JP2013188062A - マトリクスコンバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたマトリクスコンバータ装置 - Google Patents

マトリクスコンバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたマトリクスコンバータ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】回転座標変換を行ってから所定の制御を行って、生成された補正値信号に静止座標変換を行うのと同様の処理であり、かつ、線形性および時不変性を有する処理を行う、マトリクスコンバータ回路の制御回路を提供する。
【解決手段】仮想コンバータ制御部5'および仮想インバータ制御部6’において、それぞれ、各偏差信号をそれぞれ第1の伝達関数で信号処理して補正値信号を生成し、2つの補正値信号を二相/三相変換した3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成する。仮想コンバータ制御部5'が生成したPWM信号と仮想インバータ制御部6’が生成したPWM信号とを合成して、マトリクスコンバータ回路を制御するPWM信号を生成する。所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とした場合、第1の伝達関数は、G(s)=[F(s+jω0)+F(s−jω0)}/2である。
【選択図】図13

Description

本発明は、マトリクスコンバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたマトリクスコンバータ装置に関する。
交流電力の周波数を変換する装置として、コンバータとインバータとを組み合わせたAC/DC/AC電力変換装置が広く使用されている。AC/DC/AC電力変換装置は直流バスに大きな電界コンデンサや直流リアクトルなどを必要とするので、小型化、長寿命化することが難しい。また、2段階の電力変換が必要なので、総合的な変換効率が低くなってしまうという問題もある。
そこで、近年、直流バスを必要とせず、交流から交流に直接変換するAC/AC電力変換装置(以下、「マトリクスコンバータ装置」とする。)が開発されている。マトリクスコンバータ装置の制御方法として、入力電流指令と出力電圧指令とに見合ったPWM信号を直接生成するAC/AC直接方式と、仮想のコンバータとインバータとを想定して入力電流と出力電圧とを独立に制御する仮想AC/DC/AC方式とが提案されている。仮想AC/DC/AC方式は、AC/AC直接方式と比べて入力電流ひずみ率が高いというデメリットがあるが、従来のコンバータおよびインバータの制御方法を応用できるというメリットがある。
図22は、従来の仮想AC/DC/AC方式のマトリクスコンバータ装置を説明するためのブロック図である。
マトリクスコンバータ装置A100は、三相の電力系統Bから供給される交流電力の周波数を変換して、負荷Lに供給するものである。マトリクスコンバータ装置A100は、マトリクスコンバータ回路1、入力電流センサ2、出力電圧センサ3、および、制御回路400を備えている。
マトリクスコンバータ回路1は、9個のスイッチング素子(図示しない)を有するPWM制御型の三相マトリクスコンバータを備えており、これらのスイッチング素子のスイッチングにより交流電力の周波数の変換を行う。マトリクスコンバータ回路1は、制御回路400から入力されるPWM信号に基づいて、各スイッチング素子のオンとオフとを切り替える。以下では、マトリクスコンバータ回路1の入力側の3つの相をr相、s相、t相とし、出力側の3つの相をu相、v相およびw相とする。
入力電流センサ2は、マトリクスコンバータ回路1に入力される各相の交流電流を検出する。検出された入力電流信号I(Ir,Is,It)は、制御回路400に入力される。出力電圧センサ3は、マトリクスコンバータ回路1から出力される各相の交流電圧を検出するものである。検出された出力電圧信号V(Vu,Vv,Vw)は、制御回路400に入力される。
制御回路400は、マトリクスコンバータ回路1を制御するものである。制御回路400は、入力電流センサ2が検出した入力電流信号Iと、出力電圧センサ3が検出した出力電圧信号Vとを入力され、これに基づいてPWM信号を生成してマトリクスコンバータ回路1に出力する。マトリクスコンバータ回路1は、制御回路400から入力されるPWM信号に基づいてスイッチング素子のスイッチングを行う。
制御回路400は、入力電流信号Iに基づいてPWM信号を生成する仮想コンバータ制御部500、出力電圧信号Vに基づいてPWM信号を生成する仮想インバータ制御部600、および、仮想コンバータ制御部500が出力するPWM信号と仮想インバータ制御部600が出力するPWM信号とを合成するPWM信号合成部700を備えている。
図23は、仮想コンバータ制御部500および仮想インバータ制御部600の内部構成を説明するためのブロック図であり、同図(a)が仮想コンバータ制御部500を示し、同図(b)が仮想インバータ制御部600を示している。
同図(a)に示すように、三相/二相変換部51は、入力電流センサ2から入力された3つの入力電流信号Ir,Is,Itを、α軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβに変換するものである。三相/二相変換部51は、いわゆる三相/二相変換処理(αβ変換処理)を行うものであり、入力電流信号Ir,Is,Itを互いに直交するα軸成分とβ軸成分とにそれぞれ分解して、各軸成分をまとめることでα軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβを生成する。
三相/二相変換部51で行われる変換処理は、下記(1)式に示す行列式で表される。
回転座標変換部52aは、三相/二相変換部51から入力されるα軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβを、回転座標系のd軸入力電流信号Idおよびq軸入力電流信号Iqに変換するものである。回転座標系は、直交するd軸とq軸とを有し、電力系統Bの系統電圧の基本波と同一の角速度で同一の回転方向に回転する直交座標系である。回転座標系の反対概念として、回転しない座標系を静止座標系とする。回転座標変換部52aは、いわゆる回転座標変換処理(dq変換処理)を行うものであり、静止座標系のα軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβを、位相検出部(図示しない)が検出した系統電圧の基本波の位相θに基づいて、回転座標系のd軸入力電流信号Idおよびq軸入力電流信号Iqに変換する。
回転座標変換部52aで行われる変換処理は、下記(2)式に示す行列式で表される。
LPF52bおよびLPF52cは、ローパスフィルタであり、それぞれd軸入力電流信号Idおよびq軸入力電流信号Iqの直流成分だけを通過させる。回転座標変換処理によって、α軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβの基本波成分が、それぞれd軸入力電流信号Idおよびq軸入力電流信号Iqの直流成分に変換されている。PI制御部52dおよびPI制御部52eは、それぞれd軸入力電流信号Idおよびq軸入力電流信号Iqの直流成分とその目標値との偏差に基づいてPI制御(比例積分制御)を行い、補正値信号Xd,Xqを出力するものである。目標値として直流成分を用いることができるので、PI制御部52dおよびPI制御部52eは、精度のよい制御を行うことができる。
静止座標変換部52fは、PI制御部52dおよびPI制御部52eからそれぞれ出力された補正値信号Xd,Xqを、静止座標系の2つの補正値信号Xα,Xβに変換するものであり、回転座標変換部52aとは逆の変換処理を行うものである。静止座標変換部52fは、いわゆる静止座標変換処理(逆dq変換処理)を行うものであり、回転座標系の補正値信号Xd,Xqを、位相θに基づいて、静止座標系の補正値信号Xα,Xβに変換する。
静止座標変換部52fで行われる変換処理は、下記(3)式に示す行列式で表される。
二相/三相変換部53は、静止座標変換部52fから入力される補正値信号Xα,Xβを、3つの補正値信号Xr,Xs,Xtに変換するものである。二相/三相変換部53は、いわゆる二相/三相変換処理(逆αβ変換処理)を行うものであり、三相/二相変換部51とは逆の変換処理を行うものである。
二相/三相変換部53で行われる変換処理は、下記(4)式に示す行列式で表される。
PWM信号生成部54は、二相/三相変換部53が出力した補正値信号Xr,Xs,Xtに基づいてPWM信号を生成して出力する。
同図(b)に示す仮想インバータ制御部600の内部構成およびその機能も、仮想コンバータ制御部500と同様である。すなわち、三相/二相変換部61は、出力電圧センサ3から入力された3つの出力電圧信号Vu,Vv,Vwを、α軸出力電圧信号Vαおよびβ軸出力電圧信号Vβに変換する。回転座標変換部62aは、三相/二相変換部61から入力されるα軸出力電圧信号Vαおよびβ軸出力電圧信号Vβを、内部で生成した位相θ’に基づいて、回転座標系のd軸出力電圧信号Vdおよびq軸出力電圧信号Vqに変換する。
PI制御部62dおよびPI制御部62eは、それぞれd軸出力電圧信号Vdおよびq軸出力電圧信号Vqの直流成分とその目標値との偏差に基づいてPI制御(比例積分制御)を行い、補正値信号Yd,Yqを出力する。静止座標変換部62fは、PI制御部62dおよびPI制御部62eからそれぞれ出力された補正値信号Yd,Yqを、静止座標系の2つの補正値信号Yα,Yβに変換する。二相/三相変換部63は、静止座標変換部62fから入力される補正値信号Yα,Yβを、3つの補正値信号Yu,Yv,Ywに変換する。PWM信号生成部64は、二相/三相変換部63が出力した補正値信号Yu,Yv,Ywに基づいてPWM信号を生成して出力する。
図22に戻って、PWM信号合成部700は、仮想コンバータ制御部500より入力されるPWM信号と、仮想インバータ制御部600より入力されるPWM信号とから、マトリクスコンバータ回路1を制御するためのPWM信号を合成してマトリクスコンバータ回路1に出力する。
「キャリア比較方式を用いた仮想AC/DC/AC変換方式によるマトリックスコンバータの制御法」、伊藤淳一,佐藤以久也,大口英樹,佐藤和久,小高章弘,江口直也、電学論D,Vol.124,No.5,pp.457−463(2004)
しかしながら、制御回路400の制御系を設計することに大変な労力が必要であるという問題がある。高速な応答性を有するように制御系を設計するためには、各LPF52b,52c、62b、62cのパラメータや、各PI制御部52d、52e,62d,62eの比例ゲインおよび積分ゲインを最適に設計する必要がある。しかし、回転座標変換部52a,62aおよび静止座標変換部52f,62fは非線形時変処理を行うために、線形制御理論を用いて制御系を設計することができなかった。また、制御系が非線形時変処理を含むため、システム解析もできなかった。
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、回転座標変換を行ってから所定の制御を行って、生成された補正値信号に静止座標変換を行うのと同様の処理であり、かつ、線形性および時不変性を有する処理を行う制御回路を提供することをその目的としている。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面によって提供される制御回路は、周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段とを備えており、前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号を第1の信号と第2の信号に変換する二相変換手段と、前記第1の信号および前記第2の信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号および第2の偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
であることを特徴とする。
本発明の第2の側面によって提供される制御回路は、周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段とを備えており、前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号とそれぞれの目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、前記偏差信号を第1の偏差信号および第2の偏差信号に変換する二相変換手段と、前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
であることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御手段は、前記第1の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第2の伝達関数および前記第3の伝達関数は、それぞれ、
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記マトリクスコンバータ回路は三相交流の周波数を変換するものであり、前記二相変換手段は、3つの信号を前記第1の信号と前記第2の信号に変換するものであり、前記第1の補正値信号と前記第2の補正値信号とを3つの補正値信号に変換する二相三相変換手段をさらに備え、前記PWM信号生成手段は、前記3つの補正値信号に基づいて前記PWM信号を生成する。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記マトリクスコンバータ回路は単相交流の周波数を変換するものであり、前記二相変換手段は、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号を前記第1の信号とし、前記第1の信号の位相を90度遅らせた信号を前記第2の信号として生成する。
本発明の第3の側面によって提供される制御回路は、三相交流の周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段とを備えており、前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号である3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数および前記第2の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
であることを特徴とする。
本発明の第4の側面によって提供される制御回路は、三相交流の周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段とを備えており、前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号である3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、前記第1ないし第3の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
であることを特徴とする。
本発明の第5の側面によって提供される制御回路は、単相交流の周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段とを備えており、前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号と目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、前記偏差信号に含まれる基本波成分をゼロに制御するための補正値信号を生成する制御手段と、前記補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段とを備えており、前記制御手段は、前記偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記補正値信号を生成し、前記第1の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
であることを特徴とする。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記所定の制御処理を表す伝達関数が、F(s)=KI/s(但し、KIは積分ゲイン)である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記所定の制御処理を表す伝達関数が、F(s)=KP+KI/s(但し、KPおよびKIは、それぞれ比例ゲインおよび積分ゲイン)である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記所定の制御処理を表す伝達関数が、F(s)=KP+KI/s+KD・s(但し、KP、KIおよびKDは、それぞれ比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン)である。
本発明の第1の側面によって提供される制御回路の好ましい実施の形態においては、前記第1の信号および前記第2の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号および第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号および前記第2の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号および前記第2の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備え、前記高調波補償手段は、前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理することで前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理することで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第4の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF’(s)、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記高調波補償手段は、前記第1の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第5の伝達関数および前記第6の伝達関数は、n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
であり、n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
である。
本発明の第3または第4の側面によって提供される制御回路の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、前記高調波補償手段は、前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、前記第4の伝達関数および前記第5の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF’(s)、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、それぞれ、
である。
本発明の第3または第4の側面によって提供される制御回路の好ましい実施の形態においては、前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、前記高調波補償手段は、前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、前記第4の伝達関数ないし第6の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF’(s)、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
であり、n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号は、入力電流または出力電流を検出した信号である。
本発明の好ましい実施の形態においては、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号は、入力電圧または出力電圧を検出した信号である。
本発明の好ましい実施の形態においては、制御系の設計が、ロバスト制御設計を用いて行われている。
本発明の好ましい実施の形態においては、制御系の設計が、H∞ループ整形法を用いて行われている。
本発明の第5の側面によって提供されるマトリクスコンバータ装置は、マトリクスコンバータ回路と、本発明の第1ないし第5の側面によって提供される制御回路とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、第1の偏差信号および第2の偏差信号をそれぞれ第1の伝達関数G1(s)によって信号処理することで、制御を行って第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成している。第1の伝達関数G1(s)による信号処理は、回転座標変換を行ってから所定の制御処理を行って生成された補正値信号を静止座標変換するのと同様の処理である。また、第1の伝達関数G1(s)による信号処理は、線形性および時不変性を有する。したがって、線形制御理論に基づいた設計法を用いることができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図である。 回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明するためのブロック線図であり、行列で表したものである。 行列の計算を説明するためのブロック線図である。 回転座標変換を行ってからPI制御を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理を示すブロック線図である。 第1実施形態に係るマトリクスコンバータ装置を説明するためのブロック図である。 第1実施形態に係るマトリクスコンバータ回路が備える三相マトリクスコンバータを説明するための図である。 三相コンバータと三相インバータとを組み合わせたAC/DC/AC電力変換回路を説明するための図である。 第1実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部の内部構成を説明するためのブロック図である。 行列GIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 PWM信号合成部で行われる論理演算を説明するための図である。 正相分の信号と逆相分の信号を説明するための図である。 第2実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。 第3実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。 行列GPIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。 第4実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。 第5実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。 第6実施形態に係るマトリクスコンバータ装置を説明するためのブロック図である。 単相マトリクスコンバータ、および、単相コンバータと単相インバータとを組み合わせたAC/DC/AC電力変換回路を説明するための図である。 第6実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。 第7実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。 従来の一般的なマトリクスコンバータ装置を説明するためのブロック図である。 仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部の内部構成を説明するためのブロック図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
まず、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を線形時不変の処理に変換する方法について説明する。
図1(a)は、回転座標変換および静止座標変換を伴う処理を説明するための図である。当該処理では、まず、信号αおよびβが、回転座標変換によって、信号dおよびqに変換される。信号dおよびqに対して、それぞれ所定の伝達関数F(s)で表される処理が行われ、信号d’およびq’が出力される。次に、信号d’およびq’が静止座標変換によって、信号α’およびβ’に変換される。図1(a)に示す非線形時変の処理を、図1(b)に示す線形時不変の伝達関数の行列Gを用いた処理に変換する。
図1(a)に示す回転座標変換は下記(5)式の行列式で表され、静止座標変換は下記(6)式の行列式で表される。
したがって、図1(a)に示す処理を、行列を用いて、図2(a)のように表すことができる。図2(a)に示す3つの行列の積を計算し、算出された行列を線形時不変の行列にすることで、図1(b)に示す行列Gを算出することができる。このとき、静止座標変換および回転座標変換の行列を行列の積に変換したうえで、算出を行う。
回転座標変換の行列は、下記(7)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
また、静止座標変換の行列は、下記(8)式に示す右辺の行列の積に変換することができる。当該行列の積の中央の行列は線形時不変の行列である。
但し、jは虚数単位であり、exp()は自然対数の底eの指数関数であり、
である。なお、T-1は、Tの逆行列である。
となり、オイラーの公式より、exp(jθ)=cosθ+jsinθ、exp(−jθ)=cosθ−jsinθを代入して計算すると、
であることが、確認できる。
上記(7)式および(8)式を用いて、図2(a)に示す3つの行列の積を計算して、行列Gを算出すると、下記(9)式のように計算される。
上記(9)式の中央の3つの行列の1行1列目の要素に注目し、これをブロック線図で表すと、図3に示すブロック線図になる。図3に示すブロック線図の入出力特性を計算すると、
となる。ただし、F(s)はインパルス応答f(t)をもつ一入力一出力伝達関数である。
ここで、θ(t)=ω0tとすると、θ(t)−θ(τ)=ω0t−ω0τ=ω0(t−τ)=θ(t−τ)となるので、図3に示すブロック線図の入出力特性は、インパルス応答f(t)exp(−jω0t)を持つ線形時不変系のものに等しい。インパルス応答f(t)exp(−jω0t)をラプラス変換すると、伝達関数F(s+jω0)が得られる。また、図3に示すブロック線図のexp(jθ(t))とexp(−jθ(t))とを入れ換えた場合の入出力特性は、伝達関数F(s−jω0)の入出力特性になる。
したがって、上記(9)式からさらに計算を進めると、
と計算される。
これにより、図2(a)に示す処理を、図2(b)に示す処理に変換することができる。図2(b)に示す処理は、回転座標変換を行ってから所定の伝達関数F(s)で表される処理を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理であって、当該処理のシステムは線形時不変のシステムである。
PI制御(比例積分制御)コントローラの伝達関数は、比例ゲインおよび積分ゲインをそれぞれKPおよびKIとすると、F(s)=KP+KI/sで表される。したがって、図4に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからPI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GPIは、上記(10)式を用いて、下記(11)式のように算出される。
また、I制御(積分制御)コントローラの伝達関数は、積分ゲインをKIとすると、F(s)=KI/sで表される。したがって、図5に示す処理、すなわち、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列GIは、上記(10)式を用いて、下記(12)式のように算出される。
以下に、上記(12)式の伝達関数の行列GIで表される処理を行う電流(電圧)コントローラをマトリクスコンバータ回路の制御回路に適用した場合を、本発明の第1実施形態として説明する。
図6は、第1実施形態に係るマトリクスコンバータ装置を説明するためのブロック図である。
マトリクスコンバータ装置Aは、三相の電力系統Bから供給される交流電力の周波数を変換して、負荷Lに供給するものである。マトリクスコンバータ装置Aは、マトリクスコンバータ回路1、入力電流センサ2、出力電圧センサ3、および、制御回路4を備えている。
マトリクスコンバータ回路1は、9個のスイッチング素子(図示しない)を有するPWM制御型の三相マトリクスコンバータを備えており、これらのスイッチング素子のスイッチングにより交流電力の周波数の変換を行う。マトリクスコンバータ回路1は、制御回路4から入力されるPWM信号に基づいて、各スイッチング素子のオンとオフとを切り替える。また、マトリクスコンバータ回路1は、スイッチングによる高周波成分を除去するためのローパスフィルタ(図示しない)を備えている。
入力電流センサ2は、マトリクスコンバータ回路1に入力される各相の交流電流を検出する。検出された入力電流信号I(Ir,Is,It)は、制御回路4に入力される。出力電圧センサ3は、マトリクスコンバータ回路1から出力される各相の交流電圧を検出するものである。検出された出力電圧信号V(Vu,Vv,Vw)は、制御回路4に入力される。
制御回路4は、マトリクスコンバータ回路1を制御するものであり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御回路4は、入力電流センサ2が検出した入力電流信号Iと、出力電圧センサ3が検出した出力電圧信号Vとを入力され、これに基づいてPWM信号を生成してマトリクスコンバータ回路1に出力する。マトリクスコンバータ回路1は、制御回路4から入力されるPWM信号に基づいてスイッチング素子のスイッチングを行う。
以下に、図7および図8を参照して、マトリクスコンバータ回路1を制御するPWM信号の生成方法について説明する。
図7は、マトリクスコンバータ回路1が備える三相マトリクスコンバータを説明するための図であり、9個のスイッチング素子をスイッチで表している。スイッチSru,Srv,Srwは、入力側のr相と、出力側のu相,v相,w相とをそれぞれ接続するものである。スイッチSsu,Ssv,Sswは、入力側のs相と、出力側のu相,v相,w相とをそれぞれ接続するものである。スイッチStu,Stv,Stwは、入力側のt相と、出力側のu相,v相,w相とをそれぞれ接続するものである。
図7に示す三相マトリクスコンバータに入力される三相の電圧をvr,vs,vtとし、三相マトリクスコンバータから出力される三相の電圧をvu,vv,vwとした場合、入出力の電圧の関係をスイッチング関数の行列(以下、「スイッチングマトリクス」とする。)で表すと、下記(13)式になる。スイッチSnのスイッチング関数をsnとし、スイッチオンでsn=1、スイッチオフでsn=0と定義する。
図8は、三相コンバータと三相インバータとを組み合わせたAC/DC/AC電力変換回路を説明するための図であり、三相インバータおよび三相コンバータをそれぞれ6個のスイッチで表している。スイッチSrp,Ssp,Stpは、それぞれ入力側のr相,s相,t相と直流バスの正極とを接続するものであり、スイッチSrn,Ssn,Stnは、それぞれ入力側のr相,s相,t相と直流バスの負極とを接続するものであり、これらで三相コンバータを表している。スイッチSup,Svp,Swpは、それぞれ出力側のu相,v相,w相と直流バスの正極とを接続するものであり、スイッチSun,Svn,Swnは、それぞれ出力側のu相,v相,w相と直流バスの負極とを接続するものであり、これらで三相インバータを表している。
図8に示す三相コンバータに入力される三相の電圧をvr,vs,vtとし、直流バスの正極電圧、負極電圧をそれぞれedcp,edcnとした場合、入力電圧と直流バス電圧との関係をスイッチングマトリクスで表すと、下記(14)式になる。また、図8に示す三相インバータから出力される三相の電圧をvu,vv,vwとした場合、直流バス電圧と出力電圧の関係をスイッチングマトリクスで表すと、下記(15)式になる。
上記(13)式のように、三相入力、三相出力の変換器のスイッチングマトリクスは、3行3列の行列で表される。入力電圧と出力電圧との関係は一意のスイッチングマトリクスによって決定されるので、同一のスイッチングマトリクスであれば異なる構成の変換器でも、入出力電圧および入出力電流の関係は同一である。したがって、図7に示す三相マトリクスコンバータと図8に示すAC/DC/AC電力変換回路とが同一の入力電流、出力電圧を得るためには、下記(16)式が成立すればよい。すなわち、仮想の三相コンバータおよび三相インバータをそれぞれ制御するためのPWM信号を生成し、下記(16)式に基づいて合成したPWM信号を用いることで、三相マトリクスコンバータの制御を行うことができる。
図6に戻って、制御回路4は、仮想コンバータ制御部5、仮想インバータ制御部6、および、PWM信号合成部7を備えている。仮想コンバータ制御部5は、入力電流制御を行うためのものであり、入力電流信号Iに基づいてPWM信号を生成して、PWM信号合成部7に出力する。仮想コンバータ制御部5は、図8に示す三相コンバータ(仮想の三相コンバータ)のスイッチSrp,Ssp,Stp,Srn,Ssn,Stnを制御するためのPWM信号を生成する。仮想インバータ制御部6は、出力電圧制御を行うためのものであり、出力電圧信号Vに基づいてPWM信号を生成して、PWM信号合成部7に出力する。仮想インバータ制御部6は、図8に示す三相インバータ(仮想の三相インバータ)のスイッチSup,Svp,Swp,Sun,Svn,Swnを制御するためのPWM信号を生成する。PWM信号合成部7は、仮想コンバータ制御部5より入力されるPWM信号と仮想インバータ制御部6より入力されるPWM信号とを、上記(16)式に基づいて合成し、生成したPWM信号をマトリクスコンバータ回路1に出力する。
図9は、仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部6の内部構成を説明するためのブロック図であり、同図(a)が仮想コンバータ制御部5を示し、同図(b)が仮想インバータ制御部6を示している。
同図(a)に示すように、仮想コンバータ制御部5は、三相/二相変換部51、電流コントローラ52、二相/三相変換部53、およびPWM信号生成部54を備えている。なお、同図(a)においては、入力電流制御を行うための構成のみ記載しており、その他の制御のための構成の記載を省略している。実際には、仮想コンバータ制御部5は、直流バス電圧制御(直流バス電圧が予め設定された電圧目標値となるように行うフィードバック制御)や無効電力制御(入力無効電力が予め設定された無効電力目標値となるように行うフィードバック制御)なども行っている。なお、仮想コンバータ制御部5が行う制御の手法は、これに限られない。例えば、有効電力制御を行うようにしてもよい。
三相/二相変換部51は、図23(a)に示す三相/二相変換部51と同じものであり、入力電流センサ2から入力された3つの入力電流信号Ir,Is,Itを、α軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβに変換するものである。三相/二相変換部51で行われる変換処理は、上記(1)式に示す行列式で表される。
電流コントローラ52は、三相/二相変換部51より出力されるα軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβとそれぞれの目標値との偏差を入力され、入力電流制御のための補正値信号Xα,Xβを生成するものである。電流コントローラ52は、上記(12)式の伝達関数の行列GIで表される処理を行う。つまり、α軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβとそれぞれの目標値との偏差をそれぞれΔIαおよびΔIβとすると、下記(17)式に示す処理を行っている。角周波数ω1は系統電圧の基本波の角周波数(例えば、ω1=120π[rad/sec](60[Hz]))があらかじめ設定されており、積分ゲインKIはあらかじめ設計されている。また、電流コントローラ52は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態において、α軸入力電流目標値およびβ軸入力電流目標値には、d軸入力電流目標値およびq軸入力電流目標値を静止座標変換したものが用いられる。なお、三相の入力電流目標値が与えられる場合は、当該目標値を三相/二相変換して、α軸入力電流目標値およびβ軸入力電流目標値とすればよい。また、3つの入力電流信号Ir,Is,Itと三相の入力電流目標値とのそれぞれの偏差を先に算出し、この3つの偏差信号を三相/二相変換して、電流コントローラ52に入力するようにしてもよい。また、α軸入力電流目標値およびβ軸入力電流目標値が直接与えられる場合は、当該目標値をそのまま用いればよい。
図10は、行列GIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GIの1行1列要素(以下では、「(1,1)要素」と記載する。他の要素についても同様に記載する。)および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GIの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GIの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数が60Hzの場合(すなわち、角周波数ω0=120πの場合)のものであり、積分ゲインKIを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a),(b)および(c)が示す振幅特性は、いずれも、中心周波数にピークがあり、積分ゲインKIが大きくなると、振幅特性が大きくなっている。また、同図(a)が示す位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させる。同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GIの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GIの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させる。
本実施形態において、電流コントローラ52は、周波数重みに伝達関数の行列GIを用いて、線形制御理論の1つであるH∞ループ整形法によって設計される。電流コントローラ52で行われる処理は、伝達関数の行列GIで示されるので、線形時不変の処理である。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計を行うことができる。H∞ループ整形法を用いれば、閉ループ系が漸近安定になるコントローラを設計することができる。したがって、速応性の条件を満たすようにH∞ループ整形法を用いて設計を行うことで、設計仕様に適合し最も安定な制御系を容易に設計することができる。
なお、制御系の設計に用いる設計方法はこれに限られず、その他の線形制御理論を用いることもできる。例えば、ループ整形法、最適制御、H∞制御、混合感度問題などを用いて設計するようにしてもよい。
図9(a)に戻って、二相/三相変換部53は、図23(a)に示す二相/三相変換部53と同じものであり、電流コントローラ52から入力される補正値信号Xα,Xβを、3つの補正値信号Xr,Xs,Xtに変換するものである。二相/三相変換部53で行われる変換処理は、上記(4)式に示す行列式で表される。補正値信号Xr,Xs,Xtは、PWM信号生成部54に入力される。
PWM信号生成部54は、入力される補正値信号Xr,Xs,Xtに基づいて指令値信号X’r,X’s,X’tを生成し、指令値信号X’r,X’s,X’tと所定の周波数(例えば、4kHz)の三角波信号として生成されたキャリア信号とに基づいて、三角波比較法によりPWM信号Prp,Psp,Ptpを生成する。三角波比較法では、指令値信号X’r,X’s,X’tとキャリア信号とがそれぞれ比較され、例えば、指令値信号X’rがキャリア信号より大きい場合にハイレベルとなり、小さい場合にローレベルとなるパルス信号がPWM信号Prpとして生成される。生成されたPWM信号Prp,Psp,Ptpおよびこれらを反転させたPWM信号Prn,Psn,Ptnが、PWM信号合成部7に出力される。
図9(b)に示す仮想インバータ制御部6の内部構成およびその機能も、仮想コンバータ制御部5と同様である。同図(b)に示すように、仮想インバータ制御部6は、三相/二相変換部61、電圧コントローラ62、二相/三相変換部63、およびPWM信号生成部64を備えている。三相/二相変換部61は、出力電圧センサ3から入力された3つの出力電圧信号Vu,Vv,Vwを、α軸出力電圧信号Vαおよびβ軸出力電圧信号Vβに変換する。
電圧コントローラ62は、三相/二相変換部61より出力されるα軸出力電圧信号Vαおよびβ軸出力電圧信号Vβとそれぞれの目標値との偏差を入力され、出力電圧制御のための補正値信号Yα,Yβを生成するものである。電圧コントローラ62は、上記(12)式の伝達関数の行列GIで表される処理を行う。つまり、α軸出力電圧信号Vαおよびβ軸出力電圧信号Vβとそれぞれの目標値との偏差をそれぞれΔVαおよびΔVβとすると、下記(18)式に示す処理を行っている。角周波数ω2は負荷Lに供給する電圧の基本波の角周波数(例えば、ω2=200π[rad/sec](100[Hz]))があらかじめ設定されており、積分ゲインKIはあらかじめ設計されている。また、電圧コントローラ62は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態において、α軸出力電圧目標値およびβ軸出力電圧目標値には、d軸出力電圧目標値およびq軸出力電圧目標値を静止座標変換したものが用いられる。なお、三相の出力電圧目標値が与えられる場合は、当該目標値を三相/二相変換して、α軸出力電圧目標値およびβ軸出力電圧目標値とすればよい。また、3つの出力電圧信号Vu,Vv,Vwと三相の出力電圧目標値とのそれぞれの偏差を先に算出し、この3つの偏差信号を三相/二相変換して、電圧コントローラ62に入力するようにしてもよい。また、α軸出力電圧目標値およびβ軸出力電圧目標値が直接与えられる場合は、当該目標値をそのまま用いればよい。
本実施形態において、電圧コントローラ62は、周波数重みに伝達関数の行列GIを用いて、線形制御理論の1つであるH∞ループ整形法によって設計される。電圧コントローラ62で行われる処理は、伝達関数の行列GIで示されるので、線形時不変の処理である。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計を行うことができる。H∞ループ整形法を用いれば、閉ループ系が漸近安定になるコントローラを設計することができる。したがって、速応性の条件を満たすようにH∞ループ整形法を用いて設計を行うことで、設計仕様に適合し最も安定な制御系を容易に設計することができる。
なお、制御系の設計に用いる設計方法はこれに限られず、その他の線形制御理論を用いることもできる。例えば、ループ整形法、最適制御、H∞制御、混合感度問題などを用いて設計するようにしてもよい。
図9(b)に戻って、二相/三相変換部63は、電圧コントローラ62から入力される補正値信号Yα,Yβを、3つの補正値信号Yu,Yv,Ywに変換する。PWM信号生成部64は、入力される補正値信号Yu,Yv,Ywに基づいて指令値信号Y’u,Y’v,Y’wを生成し、指令値信号Y’u,Y’v,Y’wとキャリア信号とに基づいて、三角波比較法によりPWM信号Pup,Pvp,Pwpを生成する。生成されたPWM信号Pup,Pvp,Pwpおよびこれらを反転させたPWM信号Pun,Pvn,Pwnが、PWM信号合成部7に出力される。
図6に戻って、PWM信号合成部7は、仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部6が生成したPWM信号から、マトリクスコンバータ回路1を制御するためのPWM信号を合成するものである。PWM信号合成部7は、仮想コンバータ制御部5よりPWM信号Prp,Psp,Ptp,Prn,Psn,Ptnを入力され、仮想インバータ制御部6よりPWM信号Pup,Pvp,Pwp,Pun,Pvn,Pwnを入力され、上記(16)式に基づいてPWM信号Pru,Prv,Prw,Psu,Psv,Psw,Ptu,Ptv,Ptwを合成し、生成したPWM信号をマトリクスコンバータ回路1に出力する。例えば、PWM信号Pruは、図11に示すように、PWM信号PupおよびPWM信号Prpの論理積と、PWM信号PunおよびPWM信号Prnの論理積との論理和として演算される。
本実施形態において、仮想コンバータ制御部5は、回転座標変換および静止座標変換を行うことなく、静止座標系で制御を行っている。上述したように、伝達関数の行列GIは、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列である。したがって、伝達関数の行列GIで表される処理を行う電流コントローラ52は、図23(a)に示す回転座標変換部52a、静止座標変換部52f、およびI制御処理(同図におけるPI制御部52dおよびPI制御部52eが行うPI制御処理に対応する。)と等価の処理を行っている。また、図10の各ボード線図が示すように、行列GIの各要素の伝達関数の振幅特性は、中心周波数でピークを形成している。つまり、電流コントローラ52は、中心周波数成分だけがハイゲインになっている。したがって、同図に示すLPF52bおよび52cを設ける必要がない。
また、電流コントローラ52で行われる処理は、伝達関数の行列GIで示されるので、線形時不変の処理である。また、仮想コンバータ制御部5には非線形時変処理である回転座標変換処理および静止座標変換処理が含まれておらず、入力電流制御システム全体が線形時不変システムになっている。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。このように、上記(12)式に示す伝達関数の行列GIを用いることで、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う非線形の処理を、線形時不変の多入出力系へ帰着させることができ、これによりシステム解析や制御系設計が容易になる。
同様に、仮想インバータ制御部6も静止座標系で制御を行っており、電圧コントローラ62は図23(b)に示す回転座標変換部62a、静止座標変換部62f、およびI制御処理(同図におけるPI制御部62dおよびPI制御部62eが行うPI制御処理に対応する。)と等価の処理を行っている。また、電圧コントローラ62で行われる処理も線形時不変の処理であり、仮想インバータ制御部6には非線形時変処理である回転座標変換処理および静止座標変換処理が含まれていないので、出力電圧制御システム全体が線形時不変システムになっている。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。
なお、本実施形態においては、電流コントローラ52で上記(17)式に示す処理を行っているが、行列GIの各要素の積分ゲインKIに要素毎に異なる値を用いるようにしてもよい。すなわち、各要素である伝達関数毎に異なる積分ゲインKIを設計して用いるようにしてもよい。例えば、α軸成分の速応性を向上させたり、安定性を高めたりするなどの付加特性を与えるように設計することもできる。また、(1,2)要素と(2,1)要素の積分ゲインKIを「0」に設計して、正相分、逆相分の両方を制御するという付加特性を与えることもできる。正相分、逆相分の両方を制御する場合については、後述する。なお、要素毎に異なる積分ゲインKIを設計した場合でも、各要素である伝達関数の位相特性は変化しない。したがって、(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させ、(1,2)要素の伝達関数は中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させ、(2,1)要素の伝達関数は中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させることができる。また、電圧コントローラ62で行う処理(上記(18)式)における行列GIの各要素の積分ゲインKIも要素毎に異なる値を用いるようにしてもよい。
また、本実施形態においては、仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部6を備えて、入力電流制御および出力電圧制御を線形制御理論を用いた制御系設計としているが、これに限られない。例えば、仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部600(図23(b)参照)を備えて、入力電流制御のみを線形制御理論を用いた制御系設計としてもよいし、仮想コンバータ制御部500および仮想インバータ制御部6を備えて、出力電圧制御のみを線形制御理論を用いた制御系設計としてもよい。
上記第1実施形態においては、入力電流信号Ir,Is,Itおよび出力電圧信号Vu,Vv,Vwの基本波成分のみの制御を行う場合について説明したが、これに限られない。入力電流信号Ir,Is,Itおよび出力電圧信号Vu,Vv,Vwには基本波成分(正相分)の信号の他に、逆相分の信号が重畳されている。この逆相分の制御のみを行うようにしてもよい。
図12は、正相分の信号と逆相分の信号を説明するための図である。同図(a)は正相分の信号を示しており、同図(b)は逆相分の信号を示している。
同図(a)において、出力電圧信号Vu,Vv,Vw(入力電流信号Ir,Is,It)の基本波成分の正相分信号を破線矢印のベクトルu,v,wで示している。ベクトルu,v,wは互いに120度ずつ向きが異なっており、時計回りの順番で並んで角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。前記正相分信号を三相/二相変換したα軸信号およびβ軸信号は、実線矢印のベクトルα,βで示される。ベクトルα,βは、時計回りの順番で90度向きが異なっており、角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。
つまり、α軸信号はβ軸信号より90度位相が進んでいる。α軸信号に行列GIの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行っても、位相は変化しない(図10(a)参照)。また、β軸信号に行列GIの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行うと、位相が90度進む(図10(b)参照)。したがって、両者の位相がα軸信号と同じ位相になるので、両者を加算することで強め合うことになる。一方、α軸信号に行列GIの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行うと、位相が90度遅れる(図10(c)参照)。また、β軸信号に行列GIの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行っても、位相は変化しない。したがって、両者の位相がβ軸信号と同じ位相になるので、両者を加算することで強め合うことになる。
逆相分は相順が正相分とは逆方向になっている成分である。図12(b)において、出力電圧信号Vu,Vv,Vw(入力電流信号Ir,Is,It)の基本波成分の逆相分信号を破線矢印のベクトルu,v,wで示している。ベクトルu,v,wは互いに120度ずつ向きが異なっており、反時計回りの順番で並んで角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。前記逆相分信号を三相/二相変換したα軸信号およびβ軸信号は、実線矢印のベクトルα,βで示される。ベクトルα,βは、反時計回りの順番で90度向きが異なっており、角周波数ω0で反時計回りの方向に回転している。
つまり、α軸信号はβ軸信号より90度位相が遅れている。α軸信号に行列GIの(1,1)要素の伝達関数に示す処理を行っても、位相は変化しない。また、β軸信号に行列GIの(1,2)要素の伝達関数に示す処理を行うと、位相が90度進む。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。一方、α軸信号に行列GIの(2,1)要素の伝達関数に示す処理を行うと、位相が90度遅れる。また、β軸信号に行列GIの(2,2)要素の伝達関数に示す処理を行っても、位相は変化しない。したがって、両者の位相が逆位相になるので、両者を加算することで打ち消し合うことになる。したがって、伝達関数の行列GIは、正相分の制御を行ない、逆相分の制御は行なわない。
伝達関数の行列GIの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた場合、上記とは逆に、正相分が打ち消しあって、逆相成分が強めあうことになる。したがって、逆相分の制御を行う場合には、伝達関数の行列GIの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた行列を用いればよい。伝達関数の行列G,GPIについても同様である。
次に、正相分、逆相分の両方の制御を行なう場合について説明する。
行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数に示す処理は、正相分および逆相分の位相を変化させずに通過させる(図10(a)参照)。したがって、上記(12)式に示す行列GIの(1,2)要素および(2,1)要素を「0」にした行列を用いると、正相分、逆相分の両方の制御を行なうことができる。以下に、正相分、逆相分の両方の制御を行なう場合を、第2実施形態として説明する。
図13は、第2実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。同図において、図9に示す仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部6と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図13(a)に示す仮想コンバータ制御部5’は、電流コントローラ52に代えて、α軸電流コントローラ52’aおよびβ軸電流コントローラ52’bを設けている点で、第1実施形態に係る仮想コンバータ制御部5(図9(a)参照)と異なる。
α軸電流コントローラ52’aは、三相/二相変換部51より出力されるα軸入力電流信号Iαと目標値との偏差ΔIαを入力され、電流制御のための補正値信号Xαを生成するものである。α軸電流コントローラ52’aは、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)で表される処理を行う。また、α軸電流コントローラ52’aは、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
β軸電流コントローラ52’bは、三相/二相変換部51より出力されるβ軸入力電流信号Iβと目標値との偏差ΔIβを入力され、電流制御のための補正値信号Xβを生成するものである。β軸電流コントローラ52’bは、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)で表される処理を行う。また、β軸電流コントローラ52’bは、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
図13(b)に示す仮想インバータ制御部6’も同様であり、電圧コントローラ62に代えて、α軸電圧コントローラ62’aおよびβ軸電圧コントローラ62’bを設けている点で、第1実施形態に係る仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)と異なる。α軸電圧コントローラ62’aおよびβ軸電圧コントローラ62’bも、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)で表される処理を行う。また、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態においては、基本波成分の正相分だけではなく逆相分(不平衡成分)も制御することができるので、入力電流ひずみ率および出力電圧ひずみ率を改善することができる。
なお、本実施形態においても、各コントローラの伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)において、積分ゲインKIにそれぞれ異なる値を用いるようにしてもよい。また、仮想コンバータ制御部5’と仮想インバータ制御部6’の組み合わせに限定されない。例えば、出力電圧に不平衡成分があまり含まれない場合には、仮想コンバータ制御部5’と仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)の組み合わせとしてもよい。
上記第1および第2実施形態においては、3つの信号(入力電流信号Ir,Is,Itまたは出力電圧信号Vu,Vv,Vw)をα軸成分およびβ軸成分に変換して制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、3つの信号を用いて直接制御するようにしてもよい。以下に、この場合の実施形態を第3実施形態として説明する。
図14は、第3実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。同図において、図9に示す仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部6と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図14(a)に示す仮想コンバータ制御部5”は、三相/二相変換部51および二相/三相変換部53を備えておらず、電流コントローラ52”が3つの入力電流信号Ir,Is,Itを用いて直接制御を行う点で、第1実施形態に係る仮想コンバータ制御部5(図9(a)参照)と異なる。
三相/二相変換および二相/三相変換は、上記(1)式および(4)式で表されるので、三相/二相変換を行ってから伝達関数の行列Gで表される処理を行った後に二相/三相変換を行う処理は、下記(19)式に示す伝達関数の行列G’で表される。
したがって、電流コントローラ52”が行う処理を表す伝達関数の行列G’Iは、下記(20)式で表される。
電流コントローラ52”は、入力電流センサ2より出力される3つの入力電流信号Ir,Is,Itとそれぞれの目標値との偏差を入力され、電流制御のための補正値信号Xr,Xs,Xtを生成するものである。電流コントローラ52”は、上記(20)式の伝達関数の行列G’Iで表される処理を行う。つまり、入力電流信号Ir,Is,Itとそれぞれの目標値との偏差をそれぞれΔIr,ΔIs,ΔItとすると、下記(21)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は系統電圧の基本波の角周波数(例えば、ω0=120π[rad/sec](60[Hz]))があらかじめ設定されており、積分ゲインKIはあらかじめ設計されている。また、電流コントローラ52”は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態において、入力電流信号Ir,Is,Itの目標値には、d軸入力電流目標値およびq軸入力電流目標値を静止座標変換してさらに二相/三相変換したものが用いられる。なお、三相の入力電流目標値が直接与えられる場合は、当該目標値をそのまま用いればよい。また、α軸入力電流目標値およびβ軸入力電流目標値が与えられる場合は、二相/三相変換したものを用いればよい。
図14(b)に示す仮想インバータ制御部6”も同様であり、三相/二相変換部61および二相/三相変換部63を備えておらず、電圧コントローラ62”が3つの出力電圧信号Vu,Vv,Vwを用いて直接制御を行う点で、第1実施形態に係る仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)と異なる。電圧コントローラ62”も、上記(20)式の伝達関数の行列G’Iで表される処理を行う。つまり、出力電圧信号Vu,Vv,Vwとそれぞれの目標値との偏差をΔVu,ΔVv,ΔVwとすると、下記(22)式に示す処理を行っている。角周波数ω0は負荷Lに供給する電圧の基本波の角周波数(例えば、ω0=200π[rad/sec](100[Hz]))があらかじめ設定されており、積分ゲインKIはあらかじめ設計されている。また、電圧コントローラ62”は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分の補正も行われている。
本実施形態において、出力電圧信号Vu,Vv,Vwの目標値には、d軸出力電圧目標値およびq軸出力電圧目標値を静止座標変換してさらに二相/三相変換したものが用いられる。なお、三相の出力電圧目標値が直接与えられる場合は、当該目標値をそのまま用いればよい。また、α軸出力電圧目標値およびβ軸出力電圧目標値が与えられる場合は、二相/三相変換したものを用いればよい。
本実施形態において、伝達関数の行列G’Iで表される処理を行う電流コントローラ52”は、図23(a)に示す三相/二相変換部51、二相/三相変換部53、回転座標変換部52a、静止座標変換部52f、およびI制御処理(同図におけるPI制御部52dおよびPI制御部52eが行うPI制御処理に対応する。)と等価の処理を行っている。また、電流コントローラ52”で行われる処理は、伝達関数の行列G’Iで示されるので、線形時不変の処理である。したがって、入力電流制御システム全体が線形時不変システムになっているので、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。
同様に、電圧コントローラ62”は図23(b)に示す三相/二相変換部61、二相/三相変換部63、回転座標変換部62a、静止座標変換部62f、およびI制御処理(同図におけるPI制御部62dおよびPI制御部62eが行うPI制御処理に対応する。)と等価の処理を行っている。また、電圧コントローラ62”で行われる処理も線形時不変の処理である。したがって、出力電圧制御システム全体が線形時不変システムになっているので、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。
第3実施形態において、逆相分の制御を行う場合には、伝達関数の行列G’Iの要素の内、GI12(s)、GI23(s)およびGI31(s)と、GI13(s)、GI21(s)およびGI32(s)とを入れ換えた行列(すなわち、行列G’Iの転置行列)を用いればよい。
次に、第3実施形態において、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合について説明する。
上記(19)式において、行列Gの(1,2)要素と(2,1)要素とを「0」にした場合を考えると、下記(23)式に示す伝達関数の行列G”が算出できる。
したがって、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合に、電流コントローラ52”および電圧コントローラ62”が行う処理を表す伝達関数の行列G”Iは、下記(24)式で表される。
なお、本実施形態における各実施例においても、各コントローラの伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)において、積分ゲインKIにそれぞれ異なる値を用いるようにしてもよい。また、仮想コンバータ制御部5”と仮想インバータ制御部6”の組み合わせに限定されない。例えば、仮想コンバータ制御部5(図9(a)参照)と仮想インバータ制御部6”の組み合わせや、仮想コンバータ制御部5”と仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)の組み合わせとしてもよい。
上記第1ないし第3実施形態においては、各コントローラがI制御に代わる制御を行う場合について説明したがこれに限られない。例えば、PI制御に代わる制御を行うようにしてもよい。第1実施形態において、電流コントローラ52および電圧コントローラ62がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、上記(11)式に示される伝達関数の行列GPIを用いればよい。
図15は、行列GPIの各要素である伝達関数を解析するためのボード線図である。同図(a)は行列GPIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数を示しており、同図(b)は行列GPIの(1,2)要素の伝達関数を示しており、同図(c)は行列GPIの(2,1)要素の伝達関数を示している。同図は、中心周波数が60Hzの場合のものであり、積分ゲインKIを1に固定して、比例ゲインKPを「0.1」,「1」,「10」,「100」とした場合を示している。
同図(a)が示す振幅特性は中心周波数にピークがあり、比例ゲインKPが大きくなると、中心周波数以外の振幅特性が大きくなっている。また、位相特性は、中心周波数で0度になる。つまり、行列GPIの(1,1)要素および(2,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号を位相を変化させることなく通過させる。
同図(b)および(c)が示す振幅特性も、中心周波数にピークがある。また、振幅特性および位相特性は、比例ゲインKPに関係なく一定である。また、同図(b)が示す位相特性は、中心周波数で90度になる。つまり、行列GPIの(1,2)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度進めて通過させる。一方、同図(c)が示す位相特性は、中心周波数で−90度になる。つまり、行列GPIの(2,1)要素の伝達関数は、中心周波数の信号の位相を90度遅らせて通過させる。
第2実施形態において、α軸電流コントローラ52’a、β軸電流コントローラ52’b、α軸電圧コントローラ62’aおよびβ軸電圧コントローラ62’bがPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、上記(11)式に示される伝達関数の行列GPIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数(KP・s2+KI・s+KP・ω0 2)/(s2+ω0 2)を用いればよい。
第3実施形態において、電流コントローラ52”および電圧コントローラ62”がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(25)式に示される伝達関数の行列G’PIを用いればよい。
また、第3実施形態で正相分、逆相分の両方の制御を行う場合において、電流コントローラ52”および電圧コントローラ62”がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(26)式に示される伝達関数の行列G”PIを用いればよい。
PI制御に代わる制御を行う場合、比例ゲインKPを調整することにより、過渡時のダンピング効果を付加することができるというメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けやすくなるというデメリットがある。逆に、I制御に代わる制御を行う場合、過渡時のダンピング効果を付加することができないというデメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けにくくなるというメリットがある。
なお、各コントローラがI制御およびPI制御以外の制御に代わる制御を行うようにしてもよい。上記(10)式において、伝達関数F(s)を各制御の伝達関数とすることで、回転座標変換を行ってから当該制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列を算出することができる。したがって、PID制御(伝達関数は、比例ゲインをKP、積分ゲインをKI、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KP+KI/s+KD・sで表される。)に代わる制御を行うようにすることができるし、D制御(微分制御:伝達関数は、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KD・sで表される。)、P制御(比例制御:伝達関数は、比例ゲインをKPとすると、F(s)=KPで表される。)、PD制御、ID制御などに代わる制御を行うようにすることができる。
また、入力電流制御と出力電圧制御とが同じ制御をする場合に限定されず、制御の設計仕様に応じて制御を異ならせるようにしてもよい。例えば、出力側の応答より入力側の応答を速く収束させる必要がある場合や、出力側の過渡的なオーバーシュートを抑えたい場合には、入力電流制御をPID制御に代わる制御とし出力電圧制御をPI制御に代わる制御としてもよい。なお、入力電流制御と出力電圧制御とを同じ制御にする場合には、制御設計がより容易になるというメリットがある。
上記第1ないし第3実施形態においては、入力電流制御と出力電圧制御を行う場合について説明したが、これに限られない。電力の供給源の違いや、負荷Lの種類、用途などによって、適宜設計すればよい。例えば、入力電流センサ2に代えて入力電圧センサを設け、入力電圧信号に基づいてPWM信号を生成することで入力側を電圧制御にしてもよい。また、出力電圧センサ3に代えて出力電流センサを設け、出力電流信号に基づいてPWM信号を生成することで出力側を電流制御にしてもよい。
次に、高調波を補償する構成を設けた場合について説明する。
マトリクスコンバータ回路1で電力変換を行う場合、高調波成分が発生する場合がある。高調波成分は、PWM信号生成時のデッドタイムの付加、電流センサの不平衡やオフセットなどが原因となって発生する。また、負荷Lで発生した高調波成分が入力されたり、電力系統Bから高調波成分が入力される場合がある。これらの高調波成分を抑制する制御を行なう必要がある。マトリクスコンバータ回路1の制御回路4に高調波成分を抑制するための高調波補償コントローラを設けた場合について、第4実施形態として以下に説明する。
まず、高調波成分の制御を行う方法について説明する。
上記(10)式に示す伝達関数の行列Gは、基本波成分を制御するためのものである。n次高調波は基本波の角周波数をn倍した角周波数の成分である。n次高調波の正相分を三相/二相変換した場合、α軸信号がβ軸信号より位相が進む場合と遅れる場合とがある。n=3k+1(k=1,2,…)の場合、n次高調波の正相分信号の相の順番は、基本波の正相分信号の相の順番に一致する。すなわち、基本波の正相分のU,V,W相の信号をそれぞれ、Vu=Vcosθ、Vv=Vcos(θ−2π/3)、Vw=Vcos(θ−4π/3)とすると、例えば7次高調波の正相分のU,V,W相の信号はそれぞれ、Vu7=V7cos7θ、Vv7=V7cos(7θ−14π/3)=V7cos(7θ−2π/3)、Vw7=V7cos(7θ−28π/3)=V7cos(7θ−4π/3)となる。この場合、相の順番が基本波の正相分信号の相の順番に一致し、図12(a)と同様に、α軸信号の位相がβ軸信号の位相より90度進む。したがってn次高調波(n=3k+1)の正相分を制御する場合の伝達関数の行列は、上記(10)式においてω0をn・ω0とした下記(27)式に示す伝達関数の行列Gnとなる。一方、n=3k+2(k=0,1,2,…)の場合、n次高調波の正相分信号の相の順番は、基本波の逆相分信号の相の順番に一致する。すなわち、基本波の正相分のU,V,W相の信号Vu,Vv,Vwを上記の様にすると、例えば5次高調波の正相分のU,V,W相の信号はそれぞれ、Vu5=V5cos5θ、Vv5=V5cos(5θ−10π/3)=V5cos(5θ−4π/3)、Vw5=V5cos(5θ−20π/3)=V5cos(5θ−2π/3)となる。この場合、相の順番が基本波の逆相分信号の相の順番に一致し、図12(b)と同様に、α軸信号の位相がβ軸信号の位相より90度遅れる。したがってn次高調波(n=3k+2)の正相分を制御する場合の伝達関数の行列は、上記(10)式においてω0をn・ω0とし、(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた下記(27’)式に示す伝達関数の行列Gnとなる。
また、n次高調波(n=3k+1)の正相分をI制御するための伝達関数の行列GInは、上記(12)式においてω0をn・ω0として、下記(28)式のように算出される。一方、n次高調波(n=3k+2)の正相分をI制御するための伝達関数の行列GInは、上記(12)式においてω0をn・ω0とし、(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えて、下記(28’)式のように算出される。下記(28)式および(28’)式は、上記(27)式および(27’)式において、F(s)=KI/sとして算出することもできる。第4実施形態に係る高調波補償コントローラは、下記(28)式および(28’)式の伝達関数の行列GInで表される処理を行う。
図16は、第4実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、図9に示す仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部6と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図16(a)に示す仮想コンバータ制御部8は、高調波補償コントローラ10を備えている点で、第1実施形態に係る仮想コンバータ制御部5(図9(a)参照)と異なる。
高調波補償コントローラ10は、高調波成分を抑制するためのものであり、三相/二相変換部51より出力されるα軸入力電流信号Iαおよびβ軸入力電流信号Iβを入力され、高調波抑制制御のための高調波補償信号Zα,Zβを生成するものである。一般的に、5次、7次、11次の高調波の正相分が多く含まれる場合が多いので、高調波補償コントローラ10は、5次高調波の正相分を抑制するための5次高調波補償部11、7次高調波の正相分を抑制するための7次高調波補償部12、および11次高調波の正相分を抑制するための11次高調波補償部13を備えている。
5次高調波補償部11は、5次高調波の正相分を抑制するためのものである。5次高調波補償部11は、上記(28’)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=5とした5次高調波の正相分を制御するための伝達関数の行列GI5に表される処理を行う。つまり、5次高調波補償部11は、下記(29)式に示す処理を行って、5次高調波補償信号Zα5,Zβ5を出力する。角周波数ω0は系統電圧の基本波の角周波数(例えば、ω0=120π[rad/sec](60[Hz]))があらかじめ設定されており、積分ゲインKI5はあらかじめ設計されている。また、5次高調波補償部11は、安定余裕を最大化する処理も行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。
本実施形態において、5次高調波補償部11は、周波数重みに伝達関数の行列GI5を用いて、線形制御理論の1つであるH∞ループ整形法によって設計される。5次高調波補償部11で行われる処理は、伝達関数の行列GI5で示されるので、線形時不変の処理である。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計を行うことができる。
なお、制御系の設計に用いる設計方法はこれに限られず、その他の線形制御理論を用いることもできる。例えば、ループ整形法、最適制御、H∞制御、混合感度問題などを用いて設計するようにしてもよい。また、位相の遅延分から調整するための位相θ5をあらかじめ算出して設定するようにしてもよい。例えば、制御対象で位相が90度遅延する場合であれば、180度位相を遅延させるために、θ5=−90度として設定してもよい。この場合、上記(29)式に位相θ5に基づく回転変換行列を追加することになる。
7次高調波補償部12は、7次高調波の正相分を抑制するためのものである。7次高調波補償部12は、上記(28)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=7とした7次高調波の正相分を制御するための伝達関数の行列GI7に表される処理を行う。つまり、7次高調波補償部12は、下記(30)式に示す処理を行って、7次高調波補償信号Zα7,Zβ7を出力する。角周波数ω0は系統電圧の基本波の角周波数があらかじめ設定されており、積分ゲインKI7はあらかじめ設計されている。また、7次高調波補償部12は、安定余裕を最大化する処理も行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。7次高調波補償部12も、5次高調波補償部11と同様の方法で設計される。
11次高調波補償部13は、11次高調波の正相分を抑制するためのものである。11次高調波補償部13は、上記(28’)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=11とした11次高調波の正相分を制御するための伝達関数の行列GI11に表される処理を行う。つまり、11次高調波補償部13は、下記(31)式に示す処理を行って、11次高調波補償信号Zα11,Zβ11を出力する。角周波数ω0は系統電圧の基本波の角周波数があらかじめ設定されており、積分ゲインKI11はあらかじめ設計されている。また、11次高調波補償部13は、安定余裕を最大化する処理も行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。11次高調波補償部13も、5次高調波補償部11と同様の方法で設計される。
5次高調波補償部11が出力した5次高調波補償信号Zα5,Zβ5、7次高調波補償部12が出力した7次高調波補償信号Zα7,Zβ7、および、11次高調波補償部13が出力した11次高調波補償信号Zα11,Zβ11がそれぞれ加算されて、高調波補償信号Zα,Zβとして高調波補償コントローラ10から出力される。なお、本実施形態では、高調波補償コントローラ10が、5次高調波補償部11、7次高調波補償部12、および11次高調波補償部13を備えている場合について説明したが、これに限られない。高調波補償コントローラ10は、抑制する必要がある高調波の次数に応じて設計すればよい。例えば、5次高調波のみを抑制したい場合は、5次高調波補償部11のみを備えていればよい。また、さらに13次高調波も抑制したい場合には、上記(28)式の伝達関数の行列GInにおいて、n=13とした伝達関数の行列GI13に表される処理を行う13次高調波補償部をさらに備えるようにすればよい。
高調波補償コントローラ10から出力される高調波補償信号Zα,Zβは、電流コントローラ52から出力される補正値信号Xα,Xβに加算される。二相/三相変換部53には、高調波補償信号Zα,Zβを加算された補正値信号Xα,Xβが入力される。
図16(b)に示す仮想インバータ制御部9も、図16(a)に示す仮想コンバータ制御部8と同様であり、高調波補償コントローラ10を備えている点で、第1実施形態に係る仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)と異なる。仮想インバータ制御部9における高調波補償コントローラ10の構成は図16(a)に示す高調波補償コントローラ10と同様であり、三相/二相変換部61より出力されるα軸出力電圧信号Vαおよびβ軸出力電圧信号Vβを入力され、高調波抑制制御のための高調波補償信号を生成して、電圧コントローラ62から出力される補正値信号Yα,Yβに加算される。なお、仮想インバータ制御部9における高調波補償コントローラ10においては、角周波数ω0は負荷Lに供給する電圧の基本波の角周波数(例えば、ω0=200π[rad/sec](100[Hz]))があらかじめ設定されている。
本実施形態においては、高調波補償コントローラ10によって、高調波成分を抑制することができる。したがって、入力電流ひずみ率および出力電圧ひずみ率を改善することができる。また、本実施形態において、5次高調波補償部11は、回転座標変換および静止座標変換を行うことなく、静止座標系で制御を行っている。伝達関数の行列GI5は、回転座標変換を行ってからI制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列である。また、5次高調波補償部11で行われる処理は、伝達関数の行列GI5で示されるので、線形時不変の処理である。また、5次高調波補償の制御ループには非線形時変処理である回転座標変換処理および静止座標変換処理が含まれていないので、線形時不変システムになっている。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。7次高調波補償部12および11次高調波補償部13も、5次高調波補償部11と同様であり、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。
なお、上記第4実施形態においては、伝達関数の行列の各要素の積分ゲインが同一である場合について説明したが、要素毎に異なる値を用いるようにしてもよい。例えば、α軸成分の速応性を向上させたり、安定性を高めたりするなどの付加特性を与えるように設計することもできる。また、(1,2)要素と(2,1)要素の積分ゲインKIを「0」に設計して、正相分、逆相分の両方を制御するという付加特性を与えることもできる。正相分、逆相分の両方を制御する場合については、後述する。
また、上記第4実施形態においては、5次高調波補償部11、7次高調波補償部12、11次高調波補償部13をそれぞれ個別に設計する場合について説明したが、これに限られない。積分ゲインを共通にするようにして、5次高調波補償部11、7次高調波補償部12、11次高調波補償部13を一度に設計するようにしてもよい。
上記第4実施形態においては、各高調波の正相分を制御する場合について説明したが、これに限られない。各高調波の逆相分を制御するようにしてもよい。この場合は、正相分を制御する場合に用いられた伝達関数の行列GInの(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えた行列を用いればよい。また、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、正相分を制御する場合に用いられた伝達関数の行列GInの(1,2)要素と(2,1)要素を「0」にした行列を用いればよい。
上記第4実施形態においては、3つの信号(入力電流信号Ir,Is,Itまたは出力電圧信号Vu,Vv,Vw)をα軸成分およびβ軸成分に変換して制御する場合について説明したが、これに限られない。例えば、3つの信号を用いて直接制御するようにしてもよい。以下に、この場合の実施形態を第5実施形態として説明する。
図17は、第5実施形態に係る仮想コンバータ制御部および仮想インバータ制御部を説明するためのブロック図である。同図において、第4実施形態に係る仮想コンバータ制御部8および仮想インバータ制御部9(図16参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図17(a)に示す仮想コンバータ制御部8’は、三相/二相変換部51および二相/三相変換部53を備えておらず、電流コントローラ52”、5次高調波補償部11’、7次高調波補償部12’、および11次高調波補償部13’が3つの入力電流信号Ir,Is,Itを用いて直接制御を行う点で、第4実施形態に係る仮想コンバータ制御部8(図16参照)と異なる。なお、電流コントローラ52”は、第3実施形態に係るものと共通する(図14参照)。
三相/二相変換および二相/三相変換は、上記(1)式および(4)式で表されるので、三相/二相変換を行ってから伝達関数の行列Gnで表される処理を行った後に二相/三相変換を行う処理は、下記(32)式に示す伝達関数の行列G’ nで表される。
したがって、三相/二相変換を行ってから伝達関数の行列GInで表される処理を行った後に二相/三相変換を行う処理は、下記(33)式に示す伝達関数の行列G’Inで表される。
5次高調波補償部11’は、入力電流センサ2より出力される3つの入力電流信号Ir,Is,Itを入力され、5次高調波の正相分を抑制するための5次高調波補償信号Zr5,Zs5,Zt5を生成するものであり、下記(34)式に示す処理を行っている。なお、伝達関数の行列G’I5は、上記(33)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=5としたものである。また、5次高調波補償部11’は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。
本実施形態において、5次高調波補償部11’は、周波数重みに伝達関数の行列G’I5を用いて、線形制御理論の1つであるH∞ループ整形法によって設計される。5次高調波補償部11’で行われる処理は、伝達関数の行列G’I5で示されるので、線形時不変の処理である。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計を行うことができる。5次高調波補償部11’は、第4実施形態に係る5次高調波補償部11と同様にして設計される。なお、その他の線形制御理論を用いて設計してもよい。
7次高調波補償部12’は、入力電流センサ2より出力される3つの入力電流信号Ir,Is,Itを入力され、7次高調波の正相分を抑制するための7次高調波補償信号Zr7,Zs7,Zt7を生成するものであり、下記(35)式に示す処理を行っている。なお、伝達関数の行列G’I7は、上記(33)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=7としたものである。また、7次高調波補償部12’は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。7次高調波補償部12’も、5次高調波補償部11’と同様の方法で設計される。
11次高調波補償部13’は、入力電流センサ2より出力される3つの入力電流信号Ir,Is,Itを入力され、11次高調波の正相分を抑制するための11次高調波補償信号Zr11,Zs11,Zt11を生成するものであり、下記(36)式に示す処理を行っている。なお、伝達関数の行列G’I11は、上記(33)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=11としたものである。また、11次高調波補償部13’は、安定余裕を最大化する処理を行っており、この中で、制御ループでの位相の遅延分を補正して逆位相にするための位相の調整も行われている。11次高調波補償部13’も、5次高調波補償部11’と同様の方法で設計される。
5次高調波補償部11’が出力した5次高調波補償信号Zr5,Zs5,Zt5、7次高調波補償部12’が出力した7次高調波補償信号Zr7,Zs7,Zt7、および、11次高調波補償部13’が出力した11次高調波補償信号Zr11,Zs11,Zt11がそれぞれ加算されて、高調波補償信号Zr,Zs,Ztとして高調波補償コントローラ10’から出力され、電流コントローラ52”が出力した補正値信号Xr,Xs,Xtにそれぞれ加算される。PWM信号生成部54には、高調波補償信号Zr,Zs,Ztが加算された補正値信号Xr,Xs,Xtが入力される。なお、高調波補償コントローラ10’は、抑制する必要がある高調波の次数に応じて設計すればよい。例えば、5次高調波のみを抑制したい場合は5次高調波補償部11’のみを備えていればよく、さらに13次高調波も抑制したい場合には、上記(33)式の伝達関数の行列G’Inにおいて、n=13とした伝達関数の行列G’I13に表される処理を行う13次高調波補償部をさらに備えるようにすればよい。
5次高調波補償部11’で行われる処理は、伝達関数の行列G’I5で示されるので、線形時不変の処理である。また、5次高調波補償の制御ループには非線形時変処理である回転座標変換処理および静止座標変換処理が含まれていないので、線形時不変システムになっている。したがって、線形制御理論を用いた制御系設計やシステム解析が可能となる。7次高調波補償部12’および11次高調波補償部13’についても同様である。
図17(b)に示す仮想インバータ制御部9’も、図17(a)に示す仮想コンバータ制御部8’と同様であり、三相/二相変換部61および二相/三相変換部63を備えておらず、電圧コントローラ62”、高調波補償コントローラ10’が3つの出力電圧信号Vu,Vv,Vwを用いて直接制御を行う点で、第4実施形態に係る仮想インバータ制御部9(図16(b)参照)と異なる。なお、電圧コントローラ62”は、第3実施形態に係るものと共通する(図14参照)。仮想インバータ制御部9’における高調波補償コントローラ10’の構成は図17(a)に示す高調波補償コントローラ10’と同様であり、出力電圧センサ3より出力される3つの出力電圧信号Vu,Vv,Vwを入力され、高調波抑制制御のための高調波補償信号を生成して、電圧コントローラ62”から出力される補正値信号Yu,Yv,Ywにそれぞれ加算される。なお、仮想インバータ制御部9’における高調波補償コントローラ10’においては、角周波数ω0は負荷Lに供給する電圧の基本波の角周波数(例えば、ω0=200π[rad/sec](100[Hz]))があらかじめ設定されている。
第5実施形態において、各高調波の逆相分を制御する場合は、正相分を制御する場合に用いられた伝達関数の行列G’Inの要素の内、GIn12(s)、GIn23(s)およびGIn31(s)と、GIn13(s)、GIn21(s)およびGIn32(s)とを入れ換えた行列(すなわち、行列G’Inの転置行列)を用いればよい。また、正相分、逆相分の両方の制御を行うようにしてもよい。以下に、第5実施形態において、5次高調波補償部11’、7次高調波補償部12’、および11次高調波補償部13’が、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合について説明する。
上記(32)式において、行列Gnの(1,2)要素と(2,1)要素とを「0」にした場合を考えると、下記(37)式に示す伝達関数の行列G”nが算出できる。
したがって、5次高調波補償部11’が正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、下記(38)式の伝達関数の行列G”Inにおいて、n=5とした行列G”I5を用いるようにすればよい。同様に、7次高調波補償部12’が正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、下記(38)式の伝達関数の行列G”Inにおいて、n=7とした行列G”I7を用いるようにすればよく、11次高調波補償部13’が正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、下記(38)式の伝達関数の行列G”Inにおいて、n=11とした行列G”I11を用いるようにすればよい。
本実施形態においても、第4実施形態と同様の効果を奏することができる。
上記第4ないし第5実施形態においては、5次高調波補償部11(11’)、7次高調波補償部12(12’)、および11次高調波補償部13(13’)がI制御に代わる制御を行う場合について説明したがこれに限られない。例えば、PI制御に代わる制御を行うようにしてもよい。第4実施形態において、5次高調波補償部11、7次高調波補償部12、および11次高調波補償部13がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、n=3k+1(k=1,2,…)の場合、上記(11)式においてω0をn・ω0として、下記(39)式のように算出される伝達関数の行列GPInを用いればよい。また、n=3k+2(k=0,1,2,…)の場合、上記(11)式においてω0をn・ω0とし、(1,2)要素と(2,1)要素とを入れ換えて、下記(39’)式のように算出される伝達関数の行列GPInを用いればよい。なお、下記(39)式および(39’)式は、上記(27)式および(27’)式において、F(s)=KP+KI/sとして算出することもできる。
5次高調波補償部11がPI制御に代わる制御を行うようにする場合、上記(39’)式においてn=5とした行列GPI5を用いればよく、7次高調波補償部12がPI制御に代わる制御を行うようにする場合、上記(39)式においてn=7とした行列GPI7を用いればよく、11次高調波補償部13がPI制御に代わる制御を行うようにする場合、上記(39’)式においてn=11とした行列GPI11を用いればよい。また、正相分、逆相分の両方の制御を行う場合は、上記(39)式および(39’)式に示される伝達関数の行列GPInの(1,2)要素および(2,1)要素を「0」にした行列を用いればよい。
第5実施形態において、5次高調波補償部11’、7次高調波補償部12’、および11次高調波補償部13’がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(40)式に示される伝達関数の行列G’PInを用いればよい。
第5実施形態で各高調波の逆相分を制御する場合において、5次高調波補償部11’、7次高調波補償部12’、および11次高調波補償部13’がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、上記(40)式に示す伝達関数の行列G’PInの要素の内、GPIn12(s)、GPIn23(s)およびGPIn31(s)と、GPIn13(s)、GPIn21(s)およびGPIn32(s)とを入れ換えた行列(すなわち、行列G’PInの転置行列)を用いればよい。また、第5実施形態で正相分、逆相分の両方の制御を行う場合において、5次高調波補償部11’、7次高調波補償部12’、および11次高調波補償部13’がPI制御に代わる制御を行うようにする場合は、下記(41)式に示される伝達関数の行列G”PInを用いればよい。
PI制御に代わる制御を行う場合、比例ゲインKPを調整することにより、過渡時のダンピング効果を付加することができるというメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けやすくなるというデメリットがある。逆に、I制御に代わる制御を行う場合、過渡時のダンピング効果を付加することができないというデメリットがあるが、モデル化誤差の影響を受けにくくなるというメリットがある。
なお、5次高調波補償部11(11’)、7次高調波補償部12(12’)、および11次高調波補償部13(13’)がI制御およびPI制御以外の制御に代わる制御を行うようにしてもよい。上記(27)、(27’)式において、伝達関数F(s)を各制御の伝達関数とすることで、回転座標変換を行ってから当該制御を行った後に静止座標変換を行う処理と等価の処理を示す伝達関数の行列を算出することができる。したがって、PID制御(伝達関数は、比例ゲインをKP、積分ゲインをKI、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KP+KI/s+KD・sで表される。)に代わる制御を行うようにすることができるし、D制御(微分制御:伝達関数は、微分ゲインをKDとすると、F(s)=KD・sで表される。)、P制御(比例制御:伝達関数は、比例ゲインをKPとすると、F(s)=KPで表される。)、PD制御、ID制御などに代わる制御を行うようにすることができる。
また、高調波補償制御がそれぞれ入力電流制御および出力電圧制御と同じ制御とする場合に限定されず、制御の設計仕様に応じて制御を異ならせるようにしてもよい。例えば、入力電流制御(例えば、図16(a)における電流コントローラ52の制御)をPID制御に代わる制御とし入力側の高調波補償(例えば、図16(a)における高調波補償コントローラ10の制御)をPI制御に代わる制御としてもよい。
また、出力側に含まれる高調波が少ない場合などには、入力側は高調波補償を行い、出力側は高調波補償を行わないようにしてもよい。たとえば、仮想コンバータ制御部8(図16(a)参照)と仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)の組み合わせとしてもよい。
上記第1ないし第5実施形態においては、三相のマトリクスコンバータ装置について説明したが、これに限られない。本発明は、単相のマトリクスコンバータ装置にも適用することができる。
本発明を単相のマトリクスコンバータ装置に適用する方法の1つとして、電流センサが検出した電流信号から位相をπ/2(90度)遅らせた信号を生成して用いる方法がある。この場合について、第6実施形態として以下に説明する。
図18は、第6実施形態に係るマトリクスコンバータ装置を説明するためのブロック図である。同図において、第1実施形態に係るマトリクスコンバータ装置A(図6参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図18に示すマトリクスコンバータ装置A’は、単相の電力系統B’から供給される交流電力の周波数を変換して単相の負荷L’に供給するものである点と、マトリクスコンバータ回路1’が4個のスイッチング素子(図示しない)を有するPWM制御型の単相マトリクスコンバータを備えている点で、第1実施形態に係るマトリクスコンバータ装置Aと異なる。
図19(a)は、マトリクスコンバータ回路1’が備える単相マトリクスコンバータを説明するための図であり、4個のスイッチング素子をスイッチで表している。スイッチSru,Srvは、入力側の正相(r相)と、出力側の正相(u相)、負相(v相)とをそれぞれ接続するものであり、スイッチSsu,Ssvは、入力側の負相(s相)と、出力側の正相(u相)、負相(v相)とをそれぞれ接続するものである。単相マトリクスコンバータに入力されるr相およびs相の電圧をvr,vsとし、出力されるu相およびv相の電圧をvu,vvとした場合、スイッチングマトリクスは下記(42)式になる。
図19(b)は、単相コンバータと単相インバータとを組み合わせたAC/DC/AC電力変換回路を説明するための図であり、単相インバータおよび単相コンバータをそれぞれ4個のスイッチで表している。スイッチSrp,Sspは、それぞれ入力側のr相,s相と直流バスの正極とを接続するものであり、スイッチSrn,Ssnは、それぞれ入力側のr相,s相と直流バスの負極とを接続するものであり、これらで単相コンバータを表している。スイッチSup,Svpは、それぞれ出力側のu相,v相と直流バスの正極とを接続するものであり、スイッチSun,Svnは、それぞれ出力側のu相,v相と直流バスの負極とを接続するものであり、これらで単相インバータを表している。単相コンバータに入力されるr相およびs相の電圧をvr,vsとし、直流バスの正極電圧、負極電圧をそれぞれedcp,edcnとした場合、入力電圧と直流バス電圧との関係をスイッチングマトリクスで表すと、下記(43)式になる。また、単相インバータから出力されるu相およびv相の電圧をvu,vvとした場合、直流バス電圧と出力電圧の関係をスイッチングマトリクスで表すと、下記(44)式になる。
したがって、図19(a)に示す単相マトリクスコンバータと図19(b)に示すAC/DC/AC電力変換回路とが同一の入力電流、出力電圧を得るためには、下記(45)式が成立すればよい。すなわち、仮想の単相コンバータおよび単相インバータをそれぞれ制御するためのPWM信号を生成し、下記(45)式に基づいて合成したPWM信号を用いることで、単相マトリクスコンバータの制御を行うことができる。
図18に戻って、仮想コンバータ制御部50、仮想インバータ制御部60、および、PWM信号合成部7’も第1実施形態に係る仮想コンバータ制御部5、仮想インバータ制御部6、および、PWM信号合成部7と異なる。
図20は、第6実施形態に係る仮想コンバータ制御部50および仮想インバータ制御部60を説明するためのブロック図である。同図において、第1実施形態に係る仮想コンバータ制御部5および仮想インバータ制御部6(図9参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図20(a)に示す仮想コンバータ制御部50は、三相/二相変換部51および二相/三相変換部53を備えておらず、位相遅延部55を備えている点で、第1実施形態に係る仮想コンバータ制御部5(図9(a)参照)と異なる。
位相遅延部55は、単相用の入力電流センサ2が検出した単相の入力電流信号を入力され、当該入力電流信号(α軸入力電流信号Iα)とα軸入力電流信号Iαの位相をπ/2遅らせたβ軸入力電流信号Iβとを出力する。位相遅延部55は、入力された信号の位相をπ/2だけ遅らせるヒルベルト変換を行っている。理想的なヒルベルト変換は、下記(46)式に示す伝達関数H(ω)で表される。なお、ωSは標本化角周波数であり、jは虚数単位である。つまり、ヒルベルト変換とは、振幅特性は周波数によらず一定で、位相特性は正負の周波数領域でπ/2(90度)遅らせるフィルタ処理である。理想的なヒルベルト変換を実現することはできないので、例えばFIR(Finite impulse response)フィルタとして近似的に実現している。
なお、位相遅延部55はこれに限られず、入力された信号の位相をπ/2遅らせた信号を生成することができればよい。例えば、出願人が出願している特願2011−231445号に記載の複素係数フィルタを用いたり、同じく特願2012−030234号に記載の下記(47)式の伝達関数GF(s)に示す処理を行うフィルタを用いるようにしてもよい。
F(s)=T・ω0/{(T・s+1)2+(T・ω02} ・・・ (47)
ω0 :系統電圧の基本波の角周波数(例えば、ω0=120π[rad/sec](60[Hz]))
T :時定数
電流コントローラ52は、位相遅延部55より出力されるα軸入力電流信号Iα(入力電流センサ2が検出した単相の電流信号)およびβ軸入力電流信号Iβ(α軸入力電流信号Iαの位相をπ/2遅らせた信号)とそれぞれの目標値との偏差ΔIα,ΔIβを入力され、上記(45)式に示す処理を行って、入力電流制御のための補正値信号Xα,Xβを生成する。PWM信号生成部54’は、電流コントローラ52より出力される補正値信号Xα(または、補正値信号Xβ)に基づいて指令値信号を生成し、キャリア信号と比較することでPWM信号Prpを生成する。また、PWM信号生成部54’は、指令値信号を反転させた信号とキャリア信号との比較によりPWM信号Pspを生成する。また、PWM信号生成部54’は、生成された2つのPWM信号Prp,Pspを反転させたPWM信号Prn,Psnも生成し、これら4つのPWM信号Prp,Psp,Prn,PsnをPWM信号合成部7’に出力する。なお、α軸入力電流信号Iαとα軸入力電流目標値との偏差ΔIαを先に算出し、この偏差信号を位相遅延部55に入力して位相をπ/2遅らせた信号を生成し、これらを電流コントローラ52に入力するようにしてもよい。
図20(b)に示す仮想インバータ制御部60も、仮想コンバータ制御部50と同様であり、三相/二相変換部61および二相/三相変換部63を備えておらず、位相遅延部65を備えている点で、第1実施形態に係る仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)と異なる。位相遅延部65は、単相用の出力電圧センサ3が検出した単相の出力電圧信号を入力され、当該出力電圧信号(α軸出力電圧信号Vα)とα軸出力電圧信号Vαの位相をπ/2遅らせたβ軸出力電圧信号Vβとを出力する。
電圧コントローラ62は、位相遅延部65より出力されるα軸出力電圧信号Vα(出力電圧センサ3が検出した単相の電圧信号)およびβ軸出力電圧信号Vβ(α軸出力電圧信号Vαの位相をπ/2遅らせた信号)とそれぞれの目標値との偏差ΔVα,ΔVβを入力され、出力電圧制御のための補正値信号Yα,Yβを生成する。PWM信号生成部64’は、電圧コントローラ62より出力される補正値信号Yα(または、補正値信号Yβ)に基づいて指令値信号を生成し、キャリア信号と比較することでPWM信号Pupを生成する。また、PWM信号生成部64’は、指令値信号を反転させた信号とキャリア信号との比較によりPWM信号Pvpを生成し、生成された2つのPWM信号Pup,Pvpを反転させたPWM信号Pun,Pvnも生成し、これら4つのPWM信号Pup,Pvp,Pun,PvnをPWM信号合成部7’に出力する。
図18に戻って、PWM信号合成部7’は、仮想コンバータ制御部50および仮想インバータ制御部60が生成したPWM信号から、マトリクスコンバータ回路1’を制御するためのPWM信号を合成するものである。PWM信号合成部7’は、仮想コンバータ制御部50よりPWM信号Prp,Psp,Prn,Psnを入力され、仮想インバータ制御部60よりPWM信号Pup,Pvp,Pun,Pvnを入力され、上記(45)式に基づいてPWM信号Pru,Prv,Psu,Psvを合成し、生成したPWM信号をマトリクスコンバータ回路1’に出力する。
第6実施形態においては、三相の信号から三相二相変換でα軸成分信号およびβ軸成分信号を生成する代わりに、単相の信号(α軸成分信号)の位相をπ/2遅らせることでβ軸成分信号を生成することで、第1実施形態に係る三相の電流制御の処理方法を適用することができる。また、第6実施形態においても、第1実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。第2,4実施形態においても同様にして、単相のマトリクスコンバータ装置に適用することができる。
また、本発明を単相に適用するもう1つの方法として、単相の電流信号のみを用いて処理を行う方法がある。
上記第2実施形態(図13参照)において説明したように、正相分、逆相分の両方の制御を行なう場合、上記(12)式に示す行列GIの(1,2)要素および(2,1)要素を「0」にした行列を用いればよい。単相システムの場合、α軸電流信号にのみ処理を行えばよいので、位相を90度遅らせたβ軸電流信号を生成しなくてもよい。以下に、単相の電流信号のみを用いて処理を行う場合について、第7実施形態として説明する。
図21は、第7実施形態に係る制御回路を説明するためのブロック図である。同図において、第6実施形態に係る仮想コンバータ制御部50および仮想インバータ制御部60(図20参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図21(a)に示す仮想コンバータ制御部50’は、電流コントローラ52に代えて第2実施形態に係るα軸電流コントローラ52’a(図13(a)参照)を備えている点と、位相遅延部55を備えていない点で、第6実施形態に係る仮想コンバータ制御部50(図20(a)参照)と異なる。
α軸電流コントローラ52’aには、単相用の入力電流センサ2が検出した単相の入力電流信号(α軸入力電流信号)とα軸入力電流目標値との偏差が入力される。α軸電流コントローラ52’aは、行列GIの(1,1)要素および(2,2)要素である伝達関数KI・s/(s2+ω0 2)で表される処理を行って、補正値信号XαをPWM信号生成部54’に出力する。
図21(b)に示す仮想インバータ制御部60’も同様であり、電圧コントローラ62に代えて第2実施形態に係るα軸電圧コントローラ62’a(図13(b)参照)を備えている点と、位相遅延部65を備えていない点で、第6実施形態に係る仮想インバータ制御部60(図20(b)参照)と異なる。α軸電圧コントローラ62’aは、単相用の出力電圧センサ3が検出した単相の出力電圧信号(α軸出力電圧信号)とα軸出力電圧目標値との偏差を入力され、補正値信号YαをPWM信号生成部64’に出力する。
第7実施形態においても、第2実施形態の場合と同様の効果を奏することができる。第4実施形態においても同様にして、単相のマトリクスコンバータ装置に適用することができる。
また、第1ないし第5実施形態のいずれかと、第6または第7実施形態とを組み合わせることで、単相/三相マトリクスコンバータ装置および三相/単相マトリクスコンバータ装置に適用することもできる。例えば、仮想コンバータ制御部50(図20(a)参照)と仮想インバータ制御部6(図9(b)参照)とを組み合わせることで、単相/三相マトリクスコンバータ回路を制御する制御回路を実現することができる。
上記第1ないし第7実施形態においては、角周波数ω0をあらかじめ設定しておく場合について説明したが、これに限られない。信号処理のサンプリング周期が固定サンプリング周期の場合、系統電圧の基本波の角周波数または負荷Lに供給する電圧の基本波の角周波数を、周波数検出装置などで検出して、検出された角周波数を角周波数ω0として用いるようにしてもよい。
本発明に係るマトリクスコンバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたマトリクスコンバータ装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るマトリクスコンバータ回路の制御回路、および、当該制御回路を備えたマトリクスコンバータ装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
A マトリクスコンバータ装置
1,1’ マトリクスコンバータ回路
2 入力電流センサ
3 出力電圧センサ
4 制御回路
5,5’,5”,8,8’,50,50’ 仮想コンバータ制御部
51 三相/二相変換部(二相変換手段)
52,52” 電流コントローラ(制御手段)
52’a α軸電流コントローラ(制御手段)
52’b β軸電流コントローラ(制御手段)
53 二相/三相変換部
54,54’ PWM信号生成部
55 位相遅延部(二相変換手段)
6,6’,6”,9,9’,60,60’ 仮想インバータ制御部
61 三相/二相変換部(二相変換手段)
62,62” 電圧コントローラ(制御手段)
62’a α軸電圧コントローラ(制御手段)
62’b β軸電圧コントローラ(制御手段)
63 二相/三相変換部
64,64’ PWM信号生成部
65 位相遅延部(二相変換手段)
7,7’ PWM信号合成部
10,10’ 高調波補償コントローラ
11 5次高調波補償部
12 7次高調波補償部
13 11次高調波補償部
B,B’ 電力系統
L,L’ 負荷

Claims (20)

  1. 周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、
    前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、
    前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、
    前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段と、
    を備えており、
    前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、
    前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号を第1の信号と第2の信号に変換する二相変換手段と、
    前記第1の信号および前記第2の信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号および第2の偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、
    前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  2. 周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、
    前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、
    前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、
    前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段と、
    を備えており、
    前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、
    前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号とそれぞれの目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、
    前記偏差信号を第1の偏差信号および第2の偏差信号に変換する二相変換手段と、
    前記第1の偏差信号および前記第2の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号および第2の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記第1の補正値信号または前記第2の補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  3. 前記制御手段は、
    前記第1の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第2の伝達関数および前記第3の伝達関数は、それぞれ、
    である、
    請求項1または2に記載の制御回路。
  4. 前記マトリクスコンバータ回路は三相交流の周波数を変換するものであり、
    前記二相変換手段は、3つの信号を前記第1の信号と前記第2の信号に変換するものであり、
    前記第1の補正値信号と前記第2の補正値信号とを3つの補正値信号に変換する二相三相変換手段をさらに備え、
    前記PWM信号生成手段は、前記3つの補正値信号に基づいて前記PWM信号を生成する、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の制御回路。
  5. 前記マトリクスコンバータ回路は単相交流の周波数を変換するものであり、
    前記二相変換手段は、前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号を前記第1の信号とし、前記第1の信号の位相を90度遅らせた信号を前記第2の信号として生成する、
    請求項1ないし3のいずれかに記載の制御回路。
  6. 三相交流の周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、
    前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、
    前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、
    前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段と、
    を備えており、
    前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、
    前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号である3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数および前記第2の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  7. 三相交流の周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、
    前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、
    前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、
    前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段と、
    を備えており、
    前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、
    前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号である3つの信号とそれぞれの目標値との偏差である第1の偏差信号、第2の偏差信号、および第3の偏差信号にそれぞれ含まれる基本波成分をそれぞれゼロに制御するための第1の補正値信号、第2の補正値信号、および第3の補正値信号を生成する制御手段と、
    前記3つの補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記第1の偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を第2の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を第3の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第1の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第2の補正値信号を生成し、
    前記第1の偏差信号を前記第2の伝達関数によって信号処理し、前記第2の偏差信号を前記第3の伝達関数によって信号処理し、前記第3の偏差信号を前記第1の伝達関数によって信号処理し、これらを加算することで前記第3の補正値信号を生成し、
    前記第1ないし第3の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、それぞれ、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  8. 単相交流の周波数を変換するためのマトリクスコンバータ回路の制御回路であって、
    前記マトリクスコンバータ回路の入力に基づく信号から仮想コンバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想コンバータ制御手段と、
    前記マトリクスコンバータ回路の出力に基づく信号から仮想インバータを制御するためのPWM信号を生成する仮想インバータ制御手段と、
    前記仮想コンバータを制御するためのPWM信号と前記仮想インバータを制御するためのPWM信号とから前記マトリクスコンバータ回路を制御するためのPWM信号を生成するPWM信号合成手段と、
    を備えており、
    前記仮想コンバータ制御手段または前記仮想インバータ制御手段は、
    前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号と目標値との偏差である偏差信号を生成する偏差信号生成手段と、
    前記偏差信号に含まれる基本波成分をゼロに制御するための補正値信号を生成する制御手段と、
    前記補正値信号に基づいてPWM信号を生成するPWM信号生成手段と、
    を備えており、
    前記制御手段は、
    前記偏差信号を第1の伝達関数によって信号処理することで前記補正値信号を生成し、
    前記第1の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF(s)とし、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとした場合、
    である、
    ことを特徴とする制御回路。
  9. 前記所定の制御処理を表す伝達関数が、F(s)=KI/s(但し、KIは積分ゲイン)である、請求項1ないし8のいずれかに記載の制御回路。
  10. 前記所定の制御処理を表す伝達関数が、F(s)=KP+KI/s(但し、KPおよびKIは、それぞれ比例ゲインおよび積分ゲイン)である、請求項1ないし8のいずれかに記載の制御回路。
  11. 前記所定の制御処理を表す伝達関数が、F(s)=KP+KI/s+KD・s(但し、KP、KIおよびKDは、それぞれ比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン)である、請求項1ないし8のいずれかに記載の制御回路。
  12. 前記第1の信号および前記第2の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号および第2の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号および前記第2の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号および前記第2の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備え、
    前記高調波補償手段は、
    前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理することで前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理することで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第4の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF’(s)、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、
    である、
    請求項1に記載の制御回路。
  13. 前記高調波補償手段は、
    前記第1の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第5の伝達関数および前記第6の伝達関数は、
    n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    であり、
    n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    である、
    請求項12に記載の制御回路。
  14. 前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、
    前記高調波補償手段は、
    前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、
    前記第4の伝達関数および前記第5の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF’(s)、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとし、n次高調波を抑制する場合、それぞれ、
    である、
    請求項6または7に記載の制御回路。
  15. 前記3つの信号である第1の信号、第2の信号、および第3の信号にそれぞれ含まれる所定の高調波成分を抑制する制御を行って、第1の高調波補償信号、第2の高調波補償信号、および第3の高調波補償信号を生成し、前記第1の高調波補償信号ないし前記第3の高調波補償信号をそれぞれ前記第1の補正値信号ないし前記第3の補正値信号に加算する高調波補償手段をさらに備えており、
    前記高調波補償手段は、
    前記第1の信号を第4の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を第5の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を第6の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第1の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第2の高調波補償信号を生成し、
    前記第1の信号を前記第5の伝達関数によって信号処理し、前記第2の信号を前記第6の伝達関数によって信号処理し、前記第3の信号を前記第4の伝達関数によって信号処理し、これらを加算して位相の調整処理を行うことで、前記第3の高調波補償信号を生成し、
    前記第4の伝達関数ないし第6の伝達関数は、所定の制御処理を表す伝達関数をF’(s)、前記入力または出力に基づく信号の基本波の角周波数をω0、虚数単位をjとし、
    n次高調波(n=3k+1:k=1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    であり、
    n次高調波(n=3k+2:k=0,1,2,…)を抑制する場合、それぞれ、
    である、
    請求項6または7に記載の制御回路。
  16. 前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号は、入力電流または出力電流を検出した信号である、請求項1ないし15のいずれかに記載の制御回路。
  17. 前記入力に基づく信号または前記出力に基づく信号は、入力電圧または出力電圧を検出した信号である、請求項1ないし15のいずれかに記載の制御回路。
  18. 制御系の設計が、ロバスト制御設計を用いて行われている、請求項1ないし17のいずれかに記載の制御回路。
  19. 制御系の設計が、H∞ループ整形法を用いて行われている、請求項18に記載の制御回路。
  20. マトリクスコンバータ回路と、請求項1ないし19のいずれかに記載の制御回路とを備えていることを特徴とするマトリクスコンバータ装置。
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