JP2007056357A - 密着力の向上した溶射基板、およびその製造方法。 - Google Patents

密着力の向上した溶射基板、およびその製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来では溶射しても実用上の密着力が得られない各種基板材料に対しても、強い密着力を有した溶射膜を得る方法を提供する
【解決手段】 各種基板材料表面に、溶射する材料と本質的に同一の素材である充填材を有した特殊なプライマー層を設け、その上に溶射することにより、基板材料と溶射膜との強い密着力を得ることが出来る
【選択図】 図1

Description

基板層に溶射する技術に関する、さらに詳しくは、基板と、基板に溶射した膜との強い接着力を有する溶射技術に関するものである。
基板層に溶射をする場合、従来は該基板層に直接、溶射することが行われていた。あるいは、基板層にバインダー層として、金属成分であるNi−Crなどをバインダー層として介在させて溶射すること(特許文献1)や、有機のバインダー層を設けて溶射すること(特許文献2および3)などの改善された方法が提案されている。
特開平6−122、956号 特開昭61−217、566号 特開平5−240、286号
ところが、基板層が鉄を主とした基材の場合には、基板層と溶射層とは実用上問題ない強い接着力が出ることがあるが、基板層として、セラミック素材、特殊金属素材、金属複合体素材、および炭素繊維補強樹脂CFRPの様な非金属素材などを用いた場合には、従来のような基材に直接溶射しても基板層と溶射層との接着力が弱く、基板層に錆が発生したり、種々な問題が発生することが多く、実用化されたものは無かった。また、特許文献1の様な金属成分を基板層の上にバインダー層として形成させても、溶射層の熱などによる残量応力を解消することが出来ないので、その結果、基板層にクラックが発生したり、ポーラスになったりするために、基板に錆が発生し、実用上で問題となることが多く、現実上使用できないものであった。さらに特許文献2または3に示されたように、プライマー層に用いる充填材素材の種類と、そのプライマー層上に溶射する素材とが異なるために、溶射膜の密着力が強いものが得られず、その結果、基板層にクラックが発生したり、ポーラスになったりするために、基板に錆が発生し、実用上で問題となることが多く、現実上使用できないものであった。
そこで、セラミック素材、特殊金属素材、金属複合体素材、および非金属素材などからなる溶射膜に対しても強い接着力を有した溶射膜を得るためには、該基板層の上に、あらかじめ溶射用の本発明の特殊なプライマー層を設け、このプライマー層に直接溶射をすることにより、該基板へ強い接着力を持った溶射膜を得ることが出来るのである。すなわち、特殊なプライマー層とは、プライマー層に用いる充填材素材の種類と、そのプライマー層上に溶射する素材とが本質的に同じものを用いたプライマー層を設けるのである。
特殊なプライマー層を用いるために、セラミック素材、特殊金属素材、金属複合体素材、および非金属素材からなる溶射膜に対しても強い接着力を有した溶射膜が得られ、その結果、基板層の酸化劣化、錆び、変質、吸湿劣化などの発生などが無いために、さらに、溶射した層上にCrメッキなどの更なる表面層を形成させても、内部応力でクラックが発生することが無く、このために長期間安定した基盤材料として使用することが出来る。特に、基板材料として、炭素繊維補強エポキシ材料CFRPからなるロール材料に、Al素材を充填材とした本発明の特殊なプライマー層を形成させた後に、Alを溶射する。その後、必要によってさらに、その上にCrメッキすると、軽量で、光沢のある、耐久性のあるロール材料を得ることも出来る。
以下に本発明の好ましい実施形態について、詳細に説明する。
本発明は、基板層の上に、あらかじめ溶射用の特殊なプライマー層を設けた後で基板層に溶射することにより、基板層と溶射膜との密着性が0.6kg/cm以上、好ましくは1kg/cm以上、さらに好ましくは1.3kg/cmと強い密着力を有した基板、およびその製造方法を提供するものである。
基板材料としては、鉄を主成分とした素材の場合には、直接該基材にスパッタを行っても比較密着力の強いものが得られるが、基板材料が、セラミック素材、特殊金属素材、金属複合体素材、および非金属素材からなる素材に直接溶射しても強い密着力が得られない。
基板層と溶射膜との密着力が1kg/cm以上と、お互いに強い接着力を有さないと、基板層の酸化劣化、錆び、変質、吸湿劣化などの欠点が発生するため、長期間安定した基盤材料として使用することが出来ない。
また、基板層に溶射した上に、さらにCrメッキなどの更なる別の表面層を形成させた場合、メッキの内部応力などでメッキ層にクラックが発生し易く、このために長期間安定した基盤材料として使用することが出来ない。
特に、基板材料として、炭素繊維補強エポキシ樹脂材料CFRPからなる、フィルムなどを巻きつけるロールコア芯材料表面に、溶射する金属と本質的に同じ充填材を含有したプライマー層を形成させた後に、充填材と本質的に同一の溶射素材で溶射をした後、さらにこの上にCrメッキすることにより、軽量で、光沢のある、耐久性・耐食性のあるロール材料を得ることが出来るのである。
本発明の溶射用の特殊なプライマー層は、少なくとも溶射素材と本質的に同一の充填剤と、有機系バインダーとから形成されるものである。ここで言う本質的に同一とは、全く同一の素材はもちろんのこと、比較する素材に同一の元素を含有していれば良いと言うことであり、たとえば、Al金属とその化合物・混合物である酸化物Al、Al−TiO、チッ化物AlNなどが代表的なもので、これらは本質的に同一素材と言うものである。また、必要に応じてこれらプライマー層に界面活性剤、沈降防止剤、溶剤などを2〜10重量%以内で添加含有させても良い。この特殊なプライマー層は、▲1▼未硬化で粘着性のある状態の有機系バインダー層の上に溶射素材と本質的に同じ素材の充填材を吹付けて着床させて、充填材層を形成・被覆した2層、あるいはさらにその上に有機系バインダーをされに追加塗工した3層の場合でも、▲2▼有機系バインダーと該充填材の混合体層にして、その後、サンドブラスト・グラインダーなどで表面を研磨してバインダーを部分的に除去して、充填材を直接表面に形成した場合でも良い。
特殊なプライマー層が混合体層の場合、有機バインダーと充填材との混合比率は、重量比率で有機バインダー/充填剤=50〜10/50〜90の範囲、好ましくは35〜25/65〜75であることが良い。これは有機バインダーの含有量が10重量%未満となると、充填材が脱落しやすくなるためであり、逆に有機バインダーの含有量が50重量%を超えると、溶射素材との密着性が低下するためである。
本発明の特殊なプライマー層の中心線平均表面粗さRaとしては、10μm以上、好ましくは20μm以上と表面が比較的粗面である方が密着力が大きくなって好ましい。
本発明で言う有機バインダーとは、少なくとも天然樹脂接着剤、合成樹脂接着剤、およびそれらの混合体から選ばれた1種以上である。本発明の場合、バインダー種の選択は、適用する基板層との接着性の高い、すなわち相溶性の高いバインダーを考慮して選択される。接着剤メーカーとしては、特に限定するものではなく、セメダイン(株)、(株)スリーボンド、ソニーケミカル(株)、東亜合成(株)、アイカ工業(株)、昭和高分子(株)、ダイセル化学工業(株)、三井化学(株)、住友化学(株)、住友3M(株)、コニシ(株)、大日本インキ工業(株)、(株)JSRなどが代表的である。
ここで、天然樹脂接着剤とは、少なくともカゼイン系接着剤、セルロース系接着剤、ゴム系接着剤、ロジン系接着剤、およびそれらの混合体から選ばれた1種以上である。本発明の場合、特に好ましい天然樹脂接着剤としては、セルロース系接着剤である。
さらに本発明で言う合成樹脂接着剤とは、少なくとも酢酸ビニル樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール樹脂系接着剤、ビニルアセタール樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤、塩化ビニリデン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、メタクリ酸樹脂系接着剤、スチレン樹脂系接着剤、ポリエチレン樹脂系接着剤、ポリイソブチレン樹脂系接着剤、クマロン・インデン樹脂系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、ポリアミドイミド樹脂系接着剤、ポリイミド樹脂系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、シリコン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、およびこれらの混合体から選ばれた1種以上である。本発明の場合、特に好ましい合成樹脂接着剤としては、グリシジル基を2個以上有するエポキシ樹脂系接着材である。
具体的な好ましいエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、1・1ビス(3ーt・ブチルー6ーメチルー4ーコドロキシフェニル)・ブタン、テトラメチルビスフェノール、ナフタレンジオールなどの2価のフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化合物、Pーオキシ安息香酸、mーオキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル化合物、あるいはトリグリシジルイソシアヌレートなどのフェノール類とホルムアルデヒドの反応生成物であるノボラック樹脂から誘導されるノボラック系エポキシ樹脂、フロログリーン・トリスー(4ーヒドロキシフェニル)メタン、1・1・1ートリヒドロキシフェニルメタン、1・1・2・2ーテトラキス(4ーヒドロキシフェニル)エタンなどのフェノール類と芳香族カルボニル化合物との縮合反応により得られる多価フェノール類から誘導される、グリシジルエーテルなどを用いても良い。もちろんエポキシ樹脂単独でも、2種以上のエポキシ樹脂を混合したものでも良い。さらにエポキシ樹脂の一部の水素をハロゲン原子で置換したハロゲン化エポキシ樹脂にすると、難燃性も付与された有用なバインダーとなる。本発明の場合、グリシジル基を3個以上有するノボラック系エポキシ樹脂系接着材が好ましい。
本発明で言う充填剤とは、特殊なプライマー層に溶射する金属と本質的には同じ組成体の素材を選択する。これはその上に溶射される素材との密着性を強くするためである。全く同一の組成体である必要はなく、同じ組成体を主成分としていればよい。代表的な充填材としては、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、コバルト、アルミニウム、タングステン、亜鉛、チタン、銅、およびそれらの合金、化合物などが代表的に挙げられる。溶射素材にも依存するが、特に鉄、アルミニウムが接着力向上の点で好ましい。使用前には乾燥するのが好ましい。
これらの充填材の製造メーカーとしては特に限定されないが、ヘガネスガテリウス(株)、日本研磨材工業(株)、不二見研磨剤工業(株)、第一メテコ(株)、金生興業(株)、昭和電工(株)、ミラーサーマル(株)、大同特殊鋼(株)、日本ユテク(株)などがある。また、この充填剤の大きさとして、該充填材の平均の粒子サイズが10〜50μm、好ましくは、18〜25μmである。粒子サイズが10μm未満では、密着力の向上効果が認められなくなるために好ましくなく、50μmを超える大きさの場合は、該粒子が脱落するために好ましくない。
本発明で言う基板層とは、セラミック素材、特殊金属素材、金属複合体素材、非金属素材などから選ばれた素材である。ここで、セラミック素材とは、アルミナAl、チタニアTiO、クロミアCrO、グレイアルミナAl−TiO、アルミナジルコニアAl−ZnO、ジルコニアイットリアZnO−Y、ニッケルオキサイドNiO、Ni、二酸化マンガンMnO、マグネタイトFeO−Fe,フェライトMo−Fe、5酸化タンタルTa、イットリアY、およびそれらの混合体から選ばれたものが代表的なものである。本発明の場合、特にアルミナ、グレイアルミナ、アルミナジルコニアの様な軽金属系のアルミニウム系の素材が好ましい。
また、特殊金属材料とは、銅Cu、ニッケルNi、クロムCr、モリブデンMo、コバルトCo,アルミニウムAl、タングステンW,亜鉛Zn,チタンTi、およびそれらの混合体から選ばれた材料であるが、本発明の場合、特に銅素材が好ましい効果を発揮するので良い。
また、金属複合体素材とは、タングステンカーバイド・コバルト複合体WC−Co、タングステンカーバイド・ニクロム複合体WC−Ni−Cr、クロームカーバイド・ニクロム複合体Cr−NiCr、ジルコニア複合体ZnO−Y−NiCr、ニッケルグラファイト複合物Ni−C、ステンレススチールFe−Cr−Ni、およびそれらの混合体から選ばれたもので、本発明の場合、特にタングステンカーバイト・ニクロム複合体WC−Ni−Crが好ましい。
また、非金属素材が、木材、紙、熱可塑性プラスチック、熱硬化性樹脂、炭素繊維含有強化樹脂CFRP、ガラス繊維含有強化樹脂GFRP、炭素C化合物、ガラス、陶磁器、コンクリート、およびそれらの混合体から選ばれたものであるが、本発明の場合、特に炭素繊維含有強化樹脂CFRP、ガラス繊維含有強化樹脂GFRPなどの樹脂系の基板を用いることで、本発明の大きな効果が得られるために、特に好ましい素材である。
また、溶射する材料としては、鉄Fe、銅Cu、アルミニウムAl、亜鉛Zn、ニッケルNi、クロムCr、チタンTi、モリブデンMo、金Au、白金Pt、およびそれら材料を主とした合金素材、およびそれらの混合体などである。本発明の場合、特にアルミニウム、銅を主とした素材が密着力向上の点、さらには軽量化・高耐久性などの実用上の点で好ましい。
処理の必要な基板層の上に、溶射用の特殊なプライマー層を設けるが、塗布前に基板層を脱脂処理・表面粗面化処理・表面洗浄処理などの処理をしてから特殊なバインダーを塗工した方が強い密着力が得られるので好ましい。
プライマーの塗布方法は特に限定されるものではなく、エアースプレーガン塗り、刷毛塗り、グラビアローラー塗り、ファンテン方式塗り、ダイコート塗り、ヘラ塗りなどの任意の方法を採用することが出来る。
かくして塗工された特殊なプライマー層を加熱処理して該層を熱硬化させることが必要である。これは架橋させることにより溶射での耐熱性を向上させるばかりか、基板層との密着性の向上にもつながるのである。架橋度は特に限定しないが、高い方が耐熱性・密着性の点で好ましい。硬化条件としては、常温硬化処理の場合は、室温放置で24〜72時間で硬化する。加熱硬化処理の場合は100〜180℃で40〜80分間で硬化させる。
特殊なプライマー層の厚さとしては、10〜50μm、好ましくは20〜40μmの範囲でコーティングすることが密着性の点で好ましい。特殊プライマー層の厚さが10μm未満であると、充填材の有機バインダー内での固定力が不足して充填剤が脱落するのみならず、溶射加工の密着力不足につながり、その結果、溶射層の剥離・亀裂が発生する。逆にプライマー層の厚さが50μmを越えると有機バインダーの強度が影響し、その結果、溶射層の剥離・脱落を誘因する。ここで言うプライマー層の厚さとは、特殊プライマー層を形成した後にサンドブラスト・グラインダーなどで表面を研磨して、添加している充填材を直接表面に露出させる程度に研磨した後の最終的な特殊プライマー層の厚さである。
ここで用いる溶射方法としては、電気式溶射方法、アーク式溶射方法、プラズマ式溶射方法、ガス式溶射方法、溶線式フレーム溶射方法、粉末式フレーム溶射方法、高速フレーム溶射方法(HVOF溶射方法)、およびこれらの組み合わせから選ばれた任意の方法を用いることが出来るが、本発明の場合、特にプラズマ溶射方法が高密度であることから好ましい。
なお、本発明で用いた各特性の測定方法は、以下の方法により測定・評価した。
1.基板層との密着性
接着力測定は、図1に示したように、溶射面に直径10mmφの円形部分をホルソー治具で形成して、該円形部分に、円柱状の引き剥がし治具を強力接着材で接着して、溶射面と垂直方向に引っ張り、密着層を引き剥がすように速度1mm/分で引張った時の最大張力を表した。単位はkg/cmである。
2.中心線平均表面粗さRa
JIS B0601に従い、(株)小坂研究所の表面粗さ計ET−10を用いて、測定長2mm、カットオフ0.1mm、25℃、60RH%で測定した。
以下、実施例・比較例によって本発明を詳細に説明するが、これに限定されるのもではない。
実施例1
基板材料としては、炭素繊維強化樹脂CFRPからなるフィルムなどの製造工程や巻き取り時に使用する直径12インチのロール、コア材を用いた。該基板材料CFRPの表面を有機溶剤であるベンゼン、アセトン、メチルエチルケトンMEK、アルコールなどで充分に脱脂したのち、溶剤を乾燥・除去させた。これに表面粗面化の下地処理として、#100のカーボランダム粒子をノズル口径3mmで、圧搾空気3kg/cmで基板層に吹きつけた後に、エアーブローなどで清掃クリーン化した。かくして得られた基板層の表面粗さRaは、17μm程度に表面粗面化させた。
充填材としては、昭和電工(株)製の平均粒径35μmのアルミニウム粉末「グレード−90+45μm」を用いた。バインダーとしては、株式会社スリーボンド社製のエポキシ樹脂系接着材「グレード2022」を用いた。溶剤としては、エポキシ系溶剤として市販されている関西ペイント(株)社製の「グレード297−40」を用いた。
バインダー30重量%、充填材70重量%に混合したプライマー材料の総重量と同じ重量だけのエポキシ樹脂系溶剤に混合・撹拌して本発明で用いるプライマーとした。これを公知のエアースプレーガン(ノズル口径1.2mmφ)にて圧搾空気圧2kg/cm、ノズルと基板との距離20cmで、一回の塗布厚さとして10〜20μmとして、2回重ね塗りを行い、常温で30分放置後、110℃で60分加熱硬化させて、基板表面にプライマー層20〜40μm厚さで膜を形成させた。この表面をサンドブラスト・グラインダーなどで研磨して充填材のアルミニウムが表層に出るように研磨した。
この様にプライマー層を形成させた基板層に、プラズマ溶射機(スルザ・メテコ社製)を用いて、アルミニウムを厚さ300μm以上、400μm以下になる様に溶射した。
溶射は非常に均一に行われており、また密着力1.5kg/cmと充分な密着力を有していたので、基材の劣化変質などは長時間使用しても認められなかった。この様な本発明のロール材料はかるくて、耐久性があり、従来のアルミニウムロールより遙かに優れた特性を示していた。
比較例1
実施例1で用いたプライマー層を形成させることなく、基板表面に直接実施例1のようにアルミニウムを溶射したところ、密着力が0.2kg/cm程度と小さくて、ばらついたものしか得られず、実用上密着性の無いものであり、さらに表面にクラック多数形成されており、実用化出来ないものであった。
実施例2
実施例1で用いたCFRP基板材料の代わりに、ガラス繊維強化樹脂GFRPを用いる以外は、後は実施例1と全く同様にしてプライマー層の形成、アルミニウムの溶射を行ったところ、密着力1.4kg/cmと強い密着力のロールが得られた。
実施例3
実施例1で用いた基板材料CFRP表面に、実施例1で用いたバインダーを溶かした溶剤(実施例1と同じ)を塗布して、樹脂の硬化前の表面状態に、充填材を均一に吹き付け・着床させた後に、熱硬化反応を行って、プライマー層として20〜40μmの厚さで形成させた。これに、実施例1と同様にアルミニウム溶射をして外観品質をチェックしたが、密着力も1.2kg/cmもあり、全く実用上問題のない特性を示していた。
実施例4
実施例1で基板表面に粗面化処理をすることなく、そのままの基板を用いる以外は実施例1と全く同様にして基板層にプライマー層、アルミニウム溶射層を形成させた。密着力は0.8kg/cmと実用上全く問題のない強い密着力を有していた。外観もクラックなどの発生が無く、実用上の問題は無かった。
比較例2
実施例1で特殊プライマー層に溶射する素材としてアルミニウムの変わりに、炭化タンズスデンWCを溶射したところ、密着力は0.4kg/cm程度と小さくて、ばらついたものしか得られず、さらに表面にクラック多数形成されており、実用化出来ないものであった。
この様に、特殊プライマー層に用いた充填材の素材と全く異なる素材を溶射しても強い密着力が得られず、実用化には供しないことが判る。
公知の溶射技術では密着力が不足して実用化出来なかったようなプラスチック、炭素繊維補強プラスチックCFRP、セラミックス、コンクリート、陶磁器、繊維製品、木材のみならず、銅を主体とした金属などの基板素地の上に、強力な密着力を有した溶射膜が得られるために、基板材料の酸化防止、腐食防止、防錆効果、耐摩耗性、電気絶縁性などの優れた特性が得られるため、ロール材質、金型材質、成形材質、工具など各種工業的な利用が可能になる。
本発明の基板材料3、特殊なバインダー層2、および溶射層1からなる模式的な断面図 本発明で用いた密着力測定の概略図であり、溶射面の直径10mmφ相当の円形部分に、引き剥がし治具に接着材で接着して、溶射面の密着力を引き剥がすように引張る時の装置の上面図と断面図とを示した。
符号の説明
1.溶射層
2.溶射用特殊なプライマー層
3.基板材料
4.直径10mm
5.直径13mm
6.引張り用試験治具
7.接着剤層

Claims (21)

  1. 基板層と溶射層との間に、溶射用の特殊プライマー層を介在させたことを特徴とする基板と溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  2. 基板層と溶射膜との密着力が0.6kg/cm以上であることを特徴とする基板と溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  3. 基板層の上に、溶射用の特殊プライマー層を設けた上に溶射することを特徴とする基板への溶射膜の密着性向上方法。
  4. 特殊プライマー層の厚さが、20〜40μmであることを特徴とする請求項1および2の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  5. 溶射用の特殊プライマー層が、少なくとも溶射素材と本質的に同一の充填剤と、バインダーとからなることを特徴とする請求項1および2の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  6. 特殊プライマー層が、バインダー層、および溶射素材と本質的に同一の充填材層からなる各層を積層した2層あるいは3層以上の積層構造体からなることを特徴とする請求項1、2、4,および5の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  7. 特殊プライマー層が、溶射素材と本質的に同一の充填材と、バインダーとの混合体層であることを特徴とする請求項1、2、4,および5の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  8. 請求項7の混合体のバインダーと充填材との混合比率が、重量比率で有機バインダー/充填剤=50〜20/50〜80の範囲であることを特徴とする請求項1、2,および7の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  9. バインダーが、少なくとも天然樹脂接着剤、合成樹脂接着剤、およびそれらの混合体から選ばれた1種以上である有機バインダーであることを特徴とする請求項1、2,5,6,7、および8の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  10. 天然樹脂接着剤が、少なくともカゼイン系接着剤、セルロース系接着剤、ゴム系接着剤、ロジン系接着剤、およびそれらの混合体から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1、2、および9の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  11. 合成樹脂接着剤が、少なくとも酢酸ビニル樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール樹脂系接着剤、ビニルアセタール樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂系接着剤、塩化ビニリデン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、メタクリ酸樹脂系接着剤、スチレン樹脂系接着剤、ポリエチレン樹脂系接着剤、ポリイソブチレン樹脂系接着剤、クマロン・インデン樹脂系接着剤、ポリアミド樹脂系接着剤、ポリアミドイミド樹脂系接着剤、ポリイミド樹脂系接着剤、尿素樹脂系接着剤、メラミン樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、シリコン樹脂接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、およびこれらの混合体から選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1,2,および9の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  12. 充填材の平均粒径の大きさが18〜25μmであること特徴とする請求項1、2,5,6,7,および8の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  13. 基板層が、セラミック素材、特殊金属素材、金属複合体素材、非金属素材から選ばれたことを特徴とする請求項1および2の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  14. セラミック素材が、アルミナAl、チタニアTiO、クロミアCrO、グレイアルミナAl−TiO、アルミナジルコニアAl−ZnO、ジルコニアイットリアZnO−Y、ニッケルオキサイドNiO、Ni、二酸化マンガンMnO、マグネタイトFeO−Fe,フェライトMo−Fe、5酸化タンタルTa、イットリアY、およびそれらの混合体から選ばれたことを特徴とする請求項1、2および13の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  15. 特殊金属材料が、銅Cu、ニッケルNi、クロムCr、モリブデンMo、コバルトCo,アルミニウムAl、タングステンW,亜鉛Zn,チタンTi、およびそれらの混合体から選ばれたことを特徴とする請求項1、2および13の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  16. 金属複合体素材が、タングステンカーバイド・コバルト複合体WC−Co、タングステンカーバイド・ニクロム複合体WC−Ni−Cr、クロームカーバイド・ニクロム複合体Cr−NiCr、ジルコニア複合体ZnO−Y−NiCr、ニッケルグラファイト複合物Ni−C、ステンレススチールFe−Cr−Ni、およびそれらの混合体から選ばれたことを特徴とする請求項1、2および13の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  17. 非金属素材が、木材、紙、熱可塑性プラスチック、熱硬化性樹脂、炭素繊維含有強化樹脂CFRP、ガラス繊維含有強化樹脂GFRP、炭素C化合物、ガラス、陶磁器、コンクリート、およびそれらの混合体から選ばれたことを特徴とする請求項1、2および13の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  18. 溶射する材料が、鉄Fe、銅Cu、アルミニウムAl、亜鉛Zn、ニッケルNi、クロムCr、チタンTi、モリブデンMo、金Au、白金Pt、およびそれら材料を主とした合金素材、およびそれらの混合体から選ばれたことを特徴とする請求項1および2の溶射膜との密着力の向上した溶射基板。
  19. 基板層の上に、溶射用の特殊プライマー層を設けた後に、該プライマー層を硬化させることを特徴とする請求項3の溶射膜との密着力の向上方法。
  20. 請求項19の硬化方法が、熱、UVなどの高エネルギー線、放射線、γ線、赤外線などから選ばれたことを特徴とする請求項19の溶射膜との密着性向上方法。
  21. 溶射方法が、電気式溶射方法、アーク式溶射方法、プラズマ式溶射方法、ガス式溶射方法、溶線式フレーム溶射方法、粉末式フレーム溶射方法、高速フレーム溶射方法(HVOF溶射方法)、およびこれらの組み合わせから選ばれたことを特徴とする請求項3の基板への溶射膜の密着性向上方法。
JP2005272696A 2005-08-24 2005-08-24 密着力の向上した溶射基板、およびその製造方法。 Pending JP2007056357A (ja)

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