JP2013222044A - トナー用結着樹脂 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られる、フラン環を有する非晶質ポリエステルAと、式(I):
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物及びフマル酸から選ばれた1種又は2種以上のカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる非晶質ポリエステルBとを含有してなるトナー用結着樹脂、及び該結着樹脂を含有した電子写真用トナー。
【選択図】なし
Description
この課題を解決するために、低分子量でも高ガラス転移温度のトナー用結着樹脂として、テレフタル酸やイソフタル酸等の芳香環を有するカルボン酸を原料モノマーとして用いて得られたポリエステルが汎用されている。
〔1〕 脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られる、フラン環を有する非晶質ポリエステルAと、式(I):
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物及びフマル酸から選ばれた1種又は2種以上のカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを縮重合させて得られる非晶質ポリエステルBとを含有してなるトナー用結着樹脂、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー
に関する。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる非晶質ポリエステルである。
フローテスター(島津製作所製、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度50℃/分で昇温し測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した後、昇温速度10℃/分で昇温し測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070の方法に基づき測定する。
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、試料をクロロホルムに、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25JP)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてクロロホルムを、毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:LC-9130NEXT(日本分析工業社製)
分析カラム:TSKGel HXL-H + GMHXL + G3000HXL(東ソー社製)
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
平均粒径は、個数平均粒径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
プロピレンテトラマー(新日本石油株式会社製、商品名:「ライトテトラマー」)を用いて、183〜208℃の加熱条件で分留してアルキレン化合物Aを得た。得られたアルキレン化合物Aは、ガスクロマトグラフィー質量分析において、40個のピークを有していた。アルキレン化合物の分布は、C9H18:0.5重量%、C10H20:4重量%、C11H22:20重量%、C12H24:66重量%、C13H26:9重量%、C14H28:0.5重量%であった。なお、ガスクロマトグラフィー質量分析は、特開2008−256845号公報に記載の方法に従って行った。
1Lの日東高圧社製オートクレーブにアルキレン化合物A542.4g、無水マレイン酸157.2g、抗酸化剤としてチェレックス-O 0.4g(SC有機化学社製、Triisooctyl phosphite)、重合禁止剤としてブチルハイドロキノン0.1gを仕込み、加圧窒素置換(0.2MPaG)を3回繰り返した。60℃で撹拌開始後、230℃まで1時間かけて昇温して6時間反応を行った。反応温度到達時の圧力は、0.3MPaGであった。反応終了後、80℃まで冷却し、常圧(101.3kPa)に戻して1L容の4つ口フラスコに移し替えた。180℃まで撹拌しながら昇温し、1.3kPaにて残存アルキレン化合物を1時間で留去した。引き続き、室温(25℃)まで冷却後、常圧(101.3kPa)に戻して目的物のアルケニル無水コハク酸A 406.1gを得た。酸価より求めたアルケニル無水コハク酸の平均分子量(Mw)は268であった。
表1に示す無水トリメリット酸を除く原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、精留塔、脱水管、コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで10時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、表1に示す無水トリメリット酸を投入した。1時間常圧にて反応を行った後、20kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、精留塔、脱水管、コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで10時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、20kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。
表2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管、コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、8kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。
表2に示す無水トリメリット酸、アルケニル無水コハク酸A以外の原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管、コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて反応率が95%以上に到達したのを確認し、8kPaにて1時間反応を行った。その後、210℃に冷却し、無水トリメリット酸又はアルケニル無水コハク酸Aを添加し、1時間常圧にて反応を行った後、20kPaにて表2に示す軟化点に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。
表2に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管、コンデンサー及び窒素導入管を装備した5リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温し、その後210℃まで、10℃/hで昇温した。210℃にて反応率が80%以上に到達したのを確認し、8kPaにて軟化点が107.8℃に達するまで反応を行って、非晶質ポリエステルを得た。
実施例1〜14及び比較例1〜3
表に示す結着樹脂100重量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)1重量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)5重量部、及び離型剤「三井ハイワックスNP-055」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
結着樹脂、着色剤等とともに、荷電制御樹脂「FCA-701PT」(藤倉化成社製、4級アンモニウム塩基含有スチレンアクリル系樹脂、軟化点:123℃)を5重量部使用し、負帯電性荷電制御剤の代わりに、正帯電性荷電制御剤「ボントロン P-51」(オリエント化学工業社製)1重量部を使用し、外添剤として「NAX-50」の代わりに、疎水性シリカ「TG-C243」(キャボット社製、平均粒径100nm、疎水化処理剤:ヘキサメチルジシラザン+オクチルトリエトキシシラン)1.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
負帯電性荷電制御剤として、「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)の代わりに、実施例16及び18では「LR-147」(日本カーリット社製)1重量部、実施例17では「LR-297」(日本カーリット社製)1重量部を使用し、離型剤として、「三井ハイワックスNP-055」の代わりに、「HNP-9」(日本精鑞社製、パラフィンワックス、融点:80℃)2重量部を使用し、着色剤として、カーボンブラック「Regal 330R」の代わりに、実施例16では、シアン顔料「Toner Cyan BG」(クラリアント社製、P.B.15:3)5重量部、実施例17では、マゼンタ顔料「スーパーマゼンタR」(大日本インキ化学工業社製、P.R.122)5重量部、実施例18では、イエロー顔料「Paliotol Yellow D1155」(BASF社製、P.Y.185)6重量部を使用し、外添剤として「NAX-50」の代わりに、疎水性シリカ「R-972」(日本アエロジル社製、平均粒径16nm、疎水化処理剤:ジメチルジクロロシラン)1.0重量部を使用した以外は、実施例1と同様にして、トナーを得た。
複写機「AR-505」(シャープ(株)製)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置(但し、実施例15の評価については、非磁性一成分現像方式プリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製)を改造した装置)にトナーを実装し、シャープ(株)製の紙[CopyBond SF-70NA(75g/m2)]上に、4cm×4cmのベタ印刷未定着画像を得た。総定着圧が40kgfになるように調整した定着機(定着速度390mm/sec)を用い、定着ローラーの温度を100℃から240℃へと5℃ずつ順次上昇させながら、最低定着温度に達するまで、各温度で定着紙に未定着画像を定着させた。定着画像に「ユニセフセロハン」(三菱鉛筆社、幅:18mm、JISZ-1522)を貼り付け、30℃に設定した定着ローラーに通過させた後、テープを剥がした。テープを貼る前と剥がした後の画像の光学反射密度を反射濃度計「RD-915」(マクベス社製)を用いて測定し、両者の比率(剥離後/貼付前×100)が最初に90%を越える定着ローラーの温度を最低定着温度とし、トナーの低温定着性を評価した。結果を表3に示す。
トナー4gを半径12mmの円筒型容器に入れ、温度55℃、湿度60%の環境下で72時間放置した。放置後、トナーを容器から取り出し、トナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、トナーの保存安定性を評価した。結果を表3に示す。
A:72時間後も凝集は全く認められない。
B:48時間後で凝集は認められないが72時間後で凝集が認められる。
C:48時間後で凝集が認められる。
非磁性一成分現像装置「MICROLINE 3010cW」(沖データ社製、A4 14枚/分)を用い(実施例15では非磁性一成分現像方式プリンター「HL-2040」(ブラザー工業社製)を改造した装置)、印字面積比率4%の文字画像を3000枚(A4用紙)印字し、1000枚印字及び3000枚印字の時点で、感光体へのフィルミング発生の有無を目視で確認した。以下の評価基準に従って、トナーの耐フィルミング性を評価した。結果を表3に示す。
A:3000枚印字でも、フィルミングは未発生。
B:1000枚印字ではフィルミングは未発生だが、3000枚印字ではフィルミングが発生。
C:1000枚印字でフィルミングが発生。
Claims (10)
- 非晶質ポリエステルAと非晶質ポリエステルBの重量比(非晶質ポリエステルA/非晶質ポリエステルB)が、99/1〜35/65である、請求項1記載のトナー用結着樹脂。
- 非晶質ポリエステルAの数平均分子量が800〜10000である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂。
- 非晶質ポリエステルBの軟化点が90〜160℃、ガラス転移温度が50〜80℃である、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 脂肪族ジオールが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する炭素数3〜5の脂肪族ジオールを含む、請求項1〜4いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- カルボン酸成分とアルコール成分の少なくともいずれかが、少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分である、請求項1〜5いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- フラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量が、カルボン酸成分とアルコール成分との合計量中、10〜95モル%である、請求項6記載のトナー用結着樹脂。
- フラン環を有するカルボン酸化合物が、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項6又は7記載のトナー用結着樹脂。
- フラン環を有するアルコールが、フランジアルコール、ヒドロキシメチルフルフリルアルコール及びフルフリルアルコールからなる群から選ばれた少なくとも1種である、請求項6〜8いずれか記載のトナー用結着樹脂。
- 請求項1〜9いずれか記載のトナー用結着樹脂を含有してなる、電子写真用トナー。
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