JP2013223949A - 感熱記録材料および感熱記録紙 - Google Patents

感熱記録材料および感熱記録紙 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性および保存性がいずれも良好な感熱記録材料を提供する。
【解決手段】ロイコ染料および顕色剤を備え、前記ロイコ染料および前記顕色剤を同時に加熱することにより発色させる感熱記録材料において、前記顕色剤がビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルおよび式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を含有する感熱記録材料。
【化1】
Figure 2013223949

【選択図】図1

Description

本発明は、感熱記録材料に関する。より詳細には、印字後の保存性が改善された感熱記録材料に関する。また、同感熱記録材料を用いた感熱記録紙に関する。
サーマルヘッド等により、加熱することにより発色させ、印字を行う感熱記録紙が広く用いられている。一般に、感熱記録紙は、ロイコ染料および顕色剤を含有する感熱記録材料を用いた感熱層と言われる層を備えている。このロイコ染料および顕色剤を上記のサーマルヘッド等により同時に加熱することにより発色させ、印字を行う。このように、感熱記録紙を用いる印刷機は、加熱するだけで発色させることができるため、構造が簡単なうえ、騒音の発生も少ないという特徴を有する。そのため、小型化が容易で、比較的安価に製造できる。
かかる特徴を有するため、感熱記録紙用のプリンタはファクシミリ、パソコン用のプリンタ、乗車券の発券機用の内蔵プリンタ、スーパーやコンビニ等で用いられるレシート用のプリンタ、計量ラベル用のプリンタ、値下げラベル用のプリンタ等、広く用いられている。
ところで、感熱記録材料および感熱記録紙には様々な性能が求められている。発色の程度を示す感度特性や、耐熱性、保存性などである。特に、食品用のラベルとして感熱記録紙を使用する場合には、電子レンジでの加熱に耐えうる耐熱性、および水、油、ラップ類に含まれる可塑剤等によっても消色しない保存性が求められている。
感熱記録紙が耐熱性を有するためには、発色温度が高いことが必要となる。耐熱性の大きい感熱記録紙としては、ロイコ染料と顕色剤としてビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルとを組み合わせた感熱記録材料が知られている。しかし、かかる感熱記録材料は一般的に保存性が低い。そこで、保存性を向上させるため酸化防止剤を添加した感熱記録材料が特許文献1および特許文献2に記載されている。
特開平11−011021号公報 特開平11−139002号公報
しかし、上記特許文献1および特許文献2に記載の感熱記録材料においても、保存性が十分ではない。また、一般に耐熱性の高い顕色剤に他の顕色剤を組み合わせると、耐熱性が低下することが知られている。
本発明は係る状況を鑑みなされたもので、耐熱性および保存性がいずれも良好な感熱記録材料を提供することを目的とする。また、係る感熱記録材料を用いた感熱記録紙を提供することにある。
本発明の感熱記録材料は、ロイコ染料および顕色剤を備え、前記ロイコ染料および前記顕色剤を同時に加熱することにより発色させる感熱記録材料において、前記顕色剤がビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルおよび式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を含有する。
Figure 2013223949
[式中、XおよびYは各々相異なってもよく直鎖または分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有してもよい炭化水素基であるか、または、
Figure 2013223949
もしくは
Figure 2013223949

(Rはメチレン基またはエチレン基を表し、Tは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基を表す)を表す。R1〜R6はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基を示す。また、m、n、p、q、r、tは0〜4の整数を表し、2以上の時はR1〜R6はそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。]
上記構成によると、顕色剤がビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルを含有するため、感度特性が良く、耐熱性を有する。また、式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を含有するため、従来のビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルを顕色剤として用いた感熱記録材料に比して保存性が向上している。
本発明の感熱記録紙は、上記感熱記録材料を感熱層に用いている。かかる構成であるため、感度特性、耐熱性および保存性が共に良好な感熱記録紙となる。
本発明によると、耐熱性および保存性がいずれも良好な感熱記録材料を提供することを目的とする。また、係る感熱記録材料を用いた感熱記録紙を提供することができる。
本発明の実施形態に係る感熱記録紙の断面図である。
以下、本発明の感熱記録材料を適用した感熱記録紙の実施形態を図1を用いて説明する。なお、以下の説明において、方向および向きについては、図1中に記載した方向および向きを用いる。
図1は感熱記録紙の断面の模式図である。なお、説明の都合上、各層の厚みは、実際の厚みと同比率に描かれている訳ではない。図1に示すように、感熱記録紙は、感熱記録紙の物理的強度を担保するため、上質紙で形成された基材層20を備えている。
この基材層20の厚み方向における下層側、即ち最下層側には、バックコート層10が形成されている。バックコート層10はアクリルエマルジョンを用いて形成されている。このバックコート層10により、感熱記録紙がカールして取扱いが困難となることが防止される。また、感熱記録紙をラベルやシールとして用いる場合には、非図示の粘着剤層をさらに積層するが、この粘着剤が、基材層に密着するためのアンカー剤としてもバックコート層10は機能する。また、粘着剤が、基材層20およびさらに上層側に浸透することを防止する。
基材層20の上層側には、非図示のサーマルヘッドから与えられた熱の放散を防ぐ断熱性やクッション性等の機能を有するアンダーコート層30が備えられている。アンダーコート層30は結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合物に充填剤として中空粒子を添加させて形成されている。
アンダーコート層30の上層側には、感熱印字機能を有する感熱層40が備えられている。サーマルヘッドなどで、感熱記録紙を加熱することにより、この感熱層40が発色し、感熱記録紙に印字がなされる。具体的には、温度により発色する感熱記録材料が結着剤により支持されることにより感熱記録層が形成されている。この感熱記録材料は、ロイコ染料および顕色剤を備えており、このロイコ染料および顕色剤を同時に加熱することにより発色させるとともに、印字を行う。具体的には、加熱によりロイコ染料が電子を供与し、この電子を顕色剤が受け取ることにより、発色する。かかる反応は可逆反応であるため、継時的に、または、外部的要因により、消色しうる。外部的要因としては紫外線をはじめとする光、熱等の他、水、油、可塑剤など液体がしみこむことによる消色も発生する。
ロイコ染料として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用している。また、顕色剤としては、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルおよび式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を使用している。
Figure 2013223949

[式中、XおよびYは各々相異なってもよく直鎖または分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有してもよい炭化水素基であるか、または、
Figure 2013223949
もしくは
Figure 2013223949
(Rはメチレン基またはエチレン基を表し、Tは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)を表す。R1〜R6はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基を示す。また、m、n、p、q、r、tは0〜4の整数を表し、2以上の時はR1〜R6はそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。]
また、顔料として炭酸カルシウム、結着剤として、変性スチレンアクリル共重合体を有している。さらにワックスとしてステアリン酸亜鉛を含んでいる。
この感熱層40の上層側には耐水性、耐薬品性、耐可塑剤性等を向上させるための第1保護層50が形成されている。この層はアクリルエマルジョンを用いて形成される。必要に応じて添加剤が添加される。
この第1保護層50の上層側、即ち最上層には、非図示のサーマルヘッドとの摩擦から下層側の層を保護するとともに、サーマルヘッドの滑りをよくし、感熱層40の発色が適切に行われるようにするための第2保護層60が形成されている。この層はアクリルエマルジョンを用いて形成される。必要に応じて添加剤が添加される。
以上に説明した本実施形態によれば、上記した以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態における感熱記録材料は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルを含有するため、感度特性が良く、耐熱性を有する。
(2)本実施形態における感熱記録材料は、式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を含有するため、従来のビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルを顕色剤として用いた感熱記録材料に比して保存性が向上している。
Figure 2013223949
[式中、XおよびYは各々相異なってもよく直鎖または分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有してもよい炭化水素基であるか、または、
Figure 2013223949

もしくは
Figure 2013223949
(Rはメチレン基またはエチレン基を表し、Tは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)を表す。R1〜R6はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基を示す。また、m、n、p、q、r、tは0〜4の整数を表し、2以上の時はR1〜R6はそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。]
なお、上記実施形態は以下のように変更しても良い。
・上記実施形態において、バックコート層10はアクリルエマルジョンを用いて形成されているが、他の樹脂であってもよい。例えば、後述する感熱層40に用いる結着剤をもちいてもよい。
また、下層側からの粘着剤その他の影響が排除できるならば、バックコート層10は割愛してもよい。
・上記実施形態において、基材層20は上質紙で形成されているが、他の紙基材、合成紙、樹脂等を用いてよく、これらを組み合わせて使用してもよい。要は、感熱記録紙の強度を担保できればよいのであるから、用途に応じて、必要な強度、厚み、重さ、耐久性等を備える部材を選択すればよい。
・上記実施形態において、アンダーコート層30の充填剤として中空粒子を用いているが、他の充填剤であってもよい。例えば、焼成カオリン、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカゲル、活性白土、タルク、クレー、カオリナイト、ケイソウ土、ホワイトカーボン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ポリスチレン樹脂粒子、尿素−ホルマリン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、各種の中空粒子等を単独又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
・上記実施形態において、アンダーコート層30は結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合物を用いているが、他の結着剤であってもよい。例えば、変性スチレンアクリル共重合体、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、メチルビニル−無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリルニトリル、メチルビニルエーテルなどの水系樹脂を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
・上記実施形態において、アンダーコート層30は結着剤としての変性スチレン−ブタジエン共重合体および中空粒子から形成されているが、他の薬剤を含んでいてもよい。必要に応じて、例えば、架橋剤、分散剤、消泡剤、耐水化剤、紫外線吸収剤などの添加剤を添加させてもよい。
・上記実施形態において、感熱層40に用いる感熱記録材料は、ロイコ染料として3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを使用しているが、他の薬剤を使用してもよい。従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されない。以下に代表的な無色ないし淡色の染料(染料前駆体)を例示する。また、これらの染料前駆体は単独または2種以上混合して使用してもよい。
3−(N−イソペンチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−o−クロロアニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−トルイジノフルオラン、クリスタルバイオレットラクトン、3−(N−エチル−N−イソペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−シクロヘキシル−N−メチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジメチルアミノ−5−メチル−7−メチルフルオラン、3−(N−メチル−N−n−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−イソブチル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エトキシプロピル−N−エチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−8−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン等のフルオラン系化合物や、トリフェニルメタン系,フェノチアジン系,オーラミン系,スピロピラン系,インドリノフタリド系等でもよい。
・上記実施形態において、感熱層40に用いる結着剤として変性スチレンブタジエン共重合体を用いているが、他の樹脂であってもよい。例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアゴム、ポリアミド、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、メチルビニル−無水マレイン酸共重合体、イソプロピレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、アクリルニトリル、メチルビニルエーテルなどの水系樹脂を単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
・上記実施形態において、感熱層40に用いる顔料として炭酸カルシウムを用いているが、他の顔料であってもよい。例えば、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂などの無機、ならびに有機顔料を用いることができる。
・上記実施形態において、感熱層40に用いるワックスとしてステアリン酸亜鉛を用いているが、他のワックスであってもよい。例えば、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン等を用いることができる。
・上記実施形態において、感熱層40に、更に保存性向上剤を添加してもよい。用いることができる保存性向上剤は特に限定されないが、例えば、以下のものが例示される。
ナトリウム−2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4,ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3ートリス(2−メチル-4−ヒドリキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドリキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4−(2−メチルグリシルオキシ)−4'−ベンジルオキシジフェニルスルホン、2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2' −メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ジエチルチオウレア、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)。また、公知の紫外線吸収剤、界面活性剤を添加してもよい。
・上記実施形態において、第1保護層50および第2保護層60に用いる結着剤としてアクリルエマルジョンを用いているが、いずれも他の結着剤であってもよい。例えば、感熱層40に用いる結着剤として上記した樹脂であってもよい。
次に、本発明の具体的な実施例における感熱記録紙の構成について説明する。上述したように感熱記録紙は下層側よりバックコート層10、基材層20、アンダーコート層30、感熱層40、第1保護層50、第2保護層60の順に積層された構成である。以下、係る感熱記録紙の各々について具体的に説明する。なお、以下の説明において、%表示は全て質量パーセントである。
(基材層)
基材層20は、坪量80g/m2の上質紙を用いて形成した。
(バックコート層)
アクリルエマルジョン(固形分濃度30%)液を感熱層40の下層側面に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が1.5g/m2のバックコート層10を形成した。
(アンダーコート層)
中空粒子(固形分濃度26.5%,ローペイクHP−1055:ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社)70重量部、変性スチレンブタジエンラテックス(固形分濃度49%)10重量部、水20重量部の割合になった組成物を混合攪拌させたアンダーコート層用塗液を上記の基材層20の表面に塗布し、乾燥させて、乾燥時の塗布量が2.5g/m2のアンダーコート層30を形成した。
(感熱記録層)
ロイコ系染料である3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランをポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて染料分散液を得た。
顕色剤であるビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルをポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより固形分濃度20%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて第1顕色剤分散液を得た。
顕色剤である式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体をポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて第2顕色剤分散液を得た。
顔料である炭酸カルシウムをヘキサメタリン酸ナトリウム5%水溶液に分散させることにより固形分濃度30%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて炭酸カルシウム分散液を得た。
染料分散液を22.3g、第1顕色剤分散液を35.6g、第2顕色剤分散液を8.0g、炭酸カルシウム分散液を10.2g、結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合体(固形分濃度48%)を2.8g、ステアリン酸亜鉛(固形分濃度40%)を2.8g、溶媒として水15.6gを混合攪拌させて感熱記録層用塗液を得た。
この感熱記録層用塗液をアンダーコート層30の上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が4.0g/m2になった感熱層40を形成した。
(第1保護層)
アクリルエマルジョン(固形分濃度30%)液を感熱層40の上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が1.5g/m2になった第1保護層50を形成した。
(第2保護層)
アクリルエマルジョン(固形分濃度30%)が75重量部、炭酸カルシウムが5重量部、ポリエチレンワックス(固形分濃度40%)が10重量部、水が10重量部の割合になったものを混合攪拌させて得た液を、第1保護層50の上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が1.0g/m2になった第2保護層60を形成した。
[比較例1]
実施例における感熱層用塗液の調製において、第1顕色剤分散液を43.6gとし、第2顕色剤分散液を配合しなかったこと以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例1の感熱記録紙を得た。
[性能評価]
○感度測定
・静的感度特性
上記の実施例1および比較例1の感熱記録紙を、熱傾斜試験機(株式会社東洋精機製作所;HG−100)を用いて、1.0kg/cm2,1秒にて、110℃および140℃で加熱発色させた。各々の印字濃度をマクベス濃度計RD−914を用いて測定し、その結果を下記の表1に示す。
・動的感度特性
上記の実施例1および比較例1の感熱記録紙に対して、市販の感熱プリンタ(株式会社イシダ;L−2000)を用い、印字速度50mm/sec,印加電圧24.0V,ヘッド抵抗値1533Ω,パルス幅0.157〜0.354msに設定し、印字エネルギー0.07mJ/dot,0.089mJ/dot,0.127mJ/dotの条件でそれぞれ印字を行い、各印字エネルギー条件での印字濃度をマクベス濃度計RD−914を用いて測定した。結果を表1に示す。
Figure 2013223949
○保存性評価
実施例1および比較例1の感熱記録紙について、耐水性、耐酒性、耐油性、耐可塑剤性、耐水可塑剤性、耐湿熱性、耐乾熱性、電子レンジ耐性を調べた。具体的には、印字エネルギー0.150[mJ/dot]で印字した各々のサンプルを以下の条件においたのち、印字部分と非印字部分とを上記マクベス濃度計で測定した。
・耐水性
感熱記録紙片を23℃の水道水に24時間浸漬する。
・耐酒性
感熱記録紙片を23℃の日本酒に24時間浸漬する。
・耐油性
感熱記録紙片の上に感熱記録紙片より少し小さめにカットした薄紙片を置き、その上にサラダ油を2滴滴下する。40℃で15時間後、薄紙片を取り除き試験片の油をきれいに拭き取る。
・耐可塑剤性
塩化ビニルラップに感熱記録紙片を貼り付け、その上にさらに塩化ビニルラップを重ねる。300g/cm2の加重をかけ、40℃で15時間放置する。
・耐水可塑剤性
塩化ビニルラップに感熱記録紙片を貼り付け、ラベルの上に水道水を2滴滴下する。さらにその上に塩化ビニルラップを重ねる。300g/cm2の加重をかけ、40℃で15時間放置する。
・耐湿熱性
水を入れたデシケータの中に試験片を入れ、デシケータを50℃のドライヤーに入れて湿度を100%に保った状態で、24時間放置する。
・耐乾熱性、
70℃のドライヤーに24時間放置する。
・電子レンジ耐性
水を入れたお椀に塩化ビニルラップを張り、その上に感熱記録紙片を貼り付けて電子レンジに入れる。この状態で、1500Wで50秒加熱する。
測定結果を表2に示す。表2において、印字部分と非印字部分のマクベス濃度を「/」で区切って表示している。
Figure 2013223949
○結果分析
表1から明らかなように、実施例1の感熱記録紙は動的感度特性、静的感度特性とも比較例1と同等の性能を示している。特に、耐熱性を示す指標である静的感度特性に差がないことより、実施例1の感熱記録紙は、顕色剤としてビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルのみを使用した場合と同等の耐熱性を有することが推認できる。
一方、表2から明らかなように、実施例1の感熱記録紙はいずれの保存性試験においても、比較例1と同等か保存性が改善されている。特に、耐酒性、耐水可塑性、耐油性においてその効果が顕著である。
また、静的感度特性とならび耐熱性を示す指標である電子レンジ耐性に差がないことからも、実施例1の感熱記録紙は、顕色剤としてビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルのみを使用した場合と同等の耐熱性を有することが推認できる。
次に、本発明の具体的な他の実施例における感熱記録紙の構成について説明する。この実施例2は感熱層40の構成のみ実施例1と異なるため、他の層については、説明を省略する。
(感熱記録層)
ロイコ系染料である3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランをポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて染料分散液を得た。
顕色剤であるビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルをポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20.0%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて第1顕色剤分散液を得た。
顕色剤である式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体をポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20.0%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて第2顕色剤分散液を得た。
顔料である炭酸カルシウムをヘキサメタリン酸ナトリウム5%水溶液に分散させることにより30.0%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて炭酸カルシウム分散液を得た。
染料分散液を22.3g、第1顕色剤分散液を35.6g、第2顕色剤分散液を8.0g、炭酸カルシウム分散液を10.1g、結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合体(固形分濃度48%)を5.6g、ステアリン酸亜鉛(固形分濃度40%)を2.8g、溶媒として水15.6gを混合攪拌させて感熱記録層用塗液を得た。
この感熱記録層用塗液をアンダーコート層30の上に塗布し、これを乾燥させて、乾燥時の塗布量が4.0g/m2になった感熱層40を形成した。
[比較例2]
第2顕色剤分散液に含有させる顕色剤である式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体に替えて、4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−メチルフェノール)をポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20.0%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて添加剤分散液を得た。
染料分散液を22.3g、第1顕色剤分散液を35.6g、添加剤分散液を8.0g、炭酸カルシウム分散液を10.1g、結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合体(固形分濃度48%)を5.6g、ステアリン酸亜鉛(固形分濃度40%)を2.8g、溶媒として水15.6gを混合攪拌させて感熱記録層用塗液を得た。
その他は、上記の実施例2の場合と同様にして、比較例2の感熱記録紙を得た。
[比較例3]
第2顕色剤分散液に含有させる顕色剤である式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体に替えて、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシル)ブタンをポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20.0%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて添加剤分散液を得た。
染料分散液を22.3g、第1顕色剤分散液を35.6g、添加剤分散液を8.0g、炭酸カルシウム分散液を10.1g、結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合体(固形分濃度48%)を5.6g、ステアリン酸亜鉛(固形分濃度40%)を2.8g、溶媒として水15.6gを混合攪拌させて感熱記録層用塗液を得た。
その他は、上記の実施例2の場合と同様にして、比較例3の感熱記録紙を得た。
[比較例4]
第2顕色剤分散液に含有させる顕色剤である式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体に替えて、リン酸2,2−メチレンビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムをポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20.0%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて添加剤分散液を得た。
染料分散液を22.3g、第1顕色剤分散液を35.6g、添加剤分散液を8.0g、炭酸カルシウム分散液を10.1g、結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合体(固形分濃度48%)を5.6g、ステアリン酸亜鉛(固形分濃度40%)を2.8g、溶媒として水15.6gを混合攪拌させて感熱記録層用塗液を得た。
その他は、上記の実施例2の場合と同様にして、比較例4の感熱記録紙を得た。
[比較例5]
第2顕色剤分散液に含有させる顕色剤である式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体に替えて、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタンをポリビニルアルコール5%水溶液に分散させることにより20.0%分散液とした。この分散液をサンドミルで平均粒径が0.8μm以下になるまで分散させて添加剤分散液を得た。
染料分散液を22.3g、第1顕色剤分散液を35.6g、添加剤分散液を8.0g、炭酸カルシウム分散液を10.1g、結着剤としての変性スチレンブタジエン共重合体(固形分濃度48%)を5.6g、ステアリン酸亜鉛(固形分濃度40%)を2.8g、溶媒として水15.6gを混合攪拌させて感熱記録層用塗液を得た。
その他は、上記の実施例2の場合と同様にして、比較例5の感熱記録紙を得た。
[性能評価]
○感度測定
実施例2および比較例2〜5の感熱記録紙について、静的感度特性および動的感度特性を測定した。測定方法は実施例1と同様である。結果を表3に示す。
Figure 2013223949
○保存性評価
実施例2および比較例2〜5の感熱記録紙について、耐水性、耐酒性、耐油性、耐可塑剤性、耐水可塑剤性、耐湿熱性、耐乾熱性、電子レンジ耐性を調べた。測定方法は実施例1と同様である。測定結果を表4に示す。表4において、印字部分と非印字部分のマクベス濃度を「/」で区切って表示している。
Figure 2013223949
○結果分析
表3から明らかなように、実施例2の感熱記録紙は動的感度特性、静的感度特性とも比較例2〜5と同等の性能を示している。特に、耐熱性を示す指標である静的感度特性に差がないことより、顕色剤としてビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルと他の保存性向上剤を組み合わせて使用した場合にも、同等の耐熱性を有することが推認できる。
一方、表4から明らかなように、実施例2の感熱記録紙はいずれの保存性試験においても、比較例2〜5と同等かそれ以上の保存性を示している。特に、耐酒性、耐油性、耐水可塑性、耐湿熱性においてその効果が顕著である。
また、静的感度特性とならび耐熱性を示す指標である電子レンジ耐性に差がないことからも、実施例2の感熱記録紙は、比較例2〜5と同等の耐熱性を有することが推認できる。
実施例1および2、比較例1〜5の結果より、顕色剤としてビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルおよび式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を用いた感熱記録紙は顕色剤として前者のみを用いた感熱記録紙と同等の耐熱性を有しつつ、保存性が向上している。また、係る効果は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルと他の添加剤を併せて用いた場合と比較しても、顕著であることが確認された。
10…バックコート層
20…基材層
30…アンダーコート層
40…感熱層
50…第1保護層
60…第2保護層

Claims (2)

  1. ロイコ染料および顕色剤を備え、
    前記ロイコ染料および前記顕色剤を同時に加熱することにより発色させる感熱記録材料において、
    前記顕色剤がビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチルおよび式(1)で表されるジフェニルスルホン誘導体を含有する感熱記録材料。
    Figure 2013223949
    [式中、XおよびYは各々相異なってもよく直鎖または分枝を有してもよい炭素数1〜12の飽和、あるいは不飽和エーテル結合を有してもよい炭化水素基であるか、または、
    Figure 2013223949
    もしくは
    Figure 2013223949
    (Rはメチレン基またはエチレン基を表し、Tは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す)を表す。R1〜R6はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アルケニル基を示す。また、m、n、p、q、r、tは0〜4の整数を表し、2以上の時はR1〜R6はそれぞれ異なっていてもよい。aは0〜10の整数を表す。]
  2. 請求項1に記載の感熱記録材料を感熱層に用いた感熱記録紙。
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