JP2013216822A - ボールペンレフィル - Google Patents

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Abstract

【課題】チップ本体が摩耗し難く、インキ終了時まで、インキ消費量が安定したボールペンレフィルの提供。
【解決手段】チップ本体2にボール抱持室3と、該ボール抱持室の底壁の中央に形成したインキ流通孔7と、該インキ流通孔から放射状に延びる複数本のインキ流通溝6とを有し、チップ先端部2aを内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁2aより突出させて抱持したステンレス鋼材からなるボールペンチップ1をインキ収容筒の先端に装着し、インキ収容筒内に着色剤としてスルホン酸と塩基性染料との造塩染料及びカーボンブラックを含有し、特定のインキ粘度を有する油性ボールペン用インキを収容してなるボールペンレフィルであって、0〜100m時点のインキ消費量Amgとインキ終了前100mのインキ消費量Bmgとしたとき0.8≦A/B≦1.2を満足するボールペンレフィル。
【選択図】図1

Description

本発明はボールペンレフィルに関し、さらに詳細としては、インキ収容筒の先端に、ステンレス鋼材からなるボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着してなるボールペンレフィルに関する。
従来からインキ収容筒の先端に、ステンレス鋼材からなるボールペンチップを直接又はチップホルダーを介して装着してなるボールペンレフィルはよく知られて、特開2001−301378号公報「ボールペンチップ」等に開示されている。尚、ステンレス鋼材は、耐摩耗性が良好であるため、ボールペンチップとして好適に用いられている材料である。
しかし、ステンレス鋼材からなるボールペンチップを用いたボールペンレフィルであっても、筆記によるボールの回転によって、チップ本体が摩耗する問題があった。チップ本体が摩耗すると、チップ内でのボールの軸方向での移動量、いわゆるクリアランスが大きくなる。
前述のように、筆記によるボールの回転によってチップ本体の摩耗が進行して、クリアランスが大きくなると、インキ垂れ下がり、チップ内が乾燥し易くなることにより書き出し性の悪化等の様々な問題が生じる。
こうした摩耗を抑制するには、特開平6−248217号公報「ボールペン用インキ組成物」、特開平9−151354号公報「油性ボールペン用インキ組成物」等に開示されているように、インキ収容筒に充填するボールペン用インキに、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等、様々な界面活性剤を用いることで、潤滑性を高め、ボールとチップ本体との回転抵抗を低減することが考えられる。
また、油性ボールペン用インキ組成物に、様々な着色剤を用いているが、トリアリールメタン系塩基性染料とアゾ系黄色酸性染料の造塩染料を用いたものとしては、特開平9−165542号公報「油性黒色インキ」、特開平9−71745号公報「油性黒色インキ」等に、濃い筆跡にするための試みが考えられている。
「特開2001−301378号公報」 「特開平6−248217号公報」 「特開平9−151354号公報」 「特開平9−165542号公報」 「特開平9−71745号公報」
しかし、特許文献2、3のような各種の界面活性剤を用いた場合、ある程度書き味を向上することが可能であるが、ボール座及びチップの摩耗を抑制する効果としては、十分満足できなかった。さらに、界面活性剤を用いることで、界面活性剤と染料が反応し析出物が発生することもあり、懸念される問題があった。
また、特許文献4、5では、着色剤として、トリアリルメタン系塩基性染料とアゾ系黄色酸性染料の造塩染料を用いた場合、長期間の経時によって造塩染料の一部が崩れ、析出物の発生や、書き味が劣ってしまう問題があった。
また、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が、5000mPa・sのインキを用いた場合には、摩耗によって、前述した垂れ下がりのみならず、インキ消費量も大きく増加してしまう問題がある。インキ消費量が増大すると、筆跡の耐擦過性等が劣化して紙面を汚すなどの、あらたな課題が発生する。
本発明の目的は、インキ経時が安定し、書き味が良好で、かつ、潤滑性を保ち、チップ本体が摩耗し難く、筆記開始からインキ終了時まで、インキ消費量が安定しているボールペンレフィルを提供することである。
本発明は、上記課題を解決するために、
「1.チップ本体に、ボール抱持室と、該ボール抱持室の底壁の中央に形成したインキ流通孔と、該インキ流通孔から放射状に延びる複数本のインキ流通溝とを有し、チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持した、ステンレス鋼材からなるボールペンチップを、インキ収容筒の先端に直接、またはチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に少なくとも着色剤として染料と顔料を併用し、前記染料がアルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料で、前記顔料がカーボンブラックであり、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が、10〜5000mPa・sである油性ボールペン用インキを直接、収容してなるボールペンレフィルであって、0〜100m時点のインキ消費量Amgと、インキ終了前、100mのインキ消費量Bmgとしたとき、0.8≦A/B≦1.2を満足することを特徴とするボールペンレフィル。
2.前記ボールの軸方向の移動量が、3〜15μmであることを特徴とする第1項に記載のボールペンレフィル。
3.前記染料が、アルキルベンゼンスルホン酸とキサンテン系塩基性染料、アルキルベンゼンスルホン酸とトリアリルメタン系塩基性染料、アルキルベンゼンスルホン酸とアゾメチン系塩基性染料との造塩染料の中からいずれか1種以上の造塩染料を選択し、含有することを特徴とする第1項または第2項に記載のボールペンレフィル。
4.前記アルキルベンゼンスルホン酸が、ドデシルジフェニルオキシドスルホン酸であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
5.前記カーボンブラックが、塩基性カーボンブラックであることを特徴とする第1項ないし第4項のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
6.前記油性ボールペン用インキ組成物のpHが7〜10であることを特徴とする第1項ないし第5項のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
7.前記油性ボールペン用インキ組成物に、アルコール系有機溶剤を含有することを特徴とする第1項ないし第6項のいずれか1項に記載のボールペンレフィル
8.前記インキ収容筒内に、第1項ないし第7項のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物を直に収容してなるボールペンレフィルであって、前記ボール抱持室の底壁には、前記ボールの曲率とは異なる曲率の曲面状の当接面が設けられており、前記ボールは当該当接面の一部である当接部に対して当接するようになっており、前記ボールと前記当接面との間に、インキ流通孔側から前記当接部までインキ流通孔側から除々に小さくなる第1の隙間が形成されていると共に、インキ流通溝の先端側から前記当接部までインキ流通溝の先端側から除々に小さくなる第2の隙間が形成してあることを特徴とする油性ボールペンレフィル。
9.前記ボールの表面に、前記当接面の表面に、潤滑被膜層が設けられていることを特徴とする第1項ないし第8項のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
」である。
本発明は、染料、カーボンブラックがインキ中で安定し、書き味が良好で、かつ、チップ本体が摩耗し難く、筆記開始からインキ終了時まで、インキ消費量が安定しているボールペンレフィルを提供することができた。
実施例1のボールペンチップを示す縦断面図である。 実施例1のボールペンチップを示す一部省略した要部拡大縦断面図である。 実施例1のボールペンチップを用いたボールペンレフィルを示す図である。
本発明の第1の特徴は、チップ本体に、ボール抱持室と、該ボール抱持室の底壁の中央に形成したインキ流通孔と、該インキ流通孔から放射状に延びる複数本のインキ流通溝とを有し、チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持した、ステンレス鋼材からなるボールペンチップを、インキ収容筒の先端に直接、またはチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に、少なくとも着色剤として染料と顔料を併用し、前記染料がアルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料と、前記顔料がカーボンブラックである油性インキ組成物とすることで、インキ経時が安定し、書き味が良好で、かつ、チップ本体が摩耗し難くすることが可能となる。
ステンレス鋼材は、真鍮等の銅合金に比べ耐摩耗性が良好であるが、ボールペン用インキの潤滑性を高め、さらにチップ本体の摩耗を低減することが重要となる。そのため、本発明では、油性ボールペン用インキに、着色剤として、アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料と、カーボンブラックと、を併用することが重要である。
本発明で用いるアルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料については、キサンテン系、トリアリルメタン系、アゾメチン系、アゾ系、アントラキノン系、オキサジン系などの塩基性染料をアルキルベンゼンスルホン酸とを中和反応させて、 アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料間のイオン結合力が強い造塩染料とすることで、油性インキ中において、様々な環境下や長期間インキ経時安定性が保つことが可能である。
また、前記造塩染料は、着色剤の効果としてだけではなく、同時に、前記造塩染料が有する、フェニルスルホン基やフェニル基が、 金属に吸着し易い潤滑膜を形成することで、ボールとチップ本体間の金属接触を抑制する効果があり、潤滑性を向上して、書き味が良好で、かつ、ボール座の摩耗を抑制するものと推測する。そのため、前記造塩染料は、従来とは異なり、着色剤と潤滑剤との効果を併せ持つことが可能となる。そのため、前記造塩染料は、従来とは異なり、着色剤と潤滑剤との効果を併せ持つことが可能となる。さらに、前記アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料によって形成された潤滑膜は、ステンレス鋼材の表面の酸化皮膜を覆うことで保護し、酸化皮膜の劣化を抑制することで、ボールペンチップの耐食性等、経時安定性をも向上させる効果が得られると推測する。
しかし、前記造塩染料を単独で用いるだけでは、筆跡の耐光性が弱いため、カーボンブラックを併用することで耐光性を向上することが可能となる。また、カーボンブラックを用いることで、ボールとチップ本体の隙間にカーボンブラック粒子が入り込むことで、金属接触を抑制することで、潤滑性を向上することが可能である。さらに、上述のように、前記造塩染料のフェニルスルホン基やフェニル基によって潤滑層を形成するが、前記造塩染料による潤滑層とカーボンブラック粒子との相互作用で、より金属接触を抑制する潤滑膜を形成することで、潤滑性を向上し、書き味を向上することが可能となる。そのため、従来とは異なり、着色剤と潤滑剤との効果を併せ持つことが可能となり、前記造塩染料とカーボンブラックを併用することが必要である。
本発明の第2の特徴は、0〜100m時点のインキ消費量Amgと、インキ終了前、100mのインキ消費量Bmgとしたとき、0.8≦A/B≦1.2とすることである。
これは、筆記開始からインキ終了時まで安定した筆記性能を得ることも、ボールペンレフィルの重要な課題であるためである。本発明に用いる油性ボールペン用インキのインキ粘度は、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が10〜5000mPa・sと従来の油性ボールペン用インキ、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が約10000〜20000mPa・sよりも低い粘度とし、アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料と、カーボンブラックとを併用することで、さらなる潤滑性を高め、書き味を向上するものである。しかし、低粘度であるが故に、A/B>1.2では、耐擦過性の劣化及び総筆記距離が短縮し、A/B<0.80では、筆跡濃度および書き味などの筆記性能が低下するため、0〜100m時点のインキ消費量Amgと、インキ終了前、100mのインキ消費量Bmgとしたとき、0.8≦A/B≦1.2とし、筆記開始からインキ終了時まで、インキ消費量を前記した範囲に維持することが重要であり、より筆記性能の影響を考慮すれば、0.9≦A/B≦1.15とすることが好ましい。
ところで、0〜100m時点のインキ消費量Amgと、インキ終了前、100mのインキ消費量Bmgとしたとき、0.8≦A/B≦1.2とするには、チップ本体の摩耗を抑制することが最も重要な要因である。但し、単にチップ本体の摩耗を抑制しただけでは、筆記開始からインキ終了時まで安定した筆記性能を得ることはできない。本願発明は、前述のように、着色剤として、前記アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料、カーボンブラックを併用することで、ボールとチップ本体間の潤滑性を向上してチップ本体の摩耗を抑制し、且つ酸化皮膜の劣化を抑制することで、ボールペンチップの耐食性等、チップ本体内の経時安定性を向上するため、筆記開始からインキ終了時まで、インキの流れをスムーズに維持することで、インキ消費量及び筆記性能を安定することができるものである。
尚、本発明の油性ボールペン用インキのインキ粘度は、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が10mPa・s未満の場合には、カーボンブラックの分散性や筆跡に滲みやインキ垂れ下がりの影響が出やすく、また、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が5000mPa・sを超えると、筆記時のボール回転抵抗が大きくなり、潤滑性に影響して、書き味が重くなる傾向がある。そのため、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度を、10〜5000mPa・sが好ましい。より好ましくは、カーボンブラックの分散性や潤滑性を考慮すれば、50〜4000mPa・sであり、最も考慮すれば、100〜3000mPa・sである。
また、本発明に用いるボールペンチップのボールの軸方向の移動量が、3μm〜15μmである方が好ましい。3μm未満であると、インキ消費量が少なくなり易いため、筆跡カスレなど筆跡不良の原因となり、15μmを越えると、インキ消費量が安定して供給しづらくなり、0.8≦A/B≦1.2を満足できにくい傾向となる。
また、前記造塩染料の中でも、インキ中で 長期間インキ経時安定することを考慮すれば、アルキルベンゼンスルホン酸とキサンテン系塩基性染料、アルキルベンゼンスルホン酸とトリアリルメタン系塩基性染料、アルキルベンゼンスルホン酸とアゾメチン系塩基性染料との造塩染料の中からいずれか1種以上の造塩染料を選択することが好ましい。また、これらの前記造塩染料は、2種類以上の造塩染料を併用しても良く、潤滑性を考慮すれば、2種類以上の造塩染料を併用する方が好ましい。さらに、より考慮すれば、3種類の造塩染料を併用する方が最も好ましい。
また、前記アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料の含有量は、インキ組成物全量に対し、0.1質量%より少ないと、所望の潤滑性が得られづらく、40.0質量%を越えると、インキ経時が不安定性になりやすいため、インキ組成物全量に対し、0.1〜40.0質量%が好ましい。より好ましくは、インキ組成物全量に対し、3.0〜30.0質量%であり、最も好ましくは、10.0〜30.0質量%である。
また、アルキルベンゼンスルホン酸としては、ドデシルジフェニルオキシドスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などが挙げられるが、潤滑性を向上することを考慮すれば、スルホ基(-SO H)が多いドデシルジフェニルオキシドジスルホン酸が好ましい。
また、カーボンブラックについては、チップ内部の隙間関係を考慮し、平均粒子径は、300 nm以下が好ましい。より好ましくは、150nm以下である。ここで、平均粒子径とは、粒度分布計による平均粒子径d50のことである。カーボンブラックの含有量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜15.0質量%が好ましい。これは0.5質量%未満だと、潤滑効果が得られにくい傾向があり、15.0質量%を越えると、インキ中で凝集しやすい傾向があるためであり、よりその傾向を考慮すれば、1.0〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは、2.0〜7.0質量%である。
また、顔料分散剤については、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルピロリドン等が例示でき、これらを1種又は2種以上用いることができる。本発明のように、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が5000mPa・s以下である油性インキ組成物の場合、ポリビニルブチラール樹脂が好ましいが、これは、有機溶剤中に速やかに微細に分散しやすく、さらにポリビニルブチラール樹脂が、カーボンブラックに吸着することで、長期間カーボンブラックの分散を維持しやすいためである。特に、ポリビニルブチラール樹脂との分散性を考慮すれば、塩基性カーボンブラックが好ましい。ここで、塩基性カーボンブラックとは、カーボンブラック粒子をpH7のイオン交換水に分散し、pHメーターにて25℃のpHを測定したpH値が7以上を塩基性カーボンブラックと定義する。より顔料分散性を考慮すれば、pH値が7〜10の塩基性カーボンブラックが最も好ましい。
また、ポリブチラール樹脂は、ポリビニルアルコール(PVA) をブチルアルデヒド (BA)と反応させたものであり、ポリビニルブチラール樹脂は、分子中の 水酸基が、20〜40mol%が好ましい。これは、20mol%未満だと、アルコール系の有機溶剤に溶解しづらい傾向があり、40mol%を越えると耐水性が劣りやすい傾向があるためであり、さらに、より好ましくは、30〜40mol%が好ましい。また、有機溶剤に溶解性を考慮すれば、分子量が100000以下である方が好ましく、より考慮すれば、30000以下である方がより好ましい。
前記顔料分散剤の含有量は、0.1質量%より少ないと、顔料分散性が劣りやすく、20.0質量%を越えると、インキ中で溶解性が劣りやすく、インキ粘度も高くなりやすいため、インキ組成物全量に対し、1.0〜20.0質量%が好ましく、より考慮すれば、3.0〜10.0質量%が好ましい。
さらに、本発明のように油性ボールペン用インキ組成物に新たに前記アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料とカーボンブラックを併用する場合に、インキ経時安定性を保つには、製造時や経時による吸湿等によって、油性インキ中に水を含有するため、pH値についても着目する方が好ましい。尚、本発明において、pH値が3.9以下を強酸性領域、pH値が10.1以上を強アルカリ領域、pH4.0〜10.0を強酸性領域と強アルカリ領域の中間領域(弱酸性、中性、弱アルカリ性)とする。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物のpHは、経時安定性を考慮して、pH値が7.0〜10.0が好ましい。特に、カーボンブラックとして、塩基性カーボンブラックを用いる場合、pH値が7.0〜10.0が好ましい。これは、pH値7以上であると、塩基性カーボンブラックの分散性を向上するためで、pH値が10.1以上であると、前記造塩染料のイオン結合が離れやすくなるため、インキ経時安定性や、色調に影響が出やすい傾向があるためである。さらに、よりインキ経時安定性を考慮すれば、pH値が7.0〜9.0が好ましい。
尚、本発明におけるpH値は、油性ボールペン用インキ組成物の測定方法においては、油性インキを容器に採取し、イオン交換水を加えて、攪拌しながら加温し、加温後放冷し、蒸発した水分量を補充後、濾紙を用いて濾過する。その濾過したろ液の上層を用いて、pH測定は東亜ディーケーケー社製IM−40S型pHメーターを用いて、20℃にて測定した値を示すものである。
本発明に用いる有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、3―メトキシブタノール、3―メトキシー3―メチルブタノール等のグリコールエーテル系、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコール等のグリコール系、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、t−ブタノール、プロパギルアルコール、アリルアルコール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタートやその他の高級アルコール等のアルコール系など、油性ボールペン用インキとして一般的に用いられる溶剤が例示できる。これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料との溶解安定性や、カーボンブラックとのインキ経時安定性を考慮すれば、少なくともアルコール系溶剤を用いる方が好ましい。さらに、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコ−ルは、潤滑性を向上する効果もあるため、少なくとも用いる方が最も好ましい。これらの有機溶剤は、を1種又は2種以上用いることができる。溶剤の含有量は、着色剤の溶解性、筆跡乾燥性、にじみ等を考慮すると、インキ組成物全量に対し、10.0〜70.0質量%が好ましく、よりその傾向を考慮すれば、30.0〜65.0質量%が好ましく、最も好ましくは、45.0〜65.0質量%である。
さらに、本発明の油性ボールペン用インキに、エチレンオキサイド (CH2CH2O)を有する有機アミンをさらに併用すると、より潤滑効果が得られ易い。そのため、エチレンオキサイド (CH2CH2O)を有するオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンを用いる方が好ましい。これ等は、単独又は2種以上混合して使用してもよい。
オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンとしては、具体的には、ナイミーンL−201、ナイミーンL−202、同L−207、同S−202、同S−204、同S−210、同T2 -206、同S−210、同DT−203、同DT−208、ナイミーンL−207、同T2 -206、同DT−208(日本油脂(株)社製)等が挙げられる。前記オキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミンの含有量は、潤滑性や経時安定性を考慮すると、インキ組成物全量に対し、0.1〜10.0質量%が好ましく、より好ましくは、1.0〜5.0質量%である。
また、その他の着色剤としては、前述したアルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料や、カーボンブラック以外に、油溶性染料、酸性染料、塩基性染料、含金染料などや、それらの各種造塩タイプの染料等や、アニリンブラック、群青、黄鉛、酸化チタン、酸化鉄、フタロシアニン系、キナクリドン系、 DPP系、ペリノン系、ペリレン系、ギオキサジン系、メタリック顔料、パール顔料、蛍光顔料、蓄光顔料等の顔料を採用しても良い。これらの着色剤は、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
また、その他として、潤滑性やインキ経時安定性を向上させるために、界面活性剤として、リン酸エステル系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、脂肪酸アルカノールアミド、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤や、陰イオン性界面活性剤および/または陽イオン性界面活性剤の造塩体を、粘度調整剤として、ケトン樹脂、テルペン樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリ酢酸ビニル等の樹脂や脂肪酸アマイド、水添ヒマシ油などの擬塑性付与剤を、また、着色剤安定剤、可塑剤、キレート剤、水などを適宜用いても良い。これらは、単独又は2種以上組み合わせて使用してもかまわない。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物をボールペンレフィルで用いる場合、その構造は、特に限定されないが、チップ本体に、ボール抱持室と、該ボール抱持室の底壁の中央に形成したインキ流通孔と、該インキ流通孔から放射状に延びる複数本のインキ流通溝とを有し、チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持してなるボールペンチップを、インキ収容筒の先端に直接、またはチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒内に、前記アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料顔料を併用する油性ボールペン用インキ組成物を直に収容してなる油性ボールペンレフィルとして用いることができる。前記ボールペンチップの構造も特に限定されるものではないが、より書き味やチップ本体の摩耗を抑制することを考慮すれば、前記ボール抱持室の底壁に、前記ボールと異なる曲率の略円弧面状の当接面を設け、前記ボールが当接面に当接するとともに、前記ボールと当接面間に、インキ流通孔側から前記ボールと当接面との当接部まで、インキ流通孔側から除々に小さくなる第1の隙間及びボール抱持室側から前記ボールと当接面との当接部まで、インキ流通孔側から除々に小さくなる第2の隙間を形成することが好ましい。
これは、前記ボールと当接面間に、インキ流通孔側から前記ボールと当接面との当接部まで、インキ流通孔側から除々に小さくなる第1の隙間及びボール抱持室側から前記ボールと当接面との当接部まで、インキ流通孔側から除々に小さくなる第2の隙間を形成することで、ボールと当接面間を流体潤滑又は混合潤滑にしやすく、当接面の摩耗を抑制し、書き味を向上しやすいためである。
さらに、ボールと当接面の関係について詳述すると、ボールの回転による本発明の油性ボールペン用インキ組成物の潤滑状態は、ボールが回転すると、それにつられて油性ボールペン用インキ組成物が、インキ流通孔から前記ボールと当接面との狭い隙間へと引きずり込まれ、ボールと当接面間にボールペン用インキの層を形成し、このインキの層によって、圧力が発生しボールを浮かせる力が発生するくさび効果が得られるため底壁の摩耗を抑制しやすいと推測する。特に、本発明のように前記アルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料とカーボンブラックを併用する油性インキ組成物では、前記造塩染料のフェニルスルホン基やフェニル基とカーボンブラック粒子との相互作用で形成する弾力性のある潤滑膜層によって、よりくさび効果が得られやすいため底壁の摩耗を抑制には、効果的であると推測する。
また、ボールの回転による、インキ流通孔からの油性ボールペン用インキ組成物の潤滑状態は前述の通りであり、ボールが回転すると、それにつられて油性ボールペン用インキ組成物がボールと当接面との狭い隙間へと引きずり込まれるが、筆記時には、インキ流通孔側からの当接面に供給される油性ボールペン用インキ組成物と、紙面に突出できなかった油性ボールペン用インキ組成物が、ボール抱持室から当接面に戻される傾向がある。そのため、前記第1の隙間及び前記第2の隙間を形成することで、相乗効果的に、書き味や及び耐摩耗性が向上しやすくすることができる。
前記当接面の形状は、前記ボールと当接面間に、前記第1の隙間及び第2の隙間を形成するために、ボールの曲率と異なる曲率とすることが好ましい。また、第1の隙間は、インキ流通孔側の距離が小さい程、前述したくさび効果が高まる傾向があるので、インキ流通孔側の隙間を小さくすることが好ましい。具体的には、軸心方向の長さで、インキ流通孔側の距離が5μmを超えると、くさび効果が得られ難いため、5μm以下が好ましく、さらに好ましくは、0.001μm〜3μm、0.001μm〜1μmとすることが最も好ましい。また、当接面を予め略円弧面状とし、前記第1の隙間が、インキ流通孔側から前記当接部まで、除々に小さくすることで、前記したボールの当接部近傍で、高いくさび効果、ボールを浮かせる力が大きくなり、当接面の摩耗を効果的に抑制することができ、当接面が摩耗しても急激な摩耗を抑制し、隙間関係を維持し易くすることができる。
次にアルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料の作成方法を説明する。
配合例1
まず、ビーカーに水を1000g、塩基性染料(Basic Red1)を30g秤量し、加温した後、ディスパー攪拌機を用いて溶解させた後、アルキルベンゼンスルホン酸60gを秤量し、攪拌後、濾紙を用い濾過を行って、濾紙上の残渣を乾燥させ造塩染料を得た。
次に、実施例を示して本発明を説明する。
実施例1の油性ボールペン用インキ組成物は、有機溶剤、顔料分散剤を50℃にて混合攪拌機を用い顔料分散樹脂を溶解させて溶液Aを製造した。得られた溶液Aにカーボンブラックを添加し、三本ロールを用いて分散ベースを作成する。この分散ベースに残りの成分を、50℃にて混合攪拌機を用いて攪拌して油性ボールペン用インキ組成物を得た。具体的な配合量は下記の通りである。尚、ティー・エイ・インスツルメント株式会社製AR-G2(ステンレス製 40mm 2°ローター)を用いて20℃の環境下で、剪断速度500sec−1にてインキ粘度を測定したところ、790mPa・sであった。また、pH値を測定したところ、pH=7.5であった。
実施例1
配合例 1の造塩染料 7.0質量%
配合例 2の造塩染料 10.0質量%
配合例 3の造塩染料 13.0質量%
顔料(塩基性カーボンブラック) 5.0質量%
顔料分散剤(ポリビニルブチラール) 2.5質量%
有機溶剤(ベンジルアルコール) 54.1質量%
安定剤(ポリオキシエチレンアルキルアミン) 1.0質量%
安定剤(オレイン酸) 1.0質量%
曳糸性付与材(ポリビニルピロリドン) 0.4質量%
樹脂(ケトン樹脂) 6.0質量%
配合例2〜7
表1に示すように、各成分を変更した以外は、配合例1、配合例2と同様な方法で配合例2〜7の造塩染料を作成し、実施例と比較例に用いた。
Figure 2013216822
実施例2〜5
表2に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様な手順で実施例2〜5の油性ボールペン用インキ組成物を得た。
実施例6
表2に示すように、各成分を変更した以外は、水以外の各成分を実施例1と同様な手順で行い、室温冷却後水を添加しディスパー攪拌にて油性ボールペン用インキ組成物を得た。
Figure 2013216822
比較例1〜4
表3に示すように、各成分を変更した以外は、実施例1と同様の手順で、配合し、比較例1〜4の油性ボールペン用インキ組成物を得た。表3に測定、評価結果を示す。
Figure 2013216822
試験及び評価
実施例1〜6及び比較例1〜4で作製した油性ボールペン用インキ組成物24(0.4g)及びグリース状のインキ追従体25を、インキ収容筒22(ポリプロピレン)に、ボール径がφ0.7mmのボール9を回転自在に抱持したボールペン用チップ1(ステンレス綱線)を装着したボールペン用レフィル21に充填し、油性ボールペンを作製した。筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験及び評価を行った。
本発明においてボールペンチップ1は図1、2に示したような構成のものを用いることができる。図1、2のボールペンチップは、ステンレス鋼線材からなるチップ本体2のボール抱持室3の中央にインキ流通孔7と、このインキ流通孔7から放射状に延び、チップ後部孔8に達しないインキ流通溝6を形成した底壁4に、ボール9と異なる曲率の略円弧面状の当接面5を設け、この当接面5にφ0.5mmのタングステンカーバイド製のボール9を載置し、チップ先端部2aを内側にかしめることにより、ボール9の一部がチップ先端縁より突出するように回転自在に抱持したものである。
このようなボールペンチップ1は、以下のように製造される。すなわち、例えばφ2.3mmで硬度が230Hv〜280Hvのステンレス鋼線材が所望の長さに切断され、ボール抱持室3、インキ流通孔7、及び、当該インキ流通孔7から放射状に伸びるインキ流通溝6、が作製される。その後、ボール抱持室3の底壁4にボール9を載置した状態でチップ先端部2a側からハンマーリングが行われ、スプリングバック性によってボール9より曲率半径の大きい曲面が形成された後、チップ先端部2aが内側へかしめられる。これにより、ボール9と異なる曲率の曲面状の当接面5が形成され、ボール9は当接面5の軸心方向の中央位置よりもチップ先端部2a側で軸心回りの周回線上の当接部5aにおいて当接する。これにより、ボール9と当接面5との間に、第1の隙間S1及び第2の隙間S2が形成される。
この第1の隙間S1と第2の隙間S2とが形成されていることにより、ボール9と当接面5(当接部5a)との間を流体潤滑又は混合潤滑の状態に維持しやすい。このため、当接面(当接部)の摩耗が抑制される。なお、本実施例においては、第1の隙間S1のインキ流通孔7側の軸心方向における開口の長さHは、0.9μmである(図2参照)。
試験及び評価
実施例1〜6及び比較例1〜4で作製した油性ボールペン用インキを、実施例1のボールペンレフィルに充填し、筆記試験用紙として筆記用紙JIS P3201を用いて以下の試験及び評価を行った。
書き味:手書きによる官能試験を行い評価した。
非常に滑らかなもの ・・・◎
滑らかなもの ・・・○
やや重いもの ・・・△
重いもの ・・・×
耐摩耗試験:荷重200gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて筆記試験後のボール座の摩耗を測定した。
ボール座の摩耗が2μm未満であり、筆記可能なもの ・・・◎
ボール座の摩耗が2μm以上、5μm未満であり、筆記可能なもの ・・・○
ボール座の摩耗が5μm以上、10μm未満であり、筆記不良になってしまうもの・・・△
ボール座の摩耗が10μm以上であり、筆記不能になってしまうもの ・・・×
インキ消費量試験:温度20℃、湿度65%RTの環境下、荷重200gf、筆記角度70°、4m/minの走行試験機にて筆記試験を行い、0〜100m(A)及び筆記終了前100mのインキ消費量(B)を測定した。
0.9≦A/B≦1.15のもの ・・・◎
0.8≦A/B<0.9、または、1.15≦A/B<1.2のもの ・・・○
A/B<0.80、または、A/B>1.20のもの ・・・×
顔料分散性試験:50℃、湿度80%、2ヶ月経過後に光学顕微鏡(オリンパス社製)倍率100倍にてインキ組成物の顔料分散性を観察した。
均一に顔料分散していたもの ・・・◎
ほぼ均一に顔料分散していたもの ・・・○
顔料凝集が、みられたが実用上問題のないもの ・・・△
顔料凝集していたもの ・・・×
インキ経時試験:チップ本体内のインキを顕微鏡観察した。
析出物がなく、良好のもの ・・・◎
析出物が微少に発生したもの ・・・○
析出物が発生したが、実用上問題のないもの ・・・△
析出物が発生し、カスレや筆記不良などの原因になるもの ・・・×
実施例1〜6では、インキ経時試験、書き味、耐摩耗試験、インキ消費量試験、顔料分散性試験ともに良好であり、筆記性能が良好であった。
比較例1では、染料同士の造塩染料を用いているため、顔料安定性が得られず、書き味が重く、耐摩耗試験において、すべてボール座の摩耗がひどかった。また、インキ消費量試験において、インキ消費量の減少が見られ、筆跡が薄くなりカスレが発生した。
比較例2では、造塩していない酸性染料を単独で用いているため、顔料分散安定性が得られず、書き味が劣り、耐摩耗試験において、すべてボール座の摩耗がひどかった。また、インキ消費量試験において、インキ消費量の減少が見られ、筆跡が薄くなりカスレが発生した。
比較例3では、顔料を用いていないため、耐摩耗試験において、ボール座摩耗がひどく、インキ消費量試験において、インキ消費量の増加が見られ、擦過性などの筆記性能が劣った。
比較例4では、インキ粘度が高く書き味が劣った。
本発明では 、ボールの表面及び/又は当接面の表面に潤滑被膜層を設けることで、潤滑被膜層と前記したインキ層による流体潤滑又は混合潤滑との相乗効果によって、ボールとチップ内壁との接触抵抗を著しく軽減しやすく、当接面の耐摩耗性及び筆感を著しく向上しやすくなるため、好ましい。
尚、本発明に用いる潤滑被膜層としては、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、二硫化タングステン(WS2)、二硫化モリブデン(MoS2)やグラファイト、四フッ化エチレン(PTFE)等の含フッ素高分子、シリコーン樹脂等、従来から知られている固体潤滑剤などを適宜用いることができる。また、潤滑被膜層を被覆する方法は、特に制限されず、真空蒸着、イオン蒸着、物理的蒸着、化学的蒸着、真空アーク蒸着などが挙げられ、直接又は前記した潤滑剤を含有した被膜層であってもよい。特に前記した潤滑剤の中でも、耐摩耗性及び潤滑性を考慮してダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いることが最も好ましい。
本発明のように、書き味を向上するために、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度を、5000mPa・s以下の範囲に設定する場合には、インキの垂れ下がりを防止するため、ボールペンチップ先端に回転自在に抱持したボールを、コイルスプリングにより直接又は押圧体を介してチップ先端縁の内壁に押圧して、筆記時の押圧力によりチップ先端縁の内壁とボールに間隙を与えインキを流出させる弁機構を具備し、チップ先端の微少な間隙も非使用時に閉鎖することが好ましい。
本発明は油性ボールペンとして利用でき、さらに詳細としては、該油性ボールペン用インキ組成物を充填した、キャップ式、ノック式等の水性ボールペンとして広く利用することができる。
1 ボールペンチップ
2 チップ本体
2a 先端部
2b シール面
3 ボール抱持室
4 底壁
5 当接面
5a 当接部
6 インキ流通溝
7 インキ流通孔
8 後部孔
9 ボール
21 ボールペンレフィル
22 インキ収容筒
23 コイルスプリング
24 ボールペン用インキ
25 インキ追従体
S1、S2 隙間

Claims (9)

  1. チップ本体に、ボール抱持室と、該ボール抱持室の底壁の中央に形成したインキ流通孔と、該インキ流通孔から放射状に延びる複数本のインキ流通溝とを有し、チップ先端部を内側にかしめることにより、ボールの一部をチップ先端縁より突出させて回転自在に抱持した、ステンレス鋼材からなるボールペンチップを、インキ収容筒の先端に直接、またはチップホルダーを介して装着し、前記インキ収容筒の内部に少なくとも着色剤として染料と顔料を併用し、前記染料がアルキルベンゼンスルホン酸と塩基性染料との造塩染料で、前記顔料がカーボンブラックであり、20℃、剪断速度500sec−1におけるインキ粘度が、10〜5000mPa・sである油性ボールペン用インキを直接、収容してなるボールペンレフィルであって、0〜100m時点のインキ消費量Amgと、インキ終了前、100mのインキ消費量Bmgとしたとき、0.8≦A/B≦1.2を満足することを特徴とするボールペンレフィル。
  2. 前記ボールの軸方向の移動量が、3〜15μmであることを特徴とする請求項1に記載のボールペンレフィル。
  3. 前記染料が、アルキルベンゼンスルホン酸とキサンテン系塩基性染料、アルキルベンゼンスルホン酸とトリアリルメタン系塩基性染料、アルキルベンゼンスルホン酸とアゾメチン系塩基性染料との造塩染料の中からいずれか1種以上の造塩染料を選択し、含有することを特徴とする請求項1または2に記載のボールペンレフィル。
  4. 前記アルキルベンゼンスルホン酸が、ドデシルジフェニルオキシドスルホン酸であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
  5. 前記カーボンブラックが、塩基性カーボンブラックであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
  6. 前記油性ボールペン用インキ組成物のpHが7〜10であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
  7. 前記油性ボールペン用インキ組成物に、アルコール系有機溶剤を含有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
  8. 前記インキ収容筒内に、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の油性ボールペン用インキ組成物を直に収容してなるボールペンレフィルであって、前記ボール抱持室の底壁には、前記ボールの曲率とは異なる曲率の曲面状の当接面が設けられており、前記ボールは当該当接面の一部である当接部に対して当接するようになっており、前記ボールと前記当接面との間に、インキ流通孔側から前記当接部までインキ流通孔側から除々に小さくなる第1の隙間が形成されていると共に、インキ流通溝の先端側から前記当接部までインキ流通溝の先端側から除々に小さくなる第2の隙間が形成してあることを特徴とする油性ボールペンレフィル。
  9. 前記ボールの表面に、前記当接面の表面に、潤滑被膜層が設けられていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のボールペンレフィル。
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