JP2013190556A - レンズ駆動装置及びその駆動方法 - Google Patents

レンズ駆動装置及びその駆動方法 Download PDF

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孝 木原
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Abstract

【課題】2焦点を自動切替でき、部品点数を抑えて軽量化かつ低コストを実現可能なレンズ駆動装置を提供すること。
【解決手段】レンズ駆動装置(1)は、レンズ体を保持し得るレンズホルダ(3)と、レンズホルダ(3)を光軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置に移動させる移動機構と、を具備し、レンズホルダ(3)は、磁場により磁化する吸着部(4、33)を有し、移動機構は、弾性部材により第1の位置に保持されたレンズホルダ(3)を、電磁石(5、6)と吸着部(4、33)との間に引力を働かせることによって第2の位置に移動させる。
【選択図】図5

Description

本発明は、レンズ駆動装置に関し、特にデジタルカメラにおける2焦点機能に好適なレンズ駆動装置及びその駆動方法に関する。
従来、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話に搭載させるレンズ駆動装置において、接写撮影と通常撮影とを切り替えるために、レンズを所定の焦点位置に移動して2焦点切り替えを行う2焦点機能が設けられている。2焦点機能を有するレンズ駆動装置として、ユーザによる手動式レバーの操作を用いる構成や(例えば、特許文献1参照)、永久磁石を用いる構成(例えば、特許文献2参照)などが提案されている。
特開2009−175373号公報 特開2007−108413号公報
しかしながら、上述した従来のレンズ駆動装置において、手動式レバーを用いる構成には、手動式レバーの稼働部に過剰な力が加わった場合に、稼働部が破損するという問題があった。また、永久磁石を用いる構成には、永久磁石に加え環状コイルが2つ必要となるため部品点数が増大するという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、2焦点を自動切替でき、部品点数を抑えて軽量化かつ低コストを実現可能なレンズ駆動装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
本発明のレンズ駆動装置は、レンズ体を保持し得るレンズホルダと、前記レンズホルダを光軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置に移動させる移動機構と、を具備するレンズ駆動装置であって、前記レンズホルダは、磁場により磁化する吸着部を有し、前記移動機構は、弾性部材により前記第1の位置に保持された前記レンズホルダを、電磁石と前記吸着部との間に引力を働かせることによって前記第2の位置に移動させることを特徴とする。
上記レンズ駆動装置によれば、電磁石の磁力によってレンズホルダを移動させることにより2焦点を切り替えることができるため、手動式レバーや永久磁石を設ける必要がない。そのため、稼働部が破損するという不具合が生じることなく、部品点数を抑えて軽量化かつ低コストを実現したレンズ駆動装置を提供することが可能となる。
また、上記レンズ駆動装置において、前記電磁石は、ヨーク及びコイルで構成され、前記ヨークは、内側ヨーク、外側ヨーク並びに前記内側ヨーク及び前記外側ヨークを連結する連結ヨークで構成され、前記コイルは、前記内側ヨーク、前記外側ヨーク及び前記連結ヨークで囲まれた空間に収容され、前記ヨークの内壁に沿って巻回されていることが好ましい。この場合には、コイルがヨークによって囲まれているため、高い吸着力を得ることが可能となる。
さらに、上記レンズ駆動装置において、前記レンズホルダは、前記内側ヨークで囲まれた内部に挿通されることが好ましい。この場合には、内側ヨークで囲まれた内部空間を有効に活用し、レンズ駆動装置における光軸方向と直交する方向の面積を小さくすることができるので、レンズ駆動装置を小型化することが可能となる。
さらに、上記レンズ駆動装置において、前記第2の位置において、前記吸着部は前記内側ヨークの下端部と当接し、前記外側ヨークは前記吸着部よりも下方側に延在していることが好ましい。この場合には、外側ヨークをレンズ駆動装置の側面ケースとしても利用できるため、部品点数を抑えることが可能となる。
さらに、上記レンズ駆動装置において、前記吸着部は前記レンズホルダに設けた鍔状部からなることが好ましい。この場合には、吸着部の面積を広く取ることができるため、電磁石の磁力によってレンズホルダを確実に引き寄せることが可能となる。
さらに、上記レンズ駆動装置において、前記弾性部材は、前記レンズホルダを光軸方向の上下両端において支持する上側板ばね及び下側板ばねで構成されることが好ましい。この場合には、レンズホルダは上下2枚の板ばねにより保持されるため、光軸に対する2焦点位置での軸ずれを最小限に抑えることが可能となる。
本発明のレンズ駆動装置の駆動方法は、レンズ体を保持し得るレンズホルダと、前記レンズホルダを光軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置に移動させる移動機構と、を具備するレンズ駆動装置の駆動方法であって、前記レンズホルダは、磁場により磁化する吸着部を有し、弾性部材により前記第1の位置に保持された前記レンズホルダを、前記移動機構における電磁石と前記吸着部との間に引力を働かせることによって前記第2の位置に移動させることを特徴とする。
上記レンズ駆動装置の駆動方法によれば、電磁石の磁力によってレンズホルダを移動させることにより2焦点を切り替えることができる。そのため、手動式レバーや永久磁石を設ける必要がなく、稼働部が破損するという不具合が生じることもない。
上記レンズ駆動装置の駆動方法において、前記移動機構は、前記レンズホルダを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる場合に前記電磁石に通電する電流量よりも小さな電流量を前記電磁石に通電した状態で、前記レンズホルダを前記第2の位置に保持し続けることが好ましい。この場合には、電磁石の引力によりレンズ位置を第2の位置とした後は、レンズホルダを第2の位置に保持し続けることができる吸着力が得られる程度まで電流量を低減することができるため、レンズ駆動装置の省電力化が実現できる。
本発明によれば、電磁石の磁力によってレンズホルダを移動して2焦点切替することから、2焦点の自動切替が可能であり、また、部品点数を抑えて軽量化かつ低コストのレンズ駆動装置を実現できる。
本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。 上記実施の形態に係るレンズ駆動装置の分解斜視図である。 上記実施の形態に係るレンズ駆動装置を組み立てた状態の斜視図である。 図3に示すレンズ駆動装置からカバー部材を取り除いた場合の斜視図である。 レンズ駆動装置にカバー部材を取り付けた場合における、図3のA−A線矢視断面図である。 レンズホルダに下側板ばねを取り付けた状態を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の一実施の形態に係るレンズ駆動装置1の分解斜視図である。図1においては、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を上方側から示し、図2においては、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を下方側から示している。
図1及び図2に示すように、このレンズ駆動装置1は、装置の底面部を構成するベース部材2と、図示しないレンズ体を保持するレンズ保持手段としてのレンズホルダ3と、このレンズホルダ3を光軸方向に移動させる移動機構を構成する可動ヨーク4、コイル5及びヨーク6と、レンズホルダ3をベース部材2に弾性的に固定する一対の板ばね(下側板ばね7及び上側板ばね8)と、上側板ばね8をヨーク6に固定するカバー部材9と、を含んで構成される。
ベース部材2は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して構成され、概して矩形状に設けられている。ベース部材2の中央近傍には、図示しないイメージセンサに対応する位置に矩形状の開口部21が設けられている。ベース部材2における対向する2辺に沿って、上方側に突出した壁状部22が設けられている。また、ベース部材2において壁状部22が設けられていない辺の一方には、その中央部に延出部23が設けられている。延出部23は、辺の中央部から側方側に延出し、さらにその先端部から上方側に向けて略直角に突出した形状を有している。壁状部22及び延出部23は、ヨーク6をベース部材2上に取り付ける際の位置決め部として機能する。壁状部22は、ベース部材2の辺に沿った中央部分に切れ目を有しており、その切れ目部分には貫通孔24が形成されている。また、貫通孔24を挟んだ両側には、ベース部材2表面から僅かに盛り上がった、平坦状の一対のストッパ部25がそれぞれ設けられている。ベース部材2における壁状部22が設けられた辺の外周面には、略中央部に、ベース部材2表面から下方側に窪んだ凹部26が設けられている。
また、ベース部材2の四隅部には、上方側に突出する複数(本実施の形態において4つ)のボス27が設けられている。これらのボス27は、下側板ばね7をベース部材2に取り付けるために利用されるものであり、後述する下側板ばね7の貫通孔71aに挿通された状態で熱かしめ等により変形されることで下側板ばね7を固定する。なお、図1において、これらのボス27が変形された状態について示している。
ベース部材2には、ヨーク6の固定に利用される金属板材10が、その一部を露出した状態でインサート成形されている。金属板材10は、例えば、洋白、リン青銅などの金属材料で構成されている。この金属板材10は、延出部23が配置された辺側に開口した略U字形状に構成され、ベース部材2の対向する2辺の側面部及び上面部において露出する複数(本実施の形態において4つ)の固定片101を有している。これらの固定片101に対して、後述するヨーク6の固定片63をレーザ溶接等によって固着することにより、ベース部材2にヨーク6が固定される。
ベース部材2には、下側板ばね7の導通接続に利用される一対の金属板材11が、その一部を露出した状態でインサート成形されている。これらの金属板材11は、延出部23が配置された辺の内部に配置され、それぞれベース部材2の上面に露出する接続部111aと、ベース部材の下面側から突出する接続片111bと、を有している。ベース部材2に固定された下側板ばね7の一部が接続部111aと接続されることによって、下側板ばね7が導電接続され、下側板ばね7を介してコイル5への通電がなされる。
レンズホルダ3は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成形して構成され、概して円筒形状に設けられている。レンズホルダ3の内周面には、図示しないレンズ体をねじ込み可能なねじ溝が設けられている。レンズホルダ3の外周面における上端部には、レンズホルダ3の径方向外側に突出する複数(本実施の形態において2つ)の保持片31が設けられている。レンズホルダ3の上端円周上には、上方側に突出する複数(本実施の形態において4つ)の突出片32が等間隔に設けられている。なお、突出片32のうち2つは、保持片31上に設けられている。
また、レンズホルダ3の下端部には、外周面よりも径方向外側に延出するように鍔状部33が設けられている。鍔状部33は、レンズホルダ3に対してフランジ状に設けられ、保持片31や突出片32とは、光軸方向に一定距離離間して設けられている。鍔状部33は、突出片32に対応する位置にそれぞれ切れ目33a,33bを有する。切れ目33aは、保持片31上に形成された突出片32に対応する位置に設けられた切れ目である。切れ目33bは、保持片31上に形成されない突出片32に対応する位置に設けられた切れ目である。切れ目33bには、レンズホルダ3の外周面よりも径方向外側に延出する、上面視にて概して長方形状の延出部34がそれぞれ設けられている。
鍔状部33は、その上面が光軸方向に直交する平面を構成する一方、その下面には、複数のボス35,36が設けられている。ボス35は、切れ目33bを挟んだ両側に、それぞれ一対に設けられている。また、ボス36は、切れ目33b及び一対のボス35を挟んだ両側に、それぞれ一対に設けられている。ボス35は、レンズホルダ3を下側板ばね7に取り付けるために利用されるものであり、後述する下側板ばね7の貫通孔72aに挿通された状態で熱かしめ等により変形されることで下側板ばね7を固定する。ボス36は、ベース部材2のストッパ部25と当接し、レンズホルダ3の位置決めに利用される。したがって、ボス36は、それぞれベース部材2のストッパ部25に対応した位置に設けられている。
可動ヨーク4は、例えば、金属磁性体材料を機械加工して構成され、円環形状に設けられている。可動ヨーク4の内周径は、レンズホルダ3の外周径と略同径に構成されている。可動ヨーク4は、レンズホルダ3の鍔状部33上面に接着固定されている。
コイル5は、円環形状に束ねられ、後述するヨーク6の外壁部に接着固定された状態で、ヨーク6の外壁部と垂下壁面66との間に収容される。また、コイル5の内周径は、レンズホルダ3の外周径よりも大径に構成されている。
ヨーク6は、例えば、金属磁性材料を機械加工して構成され、図1に示す下方側に開口した箱状に設けられている。また、ヨーク6は概して矩形状に設けられ、その中央に円形状の開口部61が設けられている。開口部61の内周径は、レンズホルダ3の外周径よりも大径に構成されており、レンズ駆動装置1を組み立てた際に、開口部61の内側にレンズホルダ3が配置される。この構成により、レンズ駆動装置1を小型化することが可能となる。開口部61の周縁部には、上面視にて略長方形状に切り欠かれた切り欠き部61aが設けられている。切り欠き部61aは、レンズ駆動装置1を組み立てた際に、レンズホルダ3における保持片31に対応した位置に設けられている。また、ヨーク6の上面における四隅部分の近傍には、複数(本実施の形態において4つ)の貫通孔62が設けられている。これらの貫通孔62には、後述するカバー部材9の固定ピン92が挿入される。
ヨーク6の対向する2辺の外周下端部には、側方側に突出する複数(本実施の形態において4つ)の固定片63が設けられている。固定片63は、レンズ駆動装置1を組み立てた際に、ベース部材2から露出する固定片101と重なる位置に設けられている。ヨーク6の固定片63が設けられた辺における、固定片63に挟まれた位置には、ヨーク6の外周壁部が下方側に延出した延出部64が設けられている。延出部64は、レンズ駆動装置1を組み立てた際に、ベース部材2における凹部26に挿入される。ヨーク6において固定片63及び延出部64が設けられていない辺の一方には、下方側に開口した矩形状の溝部65が設けられている。溝部65は、レンズ駆動装置1を組み立てた際に、ベース部材2における延出部23が挿入される。
ヨーク6における開口部61の周縁部のうち、切り欠き部61aが形成されていない部分からは、曲面を有する垂下壁面66が垂下して設けられている。すなわち、ヨーク6は、垂下壁面66からなる内側ヨーク、ヨーク6の外壁部からなる外側ヨーク、ヨーク6の上面からなる内側ヨーク及び外側ヨークを連結する連結ヨークで構成される。コイル5は、ヨーク6の外壁部に接着固定されており、外壁部と上面部と垂下壁面66とで囲まれた空間に収容されている。
このようなヨーク6及びコイル5によって、電磁石が構成される。コイル5は、内側ヨーク、外側ヨーク及び連結ヨークによって囲まれているため、コイル5に通電した場合に、N極から出た磁力線はまわりを囲むヨーク6に集まり、ヨーク6を介してS極に戻る構成となる。したがって、電磁石として、高い吸引力を得ることができる。また、ヨーク6の外壁部は、外側ヨークとして機能するだけでなく、レンズ駆動装置1の外側ケースとしても利用できる。これにより、レンズ駆動装置1における部品点数を抑え、レンズ駆動装置1を小型化することが可能となる。
下側板ばね7は、弾性部材を構成するものであり、例えば、リン青銅などの導電性材料を成形して構成される。下側板ばね7は、一対の板ばねから構成され、それぞれベース部材2に固定される外側固定部71と、レンズホルダ3の下面に固定される内側固定部72と、外側固定部71と内側固定部72とを連結する腕部73と、を有している。外側固定部71の所定位置には、複数(本実施の形態において4つ)の貫通孔71aが設けられている。これらの貫通孔71aに、ベース部材2のボス27を挿通してかしめることにより、下側板ばね7はベース部材2に固定される。内側固定部72の所定位置には、複数(本実施の形態において4つ)の貫通孔72aが設けられている。これらの貫通孔72aに、レンズホルダ3のボス35を挿通してかしめることにより、下側板ばね7はレンズホルダ3に固定される。腕部73は、ベース部材2の四隅部分に対応する外側固定部71の位置から複数回折り返して、外側固定部71と内側固定部72とを連結する。
上側板ばね8は、下側板ばね7と同様に、例えば、リン青銅などの導電性材料を成形して形成され、ヨーク6の上面の形状と略同一の形状を有している。上側板ばね8は、ヨーク6の上面に固定される外側固定部81と、レンズホルダ3の上面に固定される内側固定部82と、外側固定部81と内側固定部82とを連結する腕部83と、を有している。外側固定部81の所定位置には、複数(本実施の形態において4つ)の貫通孔81aが設けられている。これらの貫通孔81aに、後述するカバー部材9の固定ピン92が挿通され熱かしめにより、上側板ばね8はヨーク6に固定される。内側固定部82の所定位置には、一対の凸部82aが設けられている。この一対の凸部82aが、レンズホルダ3の保持片31上に載り、一対の凸部82aによって保持片31上の突出片32を挟んだ状態で、上側板ばね8はレンズホルダ3に接着固定される。腕部83は、ヨーク6の四隅部分に対応する外側固定部81の位置から複数回折り返して、外側固定部81と内側固定部82とを連結する。
カバー部材9は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成型加工して構成され、概して矩形状に設けられている。カバー部材9の中央部には、概して円形状の開口部91が設けられている。カバー部材9は、ヨーク6の上面の形状と略同一の形状を有しており、開口部91がヨーク6の開口部61に対応するように構成されている。また、カバー部材9の下面であって開口部61の周縁部には、上側板ばね8をヨーク6の上面に固定するための複数の固定ピン92が設けられている。固定ピン92は、カバー部材9の四隅部分に対応する位置に設けられており、上側板ばね8の貫通孔81a及びヨーク6の貫通孔62に挿通固定される。
続いて、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1を組み立てた状態について説明する。図3は、レンズ駆動装置1を組み立てた状態の斜視図である。図4は、図3に示すレンズ駆動装置1からカバー部材9を取り除いた場合の斜視図である。図5は、レンズ駆動装置1にカバー部材9を取り付けた場合における、図3のA−A線矢視断面図である。
図3に示すように、このような構成を有するレンズ駆動装置1を組み立てると、ベース部材2の凹部26にヨーク6の延出部64が挿入され、ヨーク6の溝部65にベース部材2の延出部23が挿入された状態で、ベース部材2とヨーク6とが配置される。このとき、ヨーク6の固定片63は、ベース部材2から露出する固定片101上に重ねられた状態となる。そして、これら固定片63と固定片101とをレーザ溶接等により接合させることによって、ベース部材2にヨーク6が固定される。なお、固定片63は、固定片101に対して接合しやすいようにその中央が窪んだ形状に構成されている。カバー部材9は、ヨーク6上面に固定されている。このようにベース部材2、ヨーク6及びカバー部材9で囲まれた空間に、各構成部品が収容されている。
図3に示すように、レンズ駆動装置1が組み立てられた状態において、カバー部材9の開口部91の内部にレンズホルダ3が配置されている。図示しないレンズ体は、このレンズホルダ3に、図3に示す上方側からねじ込むことで組みつけられ、このレンズホルダ3と一体的に移動可能に構成される。
図4に示すように、カバー部材9の内部においては、ヨーク6及びレンズホルダ3上に、上側板ばね8が配置されている。上側板ばね8の外側固定部81における貫通孔81aは、ヨーク6の貫通孔62と重なるように配置されている。レンズホルダ3の保持片31は、ヨーク6の切り欠き部61a内に配置されている。上側板ばね8の内側固定部82は、一対の凸部82aがレンズホルダ3の突出片32を挟んだ状態で、レンズホルダ3の保持片31上に配置されている。
図5に示すように、レンズホルダ3の上端部は、ヨーク6の上面より、上方側に突出している。そのため、カバー部材9を取り付けると、レンズホルダ3の上端部に設けられた保持片31上に配置された上側板ばね8の内側固定部82は、カバー部材9によって下方側に押し付けられた状態となる。これにより、上側板ばね8には、レンズホルダ3を下方側に付勢する力が働く。
ヨーク6の外壁部と上面部と垂下壁面66とで囲まれた空間には、外壁部に固定されたコイル5が収容されている。ヨーク6の開口部61内には、レンズホルダ3が配置されている。このように、レンズホルダ3は、垂下壁面66からなる内側ヨークで囲まれた内部に挿通されるため、内側ヨークで囲まれた内部空間を有効に活用し、レンズ駆動装置1における光軸方向と直交する方向の面積を小さくすることができる。
レンズホルダ3の鍔状部33上面には、可動ヨーク4が固定されている。また、レンズホルダ3の鍔状部33の底面には、下側板ばね7が取り付けられている。
図6は、レンズホルダ3に下側板ばね7を取り付けた状態を説明するための図である。図6Aにおいては、レンズホルダ3に下側板ばね7を取り付けた状態の斜視図を示している。図6Bにおいては、レンズホルダ3に下側板ばね7を取り付けた状態の側面図を示している。なお、図6においては、レンズホルダ3を下方側から示し、説明の便宜上、その上下方向を逆転して示している。
下側板ばね7は、図6Aに示すように、鍔状部33に設けられたボス35が、下側板ばね7の内側固定部72における貫通孔72aを挿通するようにレンズホルダ3に取り付けられる。そして、貫通孔72aを挿通したボス35に熱を加えて変形させることで(熱かしめ)、鍔状部33の底面に下側板ばね7が固定される。また、鍔状部33に設けられたボス36及び延出部34は、下側板ばね7の外側固定部71と内側固定部72との間から下方側(図6Aに示す上方側)に突出した状態となっている。
このように、下側板ばね7をレンズホルダ3に固定した後、レンズホルダ3をベース部材2に固定する。このとき、下側板ばね7は、ベース部材2に設けられたボス27が、下側板ばね7の外側固定部71における貫通孔71aを挿通するようにベース部材2に取り付けられる。そして、貫通孔71aを挿通したボス27に熱を加えて変形させることで(熱かしめ)、ベース部材2に下側板ばね7が固定される。これにより、下側板ばね7を介してレンズホルダ3がベース部材2に固定される。なお、下側板ばね7の一部は、ベース部材2の上面から露出する接続部111a上に配置され、半田付け等により接続されている。
ここで、図6Bに示すように、ボス35とボス36とでは、ボス36の方がより下方側(図6Bに示す上方側)に突出して設けられている。すなわち、レンズ駆動装置1を組み立てた際に、ボス36はベース部材2のストッパ部25に当接した状態となるが、ボス35はベース部材2と接触しない構成となる。下側板ばね7において、外側固定部71はベース部材2に固定され、内側固定部72はボス35によってレンズホルダ3に固定されているため、外側固定部71と内側固定部72との間には段差が生じた状態となる(図6B参照)。なお、図6においては、外側固定部71がベース部材2に固定された状態について示している。先述のとおり、レンズホルダ3は上側板ばね8によって下方側に付勢されているため、ベース部材2のストッパ部25に当接される。
このように、レンズホルダ3は、下側板ばね7によりベース部材2に固定される一方、上側板ばね8によりヨーク6に固定され、これらの上側板ばね8及び下側板ばね7の付勢力によって初期位置に保持された状態となる。このレンズホルダ3を上下2枚の板ばねによって保持する構成により、光軸に対し2焦点位置での軸ずれを最小限に抑えることが可能となる。
次に、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1の動作について説明する。レンズ駆動装置1は、コイル5に通電していない初期状態において、レンズ位置が通常位置(∞)であり、コイル5に通電した駆動状態において、レンズ位置がマクロ位置である。
初期状態において、レンズホルダ3は上側板ばね8及び下側板ばね7の付勢力によって通常位置に保持された状態となっている(図5参照)。このとき、ヨーク6の垂下壁面66の下端部と、レンズホルダ3に固定された可動ヨーク4上面との間には、ギャップaが存在している。なお、初期状態におけるギャップaの値は、例えば、0.2mmに設定される。
駆動状態において、コイル5に通電することによって、磁力が発生し、コイル5及びヨーク6は電磁石として機能する。電磁石は、電磁石とレンズホルダ3に固定された可動ヨーク4との間に引力を働かせる。すなわち、レンズホルダ3の鍔状部33及びこれに固定された可動ヨーク4は、磁場により磁化する吸着部として機能する。これにより、レンズホルダ3は上側板ばね8及び下側板ばね7の付勢力に抗して上方向に移動する。このとき、電磁石の引力は可動ヨーク4に対して働くため、引力が働く面積を広く取ることができる。これにより、電磁石の磁力によってレンズホルダ3を確実に引き寄せることが可能となる。レンズホルダ3が、最上位置まで光軸方向に移動したときのレンズ位置が、マクロ位置となる。なお、このとき、ヨーク6の垂下壁面66の下端部とレンズホルダ3に固定された可動ヨーク4の上面とは当接しているため、ギャップaの値は0となる。
電磁石の引力によりレンズ位置をマクロ位置とした後は、レンズホルダ3を最上位置に保持し続けることができる吸着力が得られる程度まで電流量を低減することができる。例えば、レンズ位置を通常位置からマクロ位置に移動させる場合の電流を80mAとし、レンズ位置をマクロ位置に保持し続ける場合の電流を20mAとすることができる。これにより、レンズ駆動装置1の省電力化が実現できる。
本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、例えば、装置本体を搭載するデジタルカメラや携帯電話の制御部からの駆動指示に応じて、コイル5に通電する電流量を制御することによって、可動ヨーク4が固定されたレンズホルダ3を上下移動させ、その位置決めを行う。これにより、レンズホルダ3に組みつけられたレンズ体の位置決めを行うことが可能となる。なお、コイル5への通電を停止すると、レンズホルダ3は、上側板ばね8及び下側板ばね7の付勢力に応じて通常位置(∞)に復帰する。すなわち、レンズ駆動装置1の電源をオフとすると、レンズ位置は通常位置(∞)に設定される。
これに対して、例えば、レンズ位置を手動で切り替える構成の場合には、前にカメラを使ったときに設定したレンズ位置(通常位置又はマクロ位置)がそのまま維持され続け、再度カメラを使う際にレンズが意図しないレンズ位置にあることにより、撮影を失敗してしまうことがある。本実施の形態に係るレンズ駆動装置1によれば、再度電源をオンとしたときに、レンズ位置は必ず通常位置(∞)に設定されているため、マクロで撮影したい場合のみマクロ位置に設定することとなり、撮影の失敗を防ぐことができる。
このように、本実施の形態に係るレンズ駆動装置1においては、コイル5及びヨーク6から構成される電磁石の磁力によってレンズホルダ3を移動させることにより2焦点を切り替えることができるため、手動式レバーや永久磁石を設ける必要がない。そのため、稼働部が破損するという不具合が生じることなく、部品点数を抑えて軽量化かつ低コストを実現したレンズ駆動装置1を提供することが可能となる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、さまざまに変更して実施可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更が可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施可能である。
上記実施の形態においては、可動ヨーク4を、レンズホルダ3の鍔状部33上面に接着固定する場合について説明しているが、可動ヨーク4をレンズホルダ3に固定する構成についてはこれに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、可動ヨーク4は、レンズホルダ3にインサート成形される構成であってもよい。
1 レンズ駆動装置
2 ベース部材
21 開口部
22 壁状部
23 延出部
24 貫通孔
25 ストッパ部
26 凹部
27 ボス
3 レンズホルダ
31 保持片
32 突出片
33 鍔状部
33a,33b 切れ目
34 延出部
35,36 ボス
4 可動ヨーク
5 コイル
6 ヨーク
61 開口部
61a 切り欠き部
62 貫通孔
63 固定片
64 延出部
65 溝部
66 垂下壁面
7 下側板ばね
71 外側固定部
71a 貫通孔
72 内側固定部
72a 貫通孔
73 腕部
8 上側板ばね
81 外側固定部
81a 貫通孔
82 内側固定部
82a 凸部
83 腕部
9 カバー部材
91 開口部
92 固定ピン
10 金属板材
101 固定片
11 金属板材
111a 接続部
111b 接続片

Claims (8)

  1. レンズ体を保持し得るレンズホルダと、前記レンズホルダを光軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置に移動させる移動機構と、を具備するレンズ駆動装置であって、
    前記レンズホルダは、磁場により磁化する吸着部を有し、
    前記移動機構は、弾性部材により前記第1の位置に保持された前記レンズホルダを、電磁石と前記吸着部との間に引力を働かせることによって前記第2の位置に移動させることを特徴とするレンズ駆動装置。
  2. 前記電磁石は、ヨーク及びコイルで構成され、前記ヨークは、内側ヨーク、外側ヨーク並びに前記内側ヨーク及び前記外側ヨークを連結する連結ヨークで構成され、前記コイルは、前記内側ヨーク、前記外側ヨーク及び前記連結ヨークで囲まれた空間に収容され、前記ヨークの内壁に沿って巻回されていることを特徴とする請求項1記載のレンズ駆動装置。
  3. 前記レンズホルダは、前記内側ヨークで囲まれた内部に挿通されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ駆動装置。
  4. 前記第2の位置において、前記吸着部は前記内側ヨークの下端部と当接し、前記外側ヨークは前記吸着部よりも下方側に延在していることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のレンズ駆動装置。
  5. 前記吸着部は前記レンズホルダに設けた鍔部材からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
  6. 前記弾性部材は、前記レンズホルダを光軸方向の上下両端において支持する上側板ばね及び下側板ばねで構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
  7. レンズ体を保持し得るレンズホルダと、前記レンズホルダを光軸方向に沿って第1の位置及び第2の位置に移動させる移動機構と、を具備するレンズ駆動装置の駆動方法であって、
    前記レンズホルダは、磁場により磁化する吸着部を有し、
    弾性部材により前記第1の位置に保持された前記レンズホルダを、前記移動機構における電磁石と前記吸着部との間に引力を働かせることによって前記第2の位置に移動させることを特徴とするレンズ駆動装置の駆動方法。
  8. 前記移動機構は、前記レンズホルダを前記第1の位置から前記第2の位置に移動させる場合に前記電磁石に通電する電流量よりも小さな電流量を前記電磁石に通電した状態で、前記レンズホルダを前記第2の位置に保持し続けることを特徴とする請求項7記載のレンズ駆動装置の駆動方法。
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