2つの電子線(22、24)が重畳する領域では干渉縞8が観察される。分離された2つの電子線の片側に物体の情報を持つ電子線(物体波21)、別側の電子線を、例えば平面波のような既知の位相分布を持った電子線(参照波23)として干渉させた像が干渉顕微鏡像(電子線ホログラム)である〔非特許文献2〕。
図1の偏向器で示した電子軌道27と同様に、電子線バイプリズムの電子軌道(22、24)も虚の直線軌道(28,29)で表すことができ、偏向点85は光軸に垂直なフィラメント電極9が置かれる平面855に位置する。
本願において「電子線バイプリズム」と記載する場合には、フィラメント電極を含んだ従来の電子線バイプリズムを総称し、本願の対象とする偏向機能を併せ持つ電子線バイプリズムは、その偏向機構を含めて「電子線バイプリズム装置」と呼ぶ。また、電子光学系に置ける厳密な位置に言及する場合には、例えば「電子線バイプリズムのフィラメント電極の位置」と記載する。
<縞走査法>
電子線による干渉顕微鏡像は像と干渉縞から構成されているため、その解析には縞解析の手法が利用でき、原理的にフーリエ変換法とは異なる位相情報抽出法(縞走査法〔特許文献1〕〔非特許文献3〕、モアレ法〔非特許文献4〕など)が可能である。とりわけ、物体波と参照波の位相差を利用して干渉縞の位相をコントロールして得られる複数枚の画像を利用する縞走査法は、再生像の空間分解能が干渉縞間隔に依存しない点で高分解能化が可能な方法である。その原理は、物体波と参照波の位相差を(2π)/MずつずらしながらM枚の干渉顕微鏡像を記録し、その複数の画像のm番目の強度分布をI(x,y;m)とするとき、図16に示す〔数3〕に基づき物体波の位相分布Φ(x,y)を得るものである。位相差の変調に付随するコントラストの変調(正弦曲線)を決定しなければならない関係から、画像数Mは3以上という制限がある。
電子線による干渉顕微鏡像は像と干渉縞から構成されているため、その解析には縞解析の手法が利用でき、原理的にフーリエ変換法とは異なる位相情報抽出法(縞走査法〔特許文献1〕〔非特許文献3〕、モアレ法〔非特許文献4〕など)が可能である。とりわけ、物体波と参照波の位相差を利用して干渉縞の位相をコントロールして得られる複数枚の画像を利用する縞走査法は、再生像の空間分解能が干渉縞間隔に依存しない点で高分解能化が可能な方法である。その原理は、物体波と参照波の位相差を(2π)/MずつずらしながらM枚の干渉顕微鏡像を記録し、その複数の画像のm番目の強度分布をI(x,y;m)とするとき、図16に示す〔数3〕に基づき物体波の位相分布Φ(x,y)を得るものである。位相差の変調に付随するコントラストの変調(正弦曲線)を決定しなければならない関係から、画像数Mは3以上という制限がある。
電子線干渉顕微鏡像の様に画像中に基本干渉縞が存在する場合には、〔数3〕は少し変更され、図16に示す〔数4〕のごとくとなる。ここで、Rxは基本干渉縞の空間周波数(搬送空間周波数)で、干渉縞はX軸方向に配列していると仮定した表記である。基本干渉縞は物体波と参照波の相対角度に起因したもので、基本干渉縞による位相分布はX軸方向に直線的な傾斜をしており、補正することは容易である。
試料の像に干渉縞8が重畳された干渉顕微鏡像88において実施される縞走査法の手順を図5に示す。図5(a)は1枚目の干渉顕微鏡像、(b)は(a)の干渉顕微鏡像から物体波と参照波の位相差を2π/3だけずらした2枚目の干渉顕微鏡像、(c)は(b)の干渉顕微鏡像よりもさらに相対位相差を2π/3(Aからは4π/3)だけずらした3枚目の干渉顕微鏡像である。この3枚の干渉顕微鏡像について、〔数4〕に基づく画像処理を施すことによって振幅分布像、位相分布像Φ(x,y)を得ることができる。使用する干渉顕微鏡像の枚数は、図5に例示した3枚の場合が最少枚数で、3枚以上であれば枚数には依存しない。図5(a)での干渉縞と干渉縞の間を埋める干渉縞を持つ干渉顕微鏡像(図5(b)および(c))を利用することから、この方法による空間分解能は干渉縞間隔には依存せず、高分解能化が可能である。しかし、物体波と参照波の位相差を制御した上で干渉顕微鏡像の観察・記録を行い、そのときの位相差を既知とした上で位相情報を抽出することから、干渉顕微鏡法としてはフーリエ変換法よりも高度な作業が必要とされる。そのため、一般的に普及するには至っていない。
とりわけ、電子光学系においては、物体波と参照波の位相差を高精度に制御する方法が実用化されておらず、試料の位置を移動させて記録後の画像処理によりその位置の移動を補正する方法、電子線バイプリズムを光軸およびフィラメント電極の双方に垂直な方向(図4では紙面の左右方向)に移動させる方法、電子線の試料への入射角度を電子線バイプリズムが定める偏向面内で変化させる方法などが試行されている程度である。
裏克己:『ナノ電子光学』, 共立出版 第2章
A. Tonomura: Electron Holography, 2nd ed. (Springer, Heidelberg. Germany,1999) Chapter 5.
Q. Ru, J. Endo, T. Tanji and A. Tonomura:Applied Physics Letters, Vol. 59, (1991) 2372.
Ken Harada, Keiko Ogai Ryuichi Shimizu:Journal of Electron Microscopy, Vol. 39, (1990) 470.
Ken Harada, Akira Tonomura, Yoshihiko Togawa, Tetsuya Akashi and Tsuyoshi Matsuda: Applied Physics Letters, Vol. 84, (2004) 3229.
従来の電子線干渉法においては、電子線バイプリズムを光軸上かつ光軸に垂直な平面内に配置し、例えば電界型では、フィラメント電極の両側を通過する電子線を光軸に対称に、互いに向き合う方向、もしくは互いに離れる方向に同じ角度だけ偏向して、電子線バイプリズムの下流側で2つの電子線を重畳し、干渉顕微鏡像を計測していた。この方法は簡便な方法であるが、干渉顕微鏡像から再生される位相像の解像度は記録された干渉縞間隔よりも3倍大きく、低い空間分解能に留まる原理的な制約があった。
この制約を受けない、計測法の1つが縞走査法である。これは、物体波と参照波に位相差を与え、試料像に重畳された干渉縞だけを変調させた複数枚(最低3枚)の干渉顕微鏡像から演算処理により、記録系の空間分解能をそのまま位相像に反映させる干渉計測法である。現在までに試行されている縞走査法には、例えば、(1)試料の位置を移動させて記録後の画像処理によりその位置の移動を補正する方法、(2)電子線バイプリズムを光軸およびフィラメント電極の双方に垂直な方向に移動させる方法(3)電子線の試料への入射角度を変化させる方法、などがある。しかし、これらの手法は、実時間性に欠けたり、画像記録後の解析処理が煩雑になったり、位相差の変調に十分な精度が得られないなどの問題点があった。さらに、上記(1)から(3)の方法を従来型電子線干渉計で実行した場合には、干渉顕微鏡像に重畳されたフレネル縞も同時に変調されて新たなアーティファクトを生むため、縞走査法の原理から期待される精度は得られていないのが実情である。
本発明は電子線バイプリズム干渉計で好適な縞走査法を実現するための電子線バイプリズムを提供するために成されたもので、電子線バイプリズムの機能に一方向への偏向機能を付加することにより、フィラメント電極の左右を透過する電子線をそれぞれ異なる角度に偏向可能とするものである。具体的な構造は、電子線バイプリズムに加えて、光軸上2段の偏向器を付加するもので、2段の偏向器の偏向角度の大きさ・方向を制御することにより、偏向器の空間的位置にかかわらず、フィラメント電極の配置される面に偏向器による偏向点が位置する様に制御することを特徴とする。
2段電子線バイプリズム干渉光学系において縞走査法を実施する場合、本願による電子線バイプリズム装置を上段の電子線バイプリズムとして、そのフィラメント電極位置に試料の像を結像する光学系が最も好適と考えられる。電子線バイプリズムによる偏向点を含む平面も、偏向器による偏向点を含む平面も像面位置に一致しているため、電子線が偏向させられても観察・記録面で試料像の位置が移動することはなく、縞走査法が効果的に実施可能である。
本願によれば、フィラメント電極の左右両側を通過する電子線に対して光軸対称な偏向に加えて一方向への偏向が付加でき、結果として当該電子線バイプリズム装置を射出する左右の電子線にそれぞれ異なる偏向角度を与えることが可能となる。そのため、当該電子線バイプリズム装置よりも下流側の試料の像面において、物体波と参照波の位相差のコントロールが可能となる。すなわち、干渉顕微鏡像として記録される試料の像とその像に重畳された干渉縞との相対的な位置関係を、試料の像とその位置を変化させること無く高精度に変調させることができ、縞走査法が実施可能となる。
本発明における電子線バイプリズム装置の一例について以下具体例に沿って説明する。図6に電子線バイプリズム装置の機構を模式的に示す。最上段に電子線バイプリズムがあり、その電子線の進行方向下流側に2段からなる偏向器が配置されている。例えば、電子線バイプリズムによって分離され、光軸2に対称に互いに向き合う方向に角度αだけ偏向された2本の電子線(22、24)は、共に下流側の2段偏向器によって電子線バイプリズムのフィラメント電極9を含む平面(電子線バイプリズムの偏向点85を含む光軸に垂直な平面855)内に偏向点を持ち86、最終的に角度βだけ偏向を受けるとする。
このとき、光軸下向き(電子線の進行方向)にZ軸をとり、進行方向右回りを角度の正方向と定めると、図6の紙面上左側の電子線22は、電子線バイプリズムで−α、2段の偏向器で+βの偏向を受け、該電子線バイプリズム装置を射出する電子線の光軸2に対する角度は−α+βとなる。同様に紙面上右側の電子線24は、電子線バイプリズムで+α、2段の偏向器で+βの偏向を受け、該電子線バイプリズム装置を射出する電子線の光軸2に対する角度は+α+βとなる。
結果的に、2つの電子線(22、24)の角度差は2αで、電子線バイプリズムのフィラメント電極9を通過後と変わっていない。しかし、電子線バイプリズム装置を射出後の2つの電子線(22、24)は角度βだけ一方向に傾き、光軸2に対して非対称となっている。
2つの偏向角αとβの関係は、上流側の電子線バイプリズムの偏向点85を含む光軸に垂直な平面855と下流側の2段の偏向器の偏向点86を含む光軸に垂直な平面865が一致した場合にのみ、この様な簡単な関係で記述することが可能となる。すなわち、下流側の2段の偏向器による偏向点86を含む光軸に垂直な平面865の位置の制御が、2つの電子線(22、24)の位相差の制御にとって重要である。
図7は左右の電子線(22、24)の偏向角度が光軸2に対して非対称となる場合を、光学複プリズムに置き換えて示した例である。図7(a)は、従来の電子線バイプリズムに対応するフレネルの複プリズム45とその偏向の様子を示している。
光源の実像11から射出した光線(22、24)は光軸2上の伝播経路に配置された複プリズム45により互いに光軸2に向き合う方向に偏向される。これは結果的に、虚の2つの光源12から射出した2つの光線(22、24)に相当し、複プリズム45の下流側で重畳され干渉縞8を発生させる。
図7(b)は、本願による電子線バイプリズム装置に対応する複プリズム46とその偏向の様子を示している。複プリズム46の辺部の角度が左右で異なることにより、左右の光線(22、24)への偏向角度が異なっている。そのため、虚光源12の位置が光軸2に対して非対称となり、結果として左右の光線(22、24)の位相差が干渉縞8の縞の位置を変化させる。
図8には、本願における電子線バイプリズム装置の外観の一例を示す。従来の電子線バイプリズムの機構内に、電子線バイプリズム91に加えてさらに下流側に2段の偏向器(81、82)を組込んだ機構となっている。このため、電子線バイプリズム91と2段の偏向器(81、82)は一体として、電子線装置の光軸2と垂直な面内で2方向(X、Y軸方向)への微動、光軸2と平行な軸を回転軸とした方位角の回転、電子線の経路内への機構の着脱が可能である。電子線バイプリズム91による光軸2を含む偏向面と2段の偏向器(81、82)のそれぞれの光軸2を含む偏向面は一致させる必要があるが、これは機械的精度によって達成させることが可能である。
続いて、電子線バイプリズムと2段偏向器の構成について以下説明する。
本例の電子線バイプリズム装置は、電子線バイプリズム91と2段からなる偏向器(81、82)の3段構成となっている。そのため、光軸方向に配置する順序には、図9に示す3通りの構成が可能となる。すなわち、図9(a)は図6と同様の構成を表しており、電子線の進行方向順に上流側から、電子線バイプリズム91、第1の偏向器81、第2の偏向器82の3段構成である。図9(b)は、電子線バイプリズム91と第1の偏向器81の順が入れ替わり、第1の偏向器81、電子線バイプリズム91、第2の偏向器82の順の3段構成である。図9(c)は、電子線バイプリズム91が最下流側に位置する構成で、第1の偏向器81、第2の偏向器82、電子線バイプリズム91の順の3段構成である。いずれの構成においても、光軸下向き(電子線の進行方向)にZ軸をとり、原点を電子線バイプリズムのフィラメント電極9と一致させ、進行方向右回りを角度の正方向と定めると、電子線バイプリズム91による偏向点85を含む光軸に垂直な平面855と2段偏向器(81、82)による合成された偏向点86を含む光軸に垂直な平面865を一致させるための条件は、2段偏向器(81、82)の偏向角度と偏向器の位置を用いて図16に示す〔数5〕のような関係式で表すことができる。
ここで、d1はZ座標原点から見た第1の偏向器81による偏向点のZ座標値、d2はZ座標原点から見た第2の偏向器82による偏向点のZ座標値であり、β1は第1の偏向器81による偏向角度、β2は第2の偏向器82による偏向角度である。定義に従いそれぞれ正負の値をとる。
〔数5〕に基づき2段の偏向器(81、82)の各々の偏向角度を制御するとき、2段の偏向器(81、82)による合成された偏向点86を含む光軸に垂直な平面865は、常にZ座標原点に垂直な平面に一致する。このときの2段の偏向器(81、82)による合成された偏向角度βは、β1+β2(=β)である。
図9の(a)、(b)、(c)を見比べれば明らかな様に、図9(b)では、第1の偏向器81と第2の偏向器82による偏向角度はそれぞれ同方向であるのに対して、図9(a)、図9(c)の構成では、第1の偏向器81と第2の偏向器82による偏向角度は互いに逆方向である。すなわち、電子線バイプリズム装置の耐電圧特性の観点からは、図9(b)の構成が有利である。
各偏向器の偏向角度は、〔数5〕に基づき実験時に変更可能であるが、一方、各偏向器と電子線バイプリズム間の距離や偏向器の電極サイズなどは、機構の設計時に決まる定数である。すなわち〔数5〕から明らかな様に、偏向角度βと偏向器への印加電圧VBDは比例関係にあるため、第1の偏向器81への印加電圧と第2の偏向器82への印加電圧の比が所定の一定値となるように制御すれば良い。なお、この2段の偏向器(81、82)による偏向角度βと電子線バイプリズム91による偏向角度αは独立である。
続いて、2段電子線バイプリズム干渉計における縞走査法の構成の一例について以下説明する。図10は、電子線バイプリズム装置93を用いた2段電子線バイプリズム干渉計において縞走査法を実施するための光学系の構成例である。電子線バイプリズム装置93は、図9(a)に示した上流側から、電子線バイプリズム91、第1の偏向器81、第2の偏向器82、の3段構成の機構を用いている。
2段電子線バイプリズム干渉計において上段の電子線バイプリズムとして、電子線バイプリズム装置93を用いており、試料の像面71は、電子線バイプリズム91のフィラメント電極の位置、すなわち電子線バイプリズム91による偏向点85を含む光軸に垂直な平面855に一致するよう構築されている。この結果、試料像面71、電子線バイプリズム91による偏向点85を含む光軸に垂直な平面855、2段偏向器による偏向点86を含む光軸に垂直な平面865が、電子光学上全て一致した平面内に構成される。これは、設計上、機械的に定まった電子線バイプリズムによる偏向点85を含む光軸に垂直な平面855に対して、像面71は対物レンズ5により合わせ込み、2段の偏向器(81、82)による偏向点86を含む光軸に垂直な平面865は、先述のとおり第1の偏向器81と第2の偏向器82による偏向角度の調整により、それぞれ独立に合わせ込むことが可能である。
縞走査法の実施に当っては、
(1)上段の電子線バイプリズム(本願の電子線バイプリズム装置93内の電子線バイプリズム91)と下段の電子線バイプリズム95により干渉顕微鏡像(8と32)の干渉縞間隔・干渉領域幅を決定した後、
(2)本願による2段の偏向器(81、82)によって2つの電子波(21、23)の位相差を制御して干渉縞8の縞位置を変調する、
という手順となる。すなわち、電子線に対して対物レンズ5による試料3の結像と上段の電子線バイプリズム91による干渉のための偏向が成された後に2段の偏向器(81、82)による偏向角度の変調操作とがこの順に実施されるため、本実施例で示した、電子線バイプリズム91、第1の偏向器81、第2の偏向器82、の順の構成が、縞走査法にとって最も好適な構成である。
(1)上段の電子線バイプリズム(本願の電子線バイプリズム装置93内の電子線バイプリズム91)と下段の電子線バイプリズム95により干渉顕微鏡像(8と32)の干渉縞間隔・干渉領域幅を決定した後、
(2)本願による2段の偏向器(81、82)によって2つの電子波(21、23)の位相差を制御して干渉縞8の縞位置を変調する、
という手順となる。すなわち、電子線に対して対物レンズ5による試料3の結像と上段の電子線バイプリズム91による干渉のための偏向が成された後に2段の偏向器(81、82)による偏向角度の変調操作とがこの順に実施されるため、本実施例で示した、電子線バイプリズム91、第1の偏向器81、第2の偏向器82、の順の構成が、縞走査法にとって最も好適な構成である。
図11に本願の電子線バイプリズム装置93を上段の電子線バイプリズムとして搭載した電子顕微鏡システムの構成を模式的に示す。すなわち、対物レンズ5の下流側の電子線バイプリズム装置93は、第1の電子線バイプリズム91と下流側に2段の偏向器(81、82)を含む一体機構となっており、第1の結像レンズ61を介した下流側に第2の電子線バイプリズム95が配置されている。
第1、第2の電子線バイプリズム(91、95)により干渉縞間隔や干渉領域幅が定まった干渉顕微鏡像88は、2段の偏向器(81、82)による偏向作用によって2つの電子波の位相差が制御され、干渉縞8の縞位置が変調される。所定の干渉条件に決定された試料の干渉顕微鏡像88は、第1、第2、第3、第4の結像レンズ(61、62、63、64)を経て所定の倍率に調整され、観察記録面89で画像観察・記録媒体79(例えばTVカメラやCCDカメラ)により記録される。
その後、演算処理装置77により振幅像、位相像などに再生され、例えばモニタ76などに表示される。
図11は、従来型の加速電圧100kVから300kVの電子顕微鏡を想定して描いているが、図11中の電子顕微鏡光学系の構成要素はこの図に限られるものではない。さらに、実際の装置ではこの図11に示した構成要素以外に、電子線の進行方向を変化させる本願とは別なる偏向系、電子線の透過領域を制限する絞り機構などが存在する。しかし、これらの構成要素は本発明には直接的な関係が無いので、この図では省略している。さらに、電子光学系は真空容器18中に組み立てられ真空ポンプにて継続的に排気されているが、真空排気系についても本発明とは直接の関係が無いため省略する。
次に、2段電子線バイプリズム干渉計における縞走査法の構成の別例を以下説明する。図12は、電子線バイプリズム装置93を用いた2段電子線バイプリズム干渉計において縞走査法を実施するための光学系の第2の構成例である。
電子線バイプリズム装置93は、図9(b)に示した、上流側から、第1の偏向器81、電子線バイプリズム91、第2の偏向器82、の3段構成の機構を用いている。2段電子線バイプリズム干渉計において上段の電子線バイプリズムとして電子線バイプリズム装置93を用いており、試料の像面71は電子線バイプリズム91のフィラメント電極位置、すなわち電子線バイプリズムによる偏向点85を含む光軸に垂直な平面855に一致するよう構築される。
試料像面71、電子線バイプリズムによる偏向点85を含む光軸に垂直な平面855、2段の偏向器による偏向点86を含む光軸に垂直な平面865が、電子光学上一致した面に構成される点は実施例2の構成例と同一である。そのため、機械的に定まった電子線バイプリズムによる偏向点85を含む光軸に垂直な平面855に対して、像面71は対物レンズ5により合わせ込み、2段の偏向器(81、82)による偏向点86を含む光軸に垂直な平面865は第1の偏向器81と第2の偏向器82による偏向角度の調整により、それぞれ独立に合わせ込むことについても同様とする。
図9で説明した様に、本第2の構成例では、第1、第2の偏向器による偏向角度はそれぞれ同方向であり、偏向器の耐電圧特性の観点からは、本構成が最も有利である。電子顕微鏡への搭載の様子は、実施例2の図11と同様であるため省略する。
次に、2段電子線バイプリズム干渉計における縞走査法の構成の別例を以下説明する。図13は、電子線バイプリズム装置93を用いた2段電子線バイプリズム干渉計において縞走査法を実施するための光学系の第3の構成例である。電子線バイプリズム装置93は、図9(c)に示した、上流側から、第1の偏向器81、第2の偏向器82、電子線バイプリズム91、の3段構成の機構を用いている。
2段電子線バイプリズム干渉計において上段の電子線バイプリズムとして電子線バイプリズム装置93を用いており、試料の像面71は電子線バイプリズム91のフィラメント電極位置、すなわち電子線バイプリズム91による偏向点85を含む光軸に垂直な平面855に一致するよう構築される。試料像面71、電子線バイプリズム91による偏向点85を含む光軸に垂直な平面855、2段偏向器による偏向点86を含む光軸に垂直な平面865が、電子光学上一致した点に構成される点は実施例2,3と同様である。
加えて、機械的に定まった電子線バイプリズムによる偏向点85を含む光軸に垂直な平面855に対して、像面71は対物レンズ5により合わせ込み、2段の偏向器による偏向点86を含む光軸に垂直な平面865は第1、第2の偏向器(81、82)による偏向角度の調整により、それぞれ独立に合わせ込むことなどについても、実施例2,3での構成例と同様である。
例えば、図8で説明した一体型機構となった装置であれば、装置の上下を逆に設置することにより、本構成は直ちに実現可能である。
本構成は実施例2や実施例3と比較して試料の像面71が最も下流側に位置するため、対物レンズ5による試料像31の拡大率を、実施例3での第1の構成例や実施例4での第2の構成例よりも大きくすることが可能である。また、上記3つの構成例の中では最も縞間隔の狭い干渉顕微鏡像(8と32)を得ることが可能である。電子顕微鏡への搭載の様子は、実施例3の図11と同様であるため省略する。
図14は、電子線バイプリズム装置93を用いた従来型の干渉計(電子線バイプリズムは1つだけを使用する)において縞走査法を実施するための構成例である。電子線バイプリズムとして本願における電子線バイプリズム装置93のみを利用し、本願における偏向器も1段のみを利用する。図14では図9(a)の構成を想定するとともに、本願における第1の偏向器81の偏向角度β1をゼロ、すなわち第1の偏向器81の平行平板電極には電圧を印加しない構成を想定している。本願における電子線バイプリズム装置93の電子線バイプリズム91を対物レンズ5と試料の像面71との間に配置すると共に、第2の偏向器82の偏向点84を含む光軸に垂直な平面845が試料の像面71に一致するように光学系を構築している。電子線バイプリズムにより定まった干渉顕微鏡像(8と31)を構成する物体波21と参照波23の2つの電子波を、第2の偏向器82で偏向する構成である。試料の像面位置71で与えられる偏向であるため、試料像31の位置は変化せず、物体波21と参照波23の2つの電子波の位相差のみが変調される。すなわち、縞走査法が可能である。但し、本光学系は従来型の干渉光学系であるため、2段電子線バイプリズム干渉計の利点である干渉縞間隔と干渉領域幅のコントロールや、干渉顕微鏡像へのフレネル縞の重畳回避などは実現不可能である。
なお、本構成例では、2段の偏向器のうち、下流側の第2の偏向器82を用いるとしたが、第1の偏向器81による偏向点83を含む光軸に垂直な平面835であっても、第1と第2の偏向器による合成された偏向点86を含む光軸に垂直な平面865であっても、試料の像面71に一致させれば、同様の効果が得られる。
図15は、本願による電子線バイプリズム装置93を用いた従来型の干渉計(電子線バイプリズムは1つだけを使用する)において縞走査法を実施するための第2の構成例である。
電子線バイプリズムとして本願における電子線バイプリズム装置93のみを利用し、本願における偏向器も1段のみを利用する点は、実施例5における第1の構成例と同様である。図15では図9(c)の構成を想定している。また、本願における第1の偏向器81の偏向角度β1をゼロ、すなわち第1の偏向器81の平行平板電極には電圧を印加しない構成を想定している。本願における電子線バイプリズム装置93の電子線バイプリズム91を対物レンズ5による試料の像面71と第1の結像レンズ61との間に配置すると共に、第2の偏向器82の偏向点84を含む光軸に垂直な平面845が試料の像面71に一致するように光学系を構築している。
ここで、電子線バイプリズム91の位置が、試料像31と結像レンズ61の間であるため、干渉を作り出すためにフィラメント電極9に印加する電圧は負の電圧であり、印加電圧の正負が実施例6での光学系とは異なっているが、これは本質的な違いではない。未だ干渉を生じていない物体波21と参照波23の伝播方向を、試料3の像面71に位置する第2の偏向器82で偏向する構成である。試料の像面位置71で与えられる偏向であるため、原理的には試料像31および32の位置は変化せず、結像レンズ61を介した後に物体波21と参照波23の2つの電子線の位相差のみが変更される。
すなわち、縞走査法が可能である。但し、本光学系は従来型の干渉光学系であるため、2段電子線バイプリズム干渉計の利点である干渉縞間隔と干渉領域幅のコントロールや、干渉顕微鏡像へのフレネル縞の重畳回避などは実現困難である。なお、本構成例では、2段の偏向器のうち、下流側の第2の偏向器82を用いるとしたが、第1の偏向器81による偏向点83を含む光軸に垂直な平面835であっても、第1と第2の偏向器による合成された偏向点86を含む光軸に垂直な平面865であっても、試料の像面71と一致させれば、同様の効果が得られる。これらの点も実施例5と同様である。
1…電子源もしくは電子銃、11…対物レンズ下側の電子源の実像、12…電子源の虚像、112…対物レンズ下側の電子源の虚像、121…第1拡大レンズ下側の電子源の実像、122…第1拡大レンズ下側の電子源の虚像、13…光源の実像、18…真空容器、19…電子源の制御ユニット、2…光軸、21…物体波、22…物体波に対応する電子線の軌道、23…参照波、24…参照波に対応する電子線の軌道、27…電子線の軌道、28…入射電子線の虚の軌道、29…偏向後の電子線の虚の軌道、3…試料、31…対物レンズにより結像された試料の像、32…第1の結像レンズにより結像された試料の像、39…試料の制御ユニット、40…加速管、41…第1照射レンズ、42…第2照射レンズ、45…光学複プリズム、46…左右非対称な偏向を実現する光学複プリズム、47…第2照射レンズの制御ユニット、48…第1照射レンズの制御ユニット、49…加速管の制御ユニット、5…対物レンズ、51…制御系コンピュータ、52…制御系コンピュータのモニタ、53…制御系コンピュータのインターフェース、59…対物レンズの制御ユニット、61…第1結像レンズ、62…第2結像レンズ、63…第3結像レンズ、64…第4結像レンズ、66…第4結像レンズの制御ユニット、67…第3結像レンズの制御ユニット、68…第2結像レンズの制御ユニット、69…第1結像レンズの制御ユニット、71…対物レンズによる試料の像面、72…第1の結像レンズによる試料の像面、76…画像表示装置、77…画像記録・演算処理装置、78…画像観察・記録媒体の制御ユニット、79…画像観察・記録媒体、8…干渉縞、81…第1の偏向器、82…第2の偏向器、83…第1の偏向器による偏向点、835…偏向点83を含む光軸に垂直な平面、84…第2の偏向器による偏向点、845…偏向点84を含む光軸に垂直な平面、85…電子線バイプリズムによる偏向点、855…偏向点85を含む光軸に垂直な平面、86…第1の偏向器と第2の偏向器による合成された偏向点、865…偏向点86を含む光軸に垂直な平面、88…干渉顕微鏡像、89…観察・記録面、9…電子線バイプリズムのフィラメント電極、91…第1の電子線バイプリズム、93…電子線バイプリズム装置、95…第2の電子線バイプリズム、96…第2の電子線バイプリズムの制御ユニット、97…2段の偏向器の制御ユニット、98…第1の電子線バイプリズムの制御ユニット、99…平行平板接地電極
Claims (11)
- 透過型電子顕微鏡もしくは試料を透過した電子線のエネルギー分析を行う電子線装置で使用される電子線バイプリズム装置であって、該電子顕微鏡もしくは該電子線装置の光軸に沿って光軸上を電子源から観察あるいは記録装置の方向に伝播する該電子線に対して、該電子線を分割かつ偏向させる電子線バイプリズムと、該電子線バイプリズムが定める該電子線の偏向面と該光軸を含む電子光学上の同一平面内で該電子線バイプリズムとは独立に該電子線に対して偏向作用を与える少なくとも2つの偏向器と、から構成され、
前記電子線バイプリズムと前記偏向器が、前記電子線の伝播する方向の順に、前記電子線バイプリズムと、第1の偏向器と、第2の偏向器と、から構成されることを特徴とする電子線バイプリズム装置。 - 前記第1の偏向器が前記電子線に与える偏向角度と、前記第2の偏向器が前記電子線に与える偏向角度がそれぞれ調整されることによって、前記電子線バイプリズムが前記電子線に与える前記光軸上の偏向位置と、前記第2の偏向器を射出した後の前記電子線の対応する前記光軸上の偏向位置とが、一致していることを特徴とする請求項1に記載の電子線バイプリズム装置。
- 前記光軸を含む前記電子線の偏向面内において、前記光軸を軸とし、前記電子線バイプリズムが前記電子線に与える偏向位置を原点としてZ軸を定め、前記電子線の進行方向を正の方向、前記偏向面内の前記電子線の進行方向右回りを正の角度とし、
前記第1の偏向器が前記電子線に与える偏向角度をβ1とし、
前記第2の偏向器が前記電子線に与える偏向角度をβ2とし、
前記第1の偏向器の偏向位置のZ軸上の座標をd1とし、
前記第2の偏向器の偏向位置のZ軸上の座標をd2としたとき、
前記第1の偏向器と前記第2の偏向器が前記電子線へ与える偏向角度が以下の式の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の電子線バイプリズム装置。
- 前記電子線バイプリズムが前記電子線に与える偏向作用と、前記第1の偏向器が前記電子線に与える偏向作用と、前記第2の偏向器が前記電子線に与える偏向作用と、の少なくとも1つの偏向作用が、電界によるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子線バイプリズム装置。
- 前記電子線バイプリズムが前記電子線に与える偏向作用と、前記第1の偏向器が前記電子線に与える偏向作用と、前記第2の偏向器が前記電子線に与える偏向作用と、の少なくとも1つの偏向作用が、磁界によるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子線バイプリズム装置。
- 前記電子線バイプリズムと、前記電子線に偏向作用を与える前記第1の偏向器と、前記電子線に偏向作用を与える前記第2の偏向器とが、前記光軸に垂直な任意の方向に一体として移動可能であるとともに、前記光軸と平行な軸を中心として一体として回転可能であるとともに、前記電子線の光路上への挿入と前記電子線の光路上からの引出とが一体として成されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子線バイプリズム装置。
- 電子線の光源と、該光源から放出される電子線を試料に照射するための照射光学系と、該電子線が照射する試料を保持するための試料保持装置と、該試料の像を結像するための対物レンズを含む結像レンズ系と該試料像を観察あるいは記録するための装置を有する電子線装置であって、
該電子線装置の光軸上で該試料の配置される位置より該電子線の進行方向の下流側に該結像レンズ系に属する1つもしくは複数のレンズを介した該試料の像面位置に電子線バイプリズム装置が配置され、
該電子線の光軸上で該電子線バイプリズム装置よりも該電子線の進行方向の下流側に第2の電子線バイプリズムが配置され、
前記電子線バイプリズム装置が、該電子線装置の光軸に沿って前記光軸上を前記光源から前記観察あるいは記録するための装置の方向に伝播する該電子線に対して、該電子線を分割かつ偏向させる第1の電子線バイプリズムと、該電子線バイプリズムが定める該電子線の偏向面と該光軸を含む電子光学上の同一平面内で該電子線バイプリズムとは独立に該電子線に対して偏向作用を与える少なくとも2つの偏向器と、から構成されることを特徴とする電子線装置。 - 前記第2の電子線バイプリズムが、前記電子線バイプリズム装置によって作り出される電子線の陰の空間に位置することを特徴とする請求項7に記載の電子線装置。
- 前記電子線バイプリズムと前記偏向器が、前記電子線の伝播する方向の順に、前記電子線バイプリズムと、第1の偏向器と、第2の偏向器と、から構成されることを特徴とする請求項7もしくは8に記載の電子線装置。
- 前記電子線バイプリズムが前記電子線に与える偏向作用と、前記第1の偏向器が前記電子線に与える偏向作用と、前記第2の偏向器が前記電子線に与える偏向作用と、の少なくとも1つの偏向作用が、電界によるものであることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の電子線装置。
- 前記電子線バイプリズムと、前記電子線に偏向作用を与える前記第1の偏向器と、前記電子線に偏向作用を与える前記第2の偏向器とが、前記光軸に垂直な任意の方向に一体として移動可能であるとともに、前記光軸と平行な軸を中心として一体として回転可能であるとともに、前記電子線の光路上への挿入と前記電子線の光路上からの引出とが一体として成されることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の電子線装置。
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