JP2013203633A - 窒化珪素質焼結体およびこれを用いた回路基板ならびに電子装置 - Google Patents

窒化珪素質焼結体およびこれを用いた回路基板ならびに電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有する窒化珪素質焼結体およびこれを用いた回路基板ならびに電子装置を提供する。
【解決手段】 窒化珪素を主成分とし、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質
量%以上0.5質量%以下含んでなり、β−Siを主結晶相と、組成式がRESi
(REは希土類元素)として示される成分を含む粒界相とにより構成され、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)の窒化珪素質焼結体である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、放熱部材や回路部材の支持基板等に用いられる窒化珪素質焼結体およびこれを用いた回路基板ならびに電子装置に関するものである。
近年、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)素子,金属酸化膜型電界効果トランジスタ(MOSFET)素子,発光ダイオード(LED)素子,フリーホイーリングダイオード(FWD)素子,ジャイアント・トランジスタ(GTR)素子等の半導体素子,昇華型サーマルプリンタヘッド素子,サーマルインクジェットプリンタヘッド素子およびペルチェ素子等の各種電子部品が回路基板の回路部材上に搭載された電子装置が用いられている。
電子部品を搭載する回路部材を設けてなる回路基板としては、絶縁性のセラミック焼結体からなる支持基板の両側の主面に、例えば、それぞれ銅を主成分とする回路部材および放熱部材が接合されているものが用いられており、支持基板に用いられるセラミック焼結体として、窒化珪素質焼結体が注目されている。
このような回路基板に用いられる窒化珪素質焼結体として、例えば、特許文献1では、希土類元素を酸化物に換算して2.0〜17.5重量%、Mgを酸化物に換算して0.3〜3.0重量
%、不純物陽イオン元素としてのAl,Li,Na,K,Fe,Ba,Mn,Bを合計で0.3重量%以下含有し、窒化珪素結晶および粒界相から成るとともに粒界相中における結
晶化合物相の粒界相全体に対する割合が20%以上である高熱伝導性窒化珪素焼結体が提案されている。
特開2000−34172号公報
しかしながら、特許文献1で提案された高熱伝導性窒化珪素焼結体は、粒界相中における結晶化合物相の粒界相全体に対する割合が20%以上と高いことから、焼結工程における結晶化合物相が生成する過程での体積収縮によって、粒界相内に隙間が多く発生するおそれが高くなり、隙間に粉塵が入ることによる汚損や水分の吸着によって絶縁耐力が低下するという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて案出されたものであり、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有する窒化珪素質焼結体およびこれを用いた回路基板ならびに電子装置を提供することを目的とするものである。
本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素を主成分とし、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質量%以上0.5質量%以下含んでなり、β−Siからなる主結晶相と、組成式がRESi(REは希土類元素)として示される成分を含む粒界相とにより構成され、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESi
の第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)であることを特徴とするものである。
また、本発明の回路基板は、上記構成の窒化珪素質焼結体からなる支持基板の第1主面側に回路部材が、第1主面に対向する第2主面側に放熱部材がそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
また、本発明の電子装置は、上記構成の回路基板における回路部材上に電子部品が搭載されていることを特徴とするものである。
本発明の窒化珪素質焼結体によれば、RESiの結晶化に伴う体積収縮が小さく、粒界相内に隙間を生じにくいことから、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有する窒化珪素質焼結体とすることができる。
また、本発明の回路基板によれば、支持基板が上記構成の窒化珪素質焼結体からなることから、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有していることによって、信頼性の高い回路基板とすることができる。
また、本発明の電子装置によれば、上記構成の回路基板における回路部材上に電子部品を搭載してなることから、耐久性が高く、信頼性のある電子装置とすることができる。
本実施形態の窒化珪素質焼結体の断面の一例を示す模式図である。 本実施形態の回路基板の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線での断面図であり、(c)は底面図である。 本実施形態の電子装置の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のD−D’線での断面図であり、(c)は底面図である。
以下、本実施形態の窒化珪素質焼結体およびこれを用いた回路基板ならびに電子装置の一例について説明する。
本実施形態の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素を主成分とし、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質量%以上0.5質量%以下含んでなる窒化珪素質焼結体である。
一般的に、窒化珪素質焼結体において、主成分である窒化珪素は、共有結合性が強く、拡散係数が小さく、窒化珪素単体での焼結は困難であることから、種々の焼結助剤を添加することにより、粒界相を形成させて緻密化している。具体的には、添加された焼結助剤が、窒化珪素と窒化珪素の粉末に含まれる酸素と反応して酸窒化物の液相を生成し、窒化珪素の粉末に含まれる酸素を低減させることによって、窒化珪素の粒成長が促進されて緻密化が進行し、放熱特性および機械的特性に優れた窒化珪素質焼結体となる。
とりわけ、酸素との親和性が高い希土類元素の酸化物を焼結助剤として添加すると、液相中に多くの酸素が取り込まれ、窒化珪素の粒成長とともに窒化珪素の粉末に含まれる酸素の量をより低減することができる。
しかし、窒化珪素の粉末に含まれる酸素の量を低減させるために、焼結助剤の添加量を増やすだけでは、放熱特性に優れない粒界相の存在比率が相対的に大きくなることから、
放熱特性に優れた窒化珪素質焼結体を得ることは難しくなる。
このような状況の中、本発明者らは、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有する窒化珪素質焼結体を得るのに、窒化珪素を主成分とし、マグネシウム,希土類元素(Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuの少なくともいずれか1種)およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質量%以上0.5質量%以下含んでなることが重要であることを見出した。
なお、本実施形態における主成分とは、窒化珪素質焼結体を構成する全成分100質量%
に対して、83質量%以上占める成分をいう。そして、窒化珪素と、マグネシウム,希土類元素(RE)およびアルミニウムを酸化物換算した各含有量は、蛍光X線分析法,ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析法またはエネルギー分散型X線分光法によって、Si,Mg,RE,Alの含有量を求め、これら各含有量をSiについてはSiに、その他についてはMgO,RE,Alに換算することで求めることができる。
マグネシウムの酸化物換算での含有量が2質量%以上6質量%以下であることにより、マグネシウムの酸化物の有する焼結促進作用によって、緻密化を図ることができることから、優れた機械的特性を有する窒化珪素質焼結体とすることができる。これに対し、マグネシウムの酸化物換算での含有量が2質量%未満では、焼結促進作用が小さく、6質量%を超えると、粒界相の占有率が高くなり放熱特性を高めることができなくなる。なお、マグネシウムの酸化物換算での含有量は、3質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
また、希土類元素の酸化物換算での含有量が4質量%以上10質量%以下であることにより、酸素との高い親和性によって、液相中に窒化珪素の粉末間の酸素が多く取り込まれ、窒化珪素の粒成長が促進されるため、優れた放熱特性を有する窒化珪素質焼結体とすることができる。なお、希土類元素の酸化物換算での含有量は、5質量%以上9質量%以下であることが好ましい。
また、アルミニウムの酸化物換算での含有量が0.1質量%以上0.5質量%以下であることにより、粒界相の非晶質化が促進され、粒界相中に隙間を生じにくいため、絶縁耐力の高い窒化珪素質焼結体とすることができる。なお、アルミニウムの酸化物換算での含有量は、0.2質量%以上0.4質量%以下であることが好ましい。
そして、本実施形態における窒化珪素質焼結体は、上述した組成範囲を満たしているとともに、β−Siからなる主結晶相と、組成式がRESi(REは希土類元素)として示される成分を含む粒界相とにより構成され、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)であることが重要である。
窒化珪素および希土類元素の酸化物を構成する元素が結合したRESiとして示される成分を粒界相に含むことから、放熱特性および機械的特性に優れた窒化珪素質焼結体とすることができる。なお、主結晶相であるβ−Siおよび組成式がRESiとして示される成分は、粉末X線回折法により同定することができる。
ここで、組成式がRESiとして示される成分を構成する希土類元素は、イットリウム(Y),ランタノイド系金属(La,Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy
,Tm,Er,Yb,Lu)であることが好適であり、その中でもエルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)の少なくとも1種であることが好適である。
エルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)は、周期表第3族元素の中でイオン半径が小さい元素であることから、上記組成式を構成する他の原子であるSi,O,Nとの結合が強いためにフォノンの伝達がよく、熱伝導率を高くすることができる。併せて、エルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)は、Si,O,Nとの結合が強いために熱エネルギーによる格子振動が小さく、温度変化による体積膨張が小さいので、熱膨張係数を小さくすることができ、耐熱衝撃特性を高くすることができる。上記成分を構成する希土類元素をエルビウム(Er),イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)の少なくとも1種とすることにより、例えば、室温における熱膨張係数を1.35×10−6/K以下とさらに小さくすることができ、熱伝導率を51W/(m・K)以上と高くすることができる。
さらに、上記成分を構成する希土類元素がエルビウム(Er)の場合は、ErSiを粒界相中に析出させるために添加する酸化エルビウム(Er)が比較的安価であるとともに、酸化イッテルビウム(Yb)または酸化ルテチウム(Lu)を添加したときよりも低い温度で焼結させることができるため、製造コストの低減におおいて好適である。
そして、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)であることにより、RESiの結晶化に伴う体積収縮は小さく、粒界相内に隙間が生じにくいことから、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有する窒化珪素質焼結体とすることができる。
このように、粒界相に組成式がRESi(REは希土類元素)として示される成分を含み、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)とするには、上述した組成範囲を満たす原料を用いた焼成において、最高温度と、その保持時間と、さらに最高温度からの降温速度が重要となる。
また、本実施形態における窒化珪素質焼結体は、上述したピーク強度の比率(I/I)が4%以上であることが好適である。比率(I/I)が4%以上であるときには、融点の高い、RESiとして示される成分が粒界相に占める比率が増すこととなるため、高温における機械的特性を高くすることができる。特に、この比率(I/I)が6%以上であることがより好適である。
ここで、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iは、PDF(
登録商標)Number:00−033−1160で示されるカードと照合したときの回折角27°〜28°における最も高いピークの強度のことである。また、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iは、REが例えば、Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Tb,Dy,Tm,Er,Yb,Luであるとき、それぞれPDF(登録商標)Number:00−032−1451,01−072−7716,00−031−0339,00−032−0887,00−031−0885,00−031−1215,00−034−1268,00−055−1090,00−032−1354,00−031−0505,00−051−0340,00−033−0847で示されるカードと照合したときの回折角30°〜35°における最も高いピークの強度のことである。
なお、比率(I/I)の算出においては、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度I、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iともに、粉末X線回折法によって得られた回折強度曲線からバックグラウンド強度を除去した値を用いる。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体によれば、粒界相中に、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物と、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物とを含み、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触していることが好適である。
ここで、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触している状態を、図1を用いて具体的に説明する。
図1は、本実施形態の窒化珪素質焼結体の断面の一例を示す模式図である。本実施形態の窒化珪素質焼結体は、図1の模式図に示すように、β−Siからなる主結晶相1と、組成式がRESiとして示される成分2を含む粒界相3とにより構成されている。そして、粒界相3に、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物4と、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物5とを含んでいることが好ましい。
ここで、第1金属の珪化物4は、組成式がFeSi,FeSi,FeSi,FeSi,FeSi,FeSi,FeSi,FeSi,FeSi,FeSi,CuSi,CuSi,CuSiおよびCuSiとして表される成分の少なくともいずれか1種である。
また、第2金属の珪化物5は、組成式が、MoSi,MoSi,MoSi,MoSi,MoSi,CrSi,CrSi,CrSi,CrSi,CrSi,NiSi,NiSi,NiSi,NiSi,NiSi,MnSi,MnSi,MnSi,MnSi,MnSi,WSi,WSi,WSi,WSiおよびWSiとして表される成分の少なくともいずれか1種である。
第1金属の珪化物4は、β−Siをより低温で焼結させることができるため、β−Siの異常な粒成長を少なくすることができる。また、第2金属の珪化物5は、粒界相3の固化を制御して高温における機械的特性を高めることができるとともに、窒化珪素質焼結体の色調を黒色化し、窒化珪素質焼結体の表面における色調差を少なくすることができる。
そして、本実施形態の窒化珪素質焼結体において、第1金属の珪化物4と第2金属の珪化物5とが接触していることが好ましい。第1金属の珪化物4と第2金属の珪化物5とが接触している形態としては、図1に示す例のように、例えば、第1金属の珪化物4aと第2金属の珪化物5aとが隣接している形態、第1金属の珪化物4bが第2金属の珪化物5bを取り囲んでいる形態がある。
このように、粒界相3中において、第1金属の珪化物4と第2金属の珪化物5とが接触しているときには、第1金属の珪化物4が、高温の環境下で破壊源となるおそれのある第2金属の珪化物5に集中する応力を分散して緩和するので、耐熱衝撃性を高くすることができる。
特に、第1金属が鉄、第2金属がタングステンであることが好ましい。第1金属が鉄、
第2金属がタングステンであるときには、それぞれの珪化物は、結晶構造が近似するため、接触する確率が増加するので、耐熱衝撃性をさらに向上させることができる。
さらには、第1金属の珪化物4は、組成式がFeSiとして表される成分であり、第2金属の珪化物5は、組成式がMoSiおよびWSiの少なくともいずれかとして表される成分であることが好適である。この理由は、組成式がそれぞれFeSi,MoSi,WSiとして表される成分は、ともに熱力学的に安定な成分であること、また、両者の結晶構造が近似していることから、耐熱衝撃性をさらに向上させることができるからである。
粒界相3中に、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物4と、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物5とを含んでいる状態は、エネルギー分散型X線分光法を用いて観察することができ、具体的には、断面の面積が0.01mmの領域にX線マイクロアナライザーを用いて電子線を照射して、この領域における各元素から発生する特性X線を検出することにより、元素を同定することができ、特性X線の強度に応じてマッピングすることにより確認することができる。
さらに、粒界相3に、第1金属と珪素または第2金属と珪素からなる固溶体6aもしくは金属間化合物6bが存在していてもよい。粒界相3に、固溶体6aや金属間化合物6bが存在していることにより、粒界相3の破壊靱性は向上し、粒界相3に微細なクラックが生じたとしても、その進展が抑制されるので、耐熱衝撃性を高くすることができる。
この固溶体6aおよび金属間化合物6bのそれぞれの存在は、エネルギー分散型X線分光法を用いて観察することができ、金属間化合物6bの組成式は、粉末X線回折法を用いて同定することができる。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体によれば、カルシウムを含んでなる白状斑点が粒界相に存在していることが好ましい。このように、カルシウムを含んでなる白状斑点が粒界相に存在しているときには、窒化珪素質焼結体の熱伝導率を向上させることができるため、放熱特性を向上させることができる。ここで、粒界相に存在する白状斑点は、光学顕微鏡を用いて50倍以上100倍以下の倍率において暗視野で観察することにより、確認する
ことができる。
また、白状斑点がカルシウムを含んでいるか否かについては、X線マイクロアナライザーを用いて確認することができる。具体的には、光学顕微鏡を用いて白状斑点を観察した領域と同じ領域に、X線マイクロアナライザーを用いて電子線を照射し、この領域から発生するカルシウム固有の波長およびこの波長の強度の情報をX−Y座標に記録したマッピングと、光学顕微鏡で観察した白状斑点の位置とを照合することにより確認することができる。なお、X線マイクロアナライザーを用いた確認において、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムは、白状斑点の位置における存在量は少ないものである。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体によれば、円相当径が2μm以上50μm以下のカルシウムを含んでなる白状斑点が、1mm当たり550個以上1650個以下存在しているこ
とが好適である。円相当径が2μm以上50μm以下のカルシウムを含んでなる白状斑点が、1mm当たり550個以上1650個以下存在しているときには、絶縁耐力が高く、放熱特
性を向上させた窒化珪素質焼結体とすることができる。
ここで、円相当径が2μm以上50μm以下の白状斑点の1mm当たりの個数は、光学顕微鏡を用いて100倍の倍率で、例えば、面積が1.125mm(横方向の長さが1.238mm
、縦方向の長さが0.909mm)となる範囲をCCDカメラで撮影した画像を取り込み、画
像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)による粒子解析という手法で解析すればよい。ここで、この手法の設定条件としては、例えば、明度を暗、2値化の方法を手動、小図形除去面積を5μm、画像の明暗を示す指標であるしきい値を、画像内の各点(各ピクセル)が有する明るさを示すヒストグラムのピーク値の0.8倍以上2倍以下とする。
また、白状斑点に含まれるカルシウムの含有量は、0.14質量%以上0.36質量%以下であることが好ましい。なお、白状斑点に含まれるカルシウムの含有量とは、前述したマッピングを用いて、マッピングと光学顕微鏡で観察した画像とで照合した白状斑点の位置に存在するカルシウムの面積比率を算出し、この白状斑点に存在するカルシウムの面積比率に窒化珪素質焼結体におけるカルシウムの含有量を乗じた値のことである。窒化珪素質焼結体におけるカルシウムの含有量は、蛍光X線分析法,ICP発光分析法またはエネルギー分散型X線分光法によって求めることができる。
そして、窒化珪素質焼結体の絶縁耐力は、JIS C 2141−1992(IEC 72-2(1980))に準拠して測定した絶縁破壊の強さ(MV/m)で評価することができる。本実施形態の窒化珪素質焼結体は、絶縁破壊の強さが18MV/m以上である。
また、窒化珪素質焼結体の機械的特性は、3点曲げ強度が740MPa以上であり、動的
弾性率が300GPa以上であり、ビッカース硬度(Hv)が13GPa以上であり、破壊靱
性(K1C)が5MPam1/2以上である。上述した機械的特性を有していることにより、本実施形態の窒化珪素質焼結体と金属からなる部材とを接合した接合部材は、特に、耐クリープ性やヒートサイクルに対する耐久性を向上させることができるので、高い信頼性が得られるとともに長期間にわたって使用することができる。
なお、3点曲げ強度については、JIS R 1601−2008(ISO 17565:2003(M
OD))に準拠して測定すればよい。ただし、窒化珪素質焼結体の厚みが薄く、窒化珪素質焼結体から切り出した試験片の厚みを3mmとすることができない場合には、窒化珪素質焼結体の厚みをそのまま試験片の厚みとして評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
また、動的弾性率については、JIS R 1602−1995で規定される超音波パルス法に準拠して測定すればよい。ただし、窒化珪素質焼結体の厚みが薄く、窒化珪素質焼結体から切り出した試験片の厚みを10mmとすることができない場合には、片持ち梁共振法を用いて評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
さらに、ビッカース硬度(Hv)および破壊靱性(K1C)については、それぞれJIS R 1610−2003(ISO 14705:2000(MOD))およびJIS R 1607−1995
に規定される圧子圧入法(IF法)に準拠して測定すればよい。なお、窒化珪素質焼結体の厚みが薄く、窒化珪素質焼結体から切り出した試験片の厚みをそれぞれJIS R 1610−2003およびJIS R 1607−1995の圧子圧入法(IF法)で規定する0.5mmおよ
び3mmとすることができないときには、窒化珪素質焼結体の厚みをそのまま試験片の厚みとして評価して、その結果が上記数値を満足することが好ましい。ただし、そのままの厚みで評価して上記数値を満足することができないほどに窒化珪素質焼結体の厚みが薄いとき、例えば0.2mm以上0.5mm未満のときには、窒化珪素質焼結体に加える試験力および押込荷重をいずれも0.245Nとし、試験力および押込荷重を保持する時間をいずれも15
秒としてビッカース硬度(Hv)および破壊靱性(K1C)を測定すればよい。
また、上述したような窒化珪素質焼結体の電気的特性は、体積抵抗率が、常温で1014
Ω・cm以上であって、300℃で1012Ω・cm以上であることが好ましい。この体積抵
抗率は、JIS C 2141−1992に準拠して測定すればよい。ただし、窒化珪素質焼結体が小さく、窒化珪素質焼結体からJIS C 2141−1992で規定する大きさとすることができない場合には、2端子法を用いて評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
図2は、本実施形態の回路基板の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線での断面図であり、(c)は底面図である。
図2に示す例の回路基板10は、本実施形態の窒化珪素質焼結体からなる支持基板11の第1主面側に回路部材12a,12bが、第1主面に対向する第2主面側に放熱部材13が設けられてなる回路基板10であり、支持基板11と回路部材12a,12bおよび放熱部材13とは、それぞれ接合層14a,14bを介して接合されている。
このような回路基板10は、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有する本実施形態の窒化珪素質焼結体からなる支持基板11を用いているので、信頼性の高い回路基板10とすることができる。
本実施形態の回路基板10を構成する窒化珪素質焼結体からなる支持基板11は平板状であり、例えば、長さ(図2に示すX方向)が20mm以上200mm以下であり、幅(図2に示
すY方向)が10mm以上120mm以下である。支持基板11の厚みは用途によって異なるが
、絶縁耐圧が高く、耐久性に優れたものとするには、0.2mm以上1.0mm以下とすることが好適である。
また、本実施形態の回路基板10を構成する回路部材12aは、例えば、長さ(図2に示すX方向)が15mm以上155mm以下であり、幅(図2に示すY方向)が8mm以上100mm以下である。また、回路部材12bは、例えば、長さ(図2に示すX方向)が1mm以上10mm以下であり、幅(図2に示すY方向)が8mm以上100mm以下である。回路部材12
a,12bの厚みは回路部材12a,12bを流れる電流の大きさや回路部材12a,12bに搭載される電子部品(図示しない)の発熱量等によって決められ、例えば、0.5mm以上5m
m以下である。
また、本実施形態の回路基板10を構成する放熱部材13は、発熱した電子部品(図示しない)から熱を逃がすという機能を有し、例えば、長さ(図2に示すX方向)が18mm以上190mm以下であり、幅(図2に示すY方向)が8mm以上100mm以下であり、厚みが0.5mm以上5mm以下である。
また、回路部材12a,12bおよび放熱部材13は、それぞれ接合層14a,14bとの間に銅材を介して接合するものであってもよい。これにより、接合層14a,14bを介して回路部材12a,12bおよび放熱部材13を接合するときの温度が800〜900℃であるのに対し、銅材を介することにより、回路部材12a,12bと銅材との間および放熱部材13と銅材との間の接合を、それぞれの構成成分である銅の拡散によって300〜500℃程度の比較的低い温度で接合することができるため、支持基板11に生じる反りを抑制することができる。その結果、支持基板11に生じる応力が小さいことから、熱を繰り返し加えても亀裂が生じにくいものとなる。また、回路部材12a,12bおよび放熱部材13の少なくともいずれか1つを厚くすることができるため、回路基板10の放熱特性を高くすることができる。
また、図2において、寸法の異なる回路部材12a,12bを設けた例を示したが、同等の大きさの回路部材12a,12bを支持基板11の第1主面側に配置すれば、回路部材12a,12bを接合した後の支持基板11に生じる応力の偏りが少なくなることから、支持基板11に生
じる反りを低減することができる。
なお、回路部材12a,12bおよび放熱部材13の主成分である銅の含有量は、ともに90質量%以上であり、銅の含有量が多い、無酸素銅,タフピッチ銅およびりん脱酸銅のいずれかからなることが好適であり、特に、無酸素銅のうち、銅の含有量が99.995質量%以上の線形結晶無酸素銅,単結晶状高純度無酸素銅および真空溶解銅のいずれかからなることが好適である。このように、回路部材12a,12bおよび放熱部材13は、銅の含有量が多くなると、それぞれ電気抵抗が低く、熱伝導率が高くなるため、放熱特性が向上し、さらに回路部材12a,12bにおいては、回路特性(回路部材12a,12b上に搭載される電子部品の発熱を抑制し、電力損失を少なくする特性)も向上する。また、銅の含有量が多くなると、降伏応力が低く、加熱すると塑性変形しやすくなるため、回路部材12a,12bおよび銅材,放熱部材13および銅材のそれぞれの密着性が上がり、より信頼性が高くなる。
また、接合層14a,14bとなるろう材は、主成分が銀および銅の少なくとも1種であって、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選ばれる1種以上を含有することが好適である、また接合層14a,14bの厚みは、例えば、5μm以上20μm以下である。
また、回路部材12a,12bと接合層14a、放熱部材13と接合層14bとの間に介在する銅材は、銅の含有量が多い、無酸素銅,タフピッチ銅およびりん脱酸銅のいずれかからなることが好適であって、特に、無酸素銅のうち、銅の含有量が99.995質量%以上の線形結晶無酸素銅,単結晶状高純度無酸素銅および真空溶解銅のいずれかからなることが好適であり、その厚みは、例えば、0.1mm以上0.6mm以下である。
なお、回路基板10を構成する窒化珪素質基板からなる支持基板11の3点曲げ強度,動的弾性率,ビッカース硬度(H)および破壊靱性(K1C)については、回路基板10から回路部材12a,12b、放熱部材13、接合層14a,14bをエッチング等によって除去した後、上述した方法によって求めればよい。
次に、図3は、本実施形態の電子装置の一例を示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のB−B’線での断面図であり、(c)は底面図である。
図3に示す例の電子装置Sは、本実施形態の回路基板10の回路部材12上に1つ以上の半導体素子等の電子部品16,17が搭載されたものであり、これらの電子部品16,17同士は導体(図示しない)によって互いに電気的に接続されている。なお、回路部材12および放熱部材13は、それぞれ接合層14a,14bとの間に銅材15a,15bを介して接合されている。本実施形態の電子装置Sによれば、本実施形態の回路基板10における回路部材12上に電子部品16,17を搭載したことから、電子部品16,17が発熱を繰り返しても、支持基板11と、回路部材12および放熱部材13とが容易に剥離しないので、耐久性の高い電子装置Sとすることができる。
図3に示す例における回路部材12および放熱部材13のそれぞれの寸法は、例えば、長さ(図3に示すX方向)が4mm以上40mm以下であり、幅(図3に示すY方向)が5mm以上50mm以下であり、厚みが0.5mm以上5mm以下である。
そして、図3に示す例のように、回路部材12および放熱部材13は、平面視でそれぞれ複数行および複数列に配置されていることが好適である。このように、回路部材12および放熱部材13が平面視で複数行および複数列に配置されることで、回路部材12および放熱部材13を支持基板11に接合した際に、支持基板11に生じる応力が分散されやすくなるので、支持基板11に生じる反りを減らすことができる。特に、回路部材12および放熱部材13は、図
3に示す例のように、平面視でそれぞれ複数行および複数列に等間隔で配置されていることが好適である。
本実施形態の回路基板および電子装置によれば、支持基板が、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有していることから、反りが生じにくく熱が繰り返し加わっても亀裂が生じにくいため、信頼性の高い回路基板および電子装置とすることができる。
次に、本実施形態の窒化珪素質焼結体の製造方法について説明する。
まず、β化率が20%以下である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO),希土類元素の酸化物(例えば、Y,La,Ce,Pr11,Nd,Sm,Tb,Dy,Tm,Er,YbおよびLuの少なくともいずれか1種),酸化アルミニウム(Al)および硼酸(HBO)の各粉末とを、バレルミル,回転ミル,振動ミル,ビーズミル,サンドミル,アジテーターミル等の混合装置を用いて、水とともに湿式混合し、粉砕してスラリーを作製する。
そして、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質量%以上0.5質量%以下含んでなる窒化珪素質焼結体とするには、窒化珪素の粉末とこれら添加成分の粉末の合計との総和を100質量%としたとき、添加成分である酸化マグネシウム(MgO)の粉末を2〜6質
量%、希土類元素の酸化物の粉末を4〜10質量%、酸化アルミニウム(Al)の粉末を0.1〜0.5質量%、残部を窒化珪素となるように秤量すればよい。
窒化珪素および添加成分の粉末の粉砕で用いるボールは、不純物が混入しにくい材質あるいは同じ材料組成の窒化珪素質焼結体からなるボールが好適である。なお、窒化珪素および添加成分の粉末の粉砕は、粒度分布曲線の累積体積の総和を100%とした場合の累積
体積が90%となる粒径(D90)が3μm以下となるまで粉砕することが、焼結性の向上という点から好ましい。粉砕によって得られる粒度分布は、ボールの外径,ボールの量,スラリーの粘度,粉砕時間等で調整することができる。
また、以上の粉砕を短時間で行なうには、予め累積体積50%となる粒径(D50)が1μm以下の粉末を用いることが好ましい。また、有機バインダを窒化珪素の粉末と焼結助剤の粉末との総和100質量%に対して1質量%以上10質量%以下でスラリーに混合するこ
とが、成形性のために好ましい。さらに、分散性を高めるために分散剤を添加することが好ましい。
次に、得られたスラリーをASTM E 11−61に記載されている粒度番号が200のメ
ッシュまたはこのメッシュより細かいメッシュの篩いに通した後に乾燥させて、窒化珪素を主成分とする顆粒(以下、窒化珪素質顆粒という。)を得る。乾燥は、噴霧乾燥機で乾燥させてもよく、他の方法であっても何ら問題ない。そして、粉末圧延法を用いて窒化珪素質顆粒をシート状に成形してセラミックグリーンシートとし、このセラミックグリーンシートを所定の長さに切断して窒化珪素を主成分とする成形体(以下、窒化珪素質成形体という。)を得る。あるいは、粉末圧延法に代えて、加圧成形法を用い、窒化珪素質顆粒を成形型に充填してから加圧することによって、形状が、例えば、角柱状,角板状,円柱状または円板状である窒化珪素質成形体を得る。
次に、得られた成形体を窒化珪素質焼結体からなるこう鉢の内部に入れる。なお、このとき、窒化珪素質成形体の含有成分の揮発を抑制するために、窒化珪素質成形体の周囲に酸化マグネシウムおよび希土類元素の酸化物等の成分を含んだ共材を配置して、黒鉛抵抗
発熱体が設置された焼成炉内に入れて焼成する。この共材は窒化珪素質成形体の各質量の合計に対して、2質量%以上10質量%未満の量が好ましい。
また、焼成条件については、室温から300〜1000℃までは真空雰囲気中にて昇温し、そ
の後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を15〜900kPaに維持する。そして、さらに昇温
を進めて、1560℃以上1640℃以下で4時間より長く6時間以下保持した後、さらに温度を上げて1740℃以上1800℃未満で4時間以上10時間以下保持する。その後、500℃/時間以
上の降温速度で冷却することによって、窒化珪素を主成分とし、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質量%以上0.5質量%以下含んでなり、β−Siからなる主結晶相と、組成式がRESi(REは希土類元素)として示される成分を含む粒界相とにより構成され、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)である本実施形態の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
また、比率(I/I)が4%以上である本実施形態の窒化珪素質焼結体を得るには、最高温度を保持した後の降温速度を500℃/時間以上550℃/時間以下で冷却すればよい。
また、粒界相中に、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物と、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物とを含み、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触している本実施形態の窒化珪素質焼結体を得るには、窒化珪素の粉末および添加成分を構成する上記各粉末に、焼成後に第1金属の珪化物および第2金属の珪化物となる、それぞれの金属,酸化物,珪化物等の少なくともいずれか1種からなる粉末とを添加して、混合装置を用いて水とともに湿式混合し、粉砕してスラリーを作製すればよい。そして、スラリーを作製した後は、上述した方法と同じ方法で作製することにより、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物と、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物とを含み、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触している本実施形態の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
また、カルシウムを含んでなる白状斑点が粒界相に存在している本実施形態の窒化珪素質焼結体を得るには、窒化珪素の粉末および添加成分を構成する上記各粉末に、酸化カルシウムの粉末を、例えば、0.25質量%以上0.6質量%以下添加して、混合装置を用いて、
水とともに湿式混合し、粉砕してスラリーを作製すればよい。そして、スラリーを作製した後は、上述した方法と同じ方法で作製することにより、カルシウムを含んでなる白状斑点が粒界相に存在している窒化珪素質焼結体を得ることができる。
また、円相当径が2μm以上50μm以下の白状斑点が、1mm当たり550個以上1650
個以下存在する窒化珪素質焼結体を得るには、混合装置による混合・粉砕時間を例えば24時間以上72時間以下とすればよい。
次に、本実施形態の回路基板10の製造方法について説明する。
図2に示す例の回路基板10を得るには、まず、X方向の長さが20mm以上200mm以下
であり、Y方向の長さが10mm以上120mm以下であり、厚みが0.2mm以上1.0mm以下
である支持基板11を上述した製造方法により準備する。次いで、この支持基板11の両主面上に、接合層14a,14bとなる、チタン,ジルコニウム,ハフニウムおよびニオブから選ばれる1種以上を含有する銀(Ag)−銅(Cu)系合金のペースト状のろう材を、スク
リーン印刷法,ロールコーター法および刷毛塗り法等のいずれかで塗布し、第1主面側に銅を主成分とする回路部材12a,12bを、第2主面側に銅を主成分とする放熱部材13を配置する。上記ペースト状のろう材には、モリブデン,タンタル,オスミウム,レニウムおよびタングステンから選ばれる1種以上を含有させてもよい。その後、真空雰囲気中、800℃以上900℃以下で加熱し、同時に30MPa以上の圧力を加えることによって、支持基板11の第1主面側に回路部材12a,12bを、第2主面側に放熱部材13をそれぞれろう材14a,14bを介して接合してなる回路基板10を得ることができる。
また、回路部材12a,12bと接合層14a、放熱部材13と接合層14bとの間に銅材を介在させるときには、接合層14a,14bとなるろう材上に薄状の銅材をそれぞれ配置する。その後、800℃以上900℃以下で加熱して、支持基板11の第1主面側および第2主面側にそれぞれ接合層14a,14bを介して銅材を接合する。
そして、銅材がそれぞれ回路部材12a,12bおよび放熱部材13と対向する面を研磨した後、銅材上に回路部材12a,12bおよび放熱部材13をそれぞれ配置する。そして、水素,窒素,ネオンまたはアルゴンのいずれかから選ばれる雰囲気中、300℃以上500℃以下で加熱し、同時に30MPa以上の圧力を加えることによって、支持基板11の第1主面側に回路部材12a,12bを、第2主面側に放熱部材13を、それぞれ接合層14a,14b、銅材を順次介して接合してなる回路基板10を得ることができる。
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
まず、β化率が10%(即ち、α化率が90%)である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO),表1に示す希土類元素の酸化物および酸化アルミニウム(Al)の各粉末とを用いて、表1に示す含有量となるように秤量し、回転ミルを用いて湿式混合し、粒径(D90)が1μm以下となるまで粉砕してスラリーとした。
次に、得られたスラリーに有機バインダを加えた後、ASTM E 11−61に記載されている粒度番号が250のメッシュの篩いに通した後に噴霧乾燥機を用いて乾燥させること
によって、窒化珪素質顆粒を得た。そして、粉末圧延法を用いて、窒化珪素質顆粒をシート状に成形してセラミックグリーンシートとし、このセラミックグリーンシートを所定の長さに切断し、平板状の窒化珪素質成形体を得た。
次に、得られた窒化珪素質成形体を相対密度が75%である窒化珪素質焼結体からなるこう鉢の内部に入れた。なお、このとき、酸化マグネシウムおよび希土類元素の酸化物等の成分を含んだ共材を、窒化珪素質成形体の各質量の合計に対して6質量%の量で窒化珪素質成形体の周囲に配置した状態で、黒鉛抵抗発熱体が設置された焼成炉内に入れて焼成した。
焼成条件については、室温から500℃までは真空雰囲気中にて昇温し、その後、窒素ガ
スを導入して、窒素分圧を100kPaに維持した。そして、焼成炉内の温度を上げて1580
℃で4時間保持した後、さらに温度を上げて1750℃として、5時間保持した。そして、表1に示す降温速度で冷却することによって、長さが60mm,幅が30mm,厚みが0.32mmの窒化珪素質焼結体である試料No.1〜44を得た。
そして、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムの各酸化物の含有量をエネルギー分散型X線分光法によって求めた。表1に、各酸化物の含有量を示す。また、組成式がRESiで表される成分の同定を粉末X線回折法により行なった。
そして、X線回折法によって得られた結果を基に、PDF(登録商標)Number:00−033−1160で示されるカードと照合して、回折角27°〜28°におけるβ−Siの最も高い
強度を第1のピーク強度Iとした。また、表1に記載したPDF(登録商標)Numberで示
されるカードと照合して、回折角30°〜35°におけるRESiの最も高い強度を第1のピーク強度Iとした。なお、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iおよび回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iは、粉末X線回折法によって得られた回折強度曲線からバックグラウンド強度を除去した値である。そして、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iとを用いて比率(I/I)を算出し、算出値を表1に示した。
また、各試料の厚み方向における熱拡散率αを、レーザフラッシュによる2次元法によって熱定数測定装置(アルバック理工(株)製、TC−7000)を用いて、各試料の比熱容量Cを、示唆走査熱量法(DSC法)によって超高感度型示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC−6200)を用いて、また、各試料のかさ密度ρ(kg/m)をJIS R 1634−1998に準拠してそれぞれ測定した。そして、これらの方法によって求められた値を以下の式に代入して、各試料の厚み方向における熱伝導率κ(W/(m・K))をそれぞれ算出し、その値を表1に示した。
κ=α・C・ρ
また、各試料の絶縁耐力を評価するために、各試料の絶縁破壊の強さ(MV/m)をJIS C 2141−1992(IEC 672-2(1980))に準拠して測定し、その値を表1に示
した。なお、各試料に形成する電極の材質は黄銅とし、各試料の周囲媒質としてシリコーン油を用いた。
また、窒化珪素質焼結体の機械的特性を評価するために、各試料の作製に用いた窒化珪素質顆粒を乾式加圧成形法により、角柱状に成形した後、上述した焼成条件で焼成し、JIS R 1601−2008(ISO 17565:2003(MOD))に準拠して、長さが36mm,
幅が4mm,厚みが3mmの角柱体における3点曲げ強度(MPa)を測定し、その値を表1に示した。
Figure 2013203633
表1に示す通り、試料No.2,4,6,8〜12,14,16,19,21,23,25〜29,31,33,35〜44は、窒化珪素を主成分とし、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質量
%以上0.5質量%以下含んでなり、β−Siからなる主結晶相と、組成式がRE
Siとして示される成分を含む粒界相とにより構成され、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)であることから、絶縁破壊の強さが18MV/m以上であり、熱伝導率が50W/(m・K)以上であり、3点曲げ強度が735MPa以上で
あった。この結果から、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、RESiの結晶
化に伴う体積収縮は小さく、粒界相内に隙間は生じにくいことから、絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有する窒化珪素質焼結体であることがわかった。
また、試料No.2,4,6,8〜12,14,16,19,21,23,25〜29,31〜33,35〜44の窒化珪素質焼結体を支持基板として用いて、ろう材を介して、支持基板の第1主面側に回路部材を、第1主面に対向する第2主面側に放熱部材をそれぞれ設けてなる回路基板を作製したところ、支持基板の絶縁耐力が高く、優れた放熱特性および機械的特性を有していることから、信頼性の高い回路基板とできることがわかった。
また、このように優れた本実施形態の回路基板における回路部材上に電子部品を搭載したところ、信頼性の高い電子装置とできることがわかった。
実施例1で作製した試料No.8〜11,25〜28を大気雰囲気中で、1500℃で保持した状態でJIS R 1604-2008に準拠して3点曲げ強度を測定した。その測定値を表2に示
す。
Figure 2013203633
表2に示す通り、試料No.8〜10,25〜27は、比率(I/I)が4%以上であることから、融点の高い、組成式がRESiとして示される成分が粒界相に占める比率が増すこととなり、高温における3点曲げ強度の値が高くなっており、機械的特性に優れる窒化珪素質焼結体となることがわかった。
まず、β化率が10%(即ち、α化率が90%)である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO),表3に示す希土類元素の酸化物,酸化アルミニウム(Al),表3に示す鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物の粉末ならびに表3に示すモリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物の各粉末とを、回転ミルを用いて湿式混合し、粒径(D90)が1μm以下となるまで粉砕してスラリーとした。
ここで、上記各粉末の含有量は、窒化珪素質焼結体におけるマグネシウム,希土類元素およびアルミニウムの各含有量が酸化物換算でそれぞれ4質量%,14質量%,0.3質量%
となるように、また、第1金属の含有量の合計および第2金属の含有量の合計が珪化物換算でそれぞれ0.4質量%,5質量%となるように、それぞれ秤量した。ただし、試料No
.45,63は、第2金属の珪化物の粉末を添加していない。
次に、得られたスラリーに有機バインダを加えた後、ASTM E 11−61に記載されている粒度番号が250のメッシュの篩いを通した後に噴霧乾燥機を用いて乾燥させること
によって、窒化珪素質顆粒を得た。そして、この窒化珪素質顆粒を、乾式加圧成形法を用いて、先端部が円錐形である円柱状の窒化珪素質成形体を作製した。
そして、以降の製造方法としては、実施例1と同様の方法で行なうことにより、長さが75mm,直径が7.5mmの円柱状の窒化珪素質焼結体である試料No.45〜80を得た。な
お、降温速度は、500℃/時間とした。
そして、マグネシウム,希土類元素,アルミニウムの各酸化物、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物について、粉末X線回折法を用いて同定するとともに、エネルギー分散型X線分光法によって添加時の成分組成と含有量が同じであることを確認した。
なお、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムの酸化物は、それぞれMgO,RE,Alとして算出して確認した。また、第1金属の珪化物は、第1金属が鉄である場合はFeSi、銅である場合はCuSiとして算出して確認した。また、第2金属の珪化物は、第2金属がモリブデン,クロム,ニッケル,マンガン,タングステンである場合には、それぞれMoSi,CrSi,NiSi,MnSi,WSiとして算出して確認した。
また、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触している状態は、断面の面積が0.01mmの領域にX線マイクロアナライザーを用いて電子線を照射して、この領域における各元素から発生する特性X線を検出することにより、元素を同定して、特性X線の強度に応じてマッピングすることにより確認し、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触していることが認められる試料は◎を、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触していることが認められない試料は○を表3に示した。
そして、各試料の耐熱衝撃性をJIS R 1648−2002に記載された試験装置および器具を用いて評価し、試料にクラックが確認されたときの水温との温度差を表3に示した。なお、クラックの有無については、耐熱衝撃試験前後にJIS Z 2343−1−2001に準拠して確認した。
Figure 2013203633
表3に示す通り、試料No.46〜62,64〜80は、粒界相中に、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物と、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物とを含み、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触していることから、第1金属の珪化物は、高温の環境下で破壊源となるおそれのある第2金属の珪化物に集中する応力を分散して緩和することができるため、第1金属の珪化物と第2金属の珪化物とが接触していない試料No.45,63よりも耐熱衝撃性が高くなっていることがわかった。
特に、試料No.46,50,51,52,57,58,62,64,68,69,75,76,80は、第1金属および第2金属がそれぞれ鉄,モリブデンおよびタングステンのいずれか1種であり、そ
れぞれの珪化物の結晶構造が近似しているために接触する確率が増加することにより、耐熱衝撃性をさらに高くできることがわかった。
実施例3の試料No.46と同じ添加成分組成とし、酸化カルシウムの添加量を異ならせた窒化珪素質焼結体を実施例3と同様の方法で作製した。なお、酸化カルシウムの添加量は、試料No.82=0.25質量%、試料No.83=0.50質量%、試料No.84=0.6質量%
とした。
そして、各試料について、光学顕微鏡を用いて50倍の倍率において暗視野で観察するとともに、光学顕微鏡を用いて観察した領域と同じ領域に、X線マイクロアナライザーを用いて電子線を照射し、この領域から発生するカルシウム固有の波長およびこの波長の強度の情報をX−Y座標に記録したマッピングと、光学顕微鏡で観察した白状斑点の位置とを照合することにより、試料No.82〜84にカルシウムを含んでなる白状斑点が確認された。
次に、ICP発光分析法によって、窒化珪素質焼結体におけるカルシウムの含有量を求めた。また、前述したマッピングを用いて、マッピングと光学顕微鏡で観察した画像とで照合した白状斑点の位置に存在するカルシウムの面積比率を算出し、この白状斑点に存在するカルシウムの面積比率に窒化珪素質焼結体におけるカルシウムの含有量を乗じることによって、白状斑点に含まれるカルシウムの含有量を求め、その値を表4に示した。
そして、実施例1に示した方法と同じ方法で各試料の厚み方向における熱伝導率κ(W/(m・K))をそれぞれ算出し、その値を表4に示した。
Figure 2013203633
表4に示す通り、試料No.82〜84は、カルシウムを含んでなる白状斑点が粒界相に存在していることから、カルシウムを含んでなる白状斑点が粒界相の存在しない試料No.81よりも熱伝導率が高くなっており、放熱特性を向上できることがわかった。
実施例3の試料No.64と同じ添加成分組成とし、酸化カルシウムの添加量を0.25質量%とし、混合装置による混合・粉砕時間を表5に示す時間として、他の製造方法は実施例3と同様の方法で窒化珪素質焼結体を作製した。
そして、各試料について、円相当径が2μm以上50μm以下の白状斑点の1mm当たりの個数を確認した。まず、光学顕微鏡を用いて100倍の倍率で、面積が1.125mm(横方向の長さが1.238mm、縦方向の長さが0.909mm)となるように範囲を設定し、CCD
カメラでこの範囲の画像を取り込み、画像解析ソフト「A像くん」(登録商標、旭化成エンジニアリング(株)製)を用いて、粒子解析という手法で解析した。このとき、設定条件としては、明度を暗、2値化の方法を手動、小図形除去面積を5μm、画像の明暗を示す指標であるしきい値を、画像内の各点(各ピクセル)が有する明るさを示すヒストグラムのピーク値の0.8倍以上2倍以下に設定して行ない、結果を表5に示した。
また、実施例1に示した方法と同じ方法で各試料の厚み方向における熱伝導率κ(W/(m・K))をそれぞれ算出し、その値を表5に示した。
さらに、各試料の絶縁抵抗を評価するために、各試料の両主面上に、チタンおよびモリブデンを含有する銀(Ag)−銅(Cu)系合金のペースト状のろう材を、スクリーン印刷法で塗布し、ろう材上に薄状の銅材をそれぞれ配置した。その後、真空雰囲気中、840
℃で加熱して、ろう材からなる接合層を介して各試料の両主面に銅材を接合した。そして、この銅材を電極として、各試料の絶縁抵抗を測定し、結果を表5に示した。
Figure 2013203633
表5に示す通り、円相当径が2μm以上50μm以下のカルシウムを含んでなる白状斑点が1mm当たり550個以上1650個以下存在している試料No.86〜88は、絶縁抵抗値お
よび熱伝導率が高い結果を得られており、絶縁耐力が高く、放熱特性を向上させた窒化珪素質焼結体とできることがわかった。
1:主結晶相
2:組成式がRESi(REは希土類元素)として示される成分
3:粒界相
4:第1金属の珪化物
5:第2金属の珪化物
6a:固溶体
6b:金属間化合物
10:回路基板
11:支持基板(窒化珪素質焼結体)
12a,12b:回路部材
13:放熱部材
14a,14b:接合層
16,17:電子部品

Claims (7)

  1. 窒化珪素を主成分とし、マグネシウム,希土類元素およびアルミニウムを酸化物換算でそれぞれ2質量%以上6質量%以下,4質量%以上10質量%以下,0.1質量%以上0.5質量%以下含んでなり、β−Siからなる主結晶相と、組成式がRESi(REは希土類元素)として示される成分を含む粒界相とにより構成され、X線回折法によって求められる、回折角27°〜28°におけるβ−Siの第1のピーク強度Iに対する、回折角30°〜35°におけるRESiの第1のピーク強度Iの比率(I/I)が20%以下(但し、0%を除く)であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  2. 前記比率(I/I)が4%以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素質焼結体。
  3. 前記粒界相中に、鉄および銅の少なくとも1種からなる第1金属の珪化物と、モリブデン,クロム,ニッケル,マンガンおよびタングステンの少なくともいずれか1種からなる第2金属の珪化物とを含み、前記第1金属の珪化物と前記第2金属の珪化物とが接触していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒化珪素質焼結体。
  4. カルシウムを含んでなる白状斑点が前記粒界相に存在していることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素質焼結体。
  5. 円相当径が2μm以上50μm以下の前記白状斑点が、1mm当たり550個以上1650個以下存在していることを特徴とする請求項4に記載の窒化珪素質焼結体。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の窒化珪素質焼結体を支持基板とし、該支持基板の第1主面側に回路部材が、前記第1主面に対向する第2主面側に放熱部材がそれぞれ設けられていることを特徴とする回路基板。
  7. 請求項6に記載の回路基板における前記回路部材上に電子部品が搭載されていることを特徴とする電子装置。
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