JP2013205603A - レンズ付き基板及びその製造方法、並びにレンズ付き光導波路及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スルーホールを有する基板と、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在するレンズ部材と、前記スルーホールの内部のうち前記レンズ部材よりも前記基板の他方の面側に存在する透明部材と、を有するレンズ付き基板であって、前記スルーホールの内部において前記レンズの基端面と前記透明部材の基端面とが接面しており、前記レンズの先端面が前記スルーホールから突出して凸に湾曲した凸レンズ面となっているレンズ付き基板。
【選択図】図1
Description
例えば、特許文献1には、表面に光学素子を備えたICチップの上方に光導波路フィルムを設置し、これらICチップと光導波路フィルムとの間で光通信を行うことが開示されている。ところが、特許文献1のように光学素子のような光通信手段を備えた基板と光導波路のような光通信手段との間で光通信を行う場合、これら光通信手段同士を高精度に位置決めして実装しないと光通信することができないという問題がある。
例えば、特許文献2には、透明基板の表面にマイクロレンズが設置されたレンズ付き基板が開示されている。このレンズ付き基板を製造するには、透明基板の表面に感光性樹脂レジストを形成すると共に基板の裏面に開口部を有する遮光膜を形成する。次いで、遮光膜側から光を照射して、感光性樹脂レジストのうち遮光膜の開口部との対向位置に存在する部分を露光した後、現像して円柱状のレジスト構造物を形成する。その後、このレジスト構造物を加熱し、レジスト構造物の表面を熱ダレさせることにより、マイクロレンズが製造される。
なお、上記のように基板の裏面側から光照射することに代えて、基板の表面側からマスクを介して光照射することも考えられる。しかし、この場合も、レンズと基板とが強固に固定できないという問題、基板の表面側からレンズ内に入射した光を基板の裏面側等に伝達するためには光信号波長を透過する透明基板にしかレンズを設置することができないという問題、及びたとえ光信号波長を透過する基板でもその透過性が悪いと光伝搬損失に繋がるという問題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、レンズと基板との固定強度が高く、光ロスが少なく、光信号波長に対して透明基板及び非透明基板のいずれを用いることも可能であるレンズ付き電気配線基板及びその製造方法と、当該電気配線基板を備えたレンズ付き光導波路及びその製造方法を提供することを目的とする。
[1]スルーホールを有する基板と、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在するレンズ部材と、前記スルーホールの内部のうち前記レンズ部材よりも前記基板の他方の面側に存在する透明部材と、を有するレンズ付き基板であって、前記スルーホールの内部において前記レンズの基端面と前記透明部材の基端面とが接面しており、前記レンズの先端面が前記スルーホールから突出して凸に湾曲した凸レンズ面となっているレンズ付き基板。
[2]前記基板が、電気配線を有する電気配線板である[1]に記載のレンズ付き基板。
[3]前記透明部材の先端面は前記基板の表面と平行な非レンズ面となっている[1]又は[2]に記載のレンズ付き基板。
[4]前記透明部材の先端面は前記スルーホールから突出した凸レンズ面となっている[1]又は[2]に記載のレンズ付き基板。
[5]下記工程1〜4を含む[1]〜[4]のいずれかに記載のレンズ付き基板の製造方法。
工程1:レンズ部材用感光性樹脂組成物を前記基板の一方の面に積層すると共に前記スルーホール内に充填し、透明樹脂組成物を前記基板の他方の面に積層すると共に前記スルーホール内に充填する工程
工程2:前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物を露光して硬化すると共に、前記透明樹脂組成物を光硬化又は熱硬化する工程
工程3:前記レンズ部材用感光性樹脂組成物の未硬化部分を現像除去し、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在する柱状透明部材を形成する工程
工程4:前記柱状透明部材を加熱し、前記柱状透明部材のうち前記基板から突出している先端部を液だれさせて凸レンズ面を形成する工程
[6]前記工程2において、前記基板の他方の面側に、前記スルーホールと対向する位置に開口部を有するマスクを配置し、前記他方の面側から前記マスクを介して活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物を露光して硬化する[5]に記載のレンズ付き基板の製造方法。
[7]前記基板が遮光性を有するものであり、前記工程2において、前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物のうち前記スルーホールと対向する部分を露光して硬化する請求項5に記載のレンズ付き基板の製造方法。
[8]前記透明樹脂組成物が感光性樹脂組成物である[5]〜[7]のいずれかに記載のレンズ付き基板の製造方法。
[9][1]〜[3]のいずれかに記載のレンズ付き基板と、前記基板のうち前記スルーホールの他端側の表面上に存在する下部クラッド層と、前記下部クラッド層上に存在するコア層と、前記コア層上に存在する上部クラッド層と、前記コア層のうち前記レンズと対向する位置に存在するミラーとを有するレンズ付き光導波路。
[10]前記下部クラッド層の一部が前記透明部材を構成する[9]に記載のレンズ付き光導波路。
[11][1]〜[3]のいずれかに記載のレンズ付き基板の前記他方の面に光導波路部材を形成するレンズ付き光導波路の製造方法。
[12]下記工程A〜Fを含む[10]に記載のレンズ付き光導波路の製造方法。
工程A:スルーホールを有しかつ遮光性を有する基板の、前記スルーホールの一方の面側から前記スルーホール内にレンズ用感光性樹脂組成物を充填すると共に、前記スルーホールの他方の面側から前記スルーホール内及び前記他方の面に透明樹脂組成物を形成する工程
工程B:前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ用感光性樹脂組成物を露光して硬化すると共に、前記透明樹脂組成物を光硬化又は熱硬化して前記下部クラッド層を形成する工程
工程C:前記レンズ用感光性樹脂組成物の未硬化部分を現像除去し、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在する柱状透明部材を形成する工程
工程D:前記柱状透明部材を加熱し、前記柱状透明部材のうち前記基板から突出している先端部を液だれさせて凸レンズ面を形成する工程
工程E:前記下部クラッド層の表面にコア層を形成し、前記コア層の表面に上部クラッド層を形成する工程
工程F:前記コア層の前記スルーホールと対向する位置にミラーを形成する工程
<レンズ付き基板>
本発明のレンズ付き基板は、スルーホールを有する基板と、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在するレンズ部材と、前記スルーホールの内部のうち前記レンズ部材よりも前記基板の他方の面側に存在する透明部材と、を有するレンズ付き基板であって、前記スルーホールの内部において前記レンズの基端面と前記透明部材の基端面とが接面しており、前記レンズの先端面が前記スルーホールから突出して凸に湾曲した凸レンズ面となっているものである。
本発明のレンズ付き基板によると、レンズ部材の基端側が基板のスルーホール内にまで延在しているため、レンズ部材の基板への固定強度が高い。また、レンズ部材の先端側が基板から突出しているため、その分だけ光通信対象との距離を短くすることができ、またその先端部の凸レンズ面が集光可能であるため、光ロスが少ない。更に当該スルーホール内に空隙が生じないように透明部材が配置されているため、スルーホール内における光ロスも少ない。更に、これら透明部材及びレンズ部材を介して光通信するため、基板が透明基板でない場合にあっても、少ない光ロスにて光通信することができる。
本発明のレンズ付き基板は、電気配線を有する電気配線板であってもよい。また、透明部材の先端面は、前記基板の表面と平行な非レンズ面となっていてもよく、スルーホールから突出した凸レンズ面となっていてもよい。
次に、レンズ付き基板の各部材について説明する。
基板の材料としては、特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ樹脂基板、セラミック基板、ガラス基板、シリコン基板、プラスチック基板、金属基板、樹脂層付き基板、金属層付き基板、プラスチックフィルム、樹脂層付きプラスチックフィルム、金属層付きプラスチックフィルム、電気配線板などが挙げられ、特に、後述するレンズ部材用感光性樹脂組成物を光硬化するための活性光線に対して遮光効果があることが好ましい。
例えば、透明樹脂を光硬化するための活性光線が紫外光であれば、金属基板、紫外光を透過しないプラスチック基板やガラスエポキシ樹脂基板などが好適に挙げられる。但し、後述するマスクを用いる場合には、遮光効果を有しなくてもよい。
基板の厚みには特に制限はないが、強度の確保及び光路の短縮による光ロスの低減の観点から、基板の厚みは5μm〜1mmであることが好ましく、10μm〜100μmであることがより好ましい。
スルーホールは、基板に1個以上存在すれば良く、例えば、ドリル加工や、レーザ加工によって好適に形成することができる。また、スルーホールの側面に各種金属を蒸着、スパッタ、めっき等によって形成した金属層付きスルーホールであっても良い。スルーホール外周の基板表面に金属箔を設けると遮光部として用いることができる。
スルーホールの深さ方向と直交する平面視形状としては、特に限定はなく、真円、楕円等の円状;三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形状等であってもよい。また、スルーホール内の空間は、深さ方向の位置によらず同一形状である柱上であってもよく、深さ方向に移動するに従って小さくなるテーパ状であってもよい。
スルーホールの平面視形状の面積は、光ロスに影響のない範囲であれば良く、好ましくは600〜200000μm2であり、より好ましくは2500〜35000μm2である。
レンズ部材の材料としては、光信号に対して透明であれば特に制限はないが、後述する製造方法の観点から、感光性樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。
この感光性樹脂組成物としては、(a)バインダーポリマーと、(b)エチレン性不飽和基を有する光重合性不飽和化合物と、(c)光重合開始剤と、を含有するものが好ましい。
透明部材の材料としては、光信号に対して透明であれば特に制限はないが、後述する製造方法の観点から、感光性樹脂組成物の硬化物や熱硬化樹脂組成物の硬化物であることが好ましく、レンズ部材と共に形成可能である観点から、感光性樹脂組成物の硬化物であることがより好ましい。この感光性樹脂組成物としては、レンズ部材と同様である。
この透明部材の先端面は、基板の表面と同一であってもよく、基板の表面よりも引込んでいてもよいが、光通信を行う対象物との間の光路を短くする観点から、突出していることが好ましい。
本発明のレンズ付き基板の製造方法は、下記工程1〜4を含むものである。
工程1:レンズ部材用感光性樹脂組成物を前記基板の一方の面に積層すると共に前記スルーホール内に充填し、透明樹脂組成物を前記基板の他方の面に積層すると共に前記スルーホール内に充填する工程
工程2:前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物を露光して硬化すると共に、前記透明樹脂組成物を光硬化又は熱硬化する工程
工程3:前記レンズ部材用感光性樹脂組成物の未硬化部分を現像除去し、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在する柱状透明部材を形成する工程
工程4:前記柱状透明部材を加熱し、前記柱状透明部材のうち前記基板から突出している先端部を液だれさせて凸レンズ面を形成する工程
本発明の製造方法によると、活性光線がスルーホール内の透明樹脂組成物を介してレンズ部材用感光性樹脂組成物に照射されるため、基板の種類にかかわらず、レンズ部材用感光性樹脂組成物を確実に光硬化させることができる。また、柱状透明部材の基端部側から先端部側に向かって活性光線を照射しているため、柱状透明部材の先端部側よりも基端部側をより硬化させることができる。そのため、加熱時に基端部よりも先端部の方が容易に液だれし、先端部に凸レンズ面を精度よく形成することができる。
次に、本発明のレンズ付き基板及びその製造方法について具体的に説明する。
第1の実施形態に係るレンズ付き基板1及びその製造方法について、図面を参照して説明する。
図1(a)は第1の実施の形態に係るレンズ付き基板1の平面図、図1(b)は図1(a)のB−B線に沿う断面図、図1(c)は図1(a)のレンズ部材の正面図である。図2は、図1のレンズ付き基板の製造方法の一例を示す断面図である。
このレンズ付き基板1は、スルーホール2a(図2(a)参照)を有する基板2と、スルーホール2aの内部から基板2の一方の面(図1(b)の上面)の外方にわたって延在するレンズ部材4と、スルーホール2aの内部のうちレンズ部材4よりも基板2の他方の面(図1(b)の下面)側に存在する透明部材3とを有する。
このレンズ部材4は、その基端面4yがスルーホール2aの内部において透明部材3の基端面と接面しており、その先端面がスルーホール2aから突出して凸に湾曲した凸レンズ面4xとなった形状を有している。
一方、透明部材3は、その基端面がスルーホール2aの内部においてレンズ部材4の基端面4yと接面している。本実施の形態では、この透明部材3の先端部は、スルーホール2aから突出して基板2の他方の面(下面)に沿って張り出した鍔部となっている。すなわち、この透明部材3の先端面は、基板2の他方の面(下面)よりも突出した平面となっている。この鍔部により、透明部材3の基板厚み方向の押圧力に対する強度が高くなる。
例えば、この透明部材3と対向する位置に存在する発光素子から放出された光信号は、透明部材3の基端面から入射する。この際、透明部材3の基端面は平面であるため、光の散乱が抑制される。入射した光信号は、透明部材3及びレンズ部材4を通った後、凸レンズ面4xによって集光されて、凸レンズ面4xと対向する位置に存在する受光素子に入射されることにより、少ない光ロスにて光通信を行うことができる。
上記レンズ付き基板1は、次の製造方法により好適に製造することができる。
(工程1a)
工程1aでは、図2(a)及び(b)に示すとおり、レンズ部材用感光性樹脂組成物4aを、基板2の一方の面(上面)に積層すると共にスルーホール2a内に充填し、また、透明樹脂組成物(好適には感光性樹脂組成物)3aを、基板の他方の面(下面)に積層すると共にスルーホール2a内に充填する。なお、本実施の形態では、基板2として活性光線を遮蔽する材料を用いる。
これら感光性樹脂組成物4a及び3aを基板2に積層する方法については特に制限はなく、感光性樹脂組成物4a及び3aが液状の場合は、基板2に常法によって塗布すれば良い。感光性樹脂組成物4a及び3aがフィルム状の場合は、ロールラミネータ、真空加圧ラミネータ、プレス、真空プレス等の各種方法を用いれば良い。積層する順番については特に限定はなく、(a)感光性樹脂組成物4aを基板2の一方の面に積層した後に、感光性樹脂組成物3aを基板2の他方の面に積層しても良いし、(b)感光性樹脂組成物3aを基板2の他方の面に積層した後に、感光性樹脂組成物4aを基板2の一方の面に積層しても良いし、(c)感光性樹脂組成物4a及び3aを同時に積層しても良い。
感光性樹脂組成物4a及び3aの境界面は、(a)の場合には基板2の他方の面付近となり、(b)の場合には基板2の一方の面付近となり、(c)の場合には基板2の厚み方向の中心付近となる。(c)の場合、感光性樹脂組成物4a及び3aの境界面の平坦性を確保しやすいためより好ましい。
工程2aでは、図2(b)に示すとおり、スルーホール2aと対向する位置にスルーホール2aよりも大きい開口部10aを備えたマスク10を、基板2の他方の面(下面)側に配置し、基板2の他方の面(下面)側からマスク10を介して活性光線を照射することにより、感光性樹脂組成物4a及び3aを露光して硬化する。
工程3では、感光性樹脂組成物4a及び3aの未硬化部分を現像除去し、透明部材3及び柱状透明部材4bを形成する(図2(c))。このとき、基板2が遮光性材料からなる場合には、図2(c)に示すとおり、柱状透明部材4bの幅はスルーホール2aの幅と同一になる。一方、基板2が非遮光性材料からなる場合には、柱状透明部材4bのうち、スルーホール2a内に存在する部分の幅はスルーホール2aの幅と同一になり、スルーホール2aから突出した部分の幅は、マスク10の開口部10aの幅と同一になる(図示略)。
工程4aでは、柱状透明部材4bを加熱し、柱状透明部材4bのうち基板2から突出している先端部を液だれさせて、凸レンズ面4xを形成する。このようにして、レンズ部材4が形成される。
次に、第2の実施形態に係るレンズ付き基板1A及びその製造方法について、図面を参照して説明する。図3は第2の実施の形態に係るレンズ付き基板1Aの断面図である。
このレンズ付き基板1Aは、透明部材3Aの先端面を凸レンズ面としたこと以外は図1,2のレンズ付き基板1と同様であり、同一符号は同一部分を示している。
このレンズ付き基板1Aは、上記工程4aにおいて、透明部材の先端面も加熱して液だれさせることにより形成することができる。
このレンズ付き基板1Aによると、上下のレンズによって集光することが可能である。
図4(a)は第3の実施の形態に係るレンズ付き基板(レンズ付き電気配線基板)1Bの斜視図、図4(b)は図4(a)のB−B線に沿う断面図である。図5(a)はレンズ付き基板1Bを図4(a)の上方から見下ろした平面図、図5(b)はレンズ付き基板1Bを図4(a)の下方から見上げた平面図である。
このレンズ付き基板1Bは、電気配線及び光学素子を有すること以外は図1,2のレンズ付き基板1と同一であり、同一符号は同一部分を示している。
すなわち、このレンズ付き基板1Bにあっては、基板2の上面に配線7a、7b、及び7cが設けられており、基板2の下面に配線5a、5b、及び5cが設けられている。また、基板2を貫通するメッキスルーホール6aによって配線7a及び5aが接続されていると共に、基板2を貫通するメッキスルーホール6bによって配線7b及び5bが接続されている。発光素子(光学素子)11が、バンプ11aを介して配線5a及び5cに接続されていると共に、受光素子(光学素子)12が、バンプ12aを介して配線5b及び5cに接続されている。
このレンズ付き基板1Bによると、1つの基板に光通信及び電気通信の両方の機能を付与することができる。
図6は第4の実施の形態に係るレンズ付き基板1Cの断面図である。
このレンズ付き基板1Cは、基板に穴あけ加工する際に、スルーホール2aと共にスルーホール2bを形成し、工程3aのときにこのスルーホール2b内に存在する感光性樹脂組成物4a及び3aの未硬化部分を現像除去することにより好適に製造することができ、また、上記工程4aの後に、基板2にスルーホール2bをドリルやレーザー等によって形成することによっても好適に製造することができる。
このレンズ付き基板1Cによると、図示は省略するが、光ファイバコネコネクタが備えている結合用ピンを、上記スルーホール2bに差し込むことにより、光ファイバコネクタを位置精度及び結合効率よく固定することができる。
図7は第5の実施の形態に係るレンズ付き基板(レンズ付き電気配線基板)1D(1E)の断面図である。
このレンズ付き基板1D(1E)は、基板2の上面に設けられた配線7a及び7bと、基板2の下面に設けられた配線5a及び5bとがメッキスルーホール6a及び6bによって接続されており、光学素子11(12)がバンプを介して配線5a及び5bに接続されている。
このレンズ付き基板1D(1E)は、図4及び図5のレンズ付き基板1Bと同様にして製造することができる。
このレンズ付き基板1D(1E)によっても、1つの基板に光通信及び電気通信の両方の機能を付与することができる。
図9(c)における符号1Fは、第6の実施の形態に係るレンズ付き基板1Fの断面図である。
このレンズ付き基板1Fは、図1及び図2のレンズ付き基板1において、透明部材3に代えて、スルーホール内の下部側を占めると共に基板の下面側を被覆する下部クラッド層22を設けたものである。
このレンズ付き基板1Fについては、後述するレンズ付き光導波路の説明においてより詳細に説明するが、レンズ付き光導波路の一部として好適に用いることができる。
(レンズ付き光導波路)
本発明のレンズ付き光導波路は、前述した本発明のレンズ付き基板と、前記基板のうち前記スルーホールの他端側の表面上に存在する下部クラッド層と、前記下部クラッド層上に存在するコア層と、前記コア層上に存在する上部クラッド層と、前記コア層のうち前記レンズと対向する位置に存在するミラーとを有するものである。ここで、前記下部クラッド層の一部が前記透明部材を構成することが好ましい。
本発明のレンズ付き光導波路によると、コア内を伝搬した光信号がミラーで光路変換された後、レンズ部材の凸レンズ面で集光されて出射されるため、光ロスが少ない。また、レンズ付き光導波路の外部から凸レンズ面に入射した光信号は、凸レンズ面で集光された後、ミラーで光路変換されてコア内に伝搬されるため、光ロスが少ない。
上記のレンズ付き光導波路は、下記工程A〜Fを含む製造方法によって好適に製造することができる。
工程A:スルーホールを有しかつ遮光性を有する基板の、前記スルーホールの一方の面側から前記スルーホール内にレンズ用感光性樹脂組成物を充填すると共に、前記スルーホールの他方の面側から前記スルーホール内及び前記他方の面に透明樹脂組成物を形成する工程
工程B:前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ用感光性樹脂組成物を露光して硬化すると共に、前記透明樹脂組成物を光硬化又は熱硬化して前記下部クラッド層を形成する工程
工程C:前記レンズ用感光性樹脂組成物の未硬化部分を現像除去し、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在する柱状透明部材を形成する工程
工程D:前記柱状透明部材を加熱し、前記柱状透明部材のうち前記基板から突出している先端部を液だれさせて凸レンズ面を形成する工程
工程E:前記下部クラッド層の表面にコア層を形成し、前記コア層の表面に上部クラッド層を形成する工程
工程F:前記コア層の前記スルーホールと対向する位置にミラーを形成する工程
次に、レンズ付き光導波路の各部材及びその製造方法について説明する。
レンズ付き基板については、前述したとおりである。
下部クラッド層及び上部クラッド層の材料としては、クラッド層形成用樹脂組成物又はクラッド層形成用樹脂フィルムを用いることができる。
本発明で用いるクラッド層形成用樹脂組成物としては、コアよりも低屈折率で、光又は熱により硬化する樹脂組成物であれば特に限定されず、熱硬化性樹脂組成物や感光性樹脂組成物を好適に使用することができる。クラッド層形成用樹脂に用いる樹脂組成物は、下部クラッド層及び上部クラッド層において、該樹脂組成物に含有する成分が同一であっても異なっていてもよく、該樹脂組成物の屈折率が同一であっても異なっていてもよい。
本発明においては、クラッド層の形成方法は特に限定されず、例えば、クラッド層形成用樹脂組成物の塗布又はクラッド層形成用樹脂フィルムのラミネートにより形成すれば良い。
塗布による場合には、その方法は限定されず、クラッド層形成用樹脂組成物を常法により塗布すれば良い。
また、ラミネートに用いるクラッド層形成用樹脂フィルムは、例えば、クラッド層形成用樹脂組成物を溶媒に溶解して、キャリアフィルムに塗布し、溶媒を除去することにより容易に製造することができる。
下部クラッド層及び上部クラッド層の厚さに関しては、特に限定するものではないが、乾燥後の厚さで、5〜500μmの範囲が好ましい。5μm以上であると、光の閉じ込めに必要なクラッド厚さが確保でき、500μm以下であると、膜厚を均一に制御することが容易である。以上の観点から、下部クラッド層及び上部クラッド層の厚さは、さらに10〜100μmの範囲であることがより好ましい。
コア層としては、コア層形成用樹脂又はコア層形成用樹脂フィルムを用いることができる。
コア層形成用樹脂は、下部クラッド層及び上部クラッド層よりも高屈折率であるように設計され、活性光線によりコアパターンを形成し得るものを用いることが好ましい。パターン化する前のコア層の形成方法は限定されず、前記コア層形成用樹脂組成物を常法により塗布する方法等が挙げられる。
コア層形成用樹脂フィルムの厚さについては特に限定されず、乾燥後のコア層の厚さが、通常は10〜100μmとなるように調整される。該フィルムの仕上がり後のコア層の厚さが10μm以上であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において位置合わせトレランスが拡大できるという利点があり、100μm以下であると、光導波路形成後の受発光素子又は光ファイバとの結合において、結合効率が向上するという利点がある。以上の観点から、該フィルムの厚さは、さらに30〜90μmの範囲であることが好ましく、該厚みを得るために適宜フィルム厚みを調整すれば良い。
次に、本発明に係るレンズ付き光導波路20及びその製造方法について図面を参照して詳細に説明する。
図8(a)はレンズ付き光導波路20の斜視図、図8(b)はレンズ付き光導波路20の平面図、図8(c)は図8(a)の断面図である。図9はレンズ付き光導波路20の製造方法を説明する断面図である。
このレンズ付き光導波路20は、レンズ付き基板1F(図9(c)参照)と、ミラー付き光導波路部材29(図9(d)参照)とからなる。
このレンズ付き基板1Fは、スルーホールを有する基板21と、スルーホールの内部から基板21の一方の面(図9(c)の上面)の外方(上方)にわたって延在するレンズ部材26と、基板21の他方の面(下面)に存在する下部クラッド層22とを有する。この下部クラッド層22の一部は、スルーホールの内部のうちレンズ部材26よりも基板21の他方の面(下面)側にまで突起して透明部材を構成する。
このレンズ部材26は、その基端面(下面)がスルーホールの内部において透明部材(下部クラッド層の突起部)と接面しており、その先端面がスルーホールから突出した凸レンズ面となった形状を有している。
上記ミラー付き光導波路部材29は、上記下部クラッド層22と、下部クラッド層22上に存在するコア層23と、コア層23上に存在する上部クラッド層24とを有する。従って、下部クラッド層22は、レンズ付き基板1Fの一部を構成すると共に、ミラー付き光導波路部材29の一部を構成する。この上部クラッド層24の表面から少なくともコア層23の一部にわたり、コア層23側に向かって断面逆V字形状の溝25が形成されており、この溝25の側面がミラー25aとなっている。図8(c)に示すとおり、レンズ部材26と対向する位置にミラー25aが存在している。
このレンズ付き光導波路20によると、コア層23内を伝搬した光信号がミラー25aで光路変換された後、レンズ部材26の凸レンズ面で集光されて出射されるため、光ロスが少ない。また、レンズ付き光導波路20の外部からレンズ部材26の凸レンズ面に入射した光信号は、凸レンズ面で集光された後、ミラーで光路変換されてコア層23内に伝搬されるため、光ロスが少ない。
上記のレンズ付き光導波路20は、下記工程A〜Fを含む製造方法によって好適に製造することができる。
工程Aでは、スルーホールを有しかつ遮光性を有する基板21のうち、スルーホールの一方の面(上面)及びスルーホール内にレンズ部材用感光性樹脂組成物26aを形成すると共に、スルーホールの他方の面及び前記スルーホール内に透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aを形成する。
レンズ部材用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aを基板21に積層する方法については、特に制限はなく、レンズ部材用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aが液状の場合は、基板21に常法によって塗布すれば良い。レンズ部材用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aがフィルム状の場合は、ロールラミネータ、真空加圧ラミネータ、プレス、真空プレス等の各種方法を用いれば良い。積層する順番については特に限定はなく、(a)レンズ部材用感光性樹脂組成物26aを基板21の表面に形成した後に、透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aを基板21の裏面に積層しても良いし、(b)透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aを基板1の裏面に積層した後に、レンズ部材用感光性樹脂組成物26aを基板21の表面に積層しても良いし、(c)レンズ部材用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aを同時に積層しても良い。
レンズ部材用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aとの境界面は、(a)の場合には基板21の裏面付近となり、(b)の場合には基板21表面付近となり、(c)の場合には基板21の厚み方向の中心付近となる。(c)の場合、レンズ部材用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物(感光性樹脂組成物)22aのそれぞれの樹脂表面の平坦性を確保しやすいため特に好ましい。
工程Bでは、前記基板21の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物26aを露光して硬化すると共に、前記透明樹脂組成物22aを光硬化して前記下部クラッド層22を形成する。ここで、基材21を遮光性材料とすることにより、後述する柱状透明部材26bに相当する領域のみが露光により硬化する。
工程Cでは、レンズ部材用感光性樹脂組成物26aの未硬化部分を現像除去し、前記スルーホールの内部から前記基板21の一方の面の外方にわたって延在する柱状透明部材26bを形成する。
柱状透明部材26bを形成する方法は、樹脂未硬化部をエッチング除去すれば良く、樹脂未硬化部を除去し得る現像液を用いてエッチングすれば良い。
工程Dでは、柱状透明部材26bを加熱し、柱状透明部材26bのうち基板21から突出している先端部を液だれさせて凸レンズ面を形成する。この工程は、前述したレンズ付き基板の場合と同様である。
工程Eでは、下部クラッド層22の表面にコア層23を形成し、前記コア層23の表面に上部クラッド層24を形成する。
各層の形成方法としては特に限定はなく、液状のクラッド層形成用樹脂組成物又はコア層形成用樹脂組成物をスピンコート等で塗布しても良いし、フィルム形状のクラッド層形成用樹脂組成物又はコア層形成用樹脂組成物を、ロールラミネータ、真空ラミネータ、プレス、真空プレス等の方法でラミネートしても良い。
工程Fでは、コア層23のうちスルーホールと対向する位置にミラーを形成する。
ミラーの形成方法としては、公知の方法を適用することができる。例えば、上部クラッド層24形成面側から、ダイシングソー等を用いて、コア層23を切削することにより形成することができる。形成するミラーは、45°であることが好ましい。
また、ミラー部に蒸着装置を用いて、金等の金属を蒸着し、反射金属層を備えたミラー部としても良い。本工程Fは、前述の工程Eのコア層23を積層した後の工程E中に行っても良い。
図10(a)はレンズ付き光導波路30の斜視図、図10(b)はレンズ付き光導波路30の平面図、図10(c)は図10(a)のC−C線に沿う断面図である。
このレンズ付き光導波路30は、図8及び図9のレンズ付き光導波路20において、基板21の上面に配線5a〜5cを設け、バンプを介して発光素子11及び受光素子12を設置したものである。
このレンズ付き光導波路30は、図8及び図9のレンズ付き光導波路20において、基板21に代えて配線7a〜7dが形成された電気配線板を用い、また、通常の方法によって光学素子11及び12を設置すればよい。
図11のレンズ付き光導波路40は、図10のレンズ付き光導波路30において、光学素子11及び12に代えて、図7のレンズ付き基板1D(1E)を設置したものである。
次の手順により、図1及び図2に示すレンズ付き基板1(但し、レンズ部材4は2個とした)を作成し、評価した。
[クラッド層形成用樹脂フィルムの作製]
<(A)ベースポリマー;(メタ)アクリルポリマー(A−1)の作製>
撹拌機、冷却管、ガス導入管、滴下ろうと、及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部及び乳酸メチル23質量部を秤量し、窒素ガスを導入しながら撹拌を行った。液温を65℃に上昇させ、メチルメタクリレート47質量部、ブチルアクリレート33質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート16質量部、メタクリル酸14質量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート46質量部、及び乳酸メチル23質量部の混合物を3時間かけて滴下後、65℃で3時間撹拌し、さらに95℃で1時間撹拌を続けて、(メタ)アクリルポリマー(A−1)溶液(固形分45質量%)を得た。
(A−1)の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)をGPC(東ソー(株)製「SD−8022」、「DP−8020」、及び「RI−8020」)を用いて測定した結果、3.9×104であった。なお、カラムは日立化成工業(株)製「Gelpack GL−A150−S」及び「Gelpack GL−A160−S」を使用した。
(酸価の測定)
A−1の酸価を測定した結果、79mgKOH/gであった。なお、酸価はA−1溶液を中和するのに要した0.1mol/L水酸化カリウム水溶液量から算出した。このとき、指示薬として添加したフェノールフタレインが無色からピンク色に変色した点を中和点とした。
(A)ベースポリマーとして、前記A−1溶液(固形分45質量%)84質量部(固形分38質量部)、(B)光硬化成分として、ポリエステル骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製「U−200AX」)33質量部、及びポリプロピレングリコール骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(新中村化学工業(株)製「UA−4200」)15質量部、(C)熱硬化成分として、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型三量体をメチルエチルケトンオキシムで保護した多官能ブロックイソシアネート溶液(固形分75質量%)(住化バイエルウレタン(株)製「スミジュールBL3175」)20質量部(固形分15質量部)、(D)光重合開始剤として、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(BASFジャパン(株)製「イルガキュア2959」)1質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(BASFジャパン(株)製「イルガキュア819」)1質量部、及び希釈用有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23質量部を攪拌しながら混合した。孔径2μmのポリフロンフィルタ(アドバンテック東洋(株)製「PF020」)を用いて加圧濾過後、減圧脱泡し、クラッド層形成用樹脂ワニスを得た。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂ワニスを、支持フィルムであるPETフィルム(東洋紡績(株)製「コスモシャインA4100」、厚み50μm)の非処理面上に、塗工機(マルチコーターTM−MC、(株)ヒラノテクシード製)を用いて塗布し、100℃で20分乾燥後、保護フィルムとして表面離型処理PETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製「ピューレックスA31」、厚み25μm)を貼付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。
クラッド層形成用樹脂フィルムの厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であり、実施例中に記載する。実施例中に記載する上部クラッド層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
(A)ベースポリマーとして、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成(株)製)26質量部、(B)光重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(商品名:A−BPEF、新中村化学工業(株)製)36質量部、及びビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA−1020、新中村化学工業(株)製)36質量部、(C)光重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、BASFジャパン(株)製)1質量部、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、BASFジャパン(株)製)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法及び条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法及び条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、支持フィルムであるPETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績(株)製、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム(株)、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。
レンズ部材形成用樹脂フィルムも、コア層形成用樹脂フィルムと同様の操作を行うことにより得た。
このとき樹脂層の厚みは、塗工機のギャップを調節することで任意に調整可能であり、本実施例では使用したコア層形成用樹脂フィルム及びレンズ部材形成用樹脂フィルムの厚みについては、実施例中に記載する。実施例中に記載するコア層形成用樹脂フィルムの膜厚は塗工後の膜厚とする。
基板2として150mm×150mmのポリイミドフィルム(宇部日東化成(株)製、商品名;ユーピレックスRN、厚み;25μm)に、ドリル加工にて直径150μmのスルーホールを2箇所(スルーホール中心間距離;100mm)形成し、スルーホール付き基板を得た。
25μm厚みのレンズ部材形成用樹脂フィルムと、上記で得られた25μm厚みのクラッド層形成用樹脂フィルムを、それぞれ保護フィルムを剥離後、上記で得られた基板の両面に配置した。真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度110℃、加圧時間30秒の条件にて加熱圧着して、ラミネートすることにより、レンズ部材形成用感光性樹脂組成物4a及び透明樹脂組成物3aを得た。
その後、両面の支持フィルムを剥離し,現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、樹脂未硬化部をエッチングした後、水洗浄し、柱状透明部材4b及び透明部材3を形成した。その後170℃で1時間加熱乾燥及び硬化し、レンズ部材4及び透明部材3を形成した。
レンズ部材4を観察した結果、直径151μmであり、断面形状は25μmの高さで、曲率半径は、125μmであった。透明部材3側の断面形状は25μmの高さで、平坦であった。透明部材3側から入射部用としてGI50のマルチモード用光ファイバを用いて850nmの光信号を入射し、レンズ部材4側に受光部用として設置したGI62.5のマルチモード光ファイバを光ファイバ先端間距離100μmにしたところ光伝搬損失は0.45dBであった。光ファイバ先端間距離を200μmにしたところ0.55dBであった。
次の手順により、図8及び図9に示すレンズ付き光導波路20(但し、レンズ部材26は2個とした)を作成し、評価した。
[クラッド層形成用樹脂フィルム及びコア層形成用樹脂フィルムの作製]
これらは、実施例1と同様にして作製した。
[スルーホール付き基板21の作製]
スルーホール付き基板21として、スルーホール付き基板2と同様のものを用いた。
25μm厚みのレンズ部材形成用樹脂フィルムと、上記で得られた25μm厚みのクラッド層形成用樹脂フィルムを、それぞれ保護フィルムを剥離後、上記で得られた基板21の両面に配置した。真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度110℃、加圧時間30秒の条件にて加熱圧着して、ラミネートすることにより、レンズ部材形成用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物22aを得た。
次いで、基板21の下側から、マスク10を用いることなく、紫外線露光機((株)オーク製作所製、EXM−1172)にて基板の下方から紫外線(波長365nm)を300mJ/cm2照射し、レンズ部材形成用感光性樹脂組成物26a及び透明樹脂組成物22aを光硬化した。
その後、両面の支持フィルムを剥離し、現像液(1%炭酸カリウム水溶液)を用いて、樹脂未硬化部をエッチングした後、水洗浄し、柱状透明部材26b及び下部クラッド層22を形成した。その後、170℃で1時間加熱乾燥及び硬化し、レンズ部材26及び下部クラッド層22を形成した。
上記で得られた下部クラッド層22上に、上記で得られた50μm厚みのコア層形成用樹脂フィルムを、保護フィルを剥離した後に配置し、ロールラミネータ(日立化成テクノプラント(株)製、HLM−1500)を用い圧力0.4MPa、温度50℃、ラミネート速度0.2m/minの条件でラミネートし、次いで上記の真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製、MVLP−500)を用い、500Pa以下に真空引きした後、圧力0.4MPa、温度70℃、加圧時間30秒の条件にて加熱圧着した。
得られた光導波路部材の上部クラッド層24側からダイシングソー(DAC552、(株)ディスコ社製)を用いて45°のミラー25aをレンズ部材26の直上部に形成した。これにより、レンズ付き光導波路20を得た。ミラー25a間距離は10cmであった。
レンズ部材4を観察した結果、直径151μmであり、断面形状は25μmの高さで、曲率半径は、125μmであった。透明部材3側の断面形状は25μmの高さで、平坦であった。一方のレンズ部材26側から入射部用としてGI50のマルチモード用光ファイバを用いて850nmの光信号を入射し、もう一方のレンズ部材26側に受光部用として設置したGI62.5のマルチモード光ファイバをレンズ部材26と光ファイバ先端との距離をそれぞれ30μmにしたところ光伝搬損失は3.55dBであった。レンズ部材26と光ファイバ先端との距離をそれぞれ100μmにしたところ3.64dBであった。
実施例1において、基板にスルーホールを形成する際に、レンズ部材の形成用のスルーホール2aの他に嵌合ピン穴用のスルーホール2bを2箇所設置(図6参照)した以外は同様の方法で、嵌合ピン穴付きのレンズ付き基板を作製した。評価を行ったところ実施例1と同じ光伝搬損失値であった。
実施例1において、片面銅箔付きのポリイミドフィルム(ポリイミド;宇部日東化成製のユーピレックスVT(25μm)、銅箔;三井金属製のNA−DFF(12μm))にスルーホールを形成した後に、該銅箔をサブトラクティブ法にて電気配線を形成した以外は同様の方法でレンズ付き基板を作製した。同様に評価を行ったところ実施例1と同じ光伝搬損失値であった。
実施例1において、透明部材4の材料としてコア層形成用樹脂フィルムに代えてレンズ形成用樹脂フィルムを用いた以外は同様の方法でレンズ付き基板を作製した。レンズ部材4を観察した結果、露光光源から遠い側のレンズの断面形状は、高さが25μmであり、曲率半径が125μmであった。露光光源に近い側のレンズの断面形状は、高さが25μmであり、曲率半径が300μmであった。
2 基板
2a スルーホール
3 透明部材
4 レンズ部材
20 レンズ付き光導波路
21 基板
22 下部クラッド層
23 コア層
24 上部クラッド層
25 溝
25a ミラー
Claims (12)
- スルーホールを有する基板と、
前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在するレンズ部材と、
前記スルーホールの内部のうち前記レンズ部材よりも前記基板の他方の面側に存在する透明部材と、
を有するレンズ付き基板であって、
前記スルーホールの内部において前記レンズの基端面と前記透明部材の基端面とが接面しており、前記レンズの先端面が前記スルーホールから突出して凸に湾曲した凸レンズ面となっているレンズ付き基板。 - 前記基板が、電気配線を有する電気配線板である請求項1に記載のレンズ付き基板。
- 前記透明部材の先端面は前記基板の表面と平行な非レンズ面となっている請求項1又は2に記載のレンズ付き基板。
- 前記透明部材の先端面は前記スルーホールから突出した凸レンズ面となっている請求項1又は2に記載のレンズ付き基板。
- 下記工程1〜4を含む請求項1〜4のいずれかに記載のレンズ付き基板の製造方法。
工程1:レンズ部材用感光性樹脂組成物を前記基板の一方の面に積層すると共に前記スルーホール内に充填し、透明樹脂組成物を前記基板の他方の面に積層すると共に前記スルーホール内に充填する工程
工程2:前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物を露光して硬化すると共に、前記透明樹脂組成物を光硬化又は熱硬化する工程
工程3:前記レンズ部材用感光性樹脂組成物の未硬化部分を現像除去し、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在する柱状透明部材を形成する工程
工程4:前記柱状透明部材を加熱し、前記柱状透明部材のうち前記基板から突出している先端部を液だれさせて凸レンズ面を形成する工程 - 前記工程2において、前記基板の他方の面側に、前記スルーホールと対向する位置に開口部を有するマスクを配置し、前記他方の面側から前記マスクを介して活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物を露光して硬化する請求項5に記載のレンズ付き基板の製造方法。
- 前記基板が遮光性を有するものであり、
前記工程2において、前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ部材用感光性樹脂組成物のうち前記スルーホールと対向する部分を露光して硬化する請求項5に記載のレンズ付き基板の製造方法。 - 前記透明樹脂組成物が感光性樹脂組成物である請求項5〜7のいずれかに記載のレンズ付き基板の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のレンズ付き基板と、
前記基板のうち前記スルーホールの他端側の表面上に存在する下部クラッド層と、
前記下部クラッド層上に存在するコア層と、
前記コア層上に存在する上部クラッド層と、
前記コア層のうち前記レンズと対向する位置に存在するミラーと
を有するレンズ付き光導波路。 - 前記下部クラッド層の一部が前記透明部材を構成する請求項9に記載のレンズ付き光導波路。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のレンズ付き基板の前記他方の面に光導波路部材を形成するレンズ付き光導波路の製造方法。
- 下記工程A〜Fを含む請求項10に記載のレンズ付き光導波路の製造方法。
工程A:スルーホールを有しかつ遮光性を有する基板の、前記スルーホールの一方の面側から前記スルーホール内にレンズ用感光性樹脂組成物を充填すると共に、前記スルーホールの他方の面側から前記スルーホール内及び前記他方の面に透明樹脂組成物を形成する工程
工程B:前記基板の他方の面側から活性光線を照射することにより、前記レンズ用感光性樹脂組成物を露光して硬化すると共に、前記透明樹脂組成物を光硬化又は熱硬化して前記下部クラッド層を形成する工程
工程C:前記レンズ用感光性樹脂組成物の未硬化部分を現像除去し、前記スルーホールの内部から前記基板の一方の面の外方にわたって延在する柱状透明部材を形成する工程
工程D:前記柱状透明部材を加熱し、前記柱状透明部材のうち前記基板から突出している先端部を液だれさせて凸レンズ面を形成する工程
工程E:前記下部クラッド層の表面にコア層を形成し、前記コア層の表面に上部クラッド層を形成する工程
工程F:前記コア層の前記スルーホールと対向する位置にミラーを形成する工程
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