JP2013225684A - ガス供給装置、処理装置及び処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】処理容器内の基板に対向して配置され、前記基板にガスを供給してガス処理を行うにあたり、その内部の流路におけるガスの置換を高速で行うことができるガス供給装置を提供すること。
【解決手段】縮径端側から拡径端側にガスを通流させるための概ね円錐形状のガス通流空間を形成する本体部と、前記ガス通流空間の縮径端側に設けられ、当該ガス通流空間にガスを導入するためのガス導入ポートと、前記ガス通流空間を、外側に向かうにつれて末広がりの程度が大きくなるように同心円状に区画するための区画部材と、を備えるようにガス供給装置を構成することで従来のガスシャワーヘッドに比べてガス供給装置内部のガス流路におけるコンダクタンスを大きくして、そのガス流路におけるガスの置換性を向上させることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、基板に対して処理ガスを供給するためのガス供給装置、当該ガス供給装置を備えた処理装置及びガス供給装置を用いた処理方法に関する。
CVD(chemical vapor deposition)やエッチングなどへのガス供給装置としてガスシャワーヘッドが用いられている。このガスシャワーヘッドは扁平な円柱形状に形成され、上部に設けられたガス導入ポートから供給されたガスを内部の拡散空間にて拡散させて、下面に形成された多数の孔からシャワー状に供給する。複数種類の処理ガスを供給するガスシャワーヘッドのタイプとしては、一系統のガス流路の途中で複数種類の処理ガスを混合してから供給するいわゆるプリミックス方式と、複数種類のガスに対して個別にガス流路を設けて供給するポストミックス方式とがある。
一方、成膜方法として複数種類の処理ガスの供給を例えば2ステップに分けて、第1の処理ガスの供給を行う第1のステップと、第2の処理ガスの供給を行う第2のステップと、を交互に行うことによりこれら処理ガスによる反応生成物を順次積層して、成膜を行ういわゆるALD(Atomic Layer Deposition)も知られている。
シャワーヘッド内のガス流路は複雑で狭いことからコンダクタンスが低く、ガスの置換性が悪い。このためALDの場合には、時間的に前後して供給される複数の処理ガスがシャワーヘッド内部で混じりあって反応生成物が生じるのを避けるために上記のポストミックスタイプのシャワーヘッドが用いられる。図17は前記ガスシャワーヘッドの一例の縦断側面を示したものである。このガスシャワーヘッド1は夫々扁平な円形のシャワープレート11、本体部12、ベース部材13などの複数の部材が接合された積層構造となっており、第1のガス供給管14Aから供給された第1のガスは、本体部12とベース部材13からなるガス拡散空間15Aに拡散して第1の吐出口16Aに供給され、第2のガス供給管14Bから供給された第2のガスは本体部材12とシャワープレート11とからなるガス拡散空間15Bに拡散して第2の吐出口16Bに供給される。上述のように第1のガス及び第2のガスはガスシャワーヘッド1内で混ざり合わないように独立して吐出口16A,16Bから夫々吐出される。
ところでALDにおいて、ガスシャワーヘッド1から供給される処理ガスの種類を切り替える際には、次の処理ガスの供給を開始する前にパージガスを供給し、成膜を行う処理雰囲気内に残っている処理ガスを完全に排除(パージ)する工程が必要である。スループットを向上させるため、この処理ガスの切り替え間におけるパージガスを供給する工程はできるだけ短い時間であることが好ましい。
しかし、このガスシャワーヘッド1においては既述のように流路におけるガスのコンダクタンスが低いことから、パージガスを供給する時間が短いと、ガス拡散空間15A,15Bの隅部などにおいて処理ガスが残留してしまうおそれがある。
このように先に供給された処理ガスがシャワーヘッド内に残留した状態で次の処理ガスが供給されると、この残留ガスがウエハの処理空間に流出して先に供給された処理ガスと、次に供給された処理ガスとがガスシャワーヘッド1の表面で反応して堆積物が付着し、パーティクル汚染の要因となったり、ウエハ上に反応生成物がパーティクルとして直接付着し、ウエハWの成膜処理が正常に行われないおそれがある。従ってパージの時間をあまり短くすることができず、スループットの向上が困難な状況にある。
また、上述のALD、CVD、プラズマエッチング処理などにおいてはウエハを所定の温度に加熱するため、ウエハWの周囲の処理空間は加熱される。従ってガスシャワーヘッド1を構成する材質として熱膨張率が小さいSiCとアルミニウムとを混合したものやセラミックスなどの材質を用いて構成することが好ましい場合がある。しかし上記のようにガスシャワーヘッドは複雑な積層構造を有し、微細な流路を形成する必要がある。特にシャワープレート11には多数の穴を穿孔する必要があり、上述の各材質にこのような微細な加工を施すことは難しいため製造が困難であったり、製造に使用できる材質が限られるという問題もあった。
なお、特許文献1には、各種のガスを下方に広がる流路から夫々供給する気相成長装置について記載されているが、上述のようにガスを互いに置換するにあたって生じる上述のような問題の解決方法については記載されていない。
特開平7−22323(段落0018、図1など)
本発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、処理容器内の基板に対向して配置され、前記基板にガスを供給してガス処理を行うにあたり、その内部の流路におけるガスの置換を高速で行うことができるガス供給装置、そのガス供給装置を備えた処理装置及びそのガス供給装置を用いた処理方法を提供することである。
本発明のガス供給装置は、処理容器内の基板に対向して配置され、前記基板にガスを供給してガス処理を行うためのガス供給装置において、
縮径端側から拡径端側にガスを通流させるための概ね円錐形状のガス通流空間を形成する本体部と、
前記ガス通流空間の縮径端側に設けられ、当該ガス通流空間にガスを導入するためのガス導入ポートと、
前記ガス通流空間を、外側に向かうにつれて末広がりの程度が大きくなるように同心円状に区画するための区画部材と、を備えたことを特徴とする。
前記ガス通流空間の上流側にて当該ガス通流空間の軸方向に伸びるガス導入路を備え、前記ガス導入ポートはこのガス導入路の上流側に設けられていてもよく、前記区画部材は、本体部の内周面から伸びだす支持部材に支持されていてもよい。また前記区画部材により区画された流路は、例えば径方向の中央側の流路のコンダクタンスが外側の流路のコンダクタンスよりも小さく設定されており、その場合前記通流空間の径方向の中心領域にはガスが流れないように構成されていてもよい。また、前記ガス導入路内に設けられ、当該ガス導入路を径方向に内側領域と、外側領域とに仕切ると共に、内側領域に供給されたガスを外側領域に拡散させるための複数の開口部が形成された仕切り部材とを備え、前記ガス導入ポートは前記内側領域にガスを供給するように構成されていてもよく、その場合例えば前記仕切り部材は、前記区画部材の上流端に連接されている。
また、他の発明のガス供給装置は、処理容器内の基板に対向して配置され、前記基板にガスを供給してガス処理を行うためのガス供給装置において、
縮径端側から拡径端側にガスを通流させるための概ね円錐形状のガス通流空間を形成する本体部と、
前記ガス通流空間の縮径端側に設けられ、当該ガス通流空間にガスを導入するためのガス導入ポートと、
前記ガス通流空間を、周方向に区画するための複数の区画部材と、を備えたことを特徴とする。
前記ガス通流空間の上流側にて当該ガス通流空間の軸方向に伸びるガス導入路を備え、前記ガス導入ポートはこのガス導入路の上流側に設けられていてもよく、また、前記複数の区画部材は、ガス通流空間の拡径端からガスが本体部の周方向に回転する渦流を形成しながら吐出するように構成されていてもよい。例えば前記区画部材は前記本体部から伸びだしている。また、前記区画部材は、前記ガス通流空間における縮径端から拡径端に亘って設けられていてもよい。
更に他のガス供給装置は、処理容器内の基板に対向して配置され、前記基板にガスを供給してガス処理を行うためのガス供給装置において、
ガスを通流させるためのガス通流空間を形成する本体部と、
前記ガス通流空間の上流端側に設けられ、当該ガス通流空間にガスを導入するためのガス導入ポートと、
前記ガス通流空間の下流端側に設けられ、当該ガス通流空間に供給されたガスを基板に供給するための同心円状に開口した複数のスリットを備えた板状部材と、
を備えたことを特徴とする。前記ガス通流空間の上流側にて当該ガス通流空間の軸方向に伸びるガス導入路を備え、前記ガス導入ポートはこのガス導入路の上流側に設けられている。前記板状部材に設けられたスリットは、当該板状部材の中心部から周縁部に向かうにつれてその開口幅が大きくなるように形成されていてもよい。
前記本体部には例えば温調手段が設けられている。
本発明の処理装置は、基板を載置するための載置台が内部に設けられた処理容器と、
前記載置台に対向して設けられ、前記処理容器内に基板を処理するための処理ガスを供給する上述のガス供給装置と、
処理容器内を排気する手段と、を備えたことを特徴とする。このガス供給装置においては例えば 前記ガス供給装置のガス導入ポートに接続された、複数種類の処理ガスを夫々供給するための複数のガス流路及びパージ用の不活性ガスを供給するガス流路と、
これらガス流路におけるガスの供給を制御するガス供給機器と、
前記複数種類の処理ガスを順番にかつサイクリックに供給すると共に一の処理ガスの供給ステップと他の処理ガスの供給ステップとの間には不活性ガスの供給ステップを行うように前記ガス供給機器を制御する制御部と、を備え、
前記基板の表面に前記複数種類の処理ガスの反応生成物からなる層が順次積層されて薄膜が成膜される。
本発明の処理方法は、処理容器の内部の載置台に基板を載置する工程と、
前記載置台に対向して設けられた上述のガス供給装置から、前記処理容器内に基板を処理するための処理ガスを供給する工程と、
前記処理容器内を排気する工程と、を備えたことを特徴とする。この処理方法において、前記処理ガスを供給する工程は、複数種類の処理ガスを順番にかつサイクリックに供給すると共に一の処理ガスの供給ステップと他の処理ガスの供給ステップとの間には不活性ガスの供給ステップを行う工程であり、
前記基板の表面に前記複数種類の処理ガスの反応生成物からなる層が順次積層されて薄膜が成膜される。
本発明のガス供給装置によれば、概ね円錐形状のガス通流空間の縮径端側にガス導入ポートからガスを導入し、そのガスが外側に向かうにつれて末広がりの程度が大きくなるように同心円状に区画する区画部材に沿って、あるいは周方向に区画するための複数の区画部材に沿って、前記ガス通流空間を通流して基板へと供給される。従って基板に供給するまでのガスの流路のコンダクタンスを大きくすることができ、ガス通流空間におけるガスの置換を速やかに行うことができる。また、本発明のガス供給装置は従来のように各段の部材に精密に複雑な加工を要する構造ではないので、製造が容易であり、また、そのため使用できる材質の選択の自由度が大きい利点もある。また、このガス供給装置を用いていわゆるALDなどと呼ばれている複数の処理ガスを順番にサイクリックに供給して成膜を行う場合にパージガスによるガス供給装置内のガスの置換を高速に行うことができることから、スループットの向上に寄与することができる。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の実施の形態である成膜装置2全体の構成について図1を参照しながら説明する。本実施の形態に係る成膜装置2は、例えば第1の処理ガスとしてストロンチウム(Sr)を含む原料ガス(以下、Sr原料ガスという)、第2の処理ガスとしてチタン(Ti)を含む原料ガス(以下、Ti原料ガスという)を用い、これらを第3の処理ガスとして酸化ガスであるオゾン(O3)ガスと反応させて、ALDプロセスにより、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)W表面に高誘電体材料であるチタン酸ストロンチウム(SrTiO、以下STOと略記する)の薄膜を成膜する機能を備えている。
成膜装置2は処理容器21を備えており、処理容器21内には、ウエハWを水平に載置するための載置台22が設けられている。載置台22内にはウエハWの温調手段をなすヒータ22aが設けられている。更に載置台22には、昇降機構22bにより昇降自在な3本の昇降ピン22c(便宜上2本のみ図示)が設けられており、この昇降ピン22cを介して成膜装置2の外部の不図示のウエハ搬送機構と載置台22との間でウエハWの受け渡しが行われる。処理容器21の底部には排気管23の一端側が接続され、この排気管23の他端側には真空ポンプなどにより構成される排気手段24が接続されている。排気手段24は図示しない圧力調整機構を備え、後述の制御部3Aからの制御信号を受けて成膜処理中に処理容器21内の圧力を所定の圧力に維持することができるようになっている。また処理容器21の側壁には、ゲートバルブGにより開閉される搬送口25が形成されている。図中Sは載置台22に載置されたウエハWの周囲の処理空間である。
処理容器21の上部には、載置台22に載置されるウエハWに対向するように本発明のガス供給装置を構成するガス供給部3が設けられている。このガス供給部3について、その縦断側面図である図2及び縦断斜視図である図3も参照しながら説明する。ガス供給部3は、その下部側が扁平な大径の円形柱状に、その上部側が小径の円形柱状に夫々構成されることにより側面視逆T字状に形成された本体部31を備えている。本体部31の内部には上方側から下方側へ向かうガス通流空間32が設けられており、当該ガス通流空間32は下方側へ向かって広がる概ね円錐形状に構成されている。
ガス通流空間32においては区画部材41〜46が当該ガス通流空間32の縮径端側から拡径端側に亘って設けられており、これら区画部材41〜46は前記縮径端側から拡径端側に向かうに従って拡径された筒状に構成されている。区画部材41〜46は互いに異なる径を有し、区画部材41、42、43、44、45、46の順にガス通流空間32の径方向に内側から外側へ向けて配置され、当該ガス通流空間32を外側に向かうにつれて末広がりの程度が大きくなるように同心円状に区画しており、ガス通流空間32において径方向に区画されたガス流路51〜57を形成している。
図3は、図2のA-A矢視断面図、図5は本体部31の下方側の斜視図であり、これらの図に示すように区画部材41〜46は、その上端、下端を夫々本体部31の内周面33から区画部材41に向かってガス通流空間32を径方向に夫々伸びる複数の支持部材48、49により支持されている。区画部材41から見れば支持部材48,49は夫々本体部31の内周面33へと放射状に広がっている。この支持部材48、49は、区画部材41〜46を支持する役割を有する他に例えば本体部31に設けられた温調手段例えばヒータ34などの熱を区画部材41〜46へと伝達し、処理ガスが当該区画部材41〜46表面で冷却されて当該表面に成膜されることを防ぐ役割を有する。図3に示すようにヒータ34は例えばガス通流空間32及び区画部材41〜46を囲むように本体部31に設けられている。なお、図示の便宜上図4では支持部材48,49の表示を省略している。
ガス通流空間32の上流側には、当該ガス通流空間32の軸方向に伸びるようにガス導入路35が形成されており、ガス導入路35の側壁には、当該ガス導入路35を介してガス通流空間32にガスを供給するためのガス導入ポート61a、61b、62a、62b,63a,63bが設けられている。ガス導入ポート61a、62a、63aが上から下に向けこの順に形成され、ガス導入ポート61b、62b、63bが上から下に向けこの順に形成されている。
各ガス導入ポート61a〜63a、61b〜63bは例えば図4に示すようにその断面が円形で、本体部31を側方に向かって開口した孔であり、また、図2においてX軸、Y軸に互いに直交する方向を前後方向とすると、ガス導入ポート61a〜63a、ガス導入ポート61b〜63bは例えば前後に互いにずれるように形成されている。これらガス導入ポート61a〜63a及び61b〜63bから供給されたガスは図6に示すようにガス導入路35において周方向に回転する渦流を形成しながら下方へと向かう。
また、図4において本体部31のガス導入路35の高さh1は例えば80mmであり、ガス通流空間32の縮径端から区画部材41〜46の上端までの高さh2は例えば20mmである。区画部材41〜46の上端から下端までの高さh3は例えば30mmである。また、ガス通流空間32の拡径端の直径Rは例えば300mmである。
図1及び図2に示すように各ガス導入ポート61a〜63a及び61b〜63bには各種のガスを供給するためのガス供給ライン71〜73が接続されており、ガス導入ポート61a,61bはSr原料ガス供給ライン71と、ガス導入ポート62a,62bはTi原料ガス供給ライン72と、ガス導入ポート63a,63bはオゾンガス供給ライン73と、夫々接続されている。
Sr原料ガス供給ライン71はSr原料供給源7Aと接続されていて、当該供給源7Aには、例えばSr(THD)(ストロンチウムビステトラメチルヘプタンジオナト)やSr(MeCp)(ビスペンタメチルシクロペンタジエニエルストロンチウム)等の液体Sr原料が貯留されており、このSr原料が供給ラインに押し出され、図示しない気化器により気化されてSr原料ガスがSr原料ガス供給ライン71へと供給される。
Ti原料ガス供給ライン72はTi原料供給源7Bと接続されていて、当該供給源7Bには、例えばTi(OiPr)(THD)(チタニウムビスイソプロポキサイドビステトラメチルヘプタンジオナト)やTi(OiPr)(チタニウムテトライソプロポキサイド)等のTi原料が貯留されており、Sr原料の場合と同様に図示しない気化器によって気化されたTi原料ガスが供給されるようになっている。
オゾンガス供給ライン73は例えばオゾンガス供給源7Cに接続されている。また、Sr原料ガス供給ライン71、Ti原料ガス供給ライン72、オゾンガス供給ライン73は夫々経路の途中で分岐してAr(アルゴン)ガス供給源7Dへと接続されており、夫々の処理ガスと共にArガスを各ガス導入ポート61a〜63a及び61b〜63bに供給することができる。
また、ガス導入路35の上流端は本体部31の上部に開口してガス導入ポート64を形成しており、このガス導入ポート64にはガス供給ライン74の一端が接続されている。ガス供給ライン74の他端は前記Arガス供給源7Dに接続されており、このガス供給ライン74はガス通流空間32にArガスを供給することで、ガス通流空間32におけるガスの流れを促進して、後述の成膜処理工程においてはガス導入ポート61a〜63a、61b〜63bから供給された処理ガスによる成膜を効率よく行い、パージ工程においてはパージに要する時間を短くする役割を有しており、このガス供給ライン74からのArガスをカウンターガスと呼ぶ。各ガス供給ライン71〜74にはバルブ、流量計等からなる流量制御機器群75,76が介設されており、後述する制御部3Aからの指示に基づいて各種のガスの供給タイミング及び供給量が制御される。
この成膜装置2には、例えばコンピュータからなる制御部3Aが設けられており、この制御部3Aはプログラムを備え、当該プログラムには制御部3Aから成膜装置2の各部に制御信号を送り、ウエハWの処理を進行させるように命令(各ステップ)が組み込まれている。このプログラム(処理パラメータの入力操作や表示に関するプログラムも含む)は、コンピュータ記憶媒体例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)などからなる記憶部3Bに格納されて制御部3Aにインストールされる。
続いて成膜装置2を用いてウエハWにSTOを形成するプロセスについて説明する。先ず搬送口25を介して外部のウエハ搬送機構により処理容器21内にウエハWを搬入し、次いで昇降ピン22cを介して、載置台22上にウエハWを載置する。続いてウエハWを所定の温度に加熱すると共に処理容器21内を真空排気して所定の圧力にする。
ALDプロセスによるSTOの成膜処理は、図7(a)〜図7(d)に示すガス供給シーケンスに基づいて実行される。図7(a)〜図7(c)の各図に示した白抜きのカラムは各ガス供給ライン71〜73からの処理ガス(Sr原料ガス、Ti原料ガス、オゾンガス)の供給量を示し、また図7(a)〜図7(d)の斜線のハッチで塗りつぶしたカラムは、各ガス供給ライン71〜74からのArガスの供給量を示している。
図7(a)に示すように、先ずSr原料ガス供給ライン71からSr原料ガス及びArガスが、ガス供給ライン74からArガスが夫々ガス導入路35を介してガス通流空間32に供給される(Sr原料ガス供給工程)。また、この際、図7(b)、図7(c)に示すように、Sr原料ガスが各ガス導入ポート内に流入して成膜されることを防ぐためにTi原料ガス供給ライン72及びオゾンガス供給ライン73からもガス導入路35に少量のArガスを流している。なお、Ti原料ガスの供給工程、オゾンガスの供給工程においても同様の理由で成膜に用いないガスの導入ポートからArガスを供給する。
これらガス導入路35に供給されたSr原料ガス及びArガスは上述のように本体部31の周方向に回転する渦流を形成しながらガス導入路35を下流へと向かい、ガス通流空間32に流入する。そして、これらのガスは図2に矢印で示すように区画部材41〜46により区画された流路51〜57に分散されてウエハW表面に供給され、Sr原料ガスを構成する分子がウエハWに吸着する。余剰なSr原料ガス及びArガスは排気管23により排気されて処理空間Sから除去される。
所定時間が経過し、ウエハW上にSr原料ガスの吸着層が形成されたら、各ガスの供給を停止して、Sr原料ガス供給ライン71及びガス供給ライン74からパージガスとしてArガスを供給し、処理容器21内及びガス供給部3内に残存するSr原料ガスをパージする(Sr原料ガスパージ工程)。また、この際図7(b)及び(c)に示すように、Sr原料ガスが各ガス導入ポート内に流入して、各処理ガスと反応することを防ぐためにSr原料ガス供給工程と同様にTi原料ガス供給ライン72及びオゾンガス供給ライン73からもガス導入路35に少量のArガスを流している。なお、Ti原料ガスの供給工程後、オゾンガスの供給工程後の各パージ工程においても同様の理由で各導入ポートからArガスを供給する。
Arガスを所定の時間供給してSr原料ガスのパージを終えたら、図7(b)、(d)に示すようにTi原料ガス供給ライン72からTi原料ガス及びArガスが、ガス供給ライン74からArガスが夫々ガス導入路35に供給される(Ti原料ガス供給工程)。これらガス導入路35に供給されたTi原料ガス及びArガスは、上述のSr原料ガス供給工程におけるSr原料ガス及びArガスと同様にガス通流空間32を流通してウエハWに供給されて、ウエハW表面にTi原料ガスを構成する分子が吸着され、余剰なTi原料ガス及びArガスは排気管23により処理容器21から除去される。
所定時間が経過し、ウエハW上にTi原料ガスの吸着層が形成されたら、各ガスの供給を停止し、図7(b)、(d)に示すようTi原料ガス供給ライン72及びカウンターガス供給ライン74からパージガスとしてArガスを供給し、処理容器21内及びガス供給部3内に残存するTi原料ガスをパージする(Ti原料ガスパージ工程)。
Arガスを所定の時間供給してTi原料ガスのパージを終えたら、図7(c)、(d)に示すようにオゾンガス供給ライン73からオゾンガス及びArガスが、ガス供給ライン74からArガスが夫々ガス導入路35に供給される(オゾンガス供給工程)。これらガス導入路35に供給されたオゾンガス及びArガスは、上述のSr原料ガス供給工程におけるSr原料ガス及びArガスと同様にガス通流空間32を流通してウエハWに供給される。そして載置台22のヒータ22aの熱によりオゾンガスが既にウエハWの表面に吸着している原料ガスの分子と反応して、STOの分子層が形成される。
所定時間経過後、オゾンガス及びArガスの供給を停止し、図7(c)、(d)に示すようにオゾンガス供給ライン73、カウンターガス供給ライン74からパージガスとしてArガスを供給して、処理容器21内及びガス供給部3内部に残存するオゾンガスをパージする(オゾンガスパージ工程)。
図7に示すように、以上に説明した6つの工程を1サイクルとすると、当該サイクルを予め決められた回数、例えば100回繰り返してSTOの分子層を多層化し、所定の膜厚を備えたSTO膜の成膜を完了する。そして成膜を終えたら各種のガス供給を停止し、処理容器21内の圧力を真空排気前の状態に戻した後、搬入時とは逆の経路で外部の搬送機構によりウエハWを搬出し、一連の成膜動作を終える。
上述の成膜装置2においては、概ね円錐形状のガス通流空間32の縮径端側にガス供給ライン71〜73に接続される各ガス導入ポート61a〜63a、61b〜63b及び64から各ガスを導入し、そのガスが外側に向かうにつれて末広がりの程度が大きくなるように同心円状に設けられた区画部材41〜46に沿ってガス通流空間32を通流して、ウエハWへと供給されるので、ウエハWに供給するまでのガスの流路のコンダクタンスを大きくすることができる。従って、上述のようなALDプロセスにおいて、ガス通流空間32にSr原料ガス、Ti原料ガスあるいはオゾンガスを含んだ処理ガスを供給した後、高速でウエハWに供給することができる、また各原料ガスを供給した後、Arガスに置換するパージを高速で行うことができる。このため、スループットの向上を図ることができる。
ガス供給部3には、上述のガスシャワーヘッドのように精密に複雑な加工を要する構造ではないため、ガスシャワーヘッドに比べて製造が容易であり、本体部31や区画部材41〜46を構成する材料としては例えばアルミニウムやSiCとアルミニウムとの混合物やセラミックス等を用いることができる。ガス供給部3は、このように製造に使用できる材質の自由度が大きいという利点がある。また、例えば加工性が容易なアルミニウムなどの材質を選択することで、プロセスに必要なガスの種類の数に応じてガス導入ポートの追加あるいは削除を容易に行うことができる。
続いてガス供給部3の第1の変形例について図8(a)を参照しながら説明する。なお、以下の説明において上述の実施形態と同様に形成された箇所についてはその実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。この図8(a)の変形例においては区画部材41の内側に棒状の気流制御部材81を設けており、この気流制御部材81によりガス通流空間32の径方向の中心領域にはガスが流れないように構成されている。概ね円錐形状であるガス通流空間32においてガスが供給されやすい径方向の中心側にこのような気流制御部材81を設けることで、ウエハW全体に均一にガスを供給し、面内の処理の均一性を高めることができる。
図8(b)は気流制御部材の斜視図であり、図8(c)はガス供給部3の下面側における気流制御部材81の周辺の斜視図である。図8(b)では図示の便宜上表示を省略しているが、支持部材48、49が区画部材41の内側へと伸び、気流制御部材81を支持している。
また、図9(a)にはガス供給部3の第2の変形例を示している。この第2の変形例においては、区画部材41の内側に上端が塞がれた筒状の区画部材82を設けており、上述のようにガス通流空間32の径方向の中心領域にガスを流れないようにして、ウエハW全体に均一にガスを供給し、面内の処理の均一性を高めている。図9(b)は区画部材82の斜視図である。区画部材82は気流制御部材81と同様にガス通流空間32の径方向内側に伸びた支持部材48,49により支持されているが、図示の便宜上図9(b)ではその表示を省略している。
また、例えばこの図8(a)及び図9(a)に示すガス供給部3においては、気流制御部材81,または、区画部材82を設ける他に、ウエハWの面内の処理の均一性を高めるために、各区画部材41〜46の傾きや間隔及び気流制御部材81及び区画部材82の形状を調整し、ガス流路51〜57において本体部31の径方向の内側から外側に向かうにつれてそのコンダクタンスが大きくなるようにすることが好ましい。つまり、ガス流路51〜57をコンダクタンスの大きい順に並べると、流路57>流路56>流路55>流路54>流路53>流路52>流路51となるように構成することで、ガスがウエハWの面内に均一に供給され、ウエハWの面内で均一な成膜処理を行うことができる。
また、第1の実施形態において気流制御部材81を設けなくても、区画部材41〜46の傾きや間隔を調整することによって各ガス流路51〜57のコンダクタンスを上述のように径方向の外側に向かうにつれて大きくするようにしてガスの供給の均一化を図ってもよい。また第1の実施形態及びその各変形例においてガス通流空間32に配置する区画部材の数を増減させてガスの供給の均一化を図ってもよい。
続いてガス供給部の第3の変形例であるガス供給部9を図10(a)に示す。このガス供給部9においてはガス導入路35に当該ガス導入路35を径方向に内側領域92と外側領域93とに仕切る仕切り部材91が設けられている。ガス通流空間32には区画部材41と同様に構成された区画部材94が設けられており、図10(b)に示すように仕切り部材91の下端は区画部材94の上流端に連接されている。ガス導入ポート61a〜63aは内側領域92に各ガスを供給するように構成されており、前記仕切り部材91の側壁には内側領域92に供給されたガスを外側領域に拡散させるための複数の開口部95が設けられている。このようにガス供給部を構成してもガスシャワーヘッドのように複雑で微細な流路にガスを通過させる必要がないため、第1の実施形態の例と同様の効果が得られる。
(第2の実施形態)
続いて上述のように成膜装置2のガス供給部を構成するガス供給装置の第2の実施の形態について図11(a)を参照しながら説明する。図11(a)のガス供給部100はガス供給部3と同様に構成されているが、ガス通流空間32において区画部材41〜46が設けられておらず、それらに代わりガス通流空間32を周方向に区画するように本体部31の内周面33からガス通流空間32の径方向の中心に向かって伸びた板状の区画部材103〜106が設けられている。例えば区画部材103〜106の各一端は前記内周面33に、各他端は前記径方向の中心に設けられた支持部材107に夫々支持されている。図11(c)はこれら区画部材103〜106及び支持部材107の斜視図である。
図11(a)に矢印で示すように各ガス導入ポート61a〜63ca及び61b〜63bからガスを吐出したときに、第1の実施形態と同様に本体部31の周方向に回転する渦流を形成しながら各ガス導入ポートから供給されたガスがガス通流空間32の拡径端へと向かい、区画部材103〜106にガイドされて前記拡径端からその渦流がウエハWに向かって吐出される。図11(b)はこのようにガスが供給されるときのウエハWの上面を示したものであり、矢印はガスの流れを示している。
第2の実施形態の構成であってもガスシャワーヘッドに比べて複雑で微細な流路にガスを通過させる必要がないため、ガス通流空間32におけるガスのコンダクタンスの低下を抑えることができるので第1の実施形態と同様の効果が得られる。また上述のように渦流をなすガスがガス通流空間32の拡径端からウエハWに供給されるように区画部材103〜106を構成することでウエハW全体に均一性高くガスを供給することができるため好ましい。前記渦流を形成するために例えば区画部材103〜106の水平軸回りの角度は適宜設定される。また、この例では区画部材103〜106はガス通流空間32の拡径端に設けられているが、拡径端から縮径端へ渡って伸びるように形成されていてもよい。また、ウエハWに均一にガスを供給できるように区画部材の数は4本に限られず、適宜設定される。
(第3の実施形態)
続いて上述のように成膜装置2のガス供給部を構成するガス供給装置の第3の実施の形態について、その断面斜視図である図12を参照しながらガス供給部3との差異点を中心に説明する。図12のガス供給部110の本体部120は扁平な円形状に構成されており、下側が拡径されたガス通流空間32の代わりに円板状のガス通流空間121を形成している。そしてガス通流空間121においては区画部材41〜46が設けられておらず、その下流端側には板状部材111が設けられている。
板状部材111には周方向に4分割されたリング状のスリット112が同心円状に開口している。図13(a)は夫々板状部材111の下面図、図13(b)はガス供給部110の下側から見た斜視図である。スリット112は板状部材111の中心から周縁に向かってこの例では14本開口している。最も中心側に形成された2本のスリット112の幅は2mm、その外側に形成された7本のスリット112の幅は3mm、更にその外側に形成された3本のスリット112の幅は4mm、その外側の、最も周縁側に形成された2本のスリット112の幅は5mmである。このようにスリット112の幅が板状部材111の周縁に向かうにつれて大きくなるように構成し、さらに板状部材111の中心部には開口部を形成しない構成とすることで、第1の実施形態の変形例と同様にガス供給部110の径方向における周縁側のガスのコンダクタンスを高め、ウエハW全体に均一にガスを供給し、ウエハWの面内の処理の均一性を高めることができる。
図13(a)中L1で示す、板状部材111の最も外側に形成されたスリット112の周縁がなす形状を円とみなしたとき、その直径の長さは、例えば300mmであり、周方向に隣接するスリット112間の距離L2は例えば7mmである。
図14はガス導入路35及びその周辺部の構造を示したものであり、この例では他の実施形態と同様にガス導入路35で渦流を形成することができるように、4方向にSrガス、Tiガス及びO3ガスを導入するためのガス導入ポートが設けられている(図は断面形状を示しているため、3方向にガスを導入するポートのみ示している)。図中、ガス導入ポート61c、62c、63cは夫々ガス導入ポート61a、62a、63aと同様にSrガス、Tiガス、O3ガスの導入路として形成されており、不図示の各ガス導入ポートは、これらのガス導入ポート61c、62c、63cと対向するように設けられている。これらSrガス、Tiガス及びO3ガスを導入するための各ガス導入ポートの径は例えば4mmであり、ガス導入ポート64の径は例えば12mmである。
また、ガス供給部110の高さh4は例えば30mm、h5で示すガス通流空間121の高さは例えば5mm、板状部材111の厚さh6は例えば5mm、ウエハW表面と板状部材111の下面との距離h7は例えば10mmである。
この第3の実施形態のガス供給部110においても図17に示す従来のガスシャワーヘッドに比べて複雑で微細な流路にガスを通過させる必要がないため、ガス通流空間32におけるガスのコンダクタンスの低下を抑えることができるので第1の実施形態と同様の効果が得られる。
上述の第1、第2及び第3の実施形態は、本発明のガス供給装置を成膜装置に適用した例について示したが、このガス供給装置としては基板にガスを供給し、そのガスをプラズマ化させて基板にエッチングを行うプラズマエッチング装置に適用してもよい。また、成膜装置としても上述のように異なる処理ガスを所定のサイクルで断続的に基板に供給するALDプロセスを行う装置に限られず、処理ガスを連続的にウエハWに供給して連続的に成膜を行うCVD装置に適用してもよい。また、基板として半導体ウエハを例にとって説明したが、これに限定されず、ガラス基板、LCD基板、セラミックス基板等にも本発明を適用することができる。
(評価試験1)
上記の第1の実施形態におけるガス供給部3の効果を確認するために、コンピュータによるシミュレーションを行い、ガス供給部3の各ガス導入ポート61a〜63a、61b〜63b及び64からガス通流空間32に供給されたガスの当該通流空間32内及びウエハW表面における濃度分布を、ガス導入からの時間の経過に沿って調べた。このシミュレーションの条件としてガス導入ポート61a,61bからは、SrガスとArガスとの混合ガスの代わりにC7H8ガスとArガスとの混合ガスを供給している。ガス導入ポート61a〜63a及び61b〜63bからのガス供給量は250mL/min(sccm)であり、ガス導入ポート64からの供給量は500mL/min(sccm)である。また、ガス導入ポート61a及び61bに供給されるガスのうち、C7H8ガスの分率、Arガスの分率は夫々27%、72%である。またウエハW及びその周囲の処理空間の温度を230℃とし、ガス供給時にウエハWの外周において当該ウエハW中心から径方向に向かうように排気が行われ、処理空間S内の圧力が45Paとなるように設定した。
上述の実施形態のSr原料ガス供給工程に従って各ガス導入ポートからガスを供給するシミュレーションを行い、Srガスの代わりに供給されたC7H8ガスの分布を調べたところ、ガス吐出後0.05秒でガス通流空間32及びウエハW表面全体にC7H8ガスが広がっており、0.1秒後にはガス通流空間32及びウエハW表面全体におけるC7H8ガスの濃度は極わずかに7.5%となった領域があるのみで、それ以外は9%と、全体で略均一になった。
その後、上述の実施形態のSr原料ガスパージ工程に従ってC7H8ガスのパージのシミュレーションを行ったところ、パージガス(Arガス)吐出後0.15秒後にガス通流空間32及びウエハW表面全体においてC7H8ガスの濃度が略0%になりパージが完了した。図15(a)は、上述のようにC7H8ガスを供給して、0.1秒後の処理空間Sにおける濃度分布のシミュレーション結果を示しており、その処理空間Sにおけるガス濃度分布を等濃度線にて区画表示したものである。この図に示すように略均一なC7H8ガスの分布が得られている。なお、実際のシミュレーション結果は、コンピュータグラフィクスにより濃度分布がグラデーション表示されるようにカラー画面にてアウトプットされているが、図示の便宜上、図15(a)及び後述の図15(b)では概略の濃度分布を示してある。従って、図15(a)(b)で実際に濃度分布が飛び飛びになってしまっているわけではなく、これらの図において等濃度線で区画した領域間に急な濃度勾配が存在していることを意味している。
続いて従来のガスシャワーヘッドについて同様にSr原料ガス供給工程、Sr原料ガスパージ工程におけるシミュレーションを行った。ただしガスはガス供給部3のシミュレーションの場合と同様にSrガスの代わりにC7H8ガスを用いた。その結果、原料ガス供給工程においてはガス供給後0.1秒経過後においてウエハW表面中心部のC7H8ガス濃度が19%、周縁部のC7H8ガス濃度が8%であり、濃度差が大きかった。図15(b)はこのシミュレーション結果について、図15(a)と同様にガス濃度分布を等濃度線にて区画表示し、さらに図示の便宜上、処理空間Sにおいて所定の濃度を示した部分に点や線などを付して示したものである。黒く塗りつぶした領域のC7H8ガス濃度が19%、一方向に実線の斜線を付した領域のC7H8ガス濃度が13%である。網状に斜線を付した領域のC7H8ガス濃度は8%であり、点を付した領域のC7H8ガス濃度は6%である。また、点線の斜線を付した領域のC7H8ガス濃度は19%よりも小さく13%よりも大きい。そして点や線を付していない領域のC7H8ガス濃度は13%よりも小さく8%よりも大きい。
さらに1.0秒後のシミュレーション結果も同様の濃度差であった。またSr原料ガスパージ工程においてもガス供給後1.0秒経過後、シャワーヘッド内においてC7H8ガスの濃度が高い箇所が存在した。このシミュレーションの結果から本発明のガス供給部3は、従来のガスシャワーヘッドに比べてウエハWの面内に均一性高くガスを供給でき、また素早くパージを行うことができることが示された。なお、これらの評価試験で%は体積%濃度を示している。
(評価試験2)
評価試験1と同様にガス供給部3におけるオゾンガス供給工程についてのシミュレーションを行い、オゾンガスの通流空間32内及びウエハWの表面における濃度分布を調べた。その結果、ガスを吐出してから0.05秒後に通流空間32内及びウエハWの表面における濃度分布が略均一になった。この濃度分布が均一になるまでの速度は、ALDプロセスを行うには十分な速度であり、このガス供給部3がALDプロセスにおいて有効であると考えられる。
(評価試験3)
続いて評価試験1と同様にSr原料ガス供給工程及びSr原料ガスパージ工程に従って各ガス導入ポートからガスを供給し、C7H8ガスの分布を調べるシミュレーションを行った。ただしガス導入ポート64からカウンターガスであるArガスの供給は行われないように設定した。その結果、Sr原料ガス供給工程において、ガス供給から0.1秒経過すると、C7H8ガスは略均一にガス通流空間32内及びウエハWの表面において最も濃度の高いところで11%、最も濃度の低いところで10%であり、10%となっている領域の占める割合は、評価試験1で濃度の低い領域の占める割合よりも大きかった。続くSr原料ガスパージ工程において、ガス供給後から0.15秒後には最も濃度の高い領域で0.01%、最も濃度の低い領域で0.001%であった。評価試験1で示すように、ガス導入ポート64からArガスを供給した場合には0.15秒後には既にパージが完了していたので、この評価試験3と評価試験1の結果からガス導入ポート64からのカウンターガス供給を行うことが、ウエハ面内におけるガス供給の均一化及びパージ工程の高速化を図る上で好ましいことが分かる。
(評価試験4)
続いてシミュレーションにおいて区画部材41〜46を持たないガス供給部3を設定し、評価試験1と同様にSr原料ガス供給工程及びSr原料ガスパージ工程に従って各ガス導入ポートからガスを供給するシミュレーションを行った。その結果Sr原料ガス供給工程においてC7H8ガスの分布は評価試験1と同様になったが、Sr原料ガスパージ工程においてパージガス供給から0.15秒経過後、ウエハWの周縁部のC7H8ガスの濃度が0.02%、ウエハWの中心部のC7H8ガスの濃度が0.001%とその差が評価試験1の結果に比べて大きかった。従って区画部材41〜46はガスを均一に置換させる役割を有することが示された。
(評価試験5)
続いてシミュレーションにおいて、図16に示す、径方向に4分の1に分割されたガス供給部110の流路のモデルを設定し、評価試験1と同様にSr原料ガス供給工程及びSr原料ガスパージ工程に従って各ガス導入ポートからガスを供給するシミュレーションを行った。ただし、ガス導入ポート61a及び61cからはC7H8ガスとArガスとの混合ガスの代わりにトルエンガスとArガスとの混合ガスを500mL/min(sccm)で供給するように設定した。この混合ガス中のトルエンの流量は0.1g/分であり、またウエハW及びその周囲の処理空間の温度は200℃とした。ガス導入ポート64からのArのガス流量は500mL/min(sccm)に設定し、ガス導入ポート62a、62cからは計500mL/min(sccm)のArガスを供給するように設定した。他のガス導入ポートについては、このシミュレーションでは設定していない。そして、処理空間Sにおけるトルエンガスの分布を調べた。
シミュレーションの結果、ガス吐出後0.1秒で処理空間S全体にトルエンガスが広がっており、濃度は4%と処理空間S全体で均一であった。この結果と、評価試験1の従来のシャワーヘッドの構造のシミュレーション結果とを比較して、このガス供給部110は、ウエハWの面内に均一性高く、そして高速でガスを供給できることが示された。
本発明のガス供給装置であるガス供給部の第1の実施形態を備えた成膜装置の縦断側面図である。 前記ガス供給部の縦断側面図である。 前記ガス供給部の下断面図である。 前記ガス供給部の縦断側面斜視図である。 前記ガス供給部の下面側斜視図である。 前記ガス供給部のガス通流空間における渦流を示した図である。 前記成膜装置を用いて行うALDプロセスの工程図である。 前記ガス供給部の第1の変形例を示した説明図である。 前記ガス供給部の第2の変形例を示した説明図である。 前記ガス供給部の第3の変形例を示した説明図である。 前記ガス供給部の第2の実施形態を示した説明図である。 前記ガス供給部の第3の実施形態を示した縦断斜視図である。 前記第3の実施形態のガス供給部の下側を示した下面図及び下側斜視図である。 前記ガス供給部のガス導入ポート周辺の構造を示した縦断斜視図である。 評価試験のシミュレーションにおける処理空間のガス濃度分布を示した図である。 評価試験のシミュレーションで用いたガス流路のモデルの斜視図である。 従来のガスシャワーヘッドの縦断側面図である。
W 半導体ウエハ
2 成膜装置
21 処理容器
22 載置台
3 ガス供給部
31 本体部
3A 制御部
3B 記憶部
61a、62a、63a、61b、62b、63b、64 ガス導入ポート
71,72,73,74 ガス供給ライン
75,76 流量制御機器群

Claims (13)

  1. 処理容器内の基板に対向して配置され、前記基板にガスを供給してガス処理を行うためのガス供給装置において、
    縮径端側から拡径端側にガスを通流させるための概ね円錐形状のガス通流空間を形成する本体部と、
    前記ガス通流空間の縮径端側に設けられ、当該ガス通流空間にガスを導入するためのガス導入ポートと、
    前記ガス通流空間を、外側に向かうにつれて末広がりの程度が大きくなるように同心円状に区画するための区画部材と、を備えたことを特徴とするガス供給装置。
  2. 前記ガス通流空間の上流側にて当該ガス通流空間の軸方向に伸びるガス導入路を備え、前記ガス導入ポートはこのガス導入路の上流側に設けられていることを特徴とする請求項1記載のガス供給装置。
  3. 前記区画部材は、本体部の内周面から伸びだす支持部材に支持されていることを特徴とする請求項1または2記載のガス供給装置。
  4. 前記区画部材により区画された流路は、径方向の中央側の流路のコンダクタンスが外側の流路のコンダクタンスよりも小さく設定されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載のガス供給装置。
  5. 前記通流空間の径方向の中心領域にはガスが流れないように構成されていることを特徴とする請求項4記載のガス供給装置。
  6. 前記ガス導入路内に設けられ、当該ガス導入路を径方向に内側領域と、外側領域とに仕切ると共に、内側領域に供給されたガスを外側領域に拡散させるための複数の開口部が形成された仕切り部材とを備え、
    前記ガス導入ポートは前記内側領域にガスを供給するように構成されていることを特徴とする請求項2記載のガス供給装置。
  7. 前記仕切り部材は、前記区画部材の上流端に連接されていることを特徴とする請求項6記載のガス供給装置。
  8. 前記区画部材は、前記ガス通流空間における縮径端から拡径端に亘って設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一に記載のガス供給装置。
  9. 前記本体部には温調手段が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一に記載のガス供給装置。
  10. 基板を載置するための載置台が内部に設けられた処理容器と、
    前記載置台に対向して設けられ、前記処理容器内に基板を処理するための処理ガスを供給する請求項1ないし9のいずれか一つに記載されたガス供給装置と、
    処理容器内を排気する手段と、を備えたことを特徴とする処理装置。
  11. 前記ガス供給装置のガス導入ポートに接続された、複数種類の処理ガスを夫々供給するための複数のガス流路及びパージ用の不活性ガスを供給するガス流路と、
    これらガス流路におけるガスの供給を制御するガス供給機器と、
    前記複数種類の処理ガスを順番にかつサイクリックに供給すると共に一の処理ガスの供給ステップと他の処理ガスの供給ステップとの間には不活性ガスの供給ステップを行うように前記ガス供給機器を制御する制御部と、を備え、
    前記基板の表面に前記複数種類の処理ガスの反応生成物からなる層が順次積層されて薄膜が成膜されることを特徴とする請求項10記載の処理装置。
  12. 処理容器の内部の載置台に基板を載置する工程と、
    前記載置台に対向して設けられた請求項1ないし9のいずれか一つに記載されたガス供給装置から、前記処理容器内に基板を処理するための処理ガスを供給する工程と、
    前記処理容器内を排気する工程と、を備えたことを特徴とする処理方法。
  13. 前記処理ガスを供給する工程は、複数種類の処理ガスを順番にかつサイクリックに供給すると共に一の処理ガスの供給ステップと他の処理ガスの供給ステップとの間には不活性ガスの供給ステップを行う工程であり、
    前記基板の表面に前記複数種類の処理ガスの反応生成物からなる層が順次積層されて薄膜が成膜されることを特徴とする請求項12記載の処理方法。
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