JP2013191353A - 熱電界放出エミッタ電子銃 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子銃が電子ビーム応用装置に装着された状態で、エミッタの先端部にあるファセットのくずれを再生できるようにする。
【解決手段】熱電界放出型エミッタに対向して設けられた引出し電極に接続された引出し電極用電源は、エミッタに対して正極性の通常運転用順電圧と負極性の逆電圧の両方を切り換えて印加するものであり、引出し電極用電源から引出し電極に印加する電圧の極性を逆電圧に切り換えることにより電子銃が電子ビーム応用装置に装着された状態でエミッタの先端部にあるファセットのくずれを再生するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、工業分野、医療分野などに用いられる電子ビーム装置に搭載される電子銃に関し、特に熱電界放出型エミッタ(TFE:ショットキーエミッタ(Schottky emitterとも呼ばれる))を備えた電子銃に関する。そのような電子銃は、EPMA(電子線マイクロアナライザー:electron probe microanalyzer)、マイクロフォーカスX線装置、SEM(走査電子顕微鏡:scanning electron microscope)、TEM(透過型電子顕微鏡:transmission electron microscope)、電子ビームリソグラフィなどの電子ビーム応用装置で電子ビームを発生させる電子源として搭載されるものである。
熱電界放出型エミッタは、加熱用フィラメントに<100>方位を持つ単結晶タングステンチップをスポット溶接し、その先端を電界研磨して鋭く尖らせてつくる。先端半径は通常、0.5μm程度で、電子銃として使用するときは先端部につよい電界集中を起こさせる。チップの胴部にZrOのリザーバが設けられ、動作温度時(約1800°K)にはZrOがチップ先端まで拡散していき、先端にある(100)ファセット面の仕事関数を選択的に下げる。チップ先端の正面及びチップ先端面と90度をなす方位にできる{100}面の仕事関数が選択的に下げられるため熱電界放出型エミッタからの電子放出は、後述の実施例の図3の最上段の左から3番目に示したようなエミッションパターン(電子ビームの角度依存性を示す)を示す。中心部にはつよく均一なビームが得られる(特許文献1を参照)。
エミッションパターンは、エミッタのチップ先端に対向させて蛍光板を配置し、チップからの放出電子をその蛍光板で受けることにより得ることができる。
熱電界放出型エミッタを駆動する高圧電源は、加速用電源(ビームエネルギーを決める高圧電源)によって所定の電位に設定された高圧部に、エミッタ加熱用電源、サプレッサ電源及び引出し電極用電源が設けられ、それぞれ、フィラメント加熱、サプレッサ(単結晶タングステンチップと加熱用フィラメントを囲み負電圧を印可して熱電子を抑えるための電極)へのバイアス電圧供給、及びチップに対向して置かれる引出し電極への正電圧(引出し電圧)の供給を行う。引出し電極へは通常、4kVから5kV程度の高電圧が供給される。
引出し電圧、つまりチップ先端に生じる引出し電界強度を変えると、ショットキー(Schottky)効果によって、チップ先端から放出される陰極電流密度が変化する。高い輝度を得るには電界強度を上げて高電流密度を実現すれよい。他方、電流密度が上がると、得られる電子ビームのエネルギー広がりがベルシュ(Boersch)効果によって広がってしまう。これは、特に低加速でのSEM観察に悪影響を及ぼす。ビームのエネルギー広がりがビームエネルギーに比べて大きくなるとレンズのもつ色収差によって試料上で微細プローブを形成することができなくなるからである。低加速での高分解能観察では引出し電界を下げて陰極電流密度を抑えるとよいことが知られている。
一方、熱電界放出型エミッタは、その性質上、一定値以下のチップ電界強度で動作させることは好ましくないと言われている。引出し電圧をエミッタメーカの推奨値より下げて使用した際に観察されたエミッションパターンの変化を、図8の上側の4列の画像により時系列で示す。エミッションパターンはエミッタのチップ先端に対向して配置された蛍光板に形成された放出電子による画像であり、明るい部分は電子が当たっている部分、黒い部分は電子が当たっていない部分である。
図8のエミッションパターンが得られたエミッタの使用時間を示すと、a列の6つの画像は、左からそれぞれ6、67、80、83、85及び88時間である。b列の6つの画像は、a列の85時間目と88時間目の間の使用時間を示しており、左からそれぞれ85.26、86.17、86.99、87.32、87.42及び87.48時間である。c列の6つの画像は、b列の85.26時間目と86.17時間目の間の使用時間を85.26時間からの経過時間で示しており、左からそれぞれ2、6、10、16、20及び25分経過後である。d列の6つの画像は、c列の20分経過後から25分経過後までを示しており、左端が20分経過後のものであり、21.0、22.0、22.5、24.0分経過後と続き、右端は25.0分経過後である。
図8のエミッションパターンの時間変化から、チップ先端に形成された仕事関数の低い(100)ファセット面がくずれていき、ビームの均一性が損なわれていくのがわかる。ファセットのくずれは、エミッションパターンの様子からリング崩壊(ring collapsing)と呼ばれている。図8からファセットのくずれは繰り返し起こることもわかる。ファセットのくずれはビーム電流を不安定にする。またついには、図8の下側のSEM画像に示すように、左側の新品のエミッタ(a)に存在していた先端部の(100)ファセットが、右側の低引出し電圧での長時間の使用により変形してしまった低電圧動作品(b)にみられるように完全に消失してしまう。(b)の状態になると熱電界放出型エミッタからのエミッション電流、すなわちビーム電流は極端に下がってしまい使用できなくなる。
低加速電圧での高分解能SEM観察の用途では、ビームのエネルギーひろがりを抑えるためにチップの先端形状が不安定になることを覚悟の上で低引出し電圧運転を行う場合がある。図8のエミッションパターンからわかるように、低引出し電圧運転を行っても初めの数十時間〜100時間程度は安定した均一ビームが得られている。
SEM観察を低引出し電圧運転で行っても、ファセットのくずれが小さいうちに、再度高い引出し電圧での運転に戻せばファセットはある程度「再生」されることが知られている。そのため、適当な間隔で高引出し電圧運転をはさんでやれば原理的にはエミッタの寿命を延ばすことができる。
米国特許第3814975号 特許第4867643号公報
S. Fujita et al., Journal of Microscopy, 239(3), 215- 222 (2010)
しかしながら効果的なファセット再生には比較的高い引出し電圧と高いチップ温度での継続動作が必要となる。このときエミッタからのエミッション電流は大きくなり、電子銃室の真空度劣化やエミッタの放電破損につながる危険性がある。そのため、実際には、SEM等の装置に電子銃を搭載した状態でその装置の運転中にファセット再生を行うことは困難である。
そこで、本発明は電子銃が電子ビーム応用装置に装着された状態で、エミッタの先端部にあるファセットのくずれを再生できるようにすることを目的とするものである。
本発明は、電子ビーム応用装置に装着される電子銃であり、加熱用フィラメントに取りつけられた熱電界放出型エミッタと、エミッタに対向して設けられた引出し電極と、フィラメント及びエミッタを取り囲みエミッタにバイアス電圧を印加するサプレッサ電極と、エミッタに接続されエミッタから発生する電子ビームを加速する電圧を印加する加速用電源と、フィラメントに接続されエミッタを加熱する電流を供給するエミッタ加熱用電源と、サプレッサ電極に接続されバイアス電圧を印加するバイアス電源と、引出し電極に接続された引出し電極用電源と、を備えている。
そして、本発明では、引出し電極用電源は、エミッタに対して正極性の通常運転用順電圧と負極性の逆電圧の両方を切り換えて印加するものとし、引出し電極用電源から引出し電極に印加する電圧の極性を逆電圧に切り換えることによりこの電子銃が電子ビーム応用装置に装着された状態でエミッタの先端部にあるファセットのくずれを再生することができるようにした。
負極性の逆電圧の絶対値は通常運転時と同程度かやや高めに設定するのが適当である。
通常運転では引出し電極に正電圧を供給し、エミッタ先端部にあるファセットのくずれを再生する際には逆電圧を供給するように引出し電極用電源の供給電圧を切り換える。
図3にファセット再生処理を行った熱電界放出型エミッタチップのSEM像(中段)を示す。再生温度はTr=1800°Kである。引出し電極にかける負極性電圧を上げるにつれてチップ先端のファセットが成長していくのがわかる。再生電圧(負極性電圧)が−1kVと低めに設定された場合(左側から第1番目で、最上段に1と表示されている。)、先端(100)面の成長は十分でない。最上段に示したエミッションパターンの形状は円形だが、これは中段のSEM像、最下段に参考に挙げたbcc結晶のモデルが与えるようなチップ形状をしていることに対応する。先端部にファセットは再生されているがその大きさは小さく、もし再度低引出し電圧で通常動作させるとすぐにファセットのくずれを招いてしまう。
再生処理電圧を徐々に上げていくと(左側から第2番目から第3番目で、最上段に2,3と表示されている。)、チップ先端ファセットを含めて先端部を覆う各結晶面が成長していく様子がわかる。再生処理電圧は左側から第2番目が−4kV、第3番目が−6kVである。先端にある(100)ファセットの形状は円形からだんだんと四角形へと移っていく。エミッションパターンも先端ファセット形状を反映したものとなる。再生処理電圧が第3番目のように十分に高いと、チップ先端は{100}{211}{110}という特定の結晶面で囲まれた多面体構造をとる。この状態がファセット再生において最も望ましい形と考えられる。再度、低引出し電圧で通常動作させてもファセットのくずれと、ビーム電流の不安定化が起こるまでにはしばらくの時間的な猶予が得られる。
さらに再生処理電圧を−8kVのように高めると、チップの多面体構造を構成する結晶面の構成が変わる(右端の第4番目)。{211}結晶面が消失してチップ先端は{100}と{110}のふたつの結晶面でできた多面体となる。この形状は熱電界放出型エミッタチップとして適当でない。先端の(100)面と側方の{110}面でできるエッジが鋭くなり電界集中が起こって、エッジ部からばかり電子放出するようになる。肝心の中心部からの電子エミッションが相対的に下がるため陰極としては不適当である。この状態は、エミッションパターンの四角形が、最適な3番目のエミッションパターンの四角形から45度回転することで判断できる。
再生処理電圧を調整することで先端ファセットが崩れかけたチップを図3の左から3番目の状態にまで再生するのが適当である。最適な処理電圧は図3の最上段のエミッションパターンを観察することによって知ることができる。
図3に示したデータは非特許文献1のFig.3の実験系で取得したものである。熱電界放出型エミッタチップを無電界下で加熱することによって故意に(100)ファセットを崩した後、再生処理を行った。つまり引出し電極に負極性の再生電圧を印加しながら加熱用フィラメントに電流を流す。フィラメント電流はチップの温度が約1800°Kになるように決めた。ある負極性電圧で再生処理した後、引出し電極の印加電圧の極性を反転させてエミッタから電子放出を起こす。その電子放出を蛍光板で受けて得たエミッションパターンが図3の最上段のものである。そのようなエミッションパターンを観察することでファセット再生のようすがモニターできる。徐々に処理電圧を上げることで引出し電界強度とともにファセット再生が進行していくようすが観察できる。特徴的な再生度に達したところで再生処理を中止し、チップを実験チャンバから取り出してSEM観察を行って得たのが図3の中段のデータである。
一実施形態では、引出し電極用電源は、引出し電極に接続される側が正極性になるように接続された第1電源、引出し電極に接続される側が負極性になるように接続された第2電源、及び引出し電極を第1電源と第2電源のいずれかに切り換えて接続するスイッチを備えている。通常の動作では正極性電源である第1電源を引出し電極に接続し、ファセット再生時には負極性電源である第2電源を引出し電極に接続する。
前記のスイッチと極性切換回路は、手動で切換えを行うこともでき、自動で行うこともできる。その切換えを手動で行う場合でも、低引出し電圧での動作時間を積算し、その積算時間が予め設定された一定時間以上になると警告を発する制御部をさらに備えることができる。操作者はその制御部からの警告によってエミッタを再生する必要を知ることができるので、前記のスイッチ又は極性切換回路の切換えを適当なタイミングで行うことができる。再生処理は、この電子銃が搭載されているSEMなどの装置の不使用時、例えばスタンバイ・モード時、に行うのが好ましい。
その切換えを自動で行う場合には、低引出し電圧での動作時間を積算し、その積算時間が予め設定された一定時間以上になるとこの電子銃が搭載されている装置が通常運転動作時でないときに引出し電極用電源の出力を逆電圧に切り換える制御部をさらに備えている。この場合は、操作者はエミッタの状態を気にしなくても再生の必要な時期になれば制御部が自動で前記のスイッチ又は極性切換回路の切換えを行い、エミッタを再生する。
本発明では、ファセット再生時にはエミッタに対して負極性の電圧が引出し電極に印加されるのでチップ先端につよい電界を生じさせることがきる。しかしその極性によって、エミッタからの電子放出は起こらない。このため再生時には、エミッタに対して正極性の電圧が引出し電極に印加される場合のような大きな電子放出に伴う真空度の劣化やチップの放電事故のリスクがなくなる。
低加速電圧SEM等で高分解能像を得るために推奨値より低い引出し電圧で熱電界放出型エミッタを動作させる場合、引出し電極に定期的に負極性の電圧を印加してファセット再生処理を行い、閾値より低いチップ電界強度下の運転で先端(100)ファセットがくずれることを阻止することができ、エミッタの寿命を大幅に伸ばすことができる。
一実施例の電子銃を示す概略構成図である。 同実施例におけるエミッタ部を拡大して示す断面図である。 ファセット再生処理を行ったエミッタによるエミッションパターン、エミッタチップのSEM像、及びbccモデルである。 (100)ファセットが崩れていく過程を示すエミッションパターンである。 ファセット再生の過程を示すエミッションパターンである。である。 制御部による自動再生動作を示すフローチャートである。 制御部が警告を発する動作を示すフローチャートである。 引出し電圧をエミッタメーカの推奨値より下げて使用した際に観察されたエミッションパターンとエミッタ先端のSEM画像である。
図1に、熱電界放出型エミッタを備えた本発明の一実施例による電子銃の構成を示す。エミッタ2は<100>方位をもつ単結晶タングステンワイアからなり、同じくタングステンからなる加熱用フィラメント4にスポット溶接により固着されている。フィラメント4はエミッタ碍子16に取りつけられている。
エミッタ2の部分の拡大図が図2に示されている。エミッタ2の先端は、その曲率半径Rが0.5〜1.0μm程度となっている。エミッタ2は、均一なエミッション分布を得るためにファセッティング処理により先端部に平らな(100)面が形成させられている。エミッタ2中にはZrOが拡散浸透している。エミッタ2にバイアス電圧を印加するためにフィラメント4及びエミッタ2を取り囲んでサプレッサ電極12が設けられている。エミッタ碍子16はサプレッサ電極12の中に挿入され、エミッタ2の先端部だけがサプレッサ電極12の上部に空けられた穴から突き出すように固定されている。サプレッサ電極12の上部の穴から突き出すエミッタ2の先端部の高さは0.2〜0.3mmが適当である。
エミッタ2に引出し電圧を印加するためにエミッタ2に対向して引出し電極10が設けられており、引出し電極10は絶縁碍子18をはさんでサプレッサ電極12の対極に配置されている。
図1に戻って説明を続けると、引出し電極10により引き出された電子を、この電子銃が搭載されている装置のレンズ系の方向に導くために、電子の進行方向に対して引出し電極10の前方にアノード20が配置されている。アノード20は接地されている。引出し電極10により引き出された電子はアノード20の開口22を通ってレンズ系(図示略)に導かれる。
エミッタ2にはフィラメント4を介して加速用電源24が接続されている。加速用電源24はエミッタ2から発生する電子ビームを加速する負の電圧Vaccをエミッタ2に印加する。フィラメント4にはエミッタ加熱用電源26が接続され、エミッタ加熱用電源26はフィラメント4にエミッタ2を加熱するための電流を供給する。サプレッサ電極12にはバイアス電源28が接続され、バイアス電源28は加速電圧Vaccを基準にして負のバイアス電圧Vsuppを印加する。
引出し電極10には引出し電極用電源30が接続されている。引出し電極用電源30は、加速電圧Vaccを基準にして、エミッタ2に対して正極性の通常運転用順電圧Vextと負極性の逆電圧Vrの両方を切り換えて印加するものである。引出し電極用電源30から引出し電極10に印加する電圧の極性を、通常運転用順電圧Vextから逆電圧Vrに切り換えるのは、この電子銃が電子ビーム応用装置に装着された状態でエミッタ2の先端部にあるファセットのくずれを再生するときである。
引出し電極用電源30の第1の例として、引出し電極10に接続される側が正極性になるように接続された第1電源30aと、引出し電極10に接続される側が負極性になるように接続された第2電源30bを備えており、引出し電極10をそれらの第1電源30aと第2電源30bのいずれかに切り換えて接続するために、引出し電極10と両電源30a、30bとの間に切り換えスイッチ32を備えている。スイッチ32は例えばリレースイッチである。
図1の実施例では、スイッチ32の切換えを自動化するために制御部38が設けられている。制御部38はデータ処理コンピュータにより実現されるものである。そのようなコンピュータとしては、この電子銃が搭載されているSEMなどの装置の制御用コンピュータ、又は汎用のパーソナルコンピュータを用いることができる。
しかしながら、スイッチ32の切換えを手動で行うようにしてもよい。
図1の実施例の電子銃は、通常型の引出し電極用電源30aに極性を反転した電源30bを追加し、引出し電極10をいずれかの電源30a又は30bに切り換えて接続できるようにしたものである。通常動作時には正極性の引出し電極用電源30aがリレースイッチ等のスイッチ32で選択され、引出し電極10へは正電圧Vextが供給される。フィラメント電流、サプレッサ電圧、引出し電圧、加速電圧の設定方法は従来型熱電界放出型エミッタ電子銃の操作方法と同様である。
いま、低引出し電圧での動作をしばらくつづけ熱電界放出型エミッタチップの先端(100)ファセットが崩れたとしよう。(100)ファセットが消失することに伴いチップからのエミッションは落ちる。この状態をシミュレーションしたものを図4に示す。ここではファセットのくずれ速度を加速するため、熱電界放出型エミッタ2をゼロ電界下で通常よりも高いチップ温度(T=1900°K)に半日ほどおいている。エミッションパターンを見るとはじめ(t=0分)は先端部にファセットがきちんと形成されているが、急激に小さくなっていくことがわかる。半日後には先端部のファセット構造は完全に消失して図8の右下のbのような状態になっていると推測される。
この状態にまで先端形状がくずれると引出し電圧Vextをメーカーの推奨値まで上げるという通常の方法では、(100)ファットを再生することは困難である。ファセット再生が効果的に行われる電圧まで引出し電圧Vextを上げると電子放出が増大し、電子銃室の真空度の劣化を招きエミッタの放電破損のおそれが高まる。また同じ理由でチップの温度を高めて再生のスピード上げることもできない。
本発明では再生処理によってファセットの再生を行う。図1に示す高圧電源構成で、スイッチ32を切り換えることにより、引出し電極用電源30の極性を反転して負極性電源30bを引出し電極10に接続する。
再生処理によるファセット再生の例を図5に示す。図5の各画像の下の数字は再生処理時間(分)を表わしている。ここでは速やかなファセット再生を行うため再生時のチップ温度、引出し電圧をともに高めに設定した(Tr=1890°K,Vr=5000V)。図のエミッションパターンの成長が示すように完全にくずれていた先端(100)面が、約30分という比較的短時間の再生処理によって再生できている。
図1の実施例において、スイッチ32の切換えを自動化するために制御部38が設けられている。スイッチ32を自動的に切り換える実施例の動作を図6に示す。
スイッチ32の切換えは、低引出し電圧での動作の積算時間により行う。低引出し電圧での動作と通常の高引出し電圧での動作を交互に行えばある程度の再生がなされるが、この実施例では低引出し電圧での動作の積算時間が予め定めた一定時間tc以上になると再生処理を行うように制御部38にプログラムが設定されている。再生処理を行うための一定時間tcは別の実験装置によりエミッションパターンを観測しながら実験的に求めておく。
この電子銃を搭載したSEMなどの装置の動作時間のうち、低引出し電圧での動作時間が制御部38で積算される。その積算時間をtとする。その積算時間tが一定時間tcに達すると、制御部38は、そのSEMなどの装置が測定を終わった休止状態であるスタンバイ・モードになるのを待って再生処理に入る。再生処理では、制御部38はエミッタ2を所定温度に加熱し、スイッチ32を逆極性の電圧Vrを印加する方に切り換える。再生処理はあらかじめ定めた一定時間だけ行う。これでエミッタ2先端のファセットが再生される。再生処理を終了すると、制御部38は積算時間tをリセットする。
制御部38はスイッチ32を自動的に切り換える動作を行うものに限らず、再生処理が必要になったことを操作者に警告する機能を持ったものとすることもできる。その場合の実施例の動作を図7に示す。その実施例でも再生処理が必要なことの警告は低引出し電圧での動作の積算時間により行う。低引出し電圧での動作時間が制御部38で積算され、その積算時間tが一定時間tcに達すると、制御部38は、再生処理が必要であることを音声により、表示装置による表示により、又はプリンタによる出力などにより警告として出力する。その警告を知って操作者が主動でスイッチ32を切り換えて再生処理を行う。再生処理が行われると、制御部38は積算時間tをリセットする。
2 エミッタ
4 フィラメント
10 引出し電極
12 サプレッサ電極
20 アノード
24 加速用電源
26 エミッタ加熱用電源
28 バイアス電源
30,30a,30b 引出し電極用電源
32 切り換えスイッチ
34 直流電源

Claims (4)

  1. 電子ビーム応用装置に装着される電子銃であって、
    加熱用フィラメントに取りつけられた熱電界放出型エミッタと、
    前記エミッタに対向して設けられた引出し電極と、
    前記フィラメント及びエミッタを取り囲みエミッタにバイアス電圧を印加するサプレッサ電極と、
    前記エミッタに接続されエミッタから発生する電子ビームを加速する電圧を印加する加速用電源と、
    前記フィラメントに接続され前記エミッタを加熱する電流を供給するエミッタ加熱用電源と、
    前記サプレッサ電極に接続され前記バイアス電圧を印加するバイアス電源と、
    前記引出し電極に接続された引出し電極用電源と、を備え、
    前記引出し電極用電源は、前記エミッタに対して正極性の通常運転用順電圧と負極性の逆電圧の両方を切り換えて印加するものであり、前記引出し電極用電源から前記引出し電極に印加する電圧の極性を前記逆電圧に切り換えることにより該電子銃が電子ビーム応用装置に装着された状態で前記エミッタの先端部にあるファセットのくずれを再生するようにした電子銃。
  2. 前記引出し電極用電源は、前記引出し電極に接続される側が正極性になるように接続された第1電源、前記引出し電極に接続される側が負極性になるように接続された第2電源、及び前記引出し電極を前記第1電源と第2電源のいずれかに切り換えて接続するスイッチを備えている請求項1に記載の電子銃。
  3. 低引出し電圧での動作時間を積算し、その積算時間が予め設定された一定時間以上になると警告を発する制御部をさらに備えている請求項1又は2に記載の電子銃。
  4. 低引出し電圧での動作時間を積算し、その積算時間が予め設定された一定時間以上になるとこの電子銃が搭載されている装置が通常運転動作時でないときに前記引出し電極用電源の出力を逆電圧に切り換える制御部をさらに備えている請求項1又は2に記載の電子銃。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105555994A (zh) * 2013-12-20 2016-05-04 株式会社爱发科 电子枪装置以及真空蒸镀装置
JP6999277B2 (ja) 2016-02-29 2022-01-18 アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー 熱電界エミッタチップ、熱電界エミッタチップを含む電子ビーム装置、および電子ビーム装置を動作させる方法

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