JP2013213446A - 内燃機関とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃焼室に臨む壁面に遮熱膜を具備する内燃機関とその製造方法に関し、耐熱性と断熱性に優れ、低熱伝導率と低熱容量を有する内燃機関と、この遮熱膜を効率的に形成することのできる内燃機関の製造方法を提供する。
【解決手段】燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に遮熱膜10が形成されてなる内燃機関であって、この遮熱膜10は、金属と該金属の酸化物である金属酸化物から形成された層1,2,3が複数積層して構成されており、各層1,2,3における金属酸化物の含有割合は壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっている。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関とその製造方法に係り、特に、内燃機関を構成する燃焼室に臨む壁面に形成された遮熱膜に特徴がある内燃機関と、この遮熱膜の形成方法に特徴がある内燃機関の製造方法に関するものである。
ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関は、主にエンジンブロックとシリンダヘッド、およびピストンから構成されており、その燃焼室は、シリンダブロックのボア面と、このボアに組み込まれたピストンの頂面と、シリンダヘッドの底面と、シリンダヘッドに開設された吸気ポートと排気ポートに配設された吸気バルブおよび排気バルブの底面から画成されている。昨今の内燃機関に要求される高出力化にともなってその冷却損失を低減することが重要になってくるが、この冷却損失を低減する方策の一つとして、燃焼室の内壁にセラミックスからなる遮熱膜を形成する方法を挙げることができる。
しかし、上記するセラミックスは一般に低い熱伝導率を有し、かつ高い熱容量を有することから、定常的な表面温度上昇による吸気効率の低下やノッキング(燃焼室内に熱が篭ることに起因する異常燃焼)が発生するために燃焼室の内壁への被膜素材として普及していないのが現状である。
このことから、燃焼室の壁面に形成される遮熱膜は、耐熱性と断熱性は勿論のこと、低熱伝導率と低熱容量の素材から形成されるのが望ましい。
このように低熱伝導率かつ低熱容量の遮熱膜を備えたエンジン燃焼室構造が特許文献1に開示されている。ここで開示される遮熱膜は、低熱伝導率かつ低熱容量に加えて、壁面からの剥離や脱落がなく、耐久性や信頼性に優れたものとするべく、膜厚が20μmより大きくて500μm以下であり、かつ気孔率が20%以上の陽極酸化被膜となっている。
しかしながら、陽極酸化被膜はその製造方法も含めて一般に高価であることから、より安価に、しかも耐熱性と断熱性を有し、さらには低熱伝導率と低熱容量の遮熱膜の開発が望まれている。
ここで、特許文献2には、金属とセラミックスとの間の熱応力を緩和するとともに、金属層の酸化及び腐食を抑制し、遮熱層の剥離を防止して皮膜の長寿命化を図ることを目的とした遮熱コーティング多層膜に関する技術が開示されている。
より具体的には、金属母材を被覆する第1層が内側金属層であり、この第1層を被覆する第2層が内側金属層と接する面に向かって金属の混合比が多くなるように金属とセラミックスとの混合比を連続的に変化させた金属・セラミックス混合傾斜遮熱層であり、この第2層を被覆する第3層が外側金属層である構成を有する遮熱コーティング多層膜である。
この遮熱コーティング多層膜は、内側金属層と接する面に向かって金属の混合比が多くなるように金属とセラミックスとの混合比を連続的に変化させた金属・セラミックス混合傾斜遮熱層を有することがその大きな特徴であるが、このような傾斜遮熱層を形成するに当たり、融点の異なる溶射材料粉の配合組成を変化させるとしており、したがって、このような配合組成の調整に手間がかかることに加えて、温度等の溶射条件も適宜変化させるなどの制御上の困難性もあり、製造困難性とこのことに起因する歩留まりの低下、製造コストの高騰が問題となることは理解に易い。
本発明者等は、内燃機関の燃焼室の壁面に遮熱膜を形成する技術に関し、その製造効率に優れた製造方法と、この製造方法によって製造された、耐熱性と断熱性に優れ、低熱伝導率と低熱容量を有する内燃機関の発案に至っている。
特開2010−249008号公報 特開2001−279419号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、燃焼室に臨む壁面に遮熱膜を具備する内燃機関とその製造方法に関し、耐熱性と断熱性に優れ、低熱伝導率と低熱容量を有する内燃機関と、この遮熱膜を効率的に形成することのできる内燃機関の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による内燃機関は、燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に遮熱膜が形成されてなる内燃機関であって、前記遮熱膜は、金属と該金属の酸化物である金属酸化物から形成された層が複数積層して構成されており、各層における金属酸化物の含有割合は前記壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっているものである。
本発明の内燃機関はガソリンエンジンやディーゼルエンジンのいずれを対象としたものであってもよく、その構成は既述するように、エンジンブロックとシリンダヘッドとピストンから主として構成され、その燃焼室は、シリンダブロックのボア面と、このボアに組み込まれた本発明にかかるピストンの頂面と、シリンダヘッドの底面と、シリンダヘッド内に配設された吸気バルブおよび排気バルブの底面から画成されている。
また、内燃機関の燃焼室を構成する母材は、アルミニウムや、鋼、チタン、ニッケル、銅やそれらの合金を挙げることができ、遮熱膜が燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に形成されている。
この遮熱膜は、車両の定常走行時において高燃費かつ高効率なエンジン性能に寄与するべく、低熱伝導率でかつ低熱容量の遮熱膜となっている。
このような性能を保証するべく、上記する遮熱膜は、金属と該金属の酸化物である金属酸化物から形成された層が複数積層して構成されており、各層における金属酸化物の含有割合は前記壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっている。ここで、遮熱膜を構成する各「層」は、層中の金属酸化物の含有割合の設定範囲に応じて同じ遮熱膜であっても2層構造のもの、3層構造のものなど、層構成は変化する。いずれにしても、この遮熱膜は、壁面から遠ざかるにつれてその内部にある金属酸化物の含有割合がいわゆるグラデーション状に多くなっている。
ここで、金属材料も、母材金属と同様にアルミニウムや、鋼、チタン、ニッケル、銅やそれらの合金を挙げることができ、たとえば、遮熱膜の材料にアルミニウムが適用された場合には、その酸化物であるアルミナの含有割合に応じた複数の層から遮熱膜が構成されることになる。このアルミニウム素材の金属材料を適用してなる本発明の遮熱膜を例にさらにその効果に言及するに、アルミニウムよりもアルミナの方が熱伝導性が悪いものの線膨張係数はアルミニウムよりも小さいため、アルミニウム母材の壁面にアルミナ素材の遮熱膜を直接形成すると線膨張差に起因する熱応力で遮熱膜が剥離し易くなる。これに対し、本発明の遮熱膜は、たとえばアルミニウム素材の燃焼室の壁面にはアルミニウムの含有割合の多い層を形成し、壁面から遠ざかるにつれて徐々にアルミナの含有割合が高くなるようにして遮熱膜が構成されていることから、高い遮熱性能を保証しながら、母材金属と遮熱膜形成素材の間の線膨張係数差に起因する熱応力が極力小さくされ、もって燃焼室壁面からの耐剥離性に優れた遮熱膜を備えた内燃機関となる。
このように壁面から遠ざかるにつれてその内部にある金属酸化物の含有割合が変化するようにして遮熱膜を形成する方法は本発明の内燃機関の製造方法の説明に譲るが、この形成方法は金属材料を溶射して遮熱膜を形成する際に不活性ガス濃度をリッチからリーンに変化させるだけの簡易な調整によって容易に形成できるものであり、この点において既述する特許文献2で開示の遮熱膜を形成する方法に比してその効果は顕著である。
ここで、遮熱膜には幾つかの実施の形態があり、その一つの形態は、燃焼室の壁面の全面、すなわち、シリンダブロックのボア面、ピストンの頂面、シリンダヘッドの底面などの全ての壁面に形成されている形態である。また、遮熱膜の他の形態は、燃焼室の一部、たとえばシリンダヘッドの底面にのみ形成されている形態である。
また、前記遮熱膜を構成する複数の層の少なくとも1つの層が気孔を具備したポーラス層であってもよい。
ここで、「複数の層の少なくとも1つの層が気孔を具備したポーラス層」とは、たとえば遮熱膜が金属酸化物の含有割合の異なる3つの層から構成されている場合に、壁面から最も離れた最表面の層のみがポーラス層である形態、それ以外の2つの層のいずれかがポーラス層である形態、3つの層のいずれか2つの層がポーラス層である形態、3つの層のすべてがポーラス層である形態を包含する意味である。
ポーラス層を構成する層中の気孔は、溶射の際に金属材料中に樹脂粒を含ませておき、溶射後にこの樹脂粒が焼成して消失することで樹脂粒の形状をした気孔を容易に形成することができる。また、この際に樹脂粒の含有割合を所望に調整することで層中の気孔率も所望に調整することができる。そして、このように遮熱膜を構成する少なくとも1つの層がポーラス層であることにより、遮熱膜の耐熱性能や断熱性能は一層向上し、低熱伝導率と低熱容量も一層促進される。
なお、本明細書において「低熱伝導率」とは、λ=0.4(W/mK)程度以下の熱伝導率のことを意味している。また、同様に本明細書において「低熱容量」とは、これを体積比熱容量で表した際に、1200(kJ/m3K)程度以下の体積比熱容量のことを意味している。
また、本発明は内燃機関の製造方法にも及ぶものであり、この製造方法は、燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に遮熱膜が形成されてなる内燃機関の製造方法であって、前記遮熱膜の材料となる金属材料を前記壁面に溶射して遮熱膜を形成するに当たり、溶射の際の不活性ガス濃度を段階的に変化させることにより、金属と該金属の酸化物である金属酸化物から形成された層が複数積層してなる遮熱膜であって、各層における金属酸化物の含有割合が前記壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっている遮熱膜を形成するものである。
溶射材料である金属材料を燃焼室壁面に溶射するに当たり、その当初はアルゴンガスやヘリウムガス等の不活性ガスの(雰囲気)濃度をリッチにして溶射を開始し、不活性ガス濃度を徐々にリーン側に徐変して大気雰囲気に近づけながら溶射をおこなうことにより、溶射してできる層中の酸素濃度に応じて金属酸化物の含有割合も所望に変化させることができる。すなわち、この製造方法では、不活性ガスの濃度を所望に徐変させるだけで金属酸化物の含有割合が異なる層からなる遮熱膜を効率的かつ精緻に形成することができる。
また、金属材料に樹脂粒を含有させた材料を溶射することにより、形成された遮熱膜を構成する少なくとも1つの層が前記樹脂粒が焼成されて気孔となったポーラス層となる遮熱膜を形成することもできる。
この形態の遮熱膜を形成する際においても、金属材料中に所望の気孔率となるように所望量の樹脂粒を含ませるだけで(そのような樹脂粒を含んだ金属材料を溶射するタイミングを調整することで遮熱膜の全層をポーラス層としたり、最表層のみをポーラス層とするなどの調整)、容易に所望のポーラス層を所望部位に備えた遮熱膜を有する内燃機関を製造することができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の内燃機関とその製造方法によれば、金属と該金属の酸化物である金属酸化物から形成された層が複数積層して構成され、各層における金属酸化物の含有割合は壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっている遮熱膜を内燃機関の燃焼室の壁面の一部もしくは全部が有していることで、耐熱性と断熱性に優れ、低熱伝導率と低熱容量を有する内燃機関を提供することができる。さらに、遮熱膜の材料となる金属材料を壁面に溶射して遮熱膜を形成するに当たり、溶射の際の不活性ガス濃度を段階的に変化させることにより、前記遮熱膜を燃焼室の壁面に精緻かつ効率的に形成することができる。
本発明の内燃機関の実施の形態1を説明した図である。 本発明の内燃機関の製造方法の実施の形態1を説明した図である。 本発明の内燃機関の実施の形態2を説明した図である。
以下、図面を参照して本発明の内燃機関とその製造方法の実施の形態を説明する。なお、図示例は燃焼室を構成するシリンダヘッドの底面に遮熱膜が形成された内燃機関とその製造方法を示したものであるが、この形態以外にも、シリンダブロックのボア面や、ピストンの頂面などに遮熱膜が形成されたものやその製造方法、あるいは燃焼室を構成する壁面の全てに遮熱膜が形成されたものやその製造方法であってもよいことは勿論のことである。
(内燃機関とその製造方法の実施の形態1)
図1は本発明の内燃機関の実施の形態1を説明した図であり、図2は内燃機関の製造方法の実施の形態1を説明した図である。
図示する内燃機関は筒内直接噴射式ガソリンエンジンをその対象としたものであり、その内部に冷却水ジャケットが形成された不図示のシリンダブロックと、シリンダブロック上に配設されたシリンダヘッドCHと、シリンダヘッドCH内に画成された吸気ポートおよび排気ポートとそれらが燃焼室に臨む開口に昇降自在に装着された吸気バルブおよび排気バルブと、シリンダヘッドCHの底面の中央位置もしくは略中央位置で燃焼室に臨む不図示の点火プラグと、シリンダヘッドCHの底面の側方位置で燃焼室に臨む不図示のインジェクターと、シリンダブロックの下方開口から昇降自在に形成された不図示のピストンから大略構成されている。なお、本発明の内燃機関がディーゼルエンジンを対象としたものであってもよいことは勿論のことである。
この内燃機関を構成する各構成部材はともにアルミニウムもしくはその合金から形成されている。なお、構成部材がアルミニウムもしくはその合金以外の素材で形成され、かつ、構成部材の表面がアルミニウムもしくはその合金にてアルミ化されている形態であってもよい。
そして、図示例は、内燃機関を構成する、シリンダブロックのボア面と、シリンダヘッドCHの底面と、ピストンの頂面から画成される燃焼室の壁面のうち、シリンダヘッドCHの底面に遮熱膜を形成する方法と、この遮熱膜が形成された内燃機関を示すものである。
まず、図1で示すように、シリンダヘッドCHの底面には、シリンダヘッドCHの母材金属と同じアルミニウムとその酸化物であるアルミナから形成された層であって、層中のアルミナの含有割合が異なる3つの層1,2,3から構成される遮熱膜10が形成されており、このような遮熱膜10をシリンダヘッドCHの底面に備えた内燃機関となっている。
ここで、遮熱膜10を構成する各層1,2,3において、シリンダヘッドCHに直接接する層1中のアルミナの含有割合は3つの層の中で最も少なく、層1,2,3の順に層中におけるアルミナの含有割合が多くなっている。より具体的には、層1におけるアルミナの含有割合はたとえば10体積%程度かそれ以下、層2でその割合がたとえば50体積%程度、層3でその割合が80体積%程度となっている。
アルミニウムよりもアルミナの方が熱伝導性が悪いものの線膨張係数はアルミニウムよりも小さいため、仮にアルミニウム母材の壁面にアルミナ素材(もしくはアルミナの含有率が高い)の遮熱膜を直接形成すると、双方の線膨張差に起因する熱応力で遮熱膜がシリンダヘッドから剥離し易くなる。そこで、図示する遮熱膜10においては、このように層中のアルミナの含有割合がシリンダヘッドCH側から順にグラデーション状に多くなる層が積層した構成となっており、特にアルミニウム母材のシリンダヘッドCHと、遮熱膜10を構成してシリンダヘッドCHと直接接する層1と、の間の線膨張差が極力少なくなっていることにより、シリンダヘッドCHに対する遮熱膜10の耐剥離性は大きく向上する。また、シリンダヘッドCHから遠ざかるにつれて徐々にアルミナの含有割合が高くなっていることで高い遮熱性能が保証され、かつ低熱伝導率かつ低熱容量の遮熱膜となっている。
次に、図1で示す遮熱膜10の形成方法を図2を参照して概説する。
遮熱膜10は溶射によって形成される。同図で示すように、溶射装置5には冷却水や作動ガスである不活性ガス(アルゴンガス、ヘリウムガスなど)、アルミニウム粉末がそれぞれ充填され、その内部にある不図示の電極間に電圧を印加することで、アルミニウム粉末が不活性ガスによってプラズマジェットとなって溶射装置5の先端のシールド筒から放出される。
この際、不活性ガスの充填量を適宜調整することによってプラズマジェット中の酸素量を所望に調整することができる。
すなわち、シリンダヘッドCHに直接接する層1を形成する際には、不活性ガスの充填量を多くする(リッチにする)ことで、プラズマジェット中の酸素量を少なくでき、このことによって層1中のアルミナの含有割合を所望に少なくすることができる。
次いで層2を形成する際には、不活性ガスの充填量を徐変して少なくすることでプラズマジェット中の酸素量を多くすることができ、このことによって層2中のアルミナの含有割合を層1に比して相対的に多くすることができる。
さらに層3を形成する際には、不活性ガスの充填量を徐変してさらに少なくすることでプラズマジェット中の酸素量をさらに多くすることができ、このことによって層3中のアルミナの含有割合を層1,2に比して相対的に多くすることができる。
このように、溶射の際の不活性ガスの充填量を所望に変化させるだけで、アルミナ含有割合が所望割合に精緻に調整された各層1,2,3を連続的かつ容易に形成することができる。
[実施例1]
遮熱膜とその製造方法の具体的な実施例としては、金属素材として粒径が10〜50μmで純度99%のアルミニウムを使用し、溶射条件として、1次アルゴンガス流量が60リットル/分、2次水素ガス流量が4リットル/分、電流500A、溶射距離が150mm、投入粉末量が30g/分で、全体膜厚100μmの遮熱膜が形成できる。
(内燃機関とその製造方法の実施の形態2)
図3は本発明の内燃機関の実施の形態2を説明した図である。
同図で示す遮熱膜10Aは、最表層が多数の気孔4を含有するポーラス層3Aをなすものであり、層1,2,3Aの順で層中のアルミナの含有割合が多くなっているのは遮熱膜10と同様である。このように、層内に多数の気孔が含有されたポーラス層3Aを遮熱膜10Aが有することで、その耐熱性と断熱性が一層向上し、低熱伝導率と低熱容量が一層促進された内燃機関となる。
なお、図示例は層3Aのみが気孔4を有する遮熱膜10Aであるが、これ以外にも、層1,2のいずれかが気孔を有する形態、3つの層のうちのいずれか2つが気孔を有する形態、3つの層すべてが気孔を有する形態であってもよい。
次に、この遮熱膜10Aの形成方法を概説する。遮熱膜10Aの形成方法は、基本的には遮熱膜10の形成方法と同じであり、層3Aを形成する際に、溶射装置内に充填される材料として、予めアルミニウム粉末とポリエチレン等の樹脂粒が混合された材料が適用される。
溶射によってポーラス層3Aが形成される際に、樹脂粒が焼成されて消失し、樹脂粒の形状を有する気孔4が形成されることになる。
ポーラス層3A中の気孔率の調整も、樹脂粒の混合量を調整するだけの簡易な方法でおこなうことができ、したがって、ポーラス層3Aを具備する遮熱膜10Aの形成も極めて容易におこなうことができる。
[実施例2]
ポーラス層を具備する遮熱膜とその製造方法の具体的な実施例としては、実施例1と同様に、金属素材として粒径が10〜50μmで純度99%のアルミニウムを使用し、アルミニウムとポリエチレンの含有比:アルミニウム/ポリエチレンを30vol%〜70vo%とし、溶射条件として、1次アルゴンガス流量が60リットル/分、2次水素ガス流量が4リットル/分、電流500A、溶射距離が150mm、投入粉末量が30g/分で、全体膜厚100μmで気孔率40〜50%の遮熱膜が形成できる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1,2,3…層、3A…ポーラス層、4…気孔、5…溶射装置、10,10A…遮熱膜、CH…シリンダヘッド

Claims (4)

  1. 燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に遮熱膜が形成されてなる内燃機関であって、
    前記遮熱膜は、金属と該金属の酸化物である金属酸化物から形成された層が複数積層して構成されており、各層における金属酸化物の含有割合は前記壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっている内燃機関。
  2. 前記遮熱膜を構成する複数の層の少なくとも1つの層が気孔を具備したポーラス層である請求項1に記載の内燃機関。
  3. 燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に遮熱膜が形成されてなる内燃機関の製造方法であって、
    前記遮熱膜の材料となる金属材料を前記壁面に溶射して遮熱膜を形成するに当たり、溶射の際の不活性ガス濃度を段階的に変化させることにより、金属と該金属の酸化物である金属酸化物から形成された層が複数積層してなる遮熱膜であって、各層における金属酸化物の含有割合が前記壁面に接する層が最も少なく、該壁面から離れるにつれて層中の金属酸化物の含有割合が多くなっている遮熱膜を形成する内燃機関の製造方法。
  4. 金属材料に樹脂粒を含有させた材料を溶射し、形成された遮熱膜を構成する少なくとも1つの層は、前記樹脂粒が焼成されて気孔となったポーラス層である請求項3に記載の内燃機関の製造方法。
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