JP5743752B2 - 回路基板 - Google Patents

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Description

本発明は、支持基板の第1主面に各種電子部品を搭載する回路部材を、第2主面に放熱部材を設けてなる回路基板に関する。
近年、半導体装置の構成部品として、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ(IGBT)素子、インテリジェント・パワー・モジュール(IPM)素子、金属酸化膜型電界効果トランジスタ(MOSFET)素子、発光ダイオード(LED)素子、フリーホイーリングダイオード(FWD)素子、ジャイアント・トランジスター(GTR)素子、ペルチェ素子等の半導体素子、昇華型サーマルプリンタヘッド素子、サーマルインクジェットプリンタヘッド素子等の各種電子部品が回路基板に搭載された電子装置が用いられている。
この回路基板は、支持基板の一方主面に電子部品が搭載される回路部材を備え、支持基板の他方主面に、搭載した電子部品の動作時に生じる熱を放熱する放熱部材を備えているものであり、回路部材および放熱部材は、支持基板の各主面に接合されて設けられるものである。また、支持基板としては、熱伝導性や機械的特性に優れていることから窒化珪素質焼結体が注目されている。
そして、回路基板の信頼性向上のため、支持基板と回路部材および放熱部材との接合強度を高めるべく、支持基板の表面をサンドブラスト、ショットブラスト、グリッドブラストまたはハイドロブラスト等の機械加工により窒化珪素質焼結体からなる支持基板の表面の粒界相を機械的に除去して支持基板の表面性状を調整することが行なわれている(特許文献1参照)。また、放熱性を高めるべく、放熱部材の接合面と反対側の形状を所定間隔で空間を形成するフィン形状としたり、放熱部材の内部に媒体を流して冷却する流路を設けたりすること等が行なわれている(特許文献2参照)。
特許第3539634号公報 特開2004−115337号公報
しかしながら、フィン形状や流路を設けた形状等の放熱部材を設ければ、動作時に従来よりも高い熱が生じる電子部品を搭載することが可能となるものの、支持基板と回路部材および放熱部材との接合強度が高くなければ、長期間の使用に耐えることができない。そして、特許文献1には、窒化珪素質焼結体からなる支持基板の表面の粒界相を機械的に除去することによって表面性状を調整する旨が記載されているものの、粒界相を機械的に除去する際には、支持基板の表面に存在する窒化珪素粒子も機械的衝撃を受けている。その結果、動作時に従来よりも高い熱が生じる電子部品を搭載したときの冷熱サイクルによって、支持基板の表面の窒化珪素粒子は脱粒しやすくなっており、脱粒による接合強度の低下によって回路部材や放熱部材が支持基板から剥離するおそれがあった。そのため、金属からなる回路部材および放熱部材が支持基板に強固に接合されている回路基板が望まれている。
本発明は、上記課題を解決すべく案出されたものであり、支持基板と金属からなる回路部材および放熱部材との接合強度が高い回路基板を提供するものである。
本発明の回路基板は、支持基板の第1主面に回路部材を、第2主面に放熱部材をそれぞれ直接接合により設けてなる回路基板であって、前記支持基板は、窒化珪素質焼結体からなり、前記第1主面および前記第2主面に珪素を含む多数の粒状体が一体化しており、該粒状体の一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶が複数伸びており、前記粒状体よりも前記基板の方がアルミニウムの酸化物の含有量が少ないことを特徴とするものである。
また、本発明の他の形態の回路基板は、支持基板の第1主面に回路部材を、第2主面に放熱部材をそれぞれ直接接合により設けてなる回路基板であって、前記支持基板は、窒化珪素質焼結体からなり、前記第1主面および前記第2主面に珪素を含む多数の粒状体が一体化しており、該粒状体の一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶が複数伸びており、前記粒状体から伸びている前記針状結晶または前記柱状結晶が、前記第1主面および前記第2主面から伸びている窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶よりも径が細いことを特徴とするものである。
さらに、本発明の他の形態の回路基板は、支持基板の第1主面に回路部材を、第2主面に放熱部材をそれぞれ直接接合により設けてなる回路基板であって、前記支持基板は、窒化珪素質焼結体からなり、前記第1主面および前記第2主面に珪素を含む多数の粒状体が一体化しており、該粒状体の一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶が複数伸びており、前記支持基板における前記粒状体以外の基体が前記粒状体よりも窒化珪素を主成分とする結晶の平均粒径が小さいことを特徴とするものである。
本発明の回路基板によれば、支持基板と回路部材や放熱部材との接合箇所において、高いアンカー効果が得られるため、支持基板と回路部材や放熱部材とを強固に接合することができる。
本実施形態の回路基板の一例を示す斜視図である。 本実施形態の回路基板の他の例を示す斜視図である。 本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の一例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線での断面図であり、(c)は(b)のB部の部分拡大図である。 本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の断面における粒状体を示す写真である。 本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の他の例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C’線での断面図である。 本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の他の例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のD−D’線での断面図であり、(c)は(a)のE−E’線での断面図である。 本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の他の例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のF−F’線での断面図であり、(c)は(b)のG部の部分拡大図である。
以下、本実施形態の回路基板の例について説明する。図1および図2は、本実施形態の回路基板の一例を示す斜視図である。
図1,2に示す例の回路基板は、支持基板1の第1主面に回路部材2を、第2主面に放熱部材3,3’をそれぞれ直接接合により設けてなる回路基板10である。また、図1,2に示す回路部材2および放熱部材3,3’は、例えば、アルミニウム、銅等の板状の金属材や、溶融されたアルミニウム、銅等の金属を鋳型内で凝固することによって得られる金属からなる部材である。
図1に示す放熱部材3は、放熱特性を向上させるために、所定間隔で空間を形成するフィン3aを備えており、図2に示す放熱部材3’は、内部に媒体を流して冷却する流路4を備えている。図2に示す放熱部材3’において、流路4はゴム製のシール5を介し、板状部材6によって底部が塞がれており、側面には、媒体を供給する配管9を接続するジョイント7を取り付けるための開口部8が形成されている。なお、以下の説明において、放熱部材に関しては、単に放熱部材3と記す。
ここで回路基板10を構成する各部材の寸法は、以下の通りであるが以下の寸法に限定されるものではない。支持基板1は、例えば、X方向の長さが20mm以上50mm以下であり、Y方向の長さが20mm以上50mm以下であり、厚みが0.2mm以上1.0mm以下である。そして、隣り合う支持基板1の間隔は、例えば、5mm以上15mm以下である。
また、回路部材2は、X方向およびY方向の各長さが支持基板1のX方向およびY方向の各長さと同じか、この長さよりも短く、厚みは、例えば、0.4mm以上2mm以下であ
る。また、放熱部材3は、X方向およびY方向の各長さが支持基板1のX方向およびY方向の各長さと同じか、この長さよりも長く、厚みは、例えば、30mm以上60mm以下である。
図3は、本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の一例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA−A’線での断面図であり、(c)は(b)のB部の部分拡大図である。
図3に示す例の支持基板1は、図3(a)および図3(b)に示すように、窒化珪素質焼結体からなり、第1主面および第2主面に珪素を含む多数の粒状体1bが一体化している。ここで、粒状体1bとは、珪素を含む粉末を混合し粉砕してスラリーとし、噴霧乾燥機で乾燥させた顆粒または珪素を含む粉末を用いて焼成した焼結体を粉砕した敷粉等の粉粒体が焼成されてなるものである。そして、本実施形態の回路基板10に用いられる支持基板1の表面には、図3(c)に示すように、粒状体1bの一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶1cまたは柱状結晶1dが複数伸びている。このような表面形態であることにより、針状結晶1cまたは柱状結晶1dによって、支持基板1と回路部材2や放熱部材3(以下、回路部材2、放熱部材3を総称して金属部材ともいう。)との接合箇所において、高いアンカー効果が得られるため、支持基板1と金属部材とを強固に直接接合することができる。そのため、従来よりも高い熱が生じる電子部品を搭載することが可能となり、フィン3aや流路4等を備えた放熱部材3を設ければ、放熱特性に優れた回路基板10とすることができる。なお、以下の説明において、支持基板1において、粒状体1b以外の部分について、基体1aと称して説明する。
ここで、支持基板1を構成する窒化珪素質焼結体は、窒化珪素を80質量%以上含有してなるものであり、特に、90質量%以上含有していることが好適である。その他の添加成分としては、酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)の少なくともいずれかならびに希土類元素の酸化物(例えば、Sc,Y,La,Ce,Pr11,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuの少なくともいずれか)が含まれていてもよい。
窒化珪素質焼結体の主成分である窒化珪素は、X線回折法を用いて同定することができる。また、窒化珪素の含有量は、蛍光X線分析法またはICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により珪素(Si)の含有量を求め、この含有量を窒化珪素(Si)に換算することで求めることができる。
また、支持基板1の第1主面および第2主面(以下、単に主面ともいう。)に一体化された多数の粒状体1bは、珪素を含むものであり、具体的には、珪素、窒化珪素、酸化珪素およびサイアロンの少なくともいずれかであることが好ましく、これらの成分は薄膜X線回折法または透過電子顕微鏡法を用いて同定することができる。また、粒状体1bは、任意の断面において、例えば、主面における幅が10μm以上48μm以下であり、主面からの高さが16μm以上52μm以下である。このような粒状体の幅および高さは、光学顕微鏡を用い、倍率を100倍以上500倍以下として求めることができる。
また、粒状体1bの一部から複数伸びている針状結晶1cまたは柱状結晶1dは、窒化珪素を主成分とするものであり、窒化珪素を60質量%以上含有してなることが好適であり、さらに、70質量%以上含有していることがより好適である。
この針状結晶1cまたは柱状結晶1dの主成分である窒化珪素は、薄膜X線回折法または透過電子顕微鏡法を用いて同定することができる。また、窒化珪素の含有量は、透過電子顕微鏡法により珪素(Si)の含有量を求め、この含有量を窒化珪素(Si)に換算することで求めることができる。また、針状結晶1cまたは柱状結晶1dは、例えば、粒状体1bの表面からの突出長さは2μm以上10μm以下であり、突出長さの中間の位置における直径は0.2μm以上5μm以下である。このような針状結晶1cまたは柱状結
晶1dは、光学顕微鏡を用い、倍率を100倍以上1000倍以下として確認することができる
また、粒状体1bの一部から複数伸びている針状結晶1cまたは柱状結晶1dは、特定方向に配向していないことが好適であり、特定方向に配向していないことによって、より高いアンカー効果を得ることができる。
図4は、本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の断面における粒状体を示す写真である。図4に示す例の支持基板1の断面の写真では、支持基板1の主面に対して半球状に一体化している粒状体1bと半球状以外の形状である粒状体1bとを示している。粒状体1bは、支持基板1の主面に対して半球状に一体化していることが好ましい。粒状体1bのように、支持基板1の主面に対して半球状に一体化しているときには、焼成後の残留応力が半球状以外の形状である粒状体1bに比べて粒状体1bの周辺に残りにくいので、支持基板1の強度が低下するおそれを少なくすることができる。
なお、本実施形態における半球状とは、真球、扁平球および回転楕円体等のほぼ中心の位置で切断した形状を含み、表面全体にわたって角部がない形状をいい、半球状に一体化している粒状体1bの個数の比率は、粒状体1b全数に対して55%以上であることが好適である。
図5は、本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の他の例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のC−C’線での断面図である。
本実施形態の回路基板10に用いられる支持基板1は、図5に示す例のように、粒状体1bが複数の列状に配置されていることが好ましい。粒状体1bが複数の列状に配置されているときには、支持基板1と金属部材との接合時における、支持基板1の表面形態によって得られる高いアンカー効果の場所によるばらつきを抑えることができる。このように、複数の列状に配置された、隣り合う粒状体1bの各中心点の間隔aは、例えば0.1mm以
上0.5mm以下であることが好ましい。
図6は、本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の他の例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のD−D’線での断面図であり、(c)は(a)のE−E’線での断面図である。
図5に示す例の支持基板1では、粒状体1bは、図中に矢印で方向を示すX方向およびY方向のうち、X方向のみ複数の列状に配置されていたが、図6に示す例の支持基板1では、X方向およびY方向ともに複数の列状、すなわち行列状に配置されている。このように、X方向およびY方向ともに複数の列状に配置されているときには、支持基板1と金属部材との接合時における、支持基板1の表面形態によって得られる高いアンカー効果の場
所によるばらつきをさらに抑えることができる。このように、X方向およびY方向ともに複数の列状に配置された、隣り合う粒状体1bの各中心点の間隔b,cは、いずれも例えば、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
また、本実施形態の回路基板に用いられる支持基板1における粒状体1bは、密度が48個/cm以上502個/cm以下であることが好適である。粒状体1bの密度がこの範
囲であるときには、粒状体1bが散在したり、凝集したりすることなく、適正な間隔で粒状体1bが配置されることとなるので、適正な間隔で配置された粒状体1bの一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶1cまたは柱状結晶1dが複数伸びていることによって、金属部材に対する支持基板1のアンカー効果が高まり、金属部材と支持基板1とをより強固に接合することができる。特に、粒状体1bは、密度が102個/cm以上448個/cm以下であることがより好適である。
粒状体1bの密度は、光学顕微鏡を用いて、倍率を50倍以上1000倍以下として支持基板1の主面における粒状体1bの個数を数えて、1cm当りの粒状体1bの密度を算出すればよい。
また、この支持基板1における粒状体1bは、アルミニウムの酸化物を含んでいることが好適である。粒状体1bがアルミニウムの酸化物を含んでいる、すなわち、粒状体1bとなる粉粒体にアルミニウムの酸化物を含んでいるときには、焼結工程で液相焼結がより促進されるので、粒状体1bは、支持基板1に強固に固着されて一体化されたものとなる。特に、アルミニウムの酸化物がアルミン酸マグネシウムであるときには、粒状体1bが支持基板1に強固に固着されて一体化されるとともに、粒状体1bを形成する結晶間に存在する粒界相の耐食性が向上するので、粒状体1bの耐食性を高くすることができる。なお、粒状体1bに含まれるアルミニウムの酸化物は、薄膜X線回折法または透過電子顕微鏡法を用いて同定することができる。
また、この支持基板1において、アルミニウムの酸化物の含有量は、粒状体1bよりも基体1aの方が少ないことが好適である。アルミニウムの酸化物の含有量が、粒状体1bよりも基体1aの方が少ないときには、この粒状体1bと基体1aとの含有量が等しいときや基体1aの方の含有量が多いときよりも、基体1aを形成する結晶およびこれら結晶間に存在する粒界相におけるフォノンの伝搬が進みやすくなるので、基体1aの両主面間における熱伝導が促進されることとなる。さらに、基体1aを形成する結晶間に存在する粒界相を構成するガラス(非晶質)成分が少なければ、支持基板1の絶縁破壊電圧が高くなり、絶縁性能に対する信頼性を高くすることができる。
特に、基体1aにおけるアルミニウムの酸化物の含有量は、0.1質量%以下であること
がより好適である。このアルミニウムの酸化物の含有量は、ICP発光分光分析法により求めることができる。具体的には、まず、アルミニウムの酸化物を薄膜X線回折法または透過電子顕微鏡法を用いて同定し、ICP発光分光分析法により求められた金属元素であるアルミニウムの含有量を、同定された組成式に応じたアルミニウムの酸化物の含有量に換算することにより求めることができる。
また、支持基板1における粒状体1bは、炭素の含有量が0.05質量%以下であることが好適である。炭素の含有量が0.05質量%以下であるときには、導電性を有する炭素の含有量が制限されているので、リーク電流を生じにくくさせることができる。粒状体1bに含まれる炭素の含有量は、炭素分析法を用いて求めればよい。
また、支持基板1における粒状体1bは、酸素の含有量が3.5質量%以下であることが
好適である。酸素の含有量が制限されていることによって、粒状体1bを形成する結晶間
に存在する液相(粒界相)の溶融時に生じる泡状の気孔の発生が抑制される。その結果、気孔内に付着する金属成分等の導電性を有する成分も減少させることができるので、リーク電流を生じにくくさせることができる。粒状体1bに含まれる酸素の含有量は、酸素分析法を用いて求めればよい。なお、粒状体1bに含まれる酸素の含有量とは、単独で存在している酸素のみならず、金属酸化物や酸窒化物として存在している酸素を含むものである。
図7は、本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の他の例を模式的に示す、(a)は平面図であり、(b)は(a)のF−F’線での断面図であり、(c)は(b)のG部の部分拡大図である。
図7に示す例の支持基板1では、第1主面および第2主面から窒化珪素を主成分とする針状結晶1eまたは柱状結晶1fが複数伸びており、粒状体1bから伸びる針状結晶1cまたは柱状結晶1dは、第1主面および第2主面から伸びる針状結晶1eまたは柱状結晶1fよりも径が細いことが好ましい。このように、粒状体1bの一部から複数伸びている針状結晶1cまたは柱状結晶1dが、第1主面から複数伸びている針状結晶1eまたは柱状結晶1fよりも径が細いときには、針状結晶1cまたは柱状結晶1dが、針状結晶1eまたは柱状結晶1fよりも径が太いときよりも金属部材と接する表面積が増えるので、金属部材に対する支持基板1のアンカー効果が高まり、金属部材と支持基板1とをさらに強固に接合することができる。
針状結晶1c、柱状結晶1d、針状結晶1eおよび柱状結晶1fのそれぞれの径の測定は、まず、支持基板1の一部を切り出して樹脂に埋め込んだ後、破断面をクロスセクションポリシャ法によって研磨して粒状体1bを含む研磨面を作製する。次に、光学顕微鏡を用いて、倍率を50倍以上1000倍以下として、上記研磨面において測定する。
具体的には、上記研磨面から例えば170μm×170μmの範囲を4箇所抽出し、抽出した各箇所に対して針状結晶1cまたは柱状結晶1dと、針状結晶1eまたは柱状結晶1fとをそれぞれ5個抽出し、各結晶の突出長さの中間の位置における直径を測定する。針状結晶1cまたは柱状結晶1dが、針状結晶1eまたは柱状結晶1fよりも径が細い状態とは、針状結晶1cまたは柱状結晶1dの平均直径が針状結晶1eまたは柱状結晶1fの平均直径よりも小さい状態をいう。特に、針状結晶1cまたは柱状結晶1dの平均直径と、針状結晶1eまたは柱状結晶1fの平均直径との差は、3μm以上であることが好適である。
また、本実施形態の回路基板10に用いられる支持基板1では、基体1aが粒状体1bよりも窒化珪素を主成分とする結晶の平均粒径が小さいことが好適である。基体1aが粒状体1bよりも窒化珪素を主成分とする結晶の平均粒径が小さいときには、基体1aおよび粒状体1bのそれぞれの平均粒径が同じであるときよりも支持基板1の強度を高くすることができるので、支持基板1を薄くしても、信頼性が損なわれるおそれを少なくすることができる。特に、基体1aにおける窒化珪素を主成分とする結晶の平均粒径は、0.5μm
以上14μm以下であることが好適である。
なお、基体1aおよび粒状体1bのそれぞれにおける結晶の各平均粒径は、支持基板1の破断面で測定することができる。具体的には、破断面の100μm×100μmにおける範囲から、基体1aおよび粒状体1bをそれぞれ構成する結晶の平均粒径は、光学顕微鏡を用いて、倍率を50倍以上500倍以下とし、JIS R 1670−2006に準拠して求めればよい
。ただし、基体1aおよび粒状体1bにおける結晶の個数は、それぞれ少なくとも10個とすればよい。また、基体1aおよび粒状体1bのそれぞれにおける結晶の各平均粒径が破断面で測定しにくい場合は、支持基板1の一部を切り出して樹脂に埋め込んだ後、クロス
セクションポリシャ法によって破断面を研磨して得られた研磨面を用いればよい。
そして、支持基板1の機械的特性は、3点曲げ強度が750MPa以上であり、動的弾性
率が300GPa以上であり、ビッカース硬度(H)が13GPa以上であり、破壊靱性(
1C)が5MPam1/2以上であることが好ましい。これら機械的特性を上記範囲とすることより、支持基板1と金属部材とを接合した回路基板10は、特に、耐クリープ性やヒートサイクルに対する耐久性を向上させることができるので、高い信頼性が得られるとともに長期間にわたって使用することができる。
なお、3点曲げ強度については、JIS R 1601−2008(ISO 17565:2003(M
OD))に準拠して測定すればよい。ただし、支持基板1の厚みが薄く、支持基板1から切り出した試験片の厚みを3mmとすることができない場合には、支持基板1の厚みをそのまま試験片の厚みとして評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
また、動的弾性率については、JIS R 1602−1995で規定される超音波パルス法に準拠して測定すればよい。ただし、支持基板1の厚みが薄く、支持基板1から切り出した試験片の厚みを10mmとすることができない場合には、片持ち梁共振法を用いて評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
ただし、そのままの厚みで評価して上記数値を満足することができないほどに窒化珪素質焼結体の厚みが薄いときには、試験片寸法や得られた測定値から計算式により3点曲げ強度および動的弾性率を求めればよい。
ビッカース硬度(Hv)および破壊靱性(K1C)については、それぞれJIS R 1610−2003(ISO 14705:2000(MOD)),JIS R 1607−1995に規定される
圧子圧入法(IF法)に準拠して測定すればよい。なお、支持基板1の厚みが薄く、支持基板1から切り出した試験片の厚みをそれぞれJIS R 1610−2003,JIS R 1607−1995 圧子圧入法(IF法)で規定する0.5mmおよび3mmとすることができない
ときには、支持基板1の厚みをそのまま試験片の厚みとして評価してその結果が上記数値を満足することが好ましい。ただし、そのままの厚みで評価して上記数値を満足することができないほどに支持基板1の厚みが薄いとき、例えば0.2mm以上0.5mm未満のときには、支持基板1に加える試験力を0.245N、試験力を保持する時間を15秒としてビッカー
ス硬度(Hv)および破壊靱性(K1C)を測定すればよい。
また、上述したような支持基板1の電気的特性は、体積抵抗率が、常温で1014Ω・cm以上であって、300℃で1012Ω・cm以上であることが好ましい。この体積抵抗率は
、JIS C 2141−1992に準拠して測定すればよい。ただし、支持基板1が小さく、支持基板1からJIS C 2141−1992で規定する大きさとすることができない場合には、2端子法を用いて評価するものとし、その結果が上記数値を満足することが好ましい。
なお、図1,2に示す回路部材2および放熱部材3は、銅からなる場合には、含有量が90質量%以上の銅からなることが好ましい。さらに、回路部材2および放熱部材3は、銅の含有量が多い、無酸素銅、タフピッチ銅およびりん脱酸銅のいずれかからなることが好適で、特に、無酸素銅のうち、銅の含有量が99.995質量%以上の線形結晶無酸素銅、単結晶状高純度無酸素銅および真空溶解銅のいずれかからなることが好適である。このように、回路部材2および放熱部材3は、銅の含有量が多くなると、それぞれ電気抵抗が低く、熱伝導率が高くなるため、放熱特性が向上し、さらに回路部材2に至っては、回路特性(回路部材2上に搭載される電子部品の発熱を抑制し、電力損失を少なくする特性)も向上する。また、銅の含有量が多くなると、降伏応力が低く、加熱すると塑性変形しやすくな
るため、金属部材および支持基板1の密着性が上がり、より信頼性を高くすることができる。
また、図1,2に示す回路部材2および放熱部材3は、アルミニウムからなる場合には、含有量が99質量%以上のアルミニウムからなることが好ましい。さらに、回路部材2および放熱部材3は、アルミニウムの含有量が多い、JIS H 4000−2006で規定する合金番号が1050,1070,1080または1085であるアルミニウムからなることが好適である。さらには、アルミニウムの含有量が99.999質量%以上のアルミニウムからなることが好適で
ある。アルミニウムの含有量が多くなると、それぞれ電気抵抗が低く、熱伝導率が高くなるため、放熱特性が向上し、さらに回路部材2に至っては、回路特性(回路部材2上に搭載される電子部品の発熱を抑制し、電力損失を少なくする特性)も向上する。また、
アルミニウムの含有量が多くなると、耐食性も向上する。
次に、本実施形態の回路基板に用いられる支持基板の製造方法について説明する。まず、β化率が20%以下である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)の粉末の少なくともいずれかならびに希土類元素の酸化物(例えば、Sc,Y,La,Ce,Pr11,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuの少なくともいずれか)の粉末とを、バレルミル、回転ミル、振動ミル、ビーズミル、サンドミル、アジテーターミル等を用いて湿式混合し、粉砕してスラリーを作製する。
ここで、窒化珪素の粉末とこれら添加成分の粉末の合計との総和を100質量%とすると
、添加成分である酸化マグネシウム(MgO)の粉末および酸化カルシウム(CaO)の粉末のいずれかを2〜7質量%、希土類元素の酸化物(例えば、Sc,Y,La,Ce,Pr11,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuの少なくともいずれか)の粉末を7〜16質量%となるようにすればよい。
ところで、窒化珪素には、その結晶構造の違いにより、α型およびβ型という2種類の窒化珪素が存在する。α型は低温で、β型は高温で安定であり、1400℃以上でα型からβ型への相転移が不可逆的に起こる。ここで、β化率とは、X線回折法で得られたα(102
)回折線とα(210)回折線との各ピーク強度の和をIα、β(101)回折線とβ(210)
回折線との各ピーク強度の和をIβとしたときに、次の式によって算出される値である。β化率={Iβ/(Iα+Iβ)}×100 (%)
窒化珪素の粉末のβ化率は、窒化珪素質焼結体の強度および破壊靱性値に影響する。β化率が20%以下の窒化珪素の粉末を用いるのは、強度および破壊靱性値をともに高くすることができるからである。β化率が20%を超える窒化珪素の粉末は、焼成工程で粒成長の核となって、粗大で、しかもアスペクト比の小さい結晶となりやすく、強度および破壊靱性値とも低下するおそれがある。そのため、特に、β化率が10%以下の窒化珪素の粉末を用いるのが好ましい。
窒化珪素および添加成分の粉末の粉砕で用いるボールは、不純物が混入しにくい材質、あるいは同じ材料組成の窒化珪素質焼結体からなるボールが好適である。なお、窒化珪素および添加成分の粉末の粉砕は、粒度分布曲線の累積体積の総和を100%とした場合の累
積体積が90%となる粒径(D90)が3μm以下となるまで粉砕することが、焼結性の向上および結晶組織の柱状化または針状化の点から好ましい。粉砕によって得られる粒度分布は、ボールの外径、ボールの量、スラリーの粘度、粉砕時間等で調整することができる。スラリーの粘度を下げるには分散剤を添加することが好ましく、短時間で粉砕するには
、予め累積体積50%となる粒径(D50)が1μm以下の粉末を用いることが好ましい。
次に、得られたスラリーをASTM E 11−61に記載されている粒度番号が200のメ
ッシュより細かいメッシュの篩いに通した後に乾燥させて窒化珪素を主成分とする顆粒(以下、窒化珪素質顆粒という。)を得る。乾燥は、噴霧乾燥機で乾燥させてもよく、他の方法であっても何ら問題ない。そして、粉末圧延法を用いて窒化珪素質顆粒をシート状に成形してセラミックグリーンシートとし、このセラミックグリーンシートを所定の長さに切断して窒化珪素質成形体を得る。
次に、この窒化珪素質成形体の主面に珪素を含む顆粒または敷粉等の多数の粉粒体を載置する。載置する方法は、篩い等を用いて振り掛ける、または粉粒体に溶媒等を加えてスラリーとし、刷毛やローラ等を用いて塗布してもよい。なお、粉粒体を構成する粉末は、例えば、珪素の粉末、窒化珪素の粉末、酸化珪素の粉末およびサイアロンの粉末の少なくともいずれかと、添加成分としての酸化マグネシウム(MgO)および酸化カルシウム(CaO)の粉末の少なくともいずれかならびに希土類元素の酸化物の粉末である。なお、顆粒とは、例えば上記粉末を混合し粉砕してスラリーとし、噴霧乾燥機で乾燥させたものであり、敷粉とは、上記粉末を用いて焼成した焼結体を粉砕したもの等である。
ここで、支持基板1の主面に対して半球状に一体化している粒状体1bとするには、球状の顆粒を用いればよい。また、複数の列状に配置されている粒状体1bとするには、粉粒体を複数の列状に配置可能なローラ等を用いて載置すればよく、隣り合う粉粒体の間隔は、例えば、0.125mm以上0.625mm以下とすればよい。
また、支持基板1の主面上の粒状体1bの密度を48個/cm以上502個/cm以下
とするには、窒化珪素質成形体の主面上の粉粒体の密度を31個/cm以上321個/cm
以下とすればよい。
また、針状結晶1cまたは柱状結晶1dの径を、針状結晶1eまたは柱状結晶1fの径よりも細くするには、基体1aよりも粒状体1bを構成する添加成分の含有量を少なくすればよい。
また、基体1aが粒状体1bよりも窒化珪素を主成分とする結晶の平均粒径を小さくするには、基体1aとなる窒化珪素の粉末の平均粒径を粒状体1bとなる原料である珪素の粉末、窒化珪素の粉末、酸化珪素の粉末およびサイアロンの粉末から選択された粉末の平均粒径よりも小さくすればよい。例えば、基体1aを構成する窒化珪素の粉末の平均粒径を0.7μm以上1μm以下とし、粒状体1bの原料である珪素の粉末、窒化珪素の粉末、
酸化珪素の粉末およびサイアロンの粉末から選択された粉末の平均粒径を5μm以上10μm以下とすればよい。
また、粒状体1bがアルミニウムの酸化物を含んでいるものとするには、粒粒体1bとなる原料粉末にアルミニウムの酸化物となる成分を添加すればよい。さらに、アルミニウムの酸化物の含有量が粒状体1bよりも基体1aの方が少ないこととするには、粒粒体1bとなる原料粉末と、基体1aとなる原料粉末とにおけるアルミニウムの量を調整すればよい。
また、炭素の含有量が0.05質量%以下である粒状体1bを得るには、炭素の含有量が0.05質量%以下である粉粒体を、また、酸素の含有量が3.5質量%以下である粒状体1bを
得るには、酸素の含有量が3.5質量%以下である粉粒体を用いればよい。
次に、主面に粉粒体を載置した窒化珪素質成形体を複数積み重ねて、この状態で黒鉛抵
抗発熱体が設置された焼成炉内に入れて焼成する。焼成炉内には窒化珪素質成形体の含有成分の揮発を抑制するために、酸化マグネシウムおよび希土類元素の酸化物等の成分を含んだ共材を配置してもよい。温度については、室温から300〜1000℃までは真空雰囲気中
にて昇温し、その後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を15〜300kPaに維持する。この
状態における窒化珪素質成形体の開気孔率は40〜55%程度であるため、窒化珪素質成形体中には窒素ガスが十分充填される。1000〜1400℃付近では添加成分が固相反応を経て、液相成分を形成し、1400℃以上の温度域で、α型からβ型への相転移が不可逆的に起こる。そして、焼成炉内の温度をさらに上げて、温度を1700℃以上1800℃未満として、4時間以上10時間以下保持することによって、主面に珪素を含む多数の粒状体1bが一体化しており、粒状体1bの一部から、窒化珪素を主成分とする結晶粒の成長により針状結晶1cまたは柱状結晶1dが複数伸びている支持基板1を得ることができる。
次に、本実施形態の回路基板の製造方法について説明する。図1,2に示す例の本実施形態の回路基板10を得るには、まず、X方向の長さが20mm以上50mm以下であり、Y方向の長さが20mm以上50mm以下であり、厚みが0.2mm以上1.0mm以下の支持基板1を2枚準備する。次いで、支持基板1の両主面に金属部材を直接接合可能なカーボン製の鋳型(図示しない)を準備し、この内部に10mmの間隔を置いて支持基板1を配置して炉内に収容する。炉内の雰囲気は、例えば、酸素濃度が100質量ppm以下の不活性ガス雰囲
気または窒素雰囲気とすればよい。
そして、この雰囲気中、金属部材を形成する金属の融点以上まで加熱した溶融金属を、カーボン製シリンダで加圧しながら鋳型に供給する。金属が銅の場合には1100℃、アルミニウムの場合には750℃まで加熱すればよい。このとき、鋳型は支持基板1の第1主面に
形成される回路部材2、第2主面に形成される放熱部材3とすることが可能な内部形状とすればよい。
そして、鋳型を冷却することにより、金属を凝固させ、金属が凝固することによって、支持基板1の第1主面に回路部材2の前駆体、第2主面に放熱部材3の前駆体が接合された接合体を鋳型から取り出す。次に、回路部材2および放熱部材3の前駆体にエッチング処置を施すことにより、本実施形態の回路基板10を得ることができる。また、金属部材の酸化を抑制するため、金属部材の表面をパラジウムを介してニッケルまたは金で被覆してもよい。
あるいは、金属部材の各表面を化学研磨した後、2−アミノピリジン、2−アミノキノリン、2−アミノピリミジン、6−アミノピリミジン、2−アミノピラジン、2−アミノキナゾリン、4−アミノキナゾリン、2−アミノキノキサリン、8−アミノプリン、2−アミノベンゾイミダゾール、アミノトリアジン、アミノトリアゾールおよびこれらの置換誘導体のうちの少なくとも1種を含む水溶液に浸漬処理することにより、酸化を抑制してもよい。
以下、本実施形態の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
まず、β化率が10%(即ち、α化率が90%)である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO)の粉末および酸化エルビウム(Er)の粉末とを、回転ミルを用いて湿式混合し、粒径(D90)が1μm以下となるまで粉砕してスラリーとした。
ここで、窒化珪素の粉末とこれら添加成分の粉末との合計の総和を100質量%とすると
、添加成分である酸化マグネシウム(MgO)の粉末および酸化エルビウム(Er)の粉末は、それぞれ5質量%、10質量%とした。
次に、得られたスラリーをASTM E 11−61に記載されている粒度番号が250のメ
ッシュの篩いに通した後に噴霧乾燥機を用いて乾燥させることによって窒化珪素質顆粒を得た。そして、粉末圧延法を用いて窒化珪素質顆粒をシート状に成形してセラミックグリーンシートとし、このセラミックグリーンシートを所定の長さに切断して窒化珪素質成形体を得た。
次に、窒化珪素を主成分とし、表1に示す含有量の酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)を添加成分とする粉粒体である顆粒を上述した方法と同じ方法により得た。そして、窒化珪素質成形体の主面上の粉粒体の密度を異ならせるため、表面形状の異なるローラを用いて各試料の窒化珪素質成形体の主面に粉粒体を載置した。その後、光学顕微鏡を用いて、倍率を800倍として窒化珪素質成形体の主面における粉粒体の個数を数え、1cm当りの粉粒体の密度を算出した。
次に、主面に粉粒体を載置した窒化珪素質成形体を試料毎に複数積み重ねて、この状態で黒鉛抵抗発熱体が設置された焼成炉内に入れて焼成した。なお、焼成炉内には窒化珪素質成形体の含有成分の揮発を抑制するために、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)を含んだ共材を配置した。温度については、室温から500℃まで
は真空雰囲気中にて昇温し、その後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を30kPaに維持した。そして、焼成炉内の温度をさらに上げて、温度を1750℃として、表1に示す時間で保持することによって、X方向およびY方向の長さがいずれも40mm、厚みが0.32mmである支持基板を得た。
そして、光学顕微鏡を用いて、倍率を800倍として支持基板1の主面における粒状体1bの個数を数え、1cm当りの粒状体1bの密度を算出した。
また、針状結晶1c、柱状結晶1d、針状結晶1eおよび柱状結晶1fのそれぞれの径を測定した。具体的には、まず支持基板の一部を切り出して樹脂に埋め込んだ後、クロスセクションポリシャ法によって研磨して粒状体1bを含む研磨面を作製した。より具体的には、走査型電子顕微鏡用試料作製装置(クロスセクションポリッシャ、日本電子株式会社製SM―09010)を用い、照射するアルゴンイオンの加速電圧を6kVとし、検出され
るアルゴンイオンの電流の最大値の70〜80%となるようにアルゴンガスの流量を調整し、研磨時間を8時間とした。
次に、光学顕微鏡を用いて、倍率を800倍として、上記研磨面から170μm×170μmの
範囲を4箇所抽出し、抽出した各箇所に対して針状結晶1cまたは柱状結晶1dと、針状結晶1eまたは柱状結晶1fとをそれぞれ5個抽出し、各結晶の突出長さの中間の位置における直径を測定した。そして、針状結晶1cまたは柱状結晶1dの平均直径および針状結晶1eまたは柱状結晶1fの平均直径を算出した。これらの換算値および算出値を表1に示す。
次に、カーボン製の鋳型(図示しない)の内部に10mmの間隔を置いて支持基板を配置して、炉内に収容した。ここで、炉内は、酸素濃度が100質量ppm以下の窒素雰囲気と
した。そして、この雰囲気中、750℃に加熱したアルミニウムの溶融金属を、カーボン製
シリンダで加圧しながら鋳型に供給した。
そして、鋳型を冷却することにより、アルミニウムを凝固させ、アルミニウムが凝固することによって、支持基板の第1主面に回路部材2の前駆体、第2主面に放熱部材3の前駆体が接合された接合体を鋳型から取り出した。次に、回路部材2および放熱部材3の前駆体にエッチング処理を施し、回路基板を得た。
なお、回路部材2は、X方向およびY方向の各長さがいずれも39mmであり、厚みが0.32mmである。また、放熱部材3は、X方向およびY方向の各長さがそれぞれ110mm、60mmであり、厚みが30mmであり、フィン3aの高さおよびX方向の長さは、それぞれ25mm、5mmであり、隣り合うフィン3a間の間隔は、5mmである。
そして、回路部材2の引きはがし強さ(kN/m)をJIS C 6481−1996に準拠して測定することにより、回路部材2と支持基板との接合強度を評価した。回路部材2の引きはがし強さの値を表1に示す。なお、引きはがし強さを測定する試料は、一辺が39mmの正方形状の回路部材2のX方向の両側をエッチングにより除去して10mm×39mmとして測定を行なった。
表1に示す通り、試料No.1は、焼成時の1750℃での保持時間が短く、粒状体1bの一部から伸びている、窒化珪素を主成分とする針状結晶1cまたは柱状結晶1dが認められないことから、回路部材2の引きはがし強さの値が小さく、回路部材2と支持基板との接合強度が低かった。
一方、試料No.2〜11は、粒状体1bの一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶1cまたは柱状結晶1dが複数伸びていることから、回路部材2の引きはがし強さの値が大きく、回路部材2と支持基板1との接合強度が高いことから、信頼性が高い回路基板とできることがわかった。
また、試料No.3〜10は、粒状体1bの密度が48個/cm以上502個/cm以下
であることから、粒状体1bの密度がこの範囲外の試料No.2,11よりも回路部材2の引きはがし強さの値が大きく、回路部材2と支持基板1との接合強度が高かった。特に、粒状体1bの密度が102個/cm以上448個/cm以下である試料No.5〜8は、回路部材2の引きはがし強さの値がさらに大きく、回路部材2と支持基板1との接合強度がより高かった。
また、試料No.6と試料No.7を比べると、試料No.6は支持基板1の主面から窒化珪素を主成分とする針状結晶1eまたは柱状結晶1fが複数伸びており、針状結晶1cまたは柱状結晶1dが、針状結晶1eまたは柱状結晶1fよりも径が細いことから、針
状結晶1cまたは柱状結晶1dと、針状結晶1eまたは柱状結晶1fとの径が同一である試料No.7よりも回路部材2の引きはがし強さの値が大きく、回路部材2と支持基板1との接合強度が高かった。
まず、実施例1で示した方法と同じ方法で窒化珪素質成形体を作製した。そして、窒化珪素を主成分とし、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)を添加成分とする粉末を用いた粉粒体(試料No.12は球状の顆粒、No.13は非球状の敷粉)を窒化珪素質成形体の主面に載置した。なお、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)の各含有量は、窒化珪素とこれら添加成分との合計の総和を100質量%として、いずれの試料も2質量%とし、粉粒体1bの密度はいずれの試料も208個/cmとした。なお、試料No.12に用いた球状の顆粒については、上記粉末を混合し粉砕してスラリーとし、噴霧乾燥機で乾燥させたものであり、試料No.13に用いた非球状の敷粉については、上記粉末を用いて焼成した焼結体を粉砕したものを用いた。
次に、主面に粉粒体を載置した窒化珪素質成形体を試料毎に複数積み重ねて、この状態で黒鉛抵抗発熱体が設置された焼成炉内に入れて焼成した。なお、焼成炉内には窒化珪素質成形体の含有成分の揮発を抑制するために、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)を含んだ共材を配置した。温度については、室温から500℃まで
は真空雰囲気中にて昇温し、その後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を30kPaに維持した。そして、焼成炉内の温度をさらに上げ、温度を1750℃として、7時間保持することによって、長さが60mm、幅が4mm、厚みが3mmの支持基板1である試料No.12,13を得た。
また、比較例として、窒化珪素質成形体の主面に粉粒体1bを載置せず、積み重ねずに平焼きとしたこと以外は上述と同条件で焼成することにより、支持基板1である試料No.14を得た。
そして、試料No.12〜14のそれぞれの3点曲げ強度をJIS R 1601−2008に準拠して測定し、その測定値を表2に示した。
また、3点曲げ強度を測定した後に、光学顕微鏡を用いて、倍率を500倍とし、破断面
における170μm×170μmの範囲を選び、粒状体1bの形状を観察し、その結果を表2に示した。
表2に示す通り、試料No.12は、粒状体1bが支持基板1の主面に対して半球状に一体化しているので、支持基板1の主面に対して半球状以外の形状で一体化している試料No.13に比べて、焼成後の残留応力が粒状体1bの周辺に残りにくくなっており、試料No.14と変わらぬ支持基板1の強度結果となった。この結果から、粒状体1bが支持基板
1の主面に対して半球状に一体化している回路基板10は、支持基板1の強度が低下するおそれが少なく、信頼性を高められることがわかった。
まず、実施例1で示した方法と同じ方法で窒化珪素質成形体を作製した。そして、窒化珪素を主成分とし、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)を添加成分とする粉粒体である敷粉を窒化珪素質成形体の主面に、表3に示す配置となるように載置した。なお、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)の各含有量は、窒化珪素とこれら添加成分との合計の総和を100質量%として、いずれも
2質量%とし、粉粒体の密度は25個/cmとした。
次に、主面に粉粒体を載置した窒化珪素質成形体を試料毎に複数積み重ねて、この状態で黒鉛抵抗発熱体が設置された焼成炉内に入れて焼成した。なお、焼成炉内には窒化珪素質成形体の含有成分の揮発を抑制するために、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)を含んだ共材を配置した。温度については、室温から500℃まで
は真空雰囲気中にて昇温し、その後、窒素ガスを導入して、窒素分圧を30kPaに維持した。そして、焼成炉内の温度をさらに上げ、温度を1750℃として、6時間保持することによって、長さが40mm、幅が30mm、厚みが0.32mmの支持基板1である試料No.15〜17を得た。なお、試料No.15〜17は、それぞれ図3,5,6に示す形状の支持基板1である。
そして、10mm×26mmの5個の回路部材2となる板状の金属材を支持基板1の第1主面に直接接合した。次に、各試料の5個の回路部材2の引きはがし強さを測定し、引きはがし強さのばらつきを順位付けし、ばらつきが最も小さかったものを1、中間であったものを2、ばらつきが最も大きかったものを3として表3に記入した。
表3に示す通り、試料No.16,17は、粒状体1bが複数の列状に配置されていることから、試料No.15と比較して引きはがし強さのばらつきが小さいことから、接合強度のばらつきが小さかった。特に、試料No.17は、粒状体1bがX方向およびY方向とも複数の列状に配置されていることから、引きはがし強さのばらつきが最も小さかった。
この結果から、粒状体1bが複数の列状に配置されている支持基板1を回路基板10に用いれば、信頼性の高い回路基板10とできることがわかった。
まず、実施例1に示した方法と同じ方法で窒化珪素質成形体を作製した。そして、窒化珪素を主成分とし、表4に示す成分を添加成分とする粉末を用いた粉粒体である敷粉を窒化珪素質成形体の主面に載置した。なお、これら添加成分の各含有量は、窒化珪素とこれ
ら添加成分との合計の総和を100質量%として、表4に示す通りとし、粉粒体の密度はい
ずれの試料も301個/cmとした。
そして、実施例3に示した方法と同じ方法で焼成することによって、長さが60mm、幅が40mm、厚みが3mmの支持基板1である試料No.18〜20を得た。そして、試料No.18〜20の3点曲げ強度をJIS R 1601−2008(ISO 17565:2003(MOD))
に準拠して測定し、その値を表4に示した。
また、試料No.18〜20について、濃度が30質量%の塩酸に浸漬し、温度を90℃として100時間加熱処理した。そして、この加熱処理前後の各試料の質量を測定し、その減少比
率を計算し、その値を表4に示した。また、加熱処理後の3点曲げ強度をJIS R 1601−2008(ISO 17565:2003(MOD))に準拠して測定し、その値を表4に示した
なお、粒状体1bに含まれるアルミニウムの酸化物は、薄膜X線回折法を用いて、酸化物を構成する成分を同定したところ、試料No.19には、酸化アルミニウムが含まれており、試料No.20には、アルミン酸マグネシウムが含まれていた。
表4に示す通り、試料No.19,20は、粒状体1bにアルミニウムの酸化物を含んでいることによって、焼結工程で液相焼結がより促進されて、粒状体1bが支持基板1に強固に固着されていることにより、機械的強度を高められることがわかった。さらに、試料No.20は、アルミニウムの酸化物がアルミン酸マグネシウムであることから、粒状体1bを形成する結晶間に存在する粒界相の耐食性が向上しているので、粒状体1bの耐食性が高くなり、濃度が30質量%の塩酸に浸漬し、加熱処理した後も、試料No.18,19よりも試料の質量の減少比率が小さく、機械的強度が低下しにくいことがわかった。
この結果から、粒状体1bがアルミニウムの酸化物を含んでいる支持基板1を回路基板10に用いれば、信頼性の高い回路基板10とできることがわかった。
まず、β化率が10%(即ち、α化率が90%)である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO)の粉末および酸化エルビウム(Er)の粉末とを、回転ミルを用いて湿式混合し、粒径(D90)が1μm以下となるまで粉砕してスラリーとした。
ここで、基体1aにおける酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)の含有量については、それぞれ3質量%、14質量%とし、酸化アルミニウム(Al)については、表5に示す含有量となるように調整した。そして、実施例1で示した方法と同じ方法で窒化珪素質成形体を作製した。
次に、窒化珪素を主成分とし、粒状体1bにおける酸化マグネシウム(MgO)、酸化エルビウム(Er)および酸化アルミニウム(Al)の各含有量が、それぞれ3質量%、14質量%、0.5質量%となるように調整された粉粒体である顆粒を実施例1
で示した方法と同じ方法により得た。そして、ローラを用いて各試料の窒化珪素質成形体の主面に粉粒体を載置し、粉粒体の密度は、301個/cmとし、以降の工程については
実施例1と同じ方法で支持基板1を作製した。
そして、熱定数測定装置(アルバック理工(株)製、TC−7000)を用いて、レーザフラッシュによる2次元法により各試料の厚み方向における熱拡散率αを測定した。また、超高感度型示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC−6200)を用いて、示唆走査熱量法(DSC法)により各試料の比熱容量Cを測定した。さらに、JIS
R 1634−1998に準拠して、各試料のかさ密度ρ(kg/m)を測定した。
そして、これらの方法によって求められた値を、次式のκ=α・C・ρに代入して、各試料の厚み方向における熱伝導率κ(W/(m・K))を算出し、その値を表5に示した。
表5に示す通り、試料No.21,22は、アルミニウムの酸化物の含有量が、粒状体1bよりも基体1aの方が少ないことから、アルミニウムの酸化物の含有量が、基体1aよりも粒状体1bの方が多い試料No.23,24よりも熱伝導率が高くなっており、基体1aを形成する結晶およびこれら結晶間に存在する粒界相におけるフォノンの伝搬が進みやすくなっているので、基体1aの両主面間における熱伝導が促進されていることがわかった。
この結果から、アルミニウムの酸化物の含有量が粒状体1bよりも基体1aの方が少ない支持基板1を回路基板10に用いれば、信頼性の高い回路基板10とできることがわかった。
まず、実施例5に示した方法と同じ方法で窒化珪素質成形体を作製した。そして、窒化珪素を主成分とし、酸化マグネシウム(MgO)、酸化エルビウム(Er)、酸化アルミニウム(Al)、カーボン等を用いて、添加成分を異ならせた粉粒体である顆粒を実施例1で示した方法と同じ方法により得た。そして、表面形状の異なるローラを用いて各試料の窒化珪素質成形体の主面に載置し、粉粒体の密度は、301個/cmとし
、実施例3に示した方法と同じ方法で焼成することによって、長さが60mm、幅が40mm、厚みが3mmの支持基板1である試料No.25〜29を得た。
そして、それぞれの粉粒体のみを上述した同じ方法で焼成したものを用いて、粒状体1bにおける炭素および酸素の各含有量を、それぞれ炭素分析法、酸素分析法により測定し、その値を表6に示した。ここで、粒状体1bにおける酸素の含有量は、単独で存在している酸素のみならず、金属酸化物および酸窒化物を構成する酸素との含有量である。
また、支持基板1の絶縁破壊電圧を、JIS C 2110−1994(IEC 60243:1967
(MOD))に準拠して測定し、その値を表6に示した。
表6に示す通り、粒状体1bにおける酸素の含有量が同じである試料No.25,27,29を比べると、試料No.25,27は、炭素の含有量が0.05質量%以下であることによって、導電性を有する炭素の含有量が制限されているので、試料No.29よりも絶縁破壊電圧が高く、リーク電流が生じにくいことがわかった。
また、粒状体1bにおける炭素の含有量が同じである試料No.26,27,28を比べると、試料No.26,27は、試料No.28よりも絶縁破壊電圧が高く、リーク電流が生じにくくなっているので、酸素の含有量が3.5質量%以下であることが好適であることがわかっ
た。
この結果から、粒状体1bは、炭素の含有量が0.05質量%以下である、もしくは酸素の含有量が3.5質量%以下である支持基板1を回路基板10に用いれば、信頼性の高い回路基
板10とできることがわかった。
まず、β化率が10%(即ち、α化率が90%)である窒化珪素の粉末と、添加成分として酸化マグネシウム(MgO)の粉末および酸化エルビウム(Er)の粉末とを、回転ミルを用いて湿式混合し、粒径(D90)がそれぞれ表7に示すように0.6μm以下、0.8μm、1.0μm以下となるまで粉砕して3種類のスラリーを得た。
ここで、窒化珪素の粉末とこれら添加成分の粉末との合計の総和を100質量%とすると
、添加成分である酸化マグネシウム(MgO)の粉末および酸化エルビウム(Er)の粉末は、それぞれ5質量%、10質量%とした。
次に、得られたスラリーをASTM E 11−61に記載されている粒度番号が250のメ
ッシュの篩いに通した後に噴霧乾燥機を用いて乾燥させることによって、3種類の窒化珪素質顆粒を得た。そして、粉末圧延法を用いて、これら3種類の窒化珪素質顆粒をそれぞ
れシート状に成形してセラミックグリーンシートとし、これらのセラミックグリーンシートを所定の長さに切断した窒化珪素質成形体を得た。
次に、窒化珪素を主成分とし、酸化マグネシウム(MgO)および酸化エルビウム(Er)を添加成分とする粉粒体をローラを用いて各試料の窒化珪素質成形体の主面に載置した。そして、実施例2に示した方法と同じ方法で焼成することによって、長さが60mm、幅が4mm、厚みが3mmの支持基板1である試料No.30〜32を得た。
そして、試料No.30〜32のそれぞれの3点曲げ強度をJIS R 1601−2008に準拠して測定し、その測定値を表7に示した。また、基体1aおよび粒状体1bにおける窒化珪素を主成分とする結晶の各平均粒径を測定するために、試料の一部を切り出して樹脂に埋め込んだ後、クロスセクションポリシャ法によって研磨して得られた研磨面を、光学顕微鏡を用い、倍率を200倍とし、JIS R 1670−2006に準拠して求め、その測定値を
表7に示した。
表7に示す通り、基体1aが粒状体1bよりも窒化珪素を主成分とする結晶の平均粒径が小さい試料No.30,31は、基体1aおよび粒状体1bのそれぞれの平均粒径が同じである試料No.32よりも基体1aの強度を高くすることができているので、支持基板1の厚みが薄くても信頼性を損なうおそれを少なくできることがわかった。
また、上記結果から、本実施形態の回路基板10は、主面に珪素を含む多数の粒状体1bが一体化しており、粒状体1bの一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶1cまたは柱状結晶1dが複数伸びていることにより、支持基板1に直接接合された回路部材2および放熱部材3との接合箇所において、高いアンカー効果が得られるため、支持基板1と回路部材2および放熱部材3とを強固に接合することができるので、信頼性の高い回路基板10とできることがわかった。
1:支持基板
1a:基体
1b:粒状体
1c:針状結晶
1d:柱状結晶
1e:針状結晶
1f:柱状結晶
2:回路部材
3,3’:放熱部材
4:流路
10:回路基板

Claims (7)

  1. 支持基板の第1主面に回路部材を、第2主面に放熱部材をそれぞれ直接接合により設けてなる回路基板であって、前記支持基板は、窒化珪素質焼結体からなり、前記第1主面および前記第2主面に珪素を含む多数の粒状体が一体化しており、該粒状体の一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶が複数伸びており、前記粒状体よりも前記基板の方がアルミニウムの酸化物の含有量が少ないことを特徴とする回路基板。
  2. 支持基板の第1主面に回路部材を、第2主面に放熱部材をそれぞれ直接接合により設けてなる回路基板であって、前記支持基板は、窒化珪素質焼結体からなり、前記第1主面および前記第2主面に珪素を含む多数の粒状体が一体化しており、該粒状体の一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶が複数伸びており、前記粒状体から伸びている前記針状結晶または前記柱状結晶が、前記第1主面および前記第2主面から伸びている窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶よりも径が細いことを特徴とする回路基板。
  3. 支持基板の第1主面に回路部材を、第2主面に放熱部材をそれぞれ直接接合により設けてなる回路基板であって、前記支持基板は、窒化珪素質焼結体からなり、前記第1主面および前記第2主面に珪素を含む多数の粒状体が一体化しており、該粒状体の一部から、窒化珪素を主成分とする針状結晶または柱状結晶が複数伸びており、前記支持基板における前記粒状体以外の基体が前記粒状体よりも窒化珪素を主成分とする結晶の平均粒径が小さいことを特徴とする回路基板。
  4. 前記粒状体は、前記基板の主面に対して半球状に一体化していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の回路基板。
  5. 前記粒状体は、複数の列状に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の回路基板。
  6. 前記粒状体は、炭素の含有量が0.05質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の回路基板。
  7. 前記粒状体は、酸素の含有量が3.5質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載の回路基板。
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