JP2013227452A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できるタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に用いた空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムを10質量%以上含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物。(R1R2R3Si−)mR7−Sp−X[−R8−Sq−R9(−SiR4R5R6)n]r(1)(式(1)中、R1、R2、及びR3の少なくとも1つ、並びにR4、R5、及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。Xは、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。m、nは、同一若しくは異なって、1〜5の整数、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜3の整数を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムを10質量%以上含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物。(R1R2R3Si−)mR7−Sp−X[−R8−Sq−R9(−SiR4R5R6)n]r(1)(式(1)中、R1、R2、及びR3の少なくとも1つ、並びにR4、R5、及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。Xは、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。m、nは、同一若しくは異なって、1〜5の整数、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜3の整数を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、自動車の低燃費化の要請に対応して、タイヤの転がり抵抗を低減して、発熱を抑えたタイヤの開発が進められている。特に、タイヤの部材のなかでもタイヤにおける占有比率の高いトレッドに対して、優れた低発熱性(低燃費性)が要求されている。このような問題を解決するために、タイヤのトレッドにおいて、補強用充填剤として使用されているカーボンブラックを、一部シリカに置き換えることがなされてきた。
さらに低発熱性を満足させる方法として、補強用充填剤であるシリカの配合量を減量する方法や、補強性の小さい充填剤を用いる方法が試みられているが、耐摩耗性やウェットグリップ性能が大きく低下するという問題があった。
一方、ゴム成分とシリカの結合をより強固にすることにより、低燃費性、耐摩耗性、及びウェットグリップ性能のバランスが優れたゴム組成物が得られることが期待される。そこで、シランカップリング剤を用いて、ゴム成分とシリカを化学的に結合することでシリカの補強性を増大させ、シリカの補強性をカーボンブラックと同程度にする試みが行われている。
シランカップリング剤としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のスルフィド系のシランカップリング剤が一般的に使用されている(例えば、特許文献1)。しかし、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上する点については改善の余地がある。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できるタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムを10質量%以上含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
(R1R2R3Si−)mR7−Sp−X[−R8−Sq−R9(−SiR4R5R6)n]r (1)
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(Y1−O)s−Y2(s個のY1は、同一又は異なって、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。Y2は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2、及びR3の少なくとも1つ、並びにR4、R5、及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。R1とR2、R1とR3、R2とR3、R4とR5、R4とR6、R5とR6とで環構造を形成してもよい。R7、R8、及びR9は、同一若しくは異なって、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Xは、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。m、nは、同一若しくは異なって、1〜5の整数、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜3の整数を表す。)
(R1R2R3Si−)mR7−Sp−X[−R8−Sq−R9(−SiR4R5R6)n]r (1)
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(Y1−O)s−Y2(s個のY1は、同一又は異なって、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。Y2は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2、及びR3の少なくとも1つ、並びにR4、R5、及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。R1とR2、R1とR3、R2とR3、R4とR5、R4とR6、R5とR6とで環構造を形成してもよい。R7、R8、及びR9は、同一若しくは異なって、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Xは、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。m、nは、同一若しくは異なって、1〜5の整数、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜3の整数を表す。)
式(1)において、m、nが1であり、Xが2価又は多価の炭素数3〜30の環状炭化水素基であることが好ましい。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤が、下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。
(式(1−1)中、R101、R102、及びR103は、同一若しくは異なって、炭素数1〜30のアルキレン基を表す。R104、R105、R106、R107、R108、及びR109は、同一若しくは異なって、式(1)中のR1〜R6と同一である。環Zは、炭素数3〜30のシクロアルカン環、炭素数3〜30のシクロアルケン環、又は炭素数8〜30のシクロアルキン環を表す。tは1〜10の整数、uは1〜3の整数を表す。)
上記シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムが、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を窒素、酸素、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する化合物で変性されたジエン系ゴムであることが好ましい。
上記シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムが、下記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴム、及び下記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(式(2)中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、又は環状エーテル基を表す。pは整数を表す。)
上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムが、アルコキシスチレン単位を主鎖中に有することが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、シリカ100質量部に対して、上記式(1)で表されるシランカップリング剤を0.5〜20質量部含むことが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、上記シリカのチッ素吸着比表面積が30〜500m2/gであり、ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含むことが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムを10質量%以上含むゴム成分と、シリカと、上記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できる。そして、該ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に使用することにより、上記性能に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴム(変性ジエン系ゴム)を10質量%以上含むゴム成分と、シリカと、上記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含む。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤は、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高い。更に、上記式(1)で表されるシランカップリング剤を、特定量の変性ジエン系ゴムと、シリカと併用することにより、低燃費性、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)を相乗的に向上でき、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴム(変性ジエン系ゴム)を含む。
変性ジエン系ゴムの骨格を構成するジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。なかでも、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能がバランスよく得られるという理由から、IR、BR、SBRが好ましく、BR、SBRがより好ましく、SBRが更に好ましい。
変性ジエン系ゴムとしては、例えば、上記ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を窒素、酸素、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴムや、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)等が挙げられる。
上記官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基等があげられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高いという理由から、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシシリル基(好ましくはアルコキシ部分の炭素数が1〜6のアルコキシシリル基)が好ましい。
上記変性剤としては、下記式(2)で表される化合物(特開2010−111753号公報に記載の化合物)が好ましい。これにより、ポリマーの分子量をコントロールし易く、tanδを増大させる低分子量成分を少なくすることができ、シリカとポリマー鎖の結合を強め、ウェットグリップ性能、低燃費性、耐摩耗性をより向上できる。
(式(2)中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、アルキル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、又は環状エーテル基(好ましくはエーテル結合を1つ有する炭素数3〜5の環状エーテル基(例えば、オキセタン基))を表す。pは整数(好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、更に好ましくは3)を表す。)
R11、R12及びR13としては、アルコキシ基が望ましく、R14及びR15としては、アルキル基が望ましい。これにより、優れたウェットグリップ性能、低燃費性、耐摩耗性を得ることができる。
上記式(2)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(2)で表される化合物(変性剤)によるジエン系ゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ジエン系ゴムと変性剤とを接触させればよく、調製したジエン系ゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法等が挙げられる。
また、主鎖変性ジエン系ゴムは、従来公知の手法を用いて重合できる。例えば、重合に使用するモノマーの一部として、上記官能基を有するモノマー(例えば、p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン等)を使用して重合することにより得られる。また、主鎖末端変性ジエン系ゴムは、例えば、主鎖変性ジエン系ゴムと変性剤とを接触させることにより得られる。アルコキシスチレン単位を主鎖中に有することにより、フィラーの分散性がより向上し、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をより向上できる。
変性ジエン系ゴム100質量%中のアルコキシスチレン成分の含有量(アルコキシスチレン成分モノマー量)は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。0.05質量%未満では、フィラーの分散性を充分に改善できないおそれがある。該含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。30質量%を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
なお、アルコキシスチレン成分モノマー量は、NMR(例えば、日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズの装置)を用いて測定できる。
なお、アルコキシスチレン成分モノマー量は、NMR(例えば、日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズの装置)を用いて測定できる。
上記変性ジエン系ゴムのなかでも、フィラーの分散性の改善効果が大きく、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高いという理由から、上記ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性されたブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましく、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴム、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムがより好ましく、アルコキシスチレン単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムが更に好ましい。
ゴム成分100質量%中の変性ジエン系ゴムの含有量は、10質量%以上、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。10質量%未満であると、充分な低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が得られない。該変性ジエン系ゴムの含有量は、100質量%であってもよいが、90質量%以下、80質量%以下であってもよい。
上記変性ジエン系ゴム以外に本発明に使用されるゴム成分としては、例えば、上述の変性ジエン系ゴムの骨格を構成するジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能がよりバランスよく得られるという理由から、上記変性ジエン系ゴムと共にBR、SBRを併用することが好ましく、BRを併用することがより好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含有量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなどを使用できる。なかでも、耐摩耗性の向上効果が高いという理由から、シス含有量が95質量%以上のBRが好ましい。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、充分な耐摩耗性や破壊性能が得られないおそれがある。該BRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。50質量%を超えると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できないおそれがある。
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、S−SBRが好ましい。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。30質量%未満であると、充分なウェットグリップ性能が得られないおそれがある。該SBRの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下、更に好ましくは70質量%以下、特に好ましくは60質量%以下である。80質量%を超えると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できないおそれがある。
本発明では、シリカが使用される。シリカを配合することにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能を向上できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、30m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。30m2/g未満では、破壊強度、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、シリカのN2SAは、500m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下が更に好ましい。500m2/gを超えると、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのチッ素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
なお、シリカのチッ素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは50質量部以上である。5質量部未満であると、シリカ配合による充分な効果が得られない傾向がある。上記シリカの含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、シリカのゴムへの分散が困難になり、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
シリカとカーボンブラック合計100質量%中のシリカの含有率は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、100質量%であってもよい。シリカの含有率が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明では、下記式(1)で表されるシランカップリング剤が使用される。下記式(1)で表されるシランカップリング剤を配合することにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能を向上できる。
(R1R2R3Si−)mR7−Sp−X[−R8−Sq−R9(−SiR4R5R6)n]r (1)
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(Y1−O)s−Y2(s個のY1は、同一又は異なって、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。Y2は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2、及びR3の少なくとも1つ、並びにR4、R5、及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。R1とR2、R1とR3、R2とR3、R4とR5、R4とR6、R5とR6とで環構造を形成してもよい。R7、R8、及びR9は、同一若しくは異なって、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Xは、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。m、nは、同一若しくは異なって、1〜5の整数、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜3の整数を表す。)
(R1R2R3Si−)mR7−Sp−X[−R8−Sq−R9(−SiR4R5R6)n]r (1)
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(Y1−O)s−Y2(s個のY1は、同一又は異なって、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。Y2は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2、及びR3の少なくとも1つ、並びにR4、R5、及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。R1とR2、R1とR3、R2とR3、R4とR5、R4とR6、R5とR6とで環構造を形成してもよい。R7、R8、及びR9は、同一若しくは異なって、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Xは、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。m、nは、同一若しくは異なって、1〜5の整数、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜3の整数を表す。)
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、へプトキシ基等が挙げられる。
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
−O−(Y1−O)s−Y2で表される基のY1は、同一又は異なって、炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニレン基、炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。
該炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニレン基、炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。
Y1の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
Y1の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。
Y1の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。
Y1の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
上記sは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、更に好ましくは5〜6)の整数を表す。
Y2は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。なかでも、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
Y2の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
Y2の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
Y2の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、上記R1、R2、R3、R4、R5、及びR6の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
Y2の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
R1、R2及びR3の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基であるが、R1、R2及びR3の少なくとも2つが炭素数1〜8のアルコキシ基であることが好ましく、R1、R2及びR3の全てが炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましい。
R4、R5及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基であるが、R4、R5及びR6の少なくとも2つが炭素数1〜8のアルコキシ基であることが好ましく、R4、R5及びR6の全てが炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましい。
R7、R8、及びR9は、同一若しくは異なって、2価又は多価の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜5)の炭化水素基を表す。R8の炭化水素基は、2価の炭化水素基である。また、R7及びR9の炭化水素基は、2価以上(2〜6価)の炭化水素基であるが、2価の炭化水素基であることが好ましい。なお、R7及びR9が、それぞれ、2価の炭化水素基である場合、m、nは、それぞれ1となる。
2価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキレン基、炭素数2〜30のアルケニレン基、炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基、炭素数7〜30のアラルキレン基等が挙げられる。
R7、R8、及びR9の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、例えば、上記Y1の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
R7、R8、及びR9の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜5)のアルケニレン基としては、上記Y1の炭素数2〜30のアルケニレン基と同様の基を挙げることができる。
R7、R8、及びR9の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜5)のアルキニレン基としては、上記Y1の炭素数2〜30のアルキニレン基と同様の基を挙げることができる。
R7、R8、及びR9の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜8)のアリーレン基としては、上記Y1の炭素数6〜30のアリーレン基と同様の基を挙げることができる。
R7、R8、及びR9としては、炭素数1〜30のアルキレン基が好ましい。
Xは、2価又は多価の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜30、より好ましくは炭素数3〜15、更に好ましくは炭素数4〜8)の炭化水素基を表す。
該炭化水素基は、2価以上(2〜4価)の炭化水素基であればよく、例えば、上記R7、R8、及びR9と同様の基や、炭素数3〜30の環状炭化水素基等が挙げられる。なかでも、炭素数3〜30の環状炭化水素基が好ましく、炭素数3〜30の単環の環状炭化水素基がより好ましく、炭素数3〜30の単環の環状飽和炭化水素基が更に好ましい。
炭素数3〜30(好ましくは炭素数3〜15、更に好ましくは炭素数4〜8)の環状炭化水素基としては、シクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキセニル基、シクロヘキシルシクロヘキシル基、シクロドデカトリエニル基、シクロヘキサントリイル基、エチルシクロヘキサントリイル基、エチルシクロヘキセントリイル基、シクロヘキサンテトライル基、エチルシクロヘキサンテトライル基、エチルシクロヘキセンテトライル基、ノルボルニレン基、ノルボルネニレン基、エチルノルボルニレン基、エチルノルボルネニレン基、エチリデニルノルボルニレン基、エチリデンノルボルニレン基、エチリデニルノルボルネニレン基、エチリデンノルボルネニレン基等が挙げられる。
炭素数3〜30(好ましくは炭素数3〜15、更に好ましくは炭素数4〜8)の単環の環状炭化水素基としては、例えば、上述のシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキセニル基、シクロドデカトリエニル基、シクロヘキサントリイル基、エチルシクロヘキサントリイル基、エチルシクロヘキセントリイル基、シクロヘキサンテトライル基、エチルシクロヘキサンテトライル基、エチルシクロヘキセンテトライル基等が挙げられる。
炭素数3〜30(好ましくは炭素数3〜15、更に好ましくは炭素数4〜8)の単環の環状飽和炭化水素基としては、例えば、上述のシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、シクロヘキサントリイル基、エチルシクロヘキサントリイル基、シクロヘキサンテトライル基、エチルシクロヘキサンテトライル基等が挙げられる。
mは、1〜5(好ましくは1〜2、より好ましくは1)の整数を表す。nは、1〜5(好ましくは1〜2、より好ましくは1)の整数を表す。pは0〜10(好ましくは0〜2、より好ましくは0)の整数を表す。qは1〜10(好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6)の整数を表す。rは1〜3(好ましくは2)の整数を表す。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、2−トリエトキシシリル−1,3−ビス−(3−トリエトキシシリル−1−プロピルテトラチア)プロパン、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(13−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアトリデシル)シクロヘキサン、4−(2−ジエトキシメチルシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(13−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアトリデシル)シクロヘキサン、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(10−トリエトキシシリル−3,4,5,6,7−ペンタチアデシル)シクロヘキサン、1−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2,4−ビス−(10−トリエトキシシリル−3,4,5,6,7−ペンタチアデシル)シクロヘキサン、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキサン、1−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2,4−ビス−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキサン、2−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,4−ビス−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキサン、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(8−トリエトキシシリル−3,4,5−トリチアオクチル)シクロヘキサン、1−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2,4−ビス−(8−トリエトキシシリル−3,4,5−トリチアオクチル)シクロヘキサン、2−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,4−ビス−(8−トリエトキシシリル−3,4,5−トリチアオクチル)シクロヘキサン、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキサン、2−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,4−ビス−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキサン、1−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2,4−ビス−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキサン、2−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)−2−(8−トリエトキシシリル−3,4,5−トリチアオクチル)シクロヘキサン、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)ベンゼン、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキシル]エチル]テトラスルフィド、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキシル]エチル]トリスルフィド、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキシル]エチル]ジスルフィド、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキシル]エチル]ジスルフィド、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキシル]エチル]トリスルフィド、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキシル]エチル]テトラスルフィド、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−2−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)フェニル]エチル]テトラスルフィド、ビス−[2−[4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−3−ビス−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキシル]エチル]トリスルフィド、ビス−[2−[4−(2−ジエトキシメチルシリル−1−エチル)−2−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキシル]エチル]ジスルフィドや、これらの異性体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果が好適に得られるという理由から、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキサン、4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキサンが好ましい。
なかでも、上記式(1)で表されるシランカップリング剤が、下記式(1−1)で表される化合物であることが好ましい。
(式(1−1)中、R101、R102、及びR103は、同一若しくは異なって、炭素数1〜30のアルキレン基を表す。R104、R105、R106、R107、R108、及びR109は、同一若しくは異なって、式(1)中のR1〜R6と同一である。環Zは、炭素数3〜30のシクロアルカン環、炭素数3〜30のシクロアルケン環、又は炭素数8〜30のシクロアルキン環を表す。tは1〜10の整数、uは1〜3の整数を表す。)
R101、R102、及びR103の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜5)のアルキレン基としては、上記Y1の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
R104、R105、R106、R107、R108、及びR109は、同一若しくは異なって、式(1)中のR1〜R6と同一であり、好ましい態様も式(1)中のR1〜R6と同様である。
環Zは、炭素数3〜30のシクロアルカン環、炭素数3〜30のシクロアルケン環、又は炭素数8〜30のシクロアルキン環を表す。
環Zの炭素数3〜30(好ましくは炭素数3〜15、更に好ましくは炭素数4〜8)のシクロアルカン環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロペプタン、シクロオクタン、シクロドデカン、シクロドコサン等が挙げられる。
環Zの炭素数3〜30(好ましくは炭素数3〜15、更に好ましくは炭素数4〜8)のシクロアルケン環としては、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロドデケン、シクロドコセン等が挙げられる。
炭素数8〜30(好ましくは炭素数8〜15、更に好ましくは炭素数8〜10)のシクロアルキン環としては、シクロオクチン、シクロドデキン、シクロドコシン等が挙げられる。
環Zとしては、炭素数3〜30のシクロアルカン環が好ましい。
tは1〜10(好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6)の整数を表す。uは1〜3(好ましくは2)の整数を表す。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤、上記式(1−1)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、特表2010−514907号公報、特表2010−514766号公報に記載の方法等により合成することができる。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤(好ましくは上記式(1−1)で表される化合物)の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、特に好ましくは5質量部以上である。0.5質量部未満であると、上記式(1)で表される化合物を配合したことにより得られる効果を充分に得られないおそれがある。また、該含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。20質量部を超えると、コストが高くなるだけで、配合量に見合った効果が得られないおそれがある。
本発明のゴム組成物は、上記式(1)で表されるシランカップリング剤とともに、他のシランカップリング剤を併用してもよい。他のシランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。なお、上記式(1)で表されるシランカップリング剤とともに、他のシランカップリング剤を配合する場合、シランカップリング剤の合計含有量は、上記式(1)で表されるシランカップリング剤を単独で配合する場合と同様である。
本発明のゴム組成物には、上記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、クレー等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル等の軟化剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明で使用できる軟化剤としては、特に限定するものではないが、例えば、オイルであればアロマチックオイル、プロセスオイル、パラフィンオイル等の鉱物油が挙げられる。これら軟化剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明では、本発明の効果が好適に得られるという理由から、オイルの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは5〜25質量部である。ここで、オイルの配合量には、油展ゴムに含まれるオイル量も含まれる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又は、キサンテート系加硫促進剤が挙げられる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)等が挙げられる。なかでも、TBBSが好ましく、TBBSとN,N’−ジフェニルグアニジンを併用してもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材(特に、トレッド)に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(特に、トレッド)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
また、本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、製造例1で使用した各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:東京化成工業(株)製
p−メトキシスチレン:関東化学(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
変性剤:アヅマックス社製の3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(上記式(2)で表される化合物)
2,6−tert−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製のノクラック200
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:東京化成工業(株)製
p−メトキシスチレン:関東化学(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
変性剤:アヅマックス社製の3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(上記式(2)で表される化合物)
2,6−tert−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製のノクラック200
(製造例1:主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴムの調製)
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、p−メトキシスチレン5mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間撹拌した。その後、変性剤を0.15mmol加えて、0℃で1時間撹拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により変性共重合体(主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム)を得た。
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、p−メトキシスチレン5mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間撹拌した。その後、変性剤を0.15mmol加えて、0℃で1時間撹拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により変性共重合体(主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム)を得た。
製造例1により得られた変性共重合体について、以下の方法により分析を行った。
(重量平均分子量(Mw))
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(変性共重合体中のアルコキシスチレン成分含有量、スチレン成分含有量の測定)
変性共重合体中のアルコキシスチレン成分含有量、スチレン成分含有量は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて測定した。
変性共重合体中のアルコキシスチレン成分含有量、スチレン成分含有量は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて測定した。
(製造例2:シランカップリング剤B(4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(7−トリエトキシシリル−3,4−ジチアヘプチル)シクロヘキサン)の調製)
三ツ口フラスコに1,2,4−トリビニルシクロヘキサン200gとVCAT触媒0.196gを封入した。空気を吹き込みながら110度まで加熱し、トリメトキシシラン120gをゆっくり滴下した。反応液を室温まで冷却し、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)ベンゼン0.3gを添加した。反応物を蒸留し(2−トリメトキシシリルエチル)ジビニルシクロヘキサンを得た。
(2−トリメトキシシリルエチル)ジビニルシクロヘキサン28.4gに21%のナトリウムエトキシド/エタノール溶液5gを窒素下で封入した。反応物を加熱し発生したメタノールとエタノールを蒸留によって除去した。
丸底フラスコにチオ酢酸21gを封入し、(2−トリメトキシシリルエチル)ジビニルシクロヘキサン40gを、ゆっくり滴下した。反応物を3時間攪拌し、その後室温まで冷却した。反応物を蒸留によって精製した。
丸底フラスコに(2−トリメトキシシリルエチル)ビス−(3−チア−4−オキソペンチル)シクロヘキサン200gとエタノール54g、21%のナトリウムエトキシド溶液10gを窒素下に封入した。反応物を90度で24時間加熱攪拌することで反応物から酢酸エチルおよびエタノールを除去した。同様の操作を数回行うことで反応物のpHを10程度にし、濾過精製することで(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサンを得た。
三ツ口フラスコに(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサン50gを封入した。21%のナトリウムエトキシド/エタノール溶液83g、エタノール15g、硫黄8.6gを攪拌しながら添加した。この溶液を3時間環流させ、次に3−クロロプロピルトリエトキシシラン62gをゆっくり滴下し、18時間環流させた。エタノールを除去し、下記式で表される化合物を異性体の混合物として得た。
三ツ口フラスコに1,2,4−トリビニルシクロヘキサン200gとVCAT触媒0.196gを封入した。空気を吹き込みながら110度まで加熱し、トリメトキシシラン120gをゆっくり滴下した。反応液を室温まで冷却し、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシルベンジル)ベンゼン0.3gを添加した。反応物を蒸留し(2−トリメトキシシリルエチル)ジビニルシクロヘキサンを得た。
(2−トリメトキシシリルエチル)ジビニルシクロヘキサン28.4gに21%のナトリウムエトキシド/エタノール溶液5gを窒素下で封入した。反応物を加熱し発生したメタノールとエタノールを蒸留によって除去した。
丸底フラスコにチオ酢酸21gを封入し、(2−トリメトキシシリルエチル)ジビニルシクロヘキサン40gを、ゆっくり滴下した。反応物を3時間攪拌し、その後室温まで冷却した。反応物を蒸留によって精製した。
丸底フラスコに(2−トリメトキシシリルエチル)ビス−(3−チア−4−オキソペンチル)シクロヘキサン200gとエタノール54g、21%のナトリウムエトキシド溶液10gを窒素下に封入した。反応物を90度で24時間加熱攪拌することで反応物から酢酸エチルおよびエタノールを除去した。同様の操作を数回行うことで反応物のpHを10程度にし、濾過精製することで(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサンを得た。
三ツ口フラスコに(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサン50gを封入した。21%のナトリウムエトキシド/エタノール溶液83g、エタノール15g、硫黄8.6gを攪拌しながら添加した。この溶液を3時間環流させ、次に3−クロロプロピルトリエトキシシラン62gをゆっくり滴下し、18時間環流させた。エタノールを除去し、下記式で表される化合物を異性体の混合物として得た。
(製造例3:シランカップリング剤C(4−(2−トリエトキシシリル−1−エチル)−1,2−ビス−(9−トリエトキシシリル−3,4,5,6−テトラチアノニル)シクロヘキサン)の調製)
シランカップリング剤Bと同様の方法で(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサンを合成した。
三ツ口フラスコに(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサン50gを封入した。21%のナトリウムエトキシド/エタノール溶液98g、エタノール60g、硫黄29gを攪拌しながら添加した。この溶液を3時間環流させ、次に3−クロロプロピルトリエトキシシラン74gをゆっくり滴下し、18時間環流させた。エタノールを除去し、下記式で表される化合物を異性体の混合物として得た。
シランカップリング剤Bと同様の方法で(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサンを合成した。
三ツ口フラスコに(2−トリエトキシシリルエチル)−ビス−(2−メルカプトエチル)シクロヘキサン50gを封入した。21%のナトリウムエトキシド/エタノール溶液98g、エタノール60g、硫黄29gを攪拌しながら添加した。この溶液を3時間環流させ、次に3−クロロプロピルトリエトキシシラン74gをゆっくり滴下し、18時間環流させた。エタノールを除去し、下記式で表される化合物を異性体の混合物として得た。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含有量:97質量%)
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol NS116(S−SBR、ビニル含有量:60質量%、スチレン含有量:20質量%)
変性SBR:上記製造例1で調製した主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(アルコキシスチレン単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴム、Mw:500000、アルコキシスチレン成分含有量:1.2質量%、スチレン成分含有量:19質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤A:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
シランカップリング剤B:製造例2で調製したシランカップリング剤
シランカップリング剤C:製造例3で調製したシランカップリング剤
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含有量:97質量%)
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol NS116(S−SBR、ビニル含有量:60質量%、スチレン含有量:20質量%)
変性SBR:上記製造例1で調製した主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(アルコキシスチレン単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴム、Mw:500000、アルコキシスチレン成分含有量:1.2質量%、スチレン成分含有量:19質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤A:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
シランカップリング剤B:製造例2で調製したシランカップリング剤
シランカップリング剤C:製造例3で調製したシランカップリング剤
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた加硫ゴム組成物について下記の評価を行った。結果を表1に示す。
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(各加硫ゴム組成物)の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1の損失正接tanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各例のtanδ)×100
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(各加硫ゴム組成物)の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1の損失正接tanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各例のtanδ)×100
(耐摩耗性)
得られた加硫ゴム組成物について、ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合(各加硫ゴム組成物)の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)/(各例の容積損失量)×100
得られた加硫ゴム組成物について、ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合(各加硫ゴム組成物)の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)/(各例の容積損失量)×100
(ウェットグリップ性能)
得られた加硫ゴム組成物について、(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片(加硫ゴム組成物)を用い、速度20km/h、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜50%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。結果は比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
得られた加硫ゴム組成物について、(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片(加硫ゴム組成物)を用い、速度20km/h、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜50%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。結果は比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
表1の結果より、変性SBRにシランカップリング剤B、Cを添加した実施例1、2は、未変性SBRにシランカップリング剤Bを添加した比較例1に比べて、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が優れていた。変性SBR/未変性SBR=20/50にシランカップリング剤Bを添加した実施例3も実施例1、2と同様に、比較例1に比べて、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が優れていた。変性SBRにシランカップリング剤Aを5質量部、シランカップリング剤Bを1質量部添加した実施例4は、比較例1に比べて、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が優れていた。一方、未変性SBRにシランカップリング剤Aを5.5質量部、シランカップリング剤Bを0.5質量部添加した比較例2は性能の向上がみられなかった。特定量未満の変性SBRにシランカップリング剤Bを添加した比較例3では、すべての性能が実施例に比べて劣っていた。
比較例1、4、5、実施例1の比較により、上記式(1)で表されるシランカップリング剤と、変性ジエン系ゴムを併用することにより、低燃費性、耐摩耗性(特に、耐摩耗性)を相乗的に向上できることが分かった。
Claims (10)
- シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムを10質量%以上含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物。
(R1R2R3Si−)mR7−Sp−X[−R8−Sq−R9(−SiR4R5R6)n]r (1)
(式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(Y1−O)s−Y2(s個のY1は、同一又は異なって、炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。Y2は、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、又は炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2、及びR3の少なくとも1つ、並びにR4、R5、及びR6の少なくとも1つが炭素数1〜8のアルコキシ基である。R1とR2、R1とR3、R2とR3、R4とR5、R4とR6、R5とR6とで環構造を形成してもよい。R7、R8、及びR9は、同一若しくは異なって、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Xは、2価又は多価の炭素数1〜30の炭化水素基を表す。m、nは、同一若しくは異なって、1〜5の整数、pは0〜10の整数、qは1〜10の整数、rは1〜3の整数を表す。) - 式(1)において、m、nが1であり、Xが2価又は多価の炭素数3〜30の環状炭化水素基である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムが、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を窒素、酸素、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する化合物で変性されたジエン系ゴムである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムが、アルコキシスチレン単位を主鎖中に有する請求項5記載のタイヤ用ゴム組成物。
- シリカ100質量部に対して、前記式(1)で表されるシランカップリング剤を0.5〜20質量部含む請求項1〜6のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記シリカのチッ素吸着比表面積が30〜500m2/gであり、ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含む請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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JP2016183219A (ja) * | 2015-03-25 | 2016-10-20 | 住友ゴム工業株式会社 | ゴム組成物およびタイヤ |
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-
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