JP2013218849A - 光電変換素子用電解質ならびにその電解質を用いた光電変換素子および色素増感太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第3級または第4級カチオンを有する有機塩化合物(A)および層状複水酸化物(B)を含有する光電変換素子用電解質であって、
前記層状複水酸化物(B)が、共有結合を介してオニウム塩を有する光電変換素子用電解質。
【選択図】なし
Description
しかしながら、色素増感太陽電池は、電気化学電池のため電解質として有機電解液やイオン性液体等が使用されており、有機電解液を用いる場合には、長期使用時に揮発したり枯渇したりすることにより発電効率が低下してしまうという問題があり、また、イオン性液体を用いる場合には、長期使用時の揮発や枯渇は防止できるものの液漏れすることによる構造劣化等の耐久性の問題があった。
そこで、電解液の揮発、液漏れを防ぎ、太陽電池の長期安定性、耐久性確保を目的として、電解質を液状からゲル状、固体状にする研究が行われている。
また、特許文献2には、「(i)電解質を有機溶媒に溶解した電解液、(ii)層状粘土鉱物及び/又は有機化層状粘土鉱物並びに(iii)多価オニウム塩化合物を含んでなるゲル状又は固体状電解質。」が記載されている([請求項1])。
そこで、本発明は、高い光電変換効率を達成することができる光電変換素子用電解質ならびにその電解質を用いた光電変換素子および色素増感太陽電池を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の(a)〜(e)を提供する。
上記層状複水酸化物(B)が、共有結合を介してオニウム塩を有する光電変換素子用電解質。
上記光電極に対向して配置される対向電極と、
上記光電極と上記対向電極との間に配された電解質層と、を有し、
上記電解質層が、上記(a)〜(c)のいずれかに記載の光電変換素子用電解質である、光電変換素子。
本発明の光電変換素子用電解質(以下、単に「本発明の電解質」ともいう。)は、第3級または第4級カチオンを有する有機塩化合物(A)および層状複水酸化物(B)を含有する光電変換素子用電解質であって、上記層状複水酸化物(B)が共有結合を介してオニウム塩を有する光電変換素子用の電解質である。
次に、本発明の電解質の各成分について詳述する。
本発明の電解質に用いる有機塩化合物(A)は、第3級または第4級カチオンならびにその対イオンであるアニオンを有する有機塩化合物であり、常温で固体および液体(いわゆるイオン性液体)のいずれであってもよい。
ここで、第3級カチオンとは、正電荷を有する周期律表第16族元素(例えば、酸素原子、硫黄原子等)が水素原子を有していないカチオンをいい、第4級カチオンとは、正電荷を有する周期律表第15族元素(例えば、窒素原子、リン原子等)が水素原子を有していないカチオンをいう。
式(2)中、Qは、窒素原子、酸素原子、リン原子または硫黄原子を表し、R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい炭化水素基を表す。ただし、Qが酸素原子または硫黄原子の場合、R7は存在せず、Qが硫黄原子の場合、R4およびR5は連結していてもよい。
次いで、上記式(1)中のR1が有していてもよい、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでいてもよい置換基としては、炭素数1〜20のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロプロピルメチル基、トリフルオロエチル基等)、炭素数2〜20のアルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基等)、炭素数6〜20のアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等)、炭素数7〜20のアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等)、炭素数1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソ−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキソキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、ノニノキシ基、デシロキシ基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基等)、炭素数2〜20のアルキルアルコキシ基(例えば、メチレンメトキシ基(−CH2OCH3)、エチレンメトキシ基(−CH2CH2OCH3)、n−プロピレン−イソ−プロポキシ基(−CH2CH2CH2OCH(CH3)2)、メチレン−t−ブトキシ基(−CH2−O−C(CH3)3、ブチレンメトキシ基、ペンチレンメトキシ基、へキシレンメトキシ基、ヘプチレンメトキシ基、オクチレンメトキシ基、ノニレンメトキシ基、デシレンメトキシ基、メチレンエトキシ基、エチレンエトキシ基、プロピレンエトキシ基、ブチレンエトキシ基、ペンチレンエトキシ基、へキシレンエトキシ基、エチレンエトキシメトキシ基、シクロプロピルメトキシ基、シクロヘキシルメトキシ基、メチルフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、フェノキシフェノキシ基等)であるのが好ましい。また、上記式(1)中のR1は、この置換基を2以上有していてもよい。
具体的には、下記式(3)〜(6)のいずれかで表されるカチオンが好適に例示される。
このうち、下記式(3)および(5)で表されるカチオンであるのが、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより良好となる傾向がある理由から好ましい。
より具体的には、以下に示すカチオンが挙げられる。
具体的には、以下に示すカチオンが好適に例示される。
このうち、脂肪族4級アンモニウムイオン、スルホニウムイオン(特に、チオフェニウムイオン)であるのが、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより高くなる傾向がある理由から好ましい。
また、本発明の光電変換素子の耐熱性が良好になるという理由から、チオシアネートアニオン(SCN-)(連結異性体であるイソチオシアネートアニオンを含む。以下同様。)が好ましい。これは、後述する実施例に示すように、チオシアネートアニオンが配位した金属錯体(例えば、後述するルテニウム錯体色素)を用いた場合に発現される効果であることを考慮すると、加熱により金属錯体からチオシアネートアニオンの配位が外れた場合であっても、有機塩化合物(A)が有するチオシアネートアニオンが再配位することが可能となり、色素としての機能、すなわち光を吸収し、電子を放出する機能を維持することができたためと考えられる。
中でも、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより高くなるという理由から、カチオンとしてイミダゾリウムイオンを有し、アニオンとしてヨウ素イオンを有する有機塩化合物が好ましく、本発明の光電変換素子の耐熱性が良好になるという理由から、チオシアネートアニオンを有する有機塩化合物が好ましく、イミダゾリウムイオンおよびヨウ素イオンを有する有機塩化合物と、チオシアネートアニオンを有する有機塩化合物とを併用することがより好ましい。
具体的には、例えば、「1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムアイオダイド」は、その互変異性体である「1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド」を含み、「1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムアイオダイド」は、その互変異性体である「1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムアイオダイド」を含むものとする。
本発明の電解質に用いる層状複水酸化物(B)は、共有結合を介してオニウム塩を有する層状複水酸化物であれば特に限定されず、例えば、後述する層状複水酸化物(b1)と、オニウム塩を有するアルコキシシラン、オニウム塩を有するカルボン酸化合物、および、オニウム塩を有するリン酸化合物かなる群から選択されるオニウム塩含有化合物(b2)とを反応させたもの等を用いることができる。
上記層状複水酸化物(B)の調製に用いる層状複水酸化物(b1)は、1価金属または2価金属を含む金属イオンと3価金属を含む金属イオンとから構成される酸化物により形成された酸化物層と、無機アニオン中間層とが、交互に積層している層状構造において、一般的な層状粘土鉱物とは異なり、その層間に水分子を挟み込んでいる(複水している)構造を有する。また、この層状複水酸化物は、通常、結晶構造になっている。
ここで、上記1価金属としては、例えば、Liが挙げられる。上記2価金属としては、例えば、Mg,Ca,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn等が挙げられる。上記3価金属としては、例えば、Al,Fe,Cr,Mn,Co,Ni,La,Ga等が挙げられる。
また、上記酸化物層とは、1価または2価金属を含む金属イオンと、3価金属を含む金属イオンとが中心に位置する酸素八面体が、2次元に連なって層を構成したものをいう。
「ハイドロタルサイト」は、天然鉱物Mg6Al2(OH)16・CO3・4〜5H2Oに与えられた名称である。
「ハイドロタルサイト様化合物」は、「ハイドロタルサイト」と同一または類似の結晶構造をもつ鉱物(例えば、スティヒタイト、パイロオーライト、リーベサイト、タコヴァィト、オネサイト、アイオワイト等)に与えられた名称であり、合成も可能となったものである。このような「ハイドロタルサイト様化合物」は、例えば、下記式(7)または(8)で表わされる。
〔Li+ 1-xM3+ x(OH)2〕(2x-1)+〔An- (2x-1)/n・mH2O〕(2x-1)- (8)
また、上記式(7)および式(8)において、M3+は、Al,Fe,Cr,Mn,Co,Ni,LaおよびGaからなる群より選ばれる少なくとも1種である3価金属の金属イオンである。An-は、OH-,ClO3 -,ClO4 -,F-,Cl-,Br-,I-,CO3 2-、NO3 -、およびSO4 2-からなる群より選ばれる少なくとも1種であるn価の無機アニオンである。
ここで、xは、0<x<0.5の正数であり、mは、0<mの正数であり、nは、上記無機アニオンの価数である。
このような層状複水酸化物(b1)としては、市販品を用いることができ、例えば、Mg−Al系炭酸型LDH(商品名:DHT−6、協和化学工業社製)、Mg−Zn−Al系炭酸型LDH(商品名:アルマカイザー、協和化学工業社製)、Mg−Al系炭酸型LDH(商品名:キョワード500、協和化学工業社製)、Mg−Al系炭酸型LDH(商品名:キョワード1000、協和化学工業社製)、Mg−Al系炭酸型LDH(商品名:STABIACE HT−1、堺化学工業社製、Mg−Al系炭酸型LDH(商品名:STABIACE HT−7、堺化学工業社製、Mg−Al系炭酸型LDH(商品名:STABIACE HT−P、堺化学工業社製)等が好適に用いられる。
上記有機アニオンとしては、例えば、有機酸に由来する有機アニオンが挙げられ、この有機酸としては、例えば、下記式(9)で示されるカルボン酸、下記式(10)で示されるスルホン酸、下記式(11)〜(14)で示される有機リン化合物等が挙げられる。
HO3S−R8 (10)
(HO)2P(=O)(OR8) (11)
(HO)P(=O)(OR8)2 (12)
(HO)2P(=O)R8 (13)
(HO)P(=O)R8 2 (14)
上記式(12)および(14)において、複数のR8は、同一であっても異なっていてもよい。
これらのうち、本発明の光電変換素子の耐湿性が優れるという理由から、炭素数3以上のカルボン酸が好ましく、炭素数5〜20のカルボン酸がより好ましい。具体的には、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、サリチル酸、フェニルプロペン酸、トリヒドロキシ安息香酸が好ましく、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、オレイン酸、リノール酸、サリチル酸、フェニルプロペン酸、トリヒドロキシ安息香酸がより好ましい。
これらのうち、本発明の光電変換素子の耐湿性が優れるという理由から、炭素数3以上のスルホン酸が好ましく、炭素数5〜20のスルホン酸がより好ましい。具体的には、1−ヘキサンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、2−ドデシルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸が好ましく、1−オクタンスルホン酸、1−デカンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、2−ドデシルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸がより好ましい。
これらのうち、本発明の光電変換素子の耐湿性が優れるという理由から、炭素数3以上のリン酸誘導体が好ましく、炭素数5〜20のリン酸誘導体がより好ましい。具体的には、リン酸エチルヘキシル(モノ置換体、ジ置換体、それら混合物)、リン酸ブトキシエチルモノ置換体、ジ置換体、それら混合物)、リン酸デシル(モノ置換体、ジ置換体、それら混合物)リン酸ドデシル(モノ置換体、ジ置換体、それら混合物)、リン酸メトキシポリエチレングリコール(モノ置換体、ジ置換体、それら混合物)、リン酸メタクリロイルオキシポリエチレングリコール(モノ置換体、ジ置換体、それら混合物)、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、メトキシフェニルホスホン酸がより好ましい。
このような有機アニオンとしては、上記オニウム塩を有するものであるのが好ましく、例えば、下記式(15)〜(18)で表される有機アニオンが挙げられる。
-OO2S−(CH2)n−Y+Z- (16)
-OP(=O)(OH)−(CH2)n−Y+Z- (17)
-C(CN)2−CO−O−(CH2)n−Y+Z- (18)
イオン交換は、目的とする陰イオン(有機アニオン)をインターカレーションすることにより行われる。このようなイオン交換としては、例えば、水溶液中での直接のイオン交換、再生法によるイオン交換等が挙げられる。
すなわち、層状複水酸化物の加熱分解物を水溶液に浸すと、加熱分解物は水溶液中に存在するアニオンを取り込んで再生するため、予め目的とする陰イオン(有機アニオン)を水溶液中に仕込んでおくことで、再生の際に有機アニオンを層間にインターカレーションさせることができる。
ここで、層状複水酸化物の加熱分解物を得る場合の加熱温度としては、400〜800℃であることが好ましい。加熱温度が上記上限値以内であれば、層状複水酸化物への再生が困難となる傾向が抑えられ、また、加熱温度が上記下限値以上であれば、加熱分解が不充分であったり炭酸イオンが残存したりする傾向が抑えられる。
上記層状複水酸化物(B)の調製に用いるオニウム塩含有化合物(b2)は、オニウム塩を有するアルコキシシラン、オニウム塩を有するカルボン酸化合物、および、オニウム塩を有するリン酸化合物かなる群から選択される化合物である。
ここで、上記アルコキシシラン、上記カルボン酸化合物、および、上記リン酸化合物としては、それぞれ、例えば、下記式(19)〜(21)で表される化合物が挙げられる。
また、上記式(19)〜(21)中、nは1〜24の整数を表し、Y+はオニウムイオン(カチオン)を表し、Z-は対イオン(アニオン)を表す。
ここで、層状複水酸化物(b1)が有する水酸基とは、結晶層(主に端面)が通常有している水酸基をいうが、上記反応においては、層状複水酸化物(b1)が有する全ての水酸基がオニウム塩で置換されている必要はない。
これは、詳細には明らかではないが、上記層状複水酸化物(B)が有するオニウム塩の存在により、その酸化物層に沿って上記オニウム塩が配列され、例えば、ヨウ素イオン(I-)のパスの形成がより増加するためと考えられる。
ここで、無機物換算とは、上記層状複水酸化物(B)における層間の陽イオン、すなわち上述した有機オニウムイオンを除外した質量をいう。
本発明の電解質は、本発明の光電変換素子の光電変換効率をより向上させる観点から、酸化還元対(レドックス対)を添加することができる。
酸化還元対としては、色素増感太陽電池において一般的に使用されているまたは使用することができる任意のものを本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。
例えば、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭化物イオン等を用いることができる。具体的には、ヨウ素とLiI、NaI、KI等との金属ヨウ化物、ヨウ素と4級イミダゾリウム化合物とのヨウ化物塩、ヨウ素と4級ピリジニウム化合物とのヨウ化物塩、ヨウ素とテトラアルキルアンモニウム化合物とのヨウ化物塩等のヨウ素/ヨウ化物イオン対;臭素とLiBr、NaBr、KBr等との金属臭化物、臭素と4級イミダゾリウム化合物との臭化物塩、臭素と4級ピリジニウム化合物との臭化物塩、臭素とテトラアルキルアンモニウム化合物との臭化物塩等の臭素/臭化物イオン;フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩、フェロセン−フェリシニウム塩、コバルト錯体等の金属錯体;ジスルフィド化合物とメルカプト化合物との硫黄化合物;ハイドロキノン−キノン;ビオロゲン色素;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのうち、ヨウ素/ヨウ化物イオン、臭素/臭素化物イオンが好ましい。
無機塩、有機塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属塩等を挙げることができ、具体的には、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、トリフルオロ酢酸リチウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、四フッ化ホウ酸リチウム、六フッ化りん酸リチウム、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、グアニジンチオシアネートなどのグアニジン塩等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機塩、有機塩の添加量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、従来通りとすることができる。
具体的には、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン等のアルキルピリジン類;メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、プロピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール類;メチルベンズイミダゾール、エチルベンズイミダゾール、ブチルベンズイミダゾール、プロピルベンズイミダゾール等のアルキルベンズイミダゾール類;等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ピリジン類、ベンズイミダゾール類の添加量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、従来通りとすることができる。
有機溶媒の含有量は、特に限定されず、本発明の目的を損なわない限り、従来通りとすることができる。
本発明の電解質の製造方法は特に限定されず、例えば、上記有機塩化合物(A)および上記層状複水酸化物(B)ならびに所望により含有してもよい酸化還元対や有機溶媒等を混合し、ボールミル、サンドミル、顔料分散機、すりつぶし機、超音波分散機、ホモジナイザー、プラネタリーミキサー、ホバートミキサー、ロール、ニーダー等を用いて室温下または加熱下(例えば40〜150℃)で十分に混合し、均一に分散(混練)させることにより製造することができる。
ここで、上記混合には、必要に応じて有機溶剤(例えば、トルエン等)を併用し、混合後に有機溶剤を真空留去する方法を用いてもよい。
次に、本発明の光電変換素子および色素増感太陽電池について、図1を用いて詳述する。図1は、本発明の光電変換素子の基本構成の一例を示す模式断面図である。
上記光電極は、例えば、図1に示すように、透明基板1と透明導電膜2と酸化物半導体多孔質膜3により構成されている。
ここで、透明基板1は、光透過性が良好なものが好ましく、その具体例としては、ガラス基板の他、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、環状オレフィンポリマー、ポリエーテルサルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、トリアセチルセルロース、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂基板(フィルム)が挙げられる。
また、透明導電膜2の厚さは、0.01〜1.0μm程度であるのが好ましい。
更に、透明導電膜2を設けるための方法は特に限定されず、例えば、塗布法、スパッタリング法、真空蒸着法、スプレーパイロリシス法、化学気相成長法(CVD)、ゾルゲル法等が挙げられる。
上記酸化物半導体微粒子としては、具体的には、例えば、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化ニオブ等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記分散液は、分散機で混合して得た後、使用(塗布)直前に、超音波ホモジナイザー等を用いて超音波処理を施すのが好ましい。使用直前に超音波処理を施すことにより、本発明の光電変換素子の光電変換効率がより良好となる。これは、使用直前に超音波処理を施した分散液を用いて形成した酸化物半導体多孔質膜に対して、上記有機塩化合物(A)を含有する本発明の電解質が充填されやすくなったり、色素の吸着能が高まったりしたためと考えられる。
さらに、上記分散液には、分散液中の上記酸化物半導体微粒子の再凝集を防ぐために、アセチルアセトン、塩酸、硝酸、界面活性剤、キレート剤等を添加してもよく、分散液の増粘のために、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール等の高分子やセルロース系の増粘剤等を添加してもよい。
湿式成膜法としては、具体的には、例えば、スクリーンプリント法、インクジェットプリント法、ロールコート法、ドクターブレード法、スピンコート法、スプレー塗布法等が挙げられる。
加熱処理の温度としては、40℃〜700℃であるのが好ましく、40℃〜650℃であるのが好ましい。また、加熱処理の時間としては、特に制限はないが、通常は10秒〜24時間程度である。
化学処理としては、具体的には、例えば、四塩化チタン水溶液を用いた化学メッキ処理、カルボン酸誘導体を用いた化学吸着処理、三塩化チタン水溶液を用いた電気化学的メッキ処理等が挙げられる。
上記対向電極とは、図1に示すように、光電極4に対向して配置される電極5であり、例えば、金属基板、表面に導電膜を有するガラス基板や樹脂基板等を用いることができる。
金属基板としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン等の金属を用いることができる。樹脂基板としては、光電極4を構成する透明基板1で例示した基板(フィルム)に加えて、不透明あるいは透明性に劣る一般的な樹脂基板も用いることができる。
また、表面に設ける導電膜としては、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、チタン、マグネシウム、モリブデンなどの金属;炭素;酸化スズ、アンチモンやフッ素がドープされた酸化スズ、酸化亜鉛、アルミニウムやガリウムがドープされた酸化亜鉛、スズがドープされた酸化インジウムなどの導電性金属酸化物;等が挙げられる。導電膜の厚さや形成方法は、光電極4を構成する透明導電膜2と同様のものを挙げることができる。
導電性高分子としては、具体的には、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン等が挙げられる。
基板上に導電性高分子膜を形成させる方法は、通常湿式成膜法として知られているディッピング法やスピンコーティング法等を用いて、高分子分散液から基板上に導電高分子膜を形成することができる。
導電性高分子分散液としては、特開2006−169291号公報で開示したポリアニリン分散液や市販品であるポリチオフェン誘導体水分散液(バイトロンP、バイエル社製)、三菱レイヨン社製(アクアセーブ、ポリアニリン誘導体水溶液)等を用いることができる。
また、基板が上記導電基板である場合、上記手法に加えて電解重合法によっても基板上に導電性高分子膜を形成させることができる。導電性高分子フィルム電極は、電解重合法によって電極上に形成された導電性高分子フィルムを電極から剥離した自立性フィルムまたは導電性高分子分散液から通常湿式成膜法として知られているキャスティング法やスピンコーティング法等を用いて形成された自立性フィルム等を用いることもできる。ここで言う導電性高分子分散液は、導電性高分子微粒子が溶媒中に分散している状態と導電性高分子が溶媒中に溶解している状態とが混在しているものを、便宜上導電性高分子分散液としている。
上記電解質層は、図1に示すように、光電極4および対向電極5の間に設けられる電解質層6であり、本発明の光電変換素子においては、上述した本発明の電解質を用いる。
ここで、光増感色素としては、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つ色素であれば特に限定されなく、金属錯体又は有機色素等を用いることができる。
市販品である層状複水酸化物(Mg−Al系層状複水酸化物、商品名:DHT−6、協和化学工業社製)を500℃、12時間焼成することにより焼成層状複水酸化物を得た。次に、イオン交換水(窒素ガスにてバブリング、脱炭酸処理したもの)を用いて、プロピオン酸ナトリウム(関東化学社製)水溶液0.1Mを調製した。得られた焼成層状複水酸化物2gを上記プロピオン酸ナトリウム水溶液1L中に投入し、室温で24時間攪拌した。その後、ろ過、洗浄を3回繰り返し、乾燥、粉砕して有機化層状複水酸化物を合成した。
また、3−トリメトキシシリルプロピルクロリドを出発原料として、フィンケルシュタイン反応(T. W. Baughman, J. C. Sworen, K. B. Wagener, Tetrahedron, 2004, 60, 10943.)により得られた3−トリメトキシシリルプロピルアイオダイドと、1−メチルイミダゾールを、トルエン中で反応させることにより、3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1−メチルイミダゾリウムアイオダイドを合成した。
次いで、合成した有機化層状複水酸化物と3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1−メチルイミダゾリウムアイオダイドとを、メタノール中、60℃下で撹拌することにより、層状複水酸化物1を調製した。
市販品である層状複水酸化物(Mg−Al系層状複水酸化物、商品名:DHT−6、協和化学工業社製)と、層状複水酸化物1の調製の際に合成した3−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−1−メチルイミダゾリウムアイオダイドとを、メタノール中、60℃下で撹拌することにより、層状複水酸化物2を調製した。
層状複水酸化物1の調製の際に合成した有機化層状複水酸化物を用いた。
市販品である層状複水酸化物(Mg−Al系層状複水酸化物、商品名:DHT−6、協和化学工業社製)を用いた。
<電解質の調製>
混合容器中で、下記第1表に示す成分を第1表に示す組成比(質量部)で、撹拌し、混合することにより電解質を調製した。
具体的には、第1表に示す組成比で、第1表に示す有機塩化合物の混合液に、第1表に示す層状複水酸化物を撹拌しながら添加し、予め層状複水酸化物を膨潤させ分散させたゲル状物質(複合体)を得た。
次に、得られた複合体に、第1表に示すヨウ素、および、N−メチルベンズイミダゾールを、第1表に示す組成比で添加し、混合した。
透明導電性ガラス(FTOガラス、表面抵抗15Ω/□、日本板硝子社製)上に、酸化チタンペーストTi-Nanoxide D(Solaronix社製)を塗布し、室温下で乾燥させた後、450℃の温度で30分間焼結することにより、透明導電性ガラス上に酸化チタン多孔質膜が形成された光電極を作製した。
作製した光電極を、ルテニウム錯体色素(シス−(ジイソチオシアネート)−N,N′−ビス(2,2′−ビピリジル−4,4′−ジカルボキシリックアシッド)ルテニウム(II)錯体)(Ruthenium 535-bisTBA、Solaronix社製)のブチルアルコール/アセトニトリル溶液(体積比:1/1、濃度3×10-4mol/L)に4時間浸漬させた。
その後、アセトニトリルで洗浄し、暗所において窒素気流下で乾燥することにより光電極の酸化チタン電極に増感色素を担持させたものを光電極として用いた。
光増感色素を担持させた光電極上に調製した上記電解質を塗りつけ、これと、透明導電性ガラス基板(導電面にスズがドープされた酸化インジウム、シート抵抗:8Ω/□、日本板硝子社製)表面にスパッタリング法で厚さ約100nmの白金薄膜を形成させた白金対向電極とを張り合わせた。貼り合せる際、光電極と白金対向電極の間に熱融着フィルムを介在させ、150℃で熱融着させて電極間の封止を行うことにより、色素増感太陽電池(光増感色素:ルテニウム錯体色素)を得た。
得られた色素増感太陽電池について、それぞれ光電変換効率およびその維持率を以下に示す方法により測定し、評価した。その結果を下記第1表等に示す。
図2に示すように、光源としてソーラーシミュレーターを用い、AM1.5の擬似太陽光を100mW/cm2の光強度で光電極側から照射し、電流電圧測定装置(ケースレーインスツルメンツ社製デジタルソースメーター2400)を用いて変換効率[%]を求めた。
光電変換効率を測定した色素増感太陽電池を、40℃、85%RHの条件で1000時間放置し、その後に上記と同様の方法により光電変換効率を測定し、その維持率(加湿後の光電変換効率/加湿前の光電変換効率×100)[%]を算出した。
この結果、光電変換効率の維持率が80[%]以上であれば、耐湿性に優れていると評価できる。
光電変換効率を測定した色素増感太陽電池を、85℃、85%RHの条件で1000時間放置し、その後に上記と同様の方法により光電変換効率を測定し、その維持率(加湿後の光電変換効率/加湿前の光電変換効率×100)[%]を算出した。
この結果、光電変換効率の維持率が80[%]以上であれば、耐湿熱性に優れていると評価できる。
・有機塩化合物1(MPImI):1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド(比重:1.536g/cm3、東京化成社製)
・有機塩化合物2(EMImSCN):1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート(比重:1.115g/cm3、Merck社製)
・層状複水酸化物1〜4:上記調製例参照
特に、炭素数3以上の有機アニオンを用いて有機化処理した層状複水酸化物を用いた実施例1〜4は、耐湿性が良好となり、更に、チオシアネートアニオンを有する有機塩化合物を配合した実施例1〜3は、耐湿熱性も良好となることが分かった。
これに対して、オニウム塩を有しない層状複水酸化物を用いた比較例1は、光電変換効率が劣ることが分かった。なお、参考例1および2の対比結果から、オニウム塩を有しない層状複水酸化物に対して多価オニウム塩化合物を別添加しても、多価オニウム塩化合物が複水酸化物と相互作用しないため、光電変換効率の向上効果が見られないことが分かった。
2:透明導電膜
3:酸化物半導体多孔質膜
4:光電極
5:対向電極
6:電解質層
11:透明基板
12:透明導電膜(ITO、FTO)
13:金属酸化物
14:電解質
15:白金薄膜
16:透明導電膜(ITO、FTO)
17:基板
18:対向電極
Claims (5)
- 第3級または第4級カチオンを有する有機塩化合物(A)および層状複水酸化物(B)を含有する光電変換素子用電解質であって、
前記層状複水酸化物(B)が、共有結合を介してオニウム塩を有する光電変換素子用電解質。 - 前記オニウム塩が、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩、アンモニウム塩、スルホニウム塩およびホスホニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の光電変換素子用電解質。
- 前記層状複水酸化物(B)が、層間に存在する無機アニオンと炭素数3以上の有機アニオンとのイオン交換反応により有機化処理された有機化層状複水酸化物である請求項1または2に記載の光電変換素子用電解質。
- 透明導電膜および金属酸化物半導体多孔質膜を有する光電極と、
前記光電極に対向して配置される対向電極と、
前記光電極と前記対向電極との間に配された電解質層と、を有し、
前記電解質層が、請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換素子用電解質である、光電変換素子。 - 請求項4に記載の光電極に光増感色素を担持させてなる、色素増感太陽電池。
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