JP2013194874A - 逆入力遮断クラッチ - Google Patents

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Abstract

【課題】出力部材に働く逆入力を確実に遮断して入力部材に伝達せず、信頼性が高く寿命の長い逆入力遮断クラッチを提供すること。
【解決手段】入力係合片を有する入力部材1と、前記入力係合片と係合する出力係合片を有する出力部材3と、係合部材5と、係合部材5を保持し制動し得る制動部材7と外輪部材9を備え、出力部材3に働く前記逆入力と入力部材1に働く前記入力とがどちらの方向であっても、制動部材7による前記制動力が係合部材5に働くために、逆入力が出力部材3に働くときに短時間ですべての係合部材5が出力部材3と外輪部材9との間に食い込んで確実にロック状態を呈する。
【選択図】図1

Description

この発明は、入力部材側からの入力は出力部材側に伝達され、出力部材側からの逆入力は入力部材側に伝達されない逆入力遮断クラッチに関する。
駆動側である入力側からの回転駆動力が従動側である出力側に伝達され、出力側からの回転駆動力は入力側に伝達されない双方向の逆入力遮断クラッチは既に提案されている。比較的簡単な構造のこの種の逆入力遮断クラッチとして、一定の間隔で放射外方向に延びる複数の入力係合片を有する入力部材と、一定の間隔で放射外方向に延びる複数の出力係合片を有する出力部材と、ローラ又はボールなどからなる係合部材と、外輪部材とを組み合わせたものが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前掲の特許文献1、2に記載されている逆入力遮断クラッチは、複数の入力係合片と出力係合片とが互いに入り込んでおり、出力係合片の先端面と外輪部材の円筒状内面との間に係合部材が配置されている。この逆入力遮断クラッチにあっては、入力部材にいずれかの回転方向に入力が働くと、先ず入力の方向に入力部材が回転を始め、入力係合片が出力係合片と係合部材との双方を直接押すことによって、入力部材と出力部材と係合部材とが一緒に回転することによって入力が出力側に伝達される。他方、出力部材に回転力、つまり逆入力が加わった場合には、隣り合う入力係合片と入力係合片との間で出力係合片が微小角度だけ変位し、出力係合片が入力係合片に接触する前に、出力係合片の先端面と外輪部材の円筒状内面との狭い間隙部分に係合部材が食い込んでロックされるので、出力部材はそれ以上変位できない。したがって、この種の逆入力遮断クラッチは基本的には出力部材に逆入力が加わってもその逆入力が入力部材に伝達されない構造である。
また、ロック解除は、係合部材が外輪部材と出力係合片の左右どちらかに食い込んでロックしているかによって、入力係合片が係合部材又は出力係合片を直接押し、係合部材が出力係合片の先端面と外輪部材の円筒状内面との広い空間方向に動いて行われる。つまり、このような構造の逆入力遮断クラッチは、隣り合う入力係合片と入力係合片との間で出力係合片が小さな角度で変位する動きによって、入出力伝達とロックとロック解除とが行われることが知られている。このような逆入力遮断クラッチは、両方向の回転入力が出力部材に伝達され、基本的には出力部材に働く逆入力がどちらの方向であっても入力部材に伝達されない構造である。
しかしながら実際には、この種の構造の従来の逆入力遮断クラッチにあっては下記のような問題が生じることが分かった。一般的に逆入力遮断クラッチの動作上からローラ又はボールなどからなる係合部材は動き易い構造になっている。したがって、特に出力部材にいずれかの方向の逆入力が働いて出力部材が動くと、出力部材との接触抵抗によって動き易い係合部材も一緒に動いてしまうことがあり、係合部材が出力部材と外輪部材との間に短時間で食い込まない場合がある。つまり、出力部材に逆入力が働いたときに、短時間で係合部材が出力部材を外輪部材にロックすることができないから、ロック状態となる前に出力部材が入力部材に当接してしまい、出力部材に働いた逆入力が入力部材に伝達されることがある。
また、従来の逆入力遮断クラッチにあっては、前述したように個々の係合部材がそれぞれ動き易いようになっているので、出力部材にいずれかの方向の逆入力が働いて出力部材が動くとき、ある係合部材だけが最初に出力部材と外輪部材との間に食い込んで出力部材を外輪部材にロックさせ、他の係合部材は出力部材と外輪部材との間に食い込まない傾向がある。この場合には、出力部材に結合される負荷のほとんどの荷重を一部の係合部材だけが負うことになり、その一部の係合部材だけが摩耗するために逆入力遮断クラッチの寿命が短くなるという問題がある。
特開2001−214945号公報 特開2008−101715号公報
本発明は、上述のような従来の課題を解決することを目的とし、出力部材に逆入力が働くときには係合部材が出力部材を即座にロックさせることによって、出力部材に働く逆入力が入力部材に伝達されるのを確実に防ぎ、かつ出力部材をロックするときにすべての係合部材で負荷荷重をほぼ均等に分担することで、寿命が長く、信頼性の高い逆方向遮断クラッチを提供することを課題とする。
第1の発明は、前記課題を解決するため、一定間隔で外方向に延びる入力係合片を有する入力部材と、前記入力係合部と互いに入り込んで係合することができる出力係合片を備える出力部材と、円筒状内面と円筒状外面とを有する外輪部材と、互いに隣り合う前記入力係合片と前記入力係合片との間であって前記出力係合片の先端面と前記外輪部材の前記円筒状内面との間に位置する係合部材とを備え、前記入力部材に働く入力は前記入力係合片が前記出力係合片と前記係合部材とを押すことにより前記出力部材に伝達され、前記出力部材に働く逆入力は前記係合部材が前記出力係合片の先端面と前記外輪部材の前記円筒状内面との間にロックされることにより前記入力部材に伝達されない逆入力遮断クラッチにおいて、前記係合部材が少なくとも前記外輪部材の前記円筒状内壁面に沿っていずれかの方向に動くのを制動する制動力を前記係合部材に与える制動部材を備えることを特徴とする逆入力遮断クラッチを提供する。
第2の発明は、前記第1の発明において、前記制動部材は、前記外輪部材の前記円筒状内面を押圧して摩擦力を生じるばね部と、前記係合部材を保持して制動する複数の制動片とを備えることを特徴とする逆入力遮断クラッチを提供する。第2の発明によれば、ばね部によって容易に所望の大きさの制動力を係合部材に与えることができる。
第3の発明は、前記第1の発明において、前記制動部材は、前記係合部材を前記外輪部材の前記円筒状内面に押圧する押圧部を備えることを特徴とする逆入力遮断クラッチを提供する。第3の発明によれば、簡単な構造の制動部材によって容易に所望の大きさの制動力を係合部材に与えることができる。
第4の発明は、前記第1の発明ないし前記第3の発明のいずれかにおいて、前記係合部材に働く前記制動力は、前記係合部材に外力が働かないときには前記係合部材が動かない程度の大きさであることを特徴とする逆入力遮断クラッチを提供する。第4の発明によれば、係合部材が出力部材を外輪部材にロックするロック動作の即応性を向上させ、確実にロックさせることが可能である。
第5の発明は、前記第1の発明ないし前記第3の発明のいずれかにおいて、前記係合部材に働く前記制動力は、前記逆入力の働きにより前記出力部材の動く速度が前記入力による前記入力部材の動く速度よりも遅くなるように前記係合部材を制動する値よりも大きいことを特徴とする逆入力遮断クラッチを提供する。第5の発明によれば、第4の発明の効果に加えて、出力部材に結合される負荷の重力などによる逆入力の働きで、出力部材が断続的に動いたり、この逆入力遮断クラッチを組み込んだ機器の輸送中に負荷が動いてしまうのを防ぐことが可能である。
第6の発明は、前記第1の発明において、前記制動部材は前記入力部材に弾性結合部材を介して結合されており、前記制動部材は前記出力部材に働く前記逆入力が前記入力部材に伝達されるのを少なくとも低減することを特徴とする逆入力遮断クラッチを提供する。前記第4の発明及び前記第5の発明と同様な効果を奏することが可能である。
本発明によれば、出力部材に働く逆入力が入力部材に伝達されるのを確実に防ぎ、かつ寿命が長く、信頼性の高い逆方向遮断クラッチを提供することが可能である。
本発明の実施形態1に係る逆入力遮断クラッチの組み立て前の各部材を斜めから見た一例を示す。 本発明の実施形態1に係る逆入力遮断クラッチの制動部材の一例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る逆入力遮断クラッチの断面を示す図である。 本発明の実施形態1に係る逆入力遮断クラッチの動作を説明するための図である。 本発明の実施形態2に係る逆入力遮断クラッチを説明するための図である。 本発明の実施形態3に係る逆入力遮断クラッチを説明するための図である。 本発明の実施形態4に係る逆入力遮断クラッチを説明するための図である。 本発明の実施形態5に係る逆入力遮断クラッチを説明するための図である。
本発明に係る逆入力遮断クラッチは、印刷装置や遊戯機などにおける可動部材(負荷)が結合される出力部材に、その負荷の重量などによって逆入力がかかるとき、制動部材の制動力によって係合部材が動かないので、短時間ですべての係合部材が出力部材と外輪部材との間に食い込んでロック状態とすることにより、逆入力を入力部材に確実に伝達しないところに特徴がある。
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に示す実施形態によって、本発明は限定されるものではなく、本発明の技術思想から逸脱しない限り、本発明に含まれるものとする。また、本発明で用いる逆入力という用語は、出力部材に結合される負荷の重量や外力などによって、出力部材に働く力を意味する。なお、本明細書及び図面において、符号が同じ構成要素は同一の名称の部材を示すものとする。なお、本発明の動作を説明する上で特に必要とならない部材については図示を省略する。
[実施形態1]
本発明に係る実施形態1の逆入力遮断クラッチについて図1〜図4により説明する。図1に示すようにこの逆入力遮断クラッチは、主に時計方向、反時計方向の力を受ける入力部材1、図示しない負荷が結合される出力部材3、ローラ又はボールなどからなる係合部材5、係合部材5を制動する制動部材7、外輪部材9、及びシールド部材(蓋)11を組み合わせたものからなる。入力部材1及び出力部材3は、前掲の特許文献2に記載されたものと基本的には同様であるので説明を簡単にする。
入力部材1は図1に示すように、中央穴1Aを有する入力係合部1Bと、入力係合部1Bから一定間隔で放射外方向(組み立てたときに外輪部材9の方向)に延びる第1の入力係合片1C、第2の入力係合片1Dとからなる。隣り合う入力係合片1Cと入力係合片1Cとの間の間隔は、係合部材5の回転方向の径よりも予め決めた寸法だけ大きい。第1の入力係合片1Cは第2の入力係合片1Dよりも外側に位置し、入力係合片1Cと入力係合片1Dとの間の空隙は、組み立て時に後述する制動部材7の制動片7D(図2)を受け入れることができる空隙幅、つまり制動片7Dの厚みよりも幾分大きな空隙幅を有する。中央穴1Aには図示しないモータの回転軸などに結合された入力軸が挿入され固定される。外輪部材9内で入力部材1が安定に回転動作を行うように、第1の入力係合片1Cの最外側面と外輪部材9の円筒状内面との間には微小な間隙があるのが好ましい。この実施形態1では互いに合同の形状の第1の入力係合片1C、互いに合同の形状の第2の入力係合片1Dはそれぞれ5個であるが、3個以上であればよい。
出力部材3は、図1に示すように、出力軸部3Aとその一方の先端部に一体的に形成された出力係合部3Bと、出力係合部3Bから一定の間隔で放射外方向に延びる出力係合片3Cとからなる。この実施形態1では、第1の入力係合片1Cが5個であることから出力係合片3Cも5個としたが、3個以上であれば安定した逆入力遮断クラッチ機能を果たすことができる。入力部材1と出力部材3とを組み合わせたとき、各出力係合片3Cは隣り合う第1の入力係合片1Cと入力係合片1Cとの間の空隙、及び隣り合う第2の入力係合片1Dと入力係合片1Dとの間の空隙に対応する位置にある。
つまり、入力部材1と出力部材3とを組み合わせたとき、少なくとも各出力係合片3Cは隣り合う第2の入力係合片1Dと入力係合片1Dとの間に位置する。それぞれの出力係合片3Cの先端面3C1と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間には、係合部材5を受け入れ、係合部材5が出力係合片3Cの先端面3C1と外輪部材9の円筒状内面との間で後述するクラッチ機能を行うことができる空間がある。入力が働いて入力部材1が回転するとき、係合部材5が出力係合片3Cの左右どちらに食い込んでロックしているかによって、最初に入力係合片1Cの回転方向の側壁が係合部材5を押すか、又は第2の入力係合片1Dが出力係合片3Cを押してロック状態を解除する。
また、各出力係合片3Cの回転方向の幅は隣り合う第2の入力係合片1Dと入力係合片1Dとの間隔よりも狭く、出力係合片3Cは隣り合う第2の入力係合片1Dと入力係合片1Dとの間で設定角度だけ回転方向に変位できるようになっている。出力係合片3Cはすべて合同の形状であることが好ましい。出力係合片3Cの先端面3C1は緩やかな湾曲又はV字状、あるいは平坦になっており、係合部材5を支持する支承面を形成する。入力が働いて第1の入力係合片1Cが係合部材5を押し、第2の入力係合片1Dが出力係合片3Cを押すことによって、これらが一緒に回転しているとき、係合部材5は出力係合片3Cの先端面3C1のほぼ中央に位置し、出力係合片3Cと外輪部材9との間に噛み付かず、ロックしない。なお、出力軸部3AにはDカット部分3Aaが形成されている。
係合部材5は、例えばローラ(コロ)、ボール、楕円状体などであり、図1に示す出力係合片3Cの先端面3C1に接触する面が弧状であれば、特に形状に制限されない。また、係合部材5の個数は出力係合片3Cの数と同じであるのが好ましいが、3個以上であれば安定に動作する。この逆入力遮断クラッチに組み立てた状態では、係合部材5は隣り合う入力係合片1Cと入力係合片1Cと出力係合片3Cの先端面3C1と外輪部材9の円筒状内面9とで囲まれる空間に位置する。係合部材5が出力係合片3Cの先端面3C1のほぼ中央に位置するときには、係合部材5は出力部材3と外輪部材9とをロックしないが、出力部材3がどちらかの方向に変位することにより係合部材5が出力係合片3Cの先端面3C1のいずれかの端側に偏った位置にあるとき、出力部材3と外輪部材9との間に食い込んでこれらをロックする。
この実施形態1の制動部材7は、耐摩耗性に優れ、弾力性を有する合成樹脂などを成形するなどして造られる。図2(A)、(B)に示すように、制動部材7は出力部材3の出力軸部3Aを挿通させる穴7A1を有する円環状の本体部7Aと、本体部7Aとの間に空隙が存在し、一部分で本体部7Aに結合された鍔部7Bと、外輪部材9の円筒状内面との間に摩擦力を生じるばね部7Cと、一定の間隔で本体部7Aから軸方向に突出する制動片7Dとからなる。制動部材7は係合部材5に制動力を与えると共に、係合部材5が出力部材3と外輪部材9とをロックするときにすべての係合部材5がほぼ同時にロックするように保持する制動機能付きリテーナの働きを行う。本体部7Aの穴7A1は出力部材3の出力軸部3Aの直径よりも幾分大きな直径を有する。
ばね部7Cは一対備えられており、それぞれのばね部7Cの中央部が結合部7C1で本体部7Aに結合されている。それぞれのばね部7Cの両端部の外側には弧状の突起部7C2が形成されており、図3に示すように、組み立てた後にはばね部7Cの円弧状の突起部7C2が外輪部材9の円筒状内面9Aを押圧する。したがって、ばね部7Cの弧状の突起部7C2と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間には、ばね部7Cの弾性力によって摩擦力が働き、係合部材5が外輪部材9の円筒状内面9Aに沿って動くときに、制動部材7は係合部材5に制動力を与える。
制動部材7の制動力は、ばね部7Cの弧状の突起部7C2と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に働く摩擦力の大きさによって決まる。この実施形態1における制動部材7の制動力は、入力部材1に働く入力(駆動力)をできるだけ小さくするために、係合部材5がその自重などによって勝手に、つまり外力が働かなければ動かない程度の微小な摩擦力であることが望ましい。小形の逆入力遮断クラッチでは前記制動力は微小で足り、その摩擦力が必要な入力の大きさ及び回転動作に実質的に影響を与えない程度の大きさである。したがって、制動部材7の制動力は係合部材5に回転方向の外力が働かなければ係合部材5が動かない程度の値、若しくはそれよりも大きい値である。
制動片7Dは入力係合片1C、出力係合片3C、係合部材5が5個であるので、互いに合同のものが5個形成される。隣り合う制動片7Dと制動片7Dとの間隙は、隣り合う第1の入力係合片1Cと入力係合片1Cとの間の間隙、隣り合う第2の入力係合片1Dと入力係合片1Dとの間の間隙よりも小さく、係合部材5を保持する。図3に示すように、制動片7Dは第1の入力係合片1Cと第2の入力係合片1Dとの間に位置して、係合部材5がローラであるとき、そのローラの長手方向の一部分、例えばローラの出力係合片3C側(右側部分)を回転方向の両側から保持する。
したがって、両側の制動片7Dによってそれぞれ保持される係合部材5には制動力が働くので、係合部材5は外力が働かなければ動くことがなく、逆入力によって出力係合片3Cが変位するとき、すべての係合部材5がそれぞれの出力係合片3Cの先端面3C1と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に即座かつ同時に食い込んでロックする。このロック動作によって、出力部材3に働く逆入力は確実に遮断されるので、その逆入力が入力部材1に伝達されることはない。また、一部の係合部材5だけに負荷荷重がかかることが無く、負荷荷重を均等に分担するので、一部の係合部材5だけが摩耗することが無いので、クラッチ動作の信頼性を向上すると同時に寿命を向上させる。
外輪部材9は、図1に示すように円筒状内面9Aと、図示しないハウジングに係止される係止部9B1を有する円筒状外面9Bと、出力部材3の出力軸部3Aを挿通させる貫通穴9C1を有する円環状端壁部9Cとを有する。図1では係止部9B1を突起で示しているが、溝などの凹所であってもよい。前記各部材を組み立てて外輪部材9に収納した後に、円環状のシールド部材11を外輪部材9に固定する。この固定は一般的なスポット溶接や圧入などの方法で行われる。なお、シールド部材11は入力部材1の入力係合部1Bの一部分を挿通させる挿通穴11Aを有する。
先ず、図4(A)に示すように、出力部材3に結合される不図示の負荷を上方向に移動、つまり出力部材3に働く逆入力とは逆方向の時計方向(矢印Xの方向)に入力部材1を回転させる場合について説明する。入力部材1に矢印Xの方向の入力が働くと、第1、第2の入力係合片1Cと1Dは矢印Xの方向に動き、第1の入力係合片1Cは係合部材5を矢印Xの方向に押し、第2の入力係合片1Dは出力係合片3Cに当たって矢印Xの方向に押す。このとき係合部材5は、制動部材7によって制動された状態で矢印Xの方向に幾分動いて出力係合片3Cの先端面3C1のほぼ中央に位置することになり、ロック状態が解除される。この場合、入力部材1に働く入力は係合部材5を介して制動部材7に伝わる。
ロック状態が解除されると、入力部材1の入力によって出力部材3、係合部材5及び制動部材7は入力部材1と一緒に矢印Xの方向に回転し、入出力の伝達が行われる。この際、前述したように制動部材7と外輪部材9との間には摩擦力が生じるが、その摩擦力が微小であれば、入力部材1に働く入力を出力部材3に伝達する動作に実質的に悪影響を与えることはない。
次に、出力部材3に結合された不図示の負荷が設定された上側設定位置に到達し、その負荷を下方向に駆動する場合について述べる。不図示の負荷が設定された上側設定位置に到達したとき、少なくとも一旦は入力部材1に働いていた入力はゼロとなるが、出力部材3には負荷などの重量によって当然に反時計方向(矢印Yの方向)の逆入力が働いている。このとき、係合部材5には当然に制動部材7による制動力が働いているので、入力部材1に働いていた入力がゼロになるとき、係合部材5は矢印Yの方向に外力が働かなければ勝手に動くことが無いので、逆入力によって出力係合片3Cが矢印Yの方向に変位するときに短時間で各係合部材5がそれぞれの出力係合片3Cと外輪部材9との間に同時に食い込んで、ロック状態を呈する。
このロック状態になるとき、前述したように各係合部材5がそれぞれの出力係合片3Cと外輪部材9との間に同時に食い込んで、ロック状態を呈するので、1個の係合部材5だけが出力係合片3Cと外輪部材9との間に食い込んでロック状態を呈するということがない。したがって、一部の係合部材5の摩耗が激しくなることはなく、これにより外輪部材9の円筒状内面9Aに傷がつき易くなるといったことが無いので、逆入力遮断クラッチの寿命、信頼性を向上させることができ、また、確実に逆入力を遮断できる逆入力遮断クラッチを提供することができる。なお、この状態では入力部材1に矢印Yの方向の入力が働いて係合部材5を矢印Yの方向に押さない限り、ロック状態が解除されないので、逆入力で出力部材3が動くことはなく、出力部材3に働く逆入力は入力部材1に伝達されない。
この状態で図4(B)に示すように、出力部材3に働いている逆入力と同方向の矢印Yの方向の入力が入力部材1に働き、第1、第2の入力係合片1Cと1Dは鎖線で示す位置から実線で示す位置に変位するものとする。これに伴い、回転上流側(図面の上側)の第1、第2の入力係合片1Cと1Dは係合部材5と出力係合片3Cを矢印Yの方向に押すので、前述のロック状態は解除される。ロック状態が解除されることによって、前述したように、入力部材1に働く矢印Yの方向の入力によって出力部材3、係合部材5及び制動部材7は矢印Yの方向に回転し、入力部材1と出力部材3との間で入出力の伝達が行われる。
このように入出力の伝達が行われているとき、入力部材1に働いていた入力が除去され、入力がゼロになると、入力部材1は回転を停止する。これと同時に、制動部材7の制動力によって係合部材5も停止するが、不図示の負荷の荷重などによる逆入力によって出力部材3の出力係合片3Cが回転しようとするので、各係合部材5がそれぞれの出力係合片3Cと外輪部材9との間に短時間で食い込んで、ロック状態を呈し、すべての係合部材5が逆入力をほぼ均等に負担して確実に逆入力を遮断できる。
[実施形態2]
実施形態1では図2に示したように、ばね部7Cが本体部7Aと一体的に形成された構造の制動部材7であったが、実施形態2の逆入力遮断クラッチは図5に示すように、本体部7Aとは別に形成されたばね部7Cを本体部7Aに取り付けた構造の制動部材7を用いることが実施形態1のものと異なる。このような点が実施形態1と異なるので、主に制動部材7について説明する。この制動部材7によれば、本体部7Aを合成樹脂などで形成し、ばね部7Cをばね性と耐摩耗性に優れた金属材料などで形成することが可能である。この制動部材7も係合部材5を保持すると共に係合部材5に制動力を与える働きを行う。なお、図5は入力部材1、出力部材3、係合部材5及び制動部材7を組み立てたものを外輪部材9に収納する前の状態を示す。
この制動部材7は、図1、図3に示す出力部材3の出力軸部3Aを挿通する穴を囲むように形成された円環状の係止部7Eを有し、係止部7Eには放射外方向に延びる回り止め部7E1が形成されている。ばね力によって円環状の係止部7Eを締め付けるようにばね部7Cが係止部7Eに係止される。ばね部7Cは特殊な形状のばね体からなり、ばね力によって円環状の係止部7Eを締め付ける第1の部分7C3、制動部材7の回り止め部7E1を締め付けて回り止めの働きを行う第2の部分7C4、外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に摩擦力を生じる第3の部分7C5からなる。第1の部分7C3及び第3の部分7C5は第2の部分7C4を基準にしてほぼ対称的な形状になっている。実施形態2でも、制動部材7の制動力は係合部材5に回転方向の外力が働かなければ係合部材5が動かない値程度、若しくはそれよりも大きい。なお、図2と図4で示した制動片7D、入力係合片1Dは図5では見えないが、実施形態1と同様である。動作についても実施形態1と同じであるので、説明を省略する。
[実施形態3]
図6によって実施形態3に係る逆入力遮断クラッチの一例を説明する。この実施形態3では、制動部材7が外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に摩擦力を生じるばね部分を備えず、係合部材5の一部分に外輪部材9方向の押圧力を与えて係合部材5を外輪部材9の円筒状内面9Aに押圧する押圧部7Fを有する構造であること、及び入力部材1の第2の入力係合片1Cが前述した実施形態1、2の第1、第2の入力係合片1Cと1Dとを一つにして入力係合片1Cとした構造である点が実施形態1、2と異なる。制動部材7は、弾力性に富んだ金属材料又は合成樹脂材料からなり、外力によって変形可能な押圧部7Fと変形し難い節部7Gとからなり、押圧部7Fと節部7Gとが交互に位置する。外力がかからないときには、押圧部7Fと節部7Gとは5角形状の環状のものであり、外力がかかるとき、押圧部7Fが外輪部材9の中心方向に若干変形する。各押圧部7Fの中央部には肉厚部7Faが形成されており、係合部材5の一部分は肉厚部7Faと外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に適当な押圧力で挟まれている。
入力部材1、出力部材3に外力がかからない中立状態では、各押圧部7Fの肉厚部7Faが出力部材3の各出力係合片3Cの先端面3C1のほぼ中央に相当する位置にある。係合部材5が組み込まれない状態では、各押圧部7Fの肉厚部7Faと外輪部材9の円筒状内面9Aとの間の間隙はローラのような係合部材5の直径よりも幾分小さくなっており、各押圧部7Fの肉厚部7Faは少なくとも各出力係合片3Cの先端面3C1のほぼ中央よりも少しだけ外輪部材9側に存在する。
係合部材5が図6のように組み込まれた状態では、当然に押圧部7Fは係合部材5によって外輪部材の中心方向に押されて幾分撓んでいるので、押圧部7Fの肉厚部7Faは押圧部7Fの弾性力によって係合部材5を外輪部材9の円筒状内面9Aに押し付ける。したがって、係合部材5と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に小さな摩擦力が生じ、この摩擦力による小さな制動力の働きによって係合部材5は幾分動き難くなっており、外力が働かなければ動くことができない。
前述したように、不図示の負荷が設定された上側設定位置に到達したとき、少なくとも一旦は入力部材1に働いていた入力はゼロとなる。このとき、図4に示したように、出力部材3には不図示の負荷などによって下方向に対応する矢印Yの方向の逆入力が働いている。負荷が設定された上側設定位置にある場合、出力部材3に働く逆入力によって矢印Yの方向に動くと、制動部材7の押圧部7Fによって外輪部材9の円筒状内面9Aに押圧されている各係合部材5は動き難くなっているから、短時間でそれぞれの出力係合片3Cと外輪部材9との間に同時に食い込んで、ロック状態を呈する。なお、入力部材1に入力が働いて出力部材3と係合部材5とを押さない限り、ロック状態が解除されることはなく、出力部材3に働く逆入力は入力部材1に伝達されない。実施形態3でも、制動部材7の制動力は係合部材5に回転方向の外力が働かなければ係合部材5が動かない値程度、若しくはそれよりも大きい。制動部材7による制動力の働きや効果などについては、前述した実施形態1、2とほぼ同様であるので、これ以上説明しない。
[実施形態4]
図7によって実施形態4に係る逆入力遮断クラッチの一例を説明する。この実施形態4は、実施形態3とほぼ同様な構成であり、実施形態3に比べて係合部材5の一部分を外輪部材9の円筒状内面9Aに押圧する制動部材7の押圧部7Fの押圧力を大きくしたことが異なる。制動部材7は、弾力性に富んだ金属材料又は合成樹脂材料からなり、押圧部7Fと節部7Gとが交互に位置する。外力がかからないときには、押圧部7Fと節部7Gとは5角形状の環状のものである。図7に示すように、各係合部材5を外輪部材9の円筒状内面9Aと弾力性の豊かな押圧部7Fとの間に圧入することによって、押圧部7Fは外輪部材の中心方向に押されて湾曲し、所望の押圧力で係合部材5を外輪部材9の円筒状内面9Aに押し付けて、摩擦力を生じる。この摩擦力が係合部材5の制動力となり、その制動力は実施形態1〜3の場合よりも大きい。
制動部材7の制動力について、図4などを用いて説明する。前述したように、不図示の負荷が設定された上側設定位置に到達したとき、少なくとも一旦は入力部材1に働いていた入力はゼロとなる。このとき、図4に示したように、出力部材3には不図示の負荷などによって下方向に対応する矢印Yの方向の逆入力が働いている。負荷が設定された上側設定位置にある場合、出力部材3に働く逆入力によって、押圧部7Fによって外輪部材9の円筒状内面9Aに押圧されている各係合部材5は動きにくいから即座にそれぞれの出力係合片3Cと外輪部材9との間に同時に食い込んで、ロック状態を呈する。なお、この状態では入力部材1に入力が働いて出力部材3と係合部材5とを押さない限り、ロック状態が解除されることはなく、出力部材3に働く逆入力は入力部材1に伝達されない。
このロック状態で、出力部材3に働いている逆入力と同方向の入力が入力部材1に働くと、入力係合片1Cは係合部材5と出力係合片3Cを押すので、前記したロック状態は解除される。しかし、前述したように各係合部材5と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に摩擦力を生じているので、つまり制動部材7が各係合部材5に制動力を与えるので、係合部材5が逆入力によって下方向に対応する回転方向に動こうとする出力部材3を動きにくくする。
次に、出力部材3に結合される負荷の荷重などによる逆入力によって出力部材3が回転する方向と入力部材1に働く入力との方向が同方向(例えば矢印Yの方向)である場合について下記に説明する。制動部材7の制動力が出力部材3に働く逆入力と同等以上の場合には、入力部材1が出力部材3を矢印Yの方向に押さない限り、制動部材7及び係合部材5は逆入力によって矢印Yの方向に動くことはない。しかし、入力部材1に働く入力を出力部材3に伝達する動作時に、大きな入力が必要になる。制動部材7の制動力が出力部材3に働く逆入力よりも小さい場合には、入力部材1が出力部材3を矢印Yの方向に押さなくとも、出力部材3と外輪部材9との間に食い込んでロックするまで係合部材制動部材7及び係合部材5は逆入力によって矢印Yの方向に微小ではあるが動く。
例えば、制動部材7の制動力が実施形態1〜3程度、若しくはそれよりも小さければ、実施形態1〜3に比べて係合部材5は同程度又はそれよりも動き易いので、出力部材3に働く逆入力によって出力部材3が動くとき、出力部材3との間に働く摩擦力などによって係合部材5も矢印Yの方向に微小ではあるが動く。しかしこのとき、係合部材5には小さな制動力が働いているので、出力部材3がある程度動いたときに係合部材5が出力係合片3Cの先端面3C1と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に食い込んでロックする。このロック状態で第1の入力係合片1Cが追いついて係合部材5と出力係合片3Cとを押すのでロック状態を解除する。これら動作を繰り返すことによって、出力係合片3Cは断続的に矢印Yの方向に動くので、出力部材3に結合される不図示の負荷が断続的に下方向に移動するという問題が生じる場合がある。
前述から分かるように、制動部材7の制動力が、逆入力によって制動部材7、係合部材5及び出力部材3が矢印Yの方向に動く速度を入力部材1の矢印Yの方向への速度よりも小さくできる値以上であれば、入力が逆入力と同方向である場合にも、ロックが解除されたときに出力部材3及び係合部材5が入力部材1よりも速く動くことはなく、出力部材3及び係合部材5は入力部材1とほぼ当接した状態で下側の設定位置まで動く。このように、出力部材3、係合部材5及び制動部材7は入力部材1に押されて入力部材1と一緒に動くので、出力部材3に結合される不図示の負荷が断続的に下方向に移動するという問題を解決でき、入力部材に働く入力がいずれの方向であっても負荷を断続することなくスムーズに移動させることができる。
また、本発明に係る逆入力遮断クラッチを組み込んでなる製品を工場から出荷するにあたって、出力部材3に結合された不図示の負荷をそれ以上は上側に動かない上限位置に配置することによって、輸送中における振動などによって、不図示の負荷に上下方向の力が働いても、その負荷が位置ずれを起こすことはない。つまり、負荷が結合された出力部材3は上限位置から上方向に相当する回転方向には機械的に動くことができず、上限位置から下方向に相当する反対の回転方向ではこの逆入力遮断クラッチが即座にロック状態となるので、負荷が上下いずれの方向にも動くことはない。したがって、納入先で負荷の位置などの再調整を行わなければならないといった課題を解決できる。
したがって、この実施形態4によれば実施形態1〜3と同様に、出力部材3に逆入力が働いたときに即座に制動力を受けているほとんどすべての係合部材5が出力部材3と外輪部材9との間に同時に食い込んでロック状態を呈するので、逆入力が出力部材に働くと即座にロック状態となると共に、一部の係止部材だけが摩耗するということが起こらない。また、出力部材に結合される負荷を下方向に駆動する場合にも、制動部材7の制動力によって出力部材3と係合部材5とが入力部材1に当接して一緒に動くので、負荷が断続的に動作することなく、スムーズに駆動できるという効果も奏する。
[実施形態5]
この実施形態5では、図8に示すように、制動部材7が弾性結合部材8を介して入力部材1に結合されているところが実施形態1〜4とは異なる。制動部材7は実施形態1,2のように外輪部材9の円筒状内面9Aとの間で摩擦力を生じる必要はなく、また、実施形態3、4のように係合部材5を外輪部材9の円筒状内面9Aに押圧して、係合部材5と外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に摩擦力を生じる必要はない。つまり、入力を入力部材1から出力部材3に伝達する動作時に、制動部材7による摩擦力による損失(トルクロス)を無くすことができるという効果を奏する。しかし、必要によって制動部材7の前述した摩擦力を併用することは構わない。
図8によって実施形態5に係る逆入力遮断クラッチの一例を説明する。中心部に位置する出力部材3は実施形態1〜4のものと同様であるので説明を省略する。入力部材1は、係合部材5を回転方向に押す第1の入力係合片1Cと出力係合片3Cを回転方向に押す第2の入力係合片1Dとからなる入力係合片を有する。第2の入力係合片1Dは、第1の入力係合片1Cよりも図7の手前(軸方向手前)に突出しており、隣り合う出力係合片3Cと出力係合片3Cとの間に位置する。この実施例4でも入力係合片が5個の例を示しているが、3個以上であれば安定に動作する。
制動部材7については制動片7Dだけを示しているが、図2に示したような単一構造の制動部材7であって、ばね部7Cを削除した構造のものなど種々のものが考えられる。各制動片7Dは、板ばね又はスプリングばねなどのような弾性結合部材8によってそれぞれ第2の入力係合片1Dに結合されている。弾性結合部材8は、出力部材3に逆入力が働いて変位するときに、係合部材5を介して入力部材1に伝達される逆入力を緩和若しくは遮断する。弾性結合部材8が少なくともこのような働きを行えばよいので、1個以上の制動片7Dが1個以上の第2の入力係合片1Dに結合されていても良いし、制動部材を弾性材料で形成し、制動部材の一部分が弾性結合部材8として働く構造のものでもよい。この場合、入力部材1に結合される制動部材の一部分を弾性結合部材8と言う。
入力部材1にいずれかの方向に入力が働く場合には、制動部材7は出力部材3と係合部材5と一緒に入力部材1と共に回転し、制動部材7は係合部材5の保持作用を行うリテーナとして働く。ここで、この逆入力遮断クラッチを機器に組み込んだ状態では、一般的に入力部材1には不図示の駆動モータなどの駆動軸が結合されており、出力部材3からの逆入力で入力部材1を回転させるには大なり小なり実質的な力が必要である。入力部材1に入力が働かず、いずれかの方向の逆入力が出力部材3に働くとき、出力部材3の各出力係合片3Cが変位し、このときその変位する方向の力が係合部材5にかかる。
係合部材5にかかる力は制動部材7に伝達され、制動部材7に伝達された力は弾性結合部材8の弾性力によって吸収され、静止している入力部材1に実質的に伝達されない内に、係合部材5が出力係合片3Cと外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に食い込んでロック状態となる。つまり、制動部材7は弾性結合部材8を介して静止している入力部材1に係止されているので、出力係合片3Cが変位する動作を開始するとき制動部材7は係合部材5に制動力を与え、かつ弾性結合部材8が制動部材7に伝達された力を吸収するので、出力部材3に働いた逆入力は入力部材1に実質的に伝達されない状態で、係合部材5が出力係合片3Cと外輪部材9の円筒状内面9Aとの間に短時間で食い込んでロック状態を呈する。
このロック状態で前記逆入力の方向と同じ方向の入力が入力部材1に働くとき、前述したようにロック状態は解除されるが、係合部材5は制動部材7によって制動されているために入力部材1よりも大きな速度で動くことはなく、入力部材1と一緒に動く。また、出力部材3だけが係合部材5よりも大きな速度で動くことはできないのは当然であるので、入力部材1に働く入力と出力部材3に働く逆入力とが同方向であっても、出力部材3と係合部材5と制動部材7は入力部材1と一緒に回転方向に動く。これによって、前述したように、出力部材3に結合される不図示の負荷が断続的に下方向に移動するという問題を解決でき、入力部材に働く入力がいずれの方向であっても負荷を断続することなくスムーズに移動させることができる。
更に実施形態5にあっては、入力部材1に働く入力を出力部材3に伝達する動作中は、前記実施形態1〜4とは違って外輪部材との間の摩擦力による制動部材7の制動力が生じないところが大きな違いである。したがって、入力を入力部材1から出力部材3に伝達する動作時に、制動部材7による摩擦力による損失(トルクロス)を無くすことができるから、入力を大きくする必要が無いことは勿論のこと、前述の摩擦力による熱や騒音の発生、あるいは制動部材や係合部材などの磨滅などを低減することもできる。しかも、実施形態5の逆入力遮断クラッチは実施形態1〜4と同様な効果を奏する。なお、実施形態1〜3の逆入力遮断クラッチにあっても、制動部材7の制動力が逆入力によって制動部材7及び係合部材5が矢印Yの方向に動く速度を入力部材1の矢印Yの方向への速度よりも小さくできる値以上になるようにばね力を高めれば、実施形態4と同様な効果を奏する。
1・・・入力部材
1A・・・中央穴
1B・・・入力係合部
1C・・・第1の入力係合片(入力係合片)
1D・・・第2の入力係合片
3・・・出力部材
3A・・・出力軸部
3B・・・出力係合部
3C・・・出力係合片
3C1・・・出力係合片3Cの先端面
5・・・係合部材
7・・・制動部材
7A・・・本体部
7A1・・・本体部に形成された穴
7B・・・鍔部
7C・・・ばね部
7C1・・・結合部
7C2・・・突起部
7C3・・・第1の部分
7C4・・・第2の部分
7C5・・・第3の部分
7D・・・制動片
7E・・・係止部
7E1・・・回り止め部
7F・・・押圧部
7Fa・・・押圧部7Fの肉厚部
7G・・・節部
8・・・弾性係合部材
9・・・外輪部材
9A・・・円筒状内面
9B・・・円筒状外面
9B1・・・係止部
9C・・・円環状端壁部
9C1・・・貫通穴
11・・・シールド部材
11A・・・挿通穴

Claims (6)

  1. 一定間隔で外方向に延びる入力係合片を有する入力部材と、前記入力係合部と互いに入り込んで係合することができる出力係合片を備える出力部材と、円筒状内面と円筒状外面とを有する外輪部材と、互いに隣り合う前記入力係合片と前記入力係合片との間であって前記出力係合片の先端面と前記外輪部材の前記円筒状内面との間に位置する係合部材とを備え、前記入力部材に働く入力は前記入力係合片が前記出力係合片と前記係合部材とを押すことにより前記出力部材に伝達され、前記出力部材に働く逆入力は前記係合部材が前記出力係合片の先端面と前記外輪部材の前記円筒状内面との間にロックされることにより前記入力部材に伝達されない逆入力遮断クラッチにおいて、
    前記係合部材が少なくとも前記外輪部材の前記円筒状内壁面に沿っていずれかの方向に動くのを制動する制動力を前記係合部材に与える制動部材を備えることを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
  2. 請求項1において、
    前記制動部材は、前記外輪部材の前記円筒状内面を押圧して摩擦力を生じるばね部と、前記係合部材を保持して制動する複数の制動片とを備えることを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
  3. 請求項1において、
    前記制動部材は、前記係合部材を前記外輪部材の前記円筒状内面に押圧する押圧部を備えることを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、
    前記係合部材に働く前記制動力は、前記係合部材に外力が働かないときには前記係合部材が動かない程度の大きさであることを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、
    前記係合部材に働く前記制動力は、前記逆入力の働きにより前記出力部材の動く速度が前記入力による前記入力部材の動く速度よりも遅くなるように前記係合部材を制動する値よりも大きいことを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
  6. 請求項1において、
    前記制動部材は前記入力部材に弾性結合部材を介して結合されており、前記制動部材は前記出力部材に働く前記逆入力が前記入力部材に伝達されるのを少なくとも低減することを特徴とする逆入力遮断クラッチ。
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