JP2013204748A - 流体圧緩衝器 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久性を向上させることができる流体圧緩衝器を提供する。
【解決手段】シリンダ12の一端側に配置されピストンロッド15の外周面に圧接する往復動用の環状のオイルシール22を備え、オイルシール22は、シリンダ12側に配置される第1シールリップ73と、大気側に配置されるダストシールリップ72と、第1シールリップ73およびダストシールリップ72とは独立して設けられる第2シールリップ70とからなり、第2シールリップ70が、径方向に移動可能に配置されている。
【選択図】図1
【解決手段】シリンダ12の一端側に配置されピストンロッド15の外周面に圧接する往復動用の環状のオイルシール22を備え、オイルシール22は、シリンダ12側に配置される第1シールリップ73と、大気側に配置されるダストシールリップ72と、第1シールリップ73およびダストシールリップ72とは独立して設けられる第2シールリップ70とからなり、第2シールリップ70が、径方向に移動可能に配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、流体圧緩衝器に関する。
ピストンロッドの外周側の隙間をシールするオイルシールには、シリンダ側のリップと大気側のダストリップとを有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
例えばピストンロッドに横力が作用した場合に、オイルシールには径方向に偏った力が作用することがあり、そのままピストンロッドがオイルシールのリップ部分を摺動すると、リップ部分に偏摩耗やヘタリを生じさせる可能性がある。これにより、オイルシールの耐久性ひいては流体圧緩衝器の耐久性を低下させてしまう可能性があった。
したがって、本発明は、耐久性を向上させることができる流体圧緩衝器の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、オイルシールが、シリンダ側に配置される第1シールリップと、大気側に配置されるダストシールリップと、前記第1シールリップおよび前記ダストシールリップとは独立して設けられる第2シールリップとからなり、前記第2シールリップが、径方向に移動可能に配置される構成とした。
本発明によれば、耐久性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る流体圧緩衝器を図面を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る流体圧緩衝器11は、複筒式のもので、自動車や鉄道車両のサスペンション装置に用いられるものである。流体圧緩衝器11は、内側シリンダ(シリンダ)12と、内側シリンダ12より大径で内側シリンダ12との間にリザーバ室13を形成するように同軸状に配置される外側シリンダ14と、内側シリンダ12の中心軸線上に配置されるとともに軸方向一側が内側シリンダ12の内部に挿入され軸方向他側が内側シリンダ12および外側シリンダ14から外部に突出するピストンロッド15と、このピストンロッド15の端部に取り付けられ内側シリンダ12内に摺動可能に挿入されて内側シリンダ12内を二つの室16,17に区画するピストン18とを有している。ピストンロッド15は、ピストン18と一体的に移動することになり、一端部が内側シリンダ12および外側シリンダ14から外部に突出している。内側シリンダ12内には、作動流体としての油液が封入されることになり、内側シリンダ12と外側シリンダ14との間のリザーバ室13には、作動流体としての油液および高圧ガスが封入されることになる。
また、流体圧緩衝器11は、内側シリンダ12および外側シリンダ14におけるピストンロッド15突出側の端部位置に配置されるロッドガイド21と、ロッドガイド21よりもさらに外側に配置されるオイルシール22と、内側シリンダ12および外側シリンダ14の軸方向のロッドガイド21とは反対側に配置されるベースバルブ23とを有している。ロッドガイド21およびオイルシール22は、いずれも環状をなしており、それぞれの内側にピストンロッド15が摺動可能に挿通される。オイルシール22は、内側シリンダ12内の油液およびリザーバ室13内の高圧ガスおよび油液が外部に漏出するのを規制するものである。なお、本実施の形態ではリザーバ室13内に作動流体としての油液および高圧ガスを封入するとしたが、高圧ガスに限らず、空気を封入してもよい。
外側シリンダ14は、円筒状の胴部25と、この胴部25におけるピストンロッド15の突出側とは反対の一端側を閉塞させる底部26と、胴部25におけるピストンロッド15の突出側の開口部27の位置から径方向内方に突出する係止部28とを有する略有底円筒状をなしている。
内側シリンダ12は、円筒状をなしており、軸方向の一端側が外側シリンダ14の底部26の内側に配置されるベースバルブ23のベースボディ24に支持され、軸方向の他端側が外側シリンダ14の開口部27の内側に配置されるロッドガイド21に支持されている。
ベースバルブ23のベースボディ24には、内側シリンダ12内の室17と、外側シリンダ14と内側シリンダ12との間のリザーバ室13とを連通可能な油通路31,32が形成されている。また、ベースボディ24には内側の油通路31を開閉可能な縮み側減衰バルブとしてのディスクバルブ33が底部26側に配置されるとともに、外側の油通路32を開閉可能なチェックバルブとしてのディスクバルブ34が底部26とは反対側に配置されている。これらディスクバルブ33,34は、ベースボディ24に底部26側から挿入されるリベット35の一端の頭部35aと他端の加締部35bとでベースボディ24に取り付けられている。
ディスクバルブ33は、ディスクバルブ34の図示略の通路穴および油通路31を介して室17からリザーバ室13側への油液の流れを許容して減衰力を発生する一方で逆方向の油液の流れを規制し、これとは反対に、ディスクバルブ34は油通路32を介してリザーバ室13から室17側への油液の流れを抵抗無く許容する一方で逆方向の油液の流れを規制する。つまり、ディスクバルブ33は、ピストンロッド15が縮み側に移動しピストン18が室17側に移動して室17の圧力が上昇すると油通路31を開くことになり、その際に減衰力を発生する減衰バルブである。また、ディスクバルブ34は、ピストンロッド15が伸び側に移動しピストン18が室16側に移動して室17の圧力が下降すると油通路32を開くことになるが、その際にリザーバ室13から室17内に実質的に減衰力を発生せずに油液を流すサクションバルブである。
ピストンロッド15は、一定径の主軸部37と、内側シリンダ12に挿入される側の端部の、主軸部37よりも小径の内端軸部38とを有している。この内端軸部38にはナット39が螺合されており、このナット39によってピストン18およびその両側のディスクバルブ41,42がピストンロッド15に取り付けられている。
ピストン18には、内側シリンダ12の底部26側の室17と底部26とは反対側の室16とを連通可能な油通路44,油通路45が形成されている。また、ピストン18には、外側の油通路44を開閉可能な縮み側減衰バルブである上記したディスクバルブ41が底部26とは反対側に配置されるとともに、内側の油通路45を開閉可能な伸び側減衰バルブとしての上記したディスクバルブ42が底部26側に配置されている。
ディスクバルブ41は室17から室16側への油液の流れを許容する一方で逆方向の油液の流れを規制し、これとは反対に、ディスクバルブ42は室16側から室17への油液の流れを許容する一方で逆方向の油液の流れを規制する。つまり、ディスクバルブ41は、ピストンロッド15が縮み側に移動しピストン18が室17側に移動して室17の圧力が上昇すると油通路44を開くことになり、その際に減衰力を発生する減衰バルブである。また、ディスクバルブ42は、ピストンロッド15が伸び側に移動しピストン18が室16側に移動して室16の圧力が上昇すると油通路45を開くことになり、その際に減衰力を発生する減衰バルブである。
なお、ピストンロッド15が伸び側に移動して内側シリンダ12からの突出量が増大すると、その分の油液がリザーバ室13からベースバルブ23のディスクバルブ34を開きつつ油通路32を介して室17に流れることになり、逆にピストンロッド15が縮み側に移動して内側シリンダ12への挿入量が増大すると、その分の油液が室17からディスクバルブ33を開きつつ油通路31を介してリザーバ室13に流れることになる。
ロッドガイド21は、略段付き円筒状をなす金属製のロッドガイド本体50と、ロッドガイド本体50の内周部に嵌合固定される円筒状のカラー51とからなっている。カラー51は、SPCC材やSPCE材などの金属製の円筒体にフッ素樹脂含浸青銅が被覆されて形成される。
ロッドガイド本体50は、軸方向一側に大径外径部54が形成され、軸方向他側に大径外径部54よりも小径の小径外径部55が形成された外形形状をなしており、大径外径部54において外側シリンダ14の胴部25の内周部に嵌合し、小径外径部55において内側シリンダ12の内周部に嵌合する。ロッドガイド21の径方向の中央には、軸方向の大径外径部54側に大径穴部56が、軸方向の小径外径部55側に大径穴部56よりも小径の小径穴部57が、それぞれ形成されている。
ロッドガイド21の軸方向の外端側には、径方向の中間位置に大径穴部56よりも大径の環状溝59が、径方向の外端位置に面取部60がそれぞれ形成されている。環状溝59が形成されることにより、ロッドガイド21の軸方向の外端側には、大径穴部56と環状溝59との間に軸方向に突出する内側環状凸部61が、環状溝59の径方向外側に軸方向に突出する外側環状凸部62が、それぞれ形成されている。外側環状凸部62は、内側環状凸部61よりもロッドガイド21の軸方向の外側に位置している。
ロッドガイド21には、環状溝59と外側環状凸部62との境界位置に、軸方向に沿って貫通する連通穴64が形成されている。連通穴64は、外側シリンダ14と内側シリンダ12との間のリザーバ室13に連通している。なお、カラー51は、フッ素樹脂が被覆されており、ロッドガイド21の小径穴部57内に嵌合されている。ロッドガイド21は、このカラー51にピストンロッド15が主軸部37において摺接するように挿通される。
オイルシール22は、内側シリンダ12の軸方向の一端側に配置されピストンロッド15の主軸部37の外周面に圧接する往復動用のもので、ロッドガイド21とピストンロッド15の主軸部37との隙間等から漏れ出る油液の外側への漏れ出しを規制する。オイルシール22は、図2に示すように、ゴム製のシール部67と、このシール部67内に埋設される金属製の内環68とからなる一体成形品であるオイルシール本体69と、このオイルシール本体69とは別体の、図3に示すシールリップ部材(第2シールリップ)70とからなっている。
図1に示すように、オイルシール22は、オイルシール本体69のシール部67の外周部が外側シリンダ14の胴部25の内周部に密着することになり、この状態で内環68の位置がロッドガイド21の外側環状凸部62と外側シリンダ14の加締められた係止部28とに挟持される。
シール部67の径方向内側部分は、内環68の内周側の軸方向一側から軸方向に沿って内環68とは反対側に延出する円環状のダストシールリップ部(ダストシールリップ)72と、内環68の内周側の軸方向他側から軸方向に沿って内環68とは反対側に延出する円環状のメインシールリップ部(第1シールリップ)73とを有している。オイルシール本体69は、ダストシールリップ部72が大気側に配置され、メインシールリップ部73が内側シリンダ12側に配置されている。
ダストシールリップ部72は、図2に示すように、自然状態にあるとき内環68から軸方向に離れるほど全体として小径となる先細筒状部75と、先細筒状部75の軸方向の内環68とは反対側にあって径方向外方に延出するフランジ部76とを有している。図1に示すように、このダストシールリップ部72は、その内側に挿通されるピストンロッド15の主軸部37の外周面に、先細筒状部75が所定の締め代をもって全周にわたり密封接触することになり、外部からの異物の進入を規制する。ダストシールリップ部72の先細筒状部75とフランジ部76との境界位置の外周側には、先細筒状部75のピストンロッド15への密着方向の締付力を調整する環状のスプリング77が配置されている。
メインシールリップ部73は、図2に示すように、自然状態にあるとき内環68から軸方向に離れるほど全体として小径となる先細筒状部80と、先細筒状部80の軸方向の内環68とは反対側にあって径方向外方に延出するフランジ部81とを有している。先細筒状部80の軸方向の内環68とは反対側の内周面には軸方向外側ほど大径となる面取り82が形成されている。図1に示すように、このメインシールリップ部73は、その内側に挿通されるピストンロッド15の主軸部37の外周面に先細筒状部80が、所定の締め代をもって全周にわたり密封接触することになり、内部の油液の外側への漏出を規制する。メインシールリップ部73の先細筒状部80とフランジ部81との境界位置の外周側には、先細筒状部80のピストンロッド15への密着方向の締付力を調整する環状のスプリング83が配置されている。メインシールリップ部73およびその外側のスプリング83は、ロッドガイド21の大径穴部56内に配置される。
ここで、ピストンロッド15の主軸部37の外周面が、ダストシールリップ部72およびメインシールリップ部73を摺動する摺動面となっている。
シール部67のロッドガイド21側の径方向中間位置には、円環状のチェックリップ部84が形成されている。このチェックリップ部84は、ロッドガイド21の環状溝59内に配置されていて、内側環状凸部61に所定の締め代を持って全周に渡り密封接触可能となっている。また、シール部67の径方向外端位置には、内環68の外周面を覆うカバー部86とロッドガイド21側に突出する円環状のシールリップ部85とが形成されている。オイルシール22は、カバー部86が外側シリンダ14の胴部25に密封接触することになり、シールリップ部85が、ロッドガイド21の面取部60と外側シリンダ14の胴部25との間に嵌合されて、これらに密封接触する。
なお、ロッドガイド21とピストンロッド15との隙間から漏れ出た油液は、ロッドガイド21の大径穴部56とメインシールリップ部73との間の室87に溜まることになり、チェックリップ部84は、この室87の圧力が、リザーバ室13の圧力よりも所定量高くなった時のみ開く。よって、チェックリップ部84は、室87からリザーバ室13への方向のみ油液およびガスの流通を許容し逆方向の流通を規制する逆止弁として機能する。
ここで、外側シリンダ14の一端からピストンロッド15は一端つまり外端が突出することになるが、ダストシールリップ部72は、外側シリンダ14のピストンロッド15が突出する一端側に設けられ、メインシールリップ部73は、ダストシールリップ部72の内側に設けられることになる。
本実施形態では、図2に示すように、内環68の内径側の軸方向の中央位置に、径方向外方に凹む円環状の保持溝90が径方向内側に開口するように形成されている。保持溝90は軸方向の幅が一定であり、径方向の深さが一定となっている。よって、保持溝90は、オイルシール本体69と同軸状に形成されている。
図1に示すように、シールリップ部材70は、ダストシールリップ部72およびメインシールリップ部73を有するオイルシール本体69とは別体で独立して設けられるもので、シール部67と同質のゴム製の一体成形品であり円環状をなしている。シールリップ部材70は、図3に示すように、自然状態で、軸方向の厚さ、外径および内径がそれぞれ一定とされた円環状の基板部95と、基板部95の内径側の全周から径方向内方に延出する円環状のリップ部96とからなっている。リップ部96は、内径が一定であり、軸方向両側に内径側ほど近接するように傾斜する一対のテーパ面97,97が形成されている。よって、リップ部96は、内径側の端部の軸方向位置が、基板部95の軸方向中央位置と一致するように先端側ほど薄くなるヘラ状をなしている。
シールリップ部材70の厚さは、図2に示す保持溝90の軸方向の幅よりも締め代分厚くされており、シールリップ部材70の外径は、内環68の内径よりも大径且つ保持溝90の底径よりも小径となっている。これにより、図4に示すように、シールリップ部材70は、保持溝90に適度な圧入状態で保持されることになる。その結果、シールリップ部材70は、保持溝90との隙間を全周にわたって密封しつつ、図1に示すピストンロッド15とオイルシール本体69との径方向の相対移動に追従して径方向に移動可能となる。つまり、シールリップ部材70は、オイルシール本体69の保持溝90に嵌合され保持溝90との隙間を介して油液が通過することを規制しつつ、オイルシール本体69に、独立して径方向移動可能となるように配置される。
自然状態にあるときのシールリップ部材70の内径は、ピストンロッド15の主軸部37よりも締め代分小径となっており、よって、このシールリップ部材70は、その内側に挿通されるピストンロッド15の主軸部37の外周面に、所定の締め代をもって全周にわたって密封接触することになり、ピストンロッド15との隙間を介しての内部からの油液の外側への漏出を規制する。なお、自然状態にあるとき、シールリップ部材70の内径は、ダストシールリップ部72の内径およびメインシールリップ部73の内径の中間の大きさであり、ダストシールリップ部72の内径よりも小さく、メインシールリップ部73の内径よりも大きくなっている。つまり、ダストシールリップ部72の内径、シールリップ部材70の内径、メインシールリップ部73の内径は、ダストシールリップ部72の内径>シールリップ部材70の内径>メインシールリップ部73の内径の関係となっている。
上記のオイルシール22は、ダストシールリップ部72がその締め代およびスプリング77による緊迫力でピストンロッド15に密着して気密性を保持することになり、外部露出時にピストンロッド15に付着した異物の進入を主にこのダストシールリップ部72が規制することになる。また、メインシールリップ部73もその締め代およびスプリング83による緊迫力でピストンロッド15に密着して気密性を保持することになり、内部進入時にピストンロッド15に付着した油液の外部への漏出を主にこのメインシールリップ部73が規制することになる。
そして、本実施形態では、シールリップ部材70が、その締め代による緊迫力でピストンロッド15に密着して気密性を保持することになり、ピストンロッド15に付着しダストシールリップ部72を通過してしまった異物を掻き取って、シールリップ部材70を越えてメインシールリップ部73側に進入するのを規制するとともに、ピストンロッド15に付着しメインシールリップ部73を通過してしまった油液を掻き取って、シールリップ部材70を越えてダストシールリップ部72側に進入するのを規制する。つまり、シールリップ部材70は、メインシールリップ部73で掻き落としきれなかった油液の流出を防ぎ、ダストシールリップ部72で排除しきれなかった異物の進入を防ぐことになり、メインシールリップ部73およびダストシールリップ部72の両方の機能を補助する。
ところで、流体圧緩衝器11は、基本的には、外側シリンダ14とこれに加締め固定されたオイルシール本体69とに対し、ピストンロッド15が同心的に往復動することになるが、走行中に、旋回中のコーナリングフォース、路面の凹凸による路面入力により、緩衝器のピストンロッド15には、軸方向すなわちストローク方向だけでなく、横力すなわち軸方向に垂直の荷重がかかる場合がある。このような横力が加わると、ピストンロッド15の主にロッドガイド21よりも外側部分がしなって、オイルシール本体69の外周側との同心状態が維持できなくなる可能性がある。すると、メインシールリップ部73およびダストシールリップ部72が、オイルシール本体69の外周側に対し弾性変形してピストンロッド15の径方向の変位に追従するものの、その際に、ピストンロッド15のしなり方向前方にある径方向一側がピストンロッド15に強く押し付けられて緊迫力が高まり、径方向逆側は逆に緊迫力が弱まる。よって、このような横力が繰り返し加わり続けると、メインシールリップ部73およびダストシールリップ部72に偏摩耗やヘタリを生じてしまう。特にダストシールリップ部72に偏摩耗やヘタリを生じてメインシールリップ部73に異物が噛み込む等すると、油液漏出を誘発してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態の流体圧緩衝器11によれば、オイルシール22の上記したシールリップ部材70が、外側シリンダ14に加締め固定されたオイルシール本体69に対して、独立して径方向に移動可能であるため、上記のようなピストンロッド15の径方向の変位に追従してオイルシール本体69に対して移動することになり、その結果、ピストンロッド15に対する緊迫力を全周にわたってほぼ均一に維持することができる。よって、横力が繰り返し加わり続けても、シールリップ部材70は、偏当たりが抑制され、偏摩耗やヘタリを生じにくい。したがって、例えメインシールリップ部73およびダストシールリップ部72に偏摩耗やヘタリを生じてしまったとしても、これらの性能低下分をシールリップ部材70が補って、異物の進入および油液の流出を規制する機能を維持することになり、オイルシール22ひいては流体圧緩衝器11の耐久性を向上させることができる。
しかも、シールリップ部材70は、メインシールリップ部73とダストシールリップ部72との間にあることから、オイルシール本体69とピストンロッド15との密閉された空間内に配置されることになり、オゾン劣化等の外部からの影響を受けにくい。よって、シールリップ部材70の耐久性が向上することになり、この点からもオイルシール22ひいては流体圧緩衝器11の耐久性を向上させることができる。
また、自然状態にあるとき、シールリップ部材70の内径は、ダストシールリップ部72の内径よりも小さく、メインシールリップ部73の内径よりも大きくなっているため、ピストンロッド15への摺動抵抗を大きくすることなく良好に異物の進入および油液の漏出を規制できる。つまり、シールリップ部材70のピストンロッド15への緊迫力を強くすると摺動抵抗が大きくなってしまうことになるが、シールリップ部材70は、上記のように偏摩耗やヘタリを生じにくく全周が均一的に摩耗することになる上、外部からの影響を受けにくいため、強い緊迫力でなくとも密封性を維持できることになる。
また、シールリップ部材70のピストンロッド15に接触するリップ部96は先端側が薄くなるヘラ状をなしているため、異物および油液を良好に掻き取ることができる。したがって、異物の進入および油液の漏出を効果的に規制できる。
なお、横力によるピストンロッド15のロッドガイド21を基点としたしなりに基づいてシールリップ部材70の位置でのピストンロッド15の径方向の変位量が求められることになるが、この変位に良好に追従させるためには、シールリップ部材70の保持溝90に対する可動範囲を、径方向に3mm以内とするのが望ましい。
以上の実施形態では複筒式の流体圧緩衝器を示したが、単筒式の流体圧緩衝器にも適用可能である。
以上に述べた実施形態は、作動流体が封入されるシリンダと、該シリンダ内に摺動可能に挿入されて該シリンダ内を2室に区画するピストンと、該ピストンと一体的に移動し、一端部が前記シリンダから突出するピストンロッドと、前記シリンダの一端側に配置され前記ピストンロッドの外周面に圧接する往復動用の環状のオイルシールと、を備えた流体圧緩衝器であって、前記オイルシールは、前記シリンダ側に配置される第1シールリップと、大気側に配置されるダストシールリップと、前記第1シールリップおよび前記ダストシールリップとは独立して設けられる第2シールリップとからなり、前記第2シールリップは、径方向に移動可能に配置されることを特徴とする。このように、第2シールリップが径方向に移動可能に配置されるため、ピストンロッドの径方向の変位に追従して移動することができる。よって、横力が繰り返し加わり続けても、第2シールリップは、偏当たりが抑制され、偏摩耗やヘタリを生じにくい。したがって、例え第1シールリップおよびダストシールリップに偏摩耗やヘタリを生じてしまったとしても、これらの性能低下分を第2シールリップが補って、異物の進入および油液の流出を規制する機能を維持することになり、よって、耐久性を向上させることができる。
11 流体圧緩衝器
12 内側シリンダ(シリンダ)
15 ピストンロッド
16,17 室
18 ピストン
22 オイルシール
70 シールリップ部材(第2シールリップ)
72 ダストシールリップ部(ダストシールリップ)
73 メインシールリップ部(第1シールリップ)
12 内側シリンダ(シリンダ)
15 ピストンロッド
16,17 室
18 ピストン
22 オイルシール
70 シールリップ部材(第2シールリップ)
72 ダストシールリップ部(ダストシールリップ)
73 メインシールリップ部(第1シールリップ)
Claims (2)
- 作動流体が封入されるシリンダと、
該シリンダ内に摺動可能に挿入されて該シリンダ内を2室に区画するピストンと、
該ピストンと一体的に移動し、一端部が前記シリンダから突出するピストンロッドと、
前記シリンダの一端側に配置され前記ピストンロッドの外周面に圧接する往復動用の環状のオイルシールと、を備えた流体圧緩衝器であって、
前記オイルシールは、前記シリンダ側に配置される第1シールリップと、大気側に配置されるダストシールリップと、前記第1シールリップおよび前記ダストシールリップとは独立して設けられる第2シールリップとからなり、
前記第2シールリップは、径方向に移動可能に配置されることを特徴とする流体圧緩衝器。 - 前記第2シールリップ部の内径は、前記ダストシールリップの内径よりも小さく、前記第1シールリップの内径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の流体圧緩衝器。
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JP2016148354A (ja) * | 2015-02-10 | 2016-08-18 | Nok株式会社 | 密封装置 |
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2012
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