JP2013187049A - スパークプラグ - Google Patents

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Abstract

【課題】混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着されても高い気密性能を保持するスパークプラグを提供すること。
【解決手段】絶縁体2の軸孔5内に中心電極3を固定するシール材12を備えたスパークプラグ1であって、絶縁体2及びシール材12は条件(1)〜(3)を満たし、絶縁体2は表面に0.5〜2.0μmの高低差で隣接する凹凸を100μm当たり少なくとも8組有し、絶縁体2及びシール材12との界面に中間相を20〜50μmの厚さで有するスパークプラグ1。(1)ガラス相におけるSi成分の含有率[SiO(シール材)]が50〜70質量%:(2)Si成分の含有率の比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]が15〜66.7:(3)ガラス相でのSi成分とB成分との含有率の比率[[SiO(シール材)]/[B]]が1.45〜2.50
【選択図】 図1

Description

この発明は、スパークプラグに関し、さらに詳しくは、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着されても高い気密性能を保持するスパークプラグに関する。
従来、絶縁体の軸方向に形成された貫通孔に対し、その一方の端部側に端子金具を挿入し、同じく他方の端部側に中心電極を挿入して、該貫通孔内において端子金具と中心電極とを導電性のシール材(導電性シール材とも称する。)にて封止、固着した構造を有するスパークプラグが広く用いられている。
このようなスパークプラグにおいて、端子金具と中心電極とは絶縁体貫通孔内においてシール材により直結されるか、又は、各々のシール材の間に抵抗体を配置する形で結合される。シール材は、一般には金属粒子とベースガラス相との混合物からなるものであり、金属粒子がガラスマトリックス中にてネットワーク状に接触した形で分散することで、絶縁性のガラス相に対し導電性を付与したものである。
このようなスパークプラグがいくつか提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
ところで、スパークプラグが適用される内燃機関は高出力化され、高出力化された内燃機関の混合気は高い圧縮比に設定されるから、このような内燃機関に装着されるスパークプラグには気密性能の高いシール材によって高い気密性を有していることが求められている。このような高出力化された内燃機関に装着されるスパークプラグとして、例えば、特許文献3及び特許文献4に記載された「スパークプラグ」が挙げられる。
特許第3497009号公報 特開平10−144448号公報 特開2003−22886号公報 特開2005−340171号公報
ところで、近年、内燃機関はさらなる高出力化に向けて開発・実用化されており、それに伴ってスパークプラグに要求される気密性も一段と高くなっている。
したがって、この発明は、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着されても高い気密性を保持するスパークプラグを提供することを、課題とする。
前記課題を解決するための手段としてのこの発明に係るスパークプラグは、アルミナ基焼結体で管状に作製された絶縁体と、絶縁体の軸孔内に配置された中心電極と、軸孔内に配置され、中心電極を絶縁体の軸孔内に固定するシール材とを備え、絶縁体及びシール材が下記条件(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。
条件(1):シール材のガラス相に含有されるSi成分の酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]が50〜70質量%
条件(2):絶縁体に含有されるSi成分の酸化物換算平均含有率[SiO(絶縁体)]に対する前記[SiO(シール材)]の比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]が15〜66.7
条件(3):シール材のガラス相に含有されるB成分の酸化物換算平均含有率[B]に対する前記[SiO(シール材)]の比率[[SiO(シール材]/[B]]が1.45〜2.50
また、この発明に係るスパークプラグは、絶縁体がシール材と接する表面に0.5〜2.0μmの高低差で隣接する凹凸を100μm当たり少なくとも8組有していることを特徴とする。
さらに、この発明に係るスパークプラグは、絶縁体及びシール材との界面を径方向にライン分析したときに絶縁体のAl成分及びシール材のガラス相のSi成分の合計含有率に対するAl成分及びSi成分それぞれの含有割合が共に90質量%未満となる中間相を20〜50μmの厚さで有していることを特徴とする。
この発明に係るスパークプラグは、前記特徴を有しているから、通常の内燃機関はもちろん、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着されたとしても、絶縁体とシール材とが強固に固着されて高い気密性を保持する。したがって、この発明によれば、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着されても高い気密性を保持するスパークプラグを提供できる。
図1は、この発明に係るスパークプラグの一例であるスパークプラグを説明する断面図である。 図2は、この発明に係るスパークプラグの一例であるスパークプラグのシール材近傍を示す一部拡大断面図である。 図3は、この発明に係るスパークプラグの気密性を評価する評価装置を示す概略説明図である。
この発明に係るスパークプラグは、絶縁体と中心電極と中心電極を絶縁体に固定するシール材とを備えていればよく、例えば、アルミナ基焼結体で管状に作製された絶縁体と、この絶縁体の軸孔内に配置された中心電極と、この軸孔内に配置され、中心電極を絶縁体の軸孔内に固定するシール材とを備え、通常、一端が中心電極と火花放電間隙を介して対向するように配置された接地電極を備えている。この発明に係るスパークプラグは絶縁体と中心電極とこれらを固定するシール材とを備えたスパークプラグであれば、その他の構成は特に限定されず、公知の種々の構成を採ることができる。
以下、この発明に係るスパークプラグを、図1及び図2を参酌して、説明する。まず、この発明に係るスパークプラグの一例であるスパークプラグ100の基本的な構造について、次いでこのスパークプラグ100の特徴について、説明する。
この発明に係るスパークプラグの一例であるスパークプラグ100は、図1及び図2に示されるように、筒状の主体金具1、先端部2aが突出するようにその主体金具1の内側に嵌め込まれた絶縁体2、先端に形成された発火部3aを突出させた状態で絶縁体2の内側に設けられた中心電極3及び主体金具1に一端が溶接等により結合されると共に他端側が側方に曲げ返されて、その側面が中心電極3の先端部と対向するように配置された接地電極4等を備えている。また、接地電極4には発火部3aに対向する発火部4aが形成されており、それら発火部3aと対向する発火部4aとの間の隙間が火花放電ギャップgとされている。
主体金具1は、低炭素鋼等の金属により円筒状に形成されており、スパークプラグ100のハウジングを構成するとともに、その外周面には、スパークプラグ100を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのねじ部1aが形成されている。なお、1bは、主体金具1をエンジンブロックに取り付ける際にスパナやレンチ等の工具を係合させる工具係合部であり、六角状の軸断面形状を有している。
絶縁体2は、内部に自身の軸方向に沿って中心電極3を嵌め込むための貫通孔5すなわち軸孔5を有する管状に成形されている。絶縁体2の軸方向中間には周方向外向きに突出する突出部2bが例えばフランジ状に形成されている。そして、該突出部2bよりも後端側がこれよりも細径に形成された本体部2cとされている。一方、突出部2bの先端側にはこれよりも細径の第一軸部2dと、その第一軸部2dよりもさらに細径の第二軸部2eがこの順序で形成されている。なお、本体部2cの外周面後端部にはコルゲーション部2fが形成され、その外周面には釉薬層2gが形成されている。また、第一軸部2dの外周面は略円筒状とされ、第二軸部2eの外周面は先端に向かうほど縮径する略円錐面状とされている。
絶縁体2の貫通孔5は、中心電極3を挿通させる略円筒状の第一部分5aと、その第一部分5aの後端側においてこれよりも大径に形成される略円筒状の第二部分5bとを有する。端子金具10と抵抗体11とは第二部分5b内に収容され、中心電極3は第一部分5a内に挿通される。
中心電極3は、棒状をなし、その後端部には、その外周面から外向き、かつ環状に突出する電極固定用凸部3bが形成されている。中心電極3の本体部の内部には、放熱促進のためにCu又はCu合金等で構成された芯材3cが埋設されている。
絶縁体2において、貫通孔5の第一部分5aと第二部分5bとは第一軸部2d内において互いに接続しており、その接続位置には中心電極3の電極固定用凸部3bを受けるための凸部受け面5cがテーパ面又はアール面状に形成されている。また、第一軸部2dと第二軸部2eとの外周面における接続部2hは段付面とされ、これが主体金具1の内面に形成された主体金具側係合部としての凸条部1cとリング状の板パッキン20を介して係合することにより、軸方向の抜止めがなされている。
他方、主体金具1の後端側開口部内面と、絶縁体2の外面との間には、フランジ状の突出部2bの後方側周縁と係合するリング状の線パッキン30が配置され、そのさらに後方側にはタルク等の充填層31を介してリング状の線パッキン32が配置されている。そして、絶縁体2を主体金具1に向けて先端側に押し込み、その状態で主体金具1の開口縁をリング状の線パッキン32に向けて内側に加締めることにより加締め部1dが形成され、主体金具1が絶縁体2に対して固定されている。
絶縁体2の貫通孔5の後端側には端子金具10が挿入・固定され、同じく先端側には中心電極3が挿入・固定されている。また、貫通孔5内において端子金具10と中心電極3との間に抵抗体11が配置されている。この抵抗体11の両端部は、第1シール材12、第2シール材13を介して中心電極3と端子金具10とにそれぞれ電気的に接続されている。この第1シール材12がこの発明に係るスパークプラグの「シール材」に相当する。したがって、以下、この発明に係るスパークプラグの「シール材」を「第1シール材12」と称することがある。
抵抗体11は、ガラス粉末と導電材料粉末と必要に応じてガラス以外のセラミック粉末との混合粉末を原料とし、後述のガラスシール工程においてこれを加熱・プレスすることにより得られる抵抗体組成物で構成される。なお、抵抗体11を省略して一層のシール材により端子金具10と中心電極3とを一体化した構成としてもよく、この一層のシール材がこの発明に係るスパークプラグの「シール材」に相当する。
端子金具10は低炭素鋼等で構成され、表面に防食のためのNiメッキ層が例えば5μmの層厚で形成されている。そして、該端子金具10は、貫通孔5内に配置される先端部としてのシール部10aと、絶縁体2の後端縁より突出する端子部10cと、端子部10cとシール部10aとを接続する棒状部10bとを有する棒状に成形されている。シール部10aは軸方向に長い円筒状に形成され、その外周面にはねじ状又はリブ状等の形態の凸部を有すると共に、第2シール材13中に没入する形で配置され、貫通孔5の内面との間を第2シール材13によりシールされる。
接地電極4及び中心電極3の本体部はNi合金やFe合金等で構成されている。なお、接地電極4においても芯材が埋設されていてもよい。一方、上記発火部3a及び対向する発火部4aは、Ir、Pt及びRhの1種又は2種以上を主成分とする貴金属合金を主体に構成される。なお、発火部3a及び対向する発火部4aは一方又は双方を省略することもできる。
スパークプラグ100は、このように、主体金具1、絶縁体2、中心電極3、接地電極4、端子金具10、抵抗体11、第1シール材12及び第2シール材13等で構成されている。
スパークプラグ100の絶縁体2は、その全体がアルミナ基焼結体で作製されている。このアルミナ基焼結体は、主成分としてのAl成分と後述する条件(2)を満たす含有量でSi成分とを必須成分として含有し、好ましくは、これらに加えてIUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族成分及び希土類成分を含有している。この発明において「主成分」とは含有率が最も高い成分をいう。
Si成分、第2族成分及び希土類成分は焼結助剤由来の成分であり、これらを含有するアルミナ基焼結体は高い耐電圧特性及び機械的強度を発揮することがある。ここで、第2族成分はIUPAC1990年勧告に基づく周期表の第2族元素の少なくとも一元素を含んでいればよく、低毒性等の観点から、Mg、Ca、Sr及びBaが好ましく挙げられる。希土類成分は、Sc、Y及びランタノイド元素の少なくとも一元素を含んでいればよく、例えば、Sc成分、Y成分、La成分、Ce成分、Pr成分、Nd成分、Pm成分、Sm成分、Eu成分、Gd成分、Tb成分、Dy成分、Ho成分、Er成分、Tm成分、Yb成分及びLu成分が挙げられる。希土類成分は、これらの中でも、Y成分、La成分、Pr成分、Nd成分及びYb成分からなる群より選択される少なくとも一種の成分であるのが好ましい。
このアルミナ基焼結体におけるAl成分の含有率は、アルミナ基焼結体の構成成分のうち最も高ければ特に限定されない。
このアルミナ基焼結体すなわち絶縁体2は、アルミナ基焼結体の構成成分を酸化物に換算したときの全質量100質量%としたときに、Si成分をその酸化物「SiO」に換算したときの酸化物換算平均含有率[SiO(絶縁体)]が後述する条件(2)を満たす含有率で、Si成分を含有しているのが好ましい。Si成分の酸化物換算平均含有率[SiO(絶縁体)]は、具体的には、条件(2)を満たすように、好ましくは0.7〜4.7質量%の範囲内、特に好ましくは1.0〜2.5質量%の範囲内にある。この酸化物換算平均含有率[SiO(絶縁体)]が条件(2)を満たすとアルミナ基焼結体と第1シール材12とが反応しやすく絶縁体2と第1シール材12とが強固に密着してスパークプラグ100が高い気密性を発揮する。
アルミナ基焼結体における第2族成分及び希土類成分の含有率は、第2族成分及び希土類成分それぞれの含有率を含めて特に限定されない。
この発明において、アルミナ基焼結体が含有するAl成分、Si成分、第2族成分及び希土類成分の各酸化物換算平均含有率は、電子線マイクロアナライザ(EPMA)でアルミナ基焼結体における20視野(視野サイズ180μm×120μm)をそれぞれ加速電圧20kVで定量分析したときの算術平均値として算出した値である。なお、このようにして算出された酸化物換算平均含有率とアルミナ基焼結体の製造に用いる原料粉末の混合比とはほぼ一致する。したがって、各成分の酸化物換算平均含有率は原料粉末における各粉末の混合比で調整できる。
絶縁体2は、その貫通孔5の内表面のうち第1シール材12と接する表面に0.5〜2.0μmの高低差で隣接する凹凸を100μm当たり少なくとも8組有している。絶縁体2がこのような凹凸を100μm当たり少なくとも8組有していると、絶縁体2と第1シール材12との密着面積が増大し、またアンカー効果による絶縁体2と第1シール材12との密着が強固になってスパークプラグ100が高い気密性を発揮する。より一層高い気密性をスパークプラグ100が発揮できる点で前記凹凸は100μm当たり10組存在しているのが好ましい。この凹凸の存在組数は多ければ多いほど絶縁体2と第1シール材12との密着は強固になるが、あまりにも多すぎると破壊の起点になることもある。したがって、この発明において、破壊の起点を回避すること及び生産性の観点から、凹凸の存在組数は現実的には30組を上限とするのがよい。
この発明において、凹凸の組数を計数する基準長さ「100μm」は第1シール材12と密着する表面に存在すればいずれの方向に向かっていてもよく、例えば、絶縁体2の軸線方向、周方向、ランダムな方向に向かっていてもよい。また、隣接する凹凸の高低差は、凸部の最高点からこの凸部に隣接する凹部の最低点までの高度差であり、絶縁体2と第1シール材12との密着状態を評価する一評価基準として「0.5〜2.0μm」に設定されている。したがって、この発明において、高低差は必ずしも「0.5〜2.0μm」に限定されるわけではなく、絶縁体2と第1シール材12との密着面積が増大するように高低差を適宜に設定できる。
この発明において、凹凸の高度差は、例えば、絶縁体2の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、隣接する凹凸の最高点から最低点までの高度差を測定すること等によって求めることができ、その組数も同様にして計数できる。
このような高度差を有する凹凸は、例えば、絶縁体2を成形するときに貫通孔5を形成するプレスピンの外表面の表面粗さで調整でき、例えば、プレスピンンの算術平均粗さRaを0.2〜0.5μmにすると前記高度差を有する凹凸を貫通孔5内に形成できる。
この発明において、貫通孔5の第1シール材12と接する部分の内径は、電極固定用凸部3bの後端側に配置された電極固定用凸部3bよりも小径の後端部すなわち終端部が対面する絶縁体2の内表面の内径であり、スパークプラグ100においては第二部分5bの内径である。この内径は特に限定されないが、従来の内燃機関に装着されるスパークプラグであれば4.0mm以上に設定され、高出力化及び/又は小型化された内燃機関に装着されるスパークプラグであれば3.0mm以上に設定され、特に近年又は将来のさらなる高出力化及び/又は小型化されるであろう内燃機関に装着されるスパークプラグであれば2.9mm以下に設定されるのがよい。
第1シール材12は、ガラス相(ベースガラス相とも称する。)とフィラーとからなり、フィラーとして導電性フィラーを含有し、絶縁性フィラーを10質量%以下、好ましくは0質量%の含有率で含有している。すなわち、第1シール材12は好ましくはガラス相と導電性フィラーとのみを含有している。これにより、第1シール材12のガラス相の軟化時の硬度を低減することができる。その結果、ガラスシールを行う際の端子ウキが発生することを抑制できる。また、封着加重を単純に大きくする必要がなく、ガラスシールを行なう際に、絶縁体2を破損してしまうことも抑制できる。
ガラス相は、従来の導電性シール材と同様に例えばホウケイ酸塩系ガラス等の酸化物を主体にしたガラスで形成されている。導電性フィラーは、例えばCu及びFe等の金属成分の1種又は2種以上を主体とする金属粉末であるのが好ましい。絶縁性フィラーは、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、キータイト、シリカ、ムライト、コージェライト、ジルコン及びチタン酸アルミニウム等から選ばれる1種又は2種以上の酸化物系無機材料が挙げられ、これらはガラス相との親和性が高く、強度及び気密性に優れたシール構造を実現する上で有利である。
第1シール材12のガラス相は、第1シール材12中のフィラー以外の成分からなり、具体的には、Si成分と、B成分と、Ca成分と、Al成分と、Na成分及び/又はK成分とを、後述する条件(1)〜(3)を満足するように、含有している。
Si成分は、その酸化物「SiO」に換算したときの酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]が条件(1)を満たすように、すなわち50〜70質量%の範囲内で、ガラス相に含有されている。この酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]が50質量%未満であると、絶縁体2とシール材12とが充分な界面強度で密着せず、又は後述する中間層が形成されにくく、高い気密性を発揮できないことがある。一方、酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]が70質量%を超えると、中間層が低融点化し過ぎてしまい、耐電圧特性が低下して破壊を起こしやすくなり、結果、高い気密性を発揮できないことがある。このように酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]が条件(1)を満たすと絶縁体2と第1シール材12との界面強度が強固になると共に後述する中間層が形成されやすくなって高い気密性を発揮する。より一層高い気密性を発揮できる点での酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]は54〜64質量%であるのが好ましい。
また、Si成分は条件(2)を満たすようにガラス相に含有されている。すなわち、Si成分は、絶縁体2に含有される酸化物換算平均含有率[SiO(絶縁体)]に対する比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]が15〜66.7の範囲内でガラス相に含有されている。このように酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]は前記含有率の範囲内からこの比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]が15〜66.7となるように選択される。この比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]が15未満であると、たとえ条件(1)及び後述する条件(3)を満たしていても、絶縁体2を構成するアルミナ基焼結体と第1シール材12との反応性が低下して、絶縁体2と第1シール材12とが充分な界面強度で密着せず、又は後述する中間層が形成されにくく、高い気密性を発揮できないことがある。また、比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]が66.7を超えると、同様に、絶縁体2を構成するアルミナ基焼結体と第1シール材12との反応性が低下することがある。絶縁体2を構成するアルミナ基焼結体と第1シール材12との反応性が高く、より一層高い気密性を発揮できる点で、比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]は22〜57であるのが好ましい。この比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]はアルミナ基焼結体の酸化物換算平均含有率[SiO(絶縁体)]とガラス相中のSi成分の酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]とを変更することで調整される。
さらに、Si成分は条件(3)を満たすようにガラス相に含有されている。すなわち、Si成分は、第1シール材12のガラス相に含有されるB成分の酸化物換算平均含有率[B]に対する酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]の比率[[SiO(シール材)]/[B]]が1.45〜2.50の範囲内でガラス相に含有されている。このように酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]は前記含有率の範囲内から前記比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]に加えて比率[[SiO(シール材)]/[B]]が1.45〜2.50となるように選択される。この比率[[SiO(シール材)]/[B]]が1.45未満であると第1シール材12の転移点が低下しすぎて、一方、比率[[SiO(シール材)]/[B]]が2.50を超えると第1シール材12の転移点が高くなりすぎて、たとえ条件(1)及び条件(2)を満たしていても第1シール材12はアルミナ基焼結体との反応性が低下することがある。絶縁体2を構成するアルミナ基焼結体と第1シール材12との反応性が高く、より一層高い気密性を発揮できる点で、比率[[SiO(シール材)]/[B]]は1.8〜2.35であるのが好ましい。この比率[[SiO(シール材)]/[B]]はガラス相中のSi成分の酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]及び同B成分の酸化物換算平均含有率[B]を変更することで調整される。
ガラス相中のB成分は、条件(3)を満たしていればその含有率は特に限定されず、例えば、B成分をその酸化物「B」に換算したときの酸化物換算平均含有率[B]は22〜35質量%の範囲内にあるのが好ましい。すなわち、B成分の含有率は前記範囲内であって条件(3)を満たすように選択される。酸化物換算平均含有率[B]が22〜35質量%の範囲内にあると、高い気密性を保持できるうえ、ガラスシールを行う際の端子ウキと、第1シール材12及び絶縁体3の間に発生しやすい剥離やクラックとを抑えることができる。
ガラス相は、ガラス相の転移点を低下させるために加えられる成分であって、Na成分及びK成分の少なくとも一方をNa成分の酸化物換算平均含有率[NaO]及びK成分の酸化物換算平均含有率[KO]の合計含有率[(1A)O](1AはNa又はKを示す。)が2.5〜6.5質量%の範囲内で含有しているのが好ましい。この合計含有率[(1A)O]が2.5〜6.5質量%の範囲内にあると、第1シール材12のガラス相がほぼ均一に軟化してアルミナ基焼結体との反応性が格段に向上して絶縁体2とのより一層高い気密性を確保できる。また、合計含有率[(1A)O]が2.5〜6.5質量%の範囲内にあると、ガラスシールを行う際の端子ウキと、第1シール材12及び絶縁体3の間に発生しやすい剥離やクラックとを抑えることができる。この効果により一層優れる点で合計含有率[(1A)O]は3.0〜5.5質量%の範囲内にあるのが好ましい。酸化物換算平均含有率[NaO]及び酸化物換算平均含有率[KO]は、これらの合計含有率[(1A)O]が前記範囲内にあれば特に限定されず、適宜に設定され、Na成分及びK成分のいずれか一方を含有していればよい。
ガラス相における各成分の含有率は、いずれも、第1シール材12を絶縁体2と同様にして電子線マイクロアナライザ(EPMA)で20視野(視野サイズ180μm×120μm)を定量分析したときに、各成分をその酸化物に換算したときの酸化物換算含有率の算術平均値として算出した値である。なお、このようにして算出された酸化物換算平均含有率とガラス相の製造に用いる原料粉末の混合比とはほぼ一致する。したがって、各成分の酸化物換算平均含有率は原料粉末における各粉末の混合比で調整できる。
このように、ガラス相は、Si成分とB成分とCa成分とAl成分とNa成分及び/又はK成分とを条件(1)〜(3)等を満足するように含有しているが、必要に応じて、またこの発明の趣旨に反しない範囲において、他の成分、例えばZr成分、Ti成分、MgO成分等を含有していてもよい。この場合、他の成分の含有率は酸化物成分に換算してガラス相全体に対して10質量%以下とすることが好ましい。
このように、Si成分とB成分とCa成分とAl成分とNa成分及び/又はK成分とを条件(1)〜(3)等を満足するように含有しているガラス相は、その転移点が450℃以上770℃以下であるのが好ましく、480℃以上740℃以下であるのが特に好ましい。ガラス相の転移点が前記範囲内にあると、高い気密性に加えてたとえ振動下であっても、また高温に曝されても高い気密性を保持できる。なお、ガラス相の転移点が770℃を超えると、絶縁体2の内表面が変質しやすく気密性が損なわれるうえ、第1シール材12自体の流動性が低下するから第1シール材12を封着する時に高温が必要となってコスト上昇を招くことがある。ガラス相の転移点はJIS R3103−3「熱膨張法による転移温度測定方法」に準拠して測定できる。ガラス相の転移点は、例えば、ガラス相を構成する成分の粒径で調整でき、具体的には、粒径が大きいと反応性が高くなって転移点が高くなる傾向がある。
ところで、内燃機関に装着されたスパークプラグは内燃機関の稼働中は常に振動の影響を受けている。また内燃機関の高出力化に伴って混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着されたスパークプラグが曝される温度も高くなっている。したがって、このような内燃機関に装着されるスパークプラグには内燃機関の振動等及び高温環境にも耐えうる耐久気密性能も要求される。通常、このような内燃機関の振動等、又は、例えば700℃以上の高温環境に曝されるとスパークプラグの気密性能は徐々に低下してくることがある。しかし、前記のようにガラス相の転移点が前記範囲内にあると、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着され、たとえ高温にさらされてもまた振動を受けても高い気密性能を保持できる。したがって、この発明によれば、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着され、たとえ高温にさらされてもまた振動を受けても高い気密性能を保持するスパークプラグを提供するという目的を達成できる。
このような特定成分を特性の含有率で含有するガラス相を含有する第1シール材12は熱膨張係数が絶縁体2の熱膨張係数よりも低く、第1シール材12に生じ得るクラックの進展や剥離等を抑制することもできる。
第1シール材12は、前記組成に関する条件(1)〜(3)を満たすことに加えて、ガラス相とフィラーとを、第1シール材12の任意の観察面におけるガラス相の合計面積に対するフィラーの合計面積の面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]が0.6〜1.4となる割合で、含有しているのが好ましい。第1シール材12が前記範囲の面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]を満たすようにガラス相とフィラーとを含有していると中心電極3と第1シール材12とが強固に密着して高い気密性を発揮し、加えて第1シール材12の導通性も安定する。より一層高い気密性をスパークプラグ100が発揮できる点で、第1シール材12における面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]は0.8〜1.1であるのが好ましい。
この面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]は、前記の通り中心電極3と第1シール材12との気密性に貢献するから、絶縁体2と第1シール材12との気密性に貢献する2.5〜6.5質量%の範囲内にある合計含有率[(1A)O]と共にスパークプラグ100の気密性をより一層向上させる。したがって、この発明において、第1シール材12は面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]が0.6〜1.4となる割合でガラス相とフィラーとを含有し、かつ合計含有率[(1A)O]が2.5〜6.5質量%の範囲内でNa成分及びK成分の少なくとも一方を含有していると、中心電極3と第1シール材12との気密性及び絶縁体2と第1シール材12との気密性が向上し、より一層高い気密性を発揮する。このように面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]及び合計含有率[(1A)O]が前記範囲内にある第1シール材12を備えたスパークプラグ100は混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着され、たとえ高温にさらされてもまた振動を受けても高い気密性能を保持できる。したがって、この発明によれば、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着され、たとえ高温にさらされてもまた振動を受けても高い気密性能を保持するスパークプラグを提供するという目的を達成できる。
この面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]は、スパークプラグ100から取り出した第1シール材12を任意に切断した切断面を鏡面研磨して得られた研磨面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察(例えば、加速電圧20kV、スポットサイズ50、COMPO像、組成像)して研磨面全体が写された画像を撮影し、この画像においてガラス相の合計面積に対するフィラーの合計面積比を測定することにより求めることができる。この面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]は、画像解析ソフト、例えば、Soft Imaging System GmbH社製のAnalysis Fiveを用いて測定できる。この画像解析ソフトを用いる場合には研磨面でフィラー部分が選択されるように以下のように閾値を設定する。この閾値の設定においてガラス相が「濃色領域」、フィラー部分が「薄色領域」となるように二値化処理される。ここで、後述する中間相6もこの面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]を満たし、フィラーの合計面積は導電性フィーと認識された各フィラー部分の面積の合計であり、ガラス相に絶縁性フィラーが含有されている場合には各絶縁性フィラーの面積も合算してフィラーの合計面積を算出する。なお、この面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]は第1シール材12の原料粉末におけるガラス及びフィラーの配合割合で調整できる。
(1)前記研磨面を撮影して得られた画像(横1280ピクセル×縦1024ピクセル)のうち二次電子像及び反射電子像を確認し、反射電子像に、二以上の「濃色領域」が集合又は隣接してなる「濃色集合領域」が存在する場合には、各「濃色領域」における境界(各結晶の粒界に相当する。)にラインを引き、各「濃色領域」の境界を明確にする。
(2)前記反射電子像の画像を改善するため、前記「濃色領域」のエッジを保ちながら反射電子像の画像を滑らかにする。
(3)反射電子像の画像から「濃色領域」のみを抽出するための二値化処理における「閾値」を設定する。より具体的には、反射電子像の画像から横軸に明るさ、縦軸に頻度をとったグラフを作成する。得られるグラフは二山状のグラフになるため、二山の中間点を「閾値」に設定する。
この第1シール材12は、スパークプラグ100の軸線を含む平面で第1シール材12を切断したときの断面に存在する気孔の気孔率が5%以下であるのが好ましい。第1シール材12の気孔率が5%以下であると第1シール材12中に空隙部分が気密性能に影響を与えるほど存在しないからスパークプラグ100の高い気密性を損なうことなく発揮できる。スパークプラグ100が高い気密性を高度に保持できる点で気孔率は少ないのが好ましく、具体的には2%以下であるのがよい。気孔率の下限値は理想的には0%であるが、現実的には0.01%程度である。
この気孔率は、第1シール材12を絶縁体2の貫通孔5に密に充填しにくい小径のスパークプラグに効果的であり、特に例えば前記内径が2.9mm以下のスパークプラグが前記範囲の気孔率を満たしていると高い気密性能を十分に発揮できる。したがって、この気孔率はスパークプラグ、特に小径のスパークプラグの気密性能を評価する基準にもなり得る。
この気孔率は、スパークプラグ100の軸線を含む平面で第1シール材12を切断したときの断面を鏡面研磨して得られた研磨面をSEM観察(例えば、加速電圧20kV、スポットサイズ50、COMPO像、組成像)して研磨面全体が写された画像を取得し、この画像から気孔部分の合計面積を求めることにより算出できる。気孔部分の合計面積は、画像解析ソフト、例えば、Soft Imaging System GmbH社製のAnalysis Fiveを用いて求めることができる。この画像解析ソフトを用いる場合には、研磨面の全体画像で気孔部分が選択されるように、閾値を設定する。設定される閾値は、面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]の測定と基本的に同様にして研磨面全体が写され、気孔部分が「濃色領域」となるように二値化処理された画像において前記(1)〜(3)に基づいて「二山の中間点」とされる。なお、気孔率の基準となる基準面積は観察面全面の面積であり、気孔率は観察面全面の面積で気孔部分の合計面積を除して算出される。この気孔率は第1シール材12の原料粉末における粒度分布、原料粉末を絶縁体2の貫通孔5に充填する際のプレス圧等で調整できる。
スパークプラグ100は、図2に示されるように、絶縁体2と第1シール材12との間に厚さdが20〜50μmの中間相6が介在しているのが好ましい。この中間相6は絶縁体2のアルミナ基焼結体及び第1シール材12が溶融混合又は反応等して形成されたものである。このようにスパークプラグ100が特定厚さdの中間相6を有していると、絶縁体2と第1シール材12とが充分な強度で密着して条件(1)〜(3)を持たすのみでは発揮しえない高い水準の気密性を発揮する。すなわち、中間相6が存在していてもその厚さdが20μm未満であると絶縁体2と第1シール材12との密着強度が劣る場合があり、一方、50μmを超えると第1シール材12の割合が相対的に減少するから絶縁体2と第1シール材12との密着強度は高くても第1シール材12自体のシール性能が低下する場合がある。なお、図2において、中間相6と第1シール材12との界面を破線で表し、中間相6の厚さを「d」で表し、後述するライン分析でのラインの一例L1を一点鎖線で表す。
中間相6は、絶縁体2及び第1シール材12との界面、すなわちスパークプラグ100の第一軸部2dのうち絶縁体2と第1シール材12とが存在する部分(例えば図2の一点鎖線L1)を、スパークプラグ100の径方向に以下のようにしてライン分析したときに、絶縁体2のAl成分及び第1シール材12のガラス相のSi成分の合計含有率に対して、測定されたAl成分の含有割合が90質量%未満で、かつ測定されたSi成分の含有割合が90質量%未満となる領域とする。
<ライン分析方法>
このライン分析は、測定領域の任意の線上を操作して元素強度を元素濃度のヒストグラムとして得る方法で、例えば電子線マイクロアナライザ(X線ラインスキャン分析)とも称される。このライン分析は、まず、走査型電子顕微鏡(SEM)及び電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いて、絶縁体2及び第1シール材12との界面における任意のライン上に位置する照射ステップ(間隔)0.005μmごとの観測点のAl元素及びSi元素の強度を測定する。この測定結果のうちAl元素の強度及びSi元素の強度が共に90%未満となる領域の測定値を抽出して、抽出された測定値に基づいて、分析距離と、Al元素及びSi元素の合計強度に対するAl元素及びSi元素の強度比との近似線を求める。次いで、この近似線において、Al元素とSi元素との合計強度100%に対してSi元素の強度が90%未満でAl元素の強度が90%まで低下した分析距離L1と、合計強度100%に対してAl元素の強度が90%未満でSi元素の強度が90%まで増加した分析距離L2とを求め、L1及びL2の距離を中間層6の厚さdとする。この操作を異なる任意のライン10本で実施し、その平均値をアルミナ基焼結体に含有される中間相6の厚さdとする。測定条件は加速電圧20kV、スポットサイズ径65μmとする。なお、このライン分析において、Al元素及びSi元素の合計強度はアルミナ基焼結体における合計含有率に相当し、Al元素及びSi元素の強度比はアルミナ基焼結体における含有割合に相当する。
このような中間相6は、前記条件(1)及び(3)を満たす絶縁体2及び第1シール材12、好ましくは前記組成を有する第1シール材12を、絶縁体2又は主体金具1の外側から加熱器等で加熱することで、形成できる。このときの加熱温度及び加熱時間の一例として、例えば、第1シール材12のガラス相の転移点よりも35〜70℃高い加熱温度、例えば転移点よりも50℃高い加熱温度で5〜8分の加熱時間を挙げることができる。この加熱温度及び加熱時間は絶縁体2又は主体金具1の厚さ、これらと加熱器との距離等を考慮して決定される。
第2シール材13は、ガラス相及びフィラーからなり、抵抗体11と端子金具10とをシールする。この第2シール材13は第1シール材12ほどの高い気密性は要求されないから、従来公知の導電性シール材を用いることができ、第1シール材12と異なるシール材であってもよく、第1シール材12と同じシール材であってもよい。このスパークプラグ100においては、第2シール材13は第1シール材12と同じシール材が採用されている。
この発明に係るスパークプラグの製造方法を、スパークプラグ100を例に挙げて、説明する。このスパークプラグ100は、貫通孔5内で端子金具10と中心電極3とを導電性のシール材にて封止、固着した構造を有する従来のスパークプラグと基本的に同様にして、製造される。
すなわち、絶縁体2を作製する。この絶縁体2は、例えば原料粉末としてAl化合物粉末とSi化合物粉末と第2族化合物粉末と希土類元素化合物を前記条件(1)〜(3)を満たす配合割合で配合した原料粉末に所定量の結合剤(例えばPVA)と水とを添加・混合して成形用素地スラリーを調製する。Al化合物粉末は、焼成によりAl成分に転化する化合物であれば特に制限はなく、通常、アルミナ(Al)粉末が用いられる。Si化合物粉末は、焼成によりSi成分に転化する化合物、例えば、Siの酸化物、具体的にはSiO粉末等が用いられ、第2族化合物粉末は、焼成により第2族成分に転化する化合物、例えば、第2族元素の酸化物(複合酸化物を含む。)、具体的には、MgO粉末、BaO粉末、CaO粉末及びSrO粉末等が用いられる。希土類化合物粉末は、焼成により希土類成分に転化する化合物、具体的には、希土類元素の酸化物及びその複合酸化物等の粉末が用いられる。
調製された成形用素地スラリーは、スプレードライ法等により噴霧乾燥されて成形用素地造粒物とされる。そして、成形用素地造粒物をラバープレス成形することにより、絶縁体の原形となるプレス成形体を作る。ここでは、内部に軸方向に貫通するキャビティを有するゴム型が使用され、そのキャビティの下側開口部に下パンチが嵌め込まれる。また、下パンチのパンチ面には、キャビティ内においてその軸方向に延びるとともに、絶縁体2の貫通孔5の形状を規定するプレスピンが一体的に凸設されている。このプレスピンは、その表面のうち少なくとも前記高度差の凹凸が存在すべき貫通孔5を形成する表面に、例えば算術平均粗さRaが0.2〜0.5μmの粗さを有している。
この状態でキャビティ内に、所定量の成形用素地造粒物を充填し、キャビティの上側開口部を上パンチで塞いで密封する。この状態でゴム型の外周面に液圧を印加し、キャビティの造粒物を、該ゴム型を介して圧縮することによりプレス成形体を得る。なお、成形用素地造粒物は、プレス時における造粒物の粉末粒子への解砕が促進されるよう、該成形用素地造粒物の質量を100質量部として、0.7〜1.3質量部の水分が添加された後、プレス成形が行われる。成形体は、外面側がグラインダ切削等により加工されて、絶縁体2に対応した外形形状に仕上げられ、次いで大気中で温度1400〜1600℃とし、1〜8時間焼成されて絶縁体2となる。
このように、算術平均粗さRaが0.2〜0.5μmの粗さを有するプレスピンを用いて成形用素地造粒物をラバープレス成形した後に焼成すると、第1シール材12と接する表面に0.5〜2.0μmの高低差で隣接する凹凸を100μm当たり少なくとも8組有する絶縁体2を作製できる。
一方、第1シール材12を形成する原料粉末となる導電性シール材粉末の調製は以下のようにして行う。すなわち、上述したような各成分を所定の組成で含むガラス粉末及び導電性フィラー粉末を条件(1)〜(3)を満たす配合割合で配合して配合原料となし、水系溶媒及び混合用メディア(例えばアルミナ等のセラミック製のもの)と共に混合用のポット中に投入し、このポットを回転させて上記原料を均一に混合・分散させて、導電性シール材粉末を調製する。このとき、ガラス粉末及び導電性フィラー粉末は、条件(1)〜(3)に加えて、それらの面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]が前記範囲内となるように調整されている。
次いで、絶縁体2への中心電極3及び端子金具10の組付け、並びに、抵抗体11、第シール材12及び第2シール材13の形成は以下に説明するガラスシール工程により行われる。
まず、釉薬スラリーを噴霧ノズルから絶縁体2の必要な表面に噴霧・塗布することにより、釉薬層2gとなるべき釉薬スラリー塗布層を形成し、これを乾燥する。この絶縁体2の貫通孔5に対して、その第一部分5aに中心電極3を挿入した後、導電性シール材粉末を充填する。そして、貫通孔5内に押さえ棒等で充填した導電性シール材粉末を予備圧縮する。次いで、抵抗体組成物の原料粉末を絶縁体2の後端側から貫通孔5内に充填して同様に予備圧縮し、さらに導電性シール材粉末を充填して予備圧縮する。このようにして、中心電極3側から貫通孔5内には、第1シール材12を形成する導電性シール材粉末層、抵抗体11を形成する抵抗体組成物の粉末層及び第2シール材13を形成する導電性シール材粉末層が積層された状態になる。
次いで、貫通孔5に端子金具10を後端側から配置して加熱炉等で所定温度に加熱し、その後、端子金具10を貫通孔5内へ中心電極3と反対側から軸方向に圧入して3層に積層された前記粉末層を軸方向にプレスする。このときの加熱温度は、通常、700〜950℃の範囲内に設定され、前記厚さdの中間層6を形成できる点で第1シール材12のガラス相すなわち前記ガラス粉末の転移点よりも35〜70℃高い温度、例えば転移点よりも50℃高い加熱温度に設定される。また、加熱時間は、特に限定されず、加熱温度がガラス粉末の転移点よりも35〜70℃高い温度に設定される場合には例えば5〜8分とすることができる。これにより、各層は圧縮・焼結されてそれぞれ第1シール材12、抵抗体11及び第2シール材13となると共に絶縁体2のアルミナ基焼結体と第1シール材12とが溶融混合又は反応等して中間相6が形成される。このようにしてガラスシール工程が終了する。なお、このガラスシール工程時に塗布した釉薬スラリー塗布層の釉焼も同時に行なわれ、釉薬層2gが形成される。
このようにしてガラスシール工程が完了した後に、主体金具1及び接地電極4等が組み付けられてスパークプラグ100が製造される。
このスパークプラグ100は、そのねじ部1aでエンジンブロックに取り付けられ、燃焼室に供給される混合気への着火源として、自動車用の内燃機関例えばガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等に使用される。このスパークプラグ100は、前記特徴を有しているから、通常の内燃機関はもちろん、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着されたとしても、絶縁体2と中心電極3とが第1シール材12を介して強固にシールされて高い気密性を保持する。また、このスパークプラグ100は、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着され、たとえ高温にさらされてもまた振動を受けても高い気密性能を保持できるから、従来の内燃機関はもちろん、高出力化及び/又は小型化された内燃機関にも、また、近年又は将来のさらなる高出力化及び/又は小型化されるであろう内燃機関に装着されるスパークプラグとして好適である。
この発明に係るスパークプラグは、前記した一例に限定されることはなく、本願発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
例えば、スパークプラグ100は、中心電極3と端子金具10とが絶縁体2の貫通孔5内で第1シール材12、抵抗体11及び第2シール材13によって電気的に接続されているが、この発明において、中心電極と端子金具とは絶縁体の貫通孔内で一層のシール材のみによって電気的に接続されていてもよい。
また、スパークプラグ100は中心電極3と接地電極4とが中心電極3の軸線方向で火花放電ギャップgを形成しているが、この発明において、中心電極の側面と接地電極における一端の先端面が、中心電極の半径方向で、火花放電ギャップを形成していてもよい。この場合に、中心電極の側面に対向する接地電極は単数が設けられても複数が設けられてもよい。
スパークプラグ100において、中心電極3及び接地電極4はいずれも発火部3a及び発火部4aを有しているが、この発明において、中心電極及び接地電極は発火部を有せず、その表面が発火部として機能してもよい。
(実施例1〜14及び比較例1〜8)
アルミナ粉末とSi化合物粉末と所望により第2族元素化合物粉末と所望により希土類化合物粉末とを混合して原料粉末(混合した各粉末の種類を第1表に示す。)とした。この原料粉末にポリビニルアルコールと水とを添加してスラリーを調製した。
次いで、これら組成の異なるスラリーをそれぞれスプレードライ法により乾燥して球状の成形用素地造粒物を調製した。なお、造粒物は、ふるいにより粒径50〜100μmに整粒した。そして、この造粒物を既に説明したラバープレス法により50MPa以上160MPa以下の圧力で成形し、その成形体の外周面にグラインダ研削を施して所定の絶縁体形状に加工すると共に、1450〜1600℃の温度範囲内の最高温度を2時間以上で8時間以下保持して焼成した後、所定部位に釉薬をかけて仕上げ焼成することにより絶縁体2を得た。なお、造粒物をラバープレスしたときのプレスピンは第二部分5bを形成する部分の外径が1.8〜2.9mmで0.2〜0.5μmの算術平均粗さRaを有していた。
次に、質量比にて1:1に配合されたCu粉末とFe粉末(いずれも平均粒径30μm)とからなる金属粉末とTiOからなる絶縁粉末とホウケイ酸塩系のガラス粉末(平均粒径150μm)とを混合して、導電性シール材粉末を調製した。このガラス粉末の転移点を前記方法に従って測定した値を第2表に示す。
一方、抵抗体原料粉末は以下のようにして調製した。まず、微粒ガラス粉末(平均粒径80μm)を30質量%、セラミック粉末としてのZrO(平均粒径3μm)を66質量%、カーボンブラックを1質量%及び有機バインダとしてのデキストリンを3質量%配合し、水を溶媒としてボールミルにより湿式混合し、その後これを乾燥した予備素材を調製した。そして、これに粗粒ガラス粉末(平均粒径250μm)を、上記予備素材20質量部に対して80質量部配合し、抵抗体原料粉末を得た。なお、ガラス粉末の材質は、50質量%のSiO、29質量%のB、4質量%のLiO及び17質量%のBaOをそれぞれ配合・溶解して得られるホウケイ酸リチウムガラスであり、その転移点は585℃であった。
次いで、導電性シール材粉末及び抵抗体組成物粉末を用いて前記したスパークプラグ100の製造方法と基本的に同様にして、第二部分5bの内径が1.8〜2.9mmの図1に示されるスパークプラグ100を製造した。なお、第1シール材12を形成する導電性シール粉末の充填量は0.15g、抵抗体原料粉末の充填量は0.40g、第2シール材13を形成する導電性シール粉末の充填量は0.15gとした。また、ホットプレス処理の加圧力は100kg/cmとし、加熱温度は導電性シール材粉末中のガラス粉末の転移点よりも約50℃高い温度を5〜8分間維持した。
(絶縁体の組成分析)
前記のようにして作製した各絶縁体2の組成すなわち各成分の含有率を20視野(1視野の領域は180μm×250μm)についてEPMAで定量分析した。視野毎に得られた各成分の含有率を算術平均して各成分の含有率とした。なお、各成分の含有率は検出された各成分の含有率の合計を100質量%としたときの質量割合(%)として算出した。その結果を「組成(酸化物換算質量%)」として第1表に示す。
Figure 2013187049
(第1シール材の組成分析)
前記のようにして形成された第1シール材12のガラス相の組成を20視野(1視野の領域は180μm×250μm)についてEPMAで定量分析した。視野毎に得られた各成分の含有率を算術平均して各成分の含有率とした。なお、各成分の含有率は検出された各成分の含有率の合計を100質量%としたときの質量割合(%)として算出した。定量分析結果、この第1シール材12のガラス相はSi成分とB成分とCa成分とAl成分とNa成分及びK成分とを含有していることが分かった。得られた各成分の含有率のうち、条件(1)〜(3)に関係する含有率を、条件(2)の比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]及び条件(3)の比率[[SiO(シール材)]/[B]]の計算結果と共に第2表に示す。
(凹凸の組数)
前記のようにして作製した各絶縁体2における貫通孔5の内表面のうち第1シール材12と接する表面における高度差が0.5〜2.0μmの凹凸の組数を、前記方法に基づいて走査型電子顕微鏡(SEM)で観察することにより、軸線方向に沿う基準長さ100μm当たり、計数した。その結果を第2表に示す。
(中間相の厚さd)
前記のようにして製造した各スパークプラグ100の第一軸部2dのうち絶縁体2と第1シール材12とが存在する部分を、前記方法に基づいてEPMAによるライン分析によって、元素濃度のヒストグラムを得た。このヒストグラムを用いて絶縁体2のAl成分及びガラス相のSi成分の合計含有率に対するAl成分及びSi成分それぞれの含有割合を分析長さに対してそれぞれプロットして、これらの含有割合が共に90質量%未満となる領域の長さを中間層の厚さdとして求めた。その結果を第2表に示す。
(面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積])
前記のようにして製造した各スパークプラグ100の第1シール材12を、前記方法に基づいて画像解析して、ガラス相の合計面積及びフィラーの合計面積を求め、面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]を算出した。その結果を第2表に示す。
(気孔率)
前記のようにして製造した各スパークプラグ100の第1シール材12を前記方法に基づいて画像解析して、求めた気孔部分の合計面積を観察面全面の面積で除した値を気孔率とした。その結果を第2表に示す。
Figure 2013187049
(気密性の評価)
1. 標準試験及び加圧試験
前記のようにして各実施例及び各比較例のスパークプラグ100を15本ずつ製造して加圧条件下での気密性を評価した。具体的には、各スパークプラグ100のねじ部1aを、図3に示すように、加圧試験台50に形成された加圧キャビティの雌ねじ部51に取り付け、該加圧キャビティ内の圧縮空気を1.5MPa(標準試験)及び2.5MPa(加圧試験)の2水準にて導入し、端子金具10側からの圧縮空気の漏洩量を測定した。その結果、加圧キャビティ内の圧縮空気が1.5MPa(標準試験)の場合はいずれのスパークプラグについても空気の漏洩へ認められなかった。一方、加圧キャビティ内の圧縮空気が2.5MPa(加圧試験)の場合の結果を、15本のスパークプラグにおける漏洩量の平均値(平均漏洩量)とこれに基づく判定結果として、第3表に示す。判定基準は、圧縮空気の漏洩がなく漏洩量が0ml/minであった場合を「☆」、圧縮空気の漏洩量が0ml/minを超え0.02ml/min以下であった場合を「◎」、圧縮空気の漏洩量が0.02ml/minを超え0.03ml/min以下であった場合を「○」とした。なお、加圧試験における評価が「○」であれば通常の内燃機関に装着されたときに十分な気密性を発揮する。
2. 加熱試験
前記のようにして各実施例及び各比較例のスパークプラグ100を15本ずつ製造した。これらを700℃で1時間加熱した後に常温まで放冷し、前記「1. 標準試験及び加圧試験」と基本的に同様にして圧縮空気の漏洩量を測定した。その結果、加圧キャビティ内の圧縮空気が1.5MPa(標準試験)の場合はいずれのスパークプラグについても空気の漏洩へ認められなかった。一方、加圧キャビティ内の圧縮空気が2.5MPa(加圧試験)の場合の結果を第3表に示す。加熱試験における評価が「○」であればスパークプラグが高温に曝される内燃機関に装着されても気密性を発揮し、「☆」であればこのような内燃機関に装着されても顕著な気密性を発揮する。
3. 振動試験
前記のようにして各実施例及び各比較例のスパークプラグ100を15本ずつ製造した。JIS B8031の7.4項の「耐衝撃性試験」に従って製造したスパークプラグに振動振幅22mm、毎分400回の割合で10分間衝撃を加えた後に、前記「1. 標準試験及び加圧試験」と基本的に同様にして圧縮空気の漏洩量を測定した。その結果、加圧キャビティ内の圧縮空気が1.5MPa(標準試験)の場合はいずれのスパークプラグについても空気の漏洩へ認められなかった。一方、加圧キャビティ内の圧縮空気が2.5MPa(加圧試験)の場合の結果を第3表に示す。振動試験における評価が「○」であればスパークプラグが大きく振動されるような内燃機関に装着されても気密性を発揮し、「☆」であればこのような内燃機関に装着されても顕著な気密性を発揮する。
4. 加熱・振動試験
前記のようにして各実施例及び各比較例のスパークプラグ100を15本ずつ製造した。これらを700℃で1時間加熱した後に常温まで放冷し、次いで、JIS B8031の7.4項の「耐衝撃性試験」に従って振動振幅22mm、毎分400回の割合で10分間衝撃を加えた。このようにして加熱・振動された各スパークプラグについて前記「1. 標準試験及び加圧試験」と基本的に同様にして圧縮空気の漏洩量を測定した。その結果、加圧キャビティ内の圧縮空気が1.5MPa(標準試験)の場合はいずれのスパークプラグについても空気の漏洩へ認められなかった。一方、加圧キャビティ内の圧縮空気が2.5MPa(加圧試験)の場合の結果を第3表に示す。加熱・振動試験における評価が「○」であればスパークプラグが高温に曝され、かつ大きく振動される内燃機関に装着されても気密性を発揮し、「☆」であればこのような内燃機関に装着されても顕著な気密性を発揮する。
Figure 2013187049
第1表〜第3表に示されているように、条件(1)〜(3)を満たし、かつ、絶縁体が0.5〜2.0μmの高低差で隣接する凹凸を100μm当たり少なくとも8組有し、20〜50μmの厚さdを有する中間相を備えた実施例1〜14のスパークプラグは、いずれも、「1. 標準試験及び加圧試験」における標準試験及び加圧試験において圧縮空気の漏洩がなく、比較例1〜8のスパークプラグ等の従来のスパークプラグに比して高い気密性を保持していることが分かった。
特に、ガラス相の転移点が450℃以上770℃以下である実施例5〜14のスパークプラグ、転移点に加えてNa成分及びK成分の合計含有率及び面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]を満たす実施例8〜14のスパークプラグ、さらに気孔率をも満たす実施例12〜14のスパークプラグは、高温環境にも耐えうる高温気密性及び振動にも耐え得る振動気密性が格段に向上しており、混合気の圧縮比が高く設定された内燃機関に装着され、たとえ高温にさらされてもまた振動を受けても高い気密性を保持できることが分かった。このように、この発明に係るスパークプラグは実使用環境に応じた試験であっても高い気密性を保持していることが分かった。なお、実施例12〜14の「4. 加熱・振動試験」の結果が実施例8〜11よりも優れるのは気孔率が5%以下で第1シール材12が緻密であるため加熱しながらの振動に十分な耐性を有していることにあると推測される。
この発明に係るスパークプラグは、高い気密性を保持しているから、混合気の圧縮比が高く設定され、高い気密性が要求される内燃機関に好適に使用される。また、この発明に係るスパークプラグは、高温環境にも耐えうる高温気密性及び振動にも耐え得る振動気密性が格段に向上しているから、混合気の圧縮比が高く設定され、スパークプラグが700℃程度の高温にさらされる内燃機関、混合気の圧縮比が高く設定され、スパークプラグに振動が伝達される内燃機関、さらには近年又は将来のさらなる高出力化及び/又は小型化されるであろう内燃機関にも、好適に使用される。
100 スパークプラグ
1 主体金具
2 絶縁体
2d 第一軸部
3 中心電極
3b 電極固定用凸部
4 接地電極
5 貫通孔(軸孔)
5b 第二部分
6 中間相
10 端子金具
12 第1シール材
13 第2シール材

Claims (5)

  1. アルミナ基焼結体で管状に作製された絶縁体と、前記絶縁体の軸孔内に配置された中心電極と、前記軸孔内に配置され、前記中心電極を前記絶縁体の前記軸孔内に固定するシール材とを備えたスパークプラグであって、
    前記絶縁体及び前記シール材は、下記条件(1)〜(3)を満たし、
    前記絶縁体は、前記シール材と接する表面に0.5〜2.0μmの高低差で隣接する凹凸を100μm当たり少なくとも8組有し、
    前記絶縁体及び前記シール材との界面を径方向にライン分析したときに前記絶縁体のAl成分及び前記シール材のガラス相のSi成分の合計含有率に対する前記Al成分及び前記Si成分それぞれの含有割合が共に90質量%未満となる中間相を20〜50μmの厚さで有するスパークプラグ。
    (1)前記シール材の前記ガラス相に含有されるSi成分の酸化物換算平均含有率[SiO(シール材)]が50〜70質量%
    (2)前記絶縁体に含有されるSi成分の酸化物換算平均含有率[SiO(絶縁体)]に対する前記[SiO(シール材)]の比率[[SiO(シール材)]/[SiO(絶縁体)]]が15〜66.7
    (3)前記シール材の前記ガラス相に含有されるB成分の酸化物換算平均含有率[B]に対する前記[SiO(シール材)]の比率[[SiO(シール材)]/[B]]が1.45〜2.50
  2. 前記シール材に含まれている前記ガラス相の転移点が450℃以上770℃以下である請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記シール材は、Na成分及びK成分の少なくとも一方をNa成分の酸化物換算平均含有率及びK成分の酸化物換算平均含有率の合計含有率が前記ガラス相に対して2.5〜6.5質量%の範囲内で含有し、かつ、前記ガラス相とフィラーとを前記シール材の任意の観察面における前記ガラス相の合計面積に対するフィラーの合計面積の面積比[フィラー合計面積/ガラス相合計面積]が0.6〜1.4となる割合で含有している請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記シール材は、その任意の観察面に存在する気孔の気孔率が5%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
  5. 前記シール材が配置されている部位における前記軸孔の直径が2.9mm以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパークプラグ。
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