JP2013199666A - 耐熱用繊維強化プラスチックロール - Google Patents

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Abstract

【課題】150〜200℃といった高温環境下にて使用した場合にも、表面の溶射皮膜層にクラックが生じることのない溶射皮膜が形成された耐摩耗性、耐熱性に優れた耐熱用の繊維強化プラスチックロールを提供する。
【解決手段】ロール本体11の端部11aに取り付けられた端部構造体20は、ベアリングが装着されるベアリング支承部21と、ベアリング支承部21とは同一軸線上に整列して一体に形成され、ロール本体11の端部に形成した取付け穴部12に嵌合して接合される円筒スリーブ状のロール本体支持部22とを有しており、円筒スリーブ状のロール本体支持部22には、ベアリング支承部側とは反対側の内方端面22aからベアリング支承部側へと所定の長さにて軸線方向に複数のスリット23が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般に、炭素繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック等の繊維強化複合材にて作製された繊維強化プラスチックロールに関し、特に、表面にセラミックス、サーメット、金属等が溶射された耐摩耗性、耐熱性に優れた耐熱用繊維強化プラスチックロールに関するものである。
従来、例えば、使用環境が160℃以上とされるフィルムの乾燥工程などのフィルム搬送ロールなどとして使用するために、炭素繊維強化プラスチック、アラミド繊維強化プラスチック等の繊維強化複合材にて繊維強化プラスチックロールを作製することが行われているが、特に、これら繊維強化プラスチックロールの表面の耐摩耗性、耐熱性を向上させるために、表面にセラミックス、サーメット、金属等を溶射することが提案されている。
特許文献1は、プラスチックや繊維強化プラスチックのロール表面に有機高分子材料と無機質材料とから成るアンダーコート層を設け、その上にセラミックスを溶射してセラミックス皮膜を形成した耐摩耗性、表面平滑性に優れたローラーを記載している。
また、特許文献2は、繊維強化プラスチック基材の表面に、基材の樹脂と同種の樹脂とセラミックス粒子の混合物を中間層として設け、トップコートとして炭化物サーメットから成る溶射被覆層を設けた構成の耐摩耗性等の表面特性に優れたプラスチック基複合材料を記載している。
しかしながら、上記特許文献に記載されるローラー、プラスチック基複合材料は、その製造に際して、繊維強化プラスチックを成型するのに加熱(焼付け)が必要なのに加えて、アンダーコート層(特許文献1)或いは中間層(特許文献2)を形成するのに再度加熱(焼付け)することが必要であり、溶射に至るまでに複数の工程が必要とされる。また、少なくとも二度の加熱(焼付け)が必須であり、エネルギーコストがかかり、コスト高となっている。
そこで、本件特許出願人は、特許文献3に記載するように、繊維強化プラスチックロールなどとして使用し得る耐摩耗性の繊維強化複合材を提案した。本願添付の図6(a)、(b)を参照して説明すると、耐摩耗性の繊維強化複合材1は、繊維強化プラスチック基材層2と、繊維強化プラスチック基材層2の表層に積層されたガラス繊維強化プラスチック層3と、ガラス繊維強化プラスチック層3の表層に溶射により被覆された溶射皮膜層4とを有する構成とされる。
特許文献3に記載する繊維強化複合材1は、繊維強化プラスチック基材層2の表層にガラス繊維強化プラスチック層3を積層し、基材となる繊維強化プラスチックの成形時に同時に加熱硬化させ、表層にガラス繊維強化プラスチック層を形成し、その後、ブラスト処理してから溶射を行うことで、上記特許文献1、2に記載するようなアンダーコート層、或いは、セラミックス粒子が食い込んだトップコート層を設けることなく、良好な接着強度を有する溶射皮膜層4を形成することができる。
実公平4−7378号公報 特許第4436957号公報 特願2010−225867号
上記特許文献3に記載する繊維強化複合材1は、良好な接着強度を有する溶射皮膜が形成された耐摩耗性にすぐれたものである。
そこで、本発明者らは、上記構成とされる繊維強化複合材1を使用した繊維強化プラスチックロールを作製した。つまり、図6(b)に記載するように、
(a)マンドレル100に、ロール基材となる繊維強化プラスチック基材層2を形成するために所定の強化繊維を所定の樹脂を用いて巻き付けて基材となる強化繊維層2Aを形成し、引き続いて、基材となる強化繊維層2Aの上に、ガラス繊維強化プラスチック層3を形成するために所定の樹脂を用いてガラス繊維を巻き付けてガラス繊維層3Aを積層する。
(b)基材となる強化繊維層2A及びガラス繊維層3Aの樹脂を同時に加熱硬化させる。
(c)ガラス繊維層3Aの樹脂が硬化して形成されたガラス繊維強化プラスチック層3の表面を粗面化処理する。次いで、
(d)粗面化処理されたガラス繊維強化プラスチック層3の表面に所定の溶射材料を溶射して溶射皮膜層4を形成する。
ことにより繊維強化プラスチックロール素管1Aを作製した。
次に、図7に示すように、上述のようにして作製した繊維強化プラスチックロール素管1Aを所定の寸法に加工してロール本体11とし、該ロール本体11の両端11aの取付け穴部12に端部構造体としての円筒形状をしたベアリングハウジング20を接着剤Fを介して、或いは、圧入して接合し、フィルム搬送用の繊維強化プラスチックロール10を作製した。
斯かる構成の繊維強化プラスチックロール10は、溶射皮膜4が形成された耐摩耗性に優れたものであった。
ただ、本発明者らの更なる研究実験の結果、図7に示すように、ベアリング支承部21とロール本体支持部22とを軸線方向に整列して一体に形成した概略円筒形状のベアリングハウジング20では、ベアリングハウジング20と、繊維強化プラスチック製のロール本体11との間における熱膨張の差により、ロール本体11の表面層である溶射皮膜層4にクラックが生じることが分かった。つまり、通常金属製とされるベアリングハウジング20の線膨張係数が繊維強化プラスチックロール本体11より大きく、150〜200℃の高温にさらされると、繊維強化プラスチック製のロール本体11に極端な負荷がかかり、ロール本体11のロール本体支持部22におけるロール本体表面の溶射皮膜層4に微小なクラックが発生することが分かった。このようなロール本体表面における溶射皮膜層4のクラックは、搬送されるフィルムを損傷する恐れがあり、好ましくない。
本発明の目的は、150〜200℃といった高温環境下にて使用した場合にも、表面の溶射皮膜層にクラックが生じることのない溶射皮膜が形成された耐摩耗性、耐熱性に優れた耐熱用の繊維強化プラスチックロールを提供することである。
上記目的は本発明に係る耐熱用繊維強化プラスチックロールにて達成される。要約すれば、本発明は、最外層に溶射皮膜層を有する耐摩耗性、耐熱性の繊維強化プラスチックロール本体と、前記ロール本体の端部に取り付けられた端部構造体とを備えた耐熱用の繊維強化プラスチックロールであって、
前記端部構造体は、ベアリングが装着されるベアリング支承部と、前記ベアリング支承部とは同一軸線上に整列して一体に形成され、前記ロール本体の端部に形成した取付け穴部に嵌合して接合される円筒スリーブ状のロール本体支持部とを有しており、
前記円筒スリーブ状のロール本体支持部には、前記ベアリング支承部側とは反対側の内方端面から前記ベアリング支承部側へと所定の長さにて軸線方向に複数のスリットが形成されている、
ことを特徴とする耐熱用繊維強化プラスチックロールである。
本発明の一実施態様によれば、前記ベアリング支承部は、その外径が前記ロール本体支持部の外周部の直径より小さくされた小径部を備えており、前記ロール本体の端部は、前記ロール本体支持部及び前記小径部にまで延在して取付けられ、前記ベアリング支承部の前記小径部の外周面と前記ロール本体端部の取付け穴部の内周面とは接触していない。
本発明の他の実施態様によれば、前記ロール本体支持部は、前記ベアリング支承部に隣接した領域に前記ロール本体支持部の外周部の直径が小さくされた小径部を備えており、前記ロール本体の端部は、前記ロール本体支持部の前記小径部にまで延在して取付けられ、前記ロール本体支持部の前記小径部の外周面と前記ロール本体端部の取付け穴部の内周面とは接触していない。
本発明の他の実施態様によれば、前記ロール本体の端部取付け穴部と前記ロール本体支持部との間の嵌合部には接着剤層が設けられる。
本発明の他の実施態様によれば、前記ロール本体支持部の外周面には螺旋溝又は環状溝又は軸線方向溝が形成され、該溝に接着剤が充填される。
本発明の他の実施態様によれば、前記ロール本体は、繊維強化プラスチック基材層と、前記繊維強化プラスチック基材層の表層に積層されたガラス繊維強化プラスチック層と、前記ガラス繊維強化プラスチック層の表層に溶射により被覆された前記溶射皮膜層とを有する。
本発明の他の実施態様によれば、前記繊維強化プラスチック基材層の強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用され、
前記繊維強化プラスチック基材層及び前記ガラス繊維強化プラスチック層の樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、若しくは、フェノール樹脂、又は、ナイロン若しくはビニロンが使用される。
本発明の他の実施態様によれば、前記溶射皮膜層を形成する溶射材料は、粒状のセラミックス、サーメット、金属、又はこれらの混合物である。
本発明の他の実施態様によれば、前記溶射皮膜層は、皮膜厚さが0.05〜1.0mm、表面のビッカース硬度HVが400〜1200、表面の平均粗さRaが0.05〜1.0μmである。
本発明によれば、溶射皮膜が形成された耐摩耗性、耐熱性に優れた耐熱用の繊維強化プラスチックロールは、150〜200℃といった高温環境下にて使用した場合にも、表面の溶射皮膜層にクラックが生じることがない。
図1(a)は、本発明に係る繊維強化プラスチックロールの第一の実施例の断面構造を説明する概略図であり、図1(b)は本発明に係る繊維強化プラスチックロールに使用するベアリングハウジングの斜視図である。また、図1(c)はベアリングハウジングにおけるロール本体支持部外周面の一実施例を示す断面図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックロールの第二の実施例の断面構造を説明する概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックロールの第三の実施例の断面構造を説明する概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックロールの第四の実施例の断面構造を説明する概略図である。 本発明に係る繊維強化プラスチックロールの第五の実施例の断面構造を説明する概略図である。 図6(a)は本発明に係る繊維強化プラスチックロールにおけるロール本体の断面構造を説明する概略図であり、図6(b)は本発明に係る繊維強化プラスチックロールにおけるロール本体の製造方法を説明する図である。 従来の繊維強化プラスチックロールの一例を説明する概略断面構成図である。
以下、本発明に係る繊維強化プラスチックロールを図面に則して更に詳しく説明する。本発明に係る繊維強化プラスチックロールは、上述したように、150〜200℃といった高温環境下にて、例えば、使用環境が160℃以上とされるフィルムの乾燥工程などのフィルム搬送ロールなどとして、種々の産業機械装置における耐熱用ロールとして有効に使用される。
実施例1
図1(a)に、本発明に係る繊維強化プラスチックロール10の第一の実施例の概略断面構成を示す。
本実施例にて、繊維強化プラスチックロール10は、円筒形状とされる繊維強化プラスチックロール本体11と、ロール本体11の両端部11a、11aを支持するために配置された端部構造体20とを有している。詳しくは、後述するように、本実施例にて端部構造体20は、ベアリング支承部21とロール本体支持部22とを軸線方向に整列して一体に形成した段付きの概略円筒形状とされる、所謂、ベアリングハウジングとされる。ロール本体11の両端部11aには取付け穴部12が形成され、ベアリングハウジング20のロール本体支持部22は、取付け穴部12に接着剤Fを介して、或いは、圧入により嵌合して接合され、ロール本体11は、ベアリングハウジング20と一体とされる。
本実施例の繊維強化プラスチックロール10を、例えば、160℃といった高温環境下にてフィルム搬送ロールとして使用することができるが、その場合には、ベアリング支承部21には、一点鎖線にて示すように、ベアリング110を介し回転支軸120が取り付けられ、繊維強化プラスチックロール10は該回転支軸120に回転自在に担持されることとなる。
次に、ロール本体11について説明する。
(ロール本体)
本実施例にて、ロール本体11は、図6(a)、(b)を参照して説明した、特許文献3に記載される溶射皮膜4を有する耐摩耗性の繊維強化複合材1にて作製されるものとする。
図6(a)、(b)を参照すると、本実施例の溶射皮膜4を有する耐摩耗性、耐熱性の繊維強化複合材1は、繊維強化プラスチック基材層2と、この繊維強化プラスチック基材層2の表層に積層されたガラス繊維強化プラスチック層3と、このガラス繊維強化プラスチック層3の表層に溶射により被覆されたロール本体の表面層としての溶射皮膜層4とを有している。
繊維強化プラスチック基材層2となる繊維強化プラスチックの強化繊維としては、炭素繊維が最も好ましいが、その他、種々の繊維を使用し得る。例えば、強化繊維としては、炭素繊維の他に、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;更には、アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用することができる。
また、繊維強化プラスチック基材層2及びガラス繊維強化プラスチック層3にて強化繊維に含浸されるマトリクス樹脂としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を使用することができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はフェノール樹脂などが好適に使用され、又、熱可塑性樹脂としては、ナイロン、ビニロンなどが好適に使用可能である。又、樹脂含浸量は、30〜70重量%、好ましくは、40〜60重量%とされる。
繊維強化プラスチック基材層2は、通常、層厚さt2が1〜30mm、ガラス繊維強化プラスチック層3は、通常、層厚さt3が0.5〜5mmとされ、用途に応じて適宜選定される。
溶射皮膜層4は、皮膜厚さt4が0.05〜1.0mm、表面粗さが平均粗さRaで0.05〜1.0μm、表面硬度がビッカース硬度HVで400〜1200、とされる。皮膜厚さt4が0.05mm未満では、研磨代が少なく十分な表面平滑性が得られないといった問題があり、また、1.0mmを超えると皮膜割れといった問題がある。表面粗さについていえば、平均粗さRaが0.05μm未満では、研磨に時間がかかりコスト高となるといった問題があり、また、1.0μmを超えると表面の凹凸が大き過ぎてフィルム搬送ロール等に使用する場合、フィルムに傷が入り、実使用に耐えないといった問題がある。更に、表面硬度についていえば、ビッカース硬度HVが400未満では、十分な耐摩耗性が得られないといった問題があり、また、1200を超える仕様にするには高価な溶射材料を用いることとなりコスト高になるといった問題がある。最適な仕様としては、皮膜厚さt4が0.2〜0.4mm、表面粗さRaが0.05〜0.2μm、表面硬度HVが700〜1000、とされる。
また、溶射皮膜層t4を形成する溶射材料としては、粒状のセラミックス、サーメット、金属、又はこれらの混合物、等を使用し得る。詳しくは、セラミックスとしては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、クロミア、サーメットとしては、タングステンカーバイド+コバルト、タングステンカーバイド+ニッケルクロム、クロムカーバイド+ニッケルクロムなどがあり、金属としては、コバルト化合物、モリブデン、ニッケル、ニッケルクロムなどを単体、又はこれらの混合物を使用し得る。溶射材料の粒径としては、平均粒径で5〜100μmが好適に使用可能である。
斯かる構成の繊維強化複合材1は、繊維強化プラスチック基材層2と、その表層に積層されたガラス繊維強化プラスチック層3とは、基材層2となる繊維強化プラスチックの成形時に同時に加熱して(焼付けて)硬化させる。その後、ガラス繊維強化プラスチック層3の表面をブラスト処理し、次いで、溶射材料が所定厚さで溶射され、溶射皮膜層4が形成される。
次に、本発明の繊維強化プラスチックロールにおけるロール本体11の製造方法について更に詳しく説明する。
(繊維強化プラスチック基材及びガラス繊維強化プラスチック層の成形)
ロール本体11における基材となる繊維強化プラスチック層2の強化繊維としては、炭素繊維を使用するものとして説明する。
本実施例の炭素繊維強化複合材製のロール本体(以下、「CFRPロール」という。)11は、従来当業者には周知のフィラメントワインディング法或いはシートワインディング法を用いて好適に作製することができる。
(フィラメントワインディング法)
CFRPロール11をフィラメントワインディング法にて作製する場合を、図6(b)を参照して説明する。本実施例では、先ず、マンドレル100に炭素繊維を所定の樹脂を用いて巻き付け、ロール基材となる繊維強化プラスチック基材層2のための基材となる強化繊維層2A、即ち、本実施例では、炭素繊維強化プラスチック基材層2のための炭素繊維層(基材となる炭素繊維層)2Aを形成する。
引き続いて、基材となる炭素繊維層2Aの上に、所定の樹脂を用いてガラス繊維を巻き付けてガラス繊維強化プラスチック層3のためのガラス繊維層3Aを積層する。この時、ガラス繊維を直接に基材となる炭素繊維層2Aの上に巻き付けることもできるが、ガラス繊維にて作製されたガラス繊維織物であるガラスクロスを所定幅に切断して作製したガラスクロステープを巻き付ける方法でも良い。
ガラス繊維巻き付け時に使用する樹脂は、炭素繊維巻き付け時に使用した樹脂と同じか或いは同系統の樹脂が好ましい。また、樹脂にアルミナ等の溶射に用いる無機粉末を樹脂に添加することも有効である。添加量としては、樹脂量に対して30〜70重量%とされる。
なお、フィラメントワインディング法にて基材となる炭素繊維層2Aの最外層にガラス繊維を巻付ける場合に、プラスマイナスのヘリカル巻を行った場合には、繊維の交差部で樹脂だけの部分ができてしまい、溶射材料を溶射した場合に充分な付着強度が得られない部分が発生するために、プラス方向のみ、或いは、マイナス方向のみの同一角度方向に巻き付けるのが望ましい。
次いで、ガラス繊維層3Aの上からテーピングを行い、基材となる炭素繊維層2A及びガラス繊維層3Aを巻き締めた後、マンドレル100ごと硬化炉に装入し、基材となる炭素繊維層2A及びガラス繊維層3Aの樹脂を硬化させる。これにより、炭素繊維プラスチック基材層2及びガラス繊維強化プラスチック層3の積層体から成るロール素管1Aが成形される。
その後、テープを除去後、ガラス繊維強化プラスチック層3の表面を研削し、ロール径を所定寸法に合わせる。所定径とされたロール表面、即ち、ガラス繊維強化プラスチック層3の表面をブラスト処理し、所定の粗さとする。この時のガラス繊維強化プラスチック層3の表面粗さは、平均粗さRaで2〜10μm、最適には4〜8μm、とされる。2μm未満だと密着力が弱く、10μmを越えると基材にダメージを与える。
このように、溶射前に、ロール表面を研磨し、また、ブラスト処理してロール表面を所定の粗面とすることは、粗面とすることにより、ロール表層にガラス繊維のガラス部分30(図6(a)参照)が露出して、溶射皮膜層4のセラミックス、サーメット、金属、又はこれらの混合物がガラス部分30に付着して十分な接着性(接着強度)を示すためであると推定される。
次いで、この粗面とされた表面に対して所定の溶射材料を使用して溶射し、ロール表面に溶射皮膜層4を形成する。
(シートワインディング法)
シートワインディング法は、シート状のプリプレグ繊維シートを使用する点を除けば、上記フィラメントワインディング法と同様にして実施される。
つまり、CFRPロールをシートワインディング法にて作製する場合には、図6(b)を参照して説明すると、先ず、マンドレル100に所定の積層構成で、炭素繊維強化プラスチック基材層2を形成するための炭素繊維プリプレグ2Aを巻き付けた後、ガラス繊維プラスチック層3を形成するためのガラス繊維プリプレグ3Aを炭素繊維プリプレグ2Aの最外層に巻き付ける。ガラス繊維プリプレグ3Aは、ガラスクロスのプリプレグでも、ガラス繊維を一方向に引き揃えたUD形状プリプレグでも良い。ガラス繊維プリプレグ3Aの樹脂は、炭素繊維プリプレグ2Aに使用した樹脂と同じか或いは同系統の樹脂が好ましい。
次いで、テーピングを行い、炭素繊維プリプレグ2A及びガラス繊維プリプレグ3Aを巻き締めた後、マンドレル100ごと硬化炉に装入し、炭素繊維プリプレグ2A及びガラス繊維プリプレグ3Aの樹脂を硬化させ、炭素繊維強化プラスチック基材層2及びガラス繊維強化プラスチック層3から成るロール素管1Aを作製する。その後、上記フィラメントワインディング法と同様に、テープを除去後、ガラス繊維強化プラスチック層3の表面を研磨し、ロール径を所定寸法に合わせる。所定径とされたロール表面、即ち、ガラス繊維強化プラスチック層3の表面をブラスト処理し、所定の粗さとする。
次いで、この表面に対して所定の溶射材料を使用して溶射し、ロール表面に溶射皮膜層4を形成する。
(溶射皮膜層の形成)
上記粗面化されたガラス繊維強化プラスチック層の表面は、プラズマ溶射装置を用いて所定の溶射材料を厚さ(t4)が0.05〜1.0mmとなるように溶射して溶射皮膜層4が形成(被覆)される。溶射被覆処理後には、必要に応じて、溶射皮膜の封孔処理、溶射皮膜表面の研磨処理のための工程を設けることができる。
なお、本実施例では、上記溶射被覆処理後に封孔処理、研磨処理を実施した。封孔剤としては、シラン系封孔剤(例えば、株式会社ディ・アンド・ディ製のパーミエイト(商品名))などがあり、この封孔剤を溶射皮膜上に10〜30g/m2で塗布した後に、硬化を促進するために高温炉内(50〜100℃)にて30分〜3時間程度硬化させる。
封孔処理後に、溶射皮膜表面を研磨する。これにより、溶射皮膜表面の表面粗さ(平均粗さ)Raは0.05〜1.0μmとされる、厚さ0.05〜1.0mmの溶射皮膜層4を形成する。
次に、本実施例における繊維強化複合材製ロール本体11の具体例について説明する。
具体例1
フィラメントワインディング法により、本発明に従った構成とされるCFRPロールを作製した。
炭素繊維として、モノフィラメント平均径7μm、収束本数12000本の繊維束、即ち、PAN系炭素繊維ストランド(三菱レイヨン株式会社製「TR50」(商品名))を用い、樹脂としてはエポキシ樹脂(新日鉄マテリアルズ株式会社製「HP100」)を用いて、外径88mm、長さ2mのマンドレルに90°(周方向)、±45°、±15°の角度にて、基材となる炭素繊維層2Aが5mm厚み(繊維体積含有率Vf=57%)となるように巻き付けた。
引き続いて、上記基材となる炭素繊維層2Aの上に、同一の樹脂を用い、ガラス繊維としては、TEX1174g/km、即ち、Eガラス繊維ストランド(日東紡績株式会社製「RS110QL」(商品名))を用いて、ガラス繊維を+60°の同一の角度で2mm厚み(Vf=57%)になるように巻き付けた。樹脂含浸量で言えば、基材となる炭素繊維層2Aは、32重量%であり、ガラス繊維層3Aは、21重量%であった。
その後、幅25mm、厚さ0.1mmのPETテープを用いてテーピングを行った後、樹脂が含浸された基材となる炭素繊維層2A及びガラス繊維層3Aを巻き付けたマンドレル100を加熱硬化炉に装入し、2℃/分の昇温速度で180℃まで昇温し、3時間ホールドした後に降温し、硬化した強化繊維プラスチック成形物(素管)1Aをマンドレル100より脱型した。これにより、ガラス繊維強化プラスチック層3が表層に形成された内径が88mm、炭素繊維強化プラスチック基材層2の厚さ(t2)が5mm、ガラス繊維強化プラスチック層3の厚さ(t3)が2mm、長さが1800mmの炭素繊維強化プラスチック管1Aを得た。
このロール素管1Aを用いて軸付けを行い、ロール直径を100mmになるように研削し、ガラス繊維強化プラスチック層3の研削された面を露出させた。
次に、ブラスト処理によりガラス繊維強化プラスチック層3の表面の粗面化を行った。表面粗さRaは、7.6μmであった。
この粗面化されたガラス繊維強化プラスチック層3に対して、溶射材料としてセラミックス粒子であるアルミナ・チタニアを用い、プラズマ溶射を行った。アルミナ・チタニア溶射皮膜4は200μm厚みであった。用いた溶射材料であるアルミナ・チタニア粒子は、昭和電工株式会社製の「K−13」(商品名)であり、プラズマ溶射装置は、SULZER METCO株式会社製の「9MBプラズマ溶射」(商品名)であった。溶射条件は、使用ガス:N2/H2、流量N2:35〜40L/min、H2:10〜15L/min、使用ガス比率:N2:H2=3:1、電圧:70〜76V、粉末供給量:5〜10g/minであった。
溶射後に封孔処理を実施した。封孔剤は、株式会社ディ・アンド・ディ製のパーミエイト(商品名)であり、溶射皮膜上に30g/m2で塗布した後に、80℃、30分硬化させた。
封孔処理後に、溶射皮膜表面を研磨した。
溶射皮膜表面に対して、研磨後に接触式の表面粗度計で粗度測定を実施した。結果は、表面粗さ(平均粗さ)Raが0.1μmであった。また、ビッカース硬度計にて表面硬度を測定した。ビッカース硬度HVは、800であった。
上述にて理解されるように、本実施例の炭素繊維強化プラスチックによれば、アンダーコート層、或いは、セラミックス粒子が食い込んだトップコート層を設けることなく、良好な接着強度を有する溶射皮膜が形成された耐摩耗性の繊維強化複合プラスチックロールを得ることができる。
次に、上述のようにして作製されたロール本体11の両端に一体に取付けられる端部構造体20について、図1(a)、(b)を参照して説明する。
(端部構造体)
図1(a)を参照すると、本実施例では上述のように、端部構造体20は、概略円筒形状のベアリングハウジングとされ、ベアリング支承部21とロール本体支持部22とを軸線方向に整列して一体に形成される。ベアリングハウジング20は、繊維強化プラスチックロール10が、フィルム搬送用ロールなどとして使用される場合のように、使用環境温度が150℃〜200℃とされる場合には、通常、ステンレススチール(SUS304)、構造用鋼(S45C)等の鋼製ハウジングが好適に使用される。ただ、これに限定されるものではなく、場合によっては、アルミニウム製のハウジングとすることもできる。
円筒形状とされるベアリング支承部21は、その外径(D21)が、円筒形状とされるロール本体支持部22の外径(D22)より大とされ、従って、ベアリング支承部21とロール本体支持部22との境界部には、環状の肩部21sが形成されている。本実施例では、環状肩部21sの半径方向厚さ(t21s)は、ロール本体11の厚さ(t11)と略同じとすることができる。従って、ベアリング支承部21の外径(D21)は、ロール本体11の外径(D11)と略同じとされる。
円筒形状とされるロール本体支持部22の外径(D22)は、ロール本体11の内径(d11)と同じか僅かに大とされる。従って、ロール本体11の端部取付け穴部12に嵌合されたロール本体支持部22の外周面は、ロール本体11の端部取付け穴部12に接着剤層Fを介して接合されるか、或いは、圧入により接合される。これにより、ロール本体支持部22にロール本体11の端部11aが一体に取付けられる。
好ましくは、図1(c)に示すように、ロール本体支持部22の外周面には螺旋溝25が形成される。該溝25に接着剤Fを充填することにより、ロール本体1の端部取付け穴部12をロール本体支持部22の外周面にしっかりと接着剤Fで固定することができる。該溝25の凸部外周面25aはロール本体11を支持し、凸部外周面25aのロール本体11を支持する割合、即ち、軸線方向長さ(L22)とされるロール本体支持部22の外周面面積に対する溝25の凸部外周面25aの面積の割合、を1%以上とし、好ましくは30〜70%とする。一例を挙げれば、溝深さ(t25)1mm、溝25の角度(θ)60°、ピッチ(p)2.3mmとし、凸部外周面25aの支持の割合を約50%とすることにより好結果を得ることができた。溝25は、螺旋溝である必要はなく、軸線方向に所定間隔で配置して形成した環状溝とすることもでき、或いは、軸線方向に平行に支持部22の外周面に形成された軸線方向溝とすることもできる。
ベアリング支承部21には、外周面と同中心にてベアリング取付け穴26が形成されており、その内周面部に一点鎖線にて示すように、ベアリング110が取付けられる。このベアリング110には、回転支軸120が取り付けられ、従って、繊維強化プラスチックロール10は、この回転支軸120に担持されて回転自在とされる。
次に、図1(a)、(b)を参照して、本発明の特徴構成部について説明する。
本実施例にて、ロール本体支持部22は、ベアリング支承部21と同中心にて形成された所定の厚み(t22)を有した円筒形状のスリーブとされる。また、該スリーブには、ベアリング支承部21とは反対側端面22aから、即ち、ロール本体11の中心内部側から所定長さ(L23)に渡ってスリット(溝)23が形成されている。このスリット23は、ロール本体支持部22の円周方向に均等に複数個形成されており、通常、2〜6個程度、本実施例では、4個形成されている。スリット23の寸法、数等は、ロール本体11の寸法に応じて適宜決定されるものであり、限定されるものではない。
斯かる構成とすることにより、ロール本体11に取付けられたロール本体支持部22が熱膨張した時には、ロール本体支持部22が半径方向内方向へと撓むことができ、ロール本体11の端部11aにかかる負荷を軽減することができる。従って、ロール本体11のロール表面層を形成する溶射皮膜層4にクラックが生じることが防止される。
本実施例における一例として、具体的寸法を挙げれば、
(A)ロール本体(11)(具体例1のロール本体11)
長さ(L11): 1800mm
外径(D11):100.4mm
内径(d11): 88mm
(B)ベアリングハウジング(20)
・材料:SUS304
・ベアリング支承部(21)
長さ(L21): 30mm
外径(D21): 99mm
内径(d21): 51.5mm
・ロール本体支持部(22)
長さ(L22): 50mm
外径(D22):88.02mm
内径(d22): 80mm
・スリット(23):
長さ(L23): 50mm
幅(W23): 5mm
上記構成の繊維強化プラスチックロール10を、使用環境温度160℃〜180℃のフィルム感光工程におけるフィルム搬送ロールとして使用したが、ロール表面の溶射皮膜層4にクラックは発生しなかった。一方、比較例として、ロール本体支持部にスリットを形成しない点でのみ異なる繊維強化プラスチックロールを作製し、該ロールを使用環境温度160℃〜180℃のフィルム感光工程におけるフィルム搬送ロールとして使用したが、ロール表面の溶射皮膜層にクラックが発生した。
実施例2
図2を参照して、本発明に係る繊維強化プラスチックロール10の第二の実施例ついて説明する。本実施例によれば、繊維強化プラスチックロール10は、実施例1とは、ロール本体11の端部11aに取付けられるベアリングハウジング20の構造が異なるのみで、ロール本体11の構成は実施例1と同じとされる。従って、以下には、ベアリングハウジン20の構造について説明する。
本実施例によれば、ベアリングハウジング20は、実施例1のベアリングハウジングと同様の構成とされ、ただ、ベアリング支承部21の構造が異なっている。つまり、本実施例によれば、ベアリング支承部21は、その外径(D21a)がロール本体支持部22の外周部の直径(D22)より大とされる大径フランジ部21aと、その外径(D21b)がロール本体支持部22の外周部の直径(D22)より小とされる小径部21bとを備えている。従って、ロール本体11は、その端部11aを、スリット23が形成されたロール本体支持部22より更に、ベアリング支承部21の前記大径フランジ部21aまで延在して取付けることができる。ただ、この小径部21bに対応するロール本体端部11aの内周面領域(L11a)と、ベアリング支承部21の小径部21bの外周面とは、接触しておらず、ロール本体支持部21の熱膨張による影響を低減することができる。通常、領域(L11a)は少なくとも環状肩部21sからスリットの軸方向端部までとし、例えば、ロール本体内径(d11)が88mmで、ベアリング支承部内径(d21)が51.5mmの場合ロール本体内径(d11)と小径部21bの外径(D21b)との差(d11−D21b)=0.25〜10mmとされる。
勿論、本実施例においても、実施例1と同様に、ロール本体11に取付けられたロール本体支持部22が熱膨張した時には、ロール本体支持部22が半径方向内方向へと撓むことができ、ロール本体11の端部11aにかかる負荷を軽減することができる。従って、ロール本体11のロール表面層を形成する溶射皮膜層4にクラックが生じることが防止される。
実施例3
図3を参照して、本発明に係る繊維強化プラスチックロール10の第三の実施例ついて説明する。本実施例によれば、繊維強化プラスチックロール10は、実施例1とは、ロール本体11の端部11aに取付けられるベアリングハウジング20の構造が異なるのみで、ロール本体11の構成は実施例1と同じとされる。従って、以下には、ベアリングハウジング20の構造について説明する。
本実施例によれば、ベアリングハウジング20のベアリング支承部21は、実施例1のベアリングハウジング20と同様の構成とされ、ただ、ロール本体支持部22の構造が異なっている。つまり、本実施例によれば、ロール本体支持部22は、実施例1と同様にスリット23が形成された大径支持部22aと、大径支持部22aとベアリング支承部21との隣接部に形成された小径部22bとを備えている。小径部22bの外径(D22b)は、大径支持部22aの外周部の直径D22aより小とされる。勿論、必要により、スリット23は小径部22bにまで達していても良い。
上記構成にて、ロール本体11が、実施例2にて説明したと同様に、ロール本体支持部22に取付けられたとき、小径部22bに対応するロール本体端部11aの内周面領域(L11a)と、ロール本体支持部22の小径部22bの外周面とは、接触しておらず、ロール本体支持部21の熱膨張による影響を低減することができる。通常、領域(L11a)は少なくとも環状肩部21sからスリットの軸方向端部までとし、例えばロール本体内径(d11)が88mmで、ベアリング支承部内径(d21)が51.5mmの場合、ロール本体内径(d11)と小径部22bの外径(D22b)との差(d11−D22b)=0.25〜10mmとされる。
本実施例においても実施例2と同様の作用効果を達成し得る。
実施例4
図4を参照して、本発明に係る繊維強化プラスチックロール10の第四の実施例ついて説明する。本実施例によれば、繊維強化プラスチックロール10は、実施例1とは、ロール本体11の端部に取付けられる端部構造体20の構造が異なるのみで、ロール本体11の構成は実施例1と同じとされる。従って、以下には、端部構造体20の構造について説明する。
実施例1の繊維強化プラスチックロール10は、図1に示すように、端部構造体20は、円筒形状とされるベアリング支承部21と、ロール本体支持部22とを軸線方向に整列して一体に形成した段付きの概略円筒形状とされる、所謂、ベアリングハウジングとされた。
これに対して、本実施例の繊維強化プラスチックロール10では、図4に示すように、端部構造体20は、ロール本体支持部22と軸線方向に整列して一体に形成したベアリング支承部21は、ロール本体支持部22に隣接して形成された大径フランジ部21aと、この大径フランジ部21aと同中心にて形成された大径フランジ部21aより小径とされる円柱状のボス部21bと、このボス部21bと同中心にて形成された回転支軸21cとを備えている。大径フランジ部21aは、その外径(D21a)が、円筒形状とされるロール本体支持部22の外径(D22)より大とされ、従って、大径フランジ部21aとロール本体支持部22との境界部には、環状の肩部21sが形成されている。斯かる構成は、実施例1におけるベアリング支承部21の構成と同様である。
円柱状ボス部21bに同中心にて一体に形成された回転支軸21cは、その外周面部に一点鎖線にて示すように、ベアリング110が取り付けられ、該ベアリング110を介して装置本体軸受部120に装着される。従って、繊維強化プラスチックロール10は、この軸受部120に担持されて回転自在とされる。
本実施例の構成にて、実施例1と同様の作用効果を達成し得る。
実施例5
図5を参照して、本発明に係る繊維強化プラスチックロール10の第五の実施例ついて説明する。本実施例によれば、繊維強化プラスチックロール10は、ロール本体11の端部に取付けられる端部構造体20の構造が異なるのみで、ロール本体11の構成は実施例1で説明した同じとされる。従って、以下には、端部構造体20の構造について説明する。
本実施例によれば、端部構造体20は、図4に示す実施例4の端部構造体と同様の構成とされ、ただ、ロール本体支持部22の構造が異なっている。つまり、本実施例によれば、ロール本体支持部22は、図3に示す実施例3と同様の構成とされる。
本実施例にて、ロール本体支持部22は、実施例3と同様にスリット23が形成された大径支持部22aと、大径支持部22aと大径フランジ部21aとの隣接部に形成された小径部22bとを備えている。小径部22bの外径(D22b)は、大径支持部22aの外周部の直径D22aより小とされる。
従って、ロール本体11が、実施例1にて説明したと同様に、ロール本体支持部22に取付けられたとき、小径部22bに対応するロール本体端部11aの内周面領域(L11a)と、ロール本体支持部22の小径部22bの外周面とは、接触しておらず、ロール本体支持部21の熱膨張による影響を低減することができる。通常、領域(L11a)は少なくとも環状肩部21sからスリットの軸方向端部までとし、例えばロール本体内径(d11)が88mmで、ロール本体支持部22の小径部内径(d22)が51.5mmの場合、ロール本体内径(d11)と小径部22bの外径(D22b)との差(d11−D22b)=0.25〜10mmとされる。
本実施例の構成にて、実施例3と同様の作用効果を達成し得る。
1 繊維強化複合材
1A ロール状素管、板状素材
2 繊維強化プラスチック基材層
2A 基材となる強化繊維層、基材層プリプレグ
3 ガラス繊維強化プラスチック層
3A ガラス繊維層、ガラス繊維プリプレグ
4 溶射皮膜層
10 繊維強化プラスチックロール
11 ロール本体
12 取付け穴部
20 ベアリングハウジング(端部構造体)
21 ベアリング支承部
22 ロール本体支持部
23 スロット
30 ガラス部分

Claims (9)

  1. 最外層に溶射皮膜層を有する耐摩耗性、耐熱性の繊維強化プラスチックロール本体と、前記ロール本体の端部に取り付けられた端部構造体とを備えた耐熱用の繊維強化プラスチックロールであって、
    前記端部構造体は、ベアリングが装着されるベアリング支承部と、前記ベアリング支承部とは同一軸線上に整列して一体に形成され、前記ロール本体の端部に形成した取付け穴部に嵌合して接合される円筒スリーブ状のロール本体支持部とを有しており、
    前記円筒スリーブ状のロール本体支持部には、前記ベアリング支承部側とは反対側の内方端面から前記ベアリング支承部側へと所定の長さにて軸線方向に複数のスリットが形成されている、
    ことを特徴とする耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  2. 前記ベアリング支承部は、その外径が前記ロール本体支持部の外周部の直径より小さくされた小径部を備えており、前記ロール本体の端部は、前記ロール本体支持部及び前記小径部にまで延在して取付けられ、前記ベアリング支承部の前記小径部の外周面と前記ロール本体端部の取付け穴部の内周面とは接触していないことを特徴とする請求項1に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  3. 前記ロール本体支持部は、前記ベアリング支承部に隣接した領域に前記ロール本体支持部の外周部の直径が小さくされた小径部を備えており、前記ロール本体の端部は、前記ロール本体支持部の前記小径部にまで延在して取付けられ、前記ロール本体支持部の前記小径部の外周面と前記ロール本体端部の取付け穴部の内周面とは接触していないことを特徴とする請求項1に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  4. 前記ロール本体の端部取付け穴部と前記ロール本体支持部との間の嵌合部には接着剤層が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  5. 前記ロール本体支持部の外周面には螺旋溝又は環状溝又は軸線方向溝が形成され、該溝に接着剤が充填されることを特徴とする請求項4に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  6. 前記ロール本体は、繊維強化プラスチック基材層と、前記繊維強化プラスチック基材層の表層に積層されたガラス繊維強化プラスチック層と、前記ガラス繊維強化プラスチック層の表層に溶射により被覆された前記溶射皮膜層とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  7. 前記繊維強化プラスチック基材層の強化繊維は、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維などの無機繊維;ボロン繊維、チタン繊維、スチール繊維などの金属繊維;アラミド、PBO(ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール)、ポリアミド、ポリアリレート、ポリエステルなどの有機繊維;が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドにて使用され、
    前記繊維強化プラスチック基材層及び前記ガラス繊維強化プラスチック層の樹脂としては、常温硬化型或は熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、若しくは、フェノール樹脂、又は、ナイロン若しくはビニロンが使用されることを特徴とする請求項6に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  8. 前記溶射皮膜層を形成する溶射材料は、粒状のセラミックス、サーメット、金属、又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
  9. 前記溶射皮膜層は、皮膜厚さが0.05〜1.0mm、表面のビッカース硬度HVが400〜1200、表面の平均粗さRaが0.05〜1.0μmであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の耐熱用繊維強化プラスチックロール。
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