JP2013209306A - 水性多層型化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2層以上からなる水性相を有し、該水性相の最上層が、特定のシリコーンリン酸トリエステルの1種又は2種以上を含む表面処理剤により表面被覆処理された粉体(成分(A))を含む粉末分散層である水性多層型化粧料を提供する。
【選択図】なし
Description
ところが、従来の水性多層型化粧料は、清涼感を有する場合が多いものの、逆に油分等が少ないことにより化粧持続性も悪くなりやすい。さらに、従来の水性多層型化粧料は、化粧料の外観と粉体が乾燥することによる塗布膜との色違いが生じて、使用時の色変化の差が大きいと感じることが多い。
このように、需要者は、水性多層型化粧料に、清涼感のみならず、さらに使用時の色変化の少ないと感じるもの、かつ使用後の化粧持続性に優れるものを重要視して求める傾向にある。
そこで、本発明は、斯かる実状に鑑み、清涼感及び化粧持続性に優れるとともに、さらに使用時の色変化の少ない水性多層型化粧料を提供しようとするものである。
ところが、本発明者は、水性多層型化粧料に、下記式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルを含む表面処理剤により表面被覆処理された粉体を用いることで、意外にも水性多層型化粧料の化粧持続性が非常によくなったことから、清涼感及び化粧持続性に優れるとともに、さらに使用時の色変化の少ない水性多層型化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
(A):式(I)
前記成分(A)表面被覆処理粉体の含有量が、0.1〜50質量%であるのが好適である。
さらに成分(B)有機粉体を含有するのが好適である。
さらに成分(C)アルコールを含有するのが好適である。
さらに成分(D)pH調整剤を含有するのが好適である。
本開示の水性多層型化粧料は、成分(A)の表面被覆処理粉体を用いるものである。
本開示に用いる成分(A)の表面被覆処理粉体は、下記式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルの1種又は2種以上を含む表面処理剤により表面被覆処理された粉体である。そして、当該成分(A)の表面被覆処理粉体は、当該表面処理剤を用いて、原料粉体の表面を被覆処理して得ることができる。
また、前記式(II)で表されるシリコーンリン酸ジエステルの含有量は、前記表面処理剤中、好ましくは0〜35質量%、より好ましくは20質量%以下とするのが好適である。
また、前記式(III)で表されるシリコーンリン酸モノエステルの含有量は、前記表面処理剤中、好ましくは0〜5質量%とするのが好適である。
前記表面処理剤中、前記式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステル及び前記式(II)で表されるシリコーンリン酸ジエステルの含有質量比は、特に限定されないが、75〜95:5〜25とするのが好ましい。
当該Rの「−O−又は−CO−を1又は2以上有していても良い炭素数2〜7の2価の炭化水素基」ものとしては、例えば、−CH2−O−(CH2)2−、−(CH2)2−O−(CH2)2−、−(CH2)3−O−(CH2)2−、−(CH2)4−O−(CH2)2−、−(CH2)2−O(CH2)2−O−(CH2)2−、−(CH2)2−O−(CH2)4−、−(CH2)2−O−(CH2)5−、−(CH2)3−O−CH2−、−CH2−CO−(CH2)2−、−(CH2)2−CO−(CH2)2−、−(CH2)3−CO−(CH2)2−、−(CH2)4−CO−(CH2)2−、−(CH2)2−CO−(CH2)4−、−(CH2)2−CO−(CH2)5−、−(CH2)3−CO−CH2−等が挙げられる。
当該R2及びR3は、同一又は別々に、R2及びR3の炭素数1〜6の2価の炭化水素基であり、これらの炭素数の合計が2〜7であるのが好適である。
前記R2及び前記R3として、例えば、前記R1の例示が挙げられ、より具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロプレン基、メチルエチレン基、ブチレン基等が挙げられる。このうち、エチレン基及びプロピレン基が好ましい。
さらに、前記「−R2−O−R3−及び−R2−CO−R3−」のうち、−(CH2)3−O−(CH2)2−が好ましい。
なお、下記の化合物1〜6のnは、前記式(I)、(II)又は(III)におけるnと同義である。
また下記の化合物1〜6のxは、1〜3のいずれかの整数である。そして、下記化合物1〜6において、xが3である場合、シリコーンリン酸トリエステルであり、xが2である場合、シリコーンリン酸ジエステルであり、xが1である場合、シリコーンリン酸モノエステルである。
さらに、前記表面処理剤は、下記の化合物1〜6から選ばれる1種又は2種以上のものを含有して用いることができる。これら化合物1〜6のうち、化合物3を表面処理剤として用いるのが好適である。
塩基としては、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアルキルアミン類、ピペラジン、イミダゾール等の複素環状アミン類、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類、n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド等の有機金属類等が使用できる。
反応温度は、通常、25℃〜50℃程度であり、反応時間は、シリコーン鎖長によっても異なるが、通常、2時間〜20時間程度である。
これらが存在したままシリコーンリン酸エステル混合物を前記表面処理剤として使用することもできるが、通常の方法により、生成物を精製して、実質的に前記式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルのみを前記表面処理剤として使用してもよい。
前記原料複合粉体類としては、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン含有シリカ及び酸化亜鉛含有シリカ等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
例えば、酸化チタン(特に微粒子)の場合、凝集し易いので、従来の表面処理剤を用いても困難であったが、本開示の表面処理剤で表面被覆処理した酸化チタンの分散性が良好となるので、酸化チタンの特徴であるSPF(UV遮断効果)を多層型化粧料に付与することも可能となる。
なお、本技術の効果が損なわれない範囲内で前記表面処理剤以外の表面処理剤を組み合わせて使用してもよい。
有機チタネートは、アルコキシ基を有する、例えば、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネート等が挙げられる。有機チタネートのアルコキシ基としては、粉体との反応性の観点から、炭素数1〜4のアルキル基を有するものが好ましく、これらは、直鎖でも分岐していても良く、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
前記有機チタネートとして、好適には、イソプロピルトリイソステアリルチタネート、イソプロピルトリイソミリスチロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、メチルトリイソステアロイルチタネート、メチルトリイソミリスチロイルチタネート、エチルトリイソステアロイルチタネート、及びエチルトリイソミリスチロイルチタネート等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
本開示の水性多層型化粧料は、2層以上からなる水性相を有し、該水性相の最上層が、成分(A)「前記式(I)で表されるシリコーンリン酸トリエステルの1種又は2種以上を含む表面処理剤により表面被覆処理された粉体」(以下、「成分(A)表面被覆処理粉体」とする)を含む粉末分散層である。
なお、「水性多層型化粧料全量」とは、水及び前記成分(A)表面被覆処理粉体と、他の任意成分を含んだものを全量100質量%とするものをいう。
また、水性多層型化粧料全量中の表面被覆処理微粒子酸化チタンの含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは1〜3質量%である。
また、水性多層型化粧料全量中の表面被覆処理タルクの含有量は、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
また、水性多層型化粧料全量中の表面被覆処理セリサイトの含有量は、好ましくは0.1〜40質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
また、水性多層型化粧料全量中の表面被覆処理酸化鉄の含有量は、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜1.5質量%、さらに好ましくは0.5〜1質量%である。
ところが、前記成分(A)表面被覆処理粉体は高撥水性を有するにも拘わらず、界面活性剤や親水性高分子、油剤等を含有しなくとも、清涼感及び化粧持続性に優れるとともに、使用時の色変化を少なく感じさせることができる(例えば、実施例1〜11参照)。
従来技術では、金属酸化物(酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化鉄等)が多くなると分散性、化粧持続効果、及び使用時の色変化の少なさを発現することが水系分散では困難であった。しかし、前記成分(A)表面被覆処理粉体を用いる本開示の水性多層型化粧料は、使用する際の粉末層の再分散性に優れ、塗布する際には使用感触のよい化粧料とすることが可能であり、需要者のニーズにマッチしたものである。
さらに、本開示の水性多層型化粧料は、後述する任意成分である成分(B)有機粉体、成分(C)アルコール及び成分(D)pH調整剤等から選ばれる1種又は2種以上を含有させることによって、清涼感、化粧持続性、使用時の色変化の少なさに加えて、さらに隠蔽性、肌負担感のなさ及び再分散性等の性質をも向上させることが可能となる。
これらの有機粉体のうち、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体パウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、ナイロンパウダー、及び架橋ポリスチレンパウダーから選ばれる1種又は2種以上を用いるのが好適である。
前記1価アルコールとしては、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
前記多価アルコールとしては、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類等からなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
前記成分(C)アルコールとしては、エタノール、1,3−ブチレングリコール及びグリセリンから選ばれる1種又は2種以上を用いるのが好適であり、このうちエタノールが好適である。
また、水性多層型化粧料全量中の前記1価アルコールの含有量は、好ましくは1〜60質量%、より好ましくは1〜15質量%、さらに好ましくは3〜15質量%、特に好ましくは5〜15質量%である。
また、水性多層型化粧料全量中の前記多価アルコールの含有量は、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜30質量%、さらに好ましくは10〜25質量%、特に好ましくは15〜25質量%である。
前記アルカリ性剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びトリエタノールアミン等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。この場合のアルカリ性剤としては、水酸化ナトリウム及び/又はトリエタノールアミンが好適である。アルカリ性剤を用いることで、分散性が向上するので好適である。
前記酸性剤としては、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、及び乳酸等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このうち、クエン酸を用いるのが好適である。
これらを1種又は2種以上用いてもよい。
また、水性多層型化粧料全量中の成分(D)pH調整剤の含有量は、特に限定されないが、pH(25℃)が4〜10(好適には、pH6.5〜9.5)の範囲になるように配合させればよい。
本開示の水性多層型化粧料は、広いpHの範囲で化粧持続性や再分散性等が良好であるので、pH調整をすること、またアスコルビン酸やグリチルリチン酸等の電解質成分が多いものを用いること可能である。これによって、幅広い分野、特に医薬部外品への応用の利用が期待される。
また、本開示の水性多層型化粧料は、界面活性剤及び油剤の量を低減して極微量又は未配合でも水系分散が良好である。これにより、化粧料の化粧持続性を向上させることも可能である。
カルビノール変性シリコーン(下記反応式における式2)302g、テトラヒドロフラン150gを混合し、−40℃に冷却した。n−ブチルリチウム(1.6mol/ヘキサン溶液)74mlを滴下し90分反応させた後、オキシ塩化リン(下記反応式における式1)5.4gを添加し、1時間反応させた。温度を25℃まで上げ、さらに2時間熟成させた後、水10gを加え反応を終了させた。メタノールで洗浄し、溶媒を留去することにより、シリコーン変性リン酸トリエステルを含む生成物(以下、「表面処理剤1」とする)を得た。得られた表面処理剤1の組成比は、31P−NMR測定により、トリ体である上記式(I)が83%、ジ体である上記式(II)が17%の混合物であった。
製造例1〜7にて、実施例1〜11で使用した成分(A)(表面被覆処理粉体)を製造した。
イソプロピルアルコール750gに、「前記表面処理剤1」60gを加え溶解した後、20Lのヘンシェルミキサーに投入した。そこに原料粉体の酸化チタン(石原産業株式会社製の商品名「TIPAQUE CR−50」)を2940g加え、70℃にて均一分散させた。次に、120℃に加熱し、減圧下で溶媒を留去しながら2時間ほど攪拌した。粉体が乾燥した後、室温まで冷却し、ミキサーから取り出し、アトマイザーにて粉砕した。130℃の恒温槽にて6時間の焼成を行い、表面被覆処理粉体中に2.0%の「前記表面処理剤1」で表面処理した酸化チタンを得た。
[製造例2]
イソプロピルアルコール1000gに、「前記表面処理剤1」150gを加え溶解した後、20Lのヘンシェルミキサーに投入した。そこに原料粉体の微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製の商品名「MICRO TITANIUM DIOXIDE MT−05」)を2850g加え、70℃にて均一分散させた。次に、120℃に加熱し、減圧下で溶媒を留去しながら2時間ほど攪拌した。粉体が乾燥した後、室温まで冷却し、ミキサーから取り出し、アトマイザーにて粉砕した。130℃の恒温槽にて6時間の焼成を行い、表面被覆処理粉体中に5.0%の「前記表面処理剤1」で表面処理した微粒子酸化チタンを得た。
原料粉体のタルク(浅田製粉株式会社製の商品名「タルクJA−46R」)49.0gに、「前記表面処理剤1」1.0gとn−ヘキサン70gを溶解させた混合液を添加し、これをペイントシェーカーにて30分間高分散させた。その後、得られたスラリー状物を風乾し、125℃にて1時間焼成させ、パルベライザーで粉砕して、表面被覆処理粉体中に2.0%の「前記表面処理剤1」で表面処理したタルクを得た。
[製造例4]
製造例1の原料粉体タルクをセリサイト(三信鉱工業株式会社製の商品名「セリサイトFSE」)に代えた以外は、上記製造例3と同様にして、表面被覆処理粉体中に2.0%の「前記表面処理剤1」で表面処理したセリサイトを得た。
原料粉体の赤酸化鉄(チタン工業株式会社製の商品名「タロックスR−516P」)49.0gに、「前記表面処理剤1」1.0gとn−ヘキサン70gを溶解させた混合液を添加し、これをペイントシェーカーにて30分間高分散させた。その後、得られたスラリー状物を風乾し、125℃にて1時間焼成させ、パルベライザーで粉砕して、表面被覆処理粉体中に2.0%の「前記表面処理剤1」で表面処理した赤酸化鉄を得た。
[製造例6]
製造例5の赤酸化鉄を黄酸化鉄(チタン工業株式会社製の商品名「TAROX IRON OXIDE YP1200P」)に代えた以外は、上記製造例5と同様にして、表面被覆処理粉体中に2.0%の「前記表面処理剤1」で表面処理した黄酸化鉄を得た。
[製造例7]
製造例5の赤酸化鉄を黒酸化鉄(チタン工業株式会社製の商品名「タロックスブラックBL−100P」)に代えた以外は、上記製造例5と同様にして、表面被覆処理粉体中に2.0%の「前記表面処理剤1」で表面処理した黒酸化鉄を得た。
上記製造例1〜7の各「前記表面処理剤1」を、それぞれシリコーン(信越化学工業株式会社製の商品名「シリコーンKF−96(20CS)」)に代えた以外は、それぞれの製造例1〜7の原料粉体を、上記製造例1〜7に準じて、シリコーンで表面処理した各粉体(表1成分8〜14参照)を得た。
上記製造例1〜7の各「前記表面処理剤1」を、それぞれメチルハイドロジェンポリシロキサン(信越化学工業株式会社製の商品名「KF−99−P」)に代えた以外は、それぞれの製造例1〜7の原料粉体を、上記製造例1〜7に準じて、メチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理した各粉体(表1成分15〜21参照)を得た。
上記製造例1〜7の各「前記表面処理剤1」を、それぞれフッ素化合物(旭硝子株式会社製の商品名「AG−530」)に代えた以外は、それぞれの製造例1〜7の原料粉体を、上記製造例1〜7に準じて、フッ素化合物で表面処理した各粉体を得た(表1成分22〜28参照)。
表1の実施例1〜10の欄に示す各成分を用いて、下記の組成物製造方法により実施例1〜10の水性多層型ファンデーションを調製した。
また、表1の比較例1〜3の欄に示す各成分を用いて、下記の組成物製造方法により比較例1〜3の水性多層型ファンデーションを調製した。
実施例1〜11及び比較例1〜3の粉体は、上述の[製造例]にて製造したものを使用した。
なお、表1中の各組成物は、精製水にて全量100質量%となるように調製するものである。
[組成物製造方法]
(1)表1中のNo.1〜32の各成分を表1の通り配合して、ローラーにて処理する。
(2)表1中のNo.33〜40の各成分を表1の通り配合して、均一に混合溶解する。
(3)(1)を(2)に加え、ディスパーにて均一分散し、水性多層型ファンデーションを得た。
また、表1中の「酸化チタン」は、原料酸化チタンが、コールターカウンター法によって測定される平均粒子径100〜1000nmの範囲にあるものを表す。また、「微粒子酸化チタン」は、原料微粒子酸化チタンが、コールターカウンター法によって測定される平均粒子径20〜100nmの範囲にあるものを表す。
実施例1〜10、及び比較例1〜3の水性多層型ファンデーションに対して、化粧品評価専門パネル20名に、「化粧持続性」、「隠蔽性」、「肌負担感のなさ」、「清涼感」、及び「使用時の色変化のなさ」のそれぞれの項目について、各自が以下の評価基準に従って7段階評価し、さらに全パネルの評点の平均点を用いて、以下の判定基準に従って判定した。
「隠蔽性」は、しみ、そばかす等を自然に隠すことを表わす。
「肌負担感のなさ」は、使用時のきしみ感、つっぱり感がないことを表わす。
「清涼感」は、使用時に、みずみずしさを感じることを表わす。
「使用時の色変化のなさ」は、化粧料を振とうした直後の外観色と、塗布膜の色が一致していることを表わし、凝集物が少ないことを表わす。
(評価結果) :(評点)
非常に良好 : 6点
良好 : 5点
やや良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
非常に不良 : 0点
[判定基準]
(評点の平均点) :(判定)
5.0以上 : ◎ 非常に良好
3.5以上〜5.0未満 : ○ 良好
1.5以上〜3.5未満 : △ 不良
1.5未満 : × 非常に不良
比較例1のシリコーン処理粉体を用いた水性多層型ファンデーションは、化粧持続性及び使用時の色変化のなさに劣るものであった。
メチルハイドロジェンポリシロキサン処理粉体を用いた比較例2は、化粧持続性、肌負担感のなさ、及び使用時の色変化のなさに劣るものであった。
また、比較例3のフッ素処理粉体を用いた水性多層型ファンデーションは、化粧持続性及び肌負担感のなさに劣るものであった。
再分散性は、実施例1〜10及び比較例1〜3の水性多層型ファンデーションをそれぞれガラス規格ビンに入れ、50℃で1週間静置後、ガラス規格ビンを振とうし、粉末分散層の凝集物の有無(混ざり易さ)を確認し、以下の判定基準に従って判定した。
[再分散性の判定基準]
◎:浸とう後、凝集物が観察されない。
○:浸とう後、小さな凝集物がわずかに観察される。
△:浸とうしても、凝集物が分散せず、観察される。
×:浸とうしても、大きな凝集物が分散せず、下層に沈降している。
実施例1の組成において、1,3−ブチレングリコール及びグリセリンを配合せずに実施例1と同様に製造して、水性多層型ファンデーションを得た(実施例11)。この実施例11の水性多層型ファンデーションについても上記同様に評価したところ、化粧持続性、隠蔽性、清涼感、及び使用時の色変化のなさが非常に良好であった。再分散性についても良好であった。肌負担感のなさの項目については、実施例1の方が実施例11と比較して、優れていた。この結果から、さらに、1,3−ブチレングリコール、グリセリン及びエタノール等アルコールを含有させるのが、肌負担感のなさを向上させる点で、好適であることが示された。
後述する実施例12、14及び16では、以下の製造例8による成分(A)の表面被覆処理粉体を用いた。
[製造例8]
イソプロピルアルコール1000gに、「前記表面処理剤1」150gとイソプロピルトリイソステアリルチタネート90gを加え溶解した後、20Lのヘンシェルミキサーに投入した。そこに原料粉体の微粒子酸化亜鉛(テイカ株式会社製の商品名「MICRO ZINC OXIDE MZ−500」)を2760g加え、70℃にて均一分散させた。次に、120℃に加熱し、減圧下で溶媒を留去しながら2時間ほど攪拌した。粉体が乾燥した後、室温まで冷却し、ミキサーから取り出し、アトマイザーにて粉砕した。130℃の恒温槽にて6時間の焼成を行い、表面被覆処理粉体中に5.0%の「前記表面処理剤1」、及び3.0%のイソプロピルトリイソステアリルチタネートで複合表面処理した微粒子酸化亜鉛を得た。
(成分) (%)
1.ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸 0.01
2.精製水 2.5
3.製造例8の複合処理(8%)微粒子酸化亜鉛 0.5
4.塩化アルミニウム(注1) 0.1
5.精製水 残量
6.エタノール 15.0
7.1,3−ブチレングリコール 5.0
8.イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(注2) 0.1
9.防腐剤 適量
10.香料 適量
(注1:国産化学株式会社製の商品名「塩化アルミニウム(一級)」)
(注2:日本エマルジョン株式会社製の商品名「EMALEX RWIS−150」)
[組成物製造方法]
(1)成分1〜3を混合する。
(2)(1)に成分4〜10を添加、均一に攪拌し、水性多層型の化粧水を得た。
実施例12の化粧水は、「化粧持続性」、「隠蔽性」、「肌負担感のなさ」、「清涼感」、及び「使用時の色変化のなさ」、「再分散性」に優れた水性多層型の化粧水であった。
(成分) (%)
1.製造例1の処理(2%)酸化チタン 0.5
2.製造例5の処理(2%)赤酸化鉄 0.05
3.製造例6の処理(2%)黄酸化鉄 0.05
4.1,3−ブチレングリコール 10.0
5.ナイロン末(注3) 3.0
6.グリセリン 3.0
7.エタノール 5.0
8.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 2.5
9.トリエタノールアミン 1.5
10.防腐剤 適量
11.香料 適量
12.精製水 残量
(注3:ガンツ化成株式会社製の商品名「ガンツパールGPA−550」)
[組成物製造方法]
(1)成分1〜5をローラーにて処理する。
(2)成分6〜12を均一に混合溶解する。
(3)(1)を(2)に加え、ディスパーにて均一分散し、水性多層型の化粧下地を得た。
実施例13の化粧下地は、「化粧持続性」、「隠蔽性」、「肌負担感のなさ」、「清涼感」、及び「使用時の色変化のなさ」、「再分散性」に優れた水性多層型の化粧下地であった。
(成分) (%)
1.製造例8の複合処理(8%)微粒子酸化亜鉛 10.0
2.製造例2の処理(5%)微粒子酸化チタン 5.0
3.1,3−ブチレングリコール 15.0
4.ポリメチルシルセスキオキサンパウダー(注4) 3.0
5.グリセリン 1.0
6.エタノール 10.0
7.フェニルベンズイミダゾールスルホン酸 2.5
8.トリエタノールアミン 1.5
9.防腐剤 適量
10.香料 適量
11.精製水 残量
(注4:モメンティブパフォーマンスマテリアルズジャパン社製の商品名「トスパール2000B」)
[組成物製造方法]
(1)成分1〜4をローラーにて処理する。
(2)成分5〜11を均一に混合溶解する。
(3)(1)を(2)に加え、ディスパーにて均一分散し、水性多層型の日焼け止め料を得た。
実施例14の日焼け止め料は、「化粧持続性」、「隠蔽性」、「肌負担感のなさ」、「清涼感」、及び「使用時の色変化のなさ」、「再分散性」に優れた水性多層型の日焼け止め料であった。
(成分) (%)
1.製造例2の処理(5%)酸化チタン 10.0
2.製造例3の処理(2%)タルク 5.0
3.1,3−ブチレングリコール 15.0
4.架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体パウダー(注5)5.0
5.グリセリン 2.0
6.エタノール 7.0
7.防腐剤 適量
8.香料 適量
9.精製水 残量
(注5:信越化学工業株式会社製の商品名「KSP−100」)
[組成物製造方法]
(1)成分1〜4をローラーにて処理する。
(2)成分5〜9を均一に混合溶解する。
(3)(1)を(2)に加え、ディスパーにて均一分散し、水性多層型の白粉を得た。
実施例15の白粉は、「化粧持続性」、「隠蔽性」、「肌負担感のなさ」、「清涼感」、及び「使用時の色変化のなさ」、「再分散性」に優れた水性多層型の白粉であった。
(成分) (%)
1.エタノール 56.2
2.製造例8の複合処理(8%)微粒子酸化亜鉛 0.5
3.架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体パウダー(注5)2.0
4.架橋型メチルポリシロキサン混合物(注6) 0.15
5.1,3−ブチレングリコール 1.0
6.防腐剤 0.1
7.香料 0.05
8.液化石油ガス 15.0
9.ジメチルエーテル 25.0
(注6:信越化学工業株式会社制の商品名「KSG−16」)
(製法)
(1)成分1〜7を常温にて均一に混合する。
(2)(1)を60部エアゾール缶に充填後、成分8、9を40%噴入し、制汗剤を得た。
実施例16の制汗剤は、「化粧持続性」、「肌負担感のなさ」、「清涼感」、及び「再分散性」に優れた制汗剤であった。
(成分) (%)
1.製造例4の処理(2%)セリサイト 10.0
2.製造例3の処理(2%)タルク 5.0
3.1,3−ブチレングリコール 12.0
4.雲母チタン(注7) 5.0
5.エタノール 8.0
6.防腐剤 適量
7.香料 適量
8.精製水 残量
(注7:メルク社製の商品名「TIMORON SUPERSHEEN MP1001」)
[組成物製造方法]
(1)成分1〜3をローラーにて処理する。
(2)成分4〜8を均一に混合溶解する。
(3)(1)を(2)に加え、ディスパーにて均一分散し、水性多層型のアイシャドウを得た。
実施例17のアイシャドウは、「化粧持続性」、「隠蔽性」、「肌負担感のなさ」、「清涼感」、及び「使用時の色変化のなさ」、「再分散性」に優れた水性多層型のアイシャドウであった。
〔1〕 2層以上からなる水性相を有し、該水性相の最上層が次の成分(A)を含む粉末分散層である水性多層型化粧料。
(A):式(I)
〔2〕 前記成分(A)表面被覆処理粉体の含有量が、0.1〜50質量%である前記〔1〕記載の水性多層型化粧料。
〔3〕 さらに成分(B)有機粉体を含有する前記〔1〕又は〔2〕記載の水性多層型化粧料。好適には、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン末及び架橋ポリスチレンから選ばれる1種又は2種以上のものである。
〔4〕 さらに成分(C)アルコールを含有する前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項記載の水性多層型化粧料。好適には、1価アルコール及び/又は多価アルコールである。さらに好適には、エタノール、1,3−ブチレングリコール及びジプロピレングルコールから選ばれる1種又は2種以上のものである。
〔5〕 さらに成分(D)pH調整剤を含有する前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項記載の水性多層型化粧料。pH調整剤にてpH(25℃)は4〜10となるように調整するのが好適である。
Claims (5)
- 前記成分(A)表面被覆処理粉体の含有量が、0.1〜50質量%である請求項1記載の水性多層型化粧料。
- さらに成分(B)有機粉体を含有する請求項1又は2記載の水性多層型化粧料。
- さらに成分(C)アルコールを含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の水性多層型化粧料。
- さらに成分(D)pH調整剤を含有する請求項1〜4のいずれか1項記載の水性多層型化粧料。
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