JP2013205758A - 現像部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好なトナー荷電性と表面の低摩擦化とを両立することが可能な表層を有する現像部材を提供する。
【解決手段】電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる現像部材Rは、表層1を有している。表層1は、マトリックスポリマー中に、分子内にアミノ基およびシリコーン基を有するポリマーからなる表面改質ポリマーを含有している。表面改質ポリマーは、分子内にアミノ基を有する第1化合物に基づく第1重合単位と、分子内にシリコーン基を有する第2化合物に基づく第2重合単位とを含むことができる。第1化合物および第2化合物は、分子内に(メタ)アクリル基を有しているとよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、現像部材に関する。
従来、電子写真方式の複写機やプリンター、ファクシミリ等の画像形成装置が知られている。これら画像形成装置は、帯電された感光体への画像データ露光による潜像形成、現像、転写媒体への転写、定着等の工程を経て画像形成を行う。上記現像工程では、例えば、現像部材表面とその周囲に配設したブレード部材との摺擦による摩擦力によって、トナーを負または正に荷電する。そしてこの荷電トナーを感光体表面の静電潜像に付着させて可視像とする。
上記現像に用いる現像部材としては、例えば、特許文献1に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとアミノ基を有するモノマーとを含む共重合モノマーを共重合してなる樹脂を含有する表層を備えた現像部材が開示されている。
また例えば、特許文献2に、フルオロアルキル基含有(メタ)アクリル酸エステルモノマーとアミノ基含有モノマーとを含む共重合モノマーを共重合してなる樹脂を含有する表層を備えた現像部材が開示されている。
特許第4446808号公報 特開2007−64471号公報
しかしながら、従来知られる現像部材は、以下の点で問題がある。
近年、現像部材の表層には、トナーの劣化を抑制するために柔軟性が求められている。しかし、表層を柔らかくすると、表層の変形が大きくなり、ブレード部材の押し当て力が弱くなる。そのため、表層表面とブレード部材との摩擦帯電によってトナーを荷電することが難しくなる。その結果、トナー荷電不足よるカブリ画像が発生しやすくなる。
また、表層を柔らかくすると、表層の変形が大きくなり、表層表面とトナーとの接触面積が増加する。そのため、表層表面の動摩擦係数が大きい場合にはトナーに加わるストレスが増大しやすくなる。その結果、トナーが表層表面に固着し、フィルミング現象が発生しやすくなる。
このように、現像部材の表層は、良好なトナー荷電性(トナーに電荷を持たせる性質)と表面の低摩擦化との両方を満たすことが必要となっているが、上記従来技術ではこれらを両立させることが難しいという問題がある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、良好なトナー荷電性と表面の低摩擦化とを両立することが可能な表層を有する現像部材を提供することにある。
本発明の一態様は、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる現像部材であって、
マトリックスポリマー中に、分子内にアミノ基およびシリコーン基を有するポリマーからなる表面改質ポリマーを含有する表層を有することを特徴とする現像部材にある(請求項1)。
上記現像部材の表層は、マトリックスポリマー中に、分子内にアミノ基およびシリコーン基を有するポリマーからなる表面改質ポリマーを含有している。上記現像部材によれば、表面改質ポリマーのアミノ基がトナーに作用してトナーを荷電しやすくなるため、良好なトナー荷電性を確保することができる。また、表面改質ポリマーのシリコーン基により、表層表面の動摩擦係数が低下し、表層表面の低摩擦化を図ることができる。
以上、本発明によれば、良好なトナー荷電性と表面の低摩擦化とを両立することが可能な表層を有する現像部材を提供することができる。
実施例の現像部材を模式的に示した図である。 図1におけるII−II断面を示した図である。
上記現像部材は、電子写真方式の画像形成装置に組み込んで用いられる。電子写真方式の画像形成装置としては、具体的には、帯電像を用いる電子写真方式の複写機、プリンター、ファクシミリ、複合機、POD(Print On Demand)装置等を例示することができる。
上記現像部材は、当該部材表面である表層表面と、部材周囲に配設したブレード部材やロール部材等の相手部材との摺擦による摩擦力によって、トナーを負に荷電し、この荷電されたトナーを潜像担持体(感光体)表面に形成された静電潜像に付着させて可視像とするために好適に用いることができる。
この際、上記トナーは、特に限定されるものではないが、好ましくは、スチレン−(メタ)アクリル系トナー、エステル系トナーなどとすることができる。トナー荷電性向上の効果が大きくなるなどの観点から、上記トナーは、エステル系トナーが特に好適である。
ここで、上記現像部材は、マトリックスポリマー中に、分子内にアミノ基およびシリコーン基を有するポリマーからなる表面改質ポリマーを含有する表層を有している。
マトリックスポリマーは、表層の基本骨格を形づくるポリマー成分として重要な役割を果たす。マトリックスポリマーは、上記役割を果たすことができれば特に限定されるものではなく、各種の樹脂またはゴムを用いることができる。これらは1種または2種以上併用することができ、柔軟性、耐摩耗性、トナー離型性(トナーが離れやすい性質)、トナー荷電性などを考慮して、最適な材料を選択することができる。
上記樹脂としては、例えば、各種の熱可塑性樹脂や、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合ポリマーなどを用いることができる。上記樹脂としては、具体的には、例えば、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂、ウレタンフッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂、アセタール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、カーボネート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミン、ポリエチレンイミン、カゼイン、ゼラチン、澱粉およびこれらの共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンおよび他のオレフィン系単量体との共重合樹脂等のオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のスチレン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール系樹脂およびこれらの誘導体または変性体、ポリイソブチレン、ポリテトラヒドロフラン、ポリアニリン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリイソプレン、ポリブタジエン等のポリジエン類、ポリジメチルシロキサン等のポリシロキサン類、ポリスルホン類、ポリイミン類、ポリ無水酢酸類、ポリ尿素類、ポリスルフィド類、ポリフォスファゼン類、ポリケトン類、ポリフェニレン類、ポリハロオレフィン類、およびこれらの誘導体、メラミン樹脂などを例示することができる。また、上記ゴムとしては、具体的には、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(ECO、CO)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、天然ゴム(NR)などを例示することができる。これらのうち、好ましくは、表層の柔軟性向上によるトナーストレスの低減などの観点から、ウレタン樹脂、ウレタンシリコーン樹脂などを用いることができる。
一方、マトリックスポリマー中に含まれる表面改質ポリマーは、表層表面を改質し、表層のトナー荷電性および表層表面の低摩擦性を向上させる成分として重要な役割を果たす。上記表面改質ポリマーは、分子内にアミノ基を有する第1化合物に基づく第1重合単位と、分子内にシリコーン基を有する第2化合物に基づく第2重合単位とを含むことができる(請求項2)。具体的には、表面改質ポリマーは、上記第1重合単位と上記第2重合単位とを含む共重合体、好ましくはブロック共重合体から構成することができる。
この場合には、表面改質ポリマーの分子内に、上記第1重合単位によってアミノ基を、上記第2重合単位によってシリコーン基を導入することができる。そのため、各重合単位の割合を変えることにより、表面改質ポリマー中のアミノ基およびシリコーン基の量を調節しやすくなる。したがって、トナー荷電性と表層表面の低摩擦性とのバランスをとりやすくなる利点がある。
なお、表面改質ポリマーは、1種または2種以上の異なる第1重合単位、1種または2種以上の異なる第2重合単位を含むことができる。また、上記第1化合物は、有機化合物であれば、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。好ましくは、重合時の反応性が良好であるなどの観点から、モノマーまたはオリゴマーであるとよく、特に好ましくは、モノマーであるとよい。上記第2化合物は、有機化合物であれば、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。好ましくは、重合時の反応性が良好である、低摩擦化を図りやすいなどの観点から、モノマーまたはオリゴマーであるとよく、特に好ましくは、オリゴマーであるとよい。
また、上記第1化合物および第2化合物は、分子内に不飽和結合を含むことができる(請求項3)。この場合には、表面改質ポリマーの作製時に共重合反応を行いやすいなどの利点がある。上記不飽和結合としては、例えば、(メタ)アクリル基、アリル基、ビニル基などに含まれるものを使用することができる。
また、上記第1化合物および第2化合物は、具体的には、分子内に(メタ)アクリル基をさらに有する構成(A)とすることができる(請求項4)。この場合には、表面改質ポリマーの作製時に共重合反応を行いやすいなどの利点がある。なお、本願において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリルの両方を含む意味である。
また、上述した構成(A)以外にも、上記第1化合物が分子内に(メタ)アクリル基をさらに有しており、上記第2化合物が分子内にアゾ基をさらに有している構成(B)とすることもできる。この場合にも、表面改質ポリマーの作製時に共重合反応を行いやすいなどの利点がある。
上記第1化合物としては、例えば、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルモノマー、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマーなどを例示することができる。このうち、上記第1化合物として、例えば、上記(メタ)アクリルアミドモノマー等の塩基性化合物を選択した場合には、エステル系トナーに対して優れたトナー荷電性を発揮することができる利点がある。
上記第1化合物としては、具体的には、例えば、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノヘキシル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノヘプチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノオクチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジフェニルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、アミノプロピルジメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシアミノプロピルジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアミノメチル(メタ)アクリルアミド、トリアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどを例示することができる。
また、上記第1化合物としては、具体的には、下式1で表される化合物を例示することができる。
Figure 2013205758
但し、式1中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Rは、炭素数1〜7の脂肪族炭化水素基、または芳香族炭化水素基を表す。R、Rは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、フェニル基、水素原子またはヒドロキシル基を表す。
上記第2化合物としては、例えば、分子内に(メタ)アクリル基を有するシリコーン化合物、分子内にアゾ基を有するシリコーン化合物などを例示することができる。
上記分子内に(メタ)アクリル基を有するシリコーン化合物としては、具体的には、反応性、低摩擦化などの観点から、(メタ)アクリル変性シリコーン化合物を好適なものとして例示することができる。特に好ましくは、重合時の反応性が良好である、低摩擦化を図りやすい等の観点から、下記式2にて表されるシリコーン化合物(シリコーンオイル等)とすることができる。
Figure 2013205758
但し、式2中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を表す。好ましくはメチル基を表す。R、Rは、炭素数1〜10のアルキル基、好ましくはメチル基を表す。Xは、(メタ)アクリル基を表す。nは、低摩擦性向上の観点から好ましくは1〜135(数平均分子量170〜1万程度)、より好ましくは10〜50(数平均分子量1000〜4000程度)の正数を表す。
また、上記分子内にアゾ基を有するシリコーン化合物としては、具体的には、重合時の反応性が良好である、低摩擦化を図りやすいなどの観点から、下記式3にて表されるシリコーン化合物とすることができる。
Figure 2013205758
但し、式3中、X、Xは、互いに同じまたは異なるシロキサン結合を含む化合物に基づく単位を表す。
上記表面改質ポリマーは、上記第1化合物に基づく第1重合単位を1〜98mol%、上記第2化合物に基づく第2重合単位を0.1〜10mol%含むことができる(請求項5)。この場合には、良好なトナー荷電性と表層表面の低摩擦化との両立を図ることができるという効果を確実なものとすることができる。また、表面改質ポリマーの各重合単位の割合を上記範囲内で調節することにより、良好なトナー荷電性と表層表面の低摩擦化とを両立したまま、両者のバランスを制御することができる。なお、上記第1重合単位、第2重合単位の割合は、第1重合単位、第2重合単位、さらに後述する他の化合物に基づく重合単位がある場合にはその重合単位を含めた合計の割合が100mol%となるように選択することができる。但し、重合開始剤は除く。
上記第1重合単位の割合は、十分なトナー荷電性を得る観点から、好ましくは1.2mol%以上、より好ましくは1.4mol%以上、さらに好ましくは1.6mol%以上とすることができる。また、上記第1重合単位の割合は、摩擦係数を低くするなどの観点から、好ましくは97.5mol%以下、より好ましくは97mol%以下、さらに好ましくは96.5mol%以下とすることができる。一方、上記第2重合単位の割合は、十分な低摩擦化効果を得る観点から、好ましくは0.13mol%以上、より好ましくは0.15mol%以上、さらに好ましくは0.18mol%以上とすることができる。また、上記第2重合単位の割合は、反応制御性などの観点から、好ましくは8mol%以下、より好ましくは7mol%以下、さらに好ましくは6mol%以下とすることができる。なお、上記重合単位の割合は、熱分解GC/MS分析、NMR分析などにより測定することができる。
上記表面改質ポリマーは、上記第1重合単位、第2重合単位以外にも、重合成分として他の化合物に基づく重合単位を1種または2種以上含むことができる。
なお、上記他の化合物は、有機化合物であれば、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。好ましくは、重合時の反応性が良好であるなどの観点から、モノマーまたはオリゴマーであるとよく、特に好ましくは、モノマーであるとよい。
上記他の化合物としては、例えば、分子内にフッ素含有基を有するモノマーなどを例示することができる。好ましくは、重合反応性などの観点から、分子内にさらに(メタ)アクリル基を有しているとよい。なお、上記「フッ素含有基」とは、フッ素原子を含有する基をいう。これを用いた場合には、表面改質ポリマーの分子内にアミノ基およびシリコーン基以外の官能基としてさらにフッ素含有基を有することが可能となる。そのため、表層表面にトナー離型性を付与することができる。
上記フッ素含有基としては、具体的には、例えば、フルオロアルキル基、フルオロアルキルアルキレンオキシド基、フルオロアルケニル基、フッ素基(−F)などを例示することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。これらのうち、上記フッ素含有基としては、フルオロアルキル基(好ましくは、炭素数4〜12程度)を好適に用いることができる。モノマーの分子内に導入しやすいなどの利点があるからである。上記フルオロアルキル基は、アルキル基の全ての水素原子がフッ素化されていてもよいし(全フッ素化)、一部にフッ素化されていない箇所を含んでいてもよい(部分フッ素化)。特に好ましくは、上記フルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基であるとよい。ポリマー中のフッ素原子量を増加させることができ、トナー離型性を向上させやすくなるなどの利点があるからである。
上記分子内にフッ素含有基を有するモノマーとしては、具体的には、例えば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)エチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノニル(メタ)アクリレート、1H−1−(トリフオロメチル)トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどを例示することができる。
上記他の化合物としては、他にも例えば、(メタ)アクリル基またはビニル基のいずれか一方を少なくとも1つ有する化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどを例示することができる。これらを用いた場合には、表面改質ポリマーの分子量を制御しやすくなるなどの利点がある。
上記他の化合物としては、他にも例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、アルコキシチタントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ウンデシレノキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。これらを用いた場合には、分岐状のポリマー構造としやすくなる。そのため、表層表面へ表面改質ポリマーを偏在させやすくなり、表面改質効果が大きくなりやすいなどの利点がある。
なお、上記表面改質ポリマーは、重合開始剤の全部または一部を含んでいてもよい。上記重合開始剤としては、例えば、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)等のアゾ基を有するポリマーなどを例示することができる。
上記表面改質ポリマーのポリマー構造は、特に限定されるものではない。上記表面改質ポリマーは、例えば、直鎖状、分岐状等のポリマー構造とすることができる。上記表面改質ポリマーは、好ましくは、高分岐構造を有しているとよい(請求項7)。
この場合には、ポリマー構造が直鎖状である場合と比較して、さらなるトナー荷電性の向上および表層表面の低摩擦化を図ることができる。これは、表面改質ポリマーの高分岐構造により、表層表面にアミノ基およびシリコーン基を効果的に存在させることが可能となり、上述した表層表面の改質効果が増大するためである。なお、「高分岐構造」とは、直鎖状(線状あるいは紐状等)のポリマー構造とは異なり、分子構造中に積極的に多数の分岐が導入されたポリマー構造のことであり、いわゆるハイパーブランチ構造と称されているものである。
上記表層は、上記マトリックスポリマー100質量部に対し、上記表面改質ポリマーを0.5〜20質量部含有することができる(請求項6)。この場合には、良好なトナー荷電性と表層表面の低摩擦化との両立を図ることができるという効果を確実なものとすることができる。また、表面改質ポリマーの含有量を上記範囲内で調節することにより、良好なトナー荷電性と表層表面の低摩擦化とを両立したまま、両者のバランスを制御することができる。
上記表面改質ポリマーの含有量は、添加による十分な効果を得るなどの観点から、好ましくは0.75質量部以上、より好ましくは1質量部以上とすることができる。また、上記表面改質ポリマーの含有量は、マトリックスポリマーとの相溶性、マトリックスポリマーからのブリード抑制、コストなどの観点から、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下とすることができる。なお、上記表面改質ポリマーの含有量は、溶剤による抽出後、抽出物を熱分解GC/MS分析、NMR分析して上記表面改質ポリマーの構造を特定した後、材料全体を熱分解GC/MS分析することなどによって測定することができる。
上記表層は、マトリックスポリマー中に、他にも、導電剤を含有することができる。上記導電剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト等の炭素系導電材料、チタン酸バリウム、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は導電性を意味する。)等の導電性の金属酸化物や金属ナノ粒子などといった電子導電剤、第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、イオン液体などといったイオン導電剤などを例示することができる。
上記表層は、マトリックスポリマー中に、他にも、必要に応じて、反応触媒、フィラー、カップリング剤、分散剤、レべリング剤、架橋剤、架橋助剤、粗さ形成用粒子などの各種添加剤を含有することができる。これらは1種または2種以上併用することができる。
上記表層の厚みは、特に限定されるものではなく、耐摩耗性、トナー搬送性、柔軟性などを考慮して最適な厚みとすることができる。上記表層の厚みは、例えば、1〜100μm程度とすることができる。
上記現像部材において、表層よりも下方の構成は特に限定されるものではない。もっとも、画像形成装置への適用のしやすさを考慮すると、上記現像部材は、ロール状に構成されていることが好ましい。この場合、上記現像部材は、具体的には、例えば、軸体と、軸体の外周面に沿って形成された導電性を有するゴム弾性体よりなる弾性層と、弾性層の外周面に沿って形成された上記表層とを有する構成とすることができる。なお、弾性層は、1層または2層以上から構成することができる。
上記軸体としては、具体的には、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属(合金含む)からなる中実体(芯金)や中空体、導電性または非導電性のプラスチックからなる中実体や中空体、導電性または非導電性のプラスチックからなる中実体や中空体に金属めっきを施したものなどを例示することができる。
上記弾性層を構成するゴム材料としては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ブタジエンゴム、ヒドリンゴム、ニトリルゴムなどを例示することができる。上記ゴム材料には、上述した導電剤、充填剤、増量剤、補強材、加工助剤、硬化剤、加硫促進剤、架橋剤、架橋助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料、シリコーンオイル、助剤、界面活性剤などの各種添加剤を適宜添加することができる。弾性層の厚みは、例えば、0.1〜10mm程度、好ましくは1〜5mm程度とすることができる。
実施例に係る現像部材について、図面を用いて具体的に説明する。
図1、図2に示すように、実施例に係る現像部材Rは、電子写真方式の画像形成装置に組み込まれるものである。現像部材Rは、表層1を有している。本例の現像部材Rは、具体的には、導電性を有する軸体2と、軸体2の外周面に沿って形成された導電性を有するゴム弾性体よりなる弾性層3とをさらに有している。但し、軸体2の両端部は、弾性層3の両端面から突出した状態とされている。そして、この弾性層3の外周面に沿って表層1が形成されている。
表層1は、マトリックスポリマー中に、分子内にアミノ基およびシリコーン基を有するポリマーからなる表面改質ポリマーを含有している。
マトリックスポリマーは、具体的には、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合ポリマーよりなる。表面改質ポリマーは、具体的には、分子内にアミノ基および(メタ)アクリル基を有するモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位と、分子内にシリコーン基および(メタ)アクリル基を有する化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位とを含む共重合体よりなる。表面改質ポリマー中における第1重合単位は1〜98mol%の範囲内、第2重合単位は0.1〜10mol%の範囲内とされている。表面改質ポリマーは、100質量部のマトリックスポリマーに対して0.5〜20質量部の範囲内で含有されている。表面改質ポリマーは、直鎖状または高分岐構造(ハイパーブランチ構造)を有している。なお、表層1には、導電性を付与するために導電剤が添加されている。
以下、実施例に従う現像部材としての現像ロール試料と、比較例の現像ロール試料とを作製し、評価を行った。その実験例について説明する。
(実験例)
<表面改質ポリマーの準備>
表層のマトリックスポリマー中に含有させる各表面改質ポリマーを以下のようにして準備した。
・表面改質ポリマーA
200mLの反応フラスコに、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド((株)興人製)15g(96mmol)と、(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(信越化学工業(株)製、「X−22−174DX」)0.92g(0.2mmol)と、メタクリル酸メチル(純正化学工業(株)製)0.38g(3.8mmol)と、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)(和光純薬工業(株)製、「VE−73」)1.24g(4mmol)と、メチルエチルケトン(MEK)26.9gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK51.8gを仕込み、固形分で30%の表面改質ポリマーAを含有する溶液を得た。上記表面改質ポリマーAは、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位と、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位とを含む直鎖状の共重合体である。
・表面改質ポリマーB
上記表面改質ポリマーAの合成において、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド10.55g(67.6mmol)、(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物7.46g(1.6mmol)、メタクリル酸メチル3.09g(30.8mmol)とした以外は同様にして、固形分で30%の表面改質ポリマーBを含有する溶液を得た。上記表面改質ポリマーBは、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位と、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位とを含む直鎖状の共重合体である。
・表面改質ポリマーC
上記表面改質ポリマーAの合成において、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド0.28g(1.8mmol)、(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物22.59g(4.9mmol)、メタクリル酸メチル9.34g(93.3mmol)とした以外は同様にして、固形分で30%の表面改質ポリマーCを含有する溶液を得た。上記表面改質ポリマーCは、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位と、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位とを含む直鎖状の共重合体である。
・表面改質ポリマーD
上記表面改質ポリマーAの合成において、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド15.02g(96.2mmol)、(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物0.88g(0.2mmol)、メタクリル酸メチル0.34g(3.4mmol)とした点、さらに、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート(ダイキン工業(株)製、「R−1620」)0.08g(0.2mmol)を加えた点以外は同様にして、固形分で30%の表面改質ポリマーDを含有する溶液を得た。上記表面改質ポリマーDは、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位と、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位と、分子内にフルオロアルキル基を有するモノマーに基づく重合単位を含む直鎖状の共重合体である。
・表面改質ポリマーE
300mLの反応フラスコに、トルエン87gを仕込み、撹拝しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ温度110℃)加熱した。
一方、別の200mLの反応フラスコに、上記ジメチルアミノプロピルアクリルアミド12g(76.79mmol)と、上記(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物0.74g(0.21mmol)と、エチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)、「1G」)3.96g(20mmol)と、上記メタクリル酸メチル0.31g(3mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)6.21g(20mmol)と、トルエン87gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込んで窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却を行った。
次いで、上記300mLの反応フラスコ中の還流してあるトルエン中に、滴下ポンプを用いて、上記200mLの反応フラスコ中の内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、そのまま1時間熟成させた。
次いで、この反応液をヘキサン/トルエン(質量比4:1)555gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。
次いで、このスラリーを減圧濾過し、テトラヒドロフラン(THF)42gを用いて再溶解し、このポリマーのTHF溶液をヘキサン555gに添加してポリマーをスラリー状態で再沈殿させた。
次いで、このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物である表面改質ポリマーE13.6gを得た。
上記表面改質ポリマーEは、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位と、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位とを含む高分岐構造(ハイパーブランチ構造)の共重合体である。
・表面改質ポリマーF
200mLの反応フラスコに、上記(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物23g(5mmol)と、上記メタクリル酸メチル9.5g(95mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、MEK26.9gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、MEK51.8gを仕込み、固形分で30%の表面改質ポリマーFを含有する溶液を得た。上記表面改質ポリマーFは、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位を含む直鎖状の共重合体であり、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位を含んでいない。
・表面改質ポリマーG
200mLの反応フラスコに、上記ジメチルアミノプロピルアクリルアミド13.99g(89.6mmol)と、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート0.23g(0.5mmol)と、上記メタクリル酸メチル0.99g(9.9mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、MEK26.9gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、この反応液をヘキサン662gに添加してポリマーを沈殿させ、上澄み液をデカンテーションした後、その残渣をTHF54gに再溶解させた。
次いで、このポリマーのTHF溶液をヘキサン662gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。
次いで、このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物である直表面改質ポリマーG12.1gを得た。上記表面改質ポリマーGは、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位を含む直鎖状の共重合体であり、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位を含んでいない。
・表面改質ポリマーH
100mLの反応フラスコに、上記2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート12.97g(30mmol)と、上記メタクリル酸メチル7g(70mmol)と、上記ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボキシレート)1.24g(4mmol)と、MEK26.9gとを仕込み、撹拌しながら5分間窒素によるバブリングを行った後、内液の温度80℃にて7時間重合させた。
次いで、この反応液をヘキサン662gに添加してポリマーを沈殿させ、上澄み液をデカンテーションした後、その残渣をTHF54gに再溶解させた。
次いで、このポリマーのTHF溶液をヘキサン662gに添加してポリマーをスラリー状態で沈殿させた。
次いで、このスラリーを減圧濾過し、真空乾燥して、白色粉末の目的物である直表面改質ポリマーH6.0gを得た。上記表面改質ポリマーHは、分子内にフルオロアルキル基を有するモノマーに基づく重合単位を含む直鎖状の共重合体であり、分子内にアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドモノマー(第1化合物)に基づく第1重合単位、および、分子内に(メタ)アクリレート変性シリコーン化合物(第2化合物)に基づく第2重合単位の双方を含んでいない。
以下、上記表面改質ポリマーの配合一覧を表1に示す。
Figure 2013205758
<表層形成用材料の調製>
後述の表2に示すように、熱可塑性ポリウレタン(日本ポリウレタン工業(株)製、「ニッポラン5199」)10質量部と、ポリエーテルジオール(3官能ポリプロピレングリコール)((株)ADEKA製、「アデカポリエーテルP−1000」)60質量部と、ポリイソシアネート(HDI型ブロックイソシアヌレート)(日本ポリウレタン工業(株)製、「コロネートL」)30質量部と、電子導電剤(カーボンブラック)(ライオン(株)製、「ケッチェンEC300J」)3質量部と、表2に示す所定の種類かつ所定の配合量の各表面改質ポリマーとを、濃度20質量%となるようにMEKに溶解し、三本ロールを用いて十分に混合、分散させた。これにより、現像ロール試料1〜11の作製に用いる各表層形成用材料を調製した。
<現像ロール試料の作製>
導電性シリコーンゴム[信越化学工業(株)製、「X−34−264A/B、混合質量比A/B=1/1」]をスタティックミキサーにて混合することにより、弾性層形成用材料を調製した。
軸体として、直径6mmの中実円柱状の鉄棒を準備し、外周面に接着剤を塗布した。この軸体をロール成形用金型の中空空間にセットした後、上記調製した弾性層形成用材料を中空空間内に注入し、190℃で30分間加熱して硬化させ、脱型した。これにより、軸体の外周面に沿って導電性シリコーンゴムよりなるロール状の弾性層(厚み3mm)を形成した。
次いで、上記弾性層の外周面に、ロールコート法により、上記調製した各表層形成用材料を塗工した後、120℃で60分間加熱して硬化させ、表層(厚み15μm)を形成した。これにより、上記弾性層の外周面に沿って表層を有し、かつ、表層は、熱可塑性ポリウレタンと熱硬化性ポリウレタンとの混合ポリマー中に、表2に示す各表面改質ポリマーを含有する二層構造の現像ロール試料1〜11を作製した。
<評価>
−トナー荷電量Q/M−
各現像ロール試料を、市販のカラープリンター(日本ヒューレット・パッカード(株)製、「Color Laser Jet4700dn」)に組み込み、25℃×50%RHの環境下にてベタ画像を出力した。この出力時の初期段階において、現像ロール試料の表層表面のトナー(スチレン−アクリル系トナー)を金属円筒管と円筒フィルターを用いて吸引収集し、その際、金属円筒管を通じてコンデンサーに蓄えられた荷電量の絶対値Q(μC)、吸引収集したトナーの全質量M(g)を測定した。そして、単位質量あたりのトナー荷電量Q/M(μC/g)を算出した。
トナーの荷電不足により発生するカブリ画像を抑制しやすい観点から、トナー荷電量Q/Mが18(μC/g)以上であった場合を、トナー荷電性に優れるとして「A」とした。また、トナーの荷電不足により発生するカブリ画像をほぼ抑制できる観点から、トナー荷電量Q/Mが12(μC/g)以上〜18(μC/g)未満であった場合を、トナー荷電性が良好であるとして「B」とした。トナーの荷電不足によりカブリ画像が発生しやすくなる観点から、トナー荷電量Q/Mが12(μC/g)未満であった場合を、トナー荷電性に劣るとして「C」とした。
なお、吸引した面積A(m)も併せて測定し、単位面積あたりのトナー搬送量M/A(g/m)も算出したところ、いずれの現像ロール試料もトナー搬送量M/Aは12(g/m)程度であった。したがって、いずれも現像ロールとして機能するのに問題ないトナー搬送性を備えているといえる。
また、一部の現像ロール試料を、市販のカラープリンター((株)リコー製、「IPSiO SP C420」)に組み込み、上記と同様にしてトナー荷電量Q/M(μC/g)を算出した。なお、この場合のトナーはエステル系トナーである。
−表層表面の動摩擦係数μk−
静・動摩擦係数測定器(協和界面科学(株)製、「Triboster500」)のステージ上に固定した現像ロール試料の表面(つまり、表層表面)に、接触子(直径3mmの鋼球製)による垂直荷重W50gを加え、この状態でステージを移動速度7.5mm/秒で水平方向に1cm移動させた。これにより現像ロール試料と接触子との間に生じた摩擦力Fから、現像ロール試料の表層表面における初期の動摩擦係数μk(F/W)を算出した。
上記動摩擦係数μkが0.2以下であった場合を、表層表面の低摩擦性に優れており、フィルミング現象を抑制しやすいとして「A」とした。上記動摩擦係数μkが0.2超〜0.7以下であった場合を、表層表面が低摩擦化されており、フィルミング現象を抑制できるとして「B」とした。上記動摩擦係数μkが0.7超であった場合を、表層表面の摩擦力が大きく、フィルミング現象が発生しやすいとして「C」とした。
以下、各現像ロール試料の詳細な構成と評価結果をまとめて表2に示す。
Figure 2013205758
表2によれば、以下のことがわかる。
すなわち、試料8の現像ロールは、表層のマトリックスポリマー中に表面改質ポリマーを全く含有していない。そのため、表層表面はマトリックスポリマーのみからなっており、トナーを負に荷電するトナー荷電性に劣る。したがって、カブリ画像が発生しやすいといえる。また、本実験例では、表層のマトリックスポリマーに熱可塑性ポリウレタンを含ませているため、表層が柔軟化されている。試料8の現像ロールは、上記のとおり、表層のマトリックスポリマー中に表面改質ポリマーを全く含有していないので、上記表層の柔軟化に対応することができず、表層表面の動摩擦係数が極めて大きい。したがって、表層表面とトナーとの接触面積の増大によりトナーストレスが増大しやすく、フィルミング現象が発生しやすいといえる。
試料9の現像ロールは、分子内にシリコーン基を有する表面改質ポリマーFを用いている。シリコーン基を有することによって表層表面の低摩擦化効果が得られるが、シリコーン基だけではトナー荷電性を向上させることが難しいことがわかる。
試料10の現像ロールは、分子内にアミノ基およびフルオロアルキル基を有する表面改質ポリマーGを用いている。アミノ基を有することによってトナー荷電性は向上するが、フルオロアルキル基は低摩擦化効果が十分でないことがわかる。
試料11の現像ロールは、分子内にフルオロアルキル基を有する表面改質ポリマーHを用いている。しかしながら、上述したように、フルオロアルキル基だけでは、トナー荷電性の向上がない上、低摩擦化効果が十分でないことがわかる。
これらに対し、試料1〜試料7の現像ロールは、いずれも表層のマトリックスポリマー中に、分子内にアミノ基およびシリコーン基を有する特定の表面改質ポリマーを含有している。そのため、これによる表層表面の改質、すなわち、表層表面にアミノ基およびシリコーン基を存在させることができる。そして、表面改質ポリマーのアミノ基がトナーに作用してトナーを荷電しやすくなるため、良好なトナー荷電性を確保することができる。また、表面改質ポリマーのシリコーン基により、表層表面の動摩擦係数が低下し、表層表面の低摩擦化を図ることができる。なお、マトリックスポリマーの種類に応じ、マトリックスポリマーを溶解可能な溶媒を用いて表層表面を洗浄するなどして、表層表面のマトリックスポリマーを選択的に除去した場合には、表層表面へ表面改質ポリマーが露出しやすくなるため、上記効果をより一層確実なものとすることができる。
また、試料1〜試料6の現像ロールの結果を比較すると、マトリックスポリマーに対する表面改質ポリマーの含有量を調節したり、表面改質ポリマーにおける上記重合単位の割合を変えたりすることによって、良好なトナー荷電性と表層表面の低摩擦化とを両立したまま、両者のバランスを制御できることがわかる。
また、試料3〜試料7の現像ロールの結果を比較すると、表面改質ポリマーのポリマー構造を高分岐構造(ハイパーブランチ構造)とすることにより、さらなるトナー荷電性の向上および表層表面の低摩擦化を図ることが可能なことがわかる。これは、表層表面にアミノ基およびシリコーン基を効果的に存在させることが可能となり、表層表面の改質効果が大きくなるためである。
また、試料1〜試料7の現像ロールにおいて、表層に用いた表面改質ポリマーA〜Eは、塩基性化合物(本例では、具体的にはジメチルアミノプロピルアクリルアミド)に基づく第1重合単位を含んでいる。そのため、スチレン−アクリル系トナーよりもエステル系トナーに対して優れたトナー荷電性を発揮することができている。これは、エステル系トナー中に存在するカルボキシル基のプロトンを、塩基性化合物に基づく第1重合単位が引き抜きやすく、トナーを負に荷電しやすくなるためであると考えられる。
また、試料1〜試料7の現像ロールは、表面改質ポリマーの重合反応に用いる化合物として、分子内に上記官能基以外に(メタ)アクリル基を有する化合物を用いている。そのため、表面改質ポリマーの作製時に共重合反応を行いやすい利点がある。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。
R 現像ロール
1 表層
2 軸体
3 弾性層

Claims (7)

  1. 電子写真方式の画像形成装置に組み込まれる現像部材であって、
    マトリックスポリマー中に、分子内にアミノ基およびシリコーン基を有するポリマーからなる表面改質ポリマーを含有する表層を有することを特徴とする現像部材。
  2. 請求項1に記載の現像部材であって、
    上記表面改質ポリマーは、分子内にアミノ基を有する第1化合物に基づく第1重合単位と、分子内にシリコーン基を有する第2化合物に基づく第2重合単位とを含むことを特徴とする現像部材。
  3. 請求項2に記載の現像部材であって、
    上記第1化合物および第2化合物は、分子内に不飽和結合を含むことを特徴とする現像部材。
  4. 請求項2または3に記載の現像部材であって、
    上記第1化合物および第2化合物は、分子内に(メタ)アクリル基を有していることを特徴とする現像部材。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の現像部材であって、
    上記表面改質ポリマーは、上記第1重合単位を1〜98mol%、上記第2重合単位を0.1〜10mol%含むことを特徴とする現像部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像部材であって、
    上記マトリックスポリマー100質量部に対し、上記表面改質ポリマーを0.5〜20質量部含有することを特徴とする現像部材。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像部材であって、
    上記表面改質ポリマーは、高分岐構造を有することを特徴とする現像部材。
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