JP2013212941A - 周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法および当該製造方法によって得られた周期表第13族金属窒化物半導体結晶 - Google Patents
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Abstract
【課題】主面の結晶面の反り量が抑制され、転位密度が低減され、かつ、ラインファセットを綺麗に維持した窒化物半導体結晶を製造することができる窒化物半導体結晶の製造方法および当該製造方法によって得られた窒化物半導体結晶を提供する。
【解決手段】成長面において45〜90度の角度で交差する第1ファセット面α及び第2ファセット面βを有するように、下地基板1の主面上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶2を成長させる第1成長工程と、成長面において第1ファセット面α’の面方位を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板1の主面と平行な面γに移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶5を成長させる第2成長工程を行う。
【選択図】図5
【解決手段】成長面において45〜90度の角度で交差する第1ファセット面α及び第2ファセット面βを有するように、下地基板1の主面上に周期表第13族金属窒化物半導体結晶2を成長させる第1成長工程と、成長面において第1ファセット面α’の面方位を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板1の主面と平行な面γに移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶5を成長させる第2成長工程を行う。
【選択図】図5
Description
本発明は、周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法および当該製造方法によって得られた周期表第13族金属窒化物半導体結晶に関し、特にファセット成長を利用した周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法および当該製造方法によって得られた周期表第13族金属窒化物半導体結晶に関する。以下の説明では、周期表第13族金属窒化物を単に窒化物と略し、例えば周期表第13族金属窒化物半導体結晶は単に窒化物半導体結晶と称する。
LEDなどの発光デバイスは、一般にサファイアに代表される異種基板上に窒化物半導体結晶を成長させることにより製造されている。これら窒化物半導体結晶の製造方法においては、その特性やデバイスの信頼性を向上させるために、結晶欠陥密度(転位密度)を低減させることが必要となる。このような結晶欠陥密度の低減方法としては、結晶成長用の下地層としてGaN層を用い、この上に素子部を構成する半導体多層膜を形成する技術が知られている。当該技術は、結晶中の転位の少ないGaN下地層を形成するELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)技術を利用するものであり、マスクにより下地の一部を覆い、下地から垂直に伸びる貫通転位の伝播を妨げる結晶成長方法である。当該結晶成長方法においては、結晶はマスク開口部から横方向に結晶成長していき、最終的にマスク全体を覆う連続膜が形成される。
一方で、LEDなどの発光デバイス形成用の基板として、GaN単結晶基板を利用する試みもなされており、当該GaN単結晶基板を取り出す目的で、厚膜のGaNバルク単結晶を製造する方法が種々検討されている。その中でも、低転位の厚膜GaN単結晶を製造する方法として、ファセット面からなる凹凸を維持しながら200μm以上の厚膜のGaN単結晶を製造する方法が提案されている(下記特許文献1参照)。
また、結晶欠陥密度の低減方法の一つとしてマスクのパターン形状を設計するという技術が提案されており、これに関する技術が複数提案されている(下記特許文献2〜4参照)。
一方で、LEDなどの発光デバイス形成用の基板として、GaN単結晶基板を利用する試みもなされており、当該GaN単結晶基板を取り出す目的で、厚膜のGaNバルク単結晶を製造する方法が種々検討されている。その中でも、低転位の厚膜GaN単結晶を製造する方法として、ファセット面からなる凹凸を維持しながら200μm以上の厚膜のGaN単結晶を製造する方法が提案されている(下記特許文献1参照)。
また、結晶欠陥密度の低減方法の一つとしてマスクのパターン形状を設計するという技術が提案されており、これに関する技術が複数提案されている(下記特許文献2〜4参照)。
しかし、本願発明者等が特許文献1の製造方法を検討したところ、ファセット成長した厚膜の単結晶は、マスク上の高転位領域部で大きな引張り応力が発生し、マスクの長手方向に結晶が大きく反ってしまうという問題があることが見出された。特に、テンプレート基板を用いた場合は反り量が大きくなってしまうという問題があることが見出された。同様に、特許文献2及び3の製造方法も、マスクの長手方向に結晶が大きく反ってしまうという問題があった。更に、窒化物結晶の厚膜成長をした場合、ラインファセットが乱れてきて、低転位密度領域(下地基板表面が露出している部位の上)へも転位が入り込んでしまうという問題があった。デバイスを作製するときに、下地基板の主面の結晶面の反り量はデバイス特性に大きく影響を与えるため、下地基板の主面の結晶面の反り量は小さく、フラットが望ましく、かつ、転位は極力少ないほうが望ましい。また、特許文献4の製造方法では、格子状にファセット面を有する結晶しか得られることができず、デバイス形成に使用可能なエリアが小さくかつ点在することになるため、製造効率が悪く、取り扱い性が悪いという問題があった。
本発明は、面内の主面の結晶面の反り量が抑制され、転位密度が低減され、かつ、ラインファセットを綺麗に維持した窒化物半導体結晶を製造することができる窒化物半導体結晶の製造方法および当該製造方法によって得られた窒化物半導体結晶を提供することを目的とする。
本発明は、面内の主面の結晶面の反り量が抑制され、転位密度が低減され、かつ、ラインファセットを綺麗に維持した窒化物半導体結晶を製造することができる窒化物半導体結晶の製造方法および当該製造方法によって得られた窒化物半導体結晶を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を有する本発明によって、上記課題を解決できることを見出した。
[1] 下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有するように周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる第1成長工程(ここで前記第1ファセット面と前記下地基板の主面との交線と、前記第2ファセット面と前記下地基板の主面との交線とがなす角度が、45〜90度の範囲内にある)と、
成長面において第1ファセット面を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる第2成長工程と
を含むことを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
成長面において第1ファセット面を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる第2成長工程と
を含むことを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[2] 前記下地基板の主面上に、非極性面または半極性面と平行な方向に伸長する複数のストライプ状の主ラインと、前記主ラインと30〜90度の角度で交差する複数のストライプ状の補助ラインを含む成長阻害層が形成されていることを特徴とする[1]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[3] 前記複数のストライプ状の主ラインが200μm以上のピッチ幅にて形成されていることを特徴とする[2]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[4] 前記複数のストライプ状の補助ラインが100μm以下のピッチ幅にて形成されていることを特徴とする[2]又は[3]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[4] 前記複数のストライプ状の補助ラインが100μm以下のピッチ幅にて形成されていることを特徴とする[2]又は[3]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[5] 前記複数のストライプ状の主ライン同士の間に、主ラインと交わらないように伸長する複数のストライプ状の補助ラインがさらに形成されていることを特徴とする[2]〜[4]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[6] 前記主ラインの伸長方向と前記主ラインと交わらないように伸長する補助ラインの伸長方向がなす角度が0〜45°であることを特徴とする[5]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[7] 前記主ラインの伸長方向と前記と交わらないように伸長する補助ラインの伸長方向が同じであることを特徴とする[5]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[7] 前記主ラインの伸長方向と前記と交わらないように伸長する補助ラインの伸長方向が同じであることを特徴とする[5]に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[8] 前記主ラインと交わらないように伸長する複数のストライプ状の補助ラインが100μm以下のピッチ幅にて形成されていることを特徴とする[5]〜[7]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[9] 前記下地基板の主面において、成長阻害層にて覆われていない露出部の面積が、主面の面積の90%以下であることを特徴とする[2]〜[8]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[9] 前記下地基板の主面において、成長阻害層にて覆われていない露出部の面積が、主面の面積の90%以下であることを特徴とする[2]〜[8]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[10] 前記第1成長工程及び/又は第2成長工程における成長温度が1030℃以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[11] さらに前記下地基板を除去する工程を有することを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
[12] [11]に記載の製造方法により製造される周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
本発明によれば、主面の結晶面の反り量が抑制され、転位密度が低減され、かつ、ラインファセットを綺麗に維持した窒化物半導体結晶を製造することができる窒化物半導体結晶の製造方法および当該製造方法によって得られた窒化物半導体結晶を提供することができる。
以下において、本発明の窒化物半導体結晶の製造方法および窒化物半導体結晶について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[窒化物半導体結晶の製造方法]
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法は、下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有するように周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる第1成長工程(ここで前記第1ファセット面と前記下地基板の主面との交線と、前記第2ファセット面と前記下地基板の主面との交線とがなす角度が、45〜90度の範囲内にある)と、成長面において第1ファセット面を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して窒化物半導体結晶を成長させる第2成長工程とを含むことを特徴とするものである。
図4および図5を用いて本発明の製造方法を説明する。ここでは、下地基板1の主面5上に成長阻害層の主ライン3と補助ライン4が図示するように90度の角度で交差するように形成されている下地基板上に窒化物半導体結晶を成長させる場合を例として説明している。本発明の製造方法では、第1成長工程において、下地基板1の主面5上にまず窒化物半導体結晶2を成長させる(図4)。ここで、窒化物半導体結晶2は成長面において第1ファセット面αと第2ファセット面βを有するように成長する。このとき、第1ファセット面αと下地基板の主面5との交線と、第2ファセット面βと下地基板の主面5との交線とがなす角度は、45〜90度の範囲内にある。第1ファセット面αと下地基板の主面5との交線は、通常は後述する成長阻害層の主ライン3と同じ方向に伸長しており、また、第2ファセット面βと下地基板の主面5との交線は、通常は後述する成長阻害層の補助ライン4と同じ方向に伸長している。このため、上記の角度は、成長阻害層の主ライン3と補助ライン4の交差角度に通常は等しくなる。本発明における第1ファセット面と下地基板の主面との交線と、第2ファセット面と下地基板の主面との交線とがなす角度は、45〜90度の範囲内の特定の角度(例えば60度)で交差している。交差角度は例えば50度以上、さらには55度以上にすることができ、また、85度以下、さらには80度以下にすることも可能である。なお、図4では下地基板1の主面5上に、第1ファセット面と第2ファセット面を有するa軸方向に伸長する窒化物半導体結晶2が4本だけ示されているが、図示される2本の主ライン間にはa軸に伸長する同様の窒化物半導体結晶が並列的に成長している。次いで、本発明の製造方法の第2成長工程において、さらに窒化物半導体結晶を成長させる(図5)。第2成長工程では、成長する窒化物結晶5の成長面において前記第1ファセット面αと同じ面方位を有するファセット面が維持され(ファセット面α’)、その一方において、前記第1ファセット面βは下地基板1の主面と平行な面γに移行する。さらに窒化物半導体結晶の成長を続けると、下地基板1の主面と平行な面γは徐々に小さくなり、やがて図6に示すように下地基板1の主面と平行な面γは消滅する。
本発明の窒化物半導体結晶の製造方法は、下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有するように周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる第1成長工程(ここで前記第1ファセット面と前記下地基板の主面との交線と、前記第2ファセット面と前記下地基板の主面との交線とがなす角度が、45〜90度の範囲内にある)と、成長面において第1ファセット面を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して窒化物半導体結晶を成長させる第2成長工程とを含むことを特徴とするものである。
図4および図5を用いて本発明の製造方法を説明する。ここでは、下地基板1の主面5上に成長阻害層の主ライン3と補助ライン4が図示するように90度の角度で交差するように形成されている下地基板上に窒化物半導体結晶を成長させる場合を例として説明している。本発明の製造方法では、第1成長工程において、下地基板1の主面5上にまず窒化物半導体結晶2を成長させる(図4)。ここで、窒化物半導体結晶2は成長面において第1ファセット面αと第2ファセット面βを有するように成長する。このとき、第1ファセット面αと下地基板の主面5との交線と、第2ファセット面βと下地基板の主面5との交線とがなす角度は、45〜90度の範囲内にある。第1ファセット面αと下地基板の主面5との交線は、通常は後述する成長阻害層の主ライン3と同じ方向に伸長しており、また、第2ファセット面βと下地基板の主面5との交線は、通常は後述する成長阻害層の補助ライン4と同じ方向に伸長している。このため、上記の角度は、成長阻害層の主ライン3と補助ライン4の交差角度に通常は等しくなる。本発明における第1ファセット面と下地基板の主面との交線と、第2ファセット面と下地基板の主面との交線とがなす角度は、45〜90度の範囲内の特定の角度(例えば60度)で交差している。交差角度は例えば50度以上、さらには55度以上にすることができ、また、85度以下、さらには80度以下にすることも可能である。なお、図4では下地基板1の主面5上に、第1ファセット面と第2ファセット面を有するa軸方向に伸長する窒化物半導体結晶2が4本だけ示されているが、図示される2本の主ライン間にはa軸に伸長する同様の窒化物半導体結晶が並列的に成長している。次いで、本発明の製造方法の第2成長工程において、さらに窒化物半導体結晶を成長させる(図5)。第2成長工程では、成長する窒化物結晶5の成長面において前記第1ファセット面αと同じ面方位を有するファセット面が維持され(ファセット面α’)、その一方において、前記第1ファセット面βは下地基板1の主面と平行な面γに移行する。さらに窒化物半導体結晶の成長を続けると、下地基板1の主面と平行な面γは徐々に小さくなり、やがて図6に示すように下地基板1の主面と平行な面γは消滅する。
このような第1成長工程と第2成長工程を実施するためには、特定の条件を満たす成長阻害層を表面に形成した下地基板を用いて、窒化物結晶を成長させるのが好ましい。例えば、下地基板の主面上に、非極性面または半極性面と平行な方向に伸長する複数のストライプ状の主ラインと、前記主ラインと30〜90度の角度で交差する複数のストライプ状の補助ラインを含む成長阻害層が形成されているものを用いて、窒化物結晶を成長させることにより、本発明の製造方法を実施することが可能である。ここで主ラインは幅が広くてその上が容易には結晶で覆わないラインであり、補助ラインは幅が狭いラインで主ラインよりは容易に結晶で覆われるラインである。
通常、露出エリア(成長阻害層が形成されていないため下地基板が露出している部位)と成長阻害層が存在する状態で窒化物結晶を成長させる場合、前記成長阻害層がマスクとして機能し、成長阻害層が設けられた部位の上に成長した窒化物結晶が高転位領域部となる。しかし、この高転位領域部では大きな引張応力が発生し、マスクの長手方向に結晶が大きく反ってしまう。特に、異種基板やテンプレート基板を用いた場合、反り量が大きくなってしまう。更に、窒化物結晶を厚膜成長させた場合、ラインファセットが乱れ、低転位密度領域部(前記露出エリア上)へも転位が入り込んでしまうことがある。
これに対し、本発明の製造方法を実施するために、主ラインとその主ラインと交差する補助ラインを含む成長阻害層を形成した下地基板を用いて窒化物結晶の成長を行うと、成長初期の第1成長工程では、成長面において下地基板の主面との交線が45〜90度で交差する2つのファセット面を有する成長がなされ、次いで第2成長工程では、主ライン上のファセット面を維持しつつ、補助ライン上のファセット面は下地基板の主面に平行な面に移行しながら窒化物結晶が成長する。このとき、主ライン上ではファセット面を維持した成長がなされ、補助ライン上のファセットは下地基板の主面に平行な面に移行する。これによって、結晶の主面の結晶面の曲率を低減させることができると共に、結晶の転位密度を更に低減することができる。更にラインファセットを成長終了時まで綺麗に維持した結晶を作製することができ、その結晶から得られた自立基板も同様の特性を有する。
以下において、本発明を具体的に説明するために、主ラインとその主ラインと交差する補助ラインを含む成長阻害層を形成した下地基板を用いた好ましい製造方法について詳しく説明する。
以下において、本発明を具体的に説明するために、主ラインとその主ラインと交差する補助ラインを含む成長阻害層を形成した下地基板を用いた好ましい製造方法について詳しく説明する。
(成長阻害層の形成)
まず、下地基板上に主ラインと前記主ライン中に形成された補助ラインとを含んで構成される成長阻害層を形成することについて説明する。前記下地基板上に成長阻害層を設けると、前記成長阻害層上の結晶の縦方向(例えば、c軸方向)の成長を抑制することで低欠陥で且つクラックの少ない窒化物結晶を成長させることができる。
まず、下地基板上に主ラインと前記主ライン中に形成された補助ラインとを含んで構成される成長阻害層を形成することについて説明する。前記下地基板上に成長阻害層を設けると、前記成長阻害層上の結晶の縦方向(例えば、c軸方向)の成長を抑制することで低欠陥で且つクラックの少ない窒化物結晶を成長させることができる。
−下地基板−
前記下地基板としては、例えば、GaN、または、サファイア、SiC、Si、Ga2O3、ZnOなどの基板等を用いることができ、GaNまたはサファイアであることが好ましく、サファイアであることがより好ましい。サファイアなどの、窒化物結晶とは種類が異なる異種基板を用いて成長させた場合には、マスクの長手方向の反りがより顕著に現れることから、本願発明をより好適に適用することができる。また下地基板上にGaN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなどの窒化物結晶を成長させた結晶層を有するものを用いることもできる。例えば、GaN基板を取り出すためのGaNの結晶層としては、サファイア等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶、金属GaからNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、液相エピタキシ法(LPE法)を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、溶液成長法に基づき作製された単結晶およびそれらを切断した結晶などを用いることができる。前記エピタキシャル成長の具体的な方法については特に制限されず、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE)法、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)、液相法、アモノサーマル法などを採用することができる。
前記下地基板としては、例えば、GaN、または、サファイア、SiC、Si、Ga2O3、ZnOなどの基板等を用いることができ、GaNまたはサファイアであることが好ましく、サファイアであることがより好ましい。サファイアなどの、窒化物結晶とは種類が異なる異種基板を用いて成長させた場合には、マスクの長手方向の反りがより顕著に現れることから、本願発明をより好適に適用することができる。また下地基板上にGaN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなどの窒化物結晶を成長させた結晶層を有するものを用いることもできる。例えば、GaN基板を取り出すためのGaNの結晶層としては、サファイア等の異種基板上にエピタキシャル成長させた後に剥離させて得た単結晶、金属GaからNaやLi、Biをフラックスとして結晶成長させて得た単結晶、液相エピタキシ法(LPE法)を用いて得たホモ/ヘテロエピタキシャル成長させた単結晶、溶液成長法に基づき作製された単結晶およびそれらを切断した結晶などを用いることができる。前記エピタキシャル成長の具体的な方法については特に制限されず、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE)法、有機金属化学気相堆積法(MOCVD法)、液相法、アモノサーマル法などを採用することができる。
本明細書において窒化物結晶の「主面」とは、当該窒化物結晶における最も広い面であって、通常は結晶成長を行うべき面を指す。本明細書において「C面」とは、六方晶構造(ウルツ鋼型結晶構造)における(0001)面と等価な面であり、極性面である。III族窒化物結晶では、C面はIII族面またはV族面であり、窒化ガリウムではそれぞれGa面またはN面に相当する。また、本明細書において「M面」とは、{1−100}面として包括的に表される非極性面であり、具体的には(1−100)面、(01−10)面、(−1010)面、(−1100)面、(0−110)面、(10−10)面を意味する。さらに、本明細書において「A面」とは、{2−1−10}面として包括的に表される非極性面である。具体的には(11−20)面、(2−1−10)面、(−12−10)面、(−1−120)面、(−2110)面、(1−210)面、を意味する。本明細書において「c軸」「m軸」「a軸」とは、それぞれC面、M面、A面に垂直な軸を意味する。
前記下地基板の厚みは、基板の取り扱いおよび加工容易性の観点から、100μm以上であることが好ましく、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが特に好ましく、また、1.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることがさらに好ましく、0.7mm以下であることがより好ましい。
前記結晶層の主面の面積は、デバイスを作製するときの生産性向上の観点から、100mm2以上であることが好ましく、500mm2以上が更に好ましく、2000mm2以上が特に好ましい。
前記結晶層は、大面積の基板の確保の観点から、内在するクラック数が2本以下であることが好ましく、1本以下が更に好ましく、0本が特に好ましい。
前記結晶層は、大面積の基板の確保の観点から、内在する内在するピット数が2本以下であることが好ましく、1本以下が更に好ましく、0本が特に好ましい。
前記結晶層における不純物原子の濃度としては、デバイス作製に適した導電性の確保の観点から、酸素原子濃度は、1×1017〜1×1019cm-3が好ましく、2×1017〜8×1018cm-3が更に好ましく、5×1017〜5×1018cm-3が特に好ましい。水素原子濃度は、キャリアとして寄与しない原子は極力少ないほうがよいという観点から、1×1016〜1×1019cm-3が好ましく、5×1016〜5×1018cm-3が更に好ましく、1×1017〜1×1018cm-3が特に好ましい。珪素原子濃度は、デバイス作製に適した導電性の確保の観点から、1×1017〜1×1019cm-3が好ましく、2×1017〜8×1018cm-3が更に好ましく、5×1017〜5×1018cm-3が特に好ましい。炭素原子濃度は、キャリアとして寄与しない原子は極力少ないほうがよいという観点から、1×1016〜1×1019cm-3が好ましく、2×1016〜5×1018cm-3が更に好ましく、3×1016〜1×1018cm-3が特に好ましい。
また、前記結晶層における不純物原子の濃度として、アルカリ金属の含有量は、不明の観点から、不明ppm未満が好ましく、不明ppm未満が更に好ましく、不明ppm未満が特に好ましい。
前記結晶層の主面の結晶格子面の曲率半径は、求められる均一性の観点から、1m以上であることが好ましく、2m以上が更に好ましく、3m以上が特に好ましい。
前記結晶層の主面の面積は、デバイスを作製するときの生産性向上の観点から、100mm2以上であることが好ましく、500mm2以上が更に好ましく、2000mm2以上が特に好ましい。
前記結晶層は、大面積の基板の確保の観点から、内在するクラック数が2本以下であることが好ましく、1本以下が更に好ましく、0本が特に好ましい。
前記結晶層は、大面積の基板の確保の観点から、内在する内在するピット数が2本以下であることが好ましく、1本以下が更に好ましく、0本が特に好ましい。
前記結晶層における不純物原子の濃度としては、デバイス作製に適した導電性の確保の観点から、酸素原子濃度は、1×1017〜1×1019cm-3が好ましく、2×1017〜8×1018cm-3が更に好ましく、5×1017〜5×1018cm-3が特に好ましい。水素原子濃度は、キャリアとして寄与しない原子は極力少ないほうがよいという観点から、1×1016〜1×1019cm-3が好ましく、5×1016〜5×1018cm-3が更に好ましく、1×1017〜1×1018cm-3が特に好ましい。珪素原子濃度は、デバイス作製に適した導電性の確保の観点から、1×1017〜1×1019cm-3が好ましく、2×1017〜8×1018cm-3が更に好ましく、5×1017〜5×1018cm-3が特に好ましい。炭素原子濃度は、キャリアとして寄与しない原子は極力少ないほうがよいという観点から、1×1016〜1×1019cm-3が好ましく、2×1016〜5×1018cm-3が更に好ましく、3×1016〜1×1018cm-3が特に好ましい。
また、前記結晶層における不純物原子の濃度として、アルカリ金属の含有量は、不明の観点から、不明ppm未満が好ましく、不明ppm未満が更に好ましく、不明ppm未満が特に好ましい。
前記結晶層の主面の結晶格子面の曲率半径は、求められる均一性の観点から、1m以上であることが好ましく、2m以上が更に好ましく、3m以上が特に好ましい。
−成長阻害層−
前記成長阻害層はマスクとして機能する層であり、その層上の窒化物結晶の縦方向の成長を抑制するために設けられる。これにより、前記成長阻害層上には、例えば、多結晶、極性反転結晶または結晶軸がc軸から傾いた結晶を成長させることができる。ここで、窒化物の縦方向の成長とは、例えば、C面上の結晶を成長させる場合におけるc軸方向を意味する。前記成長阻害層は、絶縁体からなるマスクによって構成されていることが好ましい。絶縁体のマスクを用いた場合、前記窒化物結晶の縦方向の結晶成長の抑制効果が高い。前記成長阻害層は、下地基板表面が露出している露出エリアが残るように下地基板表面に部分的に形成される。前記成長阻害層の材料としては、例えば、SiO2やSiNを用いることができる。前記成長阻害層は、前記下地基板のC面上に形成されることが好ましい。
前記成長阻害層はマスクとして機能する層であり、その層上の窒化物結晶の縦方向の成長を抑制するために設けられる。これにより、前記成長阻害層上には、例えば、多結晶、極性反転結晶または結晶軸がc軸から傾いた結晶を成長させることができる。ここで、窒化物の縦方向の成長とは、例えば、C面上の結晶を成長させる場合におけるc軸方向を意味する。前記成長阻害層は、絶縁体からなるマスクによって構成されていることが好ましい。絶縁体のマスクを用いた場合、前記窒化物結晶の縦方向の結晶成長の抑制効果が高い。前記成長阻害層は、下地基板表面が露出している露出エリアが残るように下地基板表面に部分的に形成される。前記成長阻害層の材料としては、例えば、SiO2やSiNを用いることができる。前記成長阻害層は、前記下地基板のC面上に形成されることが好ましい。
前記成長阻害層は、主ラインと、前記主ライン中に形成された補助ラインとを有するものであることが好ましい。前記主ラインと前記補助ラインとは、直交する方向の格子状となっていることが好ましい。ここで「主ライン」とは、成長阻害層として機能するパターンであり、そのライン上の窒化物結晶の縦方向の成長を阻害するために形成される。前記主ラインは、成長阻害層と露出エリアとが特定のピッチで配列したラインパターンであることが好ましい。前記ラインパターンは、例えば、C面上の結晶を成長させる場合には、成長面にm軸またはa軸に平行になるようにラインを配置することができる。
前記主ラインの幅の下限としては、例えば、安定してファセット成長を維持させる必要性の観点から、10μm以上が好ましく、20μm以上が更に好ましく、30μm以上が特に好ましい。同様に前記主ラインの幅の上限は、ライン維持および有効エリアの拡大の観点から、200μm以下が好ましく、150μm以下が更に好ましく、100μm以下が特に好ましい。
また、前記主ライン間の幅(前記主ラインに挟まれる露出エリアの幅)の下限としては、例えば、基板の有効エリア拡大の観点から、200μm以上が好ましく、300μm以上が更に好ましく、400μm以上が特に好ましい。同様に前記主ライン間の幅の上限は、基板の有効エリア拡大、かつ、安定したファセット成長の観点から、3000μm以下が好ましく、2000μm以下が更に好ましく、1500μm以下が特に好ましい。
前記主ラインと露出エリアとのピッチ幅(主ラインの幅と露出エリアの幅の合計)の下限としては、例えば、デバイス作製に適した設計の観点から、200μm以上が好ましく、300μm以上が更に好ましく、400μm以上が特に好ましい。同様に前記ピッチ幅の上限は、デバイス作製に適した設計の観点から、3000μm以下が好ましく、2000μm以下が更に好ましく、1500μm以下が特に好ましい。
また、前記主ライン間の幅(前記主ラインに挟まれる露出エリアの幅)の下限としては、例えば、基板の有効エリア拡大の観点から、200μm以上が好ましく、300μm以上が更に好ましく、400μm以上が特に好ましい。同様に前記主ライン間の幅の上限は、基板の有効エリア拡大、かつ、安定したファセット成長の観点から、3000μm以下が好ましく、2000μm以下が更に好ましく、1500μm以下が特に好ましい。
前記主ラインと露出エリアとのピッチ幅(主ラインの幅と露出エリアの幅の合計)の下限としては、例えば、デバイス作製に適した設計の観点から、200μm以上が好ましく、300μm以上が更に好ましく、400μm以上が特に好ましい。同様に前記ピッチ幅の上限は、デバイス作製に適した設計の観点から、3000μm以下が好ましく、2000μm以下が更に好ましく、1500μm以下が特に好ましい。
前記補助ラインは、前記主ラインの中に形成されるパターンである。前記補助ラインを設けると、更なる転位密度の低減を図ることができることに加えて、ラインファセットを成長終了まで維持することができる。前記補助ラインは主ラインの中に形成される。このため、主ラインで形成される下地基板の露出エリアの中に補助ラインが配置されることとなる。前記補助ラインは、例えば、前記下地基板の表面上で主ラインと交わるものが含まれていることが好ましく、それよって前記主ラインと前記補助ラインとで格子状を形成していることが好ましい。前記主ラインと補助ラインとの交差角度は、30度以上であることが好ましく、45度以上であることがより好ましく、60度以上であることが更に好ましい。また、90度以下であることが好ましい。交差角度を上記範囲にすることで、主ラインの長手方向の主面の結晶面の反りを効果的に改善することができる傾向がある。なお、主面の結晶面とは、得られる窒化物半導体結晶の主面に相当する結晶面を意味し、通常は下地基板の主面の結晶面と一致する。
さらに、主ラインとは交差しない補助ラインを更に設けてもよく、その際の主ラインの長手方向と、補助ラインの長手方向がなす角度は、45度以下であることが好ましく、30度以下であることがより好ましく、10度以下であることが更に好ましく、0度、つまり平行であることが特に好ましい。角度が上記範囲の補助ラインを更に設けることで、主ラインの長手方向の主面の結晶面の反りをより効果的に改善することができ、また、主ラインの長手方向と垂直の方向の反りをも効果的に改善することができる傾向がある。
さらに、主ラインとは交差しない補助ラインを更に設けてもよく、その際の主ラインの長手方向と、補助ラインの長手方向がなす角度は、45度以下であることが好ましく、30度以下であることがより好ましく、10度以下であることが更に好ましく、0度、つまり平行であることが特に好ましい。角度が上記範囲の補助ラインを更に設けることで、主ラインの長手方向の主面の結晶面の反りをより効果的に改善することができ、また、主ラインの長手方向と垂直の方向の反りをも効果的に改善することができる傾向がある。
前記補助ラインの幅の下限としては、例えば、パターニング精度および曲率改善効果の観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上が更に好ましく、3μm以上が特に好ましい。同様に前記補助ラインの幅の上限は、成長初期に下地基板の主面と平行な面での成長に移行させるために、20μm以下が好ましく、15μm以下が更に好ましく、10μm以下が特に好ましい。
また、前記補助ライン間の幅(前記補助ラインに挟まれる露出エリアの幅)の下限としては、成長初期に下地基板の主面と平行な面での成長に移行させるために、5μm以上が好ましく、10μm以上が更に好ましく、15μm以上が特に好ましい。同様に前記補助ライン間の幅の上限は、曲率改善効果の観点から、50μm以下が好ましく、30μm以下が更に好ましく、20μm以下が特に好ましい。
前記補助ラインと露出エリアとのピッチ幅(補助ラインの幅と露出エリアの幅の合計)の下限としては、例えば、曲率改善効果およびラインファセットの維持度の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上が更に好ましく、15μm以上が特に好ましい。同様に前記ピッチ幅の上限は、曲率改善効果およびラインファセットの維持度の観点から、200μm以下が好ましく、150μm以下が更に好ましく、100μm以下が特に好ましい。
また、前記補助ライン間の幅(前記補助ラインに挟まれる露出エリアの幅)の下限としては、成長初期に下地基板の主面と平行な面での成長に移行させるために、5μm以上が好ましく、10μm以上が更に好ましく、15μm以上が特に好ましい。同様に前記補助ライン間の幅の上限は、曲率改善効果の観点から、50μm以下が好ましく、30μm以下が更に好ましく、20μm以下が特に好ましい。
前記補助ラインと露出エリアとのピッチ幅(補助ラインの幅と露出エリアの幅の合計)の下限としては、例えば、曲率改善効果およびラインファセットの維持度の観点から、5μm以上が好ましく、10μm以上が更に好ましく、15μm以上が特に好ましい。同様に前記ピッチ幅の上限は、曲率改善効果およびラインファセットの維持度の観点から、200μm以下が好ましく、150μm以下が更に好ましく、100μm以下が特に好ましい。
前記主ラインと補助ラインとによって形成される成長阻害層のパターン例としては、例えば、後述する実施例にて用いられる図1及び図2に示すように、主ラインに対して補助ラインが垂直に交わって格子状となっているパターンや、主ラインに対して、平行に配置された補助ラインと垂直に交わる補助ラインとが配置されて格子状を形成しているパターンなどが挙げられる。例えば、窒化物結晶の成長面がC面であり、主ラインをm軸と平行になるように配置した場合、m軸と平行な補助ラインやa軸と平行な補助ラインを組み合わせて成長阻害層のパターンを形成することができる。
また、前記成長阻害層に関し、前記下地窒化物半導体基板上における下地露出エリアの面積(x:下地基板表面の成長阻害層で被覆されていない部位の面積)と下地全エリアの面積(y:下地基板表面の全エリアの面積)との割合(露出割合:x/y)は、97%以下であることが好ましく、71%以下が更に好ましく、63%以下が特に好ましい。前記露出割合が少ないほど、成長結晶の横方向の成長が促進され、成長方向へ伝播する転位が曲げられるため、更に転位密度の低い結晶が得られる。前記露出割合の下限は特に限定はないが、ファセット成長の安定化の観点から、30%以上が好ましく、40%以上が更に好ましく、50%以上が特に好ましい。
前記成長阻害層は、例えば、プラズマCVDなど公知の薄膜形成方法を利用することで形成することができる。また、前記成長阻害層の厚さの下限は、特に限定されるものではないが、マスクの成長阻害効果および高温におけるマスクの耐熱性の観点から、20nm以上が好ましく、30nm以上が更に好ましく、50nm以上が特に好ましい。同様に前記成長阻害層の厚さの上限は、成膜プロセスの作業性の観点から、500nmμm以下が好ましく、300nmμm以下が更に好ましく、100nmμm以下が特に好ましい。また、前記主ラインの厚みと補助ライン厚みとは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(窒化物半導体結晶の成長)
本発明の製造方法では、前記成長阻害層と下地基板表面が露出している露出エリアの上に原料が届くように供給し、第1成長工程を実施し、次いで、第2成長工程を実施する。第1成長工程では、第1ファセット面及び第2ファセット面を維持しながら窒化物結晶を成長させる。ここで、「ファセット面を維持しながら窒化物結晶を成長させる」とは、成長表面が平坦でなく、三次元的な構造を維持したまま成長することを意味し、例えばC面上に窒化物結晶を成長させる場合には、C面と異なる面を成長面にした状態を維持して、基板と垂直な方向にc軸が向いた結晶を作製することを意味する。つまり、第1ファセット面及び第2ファセット面の面方位を維持しながら窒化物結晶を成長させてもよいし、面方位は維持することなく、C面と異なる面を成長面にした状態を維持しつつ窒化物結晶を成長させてもよい。前記ファセット面としては、例えば、結晶軸がc軸から傾いた面や{1−101}面または{1−102}面などM面を傾斜させた面や、{11−22}面などA面を傾斜させた面が挙げられる。
第2成長工程では、第1ファセット面を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して成長させる。
また、他の態様では、第1成長工程においては対向する複数の第1ファセット面及び対向する複数の第2ファセット面を形成してそれらの面を維持して成長させ、第2成長工程においては、前記対向する第2ファセット面同士を合一させ、かつ、前記対向する第1ファセット面同士を合一させずに維持して成長させることができる。かかる態様を図4および図6を用いて説明すると、第1成長工程においては、対向する複数の第1ファセット面及び対向する複数の第2ファセット面を形成してそれらを維持して成長させることで、図4のように1つの主ライン間に、補助ラインに平行な方向のラインファセットを複数形成し、第2成長工程においては、前記対向する第2ファセット面同士を合一させ、かつ、前記対向する第1ファセット面同士を合一させずに維持して成長させることで、図6のように、前記補助ラインに平行な方向の複数のラインファセットが合一し、主ラインに平行な方向な1つのラインファセットを形成させることができる。
ここで成長する結晶は、窒化物半導体結晶であり、GaN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなどを挙げることができる。下地基板と同一元素組成の結晶であってもよいし、異なる元素組成の結晶であってもよいが、好ましいのは同一元素組成の結晶の場合である。例えば、GaNの下地基板上にGaN結晶を成長させる例を好ましく挙げることができる。
本発明の製造方法では、前記成長阻害層と下地基板表面が露出している露出エリアの上に原料が届くように供給し、第1成長工程を実施し、次いで、第2成長工程を実施する。第1成長工程では、第1ファセット面及び第2ファセット面を維持しながら窒化物結晶を成長させる。ここで、「ファセット面を維持しながら窒化物結晶を成長させる」とは、成長表面が平坦でなく、三次元的な構造を維持したまま成長することを意味し、例えばC面上に窒化物結晶を成長させる場合には、C面と異なる面を成長面にした状態を維持して、基板と垂直な方向にc軸が向いた結晶を作製することを意味する。つまり、第1ファセット面及び第2ファセット面の面方位を維持しながら窒化物結晶を成長させてもよいし、面方位は維持することなく、C面と異なる面を成長面にした状態を維持しつつ窒化物結晶を成長させてもよい。前記ファセット面としては、例えば、結晶軸がc軸から傾いた面や{1−101}面または{1−102}面などM面を傾斜させた面や、{11−22}面などA面を傾斜させた面が挙げられる。
第2成長工程では、第1ファセット面を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して成長させる。
また、他の態様では、第1成長工程においては対向する複数の第1ファセット面及び対向する複数の第2ファセット面を形成してそれらの面を維持して成長させ、第2成長工程においては、前記対向する第2ファセット面同士を合一させ、かつ、前記対向する第1ファセット面同士を合一させずに維持して成長させることができる。かかる態様を図4および図6を用いて説明すると、第1成長工程においては、対向する複数の第1ファセット面及び対向する複数の第2ファセット面を形成してそれらを維持して成長させることで、図4のように1つの主ライン間に、補助ラインに平行な方向のラインファセットを複数形成し、第2成長工程においては、前記対向する第2ファセット面同士を合一させ、かつ、前記対向する第1ファセット面同士を合一させずに維持して成長させることで、図6のように、前記補助ラインに平行な方向の複数のラインファセットが合一し、主ラインに平行な方向な1つのラインファセットを形成させることができる。
ここで成長する結晶は、窒化物半導体結晶であり、GaN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlGaNなどを挙げることができる。下地基板と同一元素組成の結晶であってもよいし、異なる元素組成の結晶であってもよいが、好ましいのは同一元素組成の結晶の場合である。例えば、GaNの下地基板上にGaN結晶を成長させる例を好ましく挙げることができる。
−原料−
前記原料としては、少なくとも前記窒化物結晶として成長させる材料を含むものが挙げられる。前記窒化物結晶は、前記下地窒化物半導体基板と同種の窒化物結晶を成長(例えば、エピタキシャル成長)させることで得ることができる。前記窒化物結晶を成長させる方法としては、例えば、ハイドライド気相成長(HVPE)法、有機金属気相成長(MOCVD)法、有機金属塩化物成長(MOC)法、分子線成長(MBE)法、昇華法などが挙げられるが、厚膜成長が容易、炭素が混入しにくいとの観点から、ハイドライド気相成長(HVPE)法が好ましい。
前記原料としては、少なくとも前記窒化物結晶として成長させる材料を含むものが挙げられる。前記窒化物結晶は、前記下地窒化物半導体基板と同種の窒化物結晶を成長(例えば、エピタキシャル成長)させることで得ることができる。前記窒化物結晶を成長させる方法としては、例えば、ハイドライド気相成長(HVPE)法、有機金属気相成長(MOCVD)法、有機金属塩化物成長(MOC)法、分子線成長(MBE)法、昇華法などが挙げられるが、厚膜成長が容易、炭素が混入しにくいとの観点から、ハイドライド気相成長(HVPE)法が好ましい。
前記HVPE法は、Clガスと金属Gaを高温化で反応させることにより生成したGaClガスをNH3と反応させることでGaN結晶を基板上に成長させる方法である。前記HVPE法によって窒化物結晶を成長させる場合、例えば、周期表13族のハロゲン化物(例えば、GaCl)、NH3ガス、N2ガス、H2ガスを用いることができる。
前記原料は、前記成長阻害層の上方向(成長面がC面の場合にはC面方向)から供給される。前記窒化物結晶成長工程において、HVPE法によってファセット面を維持しながら前記窒化物結晶を成長させる際の温度としては、単結晶成長効率の観点から、その下限が900℃以上であることが好ましく、950℃以上が更に好ましく、970℃以上がより好ましく、1000℃以上であることが特に好ましい。同様に、GaClとNH3の反応性の観点から、前記成長温度の上限は1200℃以下であることが好ましく、1150℃以下が更に好ましく、1100℃以下が特に好ましい。さらに、クラックの発生を抑制するとの観点からは、前記成長温度の下限は1010℃以上であることが好ましく、1015℃以上であることがより好ましく、1020℃以上であることがさらに好ましい。一方で、クラック発生の抑制よりも主面の結晶面の反りの顕著な改善を優先する場合には、前記成長温度の上限は1020℃以下であることが好ましく、1015℃以下であることがより好ましく、1010℃以下であることがさらに好ましい。
前記窒化物結晶成長工程において、HVPE法によってファセット面を維持しながら前記窒化物結晶を成長させる際の反応時間としては、厚膜基板の確保の観点から、その下限が1時間以上であることが好ましく、2時間以上が更に好ましく、3時間以上が特に好ましい。同様に、基板として有効な結晶だけを作製する必要性を考慮して、前記成長温度の上限は200時間以下であることが好ましく、150時間以下が更に好ましく、100時間以下が特に好ましい。
なお、上記の本格的な窒化物結晶成長工程(これを本成長工程とも称する)を実施する前に、窒化物結晶成長工程よりも低い温度にて初期成長させる初期成長工程を実施しても良い。初期成長工程における温度条件は特に限定されないが、成長初期の段階(0〜15分)において、通常800℃〜1200℃、好ましく900℃〜1000℃、より好ましくは950℃〜990℃である。また、初期成長工程における成長時間も特に限定されないが、通常5〜30分、好ましくは10〜20分である。なお、初期成長工程と上記成長工程は連続して実施してもよく、断続的に実施しても良い。連続して実施する場合には、原料ガスの流通を維持した状態で、成長温度を調整することで連続して実施してもよい。
また、前記NH3ガスの分圧としては、反応速度と生産性の観点から、その下限が2kPa以上であることが好ましく、3kPa以上が更に好ましく、4kPa以上が特に好ましい。同様に、大量のNH3を供給することにより反応速度が上がりすぎ、高品質な単結晶が成長できなくなる危険性を考慮して、前記NH3ガスの分圧の上限は50kPa以下であることが好ましく、30kPa以下が更に好ましく、20kPa以下が特に好ましい。
前記N2ガスの分圧としては、不必要な多結晶体の発生を抑制するために、その下限が5kPa以上であることが好ましく、10kPa以上が更に好ましく、15kPa以上が特に好ましい。同様に、高品質の単結晶を成長させるために、前記N2ガスの分圧の上限は50kPa以下であることが好ましく、40kPa以下が更に好ましく、30kPa以下が特に好ましい。
前記GaClガスの分圧としては、反応速度と生産性の観点から、その下限が100Pa以上であることが好ましく、200Pa以上が更に好ましく、300Pa以上が特に好ましい。同様に、大量のGaClを供給することにより反応速度が上がりすぎ、高品質な単結晶が成長できなくなる危険性を考慮して、前記GaClガスの分圧の上限は5kPa以下であることが好ましく、4kPa以下が更に好ましく、3kPa以下が特に好ましい。
前記H2ガスの分圧としては、キャリアガスとして原料を安定的に供給させるために、その下限が30kPa以上であることが好ましく、40kPa以上が更に好ましく、50kPa以上が特に好ましい。同様に、生産に耐えうる成長レートを確保するために、前記H2ガスの分圧の上限は100kPa以下であることが好ましく、90kPa以下が更に好ましく、80kPa以下が特に好ましい。
−酸素ドーピング−
また、窒化物結晶成長工程においては、成長する窒化物結晶に酸素がドーピングされることが好ましい。前記酸素はn型ドーパントとして有効に機能することができるため、酸素をドーピングさせるとn型のキャリアを有する窒化物半導体結晶を得ることができる。
また、窒化物結晶成長工程においては、成長する窒化物結晶に酸素がドーピングされることが好ましい。前記酸素はn型ドーパントとして有効に機能することができるため、酸素をドーピングさせるとn型のキャリアを有する窒化物半導体結晶を得ることができる。
通常、GaNのC面鏡面成長では酸素ドーピングが難しい。しかし、前記製造方法では、窒化物結晶成長工程において成長される窒化物結晶はファセット面を有しているため、窒化物結晶中に効率的に酸素を取り込んで高キャリア濃度を実現することができ、しかも厚み方向のキャリア濃度分布を抑制することができる。
前記酸素のドーピングは、結晶成長中の原料ガスの中に水を含ませることで効果的に実施することができる。しかし、HVPE法の場合には、ClガスやNH3ガスなどに水を含ませても良い。但し、ClガスやNH3ガスは、不純物として水を含む場合が多く、特に水を原料ガスに追加しなくても酸素をドーピングすることができる。
前記製造方法によって得られる窒化物半導体結晶中の酸素原子濃度は、導電性を確保するために1×1017〜1×1019cm-3が好ましく、2×1017〜8×1018cm-3が更に好ましく、5×1017〜5×1018cm-3が特に好ましい。
窒化物結晶成長工程において、成長される窒化物結晶の厚さは、特に限定はないが、その上限が長時間成長することにより、ファセットの安定性が乱れる危険性を考慮して、その上限が20000μm以下であることが好ましく、15000μm以下が更に好ましく、10000μm以下が特に好ましい。同様に前記窒化物結晶の厚さの下限は、デバイス作製で要求される厚みの確保のために、100μm以上であることが好ましく、200μm以上が更に好ましく、400μmが以上特に好ましい。なお、下地窒化物半導体基板の主面が凹凸を有する場合には、窒化物結晶の厚さは、その凹凸の中間値からの成長厚みを指す。同様に、窒化物結晶の成長面が凹凸を有する場合には、窒化物結晶の厚さは、その凹凸の中間値からの成長厚みを指す。
[窒化物半導体結晶]
本発明の窒化物半導体結晶を所望の方向に切り出すことにより、任意の結晶方位を有するウエハ(半導体基板)を得ることができる。前記製造方法で得られた窒化物半導体結晶は、前記製造方法によって、下地窒化物半導体基板上に、主ラインと前記主ライン中に形成された補助ラインとを含んで構成される成長阻害層を成膜し、前記主ライン上では窒化物結晶をファセット面を維持しながら成長させ、前記補助ライン上では窒化物結晶を成長初期でC面成長に移行し且つ転位低減を行うことによって、主面の結晶面の反り量と転位密度が低減されている。このため、前記窒化物半導体結晶(インゴット)から切り出した窒化物半導体基板を使用すれば、特性が均一なデバイスを基板上に大量に作製することが可能となり、歩留まりの大幅な向上を期待することができる。本願発明者らは主面の結晶面の反り量を改善すべく主ライン中に補助ラインを設けて結晶成長を行ったが、驚くべきことに、補助ライン上において、成長工程に渡ってファセット面を維持しなくとも、つまり、ファセット面を成長初期に下地基板の主面と平行な面に移行しても、主面の結晶面の反り量が大きく改善することを見出した。また、成長初期に、補助ライン上においてファセット面を下地基板の主面と平行な面に移行することで、補助ライン上の結晶をデバイス形成に使用可能なものにすることができ、その結果、結晶主面中の有効エリアを大きく確保でき、かつ、成長後の加工のし易さを改善することができる。
本発明の窒化物半導体結晶を所望の方向に切り出すことにより、任意の結晶方位を有するウエハ(半導体基板)を得ることができる。前記製造方法で得られた窒化物半導体結晶は、前記製造方法によって、下地窒化物半導体基板上に、主ラインと前記主ライン中に形成された補助ラインとを含んで構成される成長阻害層を成膜し、前記主ライン上では窒化物結晶をファセット面を維持しながら成長させ、前記補助ライン上では窒化物結晶を成長初期でC面成長に移行し且つ転位低減を行うことによって、主面の結晶面の反り量と転位密度が低減されている。このため、前記窒化物半導体結晶(インゴット)から切り出した窒化物半導体基板を使用すれば、特性が均一なデバイスを基板上に大量に作製することが可能となり、歩留まりの大幅な向上を期待することができる。本願発明者らは主面の結晶面の反り量を改善すべく主ライン中に補助ラインを設けて結晶成長を行ったが、驚くべきことに、補助ライン上において、成長工程に渡ってファセット面を維持しなくとも、つまり、ファセット面を成長初期に下地基板の主面と平行な面に移行しても、主面の結晶面の反り量が大きく改善することを見出した。また、成長初期に、補助ライン上においてファセット面を下地基板の主面と平行な面に移行することで、補助ライン上の結晶をデバイス形成に使用可能なものにすることができ、その結果、結晶主面中の有効エリアを大きく確保でき、かつ、成長後の加工のし易さを改善することができる。
前記窒化物半導体結晶の結晶全体の主面の結晶面の反り量は平坦であることが好ましい。具体的に、C面上に結晶成長させて得た窒化物半導体結晶のa軸方向の曲率は、デバイス作製における面内の特性ばらつきの観点から、1m以上であることが好ましく、2m以上であることが更に好ましく、3m以上であることが特に好ましい。また、m軸方向の曲率は3m以上であることが好ましく、5m以上であることが更に好ましく、8m以上であることが特に好ましい。本発明の製造方法によれば、m軸方向の曲率を400m以上、さらには2000m以上にすることも可能である。
前記窒化物半導体結晶のa軸平行の裏面反りは、変形しすぎることによるクラックの発生の危険性の観点から、その上限が裏面から見て下凸500μm以下であることが好ましく、裏面から見て下凸300μm以下が更に好ましく、裏面から見て下凸200μm以下が特に好ましい。
前記窒化物半導体結晶の厚さは、特に限定はないが、その上限が長時間成長することにより、ファセットの安定性が乱れる危険性の観点から、その上限が20000μm以下であることが好ましく、15000μm以下が更に好ましく、10000μm以下が特に好ましい。同様に前記窒化物半導体結晶の厚さの下限は、デバイス作製で要求される厚みの確保の観点から、100μm以上であることが好ましく、200μm以上が更に好ましく、400μmが以上特に好ましい。
(デバイス)
前記窒化物半導体結晶やウエハは、デバイス、即ち発光素子や電子デバイスなどの用途に好適に用いられる。窒化物半導体結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、窒化物半導体結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(IGBT)がある。窒化物半導体結晶やウエハは、均一で高品質であるという特徴を有することから、前記のいずれの用途にも適している。中でも、均一性が高いことが特に要求される電子デバイス用途に適している。
前記窒化物半導体結晶やウエハは、デバイス、即ち発光素子や電子デバイスなどの用途に好適に用いられる。窒化物半導体結晶やウエハが用いられる発光素子としては、発光ダイオード、レーザーダイオード、それらと蛍光体を組み合わせた発光素子などを挙げることができる。また、窒化物半導体結晶やウエハが用いられる電子デバイスとしては、高周波素子、高耐圧高出力素子などを挙げることができる。高周波素子の例としては、トランジスター(HEMT、HBT)があり、高耐圧高出力素子の例としては、サイリスター(IGBT)がある。窒化物半導体結晶やウエハは、均一で高品質であるという特徴を有することから、前記のいずれの用途にも適している。中でも、均一性が高いことが特に要求される電子デバイス用途に適している。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
下地として、サファイア基板上にMOCVD法によってGaNを約3μm成長したテンプレート基板を用意した。
前記テンプレート基板上に、プラズマCVD法によって、厚さ800ÅのSiNx膜を形成した。更に、フォトリソグラフィによってラインパターンを露光し、現像を行い、ドライエッチングによってSiNxのラインパターン(主ライン)を形成した。主ラインは、成長すべきGaNのm軸に平行になるように配置されていた。この際、SiNxのライン幅は50μmとし、GaN露出部の幅は750μmとして、800μmピッチのラインパターンとした(本願の図面では、これを便宜上「W750M50」と表記し、その他のラインパターンについても同様に表記する)。更に、800μmピッチの主ラインに対して垂直となるように厚さ800ÅのSiNx膜のラインパターン(補助ライン)を形成した。前記補助ラインは、SiNxのライン幅が5μm、GaN露出部の幅が15μmの20μmピッチのm軸と平行なラインパターンである。このパターンにおける下地露出割合(下地露出エリアの面積/下地全エリア)は70%であった。
下記図1に実施例1のラインパターン(成長阻害層)の構造図を示す。
下地として、サファイア基板上にMOCVD法によってGaNを約3μm成長したテンプレート基板を用意した。
前記テンプレート基板上に、プラズマCVD法によって、厚さ800ÅのSiNx膜を形成した。更に、フォトリソグラフィによってラインパターンを露光し、現像を行い、ドライエッチングによってSiNxのラインパターン(主ライン)を形成した。主ラインは、成長すべきGaNのm軸に平行になるように配置されていた。この際、SiNxのライン幅は50μmとし、GaN露出部の幅は750μmとして、800μmピッチのラインパターンとした(本願の図面では、これを便宜上「W750M50」と表記し、その他のラインパターンについても同様に表記する)。更に、800μmピッチの主ラインに対して垂直となるように厚さ800ÅのSiNx膜のラインパターン(補助ライン)を形成した。前記補助ラインは、SiNxのライン幅が5μm、GaN露出部の幅が15μmの20μmピッチのm軸と平行なラインパターンである。このパターンにおける下地露出割合(下地露出エリアの面積/下地全エリア)は70%であった。
下記図1に実施例1のラインパターン(成長阻害層)の構造図を示す。
次いで、HVPE装置のリアクタ内の基板ホルダーに、+Cが上向きになるように上記基板をセットした。この際、−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れないようにセットした。
まず、反応室の温度を990℃に上げ、原料を+C面方向から供給することにより、初期成長を15分間行った。その後、反応室の温度を1025℃まで上げ、原料を+C面方向から供給することにより、OドープGaNを成長させる本成長を行った。ここで、Oドープはファセット成長によって実現している。初期成長工程及び本成長工程のいずれにおいても成長圧力を1.01×105Paとし、NH3ガスの分圧を6.52×103Pa、N2ガスの分圧を2.58×104Pa、GaClガスの分圧を1.06×103Pa、H2ガスの分圧を6.76×104Pa、HClガスの分圧を1.93×101Paとし、原料を導入管より導入した。成長初期では、下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有しながら周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長し、このときの第1ファセット面と下地基板の主面との交線と、第2ファセット面と下地基板の主面との交線とがなす角度は90度であった。その後、成長を続けると、成長面において第1ファセット面の面方位を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長した。
49時間成長した後、室温まで降温した。得られたGaN単結晶の形状は表面がラインのファセット成長が維持された凹凸を有する円状であり、C軸方向の膜厚が約5.2mmであった。主面(C面)の面積は、70mmの下地基板を使用した結果、有効径が70mmになり、3848mm2であった。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で1.79m、m軸方向(主ラインのライン方向)で5.21mとなった。図1の格子状のパターンを用いることで、a軸平行の曲率は若干悪化するが、m軸平行の曲率は大きく改善することが確認できた。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で1.79m、m軸方向(主ラインのライン方向)で5.21mとなった。図1の格子状のパターンを用いることで、a軸平行の曲率は若干悪化するが、m軸平行の曲率は大きく改善することが確認できた。
[実施例2]
下地として、サファイア基板上にMOCVD法によってGaNを約3μm成長したテンプレート基板を用意した。
前記テンプレート基板上に、プラズマCVD法によって、厚さ800ÅのSiNx膜を形成した。更に、フォトリソグラフィによってラインパターンを露光し、現像を行い、ドライエッチングによってSiNxのラインパターン(主ライン)を形成した。主ラインは、成長すべきGaNのm軸に平行になるように配置されていた。この際、SiNxのライン幅は50μmとし、GaN露出部の幅は750μmとして、800μmピッチのラインパターンとした。更に、800μmピッチの主ラインに対して垂直となるように厚さ800ÅのSiNx膜のラインパターン(補助ライン)を形成した。前記補助ラインは、SiNxのライン幅が5μm、GaN露出部の幅が15μmの20μmピッチのm軸と平行なラインパターンである。更に、800μmピッチの主ラインに対して平行に厚さ800ÅのSiNx膜のラインパターン(補助ライン)を形成した。前記補助ラインは、SiNxのライン幅が3μm、GaN露出部の幅が22μmの25μmピッチのa軸と平行なラインパターンである。このパターンにおける下地露出割合(下地露出エリアの面積/下地全エリア)は62%であった。
下記図2に実施例2のラインパターン(成長阻害層)の構造図を示す。
下地として、サファイア基板上にMOCVD法によってGaNを約3μm成長したテンプレート基板を用意した。
前記テンプレート基板上に、プラズマCVD法によって、厚さ800ÅのSiNx膜を形成した。更に、フォトリソグラフィによってラインパターンを露光し、現像を行い、ドライエッチングによってSiNxのラインパターン(主ライン)を形成した。主ラインは、成長すべきGaNのm軸に平行になるように配置されていた。この際、SiNxのライン幅は50μmとし、GaN露出部の幅は750μmとして、800μmピッチのラインパターンとした。更に、800μmピッチの主ラインに対して垂直となるように厚さ800ÅのSiNx膜のラインパターン(補助ライン)を形成した。前記補助ラインは、SiNxのライン幅が5μm、GaN露出部の幅が15μmの20μmピッチのm軸と平行なラインパターンである。更に、800μmピッチの主ラインに対して平行に厚さ800ÅのSiNx膜のラインパターン(補助ライン)を形成した。前記補助ラインは、SiNxのライン幅が3μm、GaN露出部の幅が22μmの25μmピッチのa軸と平行なラインパターンである。このパターンにおける下地露出割合(下地露出エリアの面積/下地全エリア)は62%であった。
下記図2に実施例2のラインパターン(成長阻害層)の構造図を示す。
次いで、HVPE装置のリアクタ内の基板ホルダーに、+Cが上向きになるように上記基板をセットした。この際、−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れないようにセットした。
まず、反応室の温度を990℃に上げ、原料を+C面方向から供給することにより、初期成長を15分間行った。その後、反応室の温度を1025℃まで上げ、原料を+C面方向から供給することにより、OドープGaNを成長させる本成長を行った。ここで、Oドープはファセット成長によって実現している。初期成長工程及び本成長工程のいずれにおいても成長圧力を1.01×105Paとし、NH3ガスの分圧を6.52×103Pa、N2ガスの分圧を2.58×104Pa、GaClガスの分圧を1.06×103Pa、H2ガスの分圧を6.76×104Pa、HClガスの分圧を1.93×101Paとし、原料を導入管より導入した。成長初期では、下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有しながら周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長し、このときの第1ファセット面と下地基板の主面との交線と、第2ファセット面と下地基板の主面との交線とがなす角度は90度であった。その後、成長を続けると、成長面において第1ファセット面の面方位を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長した。
49時間成長した後、室温まで降温した。得られたGaN単結晶の形状は表面がラインのファセット成長が維持された凹凸を有する円状であり、C軸方向の膜厚が約5.7mmであった。主面(C面)の面積は、70mmの下地基板を使用した結果、有効径が70mmになり、3848mm2であった。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で2.38m、m軸方向(主ラインのライン方向)で8.37mとなった。図2の格子状のパターンを用いることで、m軸平行の曲率を大きく改善すると同時に、a軸平行の曲率も図1の格子状パターンよりも改善することが確認できた。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で2.38m、m軸方向(主ラインのライン方向)で8.37mとなった。図2の格子状のパターンを用いることで、m軸平行の曲率を大きく改善すると同時に、a軸平行の曲率も図1の格子状パターンよりも改善することが確認できた。
[実施例3]
HVPE装置のリアクタ内の基板ホルダーに、+Cが上向きになるように実施例1と同様のラインパターンが形成された基板をセットした。この際、−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れないようにセットした。
HVPE装置のリアクタ内の基板ホルダーに、+Cが上向きになるように実施例1と同様のラインパターンが形成された基板をセットした。この際、−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れないようにセットした。
まず、反応室の温度を970℃に上げ、原料を+C面方向から供給することにより、初期成長を15分間行った。その後、反応室の温度を1005℃まで上げ、原料を+C面方向から供給することにより、OドープGaNを成長させる本成長を行った。ここで、Oドープはファセット成長によって実現している。初期成長工程及び本成長工程のいずれにおいても成長圧力を1.01×105Paとし、NH3ガスの分圧を7.55×103Pa、N2ガスの分圧を3.19×104Pa、GaClガスの分圧を1.11×103Pa、H2ガスの分圧を6.04×104Pa、HClガスの分圧を2.01×101Paとし、原料を導入管より導入した。成長初期では、下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有しながら周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長し、このときの第1ファセット面と下地基板の主面との交線と、第2ファセット面と下地基板の主面との交線とがなす角度は90度であった。その後、成長を続けると、成長面において第1ファセット面の面方位を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長した。
49時間成長した後、室温まで降温した。得られたGaN単結晶の形状は表面がラインのファセット成長が維持された凹凸を有する円状であり、C軸方向の膜厚が約5.8mmであった。主面(C面)の面積は、70mmの下地基板を使用した結果、有効径が70mmになり、3848mm2であった。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で3.35m、m軸方向(主ラインのライン方向)で498mとなった。図1の格子状のパターンを用いて、かつ、成長温度を下げることにより、a軸平行およびm軸平行の曲率が実施例1よりも改善することが確認できた。しかし、成長温度を下げることにより、結晶のクラック発生率が高くなる問題が発生した。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で3.35m、m軸方向(主ラインのライン方向)で498mとなった。図1の格子状のパターンを用いて、かつ、成長温度を下げることにより、a軸平行およびm軸平行の曲率が実施例1よりも改善することが確認できた。しかし、成長温度を下げることにより、結晶のクラック発生率が高くなる問題が発生した。
[実施例4]
HVPE装置のリアクタ内の基板ホルダーに、+Cが上向きになるように実施例2と同様のラインパターンが形成された基板をセットした。この際、−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れないようにセットした。
HVPE装置のリアクタ内の基板ホルダーに、+Cが上向きになるように実施例2と同様のラインパターンが形成された基板をセットした。この際、−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れないようにセットした。
まず、反応室の温度を970℃に上げ、原料を+C面方向から供給することにより、初期成長を15分間行った。その後、反応室の温度を1005℃まで上げ、原料を+C面方向から供給することにより、OドープGaNを成長させる本成長を行った。ここで、Oドープはファセット成長によって実現している。初期成長工程及び本成長工程のいずれにおいても成長圧力を1.01×105Paとし、NH3ガスの分圧を7.55×103Pa、N2ガスの分圧を3.19×104Pa、GaClガスの分圧を1.11×103Pa、H2ガスの分圧を6.04×104Pa、HClガスの分圧を2.01×101Paとし、原料を導入管より導入した。成長初期では、下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有しながら周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長し、このときの第1ファセット面と下地基板の主面との交線と、第2ファセット面と下地基板の主面との交線とがなす角度は90度であった。その後、成長を続けると、成長面において第1ファセット面の面方位を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶が成長した。
52時間成長した後、室温まで降温した。得られたGaN単結晶の形状は表面がラインのファセット成長が維持された凹凸を有する円状であり、C軸方向の膜厚が約6.3mmであった。主面(C面)の面積は、70mmの下地基板を使用した結果、有効径が70mmになり、3848mm2であった。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で6.46m、m軸方向(主ラインのライン方向)で2565mとなった。図2の格子状のパターンを用いて、かつ、成長温度を下げることにより、a軸平行およびm軸平行の曲率がともに大きく改善することが確認できた。しかし、成長温度を下げることにより、結晶のクラック発生率が高くなる問題が発生した。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で6.46m、m軸方向(主ラインのライン方向)で2565mとなった。図2の格子状のパターンを用いて、かつ、成長温度を下げることにより、a軸平行およびm軸平行の曲率がともに大きく改善することが確認できた。しかし、成長温度を下げることにより、結晶のクラック発生率が高くなる問題が発生した。
[比較例1]
下地として、サファイア基板上にMOCVD法によってGaNを約3μm成長したテンプレート基板を用意した。
前記テンプレート基板上に、プラズマCVD法によって、厚さ800ÅのSiNx膜を形成した。更に、フォトリソグラフィによってラインパターンを露光し、現像を行い、ドライエッチングによってSiNxのラインパターンを形成した。ラインパターンは、成長すべきGaNのm軸に平行になるように配置している。SiNxのライン幅は50μmとし、GaN露出部の幅は750μmとした。800μmピッチのラインパターンである。このパターンにおける下地露出割合は94%であった。
下記図3に比較例1のラインパターン(成長阻害層)の構造図を示す。
下地として、サファイア基板上にMOCVD法によってGaNを約3μm成長したテンプレート基板を用意した。
前記テンプレート基板上に、プラズマCVD法によって、厚さ800ÅのSiNx膜を形成した。更に、フォトリソグラフィによってラインパターンを露光し、現像を行い、ドライエッチングによってSiNxのラインパターンを形成した。ラインパターンは、成長すべきGaNのm軸に平行になるように配置している。SiNxのライン幅は50μmとし、GaN露出部の幅は750μmとした。800μmピッチのラインパターンである。このパターンにおける下地露出割合は94%であった。
下記図3に比較例1のラインパターン(成長阻害層)の構造図を示す。
次いで、HVPE装置のリアクタ内の基板ホルダーに、+Cが上向きになるように上記基板をセットした。この際、−C面は基板ホルダーに接しており、直接原料ガスと触れないようにセットした。
まず、反応室の温度を990℃に上げ、原料を+C面方向から供給することにより、初期成長を15分間行った。その後、反応室の温度を1025℃まで上げ、原料を+C面方向から供給することにより、OドープGaNを成長させる本成長を行った。ここで、Oドープはファセット成長によって実現している。初期成長工程及び本成長工程のいずれにおいても成長圧力を1.01×105Paとし、NH3ガスの分圧を6.52×103Pa、N2ガスの分圧を2.58×104Pa、GaClガスの分圧を1.06×103Pa、H2ガスの分圧を6.76×104Pa、HClガスの分圧を1.93×101Paとし、原料を導入管より導入した。比較例1では、本発明の第1成長工程の成長面の条件と、本発明の第2成長工程の成長面の条件をともに満たす成長は起こらなかった。
49時間成長した後、室温まで降温した。得られたGaN単結晶の形状は表面がラインのファセット成長が維持された凹凸を有する円状であり、C軸方向の膜厚が約6.9mmであった。主面(C面)の面積は、70mmの下地基板を使用した結果、有効径が70mmになり、3848mm2であった。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で4.22m、m軸方向(主ラインのライン方向)で2.12mとなった。
成長後のアズグロン結晶のC面の結晶面の曲率は、a軸方向(主ラインのライン方向に垂直な方向)で4.22m、m軸方向(主ラインのライン方向)で2.12mとなった。
下記表1〜2に実施例および比較例の成長条件および成長結果(クラックの有無を含む)を示す。
また、実施例1及び比較例1において、結晶をPOL仕上げし(0001)面のCL観察を行った。
実施例1の格子状パターンはCL結果から、比較例1の格子無しパターンと比較して転位が非常に少なくなっていることがわかった。マスク上には基底面転位が多少入っているが、基底面転位の量も通常の格子無しパターンよりは少なくなっていた。特に下地露出エリアの低転位領域では非常に少ない転位密度になっていた。
よって、格子状パターンは曲率を大きくして主面の結晶面の反り量を小さくできる効果があると同時に(0001)内の基底面転位および貫通転位を低減させる効果もあることがわかった。
実施例1の格子状パターンはCL結果から、比較例1の格子無しパターンと比較して転位が非常に少なくなっていることがわかった。マスク上には基底面転位が多少入っているが、基底面転位の量も通常の格子無しパターンよりは少なくなっていた。特に下地露出エリアの低転位領域では非常に少ない転位密度になっていた。
よって、格子状パターンは曲率を大きくして主面の結晶面の反り量を小さくできる効果があると同時に(0001)内の基底面転位および貫通転位を低減させる効果もあることがわかった。
なぜ格子状パターンの結晶は転位が少なくなるかの明確な理由は未だ不明であるが、推測として、細かいパターンによって成長初期に転位を大きく低減させている可能性がある。
また、格子状パターン−1の結晶の、A面断面(補助ラインに平行なM面から主ラインの長手方向に向かって30°回転させたA面の断面)を蛍光顕微鏡観察したところ、格子状パターンであるウインドウ15μmとマスク5μmの20μmピッチのマスクパターン上の成長は、成長初期でC面成長に移行していることがわかった。つまり、始めは20μmピッチにラインでもファセット成長が始まるが途中でC面成長が支配的になり、ファセットが埋め込まれてしまっている。推測であるが、初期に一旦ファセット成長した結晶の上に成長したC面成長の結晶は、下地から引き継がれた貫通転位の影響を受けておらず、非常に低転位の結晶となっていると考えられる。その結果、格子状パターン上の結晶は全体的に低転位な結晶となっていると推測される。
さらに、格子状の有効性として、ラインファセットが成長終了時まで形状を綺麗に維持することが挙げられる。今までの検討の結果より、ラインを維持させるためには、マスク幅を広げて基底面転位を大量に発生させる必要があると考えていたが、この格子状パターン上に得られた結晶は基底面転位が少ないにもかかわらずラインが維持されていることがわかる。
1 下地基板
2 成長した窒化物半導体結晶
3 成長阻害層の主ライン
4 成長阻害層の補助ライン
5 下地基板の主面
α 第1成長工程の第1ファセット面
β 第1成長工程の第2ファセット面
α’第2成長工程の成長面(第1ファセット面と同じ面方位)
γ 第2成長工程の成長面(下地基板の主面と平行)
2 成長した窒化物半導体結晶
3 成長阻害層の主ライン
4 成長阻害層の補助ライン
5 下地基板の主面
α 第1成長工程の第1ファセット面
β 第1成長工程の第2ファセット面
α’第2成長工程の成長面(第1ファセット面と同じ面方位)
γ 第2成長工程の成長面(下地基板の主面と平行)
Claims (12)
- 下地基板の主面上に第1ファセット面及び第2ファセット面を有するように周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる第1成長工程(ここで前記第1ファセット面と前記下地基板の主面との交線と、前記第2ファセット面と前記下地基板の主面との交線とがなす角度が、45〜90度の範囲内にある)と、
成長面において第1ファセット面を維持し、かつ、第2ファセット面の面方位を下地基板の主面と平行な面に移行して周期表第13族金属窒化物半導体結晶を成長させる第2成長工程と
を含むことを特徴とする周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。 - 前記下地基板の主面上に、非極性面または半極性面と平行な方向に伸長する複数のストライプ状の主ラインと、前記主ラインと30〜90度の角度で交差する複数のストライプ状の補助ラインを含む成長阻害層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記複数のストライプ状の主ラインが200μm以上のピッチ幅にて形成されていることを特徴とする請求項2に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記複数のストライプ状の補助ラインが100μm以下のピッチ幅にて形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記複数のストライプ状の主ライン同士の間に、主ラインと交わらないように伸長する複数のストライプ状の補助ラインがさらに形成されていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記主ラインの伸長方向と前記と交わらないように伸長する補助ラインの伸長方向がなす角度が0〜45°であることを特徴とする請求項5に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記主ラインの伸長方向と前記主ラインと交わらないように伸長する補助ラインの伸長方向が同じであることを特徴とする請求項5に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記主ラインと交わらないように伸長する複数のストライプ状の補助ラインが100μm以下のピッチ幅にて形成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記下地基板の主面において、成長阻害層にて覆われていない露出部の面積が、主面の面積の90%以下であることを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 前記第1成長工程及び/又は第2成長工程における成長温度が1030℃以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- さらに前記下地基板を除去する工程を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の周期表第13族金属窒化物半導体結晶の製造方法。
- 請求項11に記載の製造方法により製造される周期表第13族金属窒化物半導体結晶。
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