JP2013227267A - ハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物、非水電解液用添加剤、非水電解液、及び、蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記式(1)で表されるハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物。
R1、R3、R4はH、C1〜5アルキル基、ハロゲン、フェニル基を、R2はH、C1〜10アルキル基、C2〜10アルケニル基、フェニル基を、X1、X2はハロゲンを、nは0〜5の整数を示す。アルキル、アルケニル、フェニル基は置換されていてもよい。
【選択図】なし
Description
また、特許文献10〜13には、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートを含有する電解液が開示されており、特許文献14、15では1,3−プロパンスルトン及びブタンスルトンを含有する電解液が開示されている。
例えば、特許文献10〜15に記載されているビニレンカーボネート系化合物や1,3−プロパンスルトン等のスルトン系化合物を添加剤として用いた電解液は、負極表面上に電気化学的還元分解を生じて生成したSEIによって、不可逆的な容量低下を抑制することが可能となっている。しかし、これらの添加剤によって形成されたSEIは電極を保護する性能に優れるものの、リチウムイオンのイオン伝導性が低いため、内部抵抗を低下させる性能は小さかった。更に、形成されたSEIは、長期間の使用に耐える強度がなく、使用中にSEIが分解したり、SEIに亀裂が生じたりすることによって負極表面が露出し、電解液溶媒の分解が生じて電池特性が低下するといった問題点があった。
本発明は、特に非水電解液用添加剤として好適に用いられる新規のハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、該化合物からなり、非水電解液二次電池、電気二重層キャパシタ等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができる非水電解液用添加剤を提供することを目的とする。更に、本発明は、該非水電解液用添加剤を含む非水電解液、及び、該非水電解液を用いた蓄電デバイスを提供することを目的とする。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、前記式(1)で表されるハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物は、電気化学的還元を受けやすい低いLUMOエネルギーを示すことを見出した。そこで本発明者らは、該ハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物からなる非水電解液用添加剤を非水電解液に用い、更に該非水電解液を非水電解液二次電池等の蓄電デバイスに用いた場合に、電極表面上に安定なSEIを形成してサイクル特性、充放電容量、内部抵抗等の電池特性を改善することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
前記式(1)中、R1、R3、及び、R4は、それぞれ独立し、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、又は、置換されていてもよいフェニル基を示す。
また、該アルキル基が置換されている場合、ハロゲン原子で置換されていることが好ましく、フッ素原子で置換されていることがより好ましい。
また、該アルキル基が置換されている場合、ハロゲン原子で置換されていることが好ましく、フッ素原子で置換されていることがより好ましい。
また、該アルケニル基が置換されている場合、ハロゲン原子で置換されていることが好ましく、フッ素原子で置換されていることがより好ましい。
なお、式(4)は、式(1)における、nが0、かつ、R2が置換されたエチレニル基である場合を示すものである。従って、式(4)中において、R5と、R5と結合したエチレニル基との合計の炭素数は、前記式(1)におけるR2に含まれうる炭素数の範囲内であるように設定される。
なお、該化合物を製造する場合、必要に応じて、トリエチルアミンに代わり、トリブチルアミン等の別の塩基を、また、n−ブチルリチウムに代わり、t−ブチルリチウム等の別の塩基を、それぞれ用いることもできる。
更に、非水電解液に、該非水電解液用添加剤と共に、本発明の目的を阻害しない範囲において、必要に応じて、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、1,3−プロパンスルトン(PS)等のその他の添加剤を混合してもよい。
前記鎖状カーボネートとしては、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル等が挙げられる。
前記脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル等が挙げられる。
前記ラクトンとしては、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
前記ラクタムとしては、例えば、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
前記環状エーテルとしては、例えば、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等が挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、例えば、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタン等が挙げられる。
前記スルホンとしては、例えば、スルホラン等が挙げられる。
前記ハロゲン誘導体としては、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−クロロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
これらの非水溶媒は、単独で用いてもよいし、複数種を混合してもよい。
これらの非水溶媒は、例えば、リチウムイオン電池等の非水電解液二次電池や、リチウムイオンキャパシタ等の電気二重層キャパシタ等に好ましく用いられる。
図1は、本発明にかかる非水電解液二次電池の一例を模式的に示した断面図である。
図1において、非水電解液二次電池1は、正極集電体2の一方面側に正極活物質層3が設けられてなる正極板4、及び、負極集電体5の一方面側に負極活物質層6が設けられてなる負極板7を有する。正極板4と負極板7とは、本発明の非水電解液8と非水電解液8中に設けたセパレータ9を介して対向配置されている。
また、負極活物質として、リチウム金属、及び、リチウムと合金を形成することができる金属材料を用いることもできる。前記リチウムと合金を形成することができる金属としては、例えば、Cu、Sn、Si、Co、Mn、Fe、Sb、Ag等が挙げられ、これらの金属とリチウムを含む2元又は3元からなる合金を用いることもできる。
これらの負極活物質は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエタノール9.4g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して75.2%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CD3CN)δ(ppm):5.39(s、2H)、4.83(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):339
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール10.7g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)13.4g(0.036モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して77.4%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.78(q、2H)、5.53(s、2H)、1.49(d、6H)
LC/MS(m/z[M−H]+):367
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール10.7g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)12.8g(0.035モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して74.4%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.53(s、2H)、3.53(d、4H)2.00(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):367
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、4,4,4−トリフルオロ−1−ブタノール12.0g(0.094モル)及び1,2−ジメトキシエタン40.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたトリエチルアミン9.5g(0.094モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)16.2g(0.041モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して87.2%であった。なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.52(s、2H)、3.55(d、4H)、1,81(dd、4H)、1,48(dd、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):395
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた200mL容の4つ口フラスコに、2,2,2−トリフルオロエタノール4.7g(0.047モル)及び1,2−ジメトキシエタン20.0gを仕込み、1,2−ジメトキシエタン10.0gに混合させたメタンジスルホニルクロライド10.0g(0.047モル)を0℃に維持しながら20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン5.0gに混合させたトリエチルアミン4.8g(0.047モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。さらに0℃にてフェノール4.4g(0.047モル)及び1,2−ジメトキシエタン20.0gを20分間かけて滴下した。引き続き同温度に維持しながら、1,2−ジメトキシエタン5.0gに混合させたトリエチルアミン4.8g(0.047モル)を1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら終夜撹拌した。
反応終了後、反応液をろ過した後、ろ液にトルエン100.0g及び水50.0gを添加して分液した。得られた有機層より25℃で溶媒の一部を減圧留去し、析出した結晶をろ過し、得られた結晶を乾燥することにより、メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステル12.7g(0.038モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルの収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して80.8%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.33(d、2H)、7.25(s、1H)、7.21(m、2H)、5.53(s、2H)、4.05(d、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):333
(メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステル(化合物1:式(3)で表されるハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例1と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液56.0mL(0.15モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステル6.5g(0.020モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステルの収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)に対して57.1%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステル−2,2,2−トリフルオロエチルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.36(dd、1H)、4.93(s、2H)、4.72(dd、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):319
(メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)(化合物2:式(5)で表されるハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例1と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間攪拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)7.0g(0.023モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)に対して66.4%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロビニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):6.38(dd、2H)、4.92(s、2H)
LC/MS(m/z[M−H]+):299
(メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)(化合物3)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例2と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)12.9g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間攪拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)8.5g(0.026モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロ−1−メチルエチルエステル)に対して74.3%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(2,2−ジフルオロ−1−メチルビニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.53(s、2H)、1.71(s、6H)
LC/MS(m/z[M−H]+):327
(メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル)(化合物4)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例3と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)12.8g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間攪拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル及びヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル)7.0g(0.021モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステルの収率は、メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)に対して60.0%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(3,3−ジフルオロ−2−プロペニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.53(s、2H)、4.47(dd、2H)、4.20(d、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):327
(メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)(化合物5)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例4と同様にして得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)13.9g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液112.0mL(0.30モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌後、−20℃に昇温し、更に同温度に維持しながら2時間攪拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル及びヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)6.8g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)の収率は、メタンジスルホン酸ビス(4,4,4−トリフルオロブチルエステル)に対して54.3%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸ビス(4,4−ジフルオロ−3−ブテニルエステル)は、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):5.52(s、2H)、4.28(dd、2H)、3.57(d、4H)、2.15(d、4H)
LC/MS(m/z[M−H]+):355
(メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステル(化合物6)の作製)
撹拌機、冷却管、温度計、及び、滴下漏斗を備え付けた500mL容の4つ口フラスコに、製造例5と同様にして得られたメタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステル11.7g(0.035モル)、及びテトラヒドロフラン175.0mLを仕込み、−78℃まで冷却した。2.6モル/Lのn−ブチルリチウム・ヘキサン溶液56.0mL(0.15モル)を−78℃に維持しながら1時間かけて滴下し、同温度に維持しながら6時間撹拌した。反応終了後、反応液にテトラヒドロフラン−水混合溶液(体積比1:1)116.7mL及び、飽和塩化アンモニウム水140.0mLを滴下した。次いで、酢酸エチル116.7mLでの抽出を3回繰り返した。得られた有機層より溶媒の一部を25℃で減圧留去し、濃縮物をカラムクロマトグラフィー(移動層は酢酸エチル−ヘプタン混合溶媒)で精製することにより、メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステル6.0g(0.019モル)を取得した。メタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステルの収率は、メタンジスルホン酸−2,2,2−トリフルオロエチルエステルフェニルエステルに対して54.2%であった。
なお、得られたメタンジスルホン酸−2,2−ジフルオロビニルエステルフェニルエステルは、下記の物性を有することから同定することができた。
1H−核磁気共鳴スペクトル(溶媒:CDCl3)δ(ppm):7.34(d、2H)、7.25(s、1H)、7.20(m、2H)、5.52(s、2H)、3.80(d、1H)
LC/MS(m/z[M−H]+):313
(メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)(化合物7)の作製)
製造例1と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリフルオロエチルエステル)12.0g(0.035モル)を取得した。
(メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)(化合物8)の作製)
2,2,2−トリフルオロエタノール9.4g(0.094モル)に代えて、2,2,2−トリクロロエタノール14.0g(0.094モル)を用いたこと以外は製造例1と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)13.0g(0.029モル)を取得した。メタンジスルホン酸ビス(2,2,2−トリクロロエチルエステル)の収率は、メタンジスルホニルクロライドに対して63%であった。
(メタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)(化合物9)の作製)
製造例3と同様にしてメタンジスルホン酸ビス(3,3,3−トリフルオロプロピルエステル)10.0g(0.027モル)を取得した。
実施例及び比較例で得られた化合物1〜9について、LUMO(最低空分子軌道)エネルギーを測定するため、Gaussian03ソフトウェアにより、半経験的分子軌道計算を行った。軌道計算により得られた化合物1〜9のLUMOエネルギーを表1に示した。
一方、式(1)で表されるハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物以外のハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物である化合物7〜9は約−0.37eVから約−0.21eVと比較的高いLUMOエネルギーを示すことがわかる。即ち、化合物7〜9は電気化学的還元に対して比較的安定であり、電極上にSEIが形成され難い。
以上より、本発明の非水電解液用添加剤にかかる式(1)で表されるハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物は充分に低いLUMOエネルギーを有しており、非水電解液二次電池等の蓄電デバイスの電極上に安定なSEIを形成する新規の非水電解液用添加剤として有効であることを示している。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lの濃度となるように溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、各比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。得られた非水電解液、及び、電極としてグラッシーカーボンからなるディスク電極、対極として白金を用い、5mV/secの走査電位速度で分極測定を行った。参照電極として銀電極を用い、100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を酸化電位、−100μAの電流が流れる時の参照電極に対する電位を還元電位とし、還元開始電圧を算出した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして還元開始電圧を算出した。結果を表2に示した。
正極活物質としてLiMn2O4、及び、導電性付与剤としてカーボンブラックを乾式混合し、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させ、スラリーを作製した。得られたそのスラリーを正極集電体となるアルミ金属箔(角型、厚さ20μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートを作製した。得られた正極シート中の固形分比率は、質量比で、正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10とした。
一方、負極シートとして、市販の黒鉛塗布電極シート(宝泉社製)を用いた。
炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを、EC:DEC=30:70の体積組成比で混合して得られた混合非水溶媒に、電解質としてLiPF6を1.0mol/Lで溶解し、該混合非水溶媒と該電解質とからなる溶液全重量に対し、非水電解液用添加剤として各実施例、及び、各比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を、含有割合が1.0質量%となるように添加し、非水電解液を調製した。
得られた非水電解液中にて、負極シートと正極シートとを、ポリエチレンからなるセパレータを介して積層し、円筒型二次電池を作製した。また、参考例1として、非水電解液用添加剤を添加せずに得られた非水電解液についても同様にして円筒型二次電池を作製した。
得られた各円筒型二次電池に対して、25℃において、充電レートを0.3C、放電レートを0.3C、充電終止電圧を4.2V、及び、放電終止電圧を2.5Vとして充放電サイクル試験を行った。200サイクル後の放電容量維持率(%)及び内部抵抗比を表3に示した。
なお、200サイクル後の「放電容量維持率(%)」とは、200サイクル試験後の放電容量(mAh)を、10サイクル試験後の放電容量(mAh)で割った値に100をかけたものである。また、200サイクル後の「内部抵抗比」とは、サイクル試験前の抵抗を1としたときの、200サイクル試験後の抵抗を相対値で示したものである。
また、実施例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液は、比較例で得られたハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物を含む非水電解液に比べて、内部抵抗比が小さいことから、サイクル時による内部抵抗の増加を抑制できることが分かる。
2 正極集電体
3 正極活物質層
4 正極板
5 負極集電体
6 負極活物質層
7 負極板
8 非水電解液
9 セパレータ
Claims (14)
- 請求項1、2、3、4又は5記載のハロゲン原子含有ジスルホン酸エステル化合物からなることを特徴とする非水電解液用添加剤。
- 請求項6記載の非水電解液用添加剤、非水溶媒、及び、電解質を含むことを特徴とする非水電解液。
- 非水溶媒は、非プロトン性溶媒であることを特徴とする請求項7記載の非水電解液。
- 非プロトン性溶媒は、環状カーボネート、鎖状カーボネート、脂肪族カルボン酸エステル、ラクトン、ラクタム、環状エーテル、鎖状エーテル、スルホン、及び、これらのハロゲン誘導体からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項8記載の非水電解液。
- 電解質は、リチウム塩を含有することを特徴とする請求項7、8又は9記載の非水電解液。
- リチウム塩は、LiAlCl4、LiBF4、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、及び、LiSbF6からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項10記載の非水電解液。
- 請求項7、8、9、10又は11記載の非水電解液、正極、及び、負極を備えたことを特徴とする蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスがリチウムイオン電池である、請求項12記載の蓄電デバイス。
- 蓄電デバイスがリチウムイオンキャパシタである、請求項12記載の蓄電デバイス。
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