JP2013187393A - 貼り合わせ装置及び貼り合わせ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】板状の2つの部材を貼り合わせる際、部材間のボイドの発生をより確実に抑制しつつ、両部材の貼り合わせをより精細かつ正確に行うこと。
【解決手段】この貼り合わせ装置は、第1および第2の板状部材W1,W2をそれぞれ保持するための下部保持部10および上部保持部12と、これらの保持部10,12を相対的に近づけまたは遠ざける接近離間駆動部14と、各部の動作および全体のシーケンスを制御する主制御部16とを備える。上部保持部12は、水平な背板30と、第2の板状部材W2を面接触で支持するための弾性変形可能な弾性支持板34と、この弾性支持板34を介して第2の板状部材W2を着脱可能に吸着する吸着部36と、弾性支持板34を介して板状部材W2の面形状を制御する面形状制御部38とを有している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、板状の2つの部材を貼り合わせるための貼り合わせ装置および貼り合わせ方法に関する。
従来より、半導体デバイスの製造分野では、特殊な用途で2つのシリコン基板をウエハレベルで貼り合わせる加工が行われている。たとえば、TSV(Through Silicon Via)等の3次元積層チップの製造プロセスでは、シリコン基板を薄肉化する裏面グライディング工程に際して集積回路とビアが形成されている当該半導体ウエハに同形および同サイズのベアウエハが支持部材として貼り合わされる。また、SOI (Silicon On Insulator)技術では、酸化膜を介して2枚の半導体ウエハが貼り合わされる。また、BSI(Back Side Illumination)型CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサの製造プロセスでは、どちらにも画素の集積回路が形成されている2枚の半導体ウエハが貼り合わされる。
この種の貼り合わせ加工においては、両ウエハの貼り合わせ面に空気が閉じ込められてボイドが発生することが最も嫌われる。少なくともボイドが発生している辺りのウエハ領域から個片に切り出されるダイ(チップ)は不良品になり、歩留まりが低下するからである。
従来より、ウエハの貼り合わせ界面にボイドが発生するのを解消するために、載置テーブルと対向して配置される保持板を可撓性材料で構成し、載置テーブル側の下ウエハ(第1の部材)と保持板側の上ウエハ(第2の部材)との間に存在する気体(空気)を逃がしつつ両者を貼り合わせる装置が開発されている(特許文献1)。
この貼り合わせ装置においては、吸気機構により、下部チャック(第1の保持部)と上部チャック(第2の保持部)間の空間(貼り合わせ空間)の雰囲気を吸気し、上部チャックの保持部の上面にかかる圧力と貼り合わせ空間内の圧力との差圧を所定の圧力にすることで、上ウエハを保持した上部チャックの一箇所(通常中心部)を撓ませることができる。そうすると、この上ウエハの撓んだ部分が下ウエハに当接する。その後、吸気機構により貼り合わせ空間の雰囲気をさらに吸気し、貼り合わせ空間内の圧力を上部チャックと上ウエハ間の圧力より低くすることで、上ウエハが上部チャックから落下して、上ウエハの全面が下ウエハの全面に当接する。このとき、上部チャックは、下ウエハに当接した部位(中心部)から、当該上ウエハの径方向外側に向かって順次当接する。こうして、貼り合わせ空間内にボイドとなりうる空気が存在している場合でも、空気は上ウエハが下ウエハと当接している箇所より常に外側に存在することになり、当該空気を部材間から逃がすようにしている。
国際公開WO2010/055730
上記従来の貼り合わせ装置においては、上述したように、吸気機構により、貼り合わせ空間内の圧力を上部チャックと上ウエハ間の圧力より低くすることで、上ウエハが上部チャックから落下して、上ウエハの全面が下ウエハの全面に当接するようになっている。このとき、大まかには、上ウエハは、下ウエハに当接した部位(ウエハ中心部)から、当該上ウエハの径方向外側に向かって順次当接する。しかし、上ウエハが上部チャックから落下しながら径方向外側に向かって順次下ウエハに当接するときの動作を精細に制御することは困難である。このため、吸気機構により撓まされる側のウエハつまり上ウエハに歪、撓み、反り、表面の凹凸等がある場合には、貼り合わせ空間内にボイドが残る可能性がある。
また、上記貼り合わせ装置を含めて従来の貼り合わせ装置はいずれも、貼り合わせの前には両ウエハ間の位置合わせを正確に行っても、貼り合わせの時に、つまり両ウエハ間の局所接触から全面接触までの一連の動作の中で、貼り合わせ空間内の空気圧の影響や滑り等により位置ずれを生じることがある。特に、上ウエハに歪、撓み、反り、表面の凹凸等がある場合は、そのような位置ずれを生じやすい。
しかしながら、BSI型CMOSイメージセンサの製造プロセスのように、どちらにも集積回路が形成されている半導体ウエハ同士を一体に接合する貼り合わせ加工では、位置ずれの非常に小さい(300mm口径のウエハでは1μm以下の)貼り合わせ精度が要求される。従来の貼り合わせ装置または貼り合わせ方法によってこのような高精度の貼り合わせを行うのは非常に困難である。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するものであり、板状の2つの部材を貼り合わせる際、部材間のボイドの発生をより確実に抑制しつつ、両部材の貼り合わせをより精細かつ正確に行うことを目的とする。
さらに、本発明は、板状の2つの部材を貼り合わせる際、位置ずれの殆どない高精度の貼り合わせを行うことを目的とする。
本発明の第1の観点における貼り合わせ装置は、板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる装置であって、前記第1の部材を面接触で保持する第1の保持部と、前記第1の保持部と対向して前記第2の部材を保持する第2の保持部と、前記第1の保持部と前記第2の保持部とを相対的に近づけまたは遠ざける接近離間駆動部とを具備し、前記第2の保持部が、前記第2の部材を面接触で支持する弾性変形可能な弾性支持板と、前記弾性支持板を介して前記第2の部材を着脱可能に吸着する吸着部と、前記弾性支持板を介して前記第2の部材の面形状を制御する面形状制御部とを有する。
上記第1の観点における貼り合わせ装置は、第2の部材を保持する第2の保持部に、上記構成の弾性支持板、吸着部および面形状制御部を備えることにより、貼り合わせ前に第2の部材を任意の面形状に成形することが可能であり、貼り合わせ時には第2の部材の各部位を任意の順序できめ細かく所定の基準姿勢(通常は水平または平坦な状態)に制御して第1の部材の対応する各部位に隙間なくぴったり接合させることができる。これにより、両部材間の接触界面でボイドの発生を確実に防止できるとともに、貼り合わせ空間内の空気圧の影響や滑り等による位置ずれも効果的に防止できる。また、第2の部材に歪、撓み、反りまたは表面の凹凸があっても、両部材の貼り合わせを精細かつ正確に行うことができる。
本発明の第2の観点における貼り合わせ装置は、板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる装置であって、前記第1の部材を面接触で保持する非弾性の保持部と、前記非弾性保持部と対向して、前記第2の部材を面接触で支持する弾性変形可能な弾性支持板と、前記弾性支持板を介して前記第2の部材を着脱可能に吸着する吸着部と、前記弾性支持板に支持されている前記第2の部材の面形状を測定する面形状測定部と、前記非弾性保持部と前記弾性支持板とを相対的に近づけまたは遠ざける接近離間駆動部と、前記面形状測定部より得られる面形状測定結果に基づいて、前記第1の部材と貼り合わされる前または貼り合わされる時の前記第2の部材の面形状を前記弾性支持板を介して制御する面形状制御部とを有する。
上記第2の観点における装置構成は、第2の部材を保持する第2の保持部に、上記構成の弾性支持板、吸着部および面形状制御部を備えることにより、上記第1の観点における装置と同様の作用効果が得られるだけでなく、面形状測定部より得られる面形状測定結果を面形状制御部の面形状制御に反映させることにより、貼り合わせ前に第2の部材を成形する面形状の精度、および貼り合わせ時に第2の部材の各部位を基準姿勢(通常は水平または平坦な状態)に制御する際の精度を一層向上させることができる。これにより、ボイド発生防止効果および位置置ずれ防止効果を一層高め、両部材の貼り合わせを一層精細かつ正確に行うことができる。
本発明の第1の貼り合わせ方法は、板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる方法であって、非弾性の保持部により前記第1の部材を面接触で保持する工程と、前記非弾性保持部と対向して設けられる弾性変形可能な弾性支持板により前記第2の部材を面接触で保持する工程と、前記第2の部材の面形状を測定する工程と、前記面形状測定の結果に基づいて、前記弾性支持板に保持されている前記第2の部材を前記弾性支持板を介して所定の面形状に成形する工程と、前記第1の部材の一部と前記第2の部材の一部とが接触し、または接触する寸前まで、前記非弾性保持部と前記弾性支持板とを相対的に近づける工程と、前記第1の部材に貼り合わされるように前記第2の部材の各部位を前記弾性支持板を介して所定の順序で押圧する工程と、前記第1の部材に貼り合わされた前記第2の部材から前記弾性支持板を引き離す工程とを有する。
上記第1の貼り合わせ方法においては、貼り合わせの前に第2の部材の面形状を測定し、その面形状測定の結果に基づいて、弾性支持板に保持されている第2の部材を弾性支持板を介して所定の面形状に成形する。したがって、第2の部材に歪、撓み、反りまたは表面の凹凸があっても、それが無いときと同じように貼り合わせ前に当該第2の部材を予め設定された所定の面形状に成形することができる。
本発明の第2の貼り合わせ方法は、板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる方法であって、非弾性の保持部により前記第1の部材を保持する工程と、前記非弾性保持部と対向して設けられる弾性変形可能な弾性支持板により前記第2の部材を保持する工程と、前記弾性支持板に保持されている前記第2の部材を前記弾性支持板を介して所定の面形状に成形する工程と、前記第2の部材の面形状を測定する工程と、前記面形状測定の結果に基づいて、前記弾性支持板に保持されている前記第2の部材の前記成形された面形状を補正する工程と、前記第1の部材の一部と前記第2の部材の一部とが接触し、または接触する寸前まで、前記非弾性保持部と前記弾性支持板とを相対的に近づける工程と、前記第1の部材に貼り合わされるように前記第2の部材の各部位を前記弾性支持板を介して所定の順序で押圧する工程と、前記第1の部材に貼り合わされた前記第2の部材から前記弾性支持板を引き離す工程とを有する。
上記第2の貼り合わせ方法においては、貼り合わせの前に成形した第2の部材の面形状を測定し、その面形状測定の結果に基づいて、弾性支持板に保持されている第2の部材の成形されている面形状を補正するので、貼り合わせ前に第2の部材に付与する所定面形状の精度を一層高めることができる。
本発明の貼り合わせ装置または貼り合わせ方法によれば、上記のような構成および作用により、板状の2つの部材を貼り合わせる際に部材間のボイドの発生をより確実に抑制しつつ、両部材の貼り合わせをより精細かつ正確に行うことができる。さらに、板状の2つの部材を貼り合わせる際、位置ずれの殆どない高精度の貼り合わせを行うこともできる。
本発明の一実施形態における貼り合わせ装置の構成を示す図である。 上記貼り合わせ装置の要部の構成を示す断面図である。 上記貼り合わせ装置における伸縮支柱部材の2次元的な配置構成(レイアウト)の一実施例を示す略平面図である。 上記貼り合わせ装置における面状制御部の主要な構成を示す。 上記貼り合わせ装置において上部保持部にウエハをローディングする動作の一段階を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置において上部保持部にウエハをローディングする動作の一段階を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置における面形状測定動作の様子を示す略断面図である。 弾性支持板および第2のウエハ上に設定されるマトリクス区画上に距離測定値のデータをマッピングする技法を示す図である。 上記マトリクス区画上に距離測定値誤差データをマッピングする技法を示す図である。 上記マトリクス区画上に基準の所要ピエゾ伸縮量データをマッピングする技法を示す図である。 上記マトリクス区画上に補正後の所要ピエゾ伸縮量データをマッピングする技法を示す図である。 上記貼り合わせ装置において貼り合わせ前に上部保持部側の第2のウエハを所定の面形状に成形した状態を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置において貼り合わせ前に所定の面形状に成形された第2のウエハに対する面形状測定動作の様子を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置における貼り合わせ動作の一段階(初期段階)を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置における貼り合わせ動作の一段階(中間段階)を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置における貼り合わせ動作の一段階(最終段階)を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置における貼り合わせ完了直後の各部の状態を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置における貼り合わせ動作終了後の一状態を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置の一変形例における貼り合わせ動作の一段階(初期段階)を示す略断面図である。 上記変形例における貼り合わせ動作の一段階(中間段階)を示す略断面図である。 上記変形例における貼り合わせ動作の一段階(最終段階)を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置における位置合わせ機構の構成を示す断面図である。 位置合わせ機構による位置合わせ動作の一段階を示す略断面図である。 上記位置合わせ動作の一段階を示す略断面図である。 上記位置合わせ動作の一段階を示す略断面図である。 上記位置合わせ動作の一段階を示す略断面図である。 上記貼り合わせ装置の吸着部に係る一変形例を示す図である。 上記貼り合わせ装置における伸縮支柱部材の2次元的な配置構成(レイアウト)の一変形例を示す略平面図である。
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
[実施形態における貼り合わせ装置の構成]
図1および図2に、本発明の一実施形態における貼り合わせ装置の構成を示す。この貼り合わせ装置は、基本構成として、第1および第2の板状部材たとえば半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)W1,W2をそれぞれ保持するための下部保持部10および上部保持部12と、これらの保持部10,12を相対的に近づけまたは遠ざける接近離間駆動部14と、各部の動作および全体のシーケンスを制御する主制御部16とを備える。
下部保持部10は、上面に第1のウエハW1を面接触で載置するテーブル型の下部チャック18と、この下部チャック18の上面に第1のウエハW1を固定するための固定機構20とを有している。固定機構20は、たとえば吸着機構からなり、下部チャック18の上面(載置面)に離散的に形成された複数の吸気口22と、下部チャック18内部の通気路24および外部の通気管26を介して吸気口22に接続される真空発生装置28とを有している。通気管26の途中に設けられている方向切換弁25を大気ポート27側に切り換えることにより、バキュームライン(通気管26、通気路24、吸気口22)を大気開放できるようになっている。下部保持部10には、外部の搬送装置(図示せず)とウエハW1の受け渡しを行うためのリフトピン機構(図示せず)も備わっている。
上部保持部12は、図示しない支持部材に結合され固定されている水平な背板30と、第2のウエハW2を面接触で支持するためにリング状のフランジ部32を介して背板30の下に取り付けられている弾性変形可能な弾性支持板34と、この弾性支持板34を介して第2のウエハW2を着脱可能に吸着する吸着部36と、弾性支持板34を介してウエハW2の面形状を制御する面形状制御部38とを有している。背板30は、面形状制御部38との関係で、プリント配線板を用いている。
弾性支持板34は、合成樹脂(好ましくはフッ素樹脂、シリコーン樹脂)の薄板あるいは金属(好ましくはSUS系もしくは鉄系)の薄板からなり、自由空間の中で板面の任意の部位を局所的に押圧すると、その部位およびその付近が押圧方向に変位し、押圧力を解除すると変位していた部分が完全に元に戻るようになっている。弾性支持板34の周縁部はフランジ部32に気密に接続されている。弾性支持板34とフランジ部32と背板30との間に密閉(真空封止)可能なギャップGPが形成されている。弾性支持板34の第2のウエハW1と面接触で重なる領域には、吸着部36との関係で、バキューム吸着用の多数または無数の通気(貫通)孔34aが形成されている。
吸着部36は、弾性支持板34の通気孔34aにギャップGPを介して真空発生装置40を接続している。この実施形態では、背板30にも多数または無数の通気(貫通)孔30aが形成されるとともに、背板30の裏側(上)に気密なマニホルドまたはバッファ室42が設けられ、このバッファ室42に配管44を介して真空発生装置40が接続されている。真空発生装置40は、たとえば真空ポンプまたはエジェクタで構成されている。配管44の途中には方向切換弁46が設けられている。この方向切換弁46により、バッファ室42内およびギャップGP内の空間を真空発生装置40の出側または大気ポート48のいずれにも選択的に接続できるようになっている。
面形状制御部38は、背板30と、ギャップGP内で背板30に取り付けられている多数の伸縮支柱部材50と、これら多数の伸縮支柱部材50を各々独立かつ所望の伸縮量で伸縮させる伸縮制御部52(図4)とで構成されている。伸縮制御部52を構成する電気部品の少なくとも一部は、電子部品パッケージ54の形態で背板30の裏面(上面)に取り付けられている。
図2に示すように、各々の伸縮支柱部材50は、棒状のピエゾ素子56と棒状のギャップ拡張部材58とを有している。ここで、ピエゾ素子56の一端(上端)は背板30に接触または結合し、ピエゾ素子56の他端(下端)とギャップ拡張部材58の一端(上端)とが結合し、ギャップ拡張部材58の他端(下端)が弾性支持板34の裏面(上面)に接触または結合している。ギャップ拡張部材58は、任意の剛体たとえば樹脂、金属またはセラミックからなり、伸縮支柱部材50の長さ寸法を拡張し、ひいてはギャップGPの高さ寸法を拡張し、さらには弾性支持板34との接触性または結合性を増大させている。図示の構成例では、弾性支持板34との接触面積または接続面積を大きくするために、ギャップ拡張部材58の下端部58aが逆テーパ状に太くなっている。
ピエゾ素子56は、たとえば、多数の圧電素子を重ねて棒状に形成した積層型の圧電セラミックアクチエータで構成されている。図示の構成例では、ピエゾ素子56の対向する側面に一対の電極58A,58Bが接続されている。これらの電極58A,58Bは、可撓性の電気コードまたはボンディングワイヤ60A,60Bおよび背板30上のプリント配線62A,62Bを介して背板30の裏面側の電子部品パッケージ54の対応するリード54aに電気的に接続されている。後述するように、電子部品パッケージ54に内蔵されているピエゾ駆動回路80(図4)より、プリント配線62A,62B、ボンディングワイヤ60A,60Bおよび電極58A,58Bを介してピエゾ素子56に直流の駆動電圧が印加される。ピエゾ素子56は、印加された駆動電圧の極性および/または電圧値に応じて軸方向に伸縮するようになっている。
この実施形態では、背板30の両面のプリント配線を繋いでいる中空のスルーホール64が、吸着部36において背板30の上下の閉空間(42,GP)を接続する通気孔30aを兼ねている。別の実施例として、スルーホール64から独立した通気孔30aを背板30に形成する構成も可能である。背板30には、主制御部16からの電気ケーブル66と接続するコネクタ68も取り付けられている(図1)。
図1に戻り、接近離間駆動部14は、主制御部16の制御の下で動作するXYステージ70およびZθステージ72を有している。XYステージ70の上にZθステージ72が搭載され、Zθステージ72の上に下部チャック18が搭載されている。XYステージ70は、Zθステージ72および下部チャック18を一体的に水平面(XY面)内の任意の方向に移動させ、かつ可動範囲内の任意の位置で固定(静止)できるように構成されている。Zθステージ72は、下部チャック18を鉛直方向(Z方向)および/または周回方向(θ方向)に移動させ、かつ可動範囲内の任意の位置で固定(静止)できるように構成されている。
この貼り合わせ装置は、上部保持部12に保持されている第2のウエハW2の面形状を測定するための面形状測定部74を備えている。この実施形態における面形状測定部74は、下部チャック18の一側面に水平の支持板76を介して取り付けられた光学式距離センサ78を有している。接近離間駆動部14を動作させることにより、上部保持部12に保持されている第2のウエハW2の真下で光学式距離センサ78を任意にスキャンできるようになっている。
光学式距離センサ78は、任意の高さ位置から直上の物体との距離を光学的に測定する。この光学的な距離測定のために、光学式距離センサ78は、垂直上方に光ビームを投光する投光部と、該光ビームの当たった物体(ウエハW2)から反射してくる光を測定距離に応じた位置で受光する受光部とを有している。
さらに、この貼り合わせ装置には、下部保持部10に保持されている第1のウエハW1と上部保持部12に保持されている第2のウエハW2との間で位置合わせを行うための位置合わせ機構100(図22〜図26)も備わっている。
図3に、上部保持部12に設けられる伸縮支柱部材50の2次元的な配置構成(レイアウト)の一例を示す。このレイアウトでは、第2のウエハW2およびこれと面接触で重なる弾性支持板34の有効エリアをマトリクス状に区画し、マトリクス区画の各単位領域Ei,j(i=1,2,・・n,j=1,2,・・m)毎に1個の伸縮支柱部材50i,jを設けている。面形状制御部38は、弾性支持板34に対して、ひいては弾性支持板34を介して第2のウエハW2に対して、マトリクス区画の各単位領域Ei,j毎に伸縮支柱部材50i,jを通じて所望の押圧力または引力を加えられるようになっている。
図4に、伸縮制御部52の構成を示す。伸縮制御部52は、上記のように背板30と弾性支持板34との間のギャップGP内にマトリクス状に多数配置されている各々の伸縮支柱部材50i,jを個別に駆動するためのピエゾ駆動回路80i,jと、このピエゾ駆動回路80i,jを通じて各ピエゾ素子56i,jないし伸縮支柱部材50i,jの伸縮量を制御するピエゾ制御部82とを有している。伸縮制御部52は、ギャップGP内に分布する全ての伸縮支柱部材50について、伸縮の有無、伸縮量、伸縮動作のタイミング、速度等を各々独立に制御することができる。ピエゾ制御部82は、マイクロコンピュータ、メモリおよび所要のインタフェースを有しており、所定のプログラムにしたがって後述する様々な演算処理および制御を実行する。また、ピエゾ制御部82は、ハードウェハ的には、背板30に取り付けられる電子部品パッケージ54にピエゾ駆動回路80と一緒にまたは別々に搭載されてもよく、あるいは主制御部16の中に組み込まれてもよい。
主制御部16も、マイクロコンピュータ、メモリおよび所要のインタフェースまたは周辺装置を含んでおり、この貼り合わせ装置内の各部の動作または状態および装置全体のシーケンスを制御する。この実施形態における主制御部16は、制御および演算機能の面で、吸着部36、面形状制御部38、面形状測定部74の各々の一部または全部を構成している。

[実施形態における貼り合わせ装置の作用]
次に、図5〜21につき、この実施形態における貼り合わせ装置の作用を説明する。
先ず、搬送装置と連携して、ワークピースとなる第1および第2のウエハW1,W2を下部保持部10および上部保持部12にそれぞれローディングする。下部保持部10においては、リフトピン機構が、搬送装置より第1のウエハW1を受け取って下部チャック18に載置する。直後に、固定機構20が作動して、バキューム吸引力でウエハW1を下部チャック18に固定する。
一方、上部保持部12は、図5および図6に示すようにして第2のウエハW2をローディングする。すなわち、図5に示すように、搬送装置のアーム84が、第2のウエハW2を水平姿勢で弾性支持板34の真下に運んでくる。この時、上部保持部12においては、吸着部36および面形状制御部38が停止しており、弾性支持板34はニュートラルな水平状態を保っている。
次に、図6に示すように、第2のウエハW2が弾性支持板34に接触し、または接触する寸前まで、搬送装置のアーム84が上昇移動する。直後に、上部保持部12の吸着部36が作動する。吸着部36は、方向切換弁46を真空発生装置40側に切り換え、真空発生装置40を起動させる。これにより、バッファ室42内およびギャップGP内の空間が真空発生装置40により吸気(排気)されて減圧状態になり、第2のウエハW2には弾性支持板34の通気孔34aを介してバキューム吸引力が加わる。こうして、第2のウエハW2は、弾性支持板34に吸い着くようにして上部保持部12にローディングされる。
この後、位置合わせ機構100(図22〜26)が動作して、下部保持部10に保持されている第1のウエハW1と上部保持部12に保持されている第2のウエハW2との間で位置合わせが行われる。
位置合わせの終了後、面形状測定部74が動作し、図7に示すように、上部保持部12の真下で光学式距離センサ78を一定高さの水平面(基準面)内でX方向および/またはY方向に移動させ、第2のウエハW2の貼り合わせ面(下面)上に設定されている複数(好ましくは10以上)の代表点PN(N=1,2,・・)について基準面からの距離DNを測定する。なお、代表点PNは、マトリクス区画(図3)の中のいずれかの単位領域内に設定される。
主制御部16は、面形状測定部74が取得した第2のウエハW2上の代表点PNにおける測定値を基に、所定の補間法によってマトリクス区画(図3)の他の全ての単位領域における測定値(正確には推測値)を演算し、たとえば図8に示すようにメモリ内に構築可能な所定のテーブルTA1上でマトリクス区画の各単位領域Ei,j毎に距離測定値Di,jのデータをマッピングする。次いで、主制御部16は、所定の距離基準値SDに対する各距離測定値Di,jの誤差δDi,jを演算し、図9に示すように別のテーブルTA2上でマトリクス区画の各単位領域Ei,j毎に距離測定値誤差δDi,jのデータをマッピングする。
ここで、当該第2のウエハW2に歪、撓み、反り、表面の凹凸等が一切無くて、ウエハW2が完全に平坦である場合は、マトリクス区画の全ての領域で距離測定値誤差δDが同じ値(例えば零)になる。しかし、当該ウエハW2に歪、撓み、反りまたは表面の凹凸がある場合は、その平坦でない固有の表面状態(プロファィル)がマトリクス区画上の距離測定値誤差δDの分布に反映される。
一方で、主制御部16は、貼り合わせの前に第2のウエハW2に与える所定の面形状のパラメータ値を設定入力しており、完全に平坦である場合の第2のウエハW2を該所定面形状に成形するために必要な各伸縮支柱部材50i,jの伸縮量(ピエゾ伸縮量)Fi,jを演算し、たとえば図10に示すように所定のテーブルTA3上でマトリクス区画の各単位領域Ei,j毎に標準のピエゾ伸縮量Fi,jのデータを予めマッピングしている。
そして、主制御部16は、今回のワークピースである第2のウエハW2について、マトリクス区画の各単位領域Ei,j毎に各伸縮支柱部材50i,jの所要ピエゾ伸縮量Fi,jに距離測定値誤差δDi,jに応じた補正をかけ、図11に示すように所定のテーブルTA4上でマトリクス区画の各単位領域Ei,j毎に補正後の所要ピエゾ伸縮量Mi,jのデータをマッピングする。ここで、補正後の所要ピエゾ伸縮量Mi,jは、今回のワークピースである第2のウエハW2の固有または本来の面形状に対応しており、このウエハW2を貼り合わせ前の予め設定された所定の面形状に成形するために必要な各伸縮支柱部材50i,jの伸縮量である。
第2のウエハW2に与えられる貼り合わせ前の所定面形状としては、典型的には、ウエハ中心が最も低い位置にあり、ウエハ中心からウエハ外周に向かって半径方向に一定の曲率で次第に高くなるような下向きの凸面形状が選ばれる。主制御部16ないし伸縮制御部52は、テーブルTA4上の所要ピエゾ伸縮量Mi,jに応じた制御信号を各ピエゾ駆動回路80i,jに送り、各伸縮支柱部材50i,jのピエゾ素子56i,jを所要ピエゾ伸縮量Mi,jだけ伸長または短縮させる。この場合、弾性支持板34の有効エリア全域で全ての伸縮支柱部材50を個別に伸長させてもよい。あるいは、中心部および中間部に分布している伸縮支柱部材50をそれぞれ個別に伸長させるとともに、周辺部に分布している伸縮支柱部材50をそれぞれ個別に短縮させてもよい。
こうして、面形状制御部38の各伸縮支柱部材50i,jが各々個別の変位量で伸長変位または短縮変位することにより、弾性支持板34を介して第2のウエハW2の各部(マトリクス区画の各単位領域Ei,j毎)に個別の押圧力または引力が加えられ、第2のウエハW2の面形状がそれまでの略水平な面形状から予め設定された所定の面形状、たとえば図12に示すような一定曲率の凸面形状に変化する。
このように、この実施形態においては、上記のような面形状測定部74および面形状制御部38の働きにより、今回のワークピースである第2のウエハW2に歪、撓み、反りまたは表面の凹凸があっても、それが無いときと同じように貼り合わせ前に当該第2のウエハW2を予め設定された所定または標準の面形状に成形することができる。
さらに、この実施形態においては、貼り合わせ前に第2のウエハW2に付与する所定面形状の精度を一層高めるために、面形状測定部74および面形状制御部38を再度動作させる。詳細には、図13に示すように、面形状測定部74は、前回と同様に上部保持部12の真下で光学式距離センサ78を一定高さの水平面(基準面)内でX方向またはY方向に移動させ、第2のウエハW2の貼り合わせ面(下面)上に設定されている複数の代表点PK(K=1,2,・・)について基準面からの距離LKを測定する。主制御部16は、面形状測定部74で取得された各代表点Pでの距離測定値LKを予め設定されている基準値SKと比較し、その誤差(SK−LK)の値が零になるように、面形状制御部38を通じて該当する伸縮支柱部材50i,jの伸縮量Mi,jを微調整する。こうして、貼り合わせ前の第2のウエハW2を高い精度で所定の面形状に成形することができる。
次に、主制御部16は、図14に示すように、接近離間駆動部14のZθステージ72を制御して、下部チャック18を所定の距離だけ垂直上方に移動させ、下部保持部10側の第1のウエハW1と上部保持部12側の第2のウエハW2とをウエハ中心部にて局所的に当接させる。上記のように第2のウエハW2の成形された凸面形状は非常に精度が高いので、第2のウエハW2は正確に点対象の凸面形状の下でウエハ中心点にて第1のウエハW1に当接する。なお、この場合、第1のウエハW1と第2のウエハW2は、それぞれの中心部が当接する寸前まで近接していて、厳密には離れている状態であってもよい。
次に、主制御部16ないし伸縮制御部52は、図15に示すように、第1のウエハW1に既に当接(または当接する寸前に近接)している第2のウエハW2の中心部を除く全域で中心部から周辺部に向かって順番に伸縮支柱部材50i,jをそれぞれ個別に所定量だけ伸長させる。伸縮支柱部材50i,jが伸びる場所付近では、弾性支持板34を介して第2のウエハW2に上から押圧力が加えられ、辺りのウエハ部位が下方に変位して第1のウエハW1の対向する部位に当接する。
この場合、ウエハ中心から等距離(同一半径上)に位置する場所であっても、該当する伸縮支柱部材50の伸長動作のタイミングを任意にずらすこともできる。したがって、たとえば半径方向外側に向かって渦巻き状に伸縮支柱部材50を次々と伸長動作させることもできる。
主制御部16ないし伸縮制御部52は、各々の伸縮支柱部材50i,jの直前の伸縮量または全長を把握しているので、第1のウエハW1に既に当接している中心部の伸縮支柱部材50と同じ伸長量または全長になるように、各々の伸縮支柱部材50i,j毎に追加の伸長量を演算することができる。
こうして、最後に最外周に位置する伸縮支柱部材50が他の伸縮支柱部材50と同じ長さまで伸びると、図16に示すように、第2のウエハW2が第1のウエハW1に隙間なく全面で接触し、貼り合わせが完了する。なお、このウエハW1,W2の貼り合わせに際しては、接着剤を用いてもよいが、接着剤を使わずに両ウエハW1,W2を直接接合してもよい。
上記のようにして一連の貼り合わせ動作が完了すると、吸着部36が停止する。主制御部16は、方向切換弁46を大気ポート48に切り換えて、図17に示すようにバッファ室42内およびギャップGP内に大気中の空気を送り込む。これによって、第2のウエハW2に対するバキューム吸引力が解除される。
次に、主制御部16は、図18に示すように、接近離間駆動部14のZθステージ72を制御して、下部チャック18を所定の距離だけ垂直下方に下降させ、第1のウエハW1に貼り合わされた第2のウエハW2から上部保持部12を相対的に引き離す(遠ざける)。上部保持部12においては、面形状制御部38により全ての伸縮支柱部材50を初期状態(元の長さ)に戻してよい。
この後、下部保持部10において、下部チャック18もバキューム吸引力を解除し、貼り合わされた一体の両ウエハW1,W2をリフトピン機構が下部チャック18の上方に水平に持ち上げる。直後に、搬送装置がアクセスしてきて、アーム84で一体の両ウエハW1,W2をリフトピン機構から受け取って搬出する。
上記の例では、貼り合わせの前に上部保持部12側で第2のウエハW2を成形する面形状を点対象の凸面形状に設定した。しかし、この実施形態の面形状制御部38によれば、上部保持部12の弾性支持板34と背板30との間のギャップGP内に分布する多数の伸縮支柱部材50を各々独立かつ所望の伸縮量で伸縮変位させられるので、第2のウエハW2の面形状を多種多様に成形することができる。
たとえば、貼り合わせ前に第2のウエハW2を傾斜姿勢の面形状に成形することもできる。この場合は、図19に示すように、最初に第2のウエハW2の下端側のエッジを第1のウエハW1の対応する部位に当接(または当接する寸前まで近接)させる。次いで、図20に示すように、上端側のエッジに向かって順番に各位置の伸縮支柱部材50を各々所定の長さだけ伸長させて、第2のウエハW2の各部位を第1のウエハW1の対応する部位に当接させる。こうして、最後にウエハ上端側エッジ付近に位置する伸縮支柱部材50が所定の変位量だけ伸び切ると、図21に示すように、第2のウエハW2が第1のウエハW1に隙間なく全面積で接触し、貼り合わせが完了する。
なお、このような傾斜姿勢からの貼り合わせでは、第2のウエハW2の下端側エッジから上端側エッジに向かって、伸縮支柱部材50をそれぞれの高さ位置に応じて順番に伸長動作させてもよいが、ウエハの形状(円形)に応じた同心の扇状のパターンで順番に伸長動作させてもよい。
この実施形態における位置合わせ機構100は、図22に示すように、ターゲット102と、このターゲット102の下面を下方から撮像する下部撮像部104と、ターゲット102の上面を上方から撮像する上部撮像部106とを有している。なお、下部撮像部104と上部撮像部106には、たとえばCCDカメラが用いられる。
ターゲット102と下部撮像部104は、下部チャック18の一側面に設けられたターゲット台108に支持されている。ターゲット102には、上部撮像部106および下部撮像部104による画像認識可能な、たとえばガラス板上に円形の金属膜が蒸着されたものが用いられる。ターゲット102は、ターゲット台108に設けられた図示しない駆動機構により鉛直斜め方向に移動可能になっており、図22中に破線で示す位置まで退避することができる。
下部撮像部104は、ターゲット102を最上部に移動させた状態(図22中の実線の位置)において、下部撮像部104の撮像する画像の中心位置とターゲット102の金属膜の中心位置とが合致するように事前に配置が調整されている。
上部撮像部106は、ターゲット102の上方に配置されている。上部撮像部106には、当該上部撮像部106を水平方向に移動させる水平搬送機構110が設けられている。この水平搬送機構110により、上部撮像部106は第1のウエハW1の上方(図22中の破線部)まで移動可能になっている。
かかる構成の位置合わせ機構100を用いて、水平方向で両ウエハW1,W2間の位置合わせを行うには、第2のウエハW2上に予め定められた複数の基準点Aと第1のウエハW1上に予め定められた複数の基準点Bの水平方向の位置を一致させる。具体的には、先ず、図23に示すようにターゲット102を下部撮像部104の上方に移動させ、次いで下部撮像部104の撮像する画像の中心に、撮像されたターゲット102の金属膜の中心が一致するようにターゲット102の位置が調整される。
そして、図24に示すように、ターゲット102を下部撮像部104の上方から退避させ、接近離間駆動機構14のXYステージ70により下部撮像部104を第2のウエハW2の下方に移動させる。その後、下部撮像部104の撮像する画像に、予め第2のウエハW2に定められた複数の基準点Aが表示されるように、XYステージ70により下部撮像部104の位置が調整される。次に、この状態でターゲット102を下部撮像部104の上方に移動させ、ターゲット102の金属膜の中心と下部撮像部104の撮像する画像の中心とを合致させる。
次いで、図25に示すように、上部撮像部106をターゲット102の上方に移動させ、ターゲット102の金属膜の中心と上部撮像部106の撮像する画像の中心とが合致するように、水平搬送機構110により上部撮像部106の位置が調整される。
その後、図26に示すように、XYステージ70により第1のウエハW1を上部撮像部106の下方に移動させる。そして、上部撮像部106の撮像する画像に表示される複数の基準点Bの位置と、事前に下部撮像部104で撮像した画像に表示される複数の基準点Aの位置とが合致するように、XYステージ70により第1のウエハW1の位置が調整される。これにより、第1のウエハW1と第2のウエハW2との間の位置合わせが完了する。上記のような位置合わせ方法によれば、両ウエハW1,W2間の水平方向の位置合わせを厳密に行うことができる。
上述したように、この実施形態における貼り合わせ装置は、貼り合わせ部材の一方のワークピースである第2のウエハW2を保持する上部保持部12に、上記のような弾性支持板34、吸着部36および面形状制御部38を備えている。かかる構成により、貼り合わせ前に第2のウエハW2を任意の面形状に成形することが可能であり、貼り合わせ時には第2のウエハW2の各部位を任意の順序できめ細かく基準姿勢(通常は上記のように水平または平坦な状態)に制御して第1のウエハW1の対応する各部位に隙間なくぴったり接合させるので、両ウエハW1,W2間の接触界面でボイドの発生を確実に防止できるとともに、貼り合わせ空間内の空気圧の影響や滑り等による位置ずれも効果的に防止できる。このため、第2のウエハW2に歪、撓み、反りまたは表面の凹凸があっても、両ウエハW1,W2の貼り合わせを精細かつ正確に行うことができる。
さらに、この実施形態における貼り合わせ装置は、上記のような面形状測定部74を備えているので、貼り合わせ前に第2のウエハW2を成形する面形状の精度、および貼り合わせ時に第2のウエハW2の各部位を基準姿勢(水平または平坦な状態)に制御する際の精度を一層向上させることができる。これにより、ボイド発生防止効果および位置置ずれ防止効果を一層高め、両ウエハW1,W2の貼り合わせを一層精細かつ正確に行うことができる。したがって、たとえばBSI型CMOSイメージセンサの製造プロセスにおいて要求されるような高精度のウエハ貼り合わせ加工にも難なく対応することができる。

[他の実施形態又は変形例]
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種種の変形または変更が可能である。
たとえば、上記実施形態において、上部保持部12の吸着部36は、バキューム方式の構成を有した。しかし、図27に示すように、第2のウエハW2を静電気力で吸着するように吸着部36を変形することも可能である。図示の構成例では、上部保持部12に取り付けられる弾性支持板112が、薄い導電層114と、この導電層114を両面で挟み込む弾性の絶縁層(たとえば樹脂シート)116とで構成されている。そして、DC電源118が、スイッチ120を介して電気的に接続されている。DC電源118からの直流電圧を導電層114に印加することにより、第2のウエハW2を静電気力で弾性支持板112に保持できるようになっている。
弾性支持板34(112)と背板30との間のギャップGPに設ける伸縮支柱部材50の配置構造(レイアウト)も、上述のようにマトリクス状に分布させるレイアウト(図3)に限定されるものではなく、たとえば図28に示すように放射状または同心円状に分布させるレイアウトも可能である。
伸縮支柱部材50においては、ギャップ拡張部材58を省いてピエゾ素子56の単体とすることも可能である。また、ピエゾ素子56を、超小型のリニアアクチエータあるいはマイクロアクチエータで代用することも可能である。面形状測定部74においては、光学式距離センサ78を他の方式たとえば接触式の距離センサで代用することも可能である。
また、第1の保持部10と第2の保持部12との位置関係を反転させることも可能である。すなわち、第2の保持部12を下に、第1の保持部10を上に配置する構成も可能である。また、第1の保持部10を固定し、接近離間駆動部14が第2の保持部12を任意の方向(通常はXYZθ方向)で移動させる構成も可能である。
ワークピースは、半導体ウエハに限らず、任意の板状部材が可能であり、第1および第2の板状部材の材質、形状および/またはサイズが異なっていてもよい。したがって、たとえば、第1の板状部材がガラス基板で、第2の板状部材がウエハであってもよい。あるいは、第1の板状部材がウエハで、第2の板状部材がガラス基板であってもよい。
10 下部保持部
12 上部保持部
14 接近離間駆動部
16 主制御部
18 下部チャック
20 固定機構
30 背板
30a 通気孔
34 弾性支持板
34a 通気孔
36 吸着部
38 面形状制御部
40 真空発生装置
50 伸縮支柱部材
52 伸縮制御部
56 ピエゾ素子
58 ギャップ拡張部材
74 面形状測定部
78 光学式距離センサ

Claims (22)

  1. 板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる装置であって、
    前記第1の部材を保持する第1の保持部と、
    前記第1の保持部と対向して前記第2の部材を保持する第2の保持部と、
    前記第1の保持部と前記第2の保持部とを相対的に近づけまたは遠ざける接近離間駆動部と
    を具備し、
    前記第2の保持部が、
    前記第2の部材を支持するための弾性変形可能な弾性支持板と、
    前記弾性支持板を介して前記第2の部材を着脱可能に吸着する吸着部と、
    前記弾性支持板を介して前記第2の部材の面形状を制御する面形状制御部と
    を有する、
    貼り合わせ装置。
  2. 前記弾性支持板に多数または無数の通気孔が設けられ、
    前記吸着部は、前記通気孔を介してバキューム吸引力により前記第2の部材を吸着する、
    請求項1に記載の貼り合わせ装置。
  3. 前記弾性支持板は、薄い導体層とこの導体層を両面で挟み込む弾性の絶縁層とを有し、
    前記吸着部は、前記導体層に直流電圧を印加して、静電気力により前記第2の部材を吸着する、
    請求項1に記載の貼り合わせ装置。
  4. 前記面形状制御部は、
    前記弾性支持板にギャップを介して結合される背板と、
    前記ギャップ内に離散的に設けられ、一端が前記背板に接触または結合し、他端が前記弾性支持板に接触または結合している伸縮制御可能な多数の伸縮支柱部材と、
    前記伸縮支柱部材を各々独立かつ所望の伸縮量で伸縮させる伸縮制御部と
    を有する、請求項1に記載の貼り合わせ装置。
  5. 前記伸縮支柱部材は、前記ギャップ内でマトリクス状に多数配置される、請求項4に記載の貼り合わせ装置。
  6. 前記伸縮支柱部材は、前記ギャップ内で同心円状に多数配置される、請求項4に記載の貼り合わせ装置。
  7. 前記伸縮支柱部材は、ピエゾ素子を有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
  8. 前記伸縮支柱部材は、前記ピエゾ素子の伸縮方向で前記ピエゾ素子と前記伸縮支柱部材との間または前記ピエゾ素子と前記背板との間に設けられるギャップ拡張部材を有する、請求項7に記載の貼り合わせ装置。
  9. 前記伸縮支柱部材は、リニアアクチエータを有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
  10. 前記伸縮支柱部材は、マイクロアクチエータを有する、請求項4〜6のいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
  11. 前記背板に、前記伸縮制御部を構成する電気部品の少なくとも一部が取り付けられる、請求項4〜10のいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
  12. 前記背板は、プリント配線板である、請求項11に記載の貼り合わせ装置。
  13. 前記弾性支持板に多数または無数の第1通気孔が設けられ、
    前記背板に多数または無数の第2通気孔が設けられ、
    前記弾性支持板と前記背板との間の前記ギャップが気密に形成され、
    前記吸着部は、前記第1通気孔および前記第2通気孔を介してバキューム吸引力により前記第2の部材を吸着する、
    請求項4〜12のいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
  14. 前記弾性支持板は、合成樹脂製の薄板を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
  15. 前記弾性支持板は、金属製の薄板を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の貼り合わせ装置。
  16. 板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる装置であって、
    前記第1の部材を保持する非弾性保持部と、
    前記非弾性保持部と対向して前記第2の部材を支持するための弾性変形可能な弾性支持板と、
    前記弾性支持板を介して前記第2の部材を着脱可能に吸着する吸着部と、
    前記弾性支持板に支持されている前記第2の部材の面形状を測定する面形状測定部と、
    前記非弾性保持部と前記弾性支持板とを相対的に近づけまたは遠ざける接近離間駆動部と、
    前記面形状測定部より得られる面形状測定結果に基づいて、前記第1の部材と貼り合わされる前または貼り合わされる時の前記第2の部材の面形状を前記弾性支持板を介して制御する面形状制御部と
    を有する貼り合わせ装置。
  17. 前記面形状測定部は、前記第2の部材の歪状態、撓み状態、反り状態、表面の凹凸状態の少なくとも1つを測定する、請求項16に記載の貼り合わせ装置。
  18. 前記面形状測定部は、
    前記第2の部材の貼り合わせ面上に離散的に設定された複数の代表点に対して前記第2の保持部と平行な基準面からの距離を測定するための距離センサと、
    前記複数の代表点についての距離測定値に基づいて、前記第2の部材の貼り合わせ面の他の位置または領域について補間法により前記基準面からの距離を求める補間演算部と
    を有する、請求項16または請求項17に記載の貼り合わせ装置。
  19. 前記非弾性保持部は、少なくとも任意の水平方向に移動可能な移動ステージを有し、
    前記距離センサは、前記移動ステージに取り付けられている、
    請求項18に記載の貼り合わせ装置。
  20. 前記距離センサは、光学式の距離センサである、請求項18または請求項19に記載の貼り合わせ装置。
  21. 板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる方法であって、
    非弾性保持部により前記第1の部材を保持する工程と、
    前記非弾性保持部と対向して設けられる弾性変形可能な弾性支持板により前記第2の部材を保持する工程と、
    前記第2の部材の面形状を測定する工程と、
    前記面形状測定の結果に基づいて、前記弾性支持板に保持されている前記第2の部材を前記弾性支持板を介して所定の面形状に成形する工程と、
    前記第1の部材の一部と前記第2の部材の一部とが接触し、または接触する寸前まで、前記非弾性保持部と前記弾性支持板とを相対的に近づける工程と、
    前記第1の部材に貼り合わされるように前記第2の部材の各部位を前記弾性支持板を介して所定の順序で押圧する工程と、
    前記第1の部材に貼り合わされた前記第2の部材から前記弾性支持板を引き離す工程と
    を有する貼り合わせ方法。
  22. 板状の第1の部材と板状の第2の部材とを貼り合わせる方法であって、
    非弾性の保持部により前記第1の部材を保持する工程と、
    前記非弾性保持部と対向して設けられる弾性変形可能な弾性支持板により前記第2の部材を保持する工程と、
    前記弾性支持板に保持されている前記第2の部材を前記弾性支持板を介して所定の面形状に成形する工程と、
    前記第2の部材の面形状を測定する工程と、
    前記面形状測定の結果に基づいて、前記弾性支持板に保持されている前記第2の部材の前記成形された面形状を補正する工程と、
    前記第1の部材の一部と前記第2の部材の一部とが接触し、または接触する寸前まで、前記非弾性保持部と前記弾性支持板とを相対的に近づける工程と、
    前記第1の部材に貼り合わされるように前記第2の部材の各部位を前記弾性支持板を介して所定の順序で押圧する工程と、
    前記第1の部材に貼り合わされた前記第2の部材から前記弾性支持板を引き離す工程と
    を有する貼り合わせ方法。
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