JPH05136064A - 気相成長装置 - Google Patents

気相成長装置

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JPH05136064A
JPH05136064A JP29454991A JP29454991A JPH05136064A JP H05136064 A JPH05136064 A JP H05136064A JP 29454991 A JP29454991 A JP 29454991A JP 29454991 A JP29454991 A JP 29454991A JP H05136064 A JPH05136064 A JP H05136064A
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JP
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reaction
reaction tube
reaction chamber
gas
substrate
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JP29454991A
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Shigeya Narizuka
重弥 成塚
Takao Noda
隆夫 野田
Yasuo Ashizawa
康夫 芦沢
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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  • Physical Deposition Of Substances That Are Components Of Semiconductor Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 大面積を均一に、原料の切り替えを急峻に、
且つ中間反応も未然に防ぐ機能を兼ね備えた気相成長装
置を提供すること。 【構成】 InP基板等の被処理基体10が配置される
反応室7と、この反応室7の一部を構成し、該反応室7
内の被処理基体10の表面に原料ガスを供給する反応管
5と、反応室7内を排気する反応管出口8とを備えた気
相成長装置において、反応管5をガス流方向に沿ってそ
の径を広げた多数の小型反応管で形成し、且つ小型反応
管を複数個のグループに分け、各々のグループに異なっ
たガスを流すことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気相中で被処理基体上
に薄膜を成長する気相成長装置に係わり、特にガス供給
系の改良をはかった気相成長装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、気相中で被処理基体上に薄膜を成
長する気相成長技術は、結晶成長の重要な手段として盛
んに用いられるようになっている。例えば、有機金属化
学気相成長(MOCVD)法、分子線エピタキシー(M
BE)法、ケミカルビームエピタキシー(CBE)法等
が考案され、益々その重要度が高まっている。これらの
気相成長方法は、その単原子オーダーにも及ぶ高い制御
性を生かして電子デバイス,光デバイスの結晶成長に主
に用いられている。
【0003】しかしながら、今後のさらなる発展のため
には、現状の技術で対応できる範囲はおのずと限られて
おり、このように有用な気相成長方法にも解決すべき数
多くの問題点がある。例えば、大面積を均一に、原料の
切り替えを急峻に、さらに中間反応を未然に防ぐような
性能を兼ね備えた成長方法及び装置は未だ存在せず、そ
の開発が強く求められている。
【0004】現状の技術として、主にMOCVD法につ
いて具体的に説明する。MOCVD法においては、結晶
成長に有害である中間反応を防ぐため、反応管の直前ま
で中間反応を起こす原料ガスを分離して輸送する方法
や、減圧反応管を用いキャリア流量を増やし原料ガスの
流速を速め中間反応の確率を低下させる方法などが取ら
れており、一応の成果が得られている。また、面内均一
性や原料の切り替え効率を向上させるために、基板を高
速回転する方法も提案され相応の性能も得られている。
しかし、上記のような性能を全て兼ね備えたタイプのM
OCVD装置は未だ存在せず、その開発が強く求められ
ている。
【0005】ここで、従来例のうちでも比較的性能の高
いと考えられる、特開平 1-16120号公報,特開平 3-224
14号公報について説明する。これらは、面内均一性,中
間反応を防ぐという観点では優れた発明であるが、ガス
を急峻に切り替え単原子オーダーに及ぶ微細構造を制御
性良く成長するためには、それぞれ問題点を抱えてい
る。特開平 3-16120号公報では、ガスヘッドにかなり体
積のある中空部があり、これがデットスペースとなり、
ガス切り替えに関して大きな欠点になっている。また、
特開平 3-22414号公報では、櫛状に形成された反応ガス
を噴出する導通路の中で渦状の流れが発生すると考えら
れ、ガス切り替えを急峻に行うために大きな問題点とな
っている。
【0006】一方、MBE法,CBE法は、原料の切り
替えを急峻に行う、中間反応を未然に防ぐという点では
優れているが、大面積を均一に成長するという点で、今
一つ解決法にかけ、今のところ装置のスケールアップと
いう解決手段しかない。その結果、装置が巨大になり製
作コストが大幅にかかるという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、大面
積を均一に、原料の切り替えを急峻に、しかも中間反応
を未然に防ぐような性能を兼ね備えた気相成長方法は、
強く求められているにも拘らず今のところなく、従来の
技術では優れたものにおいても、これらの性能のうちい
ずれかが劣り、これら全ての性能を兼ね備えたものは実
現されていないのが現状である。
【0008】本発明は、このような事情を考慮してなさ
れたもので、その目的とするところは、大面積を均一
に、原料の切り替えを急峻に、且つ中間反応も未然に防
ぐ機能を兼ね備えた気相成長装置を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の骨子は、一つの
反応管を用いるのではなく、原料の切り替えが急峻に行
えるn個の小型の反応管を組み合わせて反応室を構成す
ることにある。
【0010】即ち本発明は、被処理基体が配置される反
応室と、この反応室の一部を構成し該反応室内の被処理
基体の表面に所定のガスを供給する反応管と、反応室内
を排気する排気手段とを備えた気相成長装置において、
反応管を複数の小型反応管で形成し、且つ各々の小型反
応管をガス流方向に沿ってその径を広げるようにしたも
のである。
【0011】より具体的には本発明は、原料の切り替え
を急峻に行うために、例えばMOCVD方法において反
応管内のガス流をピストン流にする、反応管内のデット
スペースとなる無駄な容量を減らす等の点を考慮してい
る。つまり、小型反応管を原料の切り替えが急峻に行え
るよう設計し、これらを2次元的に一つの平面を構成す
るように配列し、全体で一つの反応室を構成する。さら
に、中間反応を未然に防ぐためにn個の小型反応管を複
数個のグループに分け、各々のグループに異なった原料
ガスを流す。また、原料ガスの切り替えの急峻性を増す
ために、複数個のグループに分けた小型反応管に、各々
のグループ毎に同期して動作するシャッタ若しくは排気
ポート付きのシャッタを設ける。
【0012】
【作用】本発明によれば、原料ガスがピストン的に流
れ、切り替えが急峻に行える複数個の小型反応管の組み
合わせにより反応室を構成するので、原料の切り替え性
能が高い。また、各々の反応管が小型であることから、
反応管内の容量(デットスペース)が小さく、原料の切
り替え性能は非常に良い。その上、小型反応管の各々に
シャッタ若しくは排気ポート付きシャッタを設け、シャ
ッタにより強制的に原料をオンオフすることにより、排
気ポートによりシャッタオフ時でも原料が滞ることなく
新しいものに入れ代わるため、原料の切り替え性能を非
常に高くすることができる。
【0013】また、本発明によれば、小型反応管を2次
元的に配列し一つの反応室を構成するので、原理的には
各々の小型反応管の持つ性能を劣化させることなく、任
意に大面積の反応室を構成することができる。従って本
発明によれば、大面積に及ぶ非常に高い面内均一性を実
現することが可能となる。
【0014】また、本発明によれば、小型反応管を複数
個のグループに分け各々のグループに異なった原料を流
すことにより、基板直前までそれぞれの原料を分離する
ことができ、その結果として中間反応を抑えることがで
きる。この場合、それぞれの小型反応管のグループの配
列を工夫し、例えば異なるグループの小型反応管を市松
模様状に配列すれば、面内均一性も劣化することはな
い。さらに、複数個のグループに分けた小型反応管の各
々にグループ毎に同期して動作するシャッタ若しくは排
気ポート付きシャッタを設けることにより、シャッタ作
用でより完全に異なる原料ガスを分離することが可能と
なる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の詳細を図示の実施例によって
説明する。
【0016】図1は、本発明の第1の実施例に係わるM
OCVD装置の反応室付近の概略構成を示す断面図であ
る。本実施例では、InAlAs,InGaAsによる
量子井戸構造をInP基板上に成長した場合について述
べる。
【0017】図示しない恒温槽で一定の温度に保たれた
各原料を水素ガスでバブリングすることにより発生した
トリメチルガリウム(TMG),トリメチルインジウム
(TMI)の各蒸気と、アルシン(AsH3 )、及びそ
れらを運ぶ水素キャリアガスを第1の反応管入り口1よ
り導入する。一方、上記の原料と中間反応を起こすと考
えられるトリメチルアミンアラン(TMAA)蒸気を水
素キャリアガスと共に第2の反応管入り口2より導入す
る。
【0018】反応管入り口1、2に導入された各々の原
料ガスは、分岐部3,4で分岐され円錐状の形状をした
複数の小型反応管5に等しく分配される。これらの原料
ガスは、小型反応管5内をピストン流的に流れ小型反応
管5の開口6より反応室7に導入される。
【0019】反応室7には、被処理基体としてのInP
基板10を載置し、20rpmで回転するサセプタ9が
設置されている。そして、サセプタ9上に置かれ550
℃に加熱されているInP基板10上に、上記の原料ガ
スが運ばれ結晶成長が行われる。ここで、反応室7は反
応管出口8より排気され、成長中は70Torrの減圧に保
たれている。さらに、小型反応管5の開口6は、第1の
反応管入り口1につながるものと第2の反応管入り口2
につながるものが交互に並べられ、InP基板10上で
原料が良く混合するような構造になっている。
【0020】この装置を用いて、InP基板10上にI
nAlAs,InGaAsからなる量子井戸構造を成長
したところ、鏡面の表面モホロジーを持つ良好な結晶が
得られた。このことより、中間反応が起こっていないこ
とが分かる。従来の成長方法では、反応管内で中間反応
物が生成し、生成物によりモホロジーが劣化し鏡面の表
面モホロジーを持つ良好な結晶が得られなかった。
【0021】また、本実施例によれば、同時に複数枚の
InP基板に均一に結晶成長を行うことができ、X線ロ
ッキングカーブ法により格子整合条件の面内分布を調べ
たところ、InP基板に良好に格子整合をした結晶が得
られた。このことにより、面内均一性が非常に良好であ
ることが分かる。さらに、フォトルミネセンス法により
量子井戸構造の発光を測定したところ、発光のスペクト
ルが狭く且つ面内での発光波長も殆ど一定であった。ま
た、発光波長は、量子井戸の設計値によるものと一致し
ており、これらの結果より、原料の切り替えも急峻に行
われ設計通りの量子井戸構造が得られていることが分か
った。
【0022】図2は、本発明の第2の実施例に係わるM
BE装置の反応室付近の概略構成を示すもので、(a)
は側断面図、(b)は(a)の矢視A−A′断面図、
(c)は(a)の矢視B−B′断面図である。本実施例
では、GaAlAs,GaAsによる量子井戸構造を一
度に複数枚のGaAs基板上に成長する場合について述
べる。
【0023】本実施例ではるつぼ21を9個使用し、そ
れを3個ずつ3つのグループに分けた。それぞれのグル
ープ毎の分子線のオンオフを、長方形のシャッタ板25
を用いて同期させて行った。この実施例では、るつぼ2
1の一つ一つが本発明での小型反応管に対応すると考え
てよい。ここで、第1のグループのるつぼ21には原料
22としてAlを、第2のグループのるつぼ21には原
料23としてAsを、第3のグループのるつぼ21には
原料24としてGaをそれぞれ充填した。
【0024】成長室28内には、被処理基体27を支持
して回転する複数のカー(基板保持部)26が設置され
ている。これらのカー26に取り付けられ、550℃に
加熱されて回転する複数枚のGaAs基板27上に、G
aAlAs,GaAsによる量子井戸構造を成長した。
なお、成長室28は、排気ポート29より高真空に排気
されている。
【0025】本実施例では、複数枚の基板上の成長層の
均一性を向上させるため、各々のグループの上段,中
段,下段のるつぼ21の加熱温度を、面内均一性が向上
するように調節した。なお、本実施例の場合は、中段の
るつぼ21の温度を上段,下段のものよりAl,Ga,
Asそれぞれについて、20℃,15℃,5℃低く設定
した。
【0026】このようにしてGaAs基板27上にGa
AlAs,GaAsからなる量子井戸構造を成長したと
ころ、鏡面の表面モホロジーを持つ良好な結晶が得られ
た。フォトルミネセンス法により量子井戸構造の発光を
測定したところ、発光のスペクトルが狭く且つ面内で発
光波長が殆ど一定のものが得られた。また、この発光波
長は、量子井戸の設計値によるものと一致しており、原
料の切り替えが急峻に行われ設計値通りの量子井戸構造
が広い面積で均一に得られていることが分かった。本実
施例によれば、同時に複数枚のGaAs基板に結晶成長
を均一に原料の切り替えも良好に行うことができた。ま
た、原料間の中間反応は、真空中での結晶成長というM
BEの特徴上起こりにくいと考えられる。
【0027】図3は、本発明の第3の実施例に係わるM
OMBE装置の反応室付近の概略構成を示す断面図であ
る。本実施例では、InAs,AlAsによる超格子構
造を複数枚のInP基板上に同時に結晶成長した場合に
ついて述べる。
【0028】トリメチルインジウム(TMI)蒸気を配
管32を通し、本発明での小型反応管に対応する開口3
3aに導き、開口33aから反応室37内の真空中に面
内分布良く放出し結晶成長に用いる。この開口33a
は、トリメチルインジウム(TMI)蒸気を切り替え性
能良く均一にチャンバー内に放出できるようにコーン状
の形状にした。上記の原料と中間反応を起こすと考えら
れるトリメチルアミンアラン(TMAA)は、配管30
を通しコーン状の形状をした開口33bに他の材料と独
立に導かれ、真空中に面内分布良く放出され結晶成長に
用いられる。
【0029】また、アルシン(AsH3 )は、配管31
によりクラッキングセル33cに導入され、クラッキン
グされて結晶成長に用いられる。クラッキングセル33
cの開口も原料を均一にチャンバー内に放出できるよう
コーン状の形状にした。さらに、大面積にわたり均一に
結晶成長を行うために、開口33a,33b,33cを
それぞれ複数個設けそれぞれをグループに分けた。
【0030】シャッタ34は、開口33a,33b,3
3cをそれぞれのグループに同期して動作するよう独立
に設けてもよいが、本実施例では開口33aと開口33
bとの間をスライドして動作するシャッタ34を設け、
シャッタ機構の簡略化を行った。例えば、AlAsの成
長からInAsの成長に移行する際は、図3のシャッタ
の位置から、開口33bを閉じるようにシャッタ34を
上方に平行移動する。その逆の場合は元の位置に戻す、
というようにシャッタ34を動作させる。
【0031】本構成のシャッタ34を用いればシャッタ
板を半数にすることができ、さらに各々のシャッタ34
を結合して一度に動作するようにすれば、シャッタ機構
を大幅に簡略化することができる。なお、被処理基体と
してのInP基板35は回転するカー36上で加熱さ
れ、成長室37は排気ポート38より真空に排気され結
晶成長が行われる。
【0032】この装置を用いて、InP基板35上にI
nAs,AlAsからなる超格子構造を成長したとこ
ろ、鏡面の表面モホロジーを持つ良好な結晶が得られ
た。このことより、中間反応が起こっていないことが分
かる。また、本実施例によれば、同時に複数枚のInP
基板35に結晶成長を行うことができ、X線により超格
子構造を評価したところ、超格子構造の周期に対応する
サテライトピークが設計通りの位置に観察され、超格子
構造が面内均一性良く、全てのInP基板に対して得ら
れたことが分かった。超格子構造を設計通りに成長させ
るためには、非常に高度な原料の切り替え性能が必要で
あり、この結果より、原料も大面積にわたり均一性良く
急峻に切り替えられていることが分かった。
【0033】図4は、本発明の第4の実施例に係わるM
OCVD装置の反応室付近の概略構成を示す断面図であ
る。本実施例では、InAlAs,InGaAsによる
量子井戸構造をInP基板上に成長した場合について述
べる。
【0034】水素ガスでバブリングしたトリメチルガリ
ウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)蒸気
と、アルシン(AsH3 )、及びそれらを運ぶ水素キャ
リアガスを第1の反応管入り口41より導入する。一
方、上記の原料と中間反応すると考えられるトリメチル
アミンアラン(TMAA)は水素キャリアガスとともに
第2の反応管入り口42に導入する。各々の原料ガス
は、分岐され円錐状のの形状をした複数の小型反応管4
3a,43bに等しく分配される。
【0035】これらの原料ガスは、小型反応管43a,
43b内をピストン流的に流れ反応室48に導入され、
サセプタ47上に置かれ550℃に加熱され回転してい
る複数枚のInP基板46上に運ばれ結晶成長に使用さ
れる。
【0036】ここで、反応室48は反応管出口49より
排気され、70Torrの減圧に保たれている。さらに、小
型反応管43a,43bは、第1の反応管入り口41に
つながるものと第2の反応管入り口42につながるもの
が交互に並べられ、InP基板46上で原料が良く混合
するような構造になっている。また、シャッタ44には
排気ポート45が付いており、閉じている小型反応管4
3b内の原料を排気し滞らせない作用があり、原料の切
り替え性能を向上させる作用がある。
【0037】この装置を用いて、InP基板46上にI
nAlAs,InGaAsからなる量子井戸構造を成長
したところ、鏡面の表面モホロジーを持つ良好な結晶が
得られた。このことより、中間反応が起こっていないこ
とが分かる。従来の成長法では、反応管内で中間反応物
が生成し、鏡面の表面モホロジーを持つ良好な結晶が得
られなかった。また、本実施例によれば、同時に複数枚
のInP基板上に再現性良く結晶成長を行うことがで
き、X線ロッキングカーブ法による格子整合条件の面内
分布も、全てのウエハにおいて良好であり、非常に面内
均一性が良いことが分かった。また、フォトルミネセン
ス法により量子井戸構造の発光を測定したところ、発光
スペクトルが狭く且つ面内での発光波長も殆ど一定であ
った。さらに、この発光波長は、量子井戸の設計値によ
るものと一致しており、原料の切り替えが非常に急峻に
大面積にわたり行われたことを示している。
【0038】図5は本発明の第5の実施例に係わる光励
起のMOCVD装置の要部構成を示すもので、(a)は
小型反応管の側断面図、(b)は(a)の矢視C−C′
断面図、(c)は(a)とは光の導波構造が異なる小型
反応管の側断面図、(d)は(c)の矢視D−D′断面
図である。
【0039】本実施例において、原料及びキャリアガス
は反応管入り口51から導入され、円錘状の形状をした
小型反応管本体54中をピストン流状に流れ、図示しな
い反応室に運ばれる。一方、小型反応管本体54には、
光導入用の光導波路52が接続されており、そこから光
励起用のレーザー光が導入される。
【0040】図5(a)(b)においては、光導波路5
2は円錘状に分岐され、小型反応管本体54中に作り付
けられたコア部53を通して、レンズ構造を持つ反応管
下端部55に導びかれる。よって、光導入用の光導波路
52から導入されたレーザー光は、反応管管壁内を導波
し、反応管下端部55のレンズ作用により反応室中に均
一的に放出される。
【0041】一方、図5(c)(d)のもう一つの小型
反応管の例では、光導波路52はm本の導波路に分岐さ
れ、小型反応管本体54中に作り付けられたコア部53
を通して、レンズ構造を持つ反応管下端部55に導びか
れる。従って上記の場合と同様に、光導入用の光導波路
52から導入されたレーザー光は、反応管管壁内を導波
し、反応管下端部55のレンズ作用により反応室中に均
一的に放出される。
【0042】本実施例においては、以上で説明した構造
の小型反応管を、図6に示すように平面状にn個組み合
わせ一つの反応室65を構成している。ここでは、本実
施例装置によりGaAs,AlGaAsによる量子井戸
構造を、GaAs基板上に光励起による単原子層成長す
る場合について述べる。III 族原料として水素ガスでバ
ブリングしたトリメチルガリウム(TMG)とトリメチ
ルアルミニウム(TMA)を、V族原料としてアルシン
(AsH3 )を交互に、それらを運ぶ水素キャリアガス
と共に反応管に導入する。
【0043】導入の仕方としては、後で説明する分岐回
路により原料ガスをn等分し、反応管入り口61より導
入する。これらの原料ガスは、円錘状の形状をした各々
の小型反応管64内をピストン流的に流れ反応室65に
導入される。さらに、これらの原料ガスは、面内均一性
向上のために回転しているサセプタ66上の複数枚の加
熱されたGaAs基板67上に運ばれ結晶成長に用いら
れる。ここで、反応室65は反応管出口68より排気さ
れ、70Torr程度の減圧に保たれており、光導波路63
より導入した光は反応管下端部69より反応室65内に
放出され結晶成長時にGaAs基板67を照射するよう
になっている。
【0044】一方、本実施例において、原料ガスをn個
の小型反応管64に分岐するためには、図7に示すよう
な原料ガスの等分分岐が可能な分岐回路を用いた。本分
岐回路は配管71と分岐部72の階層的な組み合せから
なっている。この階層的構造を適当に選べば、原料ガス
の任意のn分岐が可能になる。
【0045】ここで、分岐部72としては、図8(a)
に示すような構造を採用した。つまり、分岐部72は、
一本の分岐部入り口81と、分岐用仕切り板84を持っ
た分岐部82、及び4本の分岐部出口83より構成され
る。図8(b)に(a)の矢視E−E′断面を示す分岐
部入り口81より導入された原料ガスは、図8(c)に
(a)の矢視F−F′断面を示すように、分岐用仕切り
板84によって4等分に仕切られた分岐部82に達し、
そこで4等分され、それぞれの分岐部出口83より流出
するようになっている。
【0046】以上で説明したMOCVD装置を用いる
と、光励起による単原子成長により複数枚のGaAs基
板上にGaAs,AlGaAsからなる量子井戸構造を
同時に結晶成長することができる。但し、本実施例によ
る気相成長装置は、原料ガスの切り替え急峻性が優れて
いるので、光励起による単原子成長を用いなくても良好
な量子井戸構造を成長することが可能である。しかしな
がら、本実施例を用いれば、光を照射しながら結晶成長
を行うことができるわけであるから、光化学反応を利用
することにより原料の利用効率の向上又はドーピング効
率の急峻な変更等を自由に行うことができる。
【0047】なお、本発明は上述した各実施例に限定さ
れるものではない。例えば、本発明は、III-V族半導体
の成長のみに限ることなく他の物質、例えばSiの成長
にも用いることができる。また、本発明は、実施例に示
した成長方法のみに限定されるわけではなく、他の気相
成長方法、例えば、クロライド法にも適用できる。その
他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、本発明は種々変
形して実施することができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、反
応室の一部をなす反応管をガス流方向に沿って径の大き
くなる小型反応管の複数個から形成することにより、大
面積を均一に、原料の切り替えを急峻に、そのうえ、中
間反応も未然に防ぐ機能を兼ね備えた気相成長装置を実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例に係わるMOCVD装置の反応室
付近の概略構成を示す断面図、
【図2】第2の実施例に係わるMBE装置の反応室付近
の概略構成を示す断面図、
【図3】第3の実施例に係わるMOMBE装置の反応室
付近の概略構成を示す断面図、
【図4】第4の実施例に係わるMOCVD装置の反応室
付近の概略構成を示す断面図、
【図5】第5の実施例に係わる光CVD装置の要部構成
を示す断面図、
【図6】第6の実施例に係わる光励起MOCVD装置の
反応室構成を示す断面図、
【図7】第6の実施例に用いた分岐回路の模式的構成例
を示す図、
【図8】第6の実施例に用いた分岐回路の具体的構成例
を示す図。
【符号の説明】
1,41…第1の反応管入り口、 2,42…第2の反応管入り口、 3,4…分岐部、 5,43a,43b…小型反応管、 6…開口、 7,48…反応室、 8,49…反応管出口、 9,47…サセプタ、 10,27,35,46…基板、 21…るつぼ、 22,23,24…金属原料、 25,44…シャッタ、 26,36…カー、 28,37…成長室、 29,38,45…排気ポート、 30,31,32…配管、 33a,33b…開口、 33c…クラッキングセル、 34…シャッタ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理基体が配置される反応室と、この反
    応室の一部を構成し、該反応室内の被処理基体の表面に
    所定のガスを供給する複数の小型反応管と、前記反応室
    内を排気する排気手段とを具備し、 前記小型反応管は、ガス流方向に沿ってその径を広げた
    ものであることを特徴とする気相成長装置。
JP29454991A 1991-11-11 1991-11-11 気相成長装置 Pending JPH05136064A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009119500A1 (ja) * 2008-03-27 2009-10-01 東京エレクトロン株式会社 ガス供給装置、処理装置、処理方法、及び記憶媒体
JP2012160585A (ja) * 2011-02-01 2012-08-23 Tokyo Electron Ltd 原料供給装置及び成膜装置
JP2013225684A (ja) * 2013-06-11 2013-10-31 Tokyo Electron Ltd ガス供給装置、処理装置及び処理方法
CN103396005A (zh) * 2013-08-15 2013-11-20 蚌埠玻璃工业设计研究院 一种用于平板玻璃镀膜的气体均匀分配器

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