JP2013229103A - 通気構造を備える車両用ランプ - Google Patents

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直 河村
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Abstract

【課題】車両用ランプの内外間における通気性を確保する一方で、外部から内部への防水性及び防塵性を高め、しかも低コストに構成することが可能な通気構造を備えた車両用ランプを提供する。
【解決手段】通気構造2は、ランプボディ11に設けた呼吸孔11aに臨んで設けられた通気筒22と、通気筒22の端部を覆うように通気筒22に取着されるキャップ23とを備える。通気筒22は内端部が互いに連結された径寸法が異なる複数の筒部221,222,223で構成され、キャップ23は通気筒22の最も内筒部223内に内挿されて通気筒22に係合する係止片234と、通気筒22の複数の筒部とでラビリンス構造の通気路Aを構成する複数の筒状リブ232,233とを備える。
【選択図】 図4

Description

本発明は自動車等の車両に装備されるランプに関し、特にランプの内外を通気させるための通気構造を備えた車両用ランプに関するものである。
自動車に設けられるランプは、ランプの内部に水滴や塵埃が侵入することがないように基本的にはランプ内部を気密に形成することが好ましいが、気密に形成すると温度低下時にランプ内に存在する水分が飽和してランプのレンズ面に結露が生じ、ランプ配光の点で好ましくない。このような飽和による結露を防止するためにランプの内外を通気させるための通気構造が設けられる。この通気構造として、呼吸孔とも称される開口をランプボディに開設することが行われているが、通気構造を単純な開口として構成するのみでは、当該開口を通して外部から水滴が侵入するおそれがある。これを防止するために特許文献1では、ランプボディに呼吸孔につながる筒状壁を設けてランプボディの内外の連通状態を確保する一方で、当該筒状壁の端部を閉塞するように嵌合される筒状のキャップを設け、このキャップによりランプボディ内への水滴の侵入を防止する構成が提案されている。
特開平8−31210号公報
特許文献1の通気構造は筒状壁の端部に筒状のキャップを嵌合させているが、このキャップは樹脂で形成されているため筒状壁に対する嵌合力が低く、また、経年変化によって嵌合力が低下されやすく、外力を受けたときにキャップが外れ易いという問題がある。嵌合力を高めるためにはキャップをゴム等の高弾性部材で形成すればよいが、樹脂キャップに比較してコスト高になるとともに、ゴム等は樹脂に比較して劣化が早く、耐久性の点でも問題がある。また、特許文献1には存在していないが、この種の通気構造ではランプ内への塵埃等が侵入することを防止するために防塵フィルタを介装することも行われるため、経年使用によって防塵フィルタに目詰まりが生じ、あるいは防塵フィルタが劣化して防塵機能が低下するという問題もある。さらに、防塵フィルタは通気構造のサイズや形状に対応させて製造されるため、通気構造の設計変更によって防塵フィルタも設計変更しなければならず、そのための工数や管理が煩雑なものになり、この面からのコスト高をまねくという問題もある。
本発明の目的はランプの内外間における通気性を確保する一方で、外部から内部への防水性及び防塵性を高め、しかも低コストに構成することが可能な通気構造を備えた車両用ランプを提供するものである。
本発明はランプボディに設けた呼吸孔に臨んで設けられた通気筒と、通気筒の端部を覆うように当該通気筒に取着されるキャップとを含む通気構造を備える車両用ランプであって、通気筒は内端部が互いに連結された径寸法が異なる複数の筒部で構成され、キャップは通気筒の筒部内に内挿されて通気筒に係合する係止片と、通気筒の複数の筒部とでラビリンス構造の通気路を構成する複数の筒状リブとを備えることを特徴とする。
本発明において、複数の筒部は同心配置された円形筒部として構成されるとともに各内端部において端壁によって一体に連結され、複数の筒状リブは通気筒の径方向に隣接する筒部間に生じる円環状の空隙内にそれぞれ先端部が筒軸方向に内挿される円形筒状に形成される。また、複数の筒部の最も外側の筒部の円周一部に切欠きが設けられ、この切欠き及び空隙を通して呼吸孔がランプボディの外部に連通される通気路が構成される。さらに、本発明において、係止片はキャップの内面から筒軸方向に延長され、自身の弾性力によって最も内側の筒部の内周面に設けた係止突起あるいは当該筒部の内縁部に係合する係止爪を備える。
本発明によれば、キャップに設けた係止片によってキャップが通気筒に取着した状態が保持されるので、キャップを樹脂で構成しても好適な取着状態が保持でき、耐久性のある、しかも低コストの通気構造が実現できる。また、通気筒の筒部とキャップの筒状リブとで径方向及び筒軸方向に沿ったラビリンス構造の通気路を構成するので、ランプボディの内部と外部との通気を確保する一方で、外部の水滴や塵埃がランプボディ内に侵入することを防止できる。これにより、防塵フィルタが不用なり、部品点数を削減して低コスト化を図ることもできる。
本発明の通気構造を備えた車両用灯具を背面側から見た概略斜視図。 通気構造の外観斜視図。 通気構造の部分分解斜視図。 図2のIV−IV線断面図。 変形例の断面図。 変形例の外観斜視図。
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の通気構造を備えた自動車用ランプを背面側から見た概略斜視図であり、車両用ランプLはランプボディ11と前面レンズ12とでランプハウジング1が構成されており、このランプハウジング1内には詳細な図示は省略するが、当該ランプボディ11の背面に設けた開口からランプボディ11の内側に取付固定されたリフレクタに取着された光源バルブ13が内装されている。また、前記ランプボディ11の背面の一部には、ランプハウジング1の内部と外部とを通気させるための本発明にかかる通気構造2が配設されている。
図2は前記通気構造2を拡大図示した外観斜視図、図3はその部分分解斜視図、図4は図2のIV−IV線縦断面図である。これらの図において、前記ランプボディ11の背面には円形の呼吸孔11aが開口されており、この呼吸孔11aの周囲を囲むように通気構造2の円筒状をした通気筒22がランプボディ11と一体に形成されている。また、この通気筒22の後方に向けて突出された先端部には全体として短円筒状をしたキャップ23が嵌合され、通気筒22の先端部を閉塞している。
前記通気筒22は、前記呼吸孔11aの外径寸法よりも大きな径寸法の筒内空間21を有する円筒状をした外筒部221と、この外筒部221と同心に配置されるが筒軸方向の長さが外筒部221よりも短く、ここではほぼ半分以下の長さをし、しかも先端が前記外筒部221の先端よりも若干内側に後退位置されている中筒部222及び内筒部223の3つの筒部で構成されている。そして、前記中筒部222及び内筒部223の各内側端部は、前記外筒部221の内周の筒軸方向の一部から内径方向に突出された円環状をした端壁224に連結され、これら外筒部221と中筒部222と内筒部223の各内側の端部間は当該端壁224によって閉塞されている。なお、前記外筒部221、中筒部222、内筒部223はそれぞれ先端に向けて肉厚が徐々に低減するテーパ状の断面に形成されている。
前記外筒部221は下辺の円周一部に切欠き225が設けられ、この切欠き225を通して外筒部221の内径側の領域と外径側の領域が互いに連通されている。また、外筒部221の両側には当該切欠きを左右から覆うようなスカート片226が下方に向けて延長され、左右方向から飛散してくる水滴が切欠き225内に侵入することを防止する。内筒部223は内径側の領域が前記呼吸孔21を通してランプハウジング1の内部に連通されるとともに、その内周面の筒軸方向の一部に内径方向に突出した環状の係止突起227が一体に設けられている。
前記キャップ23は前記通気筒22の外筒部221にほぼ等しい外径寸法の円形板状をした底板部231を有し、この底板部231の一方の面、すなわち内面には同心の円筒状をした大径筒状リブ232及び小径筒状リブ233が立設されている。さらに、小径筒状リブ233の内径側の位置には円周方向の3箇所において筒軸方向に延びる3つの舌片状をした係止片234が立設されている。
前記大径筒状リブ232は前記通気筒22の外筒部221と中筒部222の中間の径寸法で、かつ中筒部222よりも筒軸方向の長さが多少短く形成されており、後述するように外筒部221と中筒部222との間の円環状の隙間に筒軸方向から進入されるようになっている。また、小径筒状リブ233は前記通気筒22の中筒部222と内筒部223の中間の径寸法で、かつ内筒部223よりも筒軸方向の長さが多少短く形成されており、後述するように中筒部222と内筒部223との間の円環状の隙間に筒軸方向から進入されるようになっている。前記大径筒状リブ232と小径筒状リブ233は先端に向けて肉厚が徐々に低減するテーパ状の断面に形成されている。前記3つの係止片234はそれぞれの内端部に径方向の外側に向けたフック状の係止爪235を有し、これらの係止爪235は前記内筒部223の内部に内挿され、内挿されたときに後述するように係止爪235が係止突起227に径方向に係合されるようになっている。
この構成の通気構造2では、通気筒22にキャップ23を取着する際には、当該キャップ23を通気筒22の先端側から嵌合させると、キャップ23の大径筒状リブ232は通気筒22の外筒部221と中筒部222の間の環状空間内に筒軸方向から進入され、小径筒状リブ233は中筒部222と内筒部223の間の環状空間内に筒軸方向から進入される。また、キャップ23の3つの係止片234は係止爪235が係止突起227に当接されて弾性変形によって縮径されながら係止突起227を乗り越え、乗り越えたときに拡径方向に弾性変形して当該係止突起227に係合する。このときキャップ23の底板部231は周縁において外筒部221の先端に筒軸方向に当接され、若干の弾性変形による反力によって係止爪235と係止突起227との係合状態が保持される。これにより、キャップ23は係止片234と係止突起227との係合により通気筒22に取着された状態に保持され、通気筒22の先端を閉塞することになる。また、このキャップ23の取着に際し、通気筒22の各筒部221〜223は円筒状に形成されており、キャップ23の各筒状リブ232,233も円筒状であるので、通気筒22に対してキャップ23は円周方向の位置が特定されることがなく、いずれの円周方向の位置でも取着が可能であるので、キャップ23を取着する際の作業性が改善される。
一方、通気筒22にキャップ23を取着した状態では、通気筒22の外筒部221、中筒部222、内筒部223と、キャップ23の大径筒状リブ232、小径筒状リブ233の間にそれぞれ径方向及び筒軸方向の隙間が生じている。そのため、ランプハウジング1の内部に対しては、図4に破線で示すように、呼吸孔11a−筒内空間21−内筒部223の内部−内筒部223と小径筒状リブ233との隙間−小径筒状リブ233と中筒部222との隙間−中筒部222と大径筒状リブ232との隙間−大径筒状リブ232と外筒部221との隙間−外筒部221の切欠き225を介した通気路Aが構成され、この通気路Aによってランプハウジング1の内部が外部に連通されることになる。すなわち、通気筒22及びキャップ23の内径側から外径側に筒軸方向に交互に折り返しながらランプハウジング1の内部と外部とが通気されることになる。この折り返し状態の連通は、いわゆるラビリンス(迷路)構造となるため、仮に外部の水滴や塵埃がキャップ23と通気筒22との隙間に侵入しても、このラビリンス構造によって筒内空間21ないしランプボディ11の呼吸孔11aにまで達することは難しく、これらの水滴や塵埃がランプハウジング1内に侵入することを防止することができる。また、外筒部221に設けたスカート片226によって通気構造2の両側方から飛散してくる水滴を遮蔽し、切欠き225から水滴が内部に侵入するようなこともない。
したがって、この通気構造2によれば、キャップ23を樹脂で構成しても、係止片234と係止突起227との係合によってキャップ23が通気筒22に保持されるので、キャップ23が経年変化によって劣化するような場合でもキャップ23が簡単に通気筒22から脱落するようなこともなく、キャップ23による通気筒22の閉塞状態を保持することできる。また、ラビリンス構造による防塵効果や防水効果が得られるので、防塵フィルタや防水フィルタが不要になり、低コスト化が実現できる。さらに、特許文献1において設けられていたような通気筒22の上部領域及び下部領域を覆うための囲繞壁や遮水壁を設ける必要もなくなり、通気構造の構造を簡略化し、金型の簡略化や低コスト化に有利になる。
また、実施形態では通気筒22の外筒部221、中筒部222、内筒部223と、キャップ23の大径筒状リブ232及び小径筒状リブ233をそれぞれ先端に向けて肉厚が低減するテーパ状断面に形成しているので、各筒部や筒状リブに要求される機械的な強度を保持するとともに、これら筒部と筒状リブとによって形成されるラビリンス構造の通気路の径方向の隙間寸法をほぼ一定の寸法に確保することができ、通気路における円滑な通気の通流が確保でき、通気効果を高めることができる。
実施形態では、キャップ23を通気筒22に取着するために内筒部223の内周面に係止突起227を一体に形成しているが、図5に示すように、キャップ23の係止片234の長さを内筒部223の軸方向の長さにほぼ等しい長さに形成し、係止片234の係止爪235を内筒部223の内縁部に係合させるように構成してもよい。このようにすることで係止突起が不要になり、内筒部223ないし通気筒22を成形する際の金型構造を簡易化し、低コスト化に有利になる。なお、係止爪235が係合する係止突起227の角部や、内筒部223の内縁部の角部を円弧状断面に形成することで、係止爪235が係脱する際の摩耗等が抑制でき、摩耗による異物の発生を防止ないし抑制することができる。また、係止片234は通気筒22からキャップ23が脱落することを防止するのに必要な強度を備えるものであればよいので、係止片234の数は実施形態の3片に限られるものでなく、1片であってもよい。ただし、キャップを安定に保持する上では円周方向の対角位置に少なくとも2片備えることが好ましい。
ここで、通気筒22においては外筒部221の下辺に設けた切欠き225からの水滴の侵入を確実に防止するために、図6に示すように、外筒部221の下側領域を覆うように屋根型の遮水壁24を配設してもよい。この場合には、図2等に示したような外筒部221の両側に設けていたスカート片226を省略し、外筒部221ないし通気筒22の構成を簡略化し、製造を容易に行うことが可能になる。
本発明は内部を気密に構成した車両用ランプであって、内部を外部に通気させるための呼吸孔を備え、かつこの呼吸孔を防水、防塵するための通気構造を備える車両用ランプに採用することが可能である。
1 ランプハウジング
2 通気構造
11 ランプボディ
11a 呼吸孔
12 前面レンズ
21 筒内空間
22 通気筒
23 キャップ
221 外筒部
222 中筒部
223 内筒部
224 端壁
225 切欠き
226 スカート部
227 係止突起
231 底板部
232 大径円筒リブ
233 小径円筒リブ
234 係止片
235 係止爪


Claims (4)

  1. ランプボディに設けた呼吸孔に臨んで設けられた通気筒と、前記通気筒の端部を覆うように当該通気筒に取着されるキャップとを含む通気構造を備えた車両用ランプであって、前記通気筒は内端部が互いに連結された径寸法が異なる複数の筒部で構成され、前記キャップは前記通気筒の筒部内に内挿されて通気筒に係合する係止片と、前記通気筒の複数の筒部とでラビリンス構造の通気路を構成する複数の筒状リブとを備えることを特徴とする通気構造を備える車両用ランプ。
  2. 前記複数の筒部は同心配置された円形筒部として構成されるとともに各内端部において端壁によって一体に連結され、前記複数の筒状リブは前記通気筒の径方向に隣接する筒部間に生じる円環状の空隙内にそれぞれ先端部が筒軸方向に内挿される円形筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の通気構造を備える車両用ランプ。
  3. 前記複数の筒部の最も外側の筒部の円周一部に切欠きが設けられ、この切欠き及び前記空隙を通して前記呼吸孔が前記ランプボディの外部に連通される通気路が構成されることを特徴とする請求項2に記載の通気構造を備える車両用ランプ。
  4. 前記係止片は前記キャップの内面から筒軸方向に延長され、自身の弾性力によって前記内側の筒部の内周面に設けた係止突起あるいは当該筒部の内縁部に係合する係止爪を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の通気構造を備える車両用ランプ。


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