JP2013203909A - インクジェット記録装置用インク、保存液、及び画像形成方法 - Google Patents

インクジェット記録装置用インク、保存液、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インクジェットヘッドに対するインクの充填性が良好であり、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できる、インクジェット記録装置用インクと、当該インクと組み合わせて使用できる保存液と、当該インクを用いる画像形成方法とを提供する。
【解決手段】25℃で所定の粘度を有するインクジェット記録装置用インク、又はインクジェットヘッド用の保存液に、繰り返し数が5〜15であるエチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基からなるブロックと、アセチレン基又はフェニレン基を含有する置換基が結合した両末端がアルコールからなる、ジオール化合物を含有させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録装置用インク、インクジェットヘッドの保存に使用される保存液、並びに当該インク、又は、当該インクと当該保存液とを用いる画像形成方法に関する。
インクジェット記録方式の画像形成装置で用いられるインクジェットヘッドには、大きく分けてサーマル方式とピエゾ方式があり、連続噴射型プリンターでは吐出したインク液滴を電場で制御するような静電式等がある。サーマル方式ではヒーターを瞬時に加熱し、バブルを発生させて、この力を利用してインク液滴を吐出させる。ピエゾ方式では、圧電素子を振動させてインクに力を加えてインク液滴を吐出させる。
インクジェット記録方式の画像形成装置では、ノズル部やインク流路内でインクの目詰まりを起こさず、安定した吐出を行え、鮮明な色調で十分に高い濃度の記録ができるインクジェット記録装置用インクが必要である。かかるインクの性能を十分に発揮するためには、特にピエゾ方式のインクジェットヘッドを使用する場合、気泡を発生させることなく、インクジェットヘッド内において、完全にインクを充填すること(良好な充填性)が求められる。
そこで、インクジェット記録装置の出荷時や長期保存時には、インクジェットヘッドのインク流路内に保存液を充填することで、その後、インクジェットヘッド内にインクを充填する際に、インクジェットヘッドへインクが気泡を巻き込むことなく、スムーズに導入されるようにしている。
しかし、保存液やインクが、インクタンクやインクジェットヘッドを含むインク流路に使用されているゴム部材に接すると、ゴム部材に含まれている添加物が保存液やインクに溶出した後に析出する場合がある。この場合、析出物によるインクジェットヘッドのノズルの閉塞の問題等により、インクジェットヘッドよりインク液滴を安定して吐出しにくい。
そこで、インク流路に使用されているゴム部材から溶出した、ゴム部材に含まれる添加物の析出を抑制できる保存液やインクとして、クラウンエーテルを含有するインクジェット記録用水性インク(特許文献1参照)とクラウンエーテルを含有する保存液とが提案されている(特許文献2参照)。
特開2007−161935号公報 特開2007−160797号公報
しかし、特許文献1に記載のインク、及び特許文献2に記載の保存液では、インクが充填されたインクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されない場合、ノズル内の気液界面で、インク又は保存液に含まれている界面活性剤の濃度が上昇する場合がある。この場合、ノズル内の気液界面でインクの粘度が上昇する場合があり、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する際、インクジェットヘッドからインク液滴が良好に吐出できないことがある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、インクジェットヘッドに対する充填性が良好であり、インクが充填されたインクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できる、インクジェット記録装置用インクを提供することを目的とする。
また、本発明は、前述のインクジェット記録装置用インクの、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合でも、インクジェットヘッドからの良好なインク液滴の吐出を維持できる効果を、さらに良好なものとすることができる、インクジェットヘッドの保存時に使用される保存液を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、前述のインクジェット記録装置用インク、又は前述のインクジェット記録装置用インクと、前述の保存液とを用いる、インクジェット記録装置による画像形成方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有し、25℃での粘度が所定の範囲であるインクジェット記録装置用インクにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、本発明者等は、少なくとも、水と、前述のインクジェット記録装置用インクに含まれる界面活性剤と同様の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有する、保存液により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には本発明は以下の(1)〜(4)を提供する。
(1) 少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、下記一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤とを含有し、
25℃での粘度が3〜20mPa・sである、インクジェット記録装置用インク。
Figure 2013203909
(nは5〜15の整数であり、−R−O−は、−CHCH−O−、又は−CHCH(CH)−O−であり、Xは下記一般式(A)、(B)、又は(C):
Figure 2013203909
で表される基であり、
一般式(A)及び(B)において、R及びRは、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
(2) 少なくとも、水と、上記一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤とを含有する、インクジェットヘッド保存液。
(3) (1)記載のインクジェット記録装置用インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成する、画像形成方法。
(4) 下記工程1)及び2)を含む、画像形成方法。
1)(2)記載の保存液が充填された前記インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッド内の前記保存液を、(1)記載のインクに置換する工程、及び
2)前記置換されたインクを、前記インクジェットヘッドから被記録媒体に吐出し、画像を形成する工程。
本発明によれば、インクジェットヘッドに対する充填性が良好であり、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できる、インクジェット記録装置用インクを提供することができる。本発明によれば、前述のインクジェット記録装置用インクの、インクジェットヘッドからしばらくインク液滴が吐出されなかった後に画像を形成する場合でも、インクジェットヘッドからの良好なインク液滴の吐出を維持できる効果を、さらに良好なものとすることができる、インクジェットヘッドの保存に使用される保存液を提供することができる。さらに、本発明によれば、前述のインクジェット記録装置用インク、又は前述のインクジェット記録装置用インクと、前述の保存液とを用いる、インクジェット記録装置による画像形成方法を提供することができる。
図1は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の概略構成を示す側面断面図である。 図2は、図1に示されるインクジェット記録装置の搬送ベルトを上方から見た平面図である。 図3は、図1に示されるインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの平面図である。 図4は、図3に示されるインクジェットヘッドにおける1ドットあたりのヘッド構造を示す拡大図である。 図5は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。 図6は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置に用いられるラインヘッドと記録用紙上に形成されたドット列の一部を示す拡大平面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インク(以下、単にインクともいう)は、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有し、25℃での粘度が所定の範囲である。以下、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクについて説明する。
〔インクジェット記録装置用インク〕
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有するインクジェット記録装置用インクである。また、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、必要に応じ、被記録媒体へのインクの浸透性を高める浸透剤、インクからの液体成分の揮発を抑制してインクの粘性を安定化させる保湿剤、及びインクに含まれる成分の溶解状態を安定化させる溶解安定剤等を含んでいてもよい。以下、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクが含む、必須、又は任意の成分である、水、界面活性剤、浸透剤、保湿剤、及び溶解安定剤と、インクジェット記録装置用インクの製造方法とについて順に説明する。
(水)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、水性インクであり、水を必須に含む。インクに含まれる水は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来から、水性インクの製造に使用されている水から、所望の純度の水を適宜選択して使用できる。本発明のインクジェット記録装置用インクにおける水の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。水の含有量は、後述する、他の成分の含有量に応じて適宜変更される。インクにおける水の含有量としては、典型的には、インクの全質量に対して20〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。
(顔料分散体)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、着色剤である顔料を含む顔料分散体を含む。顔料分散体中に含有させることができる顔料は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からインクジェット記録装置用インクにおいて着色剤として使用されている顔料から適宜選択して使用できる。好適な顔料の具体例は、C.I.ピグメントイエロー74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、193等の黄色顔料、C.I.ピグメントオレンジ34、36、43、61、63、71等の橙色顔料、C.I.ピグメントレッド122、202等の赤色顔料、C.I.ピグメントブルー15等の青色顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、23、33等の紫色顔料、C.I.ピグメントブラック7(B.K−7、カーボンブラック)等の黒色顔料等を挙げることができる。
顔料と樹脂とを含む顔料分散体を製造する方法は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来知られる方法から適宜選択できる。好適な方法としては、例えば、ナノグレンミル(浅田鉄工株式会社製)、MSCミル(三井鉱山株式会社製)、ダイノーミル(株式会社シンマルエンタープライゼス製)等のメディア型湿式分散機を用いて、水等の適切な液体の媒体中において、顔料と樹脂とを混練して顔料分散体とする方法が挙げられる。メディア型湿式分散機による処理では、小粒径のビーズを用いる。ビーズの粒径は特に限定されず、典型的には粒径0.5〜1.0mmである。また、ビーズの材質は特に限定されず、ジルコニア等の硬質の材料が使用される。
顔料分散体を製造する際の、液体の媒体の使用量は、顔料と樹脂とを良好に混練できる限り特に限定されない。典型的には、液体の媒体の使用量は、顔料と樹脂との質量の合計に対して、1〜10倍の質量を用いるのが好ましく、2〜8倍の質量を用いるのがより好ましい。
顔料分散体に含まれる顔料の体積平均粒径は、インクの色濃度、色相、インクの安定性等の観点から、30〜200nmが好ましく、50〜130nmがより好ましい。顔料の体積平均粒径は、顔料と樹脂とを混練する際のビーズの粒径や処理時間を調整することにより調整できる。体積平均粒径が過小である場合、画像濃度が低下する場合があり、体積平均粒径が過大である場合、インクを吐出するノズルの目詰まりが発生したり、インクの吐出性が悪化したりする場合がある。顔料の体積平均粒径は、例えば、顔料分散体をイオン交換水により300倍に希釈した試料を用い、動的光散乱粒度分布測定装置(シスメックス株式会社製)等により測定できる。
顔料分散体に含まれる樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来から顔料分散体の製造に用いられている種々の樹脂から適宜選択して使用できる。好適な樹脂の具体例としては、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの樹脂の中では、調製が容易で、顔料の分散効果に優れることから、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体等の、スチレンに由来する単位と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルに由来する単位とを含むスチレン−アクリル系樹脂が好ましい。
顔料分散体に含まれる樹脂の分子量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。顔料分散体に含まれる樹脂の分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定される重量平均分子量(Mn)として、10,000〜300,000が好ましい。樹脂の分子量が過小である場合、被記録媒体に画像を形成する際に、良好な画像濃度を得にくい。また、分子量が過大である場合、インクの粘度が高いため、溶媒が揮発した際の更なる粘度上昇によりノズルからのインクの吐出不良が起こりやすい。このため、樹脂の分子量が過大である場合、良好な画像を形成しにくい。例えば、上記の好適な樹脂の分子量は、重合開始剤の使用量、重合温度、又は重合時間等を調整する公知の方法に従って調整できる。
また、顔料分散体の調製に用いる樹脂の酸価は、50〜200mgKOH/gが好ましい。樹脂の酸価が過小である場合、顔料分散体中の顔料の分散性が低くなりやすく、顔料の微粒子化が困難となるため、形成画像が良好な着色性、発色性を有さない場合がある。樹脂の酸価が過大である場合、インクの保存安定性が低くなりやすい。樹脂の酸価は、樹脂を合成する際に、アクリル酸、メタクリル酸等の酸性の官能基(例えばカルボキシ基)を有する単量体の使用量を適宜調整することにより調整できる。具体的には、酸性の官能基を有する単量体の使用量を増やすことにより酸価を高めることができる。
顔料分散体を調製する際の樹脂の使用量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、顔料の100質量部に対して、30〜70質量部の範囲の量で使用される。
顔料分散体に含まれる顔料の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。典型的には、インクの全質量に対して2.0〜15.0質量%が好ましく、4.0〜12.0質量%がより好ましい。顔料の使用量が過少であると良好な画像濃度を得にくく、顔料の使用量が過多であると、インクの流動性が損なわれ良好な画像を形成しにくくなったり、インクの被記録媒体に対する浸透性が損なわれ、オフセットが発生しやすくなったりする場合がある。
(界面活性剤)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、下記一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤を含む。界面活性剤は、下記一般式(1)で表される化合物を、複数組み合わせて用いることもできる。
Figure 2013203909
(nは5〜15の整数であり、−R−O−は、−CHCH−O−、又は−CHCH(CH)−O−であり、Xは下記一般式(A)、(B)、又は(C):
Figure 2013203909
で表される基であり、
一般式(A)及び(B)において、R及びRは、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
界面活性剤は、インクジェットヘッドに対するインクの良好な充填性を得るために用いられる。界面活性剤を用いることで、固液界面において界面張力が低下するため、インクジェットヘッド内のインクの濡れ性が良好に得られ、インクジェットヘッドに対する充填性が良好になる。
一般式(1)に表される化合物からなる界面活性剤に対し、例えば、オルフィンE1010(界面活性剤、アセチレンジオールのエチレンオキシド(10モル)付加物、日信化学工業株式会社製)のように、下記一般式、
HO−A−OH・・・(2)
(一般式(1)中、Aは前述の定義と同様である。)
で表されるジオールの2つの水酸基にアルキレンオキシドが付加した化合物からなる界面活性剤は、一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤に比べて粘度が高い。従って、一般式(1)において、オルフィンE1010等の界面活性剤を用いると、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかったときに、インク中の溶媒成分の揮発により、ノズル内の気液界面で、インクの界面活性剤濃度が上昇しやすい。この場合、インクジェットヘッド内のノズル近傍で、インクの粘度が高くなり、インクジェットヘッドからのインク液滴の吐出不良が生じやすい。
インクにおける界面活性剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、インクの全質量に対して0.1〜1.0質量%が好ましく、0.15〜0.5質量%がより好ましい。
インク中の界面活性剤の含有量が過少である場合、インクジェットヘッド内部に対する濡れ性が良好であるインクを得にくく、インクをインクジェットヘッドに良好に充填しにくい。一方、インク中の界面活性剤の含有量が過多である場合、インクの粘度が高すぎる場合がある。この場合、インクジェットヘッドに良好に充填されるインクを得にくい。インクが高粘度である場合の、インクジェットヘッドへのインクの充填不良の問題は、インクジェットヘッドとして、長尺の固定ヘッドを用いる場合に顕著である。長尺の固定ヘッドは、長いインク流路を備えるため、インクをヘッドに充填する際の、インクの圧力損失が大きくなりやすいためである。
一般式(A)及び(B)における、R及びRが炭素原子数1〜6のアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、下記一般式(2)で表されるジオールの一方の水酸基を保護した後に、他方の水酸基に、常法に従って、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加させて製造することができる。
HO−A−OH・・・(2)
(一般式(1)中、Aは前述の定義と同様である。)
具体的な製造方法としては、以下の方法が挙げられる。まず、一般式(2)で表されるジオールを、ジオールのモル数に対して、約0.5倍モルの塩化アセチルによりアセチル化し、一般式(2)で表されるジオールと、一般式(2)で表されるジオールのモノアセチル化物と、一般式(2)で表されるジオールのジアセチル化物との混合物を得る。次いで、得られた混合物を、カラムクロマトグラフ等の公知の方法により精製し、一般式(2)で表されるジオールのモノアセチル化物を単離する。単離された一般式(2)で表されるジオールのモノアセチル化物の水酸基に、常法に従って、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加させた後、生成物と、NaOH等の塩基とを反応させて、アセトキシ基を水酸基に変換することにより、一般式(1)で表される化合物が得られる。
第1実施形態に係るインクは、本発明の目的を阻害しない範囲で、一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤の他に、インクジェット記録装置用インクに、従来から使用されている界面活性剤を組み合わせて使用することができる。インクが、一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤と、その他の界面活性剤とを組み合わせて含む場合、インク中の界面活性剤の総量に対する、一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤の量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
(浸透剤)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、被記録媒体へのインクの浸透性を高める成分である、浸透剤を含んでいてもよい。浸透剤の具体例としては、1,2−へキシレングリコール、1,2−オクタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等のジオール類や、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。浸透剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。インクが浸透剤を含有する場合、浸透剤の含有量は、浸透剤の種類に応じて適宜調整される。典型的な浸透剤の含有量としては、インクの全質量に対して0.5〜20質量%が好ましい。
(保湿剤)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、保湿剤を含んでいてもよい。インクからの液体成分の揮発を抑制してインクの粘性を安定化させる成分である。保湿剤と水の量を調整することで、インクの粘度を調整することができる。保湿剤の具体例は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及びグリセリン等が挙げられる。これらの、保湿剤の中では、水等の液体成分の揮発の抑制効果に優れることからグリセリンがより好ましい。保湿剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。
インクが保湿剤を含有する場合、保湿剤の含有量は、インクの全質量に対して5〜20質量%が好ましい。インク中の保湿剤の含有量が過少である場合、インクの粘度が好適な範囲を下回ることがある。この場合、インクの粘度が低すぎるため、インクジェットヘッド内で乱流が生じやすいと思われる。インクの乱流が生じる場合、インクジェットヘッド内に気泡が生じやすく、インクジェットヘッドに対してインクが良好に充填されにくい。また、インク中の保湿剤の含有量が過少である場合、インクに含まれる溶剤が揮発しやすいため、ノズルのインク吐出口近傍で、インクが増粘しやすい。従って、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合に、インクジェットヘッドからのインク液滴の吐出不良が生じやすい。
一方、保湿剤の含有量が過多である場合、インクの保湿性は高いものの、インクの粘度が好適な範囲を上回ることがある。この場合、インクジェットヘッドに良好に充填されるインクを得にくく、インクの粘度が高いために、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合に、インクジェットヘッドからのインク液滴の吐出不良が生じやすい。
(溶解安定剤)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、インクジェット記録装置用インクの均一な溶解状態を安定化させる成分として溶解安定剤を含んでいてもよい。溶解安定剤の具体例としては、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、及びγ−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの溶解安定剤は2種以上を組み合わせて用いることができる。インクにおける溶解安定剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、インクの全質量に対して1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
(インクジェット記録装置用インクの製造方法)
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクの製造方法は、水、顔料分散体、及び界面活性剤に対して、必要に応じて、浸透剤、保湿剤、及び溶解安定剤等の成分を加えた後、これらのインク成分を均一に混合することができれば特に限定されない。インクジェット記録装置用インクの製造方法の具体例としては、インクの各成分を混合機により均一に混合した後、孔径5μm以下のフィルターにて、加圧ろ過により異物や粗大粒子を除去する方法が挙げられる。なお、インクジェット記録装置用インクを製造する際には、必要に応じて、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等の、従来、インクジェット記録装置用インクに加えられている種々の添加剤を加えることができる。
本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、25℃での粘度が3〜20mPa・sである。インクの粘度が3mPa・s未満である場合、インクの粘度が低すぎるため、インクジェットヘッド内で乱流が生じやすいと思われる。インクの乱流が生じる場合、インクジェットヘッド内に気泡が生じやすく、インクジェットヘッドに対してインクが良好に充填されにくい。
一方、インクの粘度が20mPa・s超である場合、インクジェットヘッドに良好に充填されるインクを得にくく、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合に、インクジェットヘッドからのインク液滴の吐出不良が生じやすい。
インクの粘度を調整する方法は、特に限定されず、従来から知られるインクの粘度の調整方法に従えばよい。具体的には、インクの粘度が所望の値になるように、適宜使用量が調整された粘度調整剤を、インクに加える方法が挙げられる。
また、保湿剤の種類によっては、インク中の保湿剤の量が多いほど、インクの粘度が高くなる場合がある。使用量の増加に伴い、インクの粘度が高くなる保湿剤の具体例としては、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。このため、インク中の保湿剤の含有量を調整することにより、インクの粘度を調整できる。インクの粘度は、例えば、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定できる。
以上説明した第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、インクジェットヘッドに対する充填性が良好であり、インクが充填されたインクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できる。このため、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクは、種々のインクジェット記録方式の画像形成装置において好適に使用される。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る保存液は、少なくとも、水と、第1実施形態に係るインクに含まれる界面活性剤と、同様の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有する。第2実施形態に係る保存液は、インクジェットヘッド用の保存液として有用である。第2実施形態に係る保存液は、第1実施形態に係るインクと組み合わせて使用することにより、特に、前述の第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクが、インクジェットヘッドからしばらくインク液滴が吐出されなかった後に画像を形成する場合でも、インクジェットヘッドからの良好なインク液滴の吐出を維持できる効果を、さらに良好なものとすることができる。
インクジェットヘッド内に保存液を充填する方法は特に限定されないが、例えば、インクをインクジェットヘッドの内部に供給するようにインクジェット記録装置に備えられたポンプにより行われる。また、インクジェットヘッド内の保存液がインクに置換された後に、画像形成が行われる。インクジェットヘッド内で、保存液とインクとを置換する方法は特に限定されないが、前述のポンプにより、インクをインクジェットヘッド内部に供給し、インクの圧力により吐出口から保存液を押出して行われる。
本発明の第2実施形態に係る保存液は、少なくとも、水と、所定の化学構造の化合物を含む界面活性剤とを含有する。また、保存液は、必要に応じ、保存液に含まれる成分の溶解状態を安定化させる溶解安定剤、及び保存液から液体成分の揮発を抑制してインクの性質を安定化させる保湿剤等の他の液体成分を含んでいてもよい。
保存液が含む、必須、又は任意の成分である、水、界面活性剤、保湿剤、及び溶解安定剤としては、第1実施形態に係るインクに含まれる、水、界面活性剤、保湿剤、及び溶解安定剤と同様のものを用いることができる。
保存液における水の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。水の含有量は、後述する、他の成分の使用量に応じて適宜変更される。保存液における典型的な水の含有量としては、保存液の全質量に対して20〜70質量%が好ましく、25〜60質量%がより好ましい。
保存液における界面活性剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、インクの全質量に対して0.1〜2.0質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。
保存液に、上記の範囲の量の界面活性剤が含まれることにより、インクジェットヘッド内部を保存液により濡らしやすくなる。また、インクジェットヘッド内部が保存液により濡れることにより、インクがインクジェットヘッド内部に対して濡れやすくなる。このため、インクジェットヘッドに保存液を充填した後に、インクジェットヘッドにインクを導入することにより、インクジェットヘッド内にインクを良好に充填することができる。なお、一般式(2)で表されるジオールの2つの水酸基にアルキレンオキシドが付加した化合物からなる界面活性剤を保存液に用いた場合には、インクジェットヘッド内部を保存液により濡らしやすくなるものの、当該界面活性剤は、インクの流路壁に残りやすく、また一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤に比べて粘度が高いため、一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤を保存液に用いた場合と比較して、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する際の、インクジェットヘッドからのインク液滴の吐出状態が劣る。
保存液中の界面活性剤の含有量が過少である場合、インクジェットヘッド内の保存液をインクに置換する際に、インクのインクジェットヘッド内に対する濡れ性が不十分であるために、インクジェットヘッド内にインクが良好に充填されない場合がある。一方、保存液中の界面活性剤の含有量が過多である場合、保存液の粘度が高くなり、インクジェットヘッドに保存液を良好に充填しにくい場合がある。
保存液が保湿剤を含有する場合、保湿剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、保存液の全質量に対して5〜50質量%が好ましく、25〜40質量%がより好ましい。なお、保存液中の保湿剤の量を調整することで、保存液の粘度を調整することができる。
保存液における溶解安定剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されないが、保存液の全質量に対して1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
保存液の製造方法は、保存液の成分を均一に混合できる限り特に制限されない。保存液の製造方法の具体例としては、保存液の各成分を混合機により均一に混合した後、孔径5μm以下のフィルターにて、加圧ろ過により、異物や粗大粒子を除去する方法が挙げられる。なお、保存液を製造する際には、必要に応じて、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等の種々の添加剤を加えることができる。
[第3実施形態]
第3実施形態は、第1実施形態にかかるインクジェット記録装置用インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成する画像形成方法に関する。本発明の第3実施形態に係る画像形成方法は、第1実施形態にかかるインクジェット記録装置用インクを用いる他は、通常のインクジェット記録装置による画像形成方法に従えばよい。第3実施形態にかかる画像形成方法としては、下記工程1)及び2)を含む、画像形成方法が好ましい。
1)第2実施形態に係る保存液が充填された、インクジェット記録装置が有するインクジェットヘッド内の前記保存液を、第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクに置換する工程、及び
2)インクジェットヘッド内に充填されたインクを、インクジェットヘッドから被記録媒体に吐出し、画像を形成する工程。
第3実施形態に係る画像形成方法において用いるインクジェット記録装置の記録方式は、特に限定されず、インクジェットヘッドが被記録媒体上を走査しながら記録を行うシリアル型であっても、装置本体に固定されたインクジェットヘッドにより記録を行うラインヘッド型であってもよい。第3実施形態にかかる画像形成方法において用いるインクジェット記録装置としては、画像形成の高速性の点からラインヘッド型のインクジェットヘッドを備える記録装置が好ましく、被記録媒体を搬送する方向に対して垂直方向に設置された長尺のインクジェットヘッドを備える記録装置がより好ましい。
第3実施形態に係る画像形成方法によれば、第1実施形態にかかるインクジェット記録装置用インクを用いるため、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合でも、インク液滴を良好に吐出することができる。
以下、図面を参照して、第3実施形態の画像形成方法について、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用い、被記録媒体として記録用紙を用いる場合に関して、インクジェット記録装置、及びインクジェットヘッドの順に説明する。図1は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の概略構成を示す側面断面図であり、図2は、図1に示すインクジェット記録装置の搬送ベルトを上方からみた平面図である。
〔インクジェット記録装置〕
図1に示すように、インクジェット記録装置100の左側部には記録用紙Pを収容する給紙トレイ2(給紙部)が設けられており、この給紙トレイ2の一端部には収容された記録用紙Pを、最上位の記録用紙Pから順に一枚ずつ後述する搬送ベルト5へと給紙搬送するための給紙ローラー3及び給紙ローラー3に圧接され従動回転する従動ローラー4が設けられている。
給紙ローラー3及び従動ローラー4の用紙搬送方向Xの下流側(図1において右側)には、搬送ベルト5が回転自在に配設されている。搬送ベルト5は、用紙搬送方向Xの下流側に配置されたベルト駆動ローラー6と、上流側に配置され搬送ベルト5を介してベルト駆動ローラー6に従動回転するベルトローラー7とに掛け渡されており、ベルト駆動ローラー6が時計方向に回転駆動されることにより、記録用紙Pが矢印X方向に搬送される。
ここで、用紙搬送方向Xの下流側にベルト駆動ローラー6を配置したことにより、搬送ベルト5の用紙送り側(図1において上側)はベルト駆動ローラー6に引っ張られるようになるため、ベルトテンションを張ることができ、安定した記録用紙Pの搬送が可能となる。なお、搬送ベルト5には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルト等が好適に用いられる。
また、搬送ベルト5の用紙搬送方向Xの下流側には、図中時計回りに駆動され画像が記録された記録用紙Pを装置本体外へと排出する排出ローラー8a、及び排出ローラー8aの上部に圧接され従動回転する従動ローラー8bが設けられており、排出ローラー8a及び従動ローラー8bの下流側には、装置本体外へと排出された記録用紙Pが積載される排紙トレイ10が設けられている。
従動ローラー8bは記録用紙Pの印字面に直接触れるため、従動ローラー8bの表面を形成する素材は撥水性材料であるのが好ましい。従動ローラー8bの表面を撥水性材料により形成することにより、記録用紙Pに浸透していないインクのローラーへの付着を抑制でき、オフセットの発生を抑制しやすい。好適な撥水材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン〜ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン〜エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン〜フッ化ビニリデン共重合体、テトラフルオロエチレン〜ヘキサフルオロプロピレン〜パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン〜エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン〜フッ化ビニリデン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂が挙げられる。従動ローラー8bと同様に、記録用紙Pの印字面に接触する部材の表面は撥水性材料により形成するのが好ましい。
そして、搬送ベルト5の上方には、搬送ベルト5の上面に対して所定の間隔が形成されるような高さに支持され、搬送ベルト5上を搬送される記録用紙Pへと画像の記録を行うインクジェットヘッド11C、11M、11Y及び11Kが配設されている。これらのインクジェットヘッド11C〜11Kには、それぞれ異なる4色(シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック)の着色インクが充填されており、各インクジェットヘッド11C〜11Kからそれぞれの着色インクを吐出することにより、記録用紙P上にカラー画像が形成される。
記録用紙Pに各インクジェットヘッド11C〜11Kから吐出されたインクの液滴が着弾してから、記録用紙Pにおけるインクの着弾箇所が、排出ローラー8a、及び従動ローラー8bからなる記録用紙Pを排出する排出部8に到達するまでの時間は装置を小型化するためには1秒以内であるのが好ましい。
また、記録用紙Pに各インクジェットヘッド11C〜11Kから吐出され、記録用紙Pに打ち込まれる一色又は複数の色のインクの量は、特に限定されず、良好な濃度で画像を形成でき、オフセットが発生しにくい量に調整して画像が形成される。
これらのインクジェットヘッド11C〜11Kは、図2に示すように、搬送方向と直交する方向(図2の上下方向)に複数のノズルが配列されたノズル列を備え、搬送される記録用紙Pの幅以上の記録領域を有しており、搬送ベルト5上を搬送される記録用紙Pに対して、一括して1行分の画像を記録することができるようになっている。
なお、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置においては、搬送ベルト5の幅寸法以上に形成された長尺のヘッド本体の長手方向に複数のノズルを配列させることで、記録用紙Pの幅以上の記録領域を有するように構成されたインクジェットヘッドを用いているが、例えば各々複数個のノズルを備えた短尺のヘッドユニットを搬送ベルト5の幅方向に複数配列することにより、搬送される記録用紙Pの幅方向全幅にわたって画像を記録できるようにしたインクジェットヘッドを用いても構わない。
〔インクジェットヘッド〕
第3実施形態に係る画像形成方法では、インクジェットヘッド11C〜11Kに、第1実施形態に係るインクジェット記録装置用インクが充填される前に、予め、第2実施形態に係る保存液を充填するのが好ましい。インクジェットヘッドは、例えば、圧電素子(ピエゾ素子)を用いてインクジェットヘッド11C〜11Kの液室内に生じる圧力を利用してインクの液滴を吐出する圧電素子方式や、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式等、各種方式を適用することができる。インクの吐出方式は、吐出量の制御が容易であることから圧電素子方式が好ましい。以下、図3及び図4を参照して圧電素子方式のインクジェットヘッド11の構造、及び動作について説明する。
図3は、圧電アクチュエータを取り付ける前のインクジェットヘッドの平面図である。図4は圧電アクチュエータを取り付けた状態でのインクジェットヘッドにおける1ドット(1インク吐出口)あたりのヘッド構造を示す拡大図である。
図3に示すように、インクジェットヘッド11には、それぞれ1つの吐出口43からインクを吐出する複数の吐出ユニット42が吐出面11に平行に並べられている。また、インクジェットヘッド11内には、インクジェットヘッド11の長手方向に並列に延びる複数の共通流路44が設けられ、各共通流路44には、インクカートリッジ(図示せず)からの配管と接続するためのインク供給口45が設けられている。
図4に示すように、インクジェットヘッド11は、吐出口43に対して1つずつ設けられた加圧室46、加圧室46内から吐出口43まで連続するノズル47、並びに加圧室46の上方に設けられた圧電素子48及び個別電極49を備える。加圧室46と共通流路44とは供給孔50で連通されている。保存液は、インクジェットヘッド11にインクが充填される前に、加圧室46、又は加圧室46と共通流路44とに充填される。保存液が充填されたインクジェットヘッド11は、大気連通箇所をなくすため、吐出口43にキャップを設けたり、インクの導入部に弁や栓等を設けて、保存液の漏れや蒸発を予防したりしてもよい。
インクジェットヘッド11内の加圧室46への保存液の充填は、インクをインクジェットヘッド11の内部に供給するためのポンプ(図示せず)により行われる。また、保存液とインクとの置換は、インクをインクジェットヘッド11の内部に供給するためのポンプ(図示せず)により加圧室46へ加圧されたインクを供給し、インクの圧力により吐出口43から保存液を押出して行われる。本発明の第2実施携帯に係る画像形成方法に好適に用いられる保存液はインクとの親和性に優れるため、保存液が吐出された後に、加圧室46に気泡を形成することなく、良好にインクが充填される。
加圧室46の上壁は、複数の加圧室46に渡って連続して形成された振動板51で構成されている。振動板51上には、同様に複数の加圧室46に渡って連続して形成された共通電極52が積層されている。共通電極52上には、加圧室46毎に別個の圧電素子48が設けられており、また共通電極52と共に圧電素子48を挟むように加圧室46毎に別個に個別電極49が設けられる。吐出面11の吐出口43以外の領域は、撥水膜11aで覆われており、インクの付着を防止している。
インクジェットヘッド11の各圧電素子48は、ヘッド駆動部(図示せず)からフレキシブルケーブル(図示せず)を介して個別電極49に駆動信号である駆動パルスが印加されることで、個別に駆動される。この駆動によって圧電素子48は振動して変形され、その変形が振動板51に伝えられる。そして振動板51の変形によって加圧室46は圧縮される。その結果、加圧室46内のインクに圧力が加わり、ノズル47を通ったインクが吐出口43からインク液滴となって用紙上に吐出され、インクにより用紙上に画像が記録される。
なお、吐出により減少したインクは、ノズル47内のインクメニスカスの表面張力によって、インクカートリッジ(図示せず)からインクカートリッジの配管、吐出口43、共通流路44、加圧室46を介してノズル47に充填される。
図5は、ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。図1及び図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。インクジェット記録装置100には制御部20が備えられており、制御部20には、インターフェイス21、ROM22、RAM23、エンコーダー24、モーター制御回路25、インクジェットヘッド制御回路26、及び電圧制御回路27等が接続されている。
インターフェイス21は、例えば、図示しないパソコン等のホスト装置とデータの送受信を行う。制御部20は、インターフェイス21を介して受信された画像信号を、必要に応じて変倍処理或いは階調処理を施して画像データに変換する。そして、後述する各種制御回路に制御信号を出力する。
ROM22は、インクジェットヘッド11C〜11Kを駆動させて画像記録を行う際の制御プログラム等を記憶している。RAM23は、制御部20により変倍処理或いは階調処理された画像データを所定の領域に格納する。
エンコーダー24は、搬送ベルト5を駆動する排紙側のベルト駆動ローラー6に接続されており、ベルト駆動ローラー6の回転軸の回転変位量に応じてパルス列を出力する。制御部20は、エンコーダー24から送信されるパルス数をカウントすることで回転量を算出し、用紙の送り量(用紙位置)を把握する。そして制御部20は、エンコーダー24からの信号に基づいて、モーター制御回路25及びインクジェットヘッド制御回路26に制御信号を出力する。
モーター制御回路25は、制御部20からの出力信号により記録媒体搬送用モーター28を駆動する。記録媒体搬送用モーター28は駆動してベルト駆動ローラー6を回転させ、搬送ベルト5を図1の時計回りに回動させて用紙を矢印X方向へと搬送する。
インクジェットヘッド制御回路26は、制御部20からの出力信号に基づいて、RAM23に格納された画像データをインクジェットヘッド11C〜11Kへ転送し、転送された画像データに基づいてインクジェットヘッド11C〜11Kからのインクの吐出を制御する。かかる制御と、記録媒体搬送用モーター28によって駆動する搬送ベルト5による用紙の搬送の制御とにより、用紙への記録処理が行われる。
電圧制御回路27は、制御部20からの出力信号に基づいて給紙側のベルトローラー7に電圧を印加することにより交番電界を発生させ、搬送ベルト5に用紙を静電吸着させる。静電吸着の解除は、制御部20からの出力信号に基づいてベルトローラー7又はベルト駆動ローラー6を接地させることにより行われる。なお、ここでは給紙側のベルトローラー7に電圧を印加する構成としたが、排紙側のベルト駆動ローラー6に電圧を印加する構成としてもよい。
ラインヘッド型の記録方式のインクジェット記録装置を用いてドットを形成する方法を、図6を用いて具体的に説明する。なお、図6では図1及び図2に示したインクジェットヘッド11C〜11Kのうち、インクジェットヘッド11Cを例に挙げて説明するが、他のインクジェットヘッド11M〜11Kについても全く同様に説明される。
図6に示すように、インクジェットヘッド11Cには複数個のノズルからなるノズル列N1、N2が記録用紙Pの搬送方向(矢印X方向)に並設されている。つまり、記録用紙Pの搬送方向の各ドット列を形成するノズルとして、ノズル列N1、N2に各1個ずつ(例えばドット列L1ではノズル12a及び12a’)、合計2個のノズルを備えている。なお、ここでは説明の便宜のため、ノズル列N1、N2を構成するノズルのうち、ドット列L1〜L16に対応する12a〜12p及び12a’〜12p’までの各16個のノズルのみを記載しているが、実際にはさらに多数のノズルが記録用紙Pの搬送方向と直交する方向に配列されているものとする。
そして、このノズル列N1、N2を順次用いて被記録媒体としての記録用紙P上に画像を形成する。例えば、記録用紙Pを記録用紙Pの搬送方向に移動させながら、記録用紙Pの幅方向(図の左右方向)1行分のドット列D1をノズル列N1からのインク吐出(図の実線矢印)により形成した後、次の1行分のドット列D2をノズル列N2からのインク吐出(図の破線矢印)により形成し、さらに次の1行分のドット列D3を再びノズル列N1からのインク吐出により形成する。以下、ドット列D4以降もノズル列N1、N2を交互に用いて同様に形成する。
以上説明した第3実施形態にかかる画像形成方法によれば、インクジェットヘッドに対するインクの充填性が良好であり、インクが充填されたインクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できる、第1実施形態に係るインクを用いて画像を形成するため、しばらく画像が形成されなかった後でも、良好な画像を形成できる。このため、第3実施形態に係る画像形成方法は、種々のインクジェット記録装置において好適に利用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
〔調製例1〕
(顔料分散体の調製)
シアン色顔料としてCIピグメントブルー15:3を用いた。顔料分散体の調製に用いる材料の質量の合計に対して、20質量%の顔料、12質量%のスチレン−アクリル樹脂(分子量20,000、酸価120mgKOH/g)、及び10質量%のグリセリンと、残余の量の水(イオン交換水)とを、ダイノーミル(マルチラボ,ベッセル容量0.6L,株式会社シンマルエンタープライゼス製)に仕込んだ。次いで、スチレン−アクリル樹脂の中和に必要な量の水酸化カリウムをダイノーミルに加えた。その後、顔料分散体の原料の総量に対して、1.5倍(質量基準)となるように、ビーズ径0.5mmのジルコニアビーズをメディアとしてダイノーミルに充填して、水冷しながら、10℃、周速8m/sの条件で顔料とスチレン−アクリル樹脂とを混練し、顔料分散体を得た。得られた顔料分散体を、イオン交換水を用いて300倍に希釈して、動的光散乱式粒径分布測定装置(ゼータサイザー ナノ、シスメックス株式会社製)により顔料の体積平均粒径D50を測定し、顔料の体積平均粒径が70〜130nmの範囲となっていることを確認した。
〔実施例1〜12〕
(インクの調製)
調製例1で得た顔料分散体25質量%、表1に記載の種類の界面活性剤0.5質量%、ヘキシレングリコール(浸透剤)5質量%、及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(浸透剤)0.5質量%、グリセリン(保湿剤)13質量%、及び2−ピロリドン(溶解安定剤)5質量%と、残余の量の水(イオン交換水)とを撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターにて、加圧ろ過によりろ過して、実施例1〜12で用いたインク1〜12を得た。
実施例1〜12では、以下のインク1〜12に用いた、界面活性剤A1〜A4、B1〜B4、C1〜C4、及びD1〜D4を、以下に記す。
Figure 2013203909
Figure 2013203909
Figure 2013203909
下記評価方法1に従い、実施例1〜12での、インクの充填性、及び吐出維持性の評価を行った。実施例1〜12のインクの充填性、及び吐出維持性の評価結果を表1に記す。
<評価方法1>
評価機は、たわみ振動するピエゾでインクに力を加えるインクジェットヘッドであって、周波数1〜40kHz、駆動電圧10〜30Vで駆動可能なノズルを2656個有し、ヘッド内流路の全容積が6cmあるインクジェットヘッドを備える画像形成装置(京セラミタ株式会社試験機)を用い、25℃60%RH環境下で評価を行った。被記録媒体として光沢紙(インクジェット用光沢紙、KA420PGP(セイコーエプソン株式会社製))を用いた。インクが充填されたカートリッジをインクジェットヘッドに接続し、流速2cm/秒、1秒間のパージ操作を10回行い、インクジェットヘッドにインクを導入し、ノズル形成面から出ている余剰液をワイプブレードによりかきとった。インクジェットヘッドのノズル面と記録用紙Pとの距離を1mmに固定し、周波数20kHz、駆動電圧20Vにて、被記録媒体にノズルチェックパターンを印画し、1枚目の評価画像を得た。次いで、新たな被記録媒体を用いて、1枚目の評価画像の形成から10分後に2枚目の評価画像を形成した。
(充填性)
充填性は、インクを評価機のインクジェットヘッドに充填した直後のインク液滴の吐出状態の評価であり、インクジェットヘッド内のインクの充填が良好であるか否かの指標となる。充填性の評価は、1枚目の評価画像を用いて評価した。具体的には、目視により、良好にインクが吐出されなかったノズル(抜けノズル)の数を計測して、全ノズル数に対する抜けノズルの数の比率であるインク充填率を下式に従って算出した。
インク充填率=(全ノズル数−抜けノズル数)/全ノズル数×100
算出したインク充填率から、下記基準により充填性を評価した。
○:インク充填率が90%以上。
×:インク充填率が90%未満。
(吐出維持性)
吐出維持性は、インクが充填されたインクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後のインクの吐出状態の評価であり、インクジェットヘッドからしばらくインク液滴が吐出されなかった後に、インク液滴を良好に吐出できるか否かの指標となる。吐出維持性の評価は、2枚目の評価画像を用いて評価した。具体的には、目視により、良好にインクが吐出されなかったノズル(抜けノズル)の数を計測して、1枚目の評価画像について良好にインクが吐出されなかったノズル数(1枚目抜けノズル数)に対する、2枚目の評価画像について良好にインクが吐出されなかったノズル(2枚目抜けノズル数)の比率である吐出維持率を、下式に従って算出した。
吐出維持率=(全ノズル数−2枚目抜けノズル数)/(全ノズル数−1枚目抜けノズル数)×100
算出した吐出維持率から、下記基準により吐出維持性を評価した。
○:吐出維持率が90%以上。
×:吐出維持率が90%未満。
評価したインクについて、充填性、及び吐出維持性の何れもが○の評価であれば合格とし、充填性、又は吐出維持性の何れかが×の評価であれば不合格とした。
また、実施例1〜12で用いたインクについて、25℃での粘度を、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定した。測定結果を表1に記す。
Figure 2013203909
表1によれば、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有し、25℃での粘度が所定の範囲である実施例1〜12のインクは、インクジェットヘッドに対する充填性が良好であり、インクが充填されたインクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できることが分かる。
〔実施例13〜24〕
(保存液の調製)
表2に記載の種類の界面活性剤1.0質量%、グリセリン(保湿剤)40質量%、及び2−ピロリドン(溶解安定剤)5質量%と、残余の量の水とを撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターにて、加圧ろ過によりろ過して、保存液1〜12を得た。
下記評価方法2に従い、インク1〜12と共に、表2に記載の種類の保存液を用いて、実施例13〜24のインクの充填性、及び吐出維持性の評価を行った。実施例13〜24で、インク1〜12と、保存液1〜12とを、表2に記載されるように組み合わせて用いた場合の、インクの充填性、及び吐出維持性の評価結果を表2に記す。
<評価方法2>
評価機として、実施例1〜12のインクの評価に用いた評価機と同じ評価機を用い、25℃60%RH環境下で評価を行った。インクジェットヘッドに保存液が充填されたカートリッジを接続し、ヘッド内流速6cm/秒にて1秒間のパージを2回行ってインクジェットヘッドに保存液を充填した。インクジェットヘッドに保存液を充填した後に、インクが充填されたカートリッジをインクジェットヘッドに接続し、流速2cm/秒、1秒間のパージ操作を10回行い、インクジェットヘッドにインクを導入して、ノズル形成面から出ている余剰液をワイプブレードによりかきとった。その後、評価方法1と同様にして、充填性、及び吐出維持性の評価を行った。
また、実施例13〜24のインクについて、25℃での粘度を、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定した。測定結果を表1に記す。
Figure 2013203909
表2によれば、インクジェットヘッド内に充填された、少なくとも、水と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有する保存液を、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有し、25℃での粘度が所定の範囲であるインクに置換した後に、画像を形成する場合、インクジェットヘッドに対してインクが良好に充填され、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できることが分かる。
〔比較例1〜6〕
(保存液の調製)
表3に記載の種類の界面活性剤1.0質量%、グリセリン(保湿剤)40質量%、及び2−ピロリドン(溶解安定剤)5質量%と、水54質量%とを撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターにて、加圧ろ過によりろ過して、比較例1〜6で用いた保存液13〜18を得た。
(インクの調製)
調製例1で得た顔料分散体25質量%、表3に記載の種類の界面活性剤0.5質量%、ヘキシレングリコール(浸透剤)5質量%、及び2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール(浸透剤)0.5質量%、グリセリン(保湿剤)13質量%、及び2−ピロリドン(溶解安定剤)5質量%と、水51質量%とを撹拌機(スリーワンモーター BL−600(アズワン株式会社製))により回転数400rpmで撹拌して均一に混合した後、孔径5μmのフィルターにて、加圧ろ過によりろ過して、比較例1〜6で用いたインク13〜18を得た。
保存液13〜18、及びインク13〜18に用いた、界面活性剤D1、D2、E1、E2、F1、及びF2を、以下に記す。
Figure 2013203909
(a+b=10,a+b=10)
Figure 2013203909
(a+b=10,a+b=10)
Figure 2013203909
(a+b=10,a+b=10)
上記の評価方法2に従い、表3に記載の種類のインクと保存液とを組み合わせて用いて、比較例1〜6での、インクの充填性、及び吐出維持性の評価を行った。比較例1〜6のインクの充填性、及び吐出維持性の評価結果を表3に記す。
また、インク13〜18について、25℃での粘度を、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定した。測定結果を表3に記す。
Figure 2013203909
表3によれば、比較例1〜6では、ジオールが有する二つの水酸基の双方にアルキレンオキシドが付加した化合物を界面活性剤として用いる場合、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合、インクジェットヘッドからのインク液滴の吐出不良が生じやすいことが分かる。
なお、例えば、実施例14で用いたインクに含有する界面活性剤A2と、比較例2で用いたインクに含有する界面活性剤D1とでは、分子鎖の長さや、分子量において類似しているため、得られる効果も類似しているものと考えられる。しかしながら、界面活性剤A2と、界面活性剤D1とは分子構造が異なるため、界面活性剤A2を含むインクを用いる場合に、充填性、及び吐出維持性の点で所望の効果が得られたものの、界面活性剤D1を含むインクを用いる場合では、吐出維持性の点で所望の効果が得られなかった。
〔実施例25及び26、並びに比較例7及び8〕
(インクの調製)
グリセリンの使用量を、表5に記載の量に変えることの他は、実施例1で用いたインク1と同様にして、実施例25及び26、並びに比較例7及び8で用いたインク19〜22を得た。
上記の評価方法2に従い、インク19〜22と、保存液1とを組み合わせて用いて、実施例25及び26、並びに比較例7及び8での、インクの充填性、及び吐出維持性の評価を行った。実施例25及び26、並びに比較例7及び8のインクの充填性、及び吐出維持性の評価結果を表4に記す。
また、インク19〜22について、25℃での粘度を、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定した。測定結果を表4に記す。
Figure 2013203909
表4によれば、25℃での粘度が3〜20mPa・sである、実施例25、及び実施例26のインクを用いた、実施例25及び26では、充填性、及び吐出維持性の点で所望の効果が得られることが分かる。一方、25℃での粘度が3mPa・s未満である、比較例7のインクは、インクジェットヘッドに対して良好に充填性されにくいことが分かる。これは、インクの粘度が低すぎるために、インクジェットヘッド内で乱流が生じやすく、インクジェットヘッド内に空気が残留しやすいことに起因すると考えられる。また、25℃での粘度が20mPa・s超である、比較例8のインクも、インクジェットヘッドに対する充填性が損なわれていることが分かる。これは、粘度が高すぎるインクは、多数のノズルを有する、長尺の固定ヘッドが有するインクの流路において、圧力損失が大きくなったことに起因すると考えられる。
〔実施例27、並びに比較例9及び10〕
(保存液の調製)
界面活性剤の種類をオルフィンE1010(界面活性剤、アセチレンジオールのエチレンオキシド10モル付加物、日信化学工業株式会社製)に変えることの他は、実施例13で用いた保存液1と同様にして、実施例27で用いた保存液19を得た。
(インクの調製)
界面活性剤の種類をオルフィンE1010(界面活性剤、アセチレンジオールのエチレンオキシド10モル付加物、日信化学工業株式会社製)に変えることの他は、実施例1で用いたインク1と同様にして、比較例9で用いたインク24を得た。
(保存液の調製)
界面活性剤を用いないことの他は、実施例13で用いた保存液1と同様にして、比較例10で用いた保存液20を得た。
(インクの調製)
界面活性剤を用いないことの他は、実施例1で用いたインク1と同様にして、比較例10で用いたインク19を得た。
上記の評価方法2に従い、表5に記載されるように保存液とインクとを組み合わせて、実施例27と、比較例9及び10とでの、インクの充填性、及び吐出維持性を評価した。実施例27、比較例9、及び比較例10での、インクの充填性、及び吐出維持性の評価結果を表5に記す。
また、インク23、及び24について、25℃での粘度を、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定した。測定結果を表5に記す。
Figure 2013203909
表5によれば、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有し、25℃での粘度が所定の範囲であるインクを用いた、実施例27では、充填性、及び吐出維持性の点で所望の効果が得られることが分かる。なお、実施例1、及び実施例13と比較して、実施例27の吐出維持率が劣っているのは、実施例27で用いた保存液に含まれる界面活性剤(オルフィンE1010)が、ノズル部やインク流路内に残りやすく、実施例13で用いた保存液に含まれる界面活性剤に比べて粘度が高いためであると考えられる。
一方、比較例9では、ジオールが有する二つの水酸基の双方にアルキレンオキシドが付加した化合物からなる界面活性剤(オルフィンE1010)を含むインクを用いているため、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合、インクジェットヘッドからのインク液滴の吐出不良が生じやすいことが分かる。また、界面活性剤を含有しないインクを用いた比較例10では、インクをインクジェットヘッドに対して良好に充填性しにくいことが分かる。
〔実施例28〜31〕
インクに含まれる界面活性剤の量を表6に記載の量に変えることの他は、実施例1のインクと同様にして、実施例28及び29で用いたインク25及び26を得た。また、保存液に含まれる界面活性剤の使用量を表6に記載の量に変えることの他は、保存液1と同様にして実施例30及び31で用いた保存液21及び22を得た。
また、上記の評価方法2に従い、表6に記載されるように保存液とインクとを組み合わせて、実施例28〜31での、インクの充填性、及び吐出維持性を評価した。実施例28〜31での、インクの充填性、及び吐出維持性の評価結果を表6に記す。
また、インク25、及び26について、25℃での粘度を、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定した。測定結果を表6に記す。
Figure 2013203909
表6によれば、インクジェットヘッド内に充填された、少なくとも、水と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有する保存液を、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有し、25℃での粘度が所定の範囲であるインクに置換した後に、画像を形成する場合、インクジェットヘッドに対してインクが良好に充填され、インクジェットヘッドからインク液滴がしばらく吐出されなかった後に画像を形成する場合であっても、インクジェットヘッドからインク液滴を良好に吐出できることが分かる。
〔実施例32〜34〕
顔料分散体に用いる顔料の種類を、表7に記載の種類に変えることの他は、インク1と同様にして、実施例32〜34で用いたインク27〜29を得た。
上記の評価方法2に従い、表7に記載されるようにインク27〜29と、保存液1とを組み合わせて用い、実施例32〜34でのインクの充填性、及び吐出維持性を評価した。実施例32〜34での、インクの充填性、及び吐出維持性の評価結果を表6に記す。
また、インク27〜29について、25℃での粘度を、振動式粘度計(VM−10A(株式会社セコニック製))により測定した。測定結果を表6に記す。
Figure 2013203909
実施例13と、表7に記載の結果とによれば、インクジェットヘッド内に充填された、少なくとも、水と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有する保存液を、少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、所定の化学構造の化合物からなる界面活性剤とを含有し、25℃での粘度が所定の範囲であるインクに置換した後に、画像を形成する場合、種々の顔料を用いても、所望の効果が得られることが分かる。
2 給紙トレイ
3 給紙ローラー
4 従動ローラー
5 搬送ベルト
6 ベルト駆動ローラー
7 ベルトローラー
8 排出部
8a 排出ローラー
8b 従動ローラー
10 排紙トレイ
11C、11M、11Y、11K インクジェットヘッド
12a〜12p、12a’〜12p’ ノズル
20 制御部
30 検出手段
11 インクジェットヘッド
41 吐出面
41a 撥水膜
42 吐出ユニット
43 吐出口
44 共通流路
45 インク供給口
46 加圧室
47 ノズル
48 圧電素子
49 個別電極
50 供給孔
51 振動板
52 共通電極
100 インクジェット記録装置
D1〜D4 ドット列(行方向)
L1〜L16 ドット列(搬送方向)
N1、N2 ノズル列
P 記録用紙

Claims (4)

  1. 少なくとも、水と、顔料及び樹脂を含む顔料分散体と、下記一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤とを含有し、
    25℃での粘度が3〜20mPa・sである、インクジェット記録装置用インク。
    Figure 2013203909
    (nは5〜15の整数であり、−R−O−は、−CHCH−O−、又は−CHCH(CH)−O−であり、Xは下記一般式(A)、(B)、又は(C):
    Figure 2013203909
    で表される基であり、
    一般式(A)及び(B)において、R及びRは、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
  2. 少なくとも、水と、下記一般式(1)で表される化合物からなる界面活性剤とを含有する、インクジェットヘッド保存液。
    Figure 2013203909
    (nは5〜15の整数であり、−R−O−は、−CHCH−O−、又は−CHCH(CH)−O−であり、Xは下記一般式(A)、(B)、又は(C):
    Figure 2013203909
    で表される基であり、
    一般式(A)及び(B)において、R及びRは、水素原子、又は炭素原子数1〜6のアルキル基である。)
  3. 請求項1記載のインクジェット記録装置用インクを用いて、インクジェット記録装置により画像を形成する、画像形成方法。
  4. 下記工程1)及び2)を含む、請求項2記載の画像形成方法。
    1)請求項2記載の保存液が充填された、前記インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッド内の前記保存液を、請求項1記載のインクに置換する工程、及び
    2)前記置換されたインクを、前記インクジェットヘッドから被記録媒体に吐出し、画像を形成する工程。
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