JP2013217113A - 柱支持構造及び固定具 - Google Patents

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信治 中田
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Abstract

【課題】木質柱の構造部材としての強度低下を可及的抑制しつつ、良好な制振性を発揮することができる柱支持構造及び当該柱支持構造に用いられる固定具を提供する。
【解決手段】木質柱2には、軸方向に軸孔15が開設され、当該軸孔15に固定具3のロッド体4が挿入され、当該固定具3のベース6が基礎GDに固着されるものとなる。木質柱2には軸方向に軸孔15が形成されるものの、軸方向に直交する方向への孔は著しく小さくすることができ、これによって木質柱2の構造部材としての強度低下を抑制しつつ、当該木質柱2を固定具3を介して基礎GDに固定することができるものとなっている。また、ロッド体4には、棒体7と木質柱2の軸孔15との間の隙間には粘弾性材8が充填されて当該隙間を埋めた状態で介在しているので、柱脚部の負担エネルギーを粘弾性材8で吸収することができるものとなっているのである。
【選択図】図1

Description

本発明は、木造建物の木質柱を支持する柱支持構造及び当該柱支持構造に用いられる固定具に関する。
従来より、木造建物の木質柱を基礎に支持する構成として、様々な技術が開発されている。例えば、これら木質柱と基礎の間に亘って接合金物を設けると共に当該接合金物を柱および基礎に釘止めし、これによって当該柱脚部を補強する補強構造が知られている。係る補強構造は、接合金物を釘によって柱や基礎に固定するものであるため、地震時の繰り返しによる劣化が進みやすい傾向がある。また、柱の柱脚部に金物を設けると共に当該金物と柱脚金物とをドリフトピンによって固定する方法もあるが、係る構成は鋼材を使用しているため当該鋼材に比して強度の小さい木質柱で柱脚部全体の強度が決まってしまうという問題がある。
このように柱脚部の剛性を高めることで当該柱脚部の強度を高める構成がある一方、柱脚部の制振性を確保することで当該柱脚部の支持性能を確保する構成が知られている。例えば、特許文献1には、「木造柱に、水平貫通孔と、同水平貫通孔の中央部から同木造柱の軸方向に下面まで貫通する鉛直貫通孔とを設け、前記水平貫通孔に低降伏点鋼製の水平梁を両端支持形式で設置し、前記鉛直貫通孔に前記礎石に反力をとるアンカーボルトを設け、前記水平梁の中央部に前記アンカーボルトの上端を連結し、礎石に対する木造柱の浮き上がりを利用して低降伏点鋼製の水平梁を塑性変形させ震動エネルギーを吸収」する構造が開示されている。
特開2002−213102号公報
しかしながら、上記特許文献1の構成にあっては、水平貫通孔内で低降伏点鋼を楔を介して当該水平貫通孔の上下内壁から離間させた状態で固定するため、当該水平貫通孔は径大にならざるを得ず、木造柱の軸方向に直交する方向の断面欠損が比較的大きい。当該方向での木造柱の断面欠損は柱としての強度の低下に直接関係するものであり、木質柱の強度で構造強度が決する部分にあって当該木質柱の強度が更に低下する結果をもたらし、制振構造としての当初の効果を得ることができない虞がある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、木質柱の構造部材としての強度低下を可及的抑制しつつ、良好な制振性を発揮することができる柱支持構造及び当該柱支持構造に用いられる固定具を提供することを目的とする。
本発明に係る柱支持構造は、木質柱と、当該木質柱を基礎に固定する固定具と、を備え、木質柱の底面中央部には、木質柱の軸方向に延在する軸孔が開設されており、固定具は、基礎に固着されるベースと、当該ベースに立設されて木質柱の軸孔に挿入されるロッド体と、を備え、ロッド体は、少なくとも、軸孔の内径よりも小さい外径を有する棒体と、当該棒体と軸孔との間の隙間に充填されて介在する粘弾性材と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る柱支持構造によれば、木質柱には、軸方向に軸孔が開設され、当該軸孔に固定具のロッド体が挿入され、当該固定具のベースが基礎に固着されるものとなる。木質柱には軸方向に軸孔が形成されるものの、軸方向に直交する方向への孔を不存在とし、または著しく小さくすることができ、これによって木質柱の構造部材としての強度低下を抑制しつつ、当該木質柱を固定具を介して基礎に固定することができるものとなっている。また、ロッド体では、棒体と木質柱の軸孔との間の隙間に粘弾性材が充填されて当該隙間を埋めた状態で介在しているので、柱脚部の負担エネルギーを粘弾性材で吸収することができるものとなっているのである。
本発明に係る柱支持構造において、ロッド体は、棒体に遊嵌すると共に、木質柱の軸孔に嵌合する金属製又は樹脂製の筒体を備え、当該筒体と棒体との間に粘弾性材が充填されていることが好ましい。これによれば、棒体と筒体の間に粘弾性材が充填されることとなり、粘弾性材は、経年劣化し難い部材間に存在することとなるため、長期に亘ってエネルギー吸収能を維持することができるものとなっている。
本発明に係る柱支持構造において、木質柱の軸方向に直交する方向に当該木質柱及びロッド体を貫通する貫通孔が設けられ、当該木質柱及びロッド体の貫通孔にドリフトピンが挿入されており、木質柱の貫通孔は、ドリフトピンと嵌合する大きさとされ、ロッド体の棒体の貫通孔は、木質柱の軸方向に延在する長孔状に形成されていることが好ましい。これによれば、木質柱に過大な軸力が作用し、木質柱がロッド体の粘弾性材の存在にも関わらず上下方向に大きく変位する場合でも、当該ドリフトピンが抜け止めとなって木質柱の軸孔からロッド体が抜け出ることは防止されるものとなる。また、木質柱の貫通孔はドリフトピンと嵌合する大きさとされる一方、棒体の貫通孔は長孔状に形成されているため、当該棒体に対する木質柱のある程度の上下動を許容し、これによって、木質柱に過大な引張り軸力が作用することによる当該木質柱の破壊を抑制することができるものとなっている。なお、当該貫通孔が設けられることで木質柱の軸方向に直交する方向に断面欠損が存在することとなるが、抜け止めのためのドリフトピンを嵌合させる大きさで足りるため、当該断面欠損は木質柱の軸方向に垂直な方向の断面で見た場合でも著しく小さく、木質柱の強度低下に対する影響は小さいものとなっている。
本発明に係る柱支持構造において、木質柱の軸方向に直交する方向に当該木質柱及びロッド体を貫通する貫通孔が設けられ、当該木質柱及びロッド体の貫通孔にドリフトピンが挿入されており、木質柱の貫通孔及び筒体の貫通孔は、ドリフトピンと嵌合する大きさとされ、棒体の貫通孔は、木質柱の軸方向に延在する長孔状に形成されていることが好ましい。これによれば、前述の作用効果に加え、ロッド体の筒体の貫通孔が、木質柱の貫通孔と同様にドリフトピンと嵌合する大きさとされているため、ドリフトピンの挿入によって、木質柱と筒体との間の一体性を確保することができる。
本発明に係る柱支持構造において、木質柱及びロッド体の貫通孔は、木質柱の軸方向に沿って複数設けられていることが好ましい。ドリフトピンが嵌合される木質柱の貫通孔付近は応力が集中しやすい箇所であるが、当該箇所を複数設けることによって、応力が一か所に集中することを防止できる。
本発明に係る固定具は、基礎上に立設される木質柱を支持する固定部であって、基礎に固着されるベースと、当該ベースに立設されて木質柱に開設される軸孔に挿入されるロッド体と、を備え、ロッド体は、少なくとも、軸孔の内径よりも小さい外径を有する棒体と、当該棒体と木質柱の軸孔との間の隙間に充填されて介在する粘弾性材と、を備えていることを特徴とする。
本発明に係る固定具によれば、木質柱に開設される軸孔に、ロッド体が挿入され、ベースが基礎に固着されるものとなる。木質柱には軸方向に軸孔が形成されるものの、軸方向に直交する方向への孔を不存在とし、または著しく小さくすることができ、これによって木質柱の構造部材としての強度低下を抑制しつつ、当該木質柱を固定具を介して基礎に固定することができるものとなっている。また、ロッド体には、棒体と木質柱の軸孔との間の隙間には粘弾性材が充填されて当該隙間を埋めた状態で介在しているので、柱脚部の負担エネルギーを粘弾性材で吸収することができるものとなっているのである。
本発明によれば、木質柱の構造部材としての強度低下を可及的抑制しつつ、良好な制振性を発揮することができる。
本発明の実施形態に係る柱支持構造の横断面図である。 図1に示すII−II線に沿った断面図である。 本発明の実施形態に係る固定具の展開斜視図である。 木質柱の軸孔にロッド体を挿入し、ドリフトピンを挿入する様子を示す斜視図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る柱支持構造の横断面図である。図2は、図1に示すII−II線に沿った断面図である。図3は、本発明の実施形態に係る固定具の展開斜視図である。図4は、木質柱の軸孔にロッド体を挿入し、ドリフトピンを挿入する様子を示す斜視図である。本発明の実施形態に係る柱支持構造1及び当該柱支持構造1に用いられる固定具3は、木造建物の木質柱2を基礎GDに支持するものである。なお、図1には、木造建物の複数の柱脚部のうち、一の柱脚部のみを示しているが、他の柱脚部についても同様の柱支持構造1が採用されている。図1〜図4に示すように、柱支持構造1は、木質柱2と、当該木質柱2を基礎GDに固定する固定具3と、を備えている。
木質柱2は、断面正方形状の木製の柱であり、その底面2aの中央部には、軸方向に延在する軸孔15が開設されている。軸孔15は、その中心軸線が木質柱2の中心軸線CLと一致するように、底面2aから上方へ向かって延びる円形の孔である。この軸孔15は、底面2aからの高さが10cm〜35cm程度に設定されることが好ましく、より好ましくは20cm〜30cmである。また、木質柱2の一辺の寸法が10.5cm〜12.5cmである場合には、軸孔15の直径を2.5cm〜3.5cm程度に設定することが好ましい。これにより、固定具3のロッド体4で十分に支持しつつも、木質柱2の強度を確保することができる。
固定具3は、鉄筋コンクリート製の布基礎GDに固着されるベース6と、当該ベース6に立設されて木質柱2の軸孔15に挿入されるロッド体4と、を備えている。本実施形態では、ベース6は、上面部6aと、底面部6bと、一対の側面部6c,6dと、を有する箱体として構成されている。上面部6aは木質柱2の底面2aを支持しており、底面部6bは基礎GDに固定されている。底面部6bには貫通孔が設けられており、当該貫通孔を基礎GDに設けられたアンカーボルト21が通過している。当該アンカーボルト21に対してナット22が締結され、プレート23で底面部6bが基礎GDに押圧されることにより、固定具3が基礎GDに固着される。なお、ベース6は、本実施形態のような構成のものに限定されず、あらゆる形状のものを採用してよい。例えば、基礎GDに敷設されるように固着される一枚のプレートで構成されていてもよい。
ロッド体4は、ベース6から上方へ延びる棒体7と、当該棒体7の外周を取り囲む粘弾性材8と、当該粘弾性材8の外周を取り囲む筒体9と、を備えている。棒体7は断面円形状の円柱部材であり、粘弾性材8は円筒状に形成されており、筒体9も円筒状に形成され、それぞれの中心軸線が略一致するように配置される。また、ロッド体4を木質柱2の軸孔15に挿入したとき、棒体7、粘弾性材8及び筒体9の各中心軸線は、木質柱2の中心軸線CLと略一致する。また、棒体7、粘弾性材8及び筒体9は、ベース6の上面部6aから、軸孔15の上端部15aまで延びている。
棒体7は、ベース6の上面部6aの中央部から上方へ向かって延びている。支持強度を確保するため、棒体7は金属製であることが好ましい。棒体7の下端部7aは、ベース6の上面部6aに溶接などによって固定されている。棒体7の外径は、木質柱2の軸孔15の内径よりも小さい。従って、棒体7と軸孔15との間には隙間が形成される。十分な強度を確保するため、棒体7の外径は1.0cm〜10.0cm程度に設定することが好ましく、より好ましくは2.0cm〜3.5cmである。
筒体9は、棒体7に遊嵌すると共に、木質柱2の軸孔15に嵌合する。筒体9は、粘弾性材8を支持すると共に、粘弾性材8と木質柱2とが直接接触しないように介在するものであるため、金属製又は樹脂製であることが好ましい。筒体9の外径は、軸孔15の内径と略同一であることが好ましい。筒体9は、軸孔15に嵌合することにより(また、後述のドリフトピン10A〜10Cが挿入されることにより)木質柱2と略一体化する。このように、筒体9は木質柱2と一体化しているため、木質柱2が振動などにより動く際は、当該木質柱2と共に動く。筒体9の内径は、棒体7の外径よりも大きく、棒体7と筒体9との間には隙間が形成される。筒体9の径方向の厚さは、2mm〜15mm程度に設定することが好ましい。
粘弾性材8は、棒体7と軸孔15との間の隙間に充填されて介在する。本実施形態では、粘弾性材8は、棒体7と筒体9との間の隙間に充填されて介在する。粘弾性材8は、棒体7と筒体9との間の隙間を完全に埋めるように、隙間なく充填されている。木質柱2と筒体9は一体化しており、棒体7はベース6を介して基礎GDに固定されている。従って、振動などによって木質柱2及び筒体9が、棒体7に対して動く場合、粘弾性材8が両者の間で負担エネルギーを吸収する。粘弾性材8の材質として、アクリル系、ジエン系、エラストマー系、ウレタン系及びシリコン系の素材を適用することが好ましい。また、粘弾性材8の径方向の厚さは、1mm〜15mm程度に設定することが好ましく、より好ましくは2mm〜5mmである。これにより、粘弾性材8は十分に負荷エネルギーを吸収することができる。なお、図3に示すように、柱脚部への設置前においては、粘弾性材8は予め筒体9の内周面に設けられており、筒体9と粘弾性材8とで一の部材となっている。
木質柱2及びロッド体4には、ドリフトピン10を挿入するための貫通孔がそれぞれ設けられている。この貫通孔は、木質柱2の軸方向に直交する方向に木質柱2及びロッド体4を貫通している。また、木質柱2及びロッド体4の貫通孔は、木質柱2の軸方向に沿って複数設けられている。本実施形態では、三本のドリフトピン10A,10B,10Cが用いられるため、木質柱2及びロッド体4の貫通孔も三か所に形成される。ドリフトピン10A,10B,10Cの先端部には、挿入し易いようにテーパーが形成されている。ドリフトピン10A,10B,10Cは、外径が5mm〜25mm程度に設定されていることが好ましく、より好ましくは10mm〜14mmである。ドリフトピン10A,10B,10Cの長さは、頭部を完全に木質柱2に挿入した状態(図1に示す状態)において、少なくともロッド体4を貫通し、先端部が木質柱2の反対側の側面から突出しない程度の長さに設定される。
具体的に、木質柱2には、上方へ向かって所定ピッチにて貫通孔13A,13B,13Cが設けられている。貫通孔13A,13B,13Cは、木質柱2の一の側面の幅方向中央部から反対側の側面の幅方向中央部へ向かって、軸孔15を経由して貫通している。貫通孔13Aと貫通孔13Cとは、平行に貫通している。一方、貫通孔13Bは、貫通孔13A,13Cとは垂直な方向に貫通している。筒体9及び粘弾性材8には、木質柱2の貫通孔13A,13B,13Cと対応する位置に、円形状の貫通孔12A,12B,12Cが形成されている。筒体9及び粘弾性材8の貫通孔12A,12B,12Cの位置は、その中心軸線が、木質柱2の軸孔15にロッド体4を挿入した状態(図1及び図4に示す状態)において、木質柱2の貫通孔13A,13B,13Cの中心軸線との中心軸線と略一致するように設定されている。木質柱2の貫通孔13A,13B,13Cの大きさと、筒体9及び粘弾性材8の貫通孔12A,12B,12Cの大きさとは、ドリフトピン10A,10B,10Cと嵌合する大きさとされている。すなわち、貫通孔12A,12B,12C,13A,13B、13Cの直径は、ドリフトピン10A,10B,10Cの外径と略同一か、僅かに小さく設定されている。
棒体7には、木質柱2の貫通孔13A,13B,13Cと対応する位置に、円形状の貫通孔11A,11B,11Cが形成されている。棒体7の貫通孔11A,11B,11Cは、木質柱2の軸方向に延在する長孔状に形成されている。棒体7の貫通孔11A,11B,11Cの幅は、ドリフトピン10A,10B,10Cの外径と略同一か、僅かに大きく設定されている。本実施形態においては、ドリフトピン10A,10B,10Cの外径が12mmであり、貫通孔13A,13B,13Cの幅は12.5mmに設定されている。このように、ドリフトピン10A,10B,10Cの両側に適度な隙間が確保されていることが好ましい。
棒体7の貫通孔11A,11B,11Cの長さは、3cm〜10cm程度に設定されている。本実施形態における貫通孔11A,11B,11Cの位置は、その下端側の半円が、木質柱2の軸孔15にロッド体4を挿入した状態(図1及び図4に示す状態)において、貫通孔12A,12B,12C,13A,13B,13Cの位置に配置されるように設定される。すなわち、棒体7の貫通孔11A,11B,11Cの下端側の半円の中心軸線が、円形状の貫通孔12A,12B,12C,13A,13B,13Cの中心軸線と略一致するように配置される。これにより、通常状態においては、ドリフトピン10A,10B,10Cが、棒体7の貫通孔11A,11B,11Cの下端付近に配置される。ただし、棒体7の貫通孔11A,11B,11Cは、木質柱2及び筒体9に嵌合されたドリフトピン10A,10B,10Cの上下方向の移動を許容できるならば、どのような位置に設定されていてもよい。例えば、ドリフトピン10A,10B,10Cが、棒体7の貫通孔11A,11B,11Cの上下方向の中央部付近に配置されてもよい。
上述のような木質柱2の円形状の貫通孔13A,13B,13Cと、筒体9及び粘弾性材8の円形状の貫通孔12A,12B,12Cと、棒体7の長孔状の貫通孔11A,11B,11Cと、を互いに位置合わせした状態で、ドリフトピン10A,10B,10Cを挿入することで、木質柱2と筒体9とが一体化する。また、ドリフトピン10A,10B,10Cが棒体7の貫通孔11A,11B,11Cに収納される。
次に、本実施形態に係る柱支持構造1及び固定具3の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る柱支持構造1によれば、木質柱2には、軸方向に軸孔15が開設され、当該軸孔15に固定具3のロッド体4が挿入され、当該固定具3のベース6が基礎GDに固着されるものとなる。木質柱2には軸方向に軸孔15が形成されるものの、軸方向に直交する方向への孔(ここでは、ドリフトピン10A,10B,10C用の貫通孔13A,13B,13C)は著しく小さくすることができ、これによって木質柱2の構造部材としての強度低下を抑制しつつ、当該木質柱2を固定具3を介して基礎GDに固定することができるものとなっている。また、ロッド体4では、棒体7と木質柱2の軸孔15との間の隙間に粘弾性材8が充填されて当該隙間を埋めた状態で介在しているので、柱脚部の負担エネルギーを粘弾性材8で吸収することができるものとなっているのである。
本実施形態に係る柱支持構造1において、ロッド体4は、棒体7に遊嵌すると共に、木質柱2の軸孔15に嵌合する金属製又は樹脂製の筒体9を備え、当該筒体9と棒体7との間に粘弾性材8が充填されている。これによれば、棒体7と筒体9の間に粘弾性材8が充填されることとなり、粘弾性材8は、経年劣化し難い部材間に存在することとなるため、長期に亘ってエネルギー吸収能を維持することができるものとなっている。例えば、筒体9を設けず、軸孔15と棒体7との間に直接粘弾性材8を充填する場合には、軸孔15を形成する木材は経年や乾燥により収縮するため、長期に亘る性能の確保に影響が及ぼされる場合がある。
本実施形態に係る柱支持構造1において、木質柱2の軸方向に直交する方向に当該木質柱2及びロッド体4を貫通する貫通孔が設けられ、当該木質柱2及びロッド体4の貫通孔にドリフトピン10A,10B,10Cが挿入されており、木質柱2の貫通孔13A,13B,13Cは、ドリフトピン10A,10B,10Cと嵌合する大きさとされ、ロッド体4の棒体7の貫通孔11A,11B,11Cは、木質柱2の軸方向に延在する長孔状に形成されている。これによれば、木質柱2に過大な軸力が作用し、木質柱2がロッド体4の粘弾性材8の存在にも関わらず上下方向に大きく変位する場合でも、当該ドリフトピン10A,10Bが抜け止めとなって木質柱2の軸孔15からロッド体4が抜け出ることは防止されるものとなる。また、木質柱2の貫通孔13A,13B,13Cはドリフトピン10A,10B,10Cと嵌合する大きさとされる一方、棒体7の貫通孔11A,11B,11Cは長孔状に形成されているため、当該棒体7に対する木質柱2のある程度の上下動を許容し、これによって、木質柱2に過大な引張り軸力が作用することによる当該木質柱の破壊を抑制することができるものとなっている。なお、当該貫通孔13A,13B,13Cが設けられることで木質柱2の軸方向に直交する方向に断面欠損が存在することとなるが、抜け止めのためのドリフトピン10A,10B,10Cを嵌合させる大きさで足りるため、当該断面欠損は木質柱2の軸方向に垂直な方向の断面で見た場合でも著しく小さく、木質柱2の強度低下に対する影響は小さいものとなっている。
本実施形態に係る柱支持構造1において、筒体9の貫通孔12A,12B,12Cは、ドリフトピン10A,10B,10Cと嵌合する大きさとされている。これによれば、ドリフトピン10A,10B,10Cの挿入によって、木質柱2と筒体9との間の一体性を確保することができる。
本実施形態に係る柱支持構造1において、木質柱2及びロッド体4の貫通孔は、木質柱2の軸方向に沿って複数設けられている。ドリフトピン10A,10B,10Cが嵌合される木質柱2の貫通孔13A,13B,13C付近は応力が集中しやすい箇所であるが、当該箇所を複数設けることによって、応力が一か所に集中することを防止できる。
本実施形態に係る固定具3によれば、木質柱2に開設される軸孔15に、ロッド体4が挿入され、ベース6が基礎GDに固着されるものとなる。木質柱2には軸方向に軸孔15が形成されるものの、軸方向に直交する方向への孔(ここでは、ドリフトピン10A,10B,10C用の貫通孔13A,13B,13C)を著しく小さくすることができ、これによって木質柱2の構造部材としての強度低下を抑制しつつ、当該木質柱2を固定具3を介して基礎GDに固定することができるものとなっている。また、ロッド体4には、棒体7と木質柱2の軸孔15との間の隙間には粘弾性材8が充填されて当該隙間を埋めた状態で介在しているので、柱脚部の負担エネルギーを粘弾性材で吸収することができるものとなっているのである。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。上記木質柱2、棒体7、筒体9等の大きさや厚さについて建物の大きさや目的に応じて適宜変更することができる。詳述すると、木質柱2の太さによって当該木質柱2の強度が決まり、当該強度に見合うだけの強度を有するものとして棒体7の断面の大きさが決まる。また、筒体9はドリフトピン10を介して木質柱2と一体になっており、かかる点から、筒体9の厚みも、木質柱2の太さを大きくするに連れて厚くしていくことが好ましい。加えて、ドリフトピン10も木質柱2の強度を筒体9に伝える為には木質柱2の強度に応じて大きくすることが可能であるが、当該ドリフトピン10についてはその取付個数を増減することで必要強度に対応することができる。なお、ドリフトピン10の数を増す場合には、そのドリフトピン10の数だけ棒体7(ロッド体4)の長さが大きくなる。また、例えば、木質柱2の形状は上述のような断面正方形状に限らず、断面長方形状であってもよく、円形などであってもよい。
例えば、上述の実施形態では、ロッド体4が筒体9を有しているものであったが、当該筒体を省略してもよい。すなわち、木質柱2の軸孔15と棒体7との間の隙間には、粘弾性材8のみが充填されて介在する構成としてもよい。
また、上述の実施形態では、ドリフトピン10を用いるために木質柱2及びロッド体4に貫通孔12、13が形成されていたが、ドリフトピン10を用いないこととし、貫通孔12、13を不存在としてもよい。
また、上述の実施形態では、筒体9と粘弾性材8とが一体となっていたが、棒体7と粘弾性材8とが一体となっていてもよい。このとき、粘弾性材8に貫通孔11A,11B、1Cに対応する長孔状の貫通孔が形成されていてよい。また、棒体7を筒状とした構成も採用することができる。
また、固定具3は、長尺の木質部材を基礎の上縁部に水平状に載置して形成される土台に固定するものであっても構わない。この場合、本願発明の「基礎」とは、鉄筋コンクリート上の基礎及び当該基礎上に載置される土台を含める。
1…柱支持構造、2…木質柱、3…固定具、4…ロッド体、6…ベース、7…棒体、8…粘弾性材、9…筒体、11A,11B,11C…棒体の貫通孔、12A,12B,12C…筒体の貫通孔、13A,13B,13C…木質柱の貫通孔、15…軸孔。

Claims (6)

  1. 木質柱と、当該木質柱を基礎に固定する固定具と、を備え、
    前記木質柱の底面中央部には、前記木質柱の軸方向に延在する軸孔が開設されており、
    前記固定具は、
    前記基礎に固着されるベースと、
    当該ベースに立設されて前記木質柱の軸孔に挿入されるロッド体と、を備え、
    前記ロッド体は、少なくとも、
    前記軸孔の内径よりも小さい外径を有する棒体と、
    当該棒体と前記軸孔との間の隙間に充填されて介在する粘弾性材と、を備えている
    ことを特徴とする柱支持構造。
  2. 前記ロッド体は、前記棒体に遊嵌すると共に、前記木質柱の軸孔に嵌合する金属製又は樹脂製の筒体を備え、
    当該筒体と前記棒体との間に前記粘弾性材が充填されている
    ことを特徴とする請求項1記載の柱支持構造。
  3. 前記木質柱の軸方向に直交する方向に当該木質柱及び前記ロッド体を貫通する貫通孔が設けられ、当該木質柱及び前記ロッド体の貫通孔にドリフトピンが挿入されており、
    前記木質柱の貫通孔は、前記ドリフトピンと嵌合する大きさとされ、
    前記ロッド体の棒体の貫通孔は、前記木質柱の軸方向に延在する長孔状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2記載の柱支持構造。
  4. 前記木質柱の軸方向に直交する方向に当該木質柱及び前記ロッド体を貫通する貫通孔が設けられ、当該木質柱及び前記ロッド体の貫通孔にドリフトピンが挿入されており、
    前記木質柱の貫通孔及び前記ロッド体の筒体の貫通孔は、前記ドリフトピンと嵌合する大きさとされ、
    前記ロッド体の棒体の貫通孔は、前記木質柱の軸方向に延在する長孔状に形成されている
    ことを特徴とする請求項2記載の柱支持構造。
  5. 前記木質柱及び前記ロッド体の貫通孔は、前記木質柱の軸方向に沿って複数設けられている
    ことを特徴とする請求項3または4記載の柱支持構造。
  6. 基礎上に立設される木質柱を支持する固定具であって、
    前記基礎に固着されるベースと、
    当該ベースに立設されて前記木質柱に開設される軸孔に挿入されるロッド体と、を備え、
    前記ロッド体は、少なくとも、
    前記軸孔の内径よりも小さい外径を有する棒体と、
    当該棒体と前記木質柱の軸孔との間の隙間に充填されて介在する粘弾性材と、を備えている
    ことを特徴とする固定具。
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