JP2013216834A - 帯電防止性樹脂水性分散液及びその製造方法 - Google Patents

帯電防止性樹脂水性分散液及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子型帯電防止剤の使用量が少ない条件下でも、十分な帯電防止性を発揮し得る樹脂水性分散液を得ることを目的とする。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂(A)と、帯電防止性樹脂(B)とを含む混合樹脂を、カチオン性高分子乳化剤(C)によって分散してなり、かつ、(A)成分100重量部あたり、(B)成分を3〜20重量部含有する帯電防止性樹脂水性分散液を用いる。
【選択図】なし

Description

この発明は、帯電防止性樹脂水性分散液及びその製造方法に関する。
一般的に、各種の樹脂は、高い電気抵抗を有するため、帯電しやすい性質を持っている。このため、空気中のホコリや汚れを吸着して美観を損ねたり、フィルムどうしが張り付いたりする問題がある。さらには、電気機器やOA機器の部材等の材料として使用したときには、ICの誤作動やメモリー破壊などの静電気障害を引き起こすことも考えられる。
これらに対し、ポリエーテルエステルアミド共重合樹脂、ポリエーテル/オレフィンブロック共重合樹脂等の高分子型帯電防止剤を用いる方法が知られている(特許文献1、2)。
これらの高分子型帯電防止剤をベース樹脂に混合して得られる樹脂組成物は、低分子の帯電防止剤を配合した場合と比べて、水による帯電防止成分の溶出が少なく、長期間にわたって、帯電防止性を保持できる特徴を有している。しかし、得られる樹脂組成物には、帯電防止性能を十分発現させるため、高分子型帯電防止剤をベース樹脂に大量に配合する必要がある。この場合、ベース樹脂の物性を損なったりする場合があり、また、コスト面でも問題があった。
これに対し、高分子型帯電防止剤としてポリエーテル/オレフィンブロック共重合樹脂を用い、これと不飽和カルボン酸成分を構成成分の一種として有する樹脂に混合し、プロパノール等の水系媒体と低分子アミンを併用して水性分散液化して、この樹脂水性分散液を樹脂材料からなるフィルムや成形品に塗布して帯電防止層を形成することにより、高分子型帯電防止剤の使用量を低減させることが知られている(特許文献3)。
特開2006−274123号公報 特開2005−028771号公報 特開2010−168423号公報
しかしながら、特許文献3においては、ベース樹脂に不飽和カルボン酸由来の成分を含有させる必要があり、樹脂の種類や組成の選択幅が狭くなり、種々の基材に対する密着性やヒートシール性に配慮した樹脂設計が難しくなることがある。また、特許文献3で得られる樹脂水性分散液は、高分子型帯電防止剤の使用量が少ないためか、帯電防止性を十分に発揮し得ない場合がある。
そこで、この発明は、かかる問題点を解決し、高分子型帯電防止剤の使用量が少ない条件下でも、十分な帯電防止性を発揮し得る樹脂水性分散液を得ることを目的とする。
この発明は、ポリオレフィン系樹脂(A)と、帯電防止性樹脂(B)とを含む混合樹脂を、カチオン性高分子乳化剤(C)によって分散し、かつ、上記(A)成分100重量部あたり、上記(B)成分を3〜20重量部含有させることにより、上記課題を解決したものである。
この発明にかかる帯電防止性樹脂水性分散液は、ベース樹脂として自己乳化型のアニオン性樹脂を用いることなく、カチオン性高分子乳化剤を用いて帯電防止性樹脂を乳化し、水性分散液を得ることができる。そして、得られる樹脂水性分散液を塗布することにより、各種基材の表面固有抵抗値を低く抑えることができ、帯電防止性を向上させることができる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明にかかる帯電防止性樹脂水性分散液は、ポリオレフィン系樹脂(A)と、帯電防止性樹脂(B)とを含む混合樹脂を、カチオン性高分子乳化剤(C)によって分散した樹脂水性分散液である。
[ポリオレフィン系樹脂(A)]
上記のポリオレフィン系樹脂(以下、「(A)成分」と称する場合がある。)は、オレフィン系モノマーの単独重合体又はその共重合体をいう。
上記のオレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のα−オレフィン類があげられ、これらのα−オレフィン類は、その一種のみで単独重合体を形成しても、またその二種以上のモノマーで共重合体を形成してもよい。
また、上記のオレフィン系モノマーの単独重合体や、α−オレフィン類相互間の共重合体以外に、オレフィン系モノマーと共重合体を形成する場合に用いることができる共重合モノマーとしては、オレフィン系モノマーとラジカル共重合性を有するモノマーであればよく、特に制限されない。このようなモノマーとしては、酢酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸及びそのアルキルエステル類、(メタ)アクリル酸2−メトキシメチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル類、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の重合性二塩基酸及びその無水物、ジメチルアミノエチルメタクリレート等のアルキルアミノ(メタ)アクリルエステル類等があげられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」は、「アクリルまたはメタクリル」を意味する。
上記オレフィン系モノマーの単独重合体又はその共重合体の具体例としては、低密度ポリエチレン等のポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体及びそのエステル、あるいはその塩、エチレン・メタクリル酸共重合体あるいはその塩、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体あるいはその塩、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル・無水マレイン酸共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体等の、エチレンホモポリマーやエチレンを主体としたエチレン系共重合体、ポリプロピレン、プロピレン・ヘキセン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体等の、プロピレンホモポリマーやプロピレンを主体とした結晶性プロピレン系共重合体、オレフィン系モノマーの単独重合体やその共重合体の無水マレイン酸変性重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等のハロゲン化ポリオレフィン、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン等があげられる。なお、本明細書において、「主体とする」、「主成分とする」とは、当該成分が、含有される各成分のうち含有割合が最も多い成分であることをいう。
上記ポリオレフィン系樹脂は、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。また、ポリオレフィン系樹脂の性質を損なわない範囲で、添加剤を添加することができる。この添加剤としては、粘着付与剤、ビスアマイド、微粉状シリカ等の滑剤(耐ブロッキング剤)等があげられる。上記粘着付与剤としては、ロジン及びその誘導体、テルペン及びその誘導体、脂肪族系炭化水素樹脂及びその誘導体等があげられる。
[帯電防止性樹脂(B)]
上記の帯電防止性樹脂(以下、「(B)成分」と称する場合がある。)としては、高分子量(例えば数平均分子量が1,000以上)の帯電防止剤であれば特に制限はなく、例えば、ポリオレフィン系ブロック及び/又はポリアミド系ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体があげられる。
前記のポリオレフィン系ブロックとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン、4−メチルペンテン−1、ビニルシクロヘキサンなどの炭素数2〜30のオレフィン単量体の1種または2種以上から構成されるブロックが例示される。
上記オレフィン単量体のより好ましい炭素数は2〜15であり、具体的には、エチレンやプロピレンが好ましい。
前記ポリアミド系ブロックは、ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミンなど炭素数4〜20の脂肪族ジアミンなど)と、ジカルボン酸(例えば、アジピン酸やセバシン酸、ドデカンン二酸など炭素数4〜20の脂肪族ジカルボン酸など)との縮合によって得られるブロック、アミノカルボン酸(例えば、6−アミノヘキサン酸や12−アミノドデカン酸などの炭素数4〜20のアミノカルボン酸など)の縮合によって得られるブロック、ラクタム(ε−カプロラクタムなどの炭素数4〜20のラクタムなど)の開環重合によって得られるブロック、及びこれらの成分から得られる共重合体ブロックのいずれであってもよい。
ポリアミド系ブロックは、通常アルキレン鎖を有しており、該アルキレン鎖の炭素数は、例えば、4〜20、好ましくは6〜16、更に好ましくは6〜12程度である。
ポリアミド系ブロックの割合は、全ブロック共重合体中、例えば20〜70重量%、好ましくは25〜50重量%程度である。
帯電防止性樹脂((B)成分)の親水性ブロックとしては、ノニオン性ポリマーのブロック、カチオン性ポリマーのブロック、アニオン性ポリマーのブロックなどが例示できる。この中でも、ノニオン性ポリマーのブロックが好ましく、特にポリエーテル系ポリマーのブロックが好ましい。
このようなポリエーテル系ポリマーのブロックを構成する単量体としては、アルキレンオキシド(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどの炭素数2〜6のアルキレンオキシド)が好ましく、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシドなどの炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましい。
好ましい親水性ブロックとしては、ポリアルキレンオキシド(例えばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドなど)が好ましい。ポリアルキレンオキシドの重合度は2〜300、好ましくは10〜150、更に好ましくは10〜100程度である。
前記ポリオレフィン系ブロック又はポリアミド系ブロックと、親水性ブロックとは、例えばエステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合などを介して結合される。
例えば、ポリオレフィン系ブロックを有する帯電防止性樹脂の場合、ポリオレフィンを変性剤で変性した後、親水性ブロックを導入することにより形成でき、具体的には、ポリオレフィンを変性して活性水素原子を導入した後、アルキレンオキシドなどの親水性単量体を付加重合することにより、帯電防止性樹脂が得られる。このような変性剤としては、例えば、不飽和カルボン酸又は無水物((無水)マレイン酸など)、ラクタム又はアミノカルボン酸(カプロラクタムなど)、酸素又はオゾン、ヒドロキシルアミン(2‐アミノエタノールなど)、ジアミン(エチレンジアミンなど)、あるいはこれらの混合物などが例示できる。
また、ポリアミド系ブロックを有する帯電防止性樹脂の場合、例えば、両末端に官能基を有するポリアミドと親水性ブロックを構成するポリマー(例えばポリエーテル系ポリマー)とをグリシジルエーテル化合物(例えば、ビスフェノールAグリシジルエーテルなど)などを用いて結合させることによって形成できる。
帯電防止性樹脂((B)成分)の数平均分子量は、通常1,000〜100,000、好ましくは2,000〜60,000、さらに好ましくは2,000〜50,000程度である。
このような帯電防止性樹脂((B)成分)は、単独でも高い帯電防止性を有しているが、さらに金属塩類と組み合わせて用いると、金属塩類から解離した金属イオンが、帯電防止性樹脂の親水性ブロックに作用してイオン伝導性を発現することにより、帯電防止性樹脂の帯電防止性能や性能持続性などをさらに向上することができるので好ましい。
[混合樹脂]
上記の混合樹脂は、上記の(A)成分と(B)成分とを溶融混練することにより得られる。この(A)成分と(B)成分との混合比は、所望の帯電防止性能に応じて定めればよいが、例えば、(A)成分100重量部あたり、(B)成分が3重量部以上がよく、5重量部以上が好ましい。3重量部より少ないと、帯電防止性が不十分となりやすい。一方、混合量の上限は、20重量部がよく、15重量部が好ましい。20重量部より多いと、接着強度が低下することがある。
[カチオン性高分子乳化剤(C)]
上記カチオン性高分子乳化剤(以下、「(C)成分」と称する場合がある。)は、カチオン性を示す高分子共重合体の酸中和物であり、上記(A)成分と(B)成分との混合樹脂を乳化・分散するための乳化剤として機能する成分である。
乳化剤として、高分子系の乳化剤を用いることにより、乳化・分散対象である上記混合樹脂に混練した際、この混合樹脂内との親和性が良好なので、得られる樹脂水性分散液が長期間、安定な分散状態を保つことができる。
また、乳化剤として、乳化安定性が高いカチオン性の高分子乳化剤を用いるので、(A)成分として、自己乳化型の樹脂を用いる必要がなくなり、汎用的に用いられる各種の樹脂基材の表面塗布が可能となって、優れた帯電防止性塗膜を形成することができる。
上記カチオン性高分子乳化剤の例としては、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体等のカチオン性(メタ)アクリル系共重合体があげられる。特に(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルのアルキルアミノ基で置換されるアルキル基の炭素数は1〜6の範囲にあることがよい。そして、このような(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルの例としては、(メタ)アクリル酸N,N―ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル等があげられる。
これらの中でも、本発明の帯電防止性樹脂水性分散液から得られる皮膜の耐水性の観点から、皮膜に残存しにくい蒸気圧の高い中和剤、例えば、蟻酸、酢酸を用いて中和した(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体が、カチオン性高分子乳化剤としてより好ましい。中和剤は、カチオン性を示す官能基に対して60モル%〜150モル%使用することが望ましい。この範囲未満であったり、この範囲を超えて多く使用すると、いずれの場合も熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が悪くなる傾向がある。
上記カチオン性高分子乳化剤中のカチオン性単量体由来の構造単位の含有量は、共重合性成分として1モル%以上が必要で、2モル%以上が好ましい。1モル%よりも少ないと分散安定性が低下する傾向がある。一方、含有割合の上限は85モル%がよく、80モル%が好ましい。85モル%より多いと、分散安定化効果が低下することがある。
上記(C)成分の重量平均分子量は2,000〜1,000,000の範囲が好ましい。2,000未満であると、熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が低下して分散が出来なくなる傾向がある。一方、1,000,000より大きくなると高分子乳化剤が水中に溶解しにくくなり、熱可塑性樹脂水性分散液の安定性が悪くなる傾向がある。より好ましい高分子乳化剤の重量平均分子量は8,000〜100,000、さらに好ましい重量平均分子量は10,000〜60,000である。
[帯電防止性樹脂水性分散液]
本発明の帯電防止性樹脂水性分散液は、前記混合樹脂を、上記(C)成分によって分散して得られた分散液である。この(C)成分の含有割合は、混合樹脂100重量部あたり、(C)成分が2重量部以上がよく、5重量部以上が好ましい。2重量部より少ないと、得られる樹脂水性分散液の安定性が低下するおそれがある。一方、含有割合の上限は、20重量部がよく、15重量部が好ましい。20重量部より多いと、得られる塗膜の耐水性が低下したり、接着強度が不足したりすることがある。
なお、上記樹脂水性分散液の乳化剤としては、上記(C)成分を単独で用いてもよく、また、その効果を阻害しない範囲でアニオン性以外の低分子乳化剤を併用してもよい。このような低分子乳化剤としては、ノニオン系乳化剤として、通常、重量平均分子量5000以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸等が挙げられる。さらに、両イオン性乳化剤として、ラウリルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキサイド等が挙げられる。
[帯電防止性樹脂水性分散液の製造]
上記帯電防止性樹脂水性分散液は、カチオン性高分子乳化剤を用いて上記混合樹脂を水中に分散させることにより製造することができる。この分散方法は、特に限定されるものではなく、例えば、有機溶剤を用いた置換法、機械乳化分散法等があげられる。
上記の有機溶剤を用いた置換法としては、例えば次に示す方法があげられる。まず、上記混合樹脂をトルエン等の該樹脂を溶解可能な有機溶剤に溶解し、次いで、これと上記(C)成分及び水等の水系媒体を混合する。そして、ホモミキサー等の高速撹拌機で攪拌して分散対象物質の含有機溶剤分散液を製造する。次いで、有機溶剤を減圧蒸留等の操作によって脱溶剤することにより、帯電防止性樹脂水性分散液が得られる。
上記の水等の水系媒体とは、水や、水とメタノール、エタノール等の水と相溶可能な有機溶媒との混合溶液をいう。この水と相溶可能な有機溶媒としては、上記メタノール、エタノール以外に、例えば、イソプロパノール、tert−ブタノール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、ジアセトングリコール等があげられる。この中でも、特に、環境的な側面から水を用いるのが好ましい。
また、上記機械乳化分散法とは、押出機やニーダー、インクロール等の混練機を用いて、混合樹脂を乳化剤及び水等の水系媒体の存在下で混練して乳化・分散する方法や、混練に代えて、ホモジナイザー、ディスパー等を用いて均質化処理を行ったりする方法をいう。
上記押出機としては、単軸、二軸以上の多軸の押出機があるが、混練の程度や効率等から、二軸の押出機が好ましい。
この押出機により機械乳化する方法としては、上記押出機のホッパーや注入口から、上記混合樹脂を投入し、別の注入口から、上記の(C)成分及び水等の水系媒体を投入して混練・混合し、乳化させることが一般的である。
上記押出機のシリンダー温度は、80〜270℃がよい。また、処理時間は、20秒間〜数分間で十分である。
ところで、上記の混合樹脂及び帯電防止性樹脂水性分散液のいずれをも押出機を用いて製造する場合、1つの押出機を用いて、連続して上記の混合樹脂及び帯電防止性樹脂水性分散液を製造することができる。
すなわち、上記押出機に上記の(A)成分及び(B)成分を投入し、両成分を溶融混練させる。そして、この溶融混練状態のまま、上記(C)成分及び水等の水系媒体を添加して、上記押出機中で混練して分散させる。これにより、本発明の帯電防止性樹脂水性分散液をより効率的に製造することができる。
この発明にかかる帯電防止性樹脂水性分散液を成形品の表面に塗布することにより、例えば、表面固有抵抗値が1010Ω/□以下のような値の帯電防止性表面にすることができるので、電子材料を搬送するキャリア用部材のカバーテープ等に使用することができる。
以下、実施例を用いて、この発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
まず、評価方法及び使用した原材料について説明する。
<評価方法>
<高分子乳化剤の測定方法>
[中和度]
中和に使用した酸性成分(例えば酢酸)のモル数を、重合体中のアルカリ性単量体成分(例えばN,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート等)の合計モル数で除して、百分率(%)で示した。
[固形分]
水性分散液約1gを精秤し熱風循環乾燥機にて105℃にて3時間乾燥させた後、デシケーターの中で放冷しその重量を測定した。そして、下記の式に従い、固形分を算出した。
固形分(重量%)=(乾燥後の試料の重量/乾燥前の試料の重量)×100
[重量平均分子量]
高分子乳化剤の重量平均分子量は、以下の手順に従ってゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法によって測定した。
1)サンプル調整
サンプルを室温で24時間乾燥した後、常温にて5時間減圧乾燥した(真空乾燥機LHV−122(タバイエスペック(株)製)使用)。
得られた重合体サンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解して0.2重量%溶液として、これを測定試料とした。
2)GPC測定
上記のようにして調製した測定試料を、島津製作所(株)製:GPC−6Aを使用し、下記の条件で測定した。
・流速:1ml/min
・展開溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
・カラム:PLゲル10μmミックスB(ポリマー・ラボラトリー社製)
・標準試料:単分散PS(ポリマー・ラボラトリー社製)
・リファレンス:Sumilizer BHT(住友化学(株)製、分子量:220)
・検出器:RI、UV
<樹脂水性分散液の測定・評価方法>
[固形分]
上記の高分子乳化剤の固形分測定方法と同様の方法で測定した。
[乳化状態]
得られたものが乳化されたか否かを目視で観察した。
○…乳化された。
×…乳化できなかった(分離、沈殿等が発生した。)。
[平均粒子径]
レーザー回折型粒度分布測定装置((株)島津製作所製:SALD−2200)を用いて体積平均粒子径を測定した。
[評価サンプル(塗工フィルム)の作成]
各樹脂水性分散液を200メッシュのろ布でろ過し、OPPフィルム(フタムラ化学(株)製:FOS 50μm厚み、コロナ表面処理)のコロナ表面処理面に、4g/m・Dryとなるように塗布し、80℃×1分間の条件下で乾燥して、塗工フィルムを作成した。
[表面固有抵抗値]
上記塗工フィルムの表面抵抗測定を、23℃で50%RHの恒温恒湿室で、アドバンスト社製:R8340Aデジタル 超高抵抗/微少電流計を用いて測定した。
[水浸漬試験]
上記塗工フィルムを23℃の水に3日間浸漬後サンプルを取り出し、付着水を清浄な布で拭き取った後、1晩、23℃×50%RHの恒温恒湿室で放置した後、上記測定機を用いて表面抵抗測定を行った。
[接着強度]
上記塗工フィルムの塗工面と、上記OPPフィルムのコロナ処理面とが重なるように載せた。その後、ヒートシールテスター(120℃×0.1MPa×1秒)を用いてヒートシールした。
ヒートシール後の熱圧着フィルムを室温まで放冷した後、15mm巾に切り出して端部から手で引きはがす際の抵抗感により、以下の基準で接着強度を評価した。
○:剥離時に抵抗感が十分ある。
×:ほとんど抵抗なく剥離する。
<原材料>
・アクリル酸…三菱化学(株)製、以下「AA」と略す。
・メタクリル酸…三菱レイヨン(株)製、以下「MAA」と略す。
・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート…三洋化成工業(株)製、メタクリレートDMA、以下「DMA」と略す。
・メチルメタクリレート…三菱レイヨン(株)製、以下「MMA」と略す。
・ラウリルメタクリレート…三菱レイヨン(株)製、以下「SLMA」と略す。
・ブチルメタクリレート…三菱レイヨン(株)製、以下、「BMA」と略す。
・イソプロパノール…(株)トクヤマ製:トクソーIPA(登録商標)、以下「IPA」と略す。
・2,2’−アゾビスイソブチロニトリル…大塚化学(株)製、以下「AIBN」と略す。
〔高分子乳化剤の製造例〕
(製造例1〜2)
冷却器、窒素導入管、攪拌機及びモノマー滴下ロート及び加熱用のジャケットを装備した150L反応器に攪拌下、表1に記した各成分を所定量仕込み、窒素置換後、内温を80℃まで上昇させた。更に、表1に記載の量の重合開始剤(AIBN)を添加して、重合を開始した。温度を80℃に保って4時間重合を継続させた。次いで、得られた共重合体を表1に記載の量の中和剤で中和した後、イソプロパノール(IPA)を留去しながら水を添加して置換し、粘稠なアクリル系共重合体からなるカチオン性高分子乳化剤(製造例1)の中和物の水溶液(以下、「EM1」と称する。)、又はカチオン性高分子乳化剤(製造例2)の中和物の水溶液(以下、「EM2」と称する。)を得た(収率はそれぞれ97%)。
製造処方及び測定結果をまとめて表1に示す。なお、表中の空欄は「添加量がゼロ(添加なし)」との意味である(表2も同じ)。
Figure 2013216834
〔帯電防止性樹脂水性分散液の製造〕
<原材料>
[(A)成分]
・エチレン−酢酸ビニル共重合体…三井デュポン・ポリケミカル(株)製;商品名 エバフレックス220、酢酸ビニル含有量28重量%、以下、「EVA220」と称する。
・エチレン−メチルメタクリレート共重合体…住友化学工業(株)製;商品名 アクリフトCM5022、MMA含有量:32重量%、以下、「CM5022」と称する。
[(B)成分]
・ペレスタット300(商品名)…三洋化成工業(株)製 帯電防止性樹脂(ポリエーテル/ポリオレフィン系ブロックコポリマー)
・ペレスタット230(商品名)…三洋化成工業(株)製 帯電防止性樹脂(ポリエーテル/ポリオレフィン系ブロックコポリマー)
・コータミン24P(商品名)…花王(株)製 カチオン系帯電防止剤(4級アンモニウム塩)
(実施例1〜6、比較例1〜3、5)
表2に記載のベース樹脂及び帯電防止性樹脂等を表2に記載した量を混合し、二軸押出機(池貝鉄鋼(株)製:型式番号PCM45L/D=30、注入口:2箇所)のホッパーから、100重量部/時間の割合で押出機内に連続的に供給した。
次いで、第1の注入口から、表1に示す高分子乳化剤水溶液を固形分換算で10重量部/時間、第2の注入口から水84重量部/時間を連続的に供給し、100℃の温度で押し出して乳白色の帯電防止性樹脂水性分散液を得た。これを上記の各評価に供した。結果を表2に示す。
(比較例4)
表2に記載のベース樹脂を表2に記載した量を混合し、上記の方法にして乳白色の樹脂水性分散液を得た。
得られた樹脂水性分散液100gを200mlのガラス製ビーカーに投入した。25mmのディスパーサー型撹拌翼(1500rpm)で撹拌しながら、樹脂水性分散液の固形分に対して、10重量%となるように、コータミン24Pを添加し、引き続き5分間撹拌した。これを、上記の各評価に供した。結果を表2に併せて示す。
Figure 2013216834

Claims (4)

  1. ポリオレフィン系樹脂(A)と、帯電防止性樹脂(B)とを含む混合樹脂を、カチオン性高分子乳化剤(C)によって分散してなり、かつ、
    上記(A)成分100重量部あたり、上記(B)成分を3〜20重量部含有することを特徴とする帯電防止性樹脂水性分散液。
  2. 上記(C)成分は、重量平均分子量が2,000〜1,000,000のカチオン性(メタ)アクリル系共重合体である請求項1に記載の帯電防止性樹脂水性分散液。
  3. 上記(A)成分は、エチレン系共重合樹脂である請求項1又は2に記載の帯電防止性樹脂水性分散液。
  4. 請求項1にかかる帯電防止性樹脂水性分散液を製造する方法であって、
    上記の(A)成分と(B)成分とを、上記(A)成分100重量部あたり、上記(B)成分を3〜20重量部の割合となるように、押出機を用いて溶融混練した後、この溶融状態の混合樹脂に上記(C)成分及び水を添加して、さらに上記押出機中で混練して分散することを特徴とする帯電防止性樹脂水性分散液の製造方法。
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