JP2012158679A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できるタイヤ用ゴム組成物、及び空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】天然ゴムを5〜95質量%含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物。(R1R2R3Si−)mXn(−R4−Y)r(1)(式(1)中、R1、R2及びR3は、特定のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又は−O−(R5−O)s−R6(R5は、特定の炭化水素基を、R6は、特定のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R4は、不飽和結合を有する特定の炭化水素基。Xは、特定の炭化水素基、Yはハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数を表す。nは0又は1を表す。rは1〜3の整数を表す。)
【選択図】なし
【解決手段】天然ゴムを5〜95質量%含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物。(R1R2R3Si−)mXn(−R4−Y)r(1)(式(1)中、R1、R2及びR3は、特定のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又は−O−(R5−O)s−R6(R5は、特定の炭化水素基を、R6は、特定のアルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R4は、不飽和結合を有する特定の炭化水素基。Xは、特定の炭化水素基、Yはハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数を表す。nは0又は1を表す。rは1〜3の整数を表す。)
【選択図】なし
Description
本発明は、タイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤに関する。
近年、自動車の低燃費化の要請に対応して、タイヤの転がり抵抗を低減して、発熱を抑えたタイヤの開発が進められている。特に、タイヤの部材のなかでもタイヤにおける占有比率の高いトレッドに対して、優れた低発熱性(低燃費性)が要求されている。このような問題を解決するために、タイヤのトレッドにおいて、補強用充填剤として使用されているカーボンブラックを、一部シリカに置き換えることがなされてきた。
さらに低発熱性を満足させる方法として、補強用充填剤であるシリカの配合量を減量する方法や、補強性の小さい充填剤を用いる方法が試みられているが、耐摩耗性やウェットグリップ性能が大きく低下するという問題があった。
一方、ゴム成分とシリカの結合をより強固にすることにより、低燃費性、耐摩耗性、及びウェットグリップ性能のバランスが優れたゴム組成物が得られることが期待される。そこで、シランカップリング剤を用いて、ゴム成分とシリカを化学的に結合することでシリカの補強性を増大させ、シリカの補強性をカーボンブラックと同程度にする試みが行われている。
シランカップリング剤としては、硫黄(スルフィド結合)を含む構造を有するスルフィド系のシランカップリング剤が一般的に使用されており、該構造部分においてゴム成分と反応していた(例えば、特許文献1)。しかし、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上する点については改善の余地がある。
本発明は、前記課題を解決し、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できるタイヤ用ゴム組成物、及び該タイヤ用ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、天然ゴムを5〜95質量%含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
(R1R2R3Si−)mXn(−R4−Y)r (1)
(式(1)中、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(R5−O)s−R6(s個のR5は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R6は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R1とR2、R1とR3、又はR2とR3とで環構造を形成してもよい。R4は、同一又は異なって、不飽和結合を有する分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18の2価の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Xは、2価又は多価の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Yはハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数を表す。nは0又は1を表す。rは1〜3の整数を表す。)
(R1R2R3Si−)mXn(−R4−Y)r (1)
(式(1)中、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(R5−O)s−R6(s個のR5は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R6は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R1とR2、R1とR3、又はR2とR3とで環構造を形成してもよい。R4は、同一又は異なって、不飽和結合を有する分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18の2価の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Xは、2価又は多価の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Yはハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数を表す。nは0又は1を表す。rは1〜3の整数を表す。)
上記タイヤ用ゴム組成物は、シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムを含むことが好ましい。
上記シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムが、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を窒素、酸素、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する化合物で変性されたジエン系ゴムであることが好ましい。
上記シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムが、下記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴム、下記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴム、並びにリチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有量が50〜3000ppm、ビニル含有量が5〜50質量%及び分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であるスズ変性ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
(式(2)中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、分岐若しくは非分岐のアルキル基、分岐若しくは非分岐のアルコキシ基、分岐若しくは非分岐のシリルオキシ基、分岐若しくは非分岐のアセタール基、カルボキシル基、メルカプト基又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐のアルキル基、又は環状エーテル基を表す。pは整数を表す。)
上記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴムが、窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムが、アルコキシスチレン単位を主鎖中に有することが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含むことが好ましい。
メルカプト基を有するシランカップリング剤が下記式(3)で表されるシランカップリング剤及び/又は下記式(4)で示される結合単位Aと下記式(5)で示される結合単位Bからなるシランカップリング剤であることが好ましい。
(式(3)中、R21、R22及びR23は、同一若しくは異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、又は−O−(R25−O)q−R26(q個のR25は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R26は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。qは1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R24は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
(式(4)、(5)中、tは0以上の整数である。uは1以上の整数である。R31は水素、ハロゲン、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基若しくはアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニル基若しくはアルキニレン基、又は該アルキル基若しくは該アルケニル基の末端の水素が水酸基若しくはカルボキシル基で置換されたものを示す。R32は水素、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基若しくはアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基若しくはアルケニル基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基若しくはアルキニル基を示す。R31とR32とで環構造を形成してもよい。)
上記タイヤ用ゴム組成物は、シリカ100質量部に対して、上記式(1)で表されるシランカップリング剤を0.5〜25質量部含むことが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、上記シリカのチッ素吸着比表面積が30〜500m2/gであり、ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含むことが好ましい。
上記タイヤ用ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
上記空気入りタイヤは、重荷重用タイヤであることが好ましい。
本発明によれば、特定量の天然ゴムを含むゴム成分と、シリカと、上記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であるので、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できる。該ゴム組成物をタイヤの各部材(特に、トレッド)に使用することにより、上記性能に優れた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、特定量の天然ゴム(NR)を含むゴム成分と、シリカと、上記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含む。
上述のように、スルフィド系のシランカップリング剤では、硫黄(スルフィド結合)を含む構造部分においてゴム成分と反応していた。一方、上記式(1)で表されるシランカップリング剤では、(−R4−Y)部分においてゴム成分と反応する。そのため、上記式(1)で表されるシランカップリング剤は、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高く、更に、特定量の天然ゴムを含むゴム成分と、シリカと併用することにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、特定量の天然ゴム(NR)を含む。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ゴム成分100質量%中のNRの含有量は、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。該NRの含有量は、95質量%以下、好ましくは85質量%以下である。なお、NRと共にスチレンブタジエンゴムを配合する場合には、該NRの含有量の上限は、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。また、NRと共にブタジエンゴムを配合する場合には、該NRの含有量の下限は、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。NRの含有量が上記範囲内であると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できる。
上記NR以外に本発明に使用されるゴム成分としては、例えば、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能がバランスよく得られるという理由から、BR、SBRが好ましい。
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含有量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBRなどを使用できる。なかでも、耐摩耗性の向上効果が高いという理由から、シス含有量が95質量%以上のBRが好ましい。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、充分な耐摩耗性や破壊性能が得られないおそれがある。該BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できないおそれがある。
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、S−SBRが好ましい。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。5質量%未満であると、充分なウェットグリップ性能が得られないおそれがある。該SBRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できないおそれがある。
また、本発明の効果がより好適に得られることから、上記ジエン系ゴムがシリカと相互作用を持つ官能基を有する変性ジエン系ゴムであることが好ましい。
変性ジエン系ゴムとしては、例えば、上記ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を窒素、酸素、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性ジエン系ゴムや、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性ジエン系ゴムや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性ジエン系ゴム(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性ジエン系ゴム)等が挙げられる。
上記官能基としては、例えばアミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、ピロリジニル基等があげられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高いという理由から、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基)、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1〜6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜6のアルコキシシリル基)、ピロリジニル基が好ましい。
上記官能基が導入されるジエン系ゴム(変性ジエン系ゴムの骨格を構成するポリマー)としては、IR、BR、SBRが好ましく、BR、SBRがより好ましい。
上記変性剤としては、下記式(2)で表される化合物(特開2010−111753号公報に記載の化合物)が好ましい。これにより、ポリマーの分子量をコントロールし易く、tanδを増大させる低分子量成分を少なくすることができ、シリカとポリマー鎖の結合を強め、ウェットグリップ性能、低燃費性、耐摩耗性をより向上できる。
(式中、R11、R12及びR13は、同一若しくは異なって、分岐若しくは非分岐のアルキル基、分岐若しくは非分岐のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜6、更に好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)、分岐若しくは非分岐のシリルオキシ基、分岐若しくは非分岐のアセタール基、カルボキシル基(−COOH)、メルカプト基(−SH)又はこれらの誘導体を表す。R14及びR15は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐のアルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、又は環状エーテル基(好ましくはエーテル結合を1つ有する炭素数3〜5の環状エーテル基(例えば、オキセタン基))を表す。pは整数(好ましくは1〜5、より好ましくは2〜4、更に好ましくは3)を表す。)
R11、R12及びR13としては、アルコキシ基が望ましく、R14及びR15としては、アルキル基が望ましい。これにより、優れたウェットグリップ性能、低燃費性、耐摩耗性を得ることができる。
上記式(2)で表される化合物の具体例としては、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記式(2)で表される化合物(変性剤)によるジエン系ゴムの変性方法としては、特公平6−53768号公報、特公平6−57767号公報、特表2003−514078号公報などに記載されている方法など、従来公知の手法を用いることができる。例えば、ジエン系ゴムと変性剤とを接触させればよく、調製したジエン系ゴム溶液中に変性剤を添加して反応させる方法等が挙げられる。
また、主鎖変性ジエン系ゴムは、従来公知の手法を用いて重合できる。例えば、重合に使用するモノマーの一部として、上記官能基を有するモノマー(例えば、p−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン、窒素含有化合物等)を使用して重合することにより得られる。また、主鎖末端変性ジエン系ゴムは、例えば、主鎖変性ジエン系ゴムと変性剤とを接触させることにより得られる。窒素含有化合物に由来する構成単位やアルコキシスチレン単位を主鎖中に有することにより、フィラーの分散性がより向上し、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をより向上できる。
窒素含有化合物としては、3−又は4−(2−ジメチルアミノエチル)スチレン、3−又は4−(2−ピロリジノエチル)スチレン、3−又は4−(2−ピペリジノエチル)スチレン、3−又は4−(2−ヘキサメチレンイミノエチル)スチレン、3−又は4−(2−モルホリノエチル)スチレン、3−又は4−(2−チアゾリジリノエチル)スチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、フィラーの分散性の改善効果が大きく、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高いという理由から、3−又は4−(2−ピロリジノエチル)スチレンが好ましい。
変性ジエン系ゴム100質量%中の窒素含有化合物の含有量(窒素含有化合物誘導体モノマー量)は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。0.05質量%未満では、フィラーの分散性を充分に改善できないおそれがある。該含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。30質量%を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
なお、窒素含有化合物誘導体モノマー量は、NMR(例えば、日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズの装置)を用いて測定できる。
なお、窒素含有化合物誘導体モノマー量は、NMR(例えば、日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズの装置)を用いて測定できる。
変性ジエン系ゴム100質量%中のアルコキシスチレン成分の含有量(アルコキシスチレン成分モノマー量)は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上である。0.05質量%未満では、フィラーの分散性を充分に改善できないおそれがある。該含有量は、好ましくは30質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。30質量%を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
なお、アルコキシスチレン成分モノマー量は、NMR(例えば、日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズの装置)を用いて測定できる。
なお、アルコキシスチレン成分モノマー量は、NMR(例えば、日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズの装置)を用いて測定できる。
また、上記変性ジエン系ゴムとして、リチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有量が50〜3000ppm、ビニル含有量が5〜50質量%及び分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であるスズ変性ブタジエンゴム(スズ変性BR)を使用してもよい。スズ変性BRは、フィラーの分散性を改善する効果が高く、特にカーボンブラックの分散を促進することができ、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高い。
スズ変性BRは、リチウム開始剤により1,3−ブタジエンの重合を行った後、スズ化合物を添加することにより得られ、更に該スズ変性BR分子の末端はスズ−炭素結合で結合されていることが好ましい。
リチウム開始剤としては、アルキルリチウム、アリールリチウム、アリルリチウム、ビニルリチウム、有機スズリチウム、有機窒素リチウム化合物などのリチウム系化合物が挙げられる。リチウム系化合物を開始剤とすることで、高ビニル、低シス含有量のスズ変性BRを作製できる。
スズ化合物としては、四塩化スズ、ブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジオクチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド、ジフェニルジブチルスズ、トリフェニルスズエトキシド、ジフェニルジメチルスズ、ジトリルスズクロライド、ジフェニルスズジオクタノエート、ジビニルジエチルスズ、テトラベンジルスズ、ジブチルスズジステアレート、テトラアリルスズ、p−トリブチルスズスチレンなどが挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スズ変性BRのスズ原子の含有量は50ppm以上、好ましくは60ppm以上である。含有量が50ppm未満では、スズ変性BR中のカーボンブラックの分散を促進する効果が小さく、tanδが増大する。また、スズ原子の含有量は3000ppm以下、好ましくは2500ppm以下、より好ましくは250ppm以下である。含有量が3000ppmを超えると、混練り物のまとまりが悪く、エッジが整わないため、混練り物の押出し性が悪化する。
スズ変性BRの分子量分布(Mw/Mn)は2.0以下、好ましくは1.5以下である。Mw/Mnが2.0を超えると、カーボンブラックの分散性が悪化し、tanδが増大するため好ましくない。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
スズ変性BRのビニル含有量は5質量%以上、好ましくは7質量%以上である。ビニル含有量が5質量%未満では、スズ変性BRを重合(製造)することが困難である。また、ビニル含有量は50質量%以下、好ましくは20質量%以下である。ビニル含有量が50質量%を超えると、フィラー(特に、カーボンブラック)の分散性が悪く、また、引張強さが弱くなる傾向がある。
上記変性ジエン系ゴムのなかでも、フィラーの分散性の改善効果が大きく、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高いという理由から、上記ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性されたブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムが好ましく、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴム、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムがより好ましく、窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴム、アルコキシスチレン単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムが更に好ましい。また、フィラーの分散性を改善する効果が高く、特にカーボンブラックの分散を促進することができ、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の向上効果が高いという理由から、スズ変性BRも好ましい。
上記式(2)で表される化合物により末端変性されたBR(S変性BR)のビニル含有量は、好ましくは35質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。ビニル含有量が35質量%を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。ビニル含有量の下限は特に限定されない。
なお、本明細書において、変性BRのビニル含有量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法、NMRによって測定できる。
なお、本明細書において、変性BRのビニル含有量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法、NMRによって測定できる。
S変性BRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1.0×105以上、より好ましくは1.5×105以上、更に好ましくは2.0×105以上である。1.0×105未満では、低燃費性及び耐摩耗性が悪化する傾向がある。該Mwは、好ましくは2.0×106以下、より好ましくは1.5×106以下、更に好ましくは1.0×106以下である。2.0×106を超えると、加工性が低下する傾向がある。
ゴム成分100質量%中の変性ジエン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。該変性ジエン系ゴムの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。変性ジエン系ゴムの含有量が上記範囲内であると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をよりバランス良く向上できる。
ゴム成分100質量%中のシリカと相互作用を持つ官能基を有するブタジエンゴム(変性BR)の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。5質量%未満であると、充分な耐摩耗性や低燃費性が得られないおそれがある。該変性BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。60質量%を超えると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できないおそれがある。
ゴム成分100質量%中のシリカと相互作用を持つ官能基を有するスチレンブタジエンゴム(変性SBR)の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。5質量%未満であると、充分なウェットグリップ性能、低燃費性が得られないおそれがある。該変性SBRの含有量は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。90質量%を超えると、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能をバランス良く向上できないおそれがある。
本発明では、シリカが使用される。シリカを配合することにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能を向上できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、30m2/g以上が好ましく、100m2/g以上がより好ましい。30m2/g未満では、破壊強度、耐摩耗性が低下する傾向がある。また、シリカのN2SAは、500m2/g以下が好ましく、250m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下が更に好ましい。500m2/gを超えると、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのチッ素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
なお、シリカのチッ素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満であると、シリカ配合による充分な効果が得られない傾向がある。上記シリカの含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは100質量部以下である。150質量部を超えると、シリカのゴムへの分散が困難になり、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。なお、シリカと共にカーボンブラックを配合する場合には、シリカの含有量の上限は、特に好ましくは50質量部以下、最も好ましくは30質量部以下である。
本発明では、下記式(1)で表されるシランカップリング剤が使用される。下記式(1)で表されるシランカップリング剤を配合することにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能を向上できる。
(R1R2R3Si−)mXn(−R4−Y)r (1)
(式(1)中、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(R5−O)s−R6(s個のR5は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R6は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R1とR2、R1とR3、又はR2とR3とで環構造を形成してもよい。R4は、同一又は異なって、不飽和結合を有する分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18の2価の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Xは、2価又は多価の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Yはハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数を表す。nは0又は1を表す。rは1〜3の整数を表す。)
(R1R2R3Si−)mXn(−R4−Y)r (1)
(式(1)中、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(R5−O)s−R6(s個のR5は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R6は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R1とR2、R1とR3、又はR2とR3とで環構造を形成してもよい。R4は、同一又は異なって、不飽和結合を有する分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18の2価の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Xは、2価又は多価の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Yはハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数を表す。nは0又は1を表す。rは1〜3の整数を表す。)
R1、R2及びR3の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
R1、R2及びR3の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、へプトキシ基等が挙げられる。
R1、R2及びR3の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜10)のアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニル基等が挙げられる。
−O−(R5−O)s−R6で表される基のR5は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。
R5の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等が挙げられる。
R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基等が挙げられる。
R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基等が挙げられる。
R5の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
上記sは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、更に好ましくは5〜6)の整数を表す。
R6は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。なかでも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
R6の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
R6の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、オクタデセニル基等が挙げられる。
R6の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、上記R1、R2及びR3の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
R6の分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
R1、R2及びR3の少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であるが、R1、R2及びR3の少なくとも2つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であることが好ましく、R1、R2及びR3の全てが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であることがより好ましい。
R4は、同一又は異なって、不飽和結合を有する分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜9)の2価の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。
該炭化水素基は、少なくとも1個の不飽和結合を有する2価の炭化水素基であればよく、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18のアルキニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜18のアリーレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数7〜18のアラルキレン基等が挙げられる。
該炭化水素基は、少なくとも1個の不飽和結合を有する2価の炭化水素基であればよく、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18のアルキニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜18のアリーレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数7〜18のアラルキレン基等が挙げられる。
R4の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜5)のアルケニレン基としては、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基のうち炭素数が2〜18のアルケニレン基と同様の基を挙げることができる。
R4の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18(好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜5)のアルキニレン基としては、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基のうち炭素数が2〜18のアルキニレン基と同様の基を挙げることができる。
R4の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜18(好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数6〜8)のアリーレン基としては、上記R5の炭素数6〜30のアリーレン基のうち炭素数が2〜18のアリーレン基と同様の基を挙げることができる。
R4はヘテロ原子を含んでいてもよく、該ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。ヘテロ原子を有するR4としては、例えば、「−NH−」、「−NR−」、「−O−」、「−S−」が結合した炭化水素基や、ヘテロ原子を有する置換基で置換された炭化水素基などが挙げられる。
R4としては、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基が好ましく、炭素数7〜18のアラルキレン基がより好ましい。
Xは、2価又は多価の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜4)の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。
該炭化水素基は、2価以上の炭化水素基であればよく、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18のアルキレン基や上記R4と同様の等が挙げられる。
該炭化水素基は、2価以上の炭化水素基であればよく、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18のアルキレン基や上記R4と同様の等が挙げられる。
Xの分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜4)のアルキレン基としては、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基のうち炭素数が1〜18のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
Xはヘテロ原子を含んでいてもよく、該ヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。ヘテロ原子を有するXとしては、例えば、「−NH−」、「−NR−」、「−O−」、「−S−」が結合した炭化水素基や、ヘテロ原子を有する置換基で置換された炭化水素基などが挙げられる。
Xとしては、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18のアルキレン基が好ましい。
Yが表すハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。なかでも、塩素原子が好ましい。
nは0又は1(好ましくは1)を表す。
mは1〜5(好ましくは1〜2、より好ましくは1)の整数を表す。なお、nが0のとき、mは1である。
rは1〜3(好ましくは1〜2、より好ましくは1)の整数を表す。なお、nが0のとき、rは1である。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤は一般的な方法で合成することができ、例えば、トリエトキシシランなどの有機ケイ素化合物と、塩化ビニルベンジルや塩化プロパルギルなどの不飽和結合を有する化合物とを公知の触媒の存在化で反応させることにより、合成することができる。該シランカップリング剤の具体例としては、例えば、下記式(A)で表される化合物、下記式(B)で表される化合物などが挙げられる。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上、特に好ましくは5質量部以上である。0.5質量部未満であると、上記式(1)で表される化合物を配合したことにより得られる効果を充分に得られないおそれがある。また、該含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは16質量部以下である。25質量部を超えると、コストが高くなるだけで、配合量に見合った効果が得られないおそれがある。
本発明では、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含むことが好ましい。特定量の天然ゴムを含むゴム成分、シリカ、上記式(1)で表されるシランカップリング剤と共にメルカプト基を有するシランカップリング剤を配合することにより、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能(特に、低燃費性、耐摩耗性)をより向上できる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、特に限定されないが、下記式(3)で表されるシランカップリング剤及び/又は下記式(4)で示される結合単位Aと下記式(5)で示される結合単位Bからなるシランカップリング剤(結合単位Bは必須単位で、結合単位Aは任意単位)であることが好ましく、下記式(4)で示される結合単位Aと下記式(5)で示される結合単位Bからなるシランカップリング剤であることがより好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、本明細書において、メルカプト基を有するとは、SH基を有することを意味する。また、メルカプト基を有するシランカップリング剤と共に、メルカプト基を有さないシランカップリング剤(例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等)を使用してもよい。
R21、R22及びR23の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキル基としては、例えば、上記R6の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基のうち炭素数が1〜12のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
R21、R22及びR23の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12(好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、へプトキシ基、デソキシ基等が挙げられる。
−O−(R25−O)q−R26で表される基のR25は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)の2価の炭化水素基を表す。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、上記アルキレン基が好ましい。
該炭化水素基としては、例えば、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基、炭素数6〜30のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、上記アルキレン基が好ましい。
R25の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜15、より好ましくは炭素数1〜3)のアルキレン基としては、例えば、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
R25の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルケニレン基としては、例えば、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基と同様の基を挙げることができる。
R25の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜15、より好ましくは炭素数2〜3)のアルキニレン基としては、例えば、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基と同様の基を挙げることができる。
R25の炭素数6〜30(好ましくは炭素数6〜15)のアリーレン基としては、例えば、上記R5の炭素数6〜30のアリーレン基と同様の基を挙げることができる。
上記qは1〜30(好ましくは2〜20、より好ましくは3〜7、更に好ましくは5〜6)の整数を表す。
R26は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。なかでも、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
R26の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルキル基としては、例えば、上記R6の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
R26の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数3〜25、より好ましくは炭素数10〜15)のアルケニル基としては、例えば、上記R6の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
R26の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアリール基としては、例えば、上記R1、R2及びR3の分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基と同様の基を挙げることができる。
R26の分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30(好ましくは炭素数10〜20)のアラルキル基としては、例えば、上記R6の分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基と同様の基を挙げることができる。
−O−(R25−O)q−R26で表される基の具体例としては、例えば、−O−(C2H4−O)5−C11H23、−O−(C2H4−O)5−C12H25、−O−(C2H4−O)5−C13H27、−O−(C2H4−O)5−C14H29、−O−(C2H4−O)5−C15H31、−O−(C2H4−O)3−C13H27、−O−(C2H4−O)4−C13H27、−O−(C2H4−O)6−C13H27、−O−(C2H4−O)7−C13H27等が挙げられる。なかでも、−O−(C2H4−O)5−C11H23、−O−(C2H4−O)5−C13H27、−O−(C2H4−O)5−C15H31、−O−(C2H4−O)6−C13H27が好ましい。
R21、R22及びR23としては、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜12のアルコキシ基、−O−(R25−O)q−R26で表される基が好ましく、R21、R22及びR23のうち1つが上記アルコキシ基で、R21、R22及びR23のうち2つが−O−(R25−O)q−R26で表される基である組合せがより好ましい。
R24の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜6(好ましくは炭素数1〜4)のアルキレン基としては、例えば、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基のうち炭素数が1〜6のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
上記式(3)で表されるシランカップリング剤としては、例えば、エボニックデグッサ社製のSi363、信越化学工業(株)製のKBM803等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
下記式(5)で示される結合単位Bと、必要に応じて下記式(4)で示される結合単位Aからなるシランカップリング剤(下記式(4)で示される結合単位Aと下記式(5)で示される結合単位Bからなるシランカップリング剤)は、結合単位Aと結合単位Bとの合計量に対して、結合単位Bを1〜70モル%の割合で共重合したものが好ましい。
結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たす場合、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、結合単位Aと結合単位Bのモル比が上記条件を満たす場合、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C7H15部分が結合単位Bの−SH基を覆うためポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
R31のハロゲンとしては、塩素、臭素、フッ素などが挙げられる。
R31、R32の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜12)のアルキル基としては、例えば、上記R6の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基と同様の基を挙げることができる。
R31、R32の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30(好ましくは炭素数1〜12)のアルキレン基としては、例えば、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキレン基と同様の基を挙げることができる。
R31、R32の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルケニル基としては、例えば、上記R6の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基と同様の基を挙げることができる。
R31、R32の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルケニレン基としては、例えば、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニレン基と同様の基を挙げることができる。
R31、R32の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基等が挙げられる。
R31、R32の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30(好ましくは炭素数2〜12)のアルキニレン基としては、例えば、上記R5の分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルキニレン基と同様の基を挙げることができる。
上記結合単位Aと結合単位Bからなるシランカップリング剤において、結合単位Aの繰り返し数(t)と結合単位Bの繰り返し数(u)の合計の繰り返し数(t+u)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内、かつ、tが1以上であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C7H15が覆うため、スコーチタイムが短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
上記結合単位Aと結合単位Bからなるシランカップリング剤としては、例えば、Momentive社製のNXT−Z30、NXT−Z45、NXT−Z60、NXT−Z100等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。0.5質量部未満であると、メルカプト基を有するシランカップリング剤を配合したことにより得られる効果が充分に得られないおそれがある。また、該含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。20質量部を超えると、添加量増量による効果が少なく、コストアップとなる傾向がある。
2種以上のメルカプト基を有するシランカップリング剤を併用する場合、上記含有量は合計含有量を意味する。
2種以上のメルカプト基を有するシランカップリング剤を併用する場合、上記含有量は合計含有量を意味する。
上記式(1)で表されるシランカップリング剤と、メルカプト基を有するシランカップリング剤の質量比(上記式(1)で表されるシランカップリング剤/メルカプト基を有するシランカップリング剤)は、好ましくは0.2〜5、より好ましくは0.7〜1.8、更に好ましくは0.8〜1.2である。上記質量比が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強性を高めることができる。そのため、特定量の天然ゴム(NR)を含むゴム成分と、シリカと、上記式(1)で表されるシランカップリング剤と共にカーボンブラックを配合することにより、本発明の効果がより好適に得られる。また、上記成分と共に、ゴム成分として、シリカと相互作用を持つ官能基を有するブタジエンゴムを配合することにより、本発明の効果が更に好適に得られる。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は20m2/g以上が好ましく、35m2/g以上がより好ましく、70m2/gが更に好ましく、100m2/g以上が特に好ましい。20m2/g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は200m2/g以下が好ましく、150m2/g以下がより好ましい。200m2/gを超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなり、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001によって求められる。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217−2:2001によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。
5質量部未満では、補強性を充分に改善できないおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。100質量部を超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなり、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
5質量部未満では、補強性を充分に改善できないおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは45質量部以下である。100質量部を超えると、カーボンブラックを良好に分散させるのが難しくなり、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、シリカとカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。10質量部未満では、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能を充分に改善できないおそれがある。該合計含有量は、好ましくは250質量部以下、より好ましくは180質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。250質量部を超えると、シリカ、カーボンブラックのゴムへの分散が困難になり、低燃費性、加工性が悪化する傾向がある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、クレー等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル等の軟化剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又は、キサンテート系加硫促進剤が挙げられる。なかでも、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)等が挙げられる。なかでも、TBBSが好ましく、TBBSとN,N’−ジフェニルグアニジンを併用してもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサー、密閉式混練機などのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材(特に、トレッド)に好適に使用できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤの各部材(特に、トレッド)の形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
また、本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ(重荷重用タイヤ)(特に、重荷重用タイヤ)等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、製造例1〜2で使用した各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:東京化成工業(株)製
p−メトキシスチレン:関東化学(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
変性剤:アヅマックス社製の3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(上記式(2)で表される化合物)
2,6−tert−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製のノクラック200
シクロヘキサン:和光純薬工業(株)製
ピロリジン:和光純薬工業(株)製
ジビニルベンゼン:東京化成工業(株)製
イソプロパノール:和光純薬工業(株)製
メタノール:関東化学(株)製
n−ヘキサン:関東化学(株)製
スチレン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:東京化成工業(株)製
p−メトキシスチレン:関東化学(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
n−ブチルリチウム:関東化学(株)製の1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液
変性剤:アヅマックス社製の3−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン(上記式(2)で表される化合物)
2,6−tert−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製のノクラック200
シクロヘキサン:和光純薬工業(株)製
ピロリジン:和光純薬工業(株)製
ジビニルベンゼン:東京化成工業(株)製
イソプロパノール:和光純薬工業(株)製
メタノール:関東化学(株)製
(製造例1:主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴムの調製)
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、p−メトキシスチレン5mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間撹拌した。その後、変性剤を0.15mmol加えて、0℃で1時間撹拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により変性共重合体(主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム)を得た。
十分に窒素置換した耐熱容器にn−ヘキサン1500ml、スチレン100mmol、1,3−ブタジエン800mmol、p−メトキシスチレン5mmol、テトラメチルエチレンジアミン0.2mmol、n−ブチルリチウム0.12mmolを加えて、0℃で48時間撹拌した。その後、変性剤を0.15mmol加えて、0℃で1時間撹拌した。その後、アルコールを加えて反応を止め、反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、再沈殿精製により変性共重合体(主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム)を得た。
(製造例2:主鎖末端変性ブタジエンゴムの調製)
充分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、ピロリジン4.1ml(3.6g)、ジビニルベンゼン6.5gを加え、0℃にてn−ブチルリチウム0.7mlを加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出、精製を行うことでモノマー(4−(2−ピロリジノエチル)スチレン)を得た。
次に、充分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、1,3−ブタジエン71.0ml(41.0g)、上記モノマー0.29g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃でn−ブチルリチウム溶液0.2mlを加えて攪拌した。3時間後、変性剤を0.5ml(0.49g)加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて変性共重合体(主鎖末端変性ブタジエンゴム)を得た。
充分に窒素置換した100ml容器に、シクロヘキサン50ml、ピロリジン4.1ml(3.6g)、ジビニルベンゼン6.5gを加え、0℃にてn−ブチルリチウム0.7mlを加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノールを加えて反応を停止させ、抽出、精製を行うことでモノマー(4−(2−ピロリジノエチル)スチレン)を得た。
次に、充分に窒素置換した1000ml耐圧製容器に、シクロヘキサン600ml、1,3−ブタジエン71.0ml(41.0g)、上記モノマー0.29g、テトラメチルエチレンジアミン0.11mlを加え、40℃でn−ブチルリチウム溶液0.2mlを加えて攪拌した。3時間後、変性剤を0.5ml(0.49g)加えて攪拌した。1時間後、イソプロパノール3mlを加えて重合を停止させた。反応溶液に2,6−tert−ブチル−p−クレゾール1gを添加後、メタノールで再沈殿処理を行い、加熱乾燥させて変性共重合体(主鎖末端変性ブタジエンゴム)を得た。
製造例1〜2により得られた変性共重合体について、以下の方法により分析を行った。
(重量平均分子量(Mw))
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(変性共重合体中の窒素含有化合物誘導体モノマー量、アルコキシスチレン成分含有量、スチレン成分含有量、ビニル含有量の測定)
変性共重合体中の窒素含有化合物誘導体モノマー量、アルコキシスチレン成分含有量、スチレン成分含有量、ビニル含有量は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて測定した。
変性共重合体中の窒素含有化合物誘導体モノマー量、アルコキシスチレン成分含有量、スチレン成分含有量、ビニル含有量は、日本電子(株)製JNM−ECAシリーズの装置を用いて測定した。
以下、製造例3〜4で使用した各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
塩化ビニルベンジル(クロロメチルスチレン):和光純薬工業(株)製
白金−テトラビニルテトラメチル−シクロテトラシロキサン錯体:Sigma Aldrich社製
トリエトキシシラン:信越化学工業(株)製
塩化プロパルギル:和光純薬工業(株)製
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体:Sigma Aldrich社製
塩化ビニルベンジル(クロロメチルスチレン):和光純薬工業(株)製
白金−テトラビニルテトラメチル−シクロテトラシロキサン錯体:Sigma Aldrich社製
トリエトキシシラン:信越化学工業(株)製
塩化プロパルギル:和光純薬工業(株)製
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体:Sigma Aldrich社製
(製造例3:シランカップリング剤D(3−クロロプロペニルトリエトキシシラン)の調製)
三口フラスコに塩化プロパルギル35gと1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体0.15gとを添加し、95℃に加熱した後、トリエトキシシラン80gをゆっくり滴下した。その後、100℃で2時間撹拌し、蒸留後、下記式(B)で表される化合物を異性体の混合物として得た。
三口フラスコに塩化プロパルギル35gと1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン白金錯体0.15gとを添加し、95℃に加熱した後、トリエトキシシラン80gをゆっくり滴下した。その後、100℃で2時間撹拌し、蒸留後、下記式(B)で表される化合物を異性体の混合物として得た。
(製造例4:シランカップリング剤E((P−クロロメチルフェニルエチル)トリエトキシシラン)の調製)
三口フラスコに塩化ビニルベンジル74gと白金−テトラビニルテトラメチル−シクロテトラシロキサン錯体0.15gとを添加し、95℃に加熱した後、トリエトキシシラン80gをゆっくり滴下した。その後、100℃で2時間撹拌し、蒸留後、下記式(A)で表される化合物と下記式(C)で表される化合物の混合物を得た。
三口フラスコに塩化ビニルベンジル74gと白金−テトラビニルテトラメチル−シクロテトラシロキサン錯体0.15gとを添加し、95℃に加熱した後、トリエトキシシラン80gをゆっくり滴下した。その後、100℃で2時間撹拌し、蒸留後、下記式(A)で表される化合物と下記式(C)で表される化合物の混合物を得た。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol NS116(S−SBR、ビニル含有量:60質量%、スチレン含有量:20質量%)
変性SBR:上記製造例1で調製した主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(アルコキシスチレン単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴム、Mw:500000、アルコキシスチレン成分含有量:1.2質量%、スチレン成分含有量:19質量%)
BR1:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含有量:97質量%)
BR2:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(ビニル含有量:1質量%、シス含有量:97質量%)
変性BR1:日本ゼオン(株)製のBR1250H(スズ変性BR、開始剤としてリチウムを用いて重合、シス含有量:45質量%、ビニル含有量:10〜13質量%、Mw/Mn:1.5、スズ原子の含有量:250ppm)
変性BR2:上記製造例2で調製した主鎖末端変性ブタジエンゴム(窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴム、ビニル含有量:18質量%、Mw:300000、窒素含有化合物誘導体モノマー量:2質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤A:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
シランカップリング剤B:エボニックデグッサ社製のSi363(下記式で表されるシランカップリング剤(上記式(3)のR21=−O−(C2H4−O)5−C13H27、R22=−O−C2H5、R23=−O−(C2H4−O)5−C13H27、R24=−C3H6−))
シランカップリング剤C:Momentive社製のNXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)
シランカップリング剤D:製造例3で調製したシランカップリング剤
シランカップリング剤E:製造例4で調製したシランカップリング剤
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX 6PPD)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
NR:TSR
SBR:日本ゼオン(株)製のNipol NS116(S−SBR、ビニル含有量:60質量%、スチレン含有量:20質量%)
変性SBR:上記製造例1で調製した主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(アルコキシスチレン単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴム、Mw:500000、アルコキシスチレン成分含有量:1.2質量%、スチレン成分含有量:19質量%)
BR1:宇部興産(株)製のウベポールBR150B(シス含有量:97質量%)
BR2:日本ゼオン(株)製のNipol BR1220(ビニル含有量:1質量%、シス含有量:97質量%)
変性BR1:日本ゼオン(株)製のBR1250H(スズ変性BR、開始剤としてリチウムを用いて重合、シス含有量:45質量%、ビニル含有量:10〜13質量%、Mw/Mn:1.5、スズ原子の含有量:250ppm)
変性BR2:上記製造例2で調製した主鎖末端変性ブタジエンゴム(窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有し、上記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴム、ビニル含有量:18質量%、Mw:300000、窒素含有化合物誘導体モノマー量:2質量%)
シリカ:エボニックデグッサ社製のウルトラジルVN3(N2SA:175m2/g)
シランカップリング剤A:エボニックデグッサ社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
シランカップリング剤B:エボニックデグッサ社製のSi363(下記式で表されるシランカップリング剤(上記式(3)のR21=−O−(C2H4−O)5−C13H27、R22=−O−C2H5、R23=−O−(C2H4−O)5−C13H27、R24=−C3H6−))
シランカップリング剤D:製造例3で調製したシランカップリング剤
シランカップリング剤E:製造例4で調製したシランカップリング剤
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(N2SA:111m2/g)
オイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスX−140
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
老化防止剤2:FLEXSYS(株)製の老化防止剤6C(SANTOFLEX 6PPD)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラ−NS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
実施例及び比較例
表1〜4に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を、実施例1〜15、比較例1,2は170℃で15分間プレス加硫し、実施例16〜27、比較例3,4は150℃で30分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
更に、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材とはりあわせ、実施例1〜15、比較例1,2は170℃で10分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15(乗用車用タイヤ))を作製した。一方、実施例16〜27、比較例3,4では、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材とはりあわせ、150℃で35分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:11R22.5(トラック・バス用タイヤ)を作製した。
表1〜4に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を、実施例1〜15、比較例1,2は170℃で15分間プレス加硫し、実施例16〜27、比較例3,4は150℃で30分間プレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
更に、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材とはりあわせ、実施例1〜15、比較例1,2は170℃で10分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15(乗用車用タイヤ))を作製した。一方、実施例16〜27、比較例3,4では、得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形して、他のタイヤ部材とはりあわせ、150℃で35分間プレス加硫することにより、試験用タイヤ(タイヤサイズ:11R22.5(トラック・バス用タイヤ)を作製した。
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤについて下記の評価を行った。結果を表1〜4に示す。なお、表1〜4の基準配合をそれぞれ比較例1〜4とした。
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(各加硫ゴム組成物)の損失正接(tanδ)を測定し、基準配合の損失正接tanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(基準配合のtanδ)/(各例のtanδ)×100
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(各加硫ゴム組成物)の損失正接(tanδ)を測定し、基準配合の損失正接tanδを100として、下記計算式により指数表示した(転がり抵抗指数)。指数が大きいほど、低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(基準配合のtanδ)/(各例のtanδ)×100
(耐摩耗性)
得られた加硫ゴム組成物について、ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、表面回転速度50m/min、負荷荷重3.0kg、落砂量15g/min、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、基準配合のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合(加硫物)の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(基準配合の容積損失量)/(各例の容積損失量)×100
得られた加硫ゴム組成物について、ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、表面回転速度50m/min、負荷荷重3.0kg、落砂量15g/min、スリップ率20%及び試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。更に、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、基準配合のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合(加硫物)の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(基準配合の容積損失量)/(各例の容積損失量)×100
(ウェットグリップ性能(1))
得られた加硫ゴム組成物について、(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片(加硫ゴム組成物)を用い、速度20km/h、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜50%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。結果は基準配合を100として指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
得られた加硫ゴム組成物について、(株)上島製作所製フラットベルト式摩擦試験機(FR5010型)を用いてウェットグリップ性能を評価した。幅20mm、直径100mmの円筒形のゴム試験片(加硫ゴム組成物)を用い、速度20km/h、荷重4kgf、路面温度20℃の条件で、路面に対するサンプルのスリップ率を0〜50%まで変化させ、その際に検出される摩擦係数の最大値を読みとった。結果は基準配合を100として指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
(ウェットグリップ性能(2))
水を撒いて湿潤路面としたテストコースにて、試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、速度70km/hで制動し、タイヤに制動をかけてから停車するまでの走行距離(制動距離)を測定し、その距離の逆数の値を基準配合を100として、それぞれ指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
水を撒いて湿潤路面としたテストコースにて、試験用タイヤを排気量2000ccの国産FR車に装着し、速度70km/hで制動し、タイヤに制動をかけてから停車するまでの走行距離(制動距離)を測定し、その距離の逆数の値を基準配合を100として、それぞれ指数表示した。指数が大きいほど、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
表1の結果より、シランカップリング剤Dを配合した実施例1は、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が共に比較例1より優れていた。シランカップリング剤Eを変量して配合した実施例2〜4は配合量に応じて、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が向上した。メルカプト基を有するシランカップリング剤とシランカップリング剤Eを併用した実施例5〜8は比較例1に比べて低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の大きな向上が見られた。
表2の結果より、ゴム成分として、変性ジエン系ゴム(変性SBR(主鎖末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム))を使用した場合においても、シランカップリング剤Dを配合した実施例9、シランカップリング剤Eを配合した実施例10は、低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が共に比較例2より優れていた。NR/BR/変性SBR併用系においてもシランカップリング剤Eを配合した実施例12,13は低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能が共に比較例2より優れていた。メルカプト基を有するシランカップリング剤とシランカップリング剤Eを併用した実施例11,14、15は、比較例2に比べて低燃費性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の大きな向上が見られた。
表3の結果より、シランカップリング剤Dを配合した実施例16は低燃費性、耐摩耗性が共に比較例3より優れていた。シランカップリング剤Eを変量して配合した実施例17,18は配合量に応じて低燃費性、耐摩耗性が向上した。
表4の結果より、ゴム成分として、変性ジエン系ゴム(変性BR)を使用した場合においても、変性BR1(スズ変性BR)、シランカップリング剤Dを配合した実施例19、シランカップリング剤Eを変量して配合した実施例20,21は低燃費性、耐摩耗性が共に比較例4より優れていた。シリカを増量した実施例22〜24においても低燃費性、耐摩耗性が共に比較例4より優れていた。変性BR2(主鎖末端変性ブタジエンゴム)を使用した実施例25〜27においても同様の効果が得られた。
Claims (12)
- 天然ゴムを5〜95質量%含むゴム成分と、シリカと、下記式(1)で表されるシランカップリング剤とを含むタイヤ用ゴム組成物。
(R1R2R3Si−)mXn(−R4−Y)r (1)
(式(1)中、R1、R2及びR3は、同一若しくは異なって、水素原子、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は−O−(R5−O)s−R6(s個のR5は、同一又は異なって、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。R6は、分岐若しくは非分岐の炭素数1〜30のアルキル基、分岐若しくは非分岐の炭素数2〜30のアルケニル基、分岐若しくは非分岐の炭素数6〜30のアリール基、又は分岐若しくは非分岐の炭素数7〜30のアラルキル基を表す。sは1〜30の整数を表す。)で表される基を表し、R1、R2及びR3の少なくとも1つが分岐若しくは非分岐の炭素数1〜8のアルコキシ基であり、R1とR2、R1とR3、又はR2とR3とで環構造を形成してもよい。R4は、同一又は異なって、不飽和結合を有する分岐若しくは非分岐の炭素数2〜18の2価の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Xは、2価又は多価の分岐若しくは非分岐の炭素数1〜18の炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい。Yはハロゲン原子を表す。mは1〜5の整数を表す。nは0又は1を表す。rは1〜3の整数を表す。) - シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムを含む請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
- シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムが、ジエン系ゴムの少なくとも一方の末端を窒素、酸素、およびケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の原子を含む官能基を有する化合物で変性されたジエン系ゴムである請求項2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- シリカと相互作用を持つ官能基を有するジエン系ゴムが、下記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴム、下記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴム、並びにリチウム開始剤により重合され、スズ原子の含有量が50〜3000ppm、ビニル含有量が5〜50質量%及び分子量分布(Mw/Mn)が2.0以下であるスズ変性ブタジエンゴムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項2記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記式(2)で表される化合物により末端変性されたブタジエンゴムが、窒素含有化合物に由来する構成単位を主鎖中に有し、前記式(2)で表される化合物により末端変性されたスチレンブタジエンゴムが、アルコキシスチレン単位を主鎖中に有する請求項4記載のタイヤ用ゴム組成物。
- メルカプト基を有するシランカップリング剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- メルカプト基を有するシランカップリング剤が下記式(3)で表されるシランカップリング剤及び/又は下記式(4)で示される結合単位Aと下記式(5)で示される結合単位Bからなるシランカップリング剤である請求項6記載のタイヤ用ゴム組成物。
- シリカ100質量部に対して、前記式(1)で表されるシランカップリング剤を0.5〜25質量部含む請求項1〜7のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記シリカのチッ素吸着比表面積が30〜500m2/gであり、ゴム成分100質量部に対して、シリカを5〜150質量部含む請求項1〜8のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜9のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
- 重荷重用タイヤである請求項11記載の空気入りタイヤ。
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- 2011-01-31 JP JP2011018893A patent/JP2012158679A/ja active Pending
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