JP2013197406A - 磁気抵抗素子および磁気メモリ - Google Patents

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Abstract

【課題】低飽和磁化かつ高垂直磁気異方性を有する磁気抵抗素子およびそれを用いた磁気メモリを提供する。
【解決手段】本実施形態の磁気抵抗素子は、第1磁性層と、前記第1磁性層上に設けられた第1非磁性層と、前記第1非磁性層上に設けられた第2磁性層と、を備え、前記第1磁性層および前記第2磁性層の少なくとも一方は、三元系MnAlGe(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)である磁性膜を含む。
【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、磁気抵抗素子および磁気メモリに関する。
磁気抵抗素子(magnetoresistive element)としてのMTJ(Magnetic Tunnel Junction)素子は、磁化方向が可変な記憶層と、磁化方向が不変の参照層と、記憶層と参照層との間に設けられた絶縁層とを有する積層構造を基本構造としている。このMTJ素子は、トンネル磁気抵抗(TMR: Tunneling Magnetoresistive)効果を示すことが知られており、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM: Magnetic Random Access Memory)におけるメモリセルの記憶素子として用いられる。
MRAMは、MTJ素子に含まれる磁性層の磁化の相対角度の変化により情報(“1”、“0”)を記憶し、不揮発性である。また、磁化反転速度は数ナノ秒であることから、データの高速書き込み、高速読み出しが可能である。したがって、MRAMは、次世代の高速不揮発性メモリとして期待されている。また、スピン分極電流により磁化を制御するスピン注入磁化反転と呼ばれる方式を利用すれば、MRAMのセルサイズを低減することで電流密度が増える。このため、容易に記憶層の磁化反転を実現でき、高密度、低消費電力のMRAMを構成することが可能である。
不揮発メモリの高密度化を考えた場合、磁気抵抗素子の高集積化は欠かせない。しかし、磁気抵抗素子を構成する強磁性体は、素子サイズの低減化に伴い熱擾乱耐性が劣化する。このため、強磁性体の磁気異方性および熱擾乱耐性を向上させることが課題となる。
この問題を解決するために近年、強磁性体の磁化が膜面に垂直な方向を向く垂直磁化MTJ素子を利用したMRAMの構築が試みられている。垂直磁化MTJ素子では、強磁性体として、一般的に結晶磁気異方性の大きな材料が用いられる。
一般的に、スピン注入磁化反転方式によって磁化を反転させるための反転電流は、記憶層の飽和磁化および磁気緩和定数に依存する。このため、低電流のスピン注入によって記憶層の磁化を反転させるには、記憶層の飽和磁化および磁気緩和定数を小さくすることが必要である。また、参照層から発せられる漏れ磁場の影響は、素子の微細化に伴い、より顕在化される。このため、磁気抵抗素子の高集積化には参照層の飽和磁化を小さくすることも必要になる。
特開2010−232499号公報 特開2011−199064号公報 特開2006−080287号公報 特開2007−299992号公報
本実施形態は、低飽和磁化かつ高垂直磁気異方性を有する磁気抵抗素子およびそれを用いた磁気メモリを提供する。
本実施形態の磁気抵抗素子は、第1磁性層と、前記第1磁性層上に設けられた第1非磁性層と、前記第1非磁性層上に設けられた第2磁性層と、を備え、前記第1磁性層および前記第2磁性層の少なくとも一方は、三元系MnAlGe(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)である磁性膜を含むことを特徴とする。
第1実施形態による磁気抵抗素子を示す断面図。 第2実施形態による磁気抵抗素子を示す断面図。 第3実施形態による磁気抵抗素子を示す断面図。 第4実施形態による磁気抵抗素子を示す断面図。 第4実施形態の一変形例による磁気抵抗素子を示す断面図。 図6(a)、6(b)は、単結晶構造の磁性膜を有するMTJ素子の製造方法を説明する図。 図7(a)乃至図7(c)は、単結晶構造の磁性膜を有するMTJ素子の製造方法を説明する図。 図8(a)、8(b)はMnAlGeのX線回折の一例を示す図。 MnAlGeの磁化曲線の一例を示す図。 MnAlGeの飽和磁化と保磁力の組成依存性の一例を示す図。 第5実施形態による磁気メモリのメモリセルを示す断面図。 第5実施形態の磁気メモリの主要部の回路図。 MnAlGeの三元系相図と飽和磁化Msを対応させたグラフ。 MnAlGeの三元系相図と垂直磁気異方性Kuを対応させたグラフ。 図15(a)、15(b)はそれぞれ、MgO(001)上に作製したMnAlGeの磁化曲線とX線回折結果の一例を示す図。 図16(a)、16(b)はそれぞれ、MgO(001)上に作製したMnAlGeの磁化曲線とX線回折結果の一例を示す図。
以下、実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同一の機能および構成を有する要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
(第1実施形態)
第1実施形態による磁気抵抗素子を図1に示す。図1は第1実施形態の磁気抵抗素子1の断面図である。この実施形態の磁気抵抗素子1はMTJ素子であって、下地層100上に、強磁性層2、非磁性層4(以下、トンネルバリア層4ともいう)、および強磁性層8がこの順序で積層された構造を有している。下地層100は、強磁性層2および強磁性層2より上の層の結晶配向性、結晶粒径などの結晶性を制御するために用いられるが、詳細な性質については後述する。強磁性層2および強磁性層8の少なくとも一方は、三元系MnAlGe(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)である磁性膜を含む。MTJ素子の抵抗値はトンネルバリアを介して配される二つの磁性層の磁化方向の角度により決まる。外部磁場あるいは素子に流す電流により磁化方向の角度を制御することができる。その際、二つの磁性層の保磁力の大きさに差をつけることにより、より安定的に磁化方向の角度を制御することが可能となる。ここでは保磁力の大きい磁性層を参照層、保磁力の小さな磁性層を記憶層と呼ぶ。したがって、一般的には参照層に用いる場合にはより大きな保磁力、記憶層に用いる場合にはより小さな保磁力を持つことが望まれる。MnAlGe(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)である磁性膜は、組成変調をすることで飽和磁化と保磁力の制御が可能であるために、強磁性層2および強磁性層8に適用可能である。
強磁性層に用いられるMnAlGe合金は、c軸が磁化容易軸となる。そのため、結晶化させる際にc軸が膜面に垂直方向を向くように配向制御することにより、垂直磁化MTJ素子を作製することが可能となる。
この第1実施形態においては、非磁性層4として、酸化物絶縁体を用いることが好ましい。MTJ素子が、例えば、MnAlGeからなる強磁性層、結晶質MgOからなる非磁性層、MnAlGeからなる強磁性層がこの順序で積層された積層構造を有している場合に、MnAlGe(001)/MgO(001)/MnAlGe(001)のエピタキシャル関係を作ることができる。ここでMnAlGe(001)、MgO(001)とはそれぞれの上面に(001)面が露出するように結晶配向しているという意味である。これにより、トンネル電子の波数選択性を向上させることができ、大きな磁気抵抗比を得ることが可能となる。
強磁性層2および強磁性層8は、結晶配向の向きを制御することで、それらの容易磁化方向を膜面に対して垂直にすることが可能である。すなわち、本実施形態の磁気抵抗素子1は、面内磁化MTJ素子のみならず、強磁性層2および強磁性層8の磁化方向がそれぞれ膜面に対して垂直方向を向く、いわゆる垂直磁化MTJ素子になり得る。なお、本明細書では、膜面とは強磁性層の上面を意味する。また、容易磁化方向とは、あるマクロなサイズの強磁性体を想定して、外部磁界のない状態で自発磁化がその方向を向くと最も内部エネルギーが低くなる方向である。これに対して困難磁化方向とは、あるマクロなサイズの強磁性体を想定して、外部磁界がない状態で自発磁化がその方向を向くと最も内部エネルギーが大きくなる方向である。
そして、強磁性層2および強磁性層8のうちの一方の強磁性層は書き込み電流をMTJ素子1に流したときに、書き込みの前後で磁化の方向が不変であり、他方の強磁性層は可変である。不変である強磁性層を参照層とも称し、可変である強磁性層を記憶層と称す。本実施形態においては、例えば、強磁性層2を記憶層、強磁性層8を参照層とする。なお、書き込み電流は、強磁性層2と強磁性層8との間に膜面に垂直方向に流す。強磁性層2が記憶層、強磁性層8が参照層であってかつ強磁性層2の磁化の方向と強磁性層8の磁化の方向が反平行(逆の方向)な場合には、強磁性層2から強磁性層8に向かって書き込み電流を流す。この場合、電子は強磁性層8から非磁性層4を通って強磁性層2に流れる。そして、強磁性層8を通ることによりスピン偏極された電子は強磁性層2に流れる。強磁性層2の磁化と同じ方向のスピンを有するスピン偏極された電子は強磁性層2を通過するが、強磁性層2の磁化と逆方向のスピンを有するスピン偏極された電子は、強磁性層2の磁化にスピントルクを作用し、強磁性層2の磁化の方向が強磁性層8の磁化と同じ方向を向くように働く。これにより、強磁性層2の磁化の方向が反転し、強磁性層8の磁化の方向と平行(同じ方向)になる。
これに対して、強磁性層2の磁化の方向と強磁性層8の磁化の方向が平行な場合には、強磁性層8から強磁性層2に向かって書き込み電流を流す。この場合、電子は強磁性層2から非磁性層4を通って強磁性層8に流れる。そして、強磁性層2を通ることによりスピン偏極された電子は強磁性層8に流れる。強磁性層8の磁化と同じ方向のスピンを有するスピン偏極された電子は強磁性層8を通過するが、強磁性層8の磁化と逆向きのスピンを有するスピン偏極された電子は、非磁性層4と強磁性層8との界面で反射され、非磁性層4を通って強磁性層2に流れ込む。これにより、強磁性層2の磁化にスピントルクを作用し、強磁性層2の磁化の方向が強磁性層8の磁化と反対方向に向くように働く。これにより、強磁性層2の磁化の方向が反転し、強磁性層8の磁化の方向と反平行になる。
なお、第1実施形態では、下地層100上に、強磁性層2、非磁性層4、および強磁性層8がこの順序で積層された構造を有しているが、下地層100上に、逆の順序で積層されていてもよい。すなわち、下地層100上に、強磁性層8、非磁性層4、および強磁性層2がこの順序で積層された構造であってもよい。
(第2実施形態)
図2に、第2実施形態による磁気抵抗素子1Aを示す。この磁気抵抗素子1Aは、図1に示す第1実施形態の磁気抵抗素子1において、非磁性層4と強磁性層8との間に界面磁性層6を設けた構成になっている。このうち、強磁性層2および界面磁性層6のうち少なくとも一方は、三元系MnAlGe(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)である磁性膜を含む。
第1実施形態と同様に、強磁性層の結晶配向性を制御することで、強磁性層2および強磁性層8はそれぞれ、膜面に垂直な方向の磁気異方性を有し、それらの容易磁化方向は膜面に対して垂直とすることが可能である。すなわち、本実施形態の磁気抵抗素子1Aは、面内磁化MTJ素子のみならず、強磁性層2および強磁性層8の磁化方向がそれぞれ膜面に対して垂直方向を向く、いわゆる垂直磁化MTJ素子となり得る。そして、強磁性層2および強磁性層8のうちの一方の強磁性層は書き込み電流をMTJ素子1Aに流したときに、書き込みの前後で磁化の方向が不変であり、他方の強磁性層は可変である。本実施形態において、例えば、強磁性層2を記憶層、強磁性層8を参照層とする。なお、書き込み電流は、第1実施形態と同様に、強磁性層2と強磁性層8との間に膜面に垂直方向に流す。なお、界面磁性層6は、スピン分極率を増大させるために設けられている。
この第2実施形態において、例えば、結晶質MgOからなる非磁性層4上にMnAlGeからなる界面磁性層6を作製した場合、界面磁性層6上へMn、Al、Ge、Gaから選択される2つ以上の元素からなる強磁性層8のエピタキシャル積層成長が可能となる。例えば、MnとGaを含む合金を強磁性層8として選択する場合、MnGa(001)/MnAlGe(001)/MgO(001)のエピタキシャル積層関係を作ることができる。これにより、トンネル電子の波数選択性を向上させることができ、大きな磁気抵抗比を得ると同時に、低飽和磁化の参照層を得ることが可能となる。
また、第2実施形態では、下地層100上に、強磁性層2、非磁性層4、界面磁性層6、および強磁性層8がこの順序で積層された構造を有しているが、下地層100上に、逆の順序で積層されていてもよい。すなわち、下地層100上に、強磁性層8、界面磁性層6、非磁性層4、および強磁性層2がこの順序で積層された構造であってもよい。
(第3実施形態)
図3に、第3実施形態による磁気抵抗素子1Bを示す。この磁気抵抗素子1Bは、図1に示す第1実施形態の磁気抵抗素子1において、強磁性層2と非磁性層4との間に界面磁性層3を挿入するとともに、非磁性層4と強磁性層8との間に界面磁性層6を挿入した構成となっている。このうち、界面磁性層3および界面磁性層6のうち少なくとも一方は、三元系MnAlGe(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)である磁性膜を含む。界面磁性層3および界面磁性層6の詳細な性質については後述する。
この第3実施形態の磁気抵抗素子1Bも、第1、2実施形態と同様に、面内磁化MTJ素子のみならず垂直磁化MTJ素子になり得る。また同様に、界面磁性層3および界面磁性層6は、スピン分極率を増大させるために設けられている。
なお、第3実施形態では、下地層100上に、強磁性層2、界面磁性層3、非磁性層4、界面磁性層6、および強磁性層8がこの順序で積層された構造を有しているが、下地層100上に、逆の順序で積層されていてもよい。すなわち、下地層100上に、強磁性層8、界面磁性層6、非磁性層4、界面磁性層3、および強磁性層2がこの順序で積層された構造であってもよい。
(第4実施形態)
図4に、第4実施形態による磁気抵抗素子1Cを示す。この磁気抵抗素子1Cは、図3に示す第3実施形態の磁気抵抗素子3において、強磁性層8上に非磁性層10、強磁性層11を積層した構成となっている。なお、本実施形態においては、界面磁性層6と強磁性層8が参照層となっている。強磁性層11はバイアス層とも呼ばれ、強磁性層8とは、磁化の向きが反平行(逆向き)の磁化を有している。強磁性層11は、非磁性層10を介して強磁性層8と反強磁性結合(Synthetic Anti-Ferromagnetic結合)していてもよい。これにより、界面磁性層6と強磁性層8より成る参照層からの漏れ磁場による界面磁性層3と強磁性層2より成る記憶層の反転電流のシフトを緩和および調整することが可能となる。非磁性層10は、強磁性層8と強磁性層11とが熱工程によって混ざらない耐熱性、および強磁性層11を形成する際の結晶配向を制御する機能を具備することが望ましい。
さらに、非磁性層10の膜厚が厚くなると強磁性層11と記憶層(本実施形態では強磁性層2)との距離が離れるため、強磁性層11から記憶層に印加されるシフト調整磁界が小さくなってしまう。このため、非磁性層10の膜厚は、5nm以下であることが望ましい。強磁性層11は、膜面に垂直方向に磁化容易軸を有する強磁性材料から構成される。強磁性層11は、参照層に比べて記憶層から離れているため、記憶層に印加される漏れ磁場を強磁性層11によって調整するためには、強磁性層11の膜厚、あるいは飽和磁化Msの大きさを参照層のそれらより大きく設定する必要がある。すなわち、本発明者達の研究結果によれば、参照層の膜厚、飽和磁化をそれぞれt、Ms、強磁性層11の膜厚、飽和磁化をそれぞれt、Ms、とすると、以下の関係式を満たす必要がある。
Ms×t<Ms×t
なお、第4実施形態で説明した強磁性層11は、第1乃至第2実施形態の磁気抵抗素子にも適用することができる。この場合、参照層となる強磁性層上に非磁性層10を間に挟んで積層される。
なお、第4実施形態では、下地層100上に、強磁性層2、界面磁性層3、非磁性層4、界面磁性層6、強磁性層8、非磁性層10、および強磁性層11がこの順序で積層された上バイアス構造を有しているが、強磁性層11は下地層100下に積層されていてもよい。すなわち、図5に示すように、強磁性層11上に、下地層100、強磁性層2、界面磁性層3、非磁性層4、界面磁性層6、および強磁性層8がこの順序で積層された下バイアス構造であってもよい。また、積層順序は逆であってもよい。すなわち、下地層100、強磁性層11、非磁性層10,強磁性層2、界面磁性層3、非磁性層4、界面磁性層6、および強磁性層8の順序で積層されていてもよい。
(単結晶構造の磁性膜を有するMTJ素子)
次に、単結晶構造の磁性膜を有するMTJ素子(以下、単結晶MTJ素子ともいう)の製造方法について説明する。第1乃至第4実施形態のいずれかの磁気抵抗素子(MTJ素子)は、強磁性層2および強磁性層8のうちの少なくとも一方が単結晶構造を備えていることが好ましい。これは、膜面内方向の結晶配向が一方向にそろった単結晶構造の磁性膜を形成することにより、膜面内の磁気結合が強くなることで磁気特性のばらつきを大幅に抑制できる。また、結晶粒界の形成が抑制されるので原子レベルで平坦であり且つ結晶性の良い磁性膜や絶縁層を形成できるので従来のMTJ素子に比べより大きな磁気抵抗比(MR比)が得られることも期待できる。したがって数十Gbitの大容量MRAMの実現のためには単結晶MTJ素子の製造が必要となる。
しかし、回路上の配線は一般に多結晶或いはアモルファス構造を有するためにこの上に単結晶膜を成長させることはできない。したがって、トランジスタが組み込まれた基板上に単結晶MTJを成長させることは難しい。
しかし、単結晶構造のMTJ素子とトランジスタが形成された基板をそれぞれ準備し、上単結晶基板上に形成したMTJ素子とトランジスタ等を作製した基板を貼り合わせた後、不要な単結晶基板を除去することにより単結晶MTJ素子を具備するMRAMを構築することができる。これを図6(a)乃至図7(c)を参照して説明する。
具体的には、まず上記第1から第4の実施形態のMTJ素子を適切な成膜条件の下でSi単結晶基板上に形成する。例えば、図6(a)に示すように、Si単結晶基板200上に、下地層100、強磁性層2、非磁性層4、および強磁性層8を、スパッタ法またはMBE(Molecular Beam Epitaxy)法を用いてこの順序で形成し、第1実施形態のMTJ素子1を得る。このとき、Si単結晶基板200の結晶性が下地層100、強磁性層2、非磁性層4、および強磁性層8に伝わり、形成されたMTJ素子1は単結晶MTJ素子1となる。その後、強磁性層8上に金属接着層20aを形成する(図6(a))。同様に、トランジスタ回路および配線が形成された基板220を用意し、この基板220上に金属接着層20bを形成する(図6(a))。金属接着層20a、20bとしてはAl、Au、Cu、Ti、Taなどの金属層が挙げられる。
次に、単結晶MTJ素子1が形成された基板200と、トランジスタ回路が形成された基板220とを、金属接着層20a、20bが対向するように配置する。例えば図6(a)に示すように、金属接着層20a、20bが対向するように配置する。その後、図6(b)に示すように、金属接着層20a、20bを接触させる。このとき、加重を加えることで金属接着層20a、20bを貼り合わせることができる。接着力を上げるために加重を加える際に加熱しても良い。
次に、図7(a)に示すように、単結晶MTJ素子1が形成された単結晶基板200を除去する。この除去は、まず、例えばバックサイドグランイン(BSG)法を用いて、薄くする。その後、図7(b)に示すように、薄くした単結晶基板200をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などにより機械的に研磨し、除去する。これにより、MTJ素子1を完成する(図7(c))。
このように、単結晶基板200上に形成された上記第1乃至第4実施形態のいずれかの単結晶MTJ素子と、トランジスタ回路が形成された基板220をそれぞれ準備し、単結晶MTJ素子1上にトランジスタ等を作製した基板を貼り合わせ、その後、不要な単結晶基板200を除去する一連の製造方法を用いることにより、上記第1乃至第4実施形態の単結晶MTJ素子を作成することができる。
次に、第1乃至第4実施形態によるMTJ素子1、1A、1B、1Cに含まれる各層の具体的な構成を、強磁性層2、下地層100、非磁性層4、強磁性層8、界面磁性層3、界面磁性層6の順に説明する。
(強磁性層2)
強磁性層2は垂直磁化膜であり、かつ高い熱擾乱耐性と低電流での磁化反転とを両立するためには、飽和磁化Msが小さく、熱擾乱指数Δを維持するに足る高い磁気異方性Kuを持ち、また、高分極率を示す材料であることが好ましい。このような要請を満たす材料としてMn、Al、およびGeを含むMnAlGe合金磁性材料が考えられる。以下により具体的に説明する。
強磁性層2の具体例は、MnAlGe合金から構成される。三元系MnAlGeはMnの組成xが10atm%≦x≦44atm%、Alの組成yが10atm%≦y≦65atm%、Geの組成zが10atm%≦z≦80atm%の範囲において、垂直磁化膜としての特性を発現する。
図13および図14に、MgO(001)上に作製したMnAlGeの三元系相図と飽和磁化Msおよび垂直磁気異方性Kuを対応させたグラフを示す。図13より、MnAlGeは上記組成範囲において300emu/cc以下の低飽和磁化を有し、構成元素の組成比、結晶性を変化させることで、飽和磁化の大きさを制御することができる。
参照層から発せられる漏れ磁場の影響は、MTJ素子の微細化に伴い、より顕在化される。その解決法としてバイアス層の導入が効果的である。バイアス層の詳細は後述する。MTJ素子の形状が円柱(ピラー状)であると仮定した、計算による事前検討によると、参照層の膜厚を6nmに想定した場合、MTJ素子の加工微細化の可能範囲(直径サイズ)は、参照層の飽和磁化Msが1000emu/ccで38nm程度、Msが750emu/ccで28nm程度、Msが500emu/ccで20nm程度となる。
これらのことから、直径サイズが15nm以下の更なるMTJ素子の高集積化には200emu/cc以下の低Ms材料を参照層に用いることが望ましい。この解決方法として、三元系MnAlGeを参照層に用いることが挙げられる。図13より、図の黒い丸で記述される組成領域(28atm%≦x≦34atm%、26atm%≦y≦42atm%、25atm%≦z≦45atm%、x+y+z=100atm%)では、飽和磁化Msが200emu/cc〜300emu/ccであるため、この組成領域以外の垂直磁化する組成領域(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)を低Ms参照層として用いることが、より好ましい。
また、磁気抵抗素子を構成する強磁性体は、素子サイズの低減化に伴い熱擾乱耐性が劣化する。この打開策として、垂直磁気異方性Kuを向上させることが挙げられる。図14より、図に示す黒い丸と黒い三角で記述される組成領域(10atm%≦x≦41atm%、10atm%≦y≦45atm%、25atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)では、10erg/cc以上の高いKuを示しており、熱擾乱耐性に優れた参照層および記憶層として用いることが可能となる。
以上の観点から、サイズが10nmクラスの次世代のMTJ素子に用いられる参照層として、より低Msが望ましい場合には、組成領域(28atm%≦x≦34atm%、26atm%≦y≦42atm%、25atm%≦z≦45atm%、x+y+z=100atm%)以外の垂直磁化する組成領域(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)が好ましく、より高Kuが望ましい場合には、組成領域(10atm%≦x≦41atm%、10atm%≦y≦45atm%、25atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)が好ましい。特に、施策として200emu/cc以下の低Msよりも4.0×10erg/cc以上の高Kuの方が優先される特性の場合、200〜300emu/ccの低Msと4.0×10erg/cc以上の高Kuを兼備した組成領域(28atm%≦x≦34atm%、26atm%≦y≦33atm%、39atm%≦z≦45atm%、x+y+z=100atm%)がより適している。
垂直磁気異方性を発現させるためには、c軸を膜面に垂直方向、すなわち(001)配向成長させる必要がある。具体的には下地層100を適切に選択することにより、強磁性層2の結晶配向成長を制御することが可能である。下地層100の詳細については後述する。
更に、結晶磁気異方性の大きなMnAlGe合金は、磁化が特定の結晶方向を向いており、構成元素の組成比、結晶性を変化させることで結晶磁気異方性の大きさを制御することができる(図14参照)。このため、結晶の成長方向を変化させることにより磁化の方向を制御することができる。また、強磁性体自身が高い結晶磁気異方性を有するので素子のアスペクト比を調整でき、さらに熱擾乱耐性が高いので集積化に適している。
一般に、磁気摩擦定数は材料のスピン軌道相互作用の大きさと相関があり、原子番号の大きな材料ではスピン軌道相互作用が大きく、磁気摩擦定数(ダンピングファクタ)も大きい。MnAlGeは軽元素で構成されている材料であるため磁気摩擦定数が小さいと予想される。したがって、磁化反転に必要なエネルギーが少なくて済むため、スピン偏極した電子によって磁化を反転させるための電流密度を大幅に低減できることから、強磁性層2により適している。
一例として、MgO(001)上に作製したMnAlGe(組成はそれぞれMnが34atm%、Alが26atm%、Geが40atm%)のX線回折結果を図8(a)、8(b)に示し、磁化曲線を図9に示す。ここで示した組成比はICP(誘導結合プラズマ発光)分析により見積もった値である。配向制御されたMgO上に加熱成膜を行うことにより、より高配向に(001)結晶配向したMnAlGeを作製可能であることを確認した(図8(a)、8(b)参照)。さらに、得られたMnAlGeは飽和磁化Msが300emu/ccと小さく、実効的な垂直磁気異方性Kuが5.3×10erg/ccと高く、記憶層として要請された特性を満たすことを確認した(図9参照)。図9のグラフgは、上記MnAlGeの膜面に平行な方向へ磁場を印加した場合の磁化曲線を示し、グラフgは、上記MnAlGeの膜面に垂直な方向へ磁場を印加した場合の磁化曲線を示す。
また、三元系MnAlGeはMnの組成xが10atm%≦x≦44atm%、Alの組成yが10atm%≦y≦65atm%、Geの組成zが10atm%≦z≦80atm%において、組成変調することで飽和磁化と保磁力の制御が可能であり、強磁性層2の要請を満たす材料として適していることを確認した。
一例として、Mn組成を28atm%に固定したときの飽和磁化Msと保磁力HcのGeとAlの組成依存性を、図10に示す。図10において、黒い四角は飽和磁化Msを示し、黒い丸は保磁力Hcを示す。MnAlGeはそれぞれの上記範囲内で組成を調整することで、高い垂直磁気異方性を維持したまま、飽和磁化と保磁力の制御が可能であることを確認した(図10参照)。
また、図15(a)、(b)にMgO(001)上に作製したMnAlGe(組成はそれぞれ、Mnが20atm%、Alが60atm%、Geが20atm%)の磁化曲線とX線回折結果をそれぞれ示す。図15(a)のグラフgは、上記MnAlGeの膜面に平行な方向へ磁場を印加した場合の磁化曲線を示し、グラフgは、上記MnAlGeの膜面に垂直な方向へ磁場を印加した場合の磁化曲線を示す。また、図16(a)、(b)にMgO(001)上に作製したMnAlGe(組成はそれぞれMnが10atm%、Alが10atm%、Geが80atm%)の磁化曲線とX線回折結果をそれぞれ示す。図16(a)のグラフgは上記MnAlGeの膜面に平行な方向へ磁場を印加した場合の磁化曲線を示し、グラフgは上記MnAlGeの膜面に垂直な方向へ磁場を印加した場合の磁化曲線を示す。
図15(a)乃至図16(b)から非磁性元素であるAlやGeが極端に過剰な組成領域においても、MnAlGeは非常に低い飽和磁化と高い垂直磁気異方性を兼備した垂直磁化膜としての特性を発現し、更に高配向に(001)結晶配向していることが分かる。このように、磁性層として要請される特性が、非常に低いMsと高いKuを兼備した特性の際には、非磁性元素であるAlやGeが過剰な組成領域のMnAlGe合金が好ましい。
また、Mn、Fe、Co、Niの群から選択される1つの元素と、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、As、Sb、Biの群から選択される2つの元素と、を含む合金でも良い。具体的には、MnAlGeの他にMnGaGe、MnZnSbなどが挙げられる。
(下地層100)
下地層100は、強磁性層2および強磁性層2より上の層の結晶配向性、結晶粒径などの結晶性を制御するために用いられる。そのため、下地層100の材料の選択が重要となる。以下に下地層100の材料および構成について説明する。なお、下地層としては、導電性および絶縁性のいずれでもよいが、下地層に通電する場合には導電性材料を用いることが好ましい。
まず、下地層100の第1の例として、(001)配向したNaCl構造を有し、かつTi、Zr、Nb、V、Hf、Ta、Mo、W、B、Al、Ceの群から選択される少なくとも1つの元素を含む窒化物の層が挙げられる。
下地層100の第2の例として、ABOからなる(002)配向したペロブスカイト系導電性酸化物の層が挙げられる。ここで、サイトAはSr、Ce、Dy、La、K、Ca、Na、Pb、Baの群から選択された少なくとも1つの元素を含み、サイトBはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Nb、Mo、Ru、Ir、Ta、Ce、Pbの群から選択された少なくとも1つの元素を含む。
下地層100の第3の例として、(001)配向したNaCl構造を有し、かつMg、Al、Ceの群から選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物の層が挙げられる。
下地層100の第4の例として、(001)配向した正方晶構造または立方晶構造を有し、かつAl、Cr、Fe、Co、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Au、Mo、Wの群から選択される少なくとも1つの元素を含む層が挙げられる。
下地層100の第5の例として、上記第1乃至第4の例のいずれかの層を組み合わせて2層以上積層した積層構造が挙げられる。このように、下地層の構成を工夫することにより強磁性層2および強磁性層2よりも上の層の結晶性を制御でき磁気特性の改善が可能となる。
(非磁性層4)
非磁性層4は、導電性および絶縁性のいずれでもよいが、絶縁材料から形成されたトンネルバリア層を用いることが好ましい。非磁性層4は、隣接する強磁性層または界面磁性層との適切な組み合わせにより、選択的なトンネル伝導と高い磁気抵抗比が実現できる。そのため、非磁性層4の材料の選択が重要となる。以下に非磁性層4の材料について説明する。
トンネルバリア層の材料としては、Mg、Ca、Ba、Al、Be、Sr、Zn、Ti、V、Nbの群から選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物が挙げられる。具体的には、MgO、AlO、ZnO、SrO、TiOなどが挙げられる。特に結晶構造として、NaCl構造を有する酸化物が好ましい。具体的にはMgO、CaO、SrO、TiO、VO、NbOなどが挙げられる。これらのNaCl構造を有する酸化物は、Fe、Co、Niのいずれか、あるいはその2種以上を主成分として含む合金上、あるいは体心立方構造で(001)優先配向する金属のいずれか、あるいはその2種以上を主成分として含む合金上、あるいはMnAlGe合金の(001)面上で結晶成長させると、(001)面を優先配向面として成長しやすい。特に、B、C、N、Ti、Ta、P、Mo、Si、W、Nbなどを微量に添加してアモルファス性を促進させたCoFe−Xアモルファス合金上では、非常に容易に(001)面を優先配向させることが可能である。ここで、Xは、添加したB、C、N等の元素を示す。
トンネルバリア層は、上述の酸化物の群から選択される2つ以上の材料の混晶物あるいはこれらの積層構造であってもよい。混晶物の例としては、MgAlO、MgZnO、MgTiO、MgCaOなどである。二層積層構造の例としては、MgO/ZnO、MgO/AlO、TiO/AlO、MgAlO/MgOなどが挙げられる。三層積層構造の例としては、AlO/MgO/AlO、ZnO/MgO/ZnO、MgAlO/MgO/MgAlOなどが挙げられる。
トンネルバリア層の第2の例として、ABOからなる(002)配向したペロブスカイト系酸化物が挙げられる。ここで、サイトAはSr、Ce、Dy、La、K、Ca、Na、Pb、Baの群から選択された少なくとも1つの元素を含み、サイトBはTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Nb、Mo、Ru、Ir、Ta、Ce、Pbの群から選択された少なくとも1つの元素を含む。具体的には、SrTiO、SrRuO、SrNbO、BaTiO、PbTiOなどが挙げられる。これらの酸化物は[100]面の格子定数が3.7Å〜4.0Å程度であり、MnAlGe合金の[100]面の格子定数3.9Å程度との格子整合が良いことから、良質な界面を形成し、大きな磁気抵抗比を得るという観点で適している。
トンネルバリア層の第3の例として、スピネル系酸化物MgAlOが挙げられる。スピネル構造を有するMgAlは格子定数が4.05Å程度であり、MnAlGe合金の[100]面の格子定数3.9Å程度との格子ミスマッチが3.3%と小さい。そのため、良質な界面を形成し、大きな磁気抵抗比を得るという観点で適している。
トンネルバリア層は、結晶質およびアモルファスのいずれであっても構わない。しかし、トンネルバリア層が結晶化している場合、トンネルバリア中での電子の散乱が抑制されるため電子が強磁性層から波数を保存したまま選択的にトンネル伝導する確率が増え、磁気抵抗比を大きくすることができる。したがって、大きな磁気抵抗比を得るという観点においては結晶質トンネルバリアの方が望ましい。
例えば、MTJ素子として、MnAlGeからなる強磁性層、結晶質MgOからなる非磁性層、MnAlGeからなる強磁性層がこの順序で積層された積層構造であるとした場合に、MnAlGe(001)/MgO(001)/MnAlGe(001)のエピタキシャル関係を作製することができる。これにより、トンネル電子の波数選択性を向上させることができ、大きな磁気抵抗比を得ることが可能となる。しかし、MnAlGeとMgOの膜面内方向におけるバルクの格子定数から格子ミスマッチを求めると約7.7%と大きい。格子ミスマッチは以下の式で定義される。
(a(MgO)−a(MnAlGe))/a(MnAlGe)×100
ここでa(MgO)、a(MnAlGe)はそれぞれ膜面内方向のMgOおよびMnAlGeの格子定数である。格子ミスマッチが大きいと、格子歪みによる界面エネルギーを低減させるために界面に転移などが生成される。その場合、結晶粒の間でエピタキシャル関係が成立し、膜面内にわたって均一にエピタキシャル成長させることは困難である。MTJ素子に電流を流すと転移が電子の散乱源になるために磁気抵抗比は低減されてしまう。したがって、転移を発生させず膜面内に均一にエピタキシャル成長させるためには、格子ミスマッチがより小さい材料で積層させることが重要である。そのため、格子ミスマッチの観点から非磁性層としては、ペロブスカイト系酸化物、スピネル系酸化物、NaCl構造酸化物の順に適している。
(強磁性層8)
強磁性層8は膜面に対して垂直方向に磁化容易軸を有し、かつ飽和磁化Msが小さく、熱擾乱指数Δを維持するに足る高い磁気異方性Kuを持ち、また、高保磁力と高分極率を示す材料であることが好ましい。このような要請を満たす材料としてMn、Al、およびGeを含むMnAlGe合金磁性材料が考えられる。以下により具体的に説明する。
強磁性層8の具体例は、MnAlGe合金から構成される。三元系MnAlGeはMnの組成xが10atm%≦x≦44atm%、Alの組成yが10atm%≦y≦65atm%、Geの組成zが10atm%≦z≦80atm%の範囲において、垂直磁化膜としての特性を発現する。垂直磁気異方性を発現させるためには、c軸を膜面に垂直方向、すなわち(001)配向成長させる必要がある。具体的にはトンネルバリア層や界面磁性層を適切に選択することにより、(001)配向成長させることが可能である。
なお、三元系MnAlGeはMnの組成xが10atm%≦x≦44atm%、Alの組成yが10atm%≦y≦65atm%、Geの組成zが10atm%≦z≦80atm%の範囲において、組成変調することで飽和磁化と保磁力の制御が可能であるために、低飽和磁化と高保磁力を兼備した強磁性層8の要請を満たす材料として適している。
また、強磁性層8として、Mn、Fe、Co、Niの群から選択される1つの磁性層とZn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、As、Sb、Biの群から選択される2つの元素からなる非磁性層とが組み合わさった合金でも良い。具体的には、MnAlGeの他にMnGaGe、MnZnSbなどが挙げられる。
また、強磁性層8に用いられる材料としては、例えば、面心立方構造(FCC)の(111)あるいは六方最密充填構造(HCP)の(001)面に結晶配向した金属、または人工格子を形成しうる金属が用いられる。FCCの(111)あるいはHCPの(001)に結晶配向した金属としては、Fe、Co、Ni、Cuの第1の群から選ばれる1つ以上の元素と、Pt、Pd、Rh、Auの第2の群から選ばれる1つ以上の元素とを含む合金が挙げられる。具体的には、CoPd、CoPt、NiCo、NiPtなどの強磁性合金が挙げられる。
また、強磁性層8に用いられる人工格子としては、Fe、Co、Niの群から選択された1つ以上の元素あるいはこの1つの元素を含む合金(強磁性膜)と、Cr、Pt、Pd、Ir、Rh、Ru、Os、Re、Au、Cuの群から選択された1つの元素あるいはこの1つの元素を含む合金(非磁性膜)と、が交互に積層された構造が挙げられる。例えば、Co/Pt人工格子、Co/Pd人工格子、CoCr/Pt人工格子、Co/Ru人工格子、Co/Os人工格子、Co/Au人工格子、Ni/Cu人工格子などが挙げられる。これらの人工格子は、強磁性膜への元素の添加、強磁性膜と非磁性膜の膜厚比を調整することで、磁気異方性エネルギー密度、飽和磁化を調整することができる。
また、強磁性層8に用いられる材料としては、遷移金属Fe、Co、Niの群と、希土類金属Tb、Dy、Gdの群からそれぞれ選択された少なくとも1つの元素を含む合金が挙げられる。例えば、TbFe、TbCo、TbFeCo、DyTbFeCo、GdTbCoなどが挙げられる。また、これらの合金を交互に積層させた多層構造であってもよい。具体的にはTbFe/Co、TbCo/Fe、TbFeCo/CoFe、DyFe/Co、DyCo/Fe、DyFeCo/CoFeなどの多層膜が挙げられる。これらの合金は、膜厚比や組成を調整することで磁気異方性エネルギー密度、飽和磁化を調整することができる。
また、強磁性層8に用いられる材料としては、Fe、Co、Ni、Cuの第1の群から選ばれる1つ以上の元素と、Pt、Pd、Rh、Auの第2の群から選ばれる1つ以上の元素とを含む合金が挙げられる。具体的には、FeRh、FePt、FePd、CoPtなどの強磁性合金が挙げられる。
(界面磁性層3および界面磁性層6)
界面磁性層3および界面磁性層6は垂直磁化膜であり、かつ高い熱擾乱耐性と低電流での磁化反転とを両立するためには、飽和磁化Msが小さく、熱擾乱指数Δを維持するに足る高い磁気異方性Kuを持ち、また、高分極率を示す材料であることが好ましい。このような要請を満たす材料としてMn、Al、およびGeを含むMnAlGe合金磁性材料が考えられる。以下により具体的に説明する。
界面磁性層3および界面磁性層6の具体例は、MnAlGe合金から構成される。三元系MnAlGeはMnの組成xが10atm%≦x≦44atm%、Alの組成yが10atm%≦y≦65atm%、Geの組成zが10atm%≦z≦80atm%の範囲において、垂直磁化膜としての特性を発現する。垂直磁気異方性を発現させるためには、c軸を膜面に垂直方向、すなわち(001)配向成長させる必要がある。具体的には下地層100を適切に選択することにより、強磁性層2および界面磁性層3の結晶配向成長を制御することが可能であり、非磁性層4を適切に選択することにより、界面磁性層6および強磁性層8の結晶配向成長を制御することが可能である。さらに、MnAlGe合金は軽元素で構成されている材料であるため磁気摩擦定数が小さいと予想される。したがって、磁化反転に必要なエネルギーが少なくて済むため、スピン偏極した電子によって磁化を反転させるための電流密度を大幅に低減できることから、界面磁性層3へ効果的に適用可能である。
なお、三元系MnAlGeはMnの組成xが10atm%≦x≦44atm%、Alの組成yが10atm%≦y≦65atm%、Geの組成zが10atm%≦z≦80atm%の範囲において、組成変調することで飽和磁化と保磁力の制御が可能である。具体的には、2つの界面磁性層に保磁力差を設けることで、これらを記憶層側界面磁性層および参照層側界面磁性層として用いることができる。
また、界面磁性層3および界面磁性層6の第2の例として、例えばMn、Fe、Co、Niの群から選択される1つの元素と、Zn、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、As、Sb、Biの群から選択される2つの元素とを含む合金でもよい。具体的には、MnAlGeの他にMnGaGe、MnZnSbなどが挙げられる。
また、界面磁性層3および界面磁性層6の第3の例として、例えば、Fe、Coの群から選択された少なくとも1つの金属よりなる合金が挙げられる。例えば、界面磁性層6は、Fe、Coの群から選択された少なくとも1つの金属よりなる合金が望ましい。このとき、例えば、CoFeからなる界面磁性層、MgOからなる非磁性層、CoFeからなる界面磁性層とした場合に、CoFe(001)/MgO(001)/CoFe(001)のエピタキシャル関係を作ることができる。この場合、トンネル電子の波数選択性を向上させることができるため、大きな磁気抵抗比を得ることが可能となる。なお、界面磁性層3および界面磁性層6の飽和磁化を制御するために、界面磁性層3および界面磁性層6にNi、B、C、P、Ta、Ti、Mo、Si、W、Nb、Mn、Geの群から選択された少なくとも1つの元素を添加してもよい。すなわち、界面磁性層3および界面磁性層6はFe、Coの群から選択された少なくとも1つの元素と、Ni、B、C、P、Ta、Ti、Mo、Si、W、Nb、Mn、Geの群から選択された少なくとも1つの元素とを含む合金であってもよい。例えば、CoFeBの他に、CoFeSi、CoFeP、CoFeW、CoFeNb等が挙げられ、これらの合金は、CoFeBと同等のスピン分極率を有している。また、CoFeSi、CoMnSi、CoMnGe等のホイスラー金属でもよい。ホイスラー金属はCoFeBと同等かあるいはより高いスピン分極率を有しているため、界面磁性層に適している。
また、界面磁性層3および界面磁性層6の第4の例として、例えば、MnAl合金が挙げられる。MnAl合金は軽元素で構成されている材料であるため磁気摩擦定数が小さい。したがって、磁化反転に必要なエネルギーが少なくて済むため、スピン偏極した電子によって磁化を反転させるための電流密度を大幅に低減できる。また、MnAl合金は[001]方向に上向きスピン、あるいは下向きスピンのどちらか一方のスピンバンドに対してエネルギーギャップが存在するためにハーフメタリックな特性を持ち、高スピン分極率を有し、これにより大きな磁気抵抗比を得ることが可能となる。
なお、界面磁性層3および界面磁性層6が非磁性層4に対してエピタキシャル成長していれば大きな磁気抵抗比を得ることができるので、非磁性層4と接する界面磁性層3および界面磁性層6は膜面に垂直方向に伸び縮みしていてもよい。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態によるスピン注入書き込み型の磁気メモリ(MRAM)について説明する。
本実施形態のMRAMは複数のメモリセルを有している。本実施形態のMRAMの1つのメモリセルの主要部の断面を図11に示す。各メモリセルは、第1乃至第4実施形態のいずれかの磁気抵抗素子を記憶素子として備えている。この第5実施形態では、記憶素子が第1実施形態の磁気抵抗素子(MTJ素子)1であるとして説明する。
図11に示すように、MTJ素子1の上面は、上部電極31を介してビット線32と接続されている。また、MTJ素子1の下面は、下部電極33、引き出し電極34、プラグ35を介して、半導体基板36の表面のソース/ドレイン領域のうちドレイン領域37aと接続されている。ドレイン領域37aは、ソース領域37b、基板36上に形成されたゲート絶縁膜38、ゲート絶縁膜38上に形成されたゲート電極39と共に、選択トランジスタTrを構成する。選択トランジスタTrとMTJ素子1とは、MRAMの1つのメモリセルを構成する。ソース領域37bは、プラグ41を介してもう1つのビット線42と接続されている。なお、引き出し電極34を用いずに、下部電極33の下方にプラグ35が設けられ、下部電極33とプラグ35が直接接続されていてもよい。ビット線32、42、電極31、33、引き出し電極34、プラグ35、41は、W、Al、AlCu、Cu等から形成されている。
本実施形態のMRAMにおいては、図11に示す1つのメモリセルが例えば行列状に複数個設けられることにより、MRAMのメモリセルアレイが形成される。図12は、本実施形態のMRAMの主要部を示す回路図である。
図12に示すように、MTJ素子1と選択トランジスタTrとからなる複数のメモリセル53が行列状に配置されている。同じ列に属するメモリセル53の一端子は同一のビット線32と接続され、他端子は同一のビット線42と接続されている。同じ行に属するメモリセル53の選択トランジスタTrのゲート電極(ワード線)39は相互に接続され、さらにロウデコーダ51と接続されている。
ビット線32は、トランジスタ等のスイッチ回路54を介して電流ソース/シンク回路55と接続されている。また、ビット線42は、トランジスタ等のスイッチ回路56を介して電流ソース/シンク回路57と接続されている。電流ソース/シンク回路55、57は、書き込み電流を、接続されたビット線32、42に供給したり、接続されたビット線32、42から引き抜いたりする。
ビット線42は、また、読み出し回路52と接続されている。読み出し回路52は、ビット線32と接続されていてもよい。読み出し回路52は、読み出し電流回路、センスアンプ等を含んでいる。
書き込みの際、書き込み対象のメモリセルと接続されたスイッチ回路54、56および選択トランジスタTrがオンされることにより、対象のメモリセルを介する電流経路が形成される。そして、電流ソース/シンク回路55、57のうち、書き込まれるべき情報に応じて、一方が電流ソースとして機能し、他方が電流シンクとして機能する。この結果、書き込まれるべき情報に応じた方向に書き込み電流が流れる。
書き込み速度としては、数ナノ秒から数マイクロ秒までのパルス幅を有する電流でスピン注入書込みを行うことが可能である。
読み出しの際、書き込みと同様にして指定されたMR素子1に、読み出し電流回路によって磁化反転を起こさない程度の小さな読み出し電流が供給される。そして、読み出し回路52は、MR素子1の磁化の状態に応じた抵抗値に起因する電流値あるいは電圧値を、参照値と比較することで、その抵抗状態を判定する。
なお、読み出し時は、書き込み時よりも電流パルス幅が短いことが望ましい。これにより、読み出し時の電流での誤書込みが低減される。これは、書き込み電流のパルス幅が短い方が、書き込み電流値の絶対値が大きくなるということに基づいている。
以上説明したように、本実施形態によれば、低飽和磁化かつ高垂直磁気異方性を有する磁気抵抗素子を用いた磁気メモリを得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1、1A、1B、1C 磁気抵抗素子
2 記憶層
3 界面磁性層
4 非磁性層(トンネルバリア層)
6 界面磁性層
8 参照層
10 非磁性層
11 強磁性層(シフト磁界調整層)
20a、20b 金属接着層
200 単結晶基板
220 基板

Claims (11)

  1. 第1磁性層と、
    前記第1磁性層上に設けられた第1非磁性層と、
    前記第1非磁性層上に設けられた第2磁性層と、
    を備え、
    前記第1磁性層および前記第2磁性層の少なくとも一方は、三元系MnAlGe(10atm%≦x≦44atm%、10atm%≦y≦65atm%、10atm%≦z≦80atm%、x+y+z=100atm%)である磁性膜を含むことを特徴とする磁気抵抗素子。
  2. 前記第1磁性層および前記第2磁性層の少なくとも一方は、単結晶構造を有していることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗素子。
  3. 前記第1磁性層と前記第1非磁性層との間、および前記第2磁性層と前記第1非磁性層との間の少なくとも一方に、第3磁性層が挿入されることを特徴とする請求項1または2記載の磁気抵抗素子。
  4. 前記第3磁性層はMn、Al、Geの群から選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項3記載の磁気抵抗素子。
  5. 前記第3磁性層はCo、Fe、Niの群から選択される少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項3記載の磁気抵抗素子。
  6. 前記第1非磁性層は、
    Mg、Ca、Ba、Al、Be、Sr、Zn、Ti、V、Nbの群から選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物、または
    Sr、Ce、Dy、La、K、Ca、Na、Pb、Baの群から選択される少なくとも1つの元素と、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Nb、Mo、Ru、Ir、Ta、Ce、Pbの群から選択される少なくとも1つの元素を含む酸化物、
    のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  7. 前記第1磁性層は下地層上に設けられており、
    前記下地層は、
    Ti、Zr、Nb、V、Hf、Ta、Mo、W、B、Al、Ceの群から選択される少なくとも1つの元素を含むNaCl構造を有する窒化物の層、
    Sr、Ce、Dy、La、K、Ca、Na、Pb、Baの群から選択される少なくとも1つの元素と、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Nb、Mo、Ru、Ir、Ta、Ce、Pbの群から選択される少なくとも1つの元素とを含む酸化物の層、
    Mg、Al、Ceの群から選択される少なくとも1つの元素を含むNaCl構造を有する酸化物の層、
    Al、Cr、Fe、Co、Rh、Pd、Ag、Ir、Pt、Auの群から選択される少なくとも1つの元素を含み、(001)配向した正方晶構造または立方晶構造を有する層、
    のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  8. 前記第1および第2磁性層はそれぞれが膜面に垂直方向に磁化容易軸を有し、前記第1非磁性層を介して前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に書き込み電流を流したときに、前記第1磁性層は磁化方向が可変でかつ前記第2磁性層は磁化方向が不変であり、
    前記第2磁性層に対して前記第1非磁性層と反対側に設けられ、膜面に垂直方向に磁化容易軸を有し、磁化方向が前記第2磁性層の磁化方向と互いに反平行な第4磁性層と、前記第2磁性層と前記第4磁性層との間に設けられた第2非磁性層と、を更に備え、
    前記第2磁性層の飽和磁化をMs、膜厚をtとし、前記第4磁性層の飽和磁化をMs、膜厚をtとするとき、
    Ms×t<Ms×t
    の関係を満たすことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の磁気抵抗素子。
  9. 前記第1および第2磁性層はそれぞれが膜面に垂直方向に磁化容易軸を有し、前記第1非磁性層を介して前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に書き込み電流を流したときに、前記第1磁性層は磁化方向が不変でかつ前記第2磁性層は磁化方向が可変であり、
    前記下地層に対して前記第1磁性層と反対側に設けられ、膜面に垂直方向に磁化容易軸を有し、磁化方向が前記第1磁性層の磁化方向と互いに反平行な第4磁性層を更に備え、
    前記第1磁性層の飽和磁化をMs、膜厚をtとし、前記第4磁性層の飽和磁化をMs、膜厚をtとするとき、
    Ms×t<Ms×t
    の関係を満たすことを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗素子。
  10. 前記第1および第2磁性層はそれぞれが膜面に垂直方向に磁化容易軸を有し、前記第1非磁性層を介して前記第1磁性層と前記第2磁性層との間に書き込み電流を流したときに、前記第1磁性層は磁化方向が可変でかつ前記第2磁性層は磁化方向が不変であり、
    前記下地層に対して前記第1磁性層と反対側に設けられ、膜面に垂直方向に磁化容易軸を有し、磁化方向が前記第2磁性層の磁化方向と互いに反平行な第4磁性層を更に備え、
    前記第2磁性層の飽和磁化をMs、膜厚をtとし、前記第4磁性層の飽和磁化をMs、膜厚をtとするとき、
    Ms×t>Ms×t
    の関係を満たすことを特徴とする請求項7記載の磁気抵抗素子。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の磁気抵抗素子と、
    前記磁気抵抗素子の前記第1磁性層と電気的に接続する第1配線と、
    前記磁気抵抗素子の前記第2磁性層と電気的に接続する第2配線と、
    を備えていることを特徴とする磁気メモリ。
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