JP2013186716A - 判別装置、判別方法および判別システム - Google Patents

判別装置、判別方法および判別システム Download PDF

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Abstract

【課題】不審者の侵入等、異常の有無を的確に判別する。
【解決手段】発電部は、周囲の環境に存在するエネルギーに基づいて発電する。発電部は、例えば、光や熱、振動、電波に基づいて発電する。発電床では、圧電材料と圧電材料の両端の電極から構成される圧電素子が発電素子に使用される。発電した発電素子の位置の履歴をとれば、ユーザUの移動の軌跡を得ることができる。判別装置は、発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する。
【選択図】図8

Description

本開示は、例えば、発電部からの発電情報に応じて異常の有無を判別する判別装置、判別方法および判別システムに関する。
センサを使用して、対象の行動を検知することが行われている(例えば、下記特許文献1を参照)。センサを駆動するための電源として、一般に電池が使用される。
特開2006−340903号公報
対象の行動を検知するためには、センサを常に駆動しなければならない。このため、電池の交換や電池の充電を行う必要があり、煩雑であるという問題があった。さらに、電池の交換や電池の充電を怠った場合にはセンサの動作が停止し、必要なデータが得られないという問題があった。さらに、電源として商用電源が使用される場合には電気料金が課金される、商用電源を敷設するコストがかかる、レイアウトの自由度に制限があるという問題があった。
したがって、本開示の目的の一つは、電池を使用しない場合や電池からの電力の供給が停止した場合でも、異常の有無を判別できる判別装置、判別方法および判別システムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本開示は、例えば、
発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別部を有する判別装置である。
本開示は、例えば、
発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別装置における判別方法である。
本開示は、例えば、
周囲の環境に存在するエネルギーに基づいて発電する発電部と、
発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別部と
を有する判別システムである。
少なくとも一つの実施形態によれば、電池を使用しない場合や電池からの電力の供給が停止した場合でも、異常の有無を判別できる。
発電床の区画の一例を示す図である。 発電床のある断面の一例を示す図である。 電極の配置の一例を説明するための図である。 発電する発電素子の位置の一例を説明するための図である。 発電する発電素子の位置の他の例を説明するための図である。 動線のパターンの一例を説明するための図である。 判別装置および外部装置の構成の一例を示す図である。 判別装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。 あるユーザが移動する際の、速度の変化の一例等を示す図である。 不審者が移動する際の、速度の変化の一例等を示す図である。 携帯端末の概要を説明するための図である。 携帯端末および外部装置の構成の一例を示す図である。 携帯端末の処理の一例を説明するためのフローチャートである。 携帯端末の処理の他の例を説明するためのフローチャートである。 車両の速度等の変化の一例を示す図である。 車載装置および外部装置の構成の一例を示す図である。 車載装置の処理の一例を説明するためのフローチャートである。
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.第1の実施形態>
<2.第2の実施形態>
<3.第3の実施形態>
<4.変形例>
なお、以下に説明する実施形態および変形例は、本開示の好適な具体例であり、本開示の内容がこれらの実施形態および変形例に限定されるものではない。
本開示における発電部は、周囲の環境に存在するエネルギーに基づいて発電する。発電部は、例えば、光や熱、振動、電波に基づいて発電する。これらのエネルギーは、自然界に存在するものに限られない。例えば、ユーザや乗物などの移動体が発する熱(例えば、ユーザの体表面の熱や車両のエンジンが発する熱)や、移動体の動きに伴う圧力や振動、ユーザや移動体が具備する電子機器が発する電磁波であってもよい。
<1.第1の実施形態>
始めに、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、異常として、所定の空間への不審者の侵入を例にして説明する。第1の実施形態では、発電床が使用される。発電床とは、例えば、床材やカーペットなどのユーザが接触する接触部材に、複数の発電素子が組み込まれたものである。もちろん、接触部材が床材等に限定されることはない。さらに、足裏や靴底が接触する態様に限定されることはない。例えば、車両のタイヤが発電床に接触してもよい。さらに、接触部材に接触することには、直接的な接触に限られず、発電床に敷かれたカーペット上をユーザが歩行するような間接的な接触を含む。
「発電床の概要」
図1は、発電床を上面から見た図(上面図)の一例である。発電床1は、例えば、複数のブロックBLに分割され、各ブロックBLの位置がX座標およびY座標で規定される。発電床1上を、移動体の一例であるユーザUが移動する。ブロックBL毎の対応する位置に発電素子が組み込まれている。なお、ブロックBLの区画は、通常、発電床1の表面に表示されることはなく、どの区画を移動しているかをユーザUが認識することはない。
発電素子は、例えば、圧電材料と圧電材料の両端の電極から構成される圧電素子である。圧電素子が電圧を発生する仕組みは既に公知であるため、概略的な説明に留める。圧電材料に圧力を与えてひずみを発生させると、分極現象によって表面に電荷が現れ、電圧として観測される。反対に、圧電材料に張力を与えると逆符号の電圧が観測される。
圧電材料は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸鉛(PbTiO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、リチウムテトラボレート(Li2B4O7)、ランガサイト(La3Ga5SiO14)、水晶(SiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酒石酸カリウム-ナトリウム(KNaC4H4O6)、窒化アルミニウム(AlN)、トルマリン(tourmaline:ケイ酸塩鉱物)、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、VDFオリゴマー、フッ素系圧電材料などである。これらは、バルク型でもよく、薄膜成膜やコーティングされたものでもよい。
ユーザUが移動する際の踏み込む圧力により、ユーザUが移動したブロックBLの発電素子が発電する。例えば、図1では、座標(3,5)の位置の発電素子が発電する。したがって、ユーザが座標(3,5)のブロックBL上を移動していることが判別できる。発電した発電素子の位置の履歴をとれば、ユーザUの移動の軌跡を得ることができる。
図2は、発電床のある断面の一例を示す断面図である。基板やフィルム、シートなどのベース層10に対して、下部電極11、圧電材料(圧電膜または圧電シート)12、上部電極13が積層され、上部電極13の一面には保護膜14が塗布されている。保護膜14上をユーザUが移動する。ユーザUが移動した箇所で発電がなされる。各部を積層する方法としては、蒸着、スパッタ、コーティング、キャスト、ラミネート、印刷などが例示される。これらの方法のうち、ベース層10の材料や圧電材料12の種類を考慮して、適切な方法が選択される。なお、図2では、下部電極11および上部電極13のそれぞれを支持する支持部材の図示を省略している。下部電極11および上部電極13を、圧電素子に直接、積層(蒸着やスパッタ、コーティングなど)する場合は、支持部材は不要となる。
「電極の配置の一例」
図3は、下部電極11および上部電極13の配置の一例を示す。下部電極11は、例えば、短冊状の電極を複数、有し、複数の短冊状の電極(電極11a、電極11b、電極11c・・・電極11n)がシート18の一面に貼着された構成とされる。個々の電極を区別する必要がない場合は、単に、下部電極11と称する。
上部電極13は、例えば、短冊状の電極を複数、有し、複数の短冊状の電極(電極13a、電極13b、電極13c・・・電極13n)がシート19の一面に貼着された構成とされる。個々の電極を区別する必要がない場合は、単に、上部電極13と称する。なお、シートのサイズや形状、電極の個数やサイズ、形状などは、発電床1のサイズ等に応じて適切に設定される。
下部電極11の長手方向と上部電極13の長手方向とが略直交するようにして、対向する。図2で説明したように、下部電極11と上部電極13との間の対向空間に圧電材料が配される。例えば、下部電極11と上部電極13とが交差する箇所が、発電素子に対応する。すなわち、発電床1では、複数の発電素子がマトリクス状に配される。1の発電素子が配される箇所が1のブロックBLに対応している。なお、圧電材料は、1枚のシート状のものでもよく、下部電極11と上部電極13とが交差する箇所毎に圧電材料が配される構成としてもよい。
例えば、図4に示す発電床1の位置P1をユーザUが移動すると、電極11iと電極13hとが交差する箇所(座標(9,8))の発電素子が発電する。電極11iには、例えば、マイナスの電荷が発生し、電極13hには、例えば、プラスの電荷が発生する。
図5に示すように、位置P1から位置P2へユーザが移動したとする。この場合は、電極11cと電極13eとが交差する箇所(座標(3,5))の発電素子が発電する。電極11cには、例えば、マイナスの電荷が発生し、電極13eには、例えば、プラスの電荷が発生する。
さらに、位置P1から位置P2への移動の際に、ユーザが通過したブロックBLの発電素子が発電する。このため、発電した発電素子をモニタリングすることで、少なくとも、ユーザの現在の位置および移動の軌跡に関する情報を得ることができる。なお、以下の説明において、移動の軌跡を動線と称することもある。
「動線の解析の一例」
図6は、動線の解析の一例を示す。図6は、建物内の所定の空間20の床に発電床1が敷設された例である。空間20に対する入口が設けられるとともに、3つの出口(出口1、出口2および出口3)が設けられている。空間20には、例えば、倉庫1、倉庫2、金庫室1および金庫室2が設置されており、個々の設置物の中心に柱が設けられている。
個々の設置物には、不審者や部外者の侵入を防止するためのドアが設けられており、各ドアを施錠できるように構成されている。例えば、倉庫1にはドア1が設けられ、倉庫2にはドア2が設けられ、金庫室1にはドア3が設けられ、金庫室2にはドア4が設けられている。なお、空間20内の床を発電床1として構成するとともに、各設置物の内部の床を発電床1で構成してもよい。
権限あるユーザUや不審者等が発電床1上を移動すると、移動した箇所の発電素子が発電する。発電した発電素子の位置の履歴をモニタリングすることで、動線を得られる。通常、ユーザUは、入口から空間20に進入し、目的する設置物の近傍を通る。設置物付近で所用を済ませたユーザは、出口1などから空間20の外に退出する。
倉庫2に用事があるユーザUは、入口から空間20内に進入し、最寄りの出口である出口2を介して空間20から退出する。このため、倉庫2に用事があるユーザUの動線は、点線1や点線2で示すような、おおむね直線状のパターンになる。金庫室2に用事があるユーザUは、入口から空間20内に進入し、出口2を介して空間20から退出する。このため、金庫室2に用事があるユーザUの動線は、点線3や点線4で示すような、おおむね直線状のパターンになる。
倉庫1に用事があるユーザUは、入口から空間20内に進入し、出口1を介して空間20から退出する。このため、倉庫1に用事があるユーザUの動線は、点線5で示すように、柱付近で左方向に略直角に折れ曲がるパターンになる。金庫室1に用事があるユーザUは、入口から空間20内に進入し、出口3を介して空間20から退出する。このため、金庫室1に用事があるユーザUの動線は、点線6で示すように、柱付近で右方向に略直角に折れ曲がるパターンになる。
ユーザUが通常、とり得る行動に伴う動線のパターンは、正常な動線のパターンとして記憶される。例えば、点線1〜6で示される動線のパターンがデータベースに記憶される。正常な動線のパターンが外部の装置から供給されるようにしてもよい。
一方で、不審者(例えば、泥棒)の動線のパターンは、正常な動線のパターンと異なる。入口から空間20に侵入した不審者は、倉庫や金庫室への侵入を試みる。このため、不審者の動線のパターンは、実線7で示すような、ドア1〜ドア4を経由する蛇行したパターンとなる。
このように、正常なパターン(直線状のパターンや柱付近で折れ曲がるパターン)ではないパターンで移動する人物を、不審者として特定する。例えば、実線7で示す動線のパターンで移動する人物が不審者として特定される。不審者を判別する処理は、判別装置によって行われる。
「判別装置の構成」
図7は、判別装置の構成の一例を示す。判別装置100は、複数の発電素子を含む発電部110を有する。複数の発電素子は、上述したように、発電床1にマトリクス状に配される。
判別装置100は、さらに、整流回路120、蓄電素子130および定電圧回路140を含む構成とされる。例えば、整流回路120、蓄電素子130および定電圧回路140により、電源部が構成される。判別装置100は、制御部150、演算部160、通信部170およびアンテナ180を含む構成とされる。なお、判別装置100の構成は一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、判別装置100が、警報音を出力するスピーカ等の音声出力装置などを有する構成としてもよい。
整流回路120は、発電部110で発生された電圧を整流する回路である。整流回路120は、例えば、ダイオードやダイオードブリッジから構成される。
蓄電素子130は、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、ポリアセン系有機半導体(Polyacenic Semiconductor(PAS))キャパシタ、ナノゲートキャパシタ(「ナノゲート」は、ナノゲート・アクチエンゲゼルシャフトの登録商標)、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、タンタルコンデンサなどである。これらを組み合わせて使用する複合利用でも構わない。蓄電素子130は、整流回路120から出力される直流電圧により蓄電する。
定電圧回路140は、蓄電素子130の出力電圧を所定の電圧に変換して、出力電圧を安定させる回路である。定電圧回路140からの出力電圧が、例えば、制御部150、演算部160および通信部170に供給される。
このように、発電部110が発電した電力を蓄電し、蓄電した電力を判別装置の各部に対して供給することができる。このため、例えば、判別装置100を動作させるための電池等の電源を不要とすることができ、電池の交換や電池の充電を行う必要がない。なお、本開示は、電池等の使用を絶対的に排除するものではなく、例えば、2次電池とキャパシタなどの複合利用でも構わない。電池を使用した場合でも、発電部110からの電力を判別装置の各部に対して供給することで、電池の消耗や電池の劣化を抑制できる。
制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)から構成され、判別装置100の各部を制御する。演算部160は、発電部110の発電情報を使用して、不審者を特定するための処理を行う。演算部160にはメモリ(図示は省略している)が接続されている。メモリに正常な動線のパターンが記憶される。正常な動線のパターンが外部の装置から判別装置100に供給されてもよい。
演算部160は、あるユーザの所定の動線のパターンと正常な動線のパターンを比較し、当該ユーザが不審者であるか否かの判別を行う。演算部160の機能が制御部150に組み込まれていてもよい。
通信部170は、判別装置100と外部装置200等との間の通信を行うためのインタフェースである。通信部170によってなされる通信は、有線または無線のいずれの通信でもよく、人体等の媒体を介した通信でもよい。また、例えば、判別装置100が外部装置200へ通信するのに十分でない発電量の場合には、近くの他の判別装置100との通信を経由して、外部装置200と通信を行うようにしてもよい。但し、この場合には、判別装置100は、送受信できる機能を備える。
無線の方式による通信としては、例えば、赤外線を用いた通信や、短距離低消費電力型のANT規格による通信、「Z−Wave(Zensys A/S CORPORATIONの米国登録商標)」規格による通信、「Zigbee(ジッグビー アライアンスの登録商標)」規格による通信、「Bluetooth Low Energy(「Bluetooth」は、ブルートゥース エスアイジー,インコーポレイテッドの登録商標)」規格による通信、ネットワーク形成が容易な「Wi Fi(ワイ ファイ・アライアンスの登録商標)」による通信などを利用することができるが、これらに限定されるものではない。
通信部170は、データを所定の方式で変調したり、受信したデータを復調する処理を行う。通信部170によって処理を施されたデータがアンテナ180を介して外部装置200へ送信される。外部装置200から送信されたデータが、アンテナ180によって受信される。受信されたデータに対して、通信部170による復調処理やエラー訂正処理等の処理が行われる。
「外部装置の構成」
外部装置の構成の一例について説明する。外部装置200は、例えば、セキュリティセンタであり、判別装置100とは離隔された位置に存在する。外部装置200は、判別装置100が設置された場所のセキュリティを監視する。外部装置200は、例えば、制御部210、メモリ220、表示部230および通信部240を含む構成とされる。これらの各部は、バス250を介して接続されている。通信部240は、アンテナ260と接続されている。
制御部210は、例えば、CPUで構成され、外部装置200の各部を制御する。メモリ220は、例えば、制御部210のワークエリアとして使用される。メモリ220に、制御部210によって実行されるプログラムや表示部230に表示するための表示データが記憶されてもよい。
表示部230は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネルと、表示パネルを駆動するためのドライバを含む。表示部230の表示パネルは、比較的、大型とされる。表示部230には、例えば、地図データに基づく地図が表示され、判別装置100などの位置や、巡回中の警備員の位置などが表示される。
通信部240は、データを所定の方式で変調したり、受信したデータを復調する処理を行う。通信部240によって処理を施されたデータがアンテナ260を介して他の装置へ送信される。例えば、判別装置100や警備員が有する端末に対して、データが送信される。判別装置100から送信されたデータが、アンテナ260によって受信される。例えば、判別装置100から送信された異常報知信号がアンテナ260で受信される。受信されたデータに対して、通信部240による復調処理やエラー訂正処理等の処理が行われる。
「判別装置の動作の一例」
図8のフローチャートを参照して、判別装置100の動作の一例を説明する。あるユーザ(この段階では、ユーザが、権限あるユーザか不審者であるかは不明である)が発電床1上を移動する(ステップS1)。ユーザの移動にともない、移動した箇所における発電素子が発電する。発電素子が発電したことによる電圧波形が制御部150を介して演算部160に供給される。なお、電圧波形が制御部150でデジタル化されてもよい。演算部160により電圧波形がデジタル化されてもよい。演算部160は、電圧波形をモニタリングする(ステップS2)。
演算部160は、電圧波形をモニタリングすることで、発電した発電素子を特定する。そして演算部160は、発電した発電素子の位置を特定し、位置情報を取得する(ステップS3)。発電した発電素子の位置情報が、発電情報の一例とされる。発電情報は、電圧波形そのものでもよく、電圧波形に基づいて得られる情報でもよい。発電情報は、電圧波形の最大レベルなどでもよい。発電情報は、例えば、あるブロックBLの発電素子が電圧波形を発生したタイミングと、ブロックBLに隣接するブロックの発電素子が電圧波形を発生したタイミングとの時間的な間隔でもよい。発電情報は、発電素子毎に割り当てられる個体識別情報でもよい。例えば、出力電圧がある閾値以上になった発電素子の個体識別情報が発電情報として使用されてもよい。
発電した発電素子の位置情報の履歴をとることで、あるユーザの動線のパターンが解析される(ステップS4)。演算部160は、メモリから正常な動線のパターンを読み出す。演算部160は、正常な動線のパターンと、あるユーザの動線のパターンとを比較する(ステップS5)。比較処理は、例えば、リアルタイムに行われる。
この比較処理によって、例えば、正常な動線のパターンと、あるユーザの動線のパターンとの類似度が算出される。算出された類似度が所定の閾値より小さい場合に、あるユーザが不審者と判断され、異常が有ると判別される。算出された類似度が所定の閾値より大きい場合に、あるユーザが不審者ではないと判断され、異常が無いと判別される(ステップS6)。
異常が無いと判別されると、処理がステップS2の処理に戻る。ステップS2の処理では、例えば、他のユーザの移動にともって生じる電圧波形のモニタリングがなされる。この場合に、あるユーザの動線のパターンを正常な動線のパターンとしてメモリに記憶してもよい。さらに、メモリの内部もしくは外部に学習機能を設け、判定に必ず必要のない発電素子を登録してもよい。この発電素子が、アクティブになる(発電する)ことが多ければ、当該発電素子に中継機能を持たせてもよい。例えば、アクティブになる機会が少なく発電量が少ないため、送信距離が限られる発電素子に対して、信号の増幅などを行う中継機能を持たせてもよい。発電素子に対してこのような役割を動的に配置することで、システムの効率化・最適化を行うことができる。
異常が有ると判別されると、異常対応処理が行われる(ステップS7)。異常対応処理の内容は、例えば、外部装置200に対して異常が生じたことを報知する処理である。もちろん、判別装置100において、警報等を鳴動させるなどの異常対応処理がなされてもよい。
判別装置100で行われる異常対応処理の内容の一例について説明する。異常が生じたと判別されると、制御部150または演算部160は、異常が生じたことを示す所定のビット列の信号(以下、異常報知信号と適宜、称する)を生成する。異常報知信号には、判別装置100が存在する場所を示す位置情報が含まれる。生成された異常報知信号が通信部170によって変調される。変調された異常報知信号が、アンテナ180を介して外部装置200に送信される。
異常報知信号を受け取った外部装置200は、例えば、判別装置100が存在する場所へ警備員を向かわせる等の指示を行うことができる。このように、外部装置200において異常対応処理を行うことも可能である。
なお、不審者であるか否かの判断対象とされるユーザは複数でもよい。演算部160が、図8に例示した処理を並列して行うことで、複数のユーザに対して、不審者であるか否かの判断を行うことができる。
「外部装置の動作の一例」
外部装置200の動作の一例について説明する。外部装置200に対して、例えば、判別装置100から異常報知信号が送信される。異常報知信号がアンテナ260により受信される。異常報知信号に対して、通信部240による復調等の処理が施される。処理が施された異常報知信号がバス250を介して制御部210に供給される。
制御部210は、異常報知信号を発した判別装置100の場所の詳細を表示部230に表示する。そして、制御部210は、判別装置100の近傍に存在する警備員に対して、判別装置100が存在する場所に向かう指示を行う。例えば、判別装置100の場所を含む指示信号が制御部210によって生成される。生成された指示信号に対して、通信部240による変調等の処理が施される。処理が施された指示信号がアンテナ260を介して送信される。
指示信号が警備員の携帯端末や巡回車によって受信される。警備員は、指示信号によって示される判別装置100が存在する場所に向かうことができる。このようにして、外部装置200における異常対応処理が行われる。異常対応処理における処理の一部が人為的に行われてもよい。
外部装置200が判別装置100を遠隔操作することで。異常対応処理が行われてもよい。例えば、外部装置200が判別装置100を遠隔操作することで、判別装置100において警報を鳴動させたり、発電床1が敷設された空間の出入り口を閉鎖できるようにしてもよい。
「第1の実施形態の変形例」
第1の実施形態は、例えば、以下のように変形することができる。第1の実施形態では、あるユーザの動線のパターンと、正常な動線のパターンを比較して類似度を求めるようにしたが、演算部160がより詳細な演算を行うようにしてもよい。
例えば、発電した発電素子の位置情報を取得し、ユーザの行動の時系列モデルを取得する。時系列モデルの方向分布などの特徴量をベクトルで表現し、対応する確率的状態遷移モデルとして、それらのモデルが認識対象行動を生成する確率を演算部160が演算する。例えば、一般的な行動を確立が高いと表し、異常行動を確立が低いと表現する。認識対象行動を生成する確率が高く、通常の一般的な行動パターンと認識される(例えば、図6の点線1〜点線6で示したパターン)。認識対象行動を生成する確率が低く、異常行動パターンと認識される(例えば、図6の実線7で示したパターン)。
発電素子は、圧電素子に限定されることはない。例えば、磁歪素子、熱電変換素子(ゼーベック効果、スピンゼーベック効果を利用するものなど)、焦電素子、熱電子発電素子や外燃機関(熱音響発電やスターリングエンジン発電)、ユーザが携行している電子機器が発する電磁波でもよい。外部と通信を行う装置が発する電磁波により発電する発電機構としてはレクテナ、電磁誘導、磁界共鳴などを利用する発電機などでもよい。発電素子が、これらの1種以上の組み合わされたハイブリッドタイプの発電素子であってもよい。ユーザの動作により発電する発電機構としては、電磁誘導現象やエレクトレットなどを利用する発電機が挙げられる。発電部110が、発電素子と機械的機構との組み合わせによる発電モジュールとして構成されていてもよい。
なお、異常の有無を判別するために使用される発電情報は、動線のパターンに限定されることはない。例えば、所定のブロックBLに配される発電素子の発電量を発電情報として使用してもよい。
図9は、ユーザUの移動の速度等を模式的に示したものである。ユーザUは不審者ではない。図9Aに示すように、ユーザUが発電床1上を移動する。移動の途中で、ユーザUは、施錠が施されたドアD1およびドアD2付近を通過する。図9Bは、ユーザUの移動の速度を示す。ユーザUの速度は、略一定となる。
図9Cは、ブロックBL毎の発電素子が発電する発電量または検出される出力を示す。発電量の1サイクルの脈動(パルス)は、歩幅とリンクしている。ユーザUが、例えば、ブロックBL1を踏み込み、踏み込んだ足を持ち上げる動作に応じて、ブロックBL1に配される発電素子が発電する。踏み込む圧力と、踏み込んだ足を持ち上げる張力によって、正負の電圧波形が観測される。発電量は、例えば、電圧波形に囲まれる面積によって規定される。ユーザUが次のブロックBL2に移動すると、ブロックBL2に配された発電素子が同様に発電する。
ドアD1付近のブロックBLmをユーザUが通過したときは、ブロックBLmに配された発電素子が発電する。このとき、ブロックBLmに配された発電素子が発電する発電量は、例えば、ブロックBL1に配された発電素子が発電する発電量と略等しい。ドアD2付近のブロックBLnをユーザUが通過したときは、ブロックBLnに配された発電素子が発電する。このとき、ブロックBLnに配された発電素子が発電する発電量は、例えば、ブロックBL1に配された発電素子が発電する発電量と略等しい。このように、ユーザUが発電床1を移動するときは、各ブロックBLに配された発電素子が発電する発電量は、さほど変化せず略一定となる。
図9Dは、蓄電素子130の蓄電量の変化の一例を示す。移動されるブロックBLに配された発電素子が発電することで、蓄電素子130が蓄電される。発電素子が発電することで、略線形に蓄電素子130の蓄電量が増加する。
図10は、不審者SUの移動の速度等を模式的に示したものである。図10Aに示すように、不審者SUが発電床1上を移動する。移動の途中、不審者SUは、施錠が施されたドアD1およびドアD2付近を通る。不審者SUは、ドアD1やドアD2の施錠を破壊して侵入を試みる。
図10Bは、不審者SUの移動の速度を示す。不審者SUは、ドアD1やドアD2の施錠を破壊しようとするため、ドアD1やドアD2付近で立ち止まる。このため、ドアD1やドアD2付近での速度が略0になる。
図10Cは、不審者SUの移動にともなって、各ブロックBLの発電素子が発電する発電量を示す。発電量の1サイクルの脈動(パルス)は、歩幅とリンクしている。ドアD1付近のブロックBLmで、不審者SUは、ほぼ立ち止まった状態となる。そして、ドアD1の施錠を破壊して侵入を試みる。ブロックBLmに配される発電素子は、不審者SUの連続した僅かな動きや小さな歩幅の動きに応じて、微小の電圧を複数回、発生する。
不審者SUは、さらに、移動してドアD2付近のブロックBLnに移動する。ドアD2付近のブロックBLnで、不審者SUは、ほぼ立ち止まった状態となる。そして、ドアD2の施錠を破壊して侵入を試みる。ブロックBLnに配される発電素子は、不審者SUの連続した僅かな動きや小さな歩幅の動きに応じて、微小の電圧を複数回、発生する。その後に、不審者SUは、逃走を図る。このため、図10Bに示すように、不審者SUの移動の速度が大きくなる。さらに、踏み込む圧力が増加し、発電量が増加する。もしくは、不審者SUの歩幅が大きくなることで、例えば、2つのブロックBL毎のように間欠的に電圧波形が得られる。
図10Dは、蓄電素子130に蓄電される蓄電量の変化の一例を示す。不審者SUがドアD1やドアD2付近にいる場合は、発電素子が発電する発電量は微小である。このため、蓄電素子130に蓄電される蓄電量が低下する。不審者SUが歩行や走行している間は、蓄電量が増加する。
このように、ユーザUの移動にともなって、ブロックBLmに配される発電素子が発電する発電量と、不審者SUの移動にともなって、ブロックBLmに配される発電素子が発電する発電量とが相違する。ブロックBLnに配される発電素子についても同様である。このため、ブロックBLmに配される発電素子やブロックBLnに配される発電素子の発電量を監視することで、あるユーザが不審者であるか否かの判断を行うことができる。ブロックBLmおよびブロックBLnに配される発電素子が発電する発電量が、他の発電素子が発電する発電量に比べて微小であれば、不審者である可能性が高いと判断してもよい。
発電量に限らず、電圧波形そのものを監視してもよい。例えば、ブロックBLmやブロックBLnに配される発電素子が発電した際の電圧波形が、微小なレベルの複数の電圧波形である場合には、不審者である可能性が高いと判断してもよい。さらに、第1の実施形態で説明した動線のパターンによる判断と組み合わせてもよい。例えば、動線のパターンが正常のパターンと相違し、かつ、ブロックBLmに配される発電素子が発電する発電量が、他の発電素子が発電する発電量に比べて微小であれば、不審者である可能性が高いと判断してもよい。
あるブロックBLの発電素子の電圧波形が検出されたタイミングから、次のブロックBLの発電素子の電圧波形が検出されたタイミングまでの時間間隔を発電情報としてもよい。この時間間隔が短いことは、発電床1上を走っていることを意味する。通常、発電床1を走ることは稀である。電圧波形が検出されるタイミング間の時間間隔が短い場合には、不審者である可能性が高いと判断するようにしてもよい。
なお、例えば、警備員が各ドアの施錠を確認する場合に、警備員の動線のパターンが実線7で示す動線のパターンと類似することが有り得る。このため、警備員が巡回する所定の時間帯に、実線7で示す動線のパターンが検出された場合には、不審者ではないと判断するようにしてもよい。時間情報を取得するために、判別装置100や外部装置200がRTC(Real Time Clock)を有する構成としてもよい。
さらに、セキュリティセンタなどの外部装置200が演算部160の機能を有するようにしてもよい。正常な動線のパターンが外部装置200に記憶されてもよい。そして、外部装置200を判別装置として構成してもよい。
例えば、発電素子が発電すると、制御部150は、発電した発電素子の位置情報をデジタル化する。デジタル化された複数の位置情報に対して、通信部170による変調処理等が施される。変調処理等が施された複数の位置情報が、例えば、時分割多重されて外部装置200に送信される。
発電素子の位置情報が外部装置200により受信される。受信された位置情報に対して、通信部240による復調処理等が施される。復調処理等が施された複数の位置情報がバス250を介して制御部210に供給される。制御部210は、複数の位置情報に基づいて動線のパターンを取得する。そして、メモリ220に記憶された正常な動線のパターンとの比較を行う。すなわち、制御部210は、演算部160と同様の処理を行う。このように、異常の有無の判別を外部装置200が行うようにしてもよい。外部装置200が異常の有無の判別をすることで、判別装置100における消費電力を低減できる。
判別装置100から送信される異常報知信号を外部装置200が受信した場合に、外部装置200において警報やサイレンなどを鳴動させてもよい。警報やサイレンなどを鳴動させるための、音声出力装置が外部装置200に設けられてもよい。音声出力装置は、例えば、音声インタフェースやアンプなどの構成を含むスピーカによって構成される。
第1の実施形態は、不審者の侵入を判別することに限定されることなく、他のシステムへの転用も可能である。例えば、老人が居住する家屋に発電床1を敷設してもよい。例えば、所定の時間(例えば、数時間程度)発電床1の発電素子が発電しない場合に、老人の安否を確認する処理を行うようにしてもよい。さらに、例えば、熱による発電を利用した場合に、対象者の体温に異常があるかどうかや、対象者が熱源を有しているかどうかを判定してもよい。前者であれば、疾病などの感染ルートの特定や疾病者の入室を管理することができる。さらには、疾病者から正常者への空気感染を防止するために、気流や空調コントロールシステムを適切に制御することができる。後者であれば、反応性ガスが充満するエリアなどの危険度が高いエリアに、熱源を有する対象者が入室しないように管理することができる。電磁波による発電を利用した場合は、例えば、電磁波による影響が深刻な医療現場などにおいて、注意を喚起する処理を行うことができる。
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、異常を判別する処理の一例として、不審者の有無を判別するようにした。第2の実施形態では、異常を判別する処理を、ユーザに生じるトラブルの有無を判別する処理として説明する。ユーザに生じるトラブルとは、ユーザの突発的な体調の不良や、ユーザが不審者に遭遇する、ユーザが交通事故に遭遇する等である。
「携帯端末の概要」
図11は、判別装置の一例である携帯端末の一例を示す。携帯端末300は、例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット型のコンピュータなどである。携帯端末300は、例えば、ユーザの体表面に接触するようにして携帯される。携帯端末300には、例えば、振動による変位により発電する発電部301、ユーザの心拍を検知する心拍センサ302、ユーザの発汗を検知する発汗センサ303が内蔵される。
なお、心拍センサ302や発汗センサ303は、携帯端末300に内蔵されなくてもよい。心拍センサ302や発汗センサ303が、携帯端末300とは独立してユーザの身体に取り付けられてもよい。心拍センサ302や発汗センサ303によって取得されるセンサ情報が、無線による通信や有線による通信、人体による通信を介して、携帯端末300に供給されるようにしてもよい。
発電部301は、例えば、棒状の圧電素子301a(圧電素子の電圧を検出する電極を含む)を有する。圧電素子301aは、例えば、一端が固定された片持ち梁とされる。圧電素子301aの自由端には錘301bが取り付けられている。錘301bは、携帯端末300の振動に応じて、水平または垂直方向に振動する。錘301bが振動することにより圧電素子301aが変位し、圧電素子301aが発電する。
「携帯端末の構成の一例」
図12は、携帯端末300の主要な構成の一例を示す。携帯端末300は、後述するように外部装置400等と通信を行うことができる。外部装置400は、ホストセンタやセキュリティセンタなどである。携帯端末300は、発電部301を有する。発電部301は、例えば、圧電素子(モノモルフ型、バイモルフ型、積層型など)により構成される。
発電部301は、圧電素子に限定されることはない。発電部301は、例えば、磁歪素子、ユーザの体表面の温度変化などで発電する熱電変換素子(ゼーベック効果やスピンゼーベック効果を利用するものなど)、焦電素子、熱電子発電素子や外燃機関(熱音響発電やスターリングエンジン発電)、ユーザが携行している電子機器が発する電磁波でもよい。外部と通信を行う装置が発する電磁波により発電する発電機構としてはレクテナ、電磁誘導、磁界共鳴などを利用する発電機などでもよい。発電素子が、これらの1種以上の組み合わされたハイブリッドタイプの発電素子であってもよい。ユーザの動作により発電する発電機構としては、電磁誘導現象やエレクトレットなどを利用する発電機が挙げられる。発電部301が、発電素子と機械的機構との組み合わせによる発電モジュールとして構成されていてもよい。
携帯端末300は、さらに、整流回路306、蓄電素子307および定電圧回路308を含む構成とされる。例えば、整流回路306、蓄電素子307および定電圧回路308により、電源部が構成される。携帯端末300は、制御部309、演算部310、通信部311およびアンテナ312を含む構成とされる。
携帯端末300は、ユーザの身体の状況を検出するセンサとして、心拍センサ302および発汗センサ303を有する。心拍センサ302は、携帯端末300のユーザの心拍数を取得する。発汗センサ303は、携帯端末300のユーザの発汗量を取得する。これらのセンサから得られるセンサ情報をモニタリングすることで、例えば、ユーザの健康を管理するために携帯端末300を使用することができる。
心拍センサ302により取得される心拍数が異常である場合は、例えば、ユーザが驚愕している等の不安定な心理状態である。発汗センサ303の数値が異常である場合は、例えば、ユーザが冷や汗をかいている状態なと、ユーザの体調や心理状態が平穏でない状態が想定される。
携帯端末300は、携帯端末300の位置を取得するGPS(Global Positioning System)センサ304や携帯端末の進行方向を検知する地磁気センサ305を有する。携帯端末300が、加速度センサやジャイロセンサを有する構成としてもよい。加速度センサやジャイロセンサを使用して、ユーザの動作状態を検出してもよい。GPSセンサ304によって取得された携帯端末300の位置情報は、例えば、周期的に外部装置400に送信される。
心拍センサ302、発汗センサ303、GPSセンサ304および地磁気センサ305を適宜、センサ部と総称する。なお、例示されたセンサを携帯端末300が全て有する必要はない。例示されたセンサのうち、一部のセンサを携帯端末300が有する構成としてもよい。
携帯端末300の構成は一例であり、図示した構成に限定されるものではない。例えば、携帯端末300が、警報音やサイレン、救援信号(SOS)を出力するスピーカ等の音声出力装置などを有する構成としてもよい。携帯端末300に、脳波を測定するセンサなどが設けられてもよい。なお、図12では、表示部や操作部などの一部の構成に関する図示を適宜、省略している。
整流回路306は、発電部301で発生された電圧を整流する回路である。整流回路306は、例えば、ダイオードやダイオードブリッジから構成される。
蓄電素子307は、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、ポリアセン系有機半導体(Polyacenic Semiconductor(PAS))キャパシタ、ナノゲートキャパシタ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、タンタルコンデンサなどである。蓄電素子307は、整流回路306から出力される直流電圧により蓄電する。
定電圧回路308は、蓄電素子307の出力電圧を所定の電圧に変換して、出力電圧を安定させる回路である。定電圧回路308からの出力電圧が、例えば、制御部309、演算部310、通信部311およびセンサ部に供給される。
発電部301が発電した電力を蓄電し、蓄電した電力を携帯端末300の各部に対して供給することができる。このため、例えば、携帯端末300を動作させるための電池等の電源を不要とすることができ、電池の交換や電池の充電を行う必要がない。なお、本開示は、電池の使用を絶対的に排除するものではない。電池を使用した場合でも、携帯端末300の各部に対して発電部301からの電力を供給することで、電池の消耗や電池の劣化を抑制できる。
制御部309は、例えば、CPUから構成され、携帯端末300の各部を制御する。制御部309には、発電部301からの発電情報が供給される。また、制御部309には、センサ部からのセンサ情報が供給される。制御部309は、発電情報やセンサ情報を、演算部310に供給する。発電情報やセンサ情報が、制御部309によりデジタル化されてもよい。
演算部310は、発電部301の発電情報およびセンサ情報を使用して、例えば、ユーザの突発的な体調の不良を検出する。発電情報およびセンサ情報のいずれか一方を使用してユーザの突発的な体調の不良を検出してもよい。例えば、素子を通過する熱量にて発電する発電部の発電量により、代謝熱量をモニタしてもよい。さらに、精度よく検出を行うために発電情報およびセンサ情報を使用してもよい。
演算部310にはメモリ(図示は省略している)が接続されている。メモリに、ユーザが正常な状態での心拍数の範囲や発汗量のパターンが記憶される。演算部310は、心拍センサ302等からのセンサ情報を正常なパターンと比較する。さらに、発電部301の発電情報を使用して、突発的な体調の不良が発生したか否かを判別する。なお、演算部310の機能が制御部309に組み込まれていてもよい。
通信部311は、携帯端末300と外部装置400等との間の通信を行うためのインタフェースである。通信部311によってなされる通信は、有線または無線のいずれの通信でもよく、人体等の媒体を介した通信でもよい。
無線の方式による通信としては、例えば、赤外線を用いた通信や、短距離低消費電力型のANT規格による通信、「Z−Wave」規格による通信、「Zigbee」規格による通信、「Bluetooth Low Energ」規格による通信、ネットワーク形成が容易な「Wi Fi」による通信などを利用することができるが、これらに限定されるものではない。
通信部311は、データを所定の方式で変調したり、受信したデータを復調する処理を行う。通信部311によって処理を施されたデータがアンテナ312を介して外部装置400等へ送信される。外部装置400から送信されたデータが、アンテナ312によって受信される。受信されたデータに対して、通信部311による復調処理やエラー訂正処理等の処理が行われる。
携帯端末300から外部装置400へ、例えば、ユーザにトラブルが生じたことを示す緊急信号が送信される。緊急信号の送信先は、外部装置400に限定されることはない。例えば、予め登録された携帯端末に対して、緊急信号が送信されるようにしてもよい。外部装置400等は、緊急信号を受信すると、例えば、携帯端末300に対して発信を行い、ユーザの安否を確認する。ユーザの安否の確認が取れない場合には、携帯端末300から送信される位置情報に対応する場所へ警備員等を派遣するなどの異常対応処理が行われる。
「外部装置の構成の一例」
外部装置400は、例えば、セキュリティセンタである。外部装置400は、ホストセンタや病院などでもよい。外部装置400は、携帯端末でもよい。携帯端末は、例えば、警備会社の警備員などによって所持される。外部装置400は、例えば、制御部410、メモリ420、表示部430および通信部440を含む構成とされる。これらの各部は、バス450を介して接続されている。通信部440は、アンテナ460と接続されている。
制御部410は、例えば、CPUで構成され、外部装置400の各部を制御する。メモリ420は、例えば、制御部410のワークエリアとして使用される。メモリ420に、制御部410によって実行されるプログラムや表示部430に表示するための表示データが記憶されてもよい。
表示部430は、例えば、LCDなどの表示パネルと、表示パネルを駆動するためのドライバを含む。表示部430の表示パネルは、比較的、大型とされる。表示部430には、例えば、地図データに基づく地図が表示され、携帯端末300などの位置や、巡回中の警備員の位置などが表示される。
通信部440は、データを所定の方式で変調したり、受信したデータを復調する処理を行う。通信部440によって処理を施されたデータがアンテナ460を介して他の装置へ送信される。例えば、携帯端末300や警備員が有する端末に対して、データが送信される。携帯端末300から送信されたデータが、アンテナ460によって受信される。例えば、携帯端末300から送信された緊急信号や携帯端末の位置情報がアンテナ460で受信される。受信された緊急信号や位置情報に対して、通信部440による復調処理やエラー訂正処理等の処理が行われる。外部装置400は、携帯端末300から送信される位置情報に基づいて、携帯端末300が存在する位置を取得できる。
外部装置400が、時間情報を取得するためのRTCを有する構成としてもよい。外部装置400が、音声インタフェース、アンプ、スピーカ等を含む音声出力装置を有する構成としてもよい。このように、外部装置400の構成は適宜、変更することができる。
外部装置400は、携帯端末300からの緊急信号を受信すると、異常対応処理を行う。異常対応処理は、例えば、携帯端末300に対して発信を行い、携帯端末300のユーザの安否を確認する。携帯端末300のユーザの安全が確認できない場合には、携帯端末300の位置情報に対応する場所へ警備員や医師を派遣する等の処理を行う。
「携帯端末の処理の一例」
携帯端末300の処理の一例について説明する。始めに、携帯端末300のユーザの体調が、突然、悪化する場合を判別する処理について説明する。なお、演算部310が有するメモリには、予め、ユーザが健康な状態(正常な状態)における心拍数および発汗量のデータが記憶されている。心拍数や発汗量は、ユーザによって設定されてもよく、携帯端末300が学習することで設定されるようにしてもよい。
図13に示すフローチャートを参照して、処理の流れの一例を説明する。携帯端末300がユーザに携帯され、携帯端末300の心拍センサ302によってユーザの心拍数が検出される。さらに、発汗センサ303によって、ユーザの発汗量が検出される。心拍数および発汗量を示すデータは、リアルタイムに制御部309に供給される。制御部309は、心拍数および発汗量を示すデータを例えば、デジタル信号に変換する。心拍数および発汗量を示すデータが演算部310によってモニタリングされる(ステップS10)。
発電部301は、携帯端末300の振動に応じて発電する。発電部301が発電することで生じる電圧波形が制御部309に供給される。制御部309は、供給された電圧波形を例えば、デジタル化する。動きを示すデータの一例であるデジタル化された電圧データが、演算部310に供給される。演算部310は、心拍数および発汗量を示すデータとともに、電圧データをモニタリングする(ステップS10)。なお、GPSセンサ304によって検出される携帯端末300の位置情報が、外部装置400に対して周期的に送信される。
演算部310は、心拍数および発汗量の正常範囲の数値をメモリから読み出す。そして、制御部309から供給される心拍数および発汗量のデータが正常範囲の数値であるか否かを判断する(ステップS11)。例えば、心拍数および発汗量のデータが正常範囲の数値でない場合には、電圧データが存在するか否かを判断する。ここで、携帯端末300が振動しない場合、すなわち、ユーザの動きがない場合には、電圧データは略検出されなくなる。心拍数および発汗量のデータが正常範囲の数値でなく、かつ、電圧データが存在しない場合は、演算部310は、携帯端末300のユーザの体調が正常でないと判断し、異常があると判断する(ステップS12)。
異常があると判断されると、携帯端末300は異常対応処理を行う(ステップS14)。例えば、携帯端末300の制御部309によって所定のフォーマットの緊急信号が生成され、緊急信号が通信部311およびアンテナ312を介して、外部装置400等に送信される。外部装置400は、緊急信号に応じて異常対応処理を行う。例えば、携帯端末300に発信し、携帯端末300のユーザの安否を確認する。ユーザの安否が確認できない場合には、例えば、携帯端末300から送信される位置情報に対応する場所に医師や警備員を派遣する処理を行う。外部装置400によって行われる異常対応処理の全てが自動で行われてもよく、一部の処理が人為的に行われてもよい。
異常がないと判断されると、演算部310のメモリの内容が適宜、更新され(ステップS13)、心拍数等のモニタリングが再度、なされる。
このように、心拍数や発汗量が正常でなく、ユーザの動きがほとんどない場合に、ユーザに突発的な体調の不良が発生したものと判断する。このような場合に、ユーザ自身が何らかの操作を行わなくても、緊急信号を外部装置400に送信できる。なお、携帯端末300によって行われる異常対応処理は、緊急信号を送信する処理に限られない。例えば、携帯端末300から救助を求める音声を再生し、周囲に救助を求める処理が行われるようにしてもよい。
なお、所定の時間(例えば、10分程度)、電圧データが観測されない場合に、心拍数や発汗量が正常範囲の数値であるか否かの判断がなされるようにしてもよい。センサ情報と発電情報を併用した判断を行うことで、ユーザの異常を判断する処理の精度を向上させることができる。
「第2の実施形態の変形例」
第2の実施形態は、例えば、以下のように変形できる。例えば、センサ情報として、GPSセンサ304によって取得される位置情報や、地磁気センサ305の情報を使用してもよい。なお、センサ情報には、各センサから供給される情報そのものでもよく、各センサから供給される情報に対して所定の演算がなされることで得られる情報でもよい。
演算部310は、例えば、発電部301が発電する間隔が短いと、ユーザが走行していると判別する。演算部310は、地磁気センサ305により取得されるセンサ情報から、ユーザの進行方向の変化を取得する。演算部310は、例えば、ユーザが走行中または頻繁に進行方向の変化が激しい状態であり、かつ、心拍数および発汗量の少なくとも一方が異常を示す場合には、ユーザが不審者に遭遇し、不審者を避けるための退避行動をとっていると判断する。このような場合に、携帯端末300は、防犯用のブザーを鳴らしたり、緊急信号を送信するようにしてもよい。なお、異常の有無を判別する際の発電情報やセンサ情報の組合せは、適宜、変更することができる。
ユーザに対して生じるトラブルとして、ユーザが交通事故に遭遇した場合の例について、図14に示すフローチャートを参照して説明する。携帯端末300において、GPSセンサ304によって取得される情報から、ユーザの位置情報の変化がわかり、変化の度合いからユーザの速度の変化に関する情報が取得される。さらに、地磁気センサ305によって取得される情報からユーザの進行方向の変化に関する情報が取得される。ユーザの速度の変化に関する情報およびユーザの進行方向の変化に関する情報がユーザの動きに関する情報として取得される。なお、演算部310が有するメモリには、動きの情報に関する正常範囲の数値が記憶される。
動きに関する情報、心拍数および発汗量が演算部310によってモニタリングされる(ステップS20)。そして、正常範囲の数値との比較が行われる(ステップS21)。ここで、例えば、速度の変化および進行方向の変化の少なくとも一方が正常範囲でなく、かつ、心拍数および発汗量の少なくとも一方が正常範囲でない場合には、ユーザに異常が生じたと判断される(ステップS22)。なお、異常を判断するために、速度の変化等のパラメータをどのように組み合わせるかについては適宜、変更できる。異常があると判断されると、緊急信号を送信する処理や、周囲に救助を求める音声を再生する等の異常対応処理が行われる(ステップS26)。
ステップS22において、ユーザに異常がない場合は、発電部301が発電することによって生じる電圧波形の最大レベルが、演算部310によって計測される。電圧波形の最大レベルが閾値より大きいか否かの判断が行われる(ステップS23)。電圧波形の最大レベルが所定の閾値以下であるは、演算部310のメモリの内容が適宜、更新される(ステップS25)。そして、動きに関する情報等に対するモニタリングがなされる(ステップS20)。
電圧波形の最大レベルが閾値より大きい場合は、処理がステップS24に進む。ここで、電圧波形の最大レベルが閾値より大きいことは、携帯端末300を携帯するユーザに対して強い衝撃が加わったことを示す。例えば、ユーザに対して自動車や自転車などが衝突したことが想定される。なお、発電部301に対して所定のレベルの衝突が印加される実験などが予め行われ、実験の結果などに応じて閾値が適切に決定される。
発電部301が無発電状態になったか否かが判断される(ステップS24)。無発電状態とは、発電部301が発電しない状態、または、発電部301が微小のレベルの発電しかしない場合を含む意味である。無発電状態でなければ、メモリの内容が適宜、更新される(ステップS25)。発電部301が無発電状態の場合は、異常対応処理が行われる(ステップS26)。
ステップS23の判断の結果が肯定であることから、ユーザに対して強い衝撃が加わったことが想定される。さらに、ステップS24の判断の結果が肯定であることから、携帯端末300がほとんど振動しない、すなわち、ユーザがほぼ動かない状態になったことが想定される。以上から、演算部310は、ユーザが交通事故に遭遇したり、階段から落下したこと等によってダメージを受け、動けない状態であると判断する。
このような場合に、例えば、周囲に救助を求める音声を再生したり、外部装置400に救助信号を送信する等の異常対応処理が行われる(ステップS26)。交通事故に遭遇したり、階段から落下した等によりユーザが動けない状態になっても、周囲や外部装置400に自動で救助を求めることができる。
なお、ステップS23の処理において、電圧波形の最大レベルの変化量を観測してもよい。電圧波形の最大レベルの変化量が所定の閾値を超える場合には、電圧波形の最大レベルが瞬時に増加したことを示す。このような場合には、携帯端末300を携帯するユーザに大きな衝撃が加わったものと判断してもよい。
センサとして、他のセンサを使用してもよい。例えば、体温センサを使用してもよい。例えば、体温センサによって高い体温が取得される場合には、ユーザが激しく動いていると判断してもよい。さらに、体温センサによって、通常の体温より低い体温が取得される場合には、ユーザの体温が低下し、ユーザの体調に異常が生じたものと判断してもよい。また、ここでの体調の異常には、ストレスなどの心因性の正常および異常の判定も含まれる。
携帯端末300の心拍センサ302等から得られるセンサ情報の履歴を記憶するようにしてもよい。携帯端末300を、適切な運動量を報知する機器や体調管理のための機器として使用してもよい。さらに、無発電状態が一定時間、継続した場合に、異常対応処理が行われるようにしてもよい。
携帯端末300が、発電情報およびセンサ情報を外部装置400に送信してもよい。外部装置400が発電情報およびセンサ情報を使用して、携帯端末300のユーザに生じる異常を判別するようにしてもよい。外部装置400を判別装置として機能させることができる。
<3.第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、自動車等の車両に生じた異常を判別する例である。
「第3の実施形態の概要」
図15を使用して、第3の実施形態の概要について説明する。図15Aに示すように、道路上を車両Cが走行する。道路の所定の場所には、壁部Wが立設されている。車両Cのドライバの運転ミス等によって、車両Cが壁部Wに衝突することを想定する。
図15Bは、車両Cの速度を示す。例えば、車両Cが略一定の速度で走行する。ここで、車両Cが壁部Wに衝突し事故を起こした場合には車両Cの走行が不可能となり、車両Cの速度が略0になる。
図15Cは、車両Cが有する発電部の発電量または発電部の検出出力を示す。車両Cの走行に伴う振動に応じて、発電部が略一定のレベルで発電する。車両Cが壁部Wに衝突すると、衝突に伴う大きな衝撃によって車両Cの発電部の発電量が瞬間的に増加する。衝突後は、車両Cは停止した状態となるため、車両Cの発電部が発電する発電量は略0になる。
図15Dは、車両Cが有する蓄電素子の蓄電量を示す。車両Cが走行することに応じて発電部が発電し、蓄電素子が蓄電される。蓄電素子の蓄電量は、例えば、略リニアに増加する。発電部の発電量は、車両Cの衝突時に瞬間的に増加する。このため、蓄電素子の蓄電量も増加する。なお、車両Cが壁部Wに衝突した後は、蓄電量は略変化しないが、蓄電素子が放電されることで蓄電量が減少することもあり得る。
「車載装置の構成の一例」
図16は、判別装置の一例である車載装置の主要な構成の一例を示す。車載装置500は、例えば、上述した車両Cに搭載される装置である。車載装置500は、後述するように外部装置600等と通信を行うことができる。外部装置600は、交通管理センタやセキュリティセンタなどである。外部装置600は、携帯端末でもよい。
車載装置500は、発電部501を有する。発電部501は、例えば、圧電素子(モノモルフ型、バイモルフ型、積層型など)により構成され、車両Cの走行に伴う振動に応じて発電する。
発電部501は、圧電素子に限定されることはない。発電部501は、例えば、磁歪素子、車両Cの車体表面・排気系統・冷却系統、エンジンルームなどの温度差や温度変化などで発電する熱電変換素子(ゼーベック効果やスピンゼーベック効果を利用するものなど)、焦電素子、熱電子発電素子や外燃機関(熱音響発電やスターリングエンジン発電)、電子機器や各可動部が発する電磁波でもよい。外部と通信を行う装置が発する電磁波により発電する発電機構としてはレクテナ、電磁誘導、磁界共鳴などを利用する発電機などでもよい。発電素子が、これらの1種以上の組み合わされたハイブリッドタイプの発電素子であってもよい。ユーザの動作により発電する発電機構としては、電磁誘導現象やエレクトレットなどを利用する発電機が挙げられる。発電部501が、発電素子と機械的機構との組み合わせによる発電モジュールとして構成されていてもよい。
発電部501は、例えば、車両Cのサスペンションの近傍に取り付けられる。サスペンションに伝達される振動によって発電部501が振動し、発電する。発電部501は、車両Cの走行に応じて発生する振動周波数と略一致する共振周波数を有するように、その長さや形状、重量が規定される。さらに、発電部501が取り付けられる位置における振動周波数を考慮して、発電部501の共振周波数が調整される。例えば、サスペンションのバネ上に発電部501が取り付けられる場合と、サスペンションのバネ下の車軸等に発電部501が取り付けられる場合とでは、振動周波数が異なる。取り付け場所の振動周波数の違いを考慮して、発電部501の共振周波数が適切に設定される。
車載装置500は、さらに、整流回路502、蓄電素子503および定電圧回路504を含む構成とされる。例えば、整流回路502、蓄電素子503および定電圧回路504により、電源部が構成される。車載装置500は、制御部505、演算部506、通信部507およびアンテナ508を含む構成とされる。
車載装置500は、車両Cの状況を検出するセンサとして、例えば、GPSセンサ509、加速度センサ510、角速度センサ511および地磁気センサ512を有する。車載装置500が、例示されたセンサを全て有する必要はない。例示されたセンサのうち、一部のセンサを車載装置500が有する構成としてもよい。
GPSセンサ509は、車両Cの位置情報を取得する。加速度センサ510は、車両Cに作用する力等により車両Cの加速度を取得する。角速度センサ(ジャイロセンサ)511は、車両Cの初期方向からの姿勢の変化を取得する。地磁気センサ512は、車両Cの進行方向を取得する。これらのセンサによって取得されるセンサ情報が制御部505に供給される。なお、GPSセンサ509、加速度センサ510、角速度センサ511、地磁気センサ512を適宜、センサ部と総称することがある。
整流回路502は、発電部501で発生された電圧を整流する回路である。整流回路502は、例えば、ダイオードやダイオードブリッジから構成される。
蓄電素子503は、例えば、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、ポリアセン系有機半導体(Polyacenic Semiconductor(PAS))キャパシタ、ナノゲートキャパシタ、セラミックコンデンサ、フィルムコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、タンタルコンデンサなどである。蓄電素子503は、整流回路502から出力される直流電圧により蓄電する。
定電圧回路504は、蓄電素子503の出力電圧を所定の電圧に変換して、出力電圧を安定させる回路である。定電圧回路504からの出力電圧が、例えば、制御部505、演算部506、通信部507およびセンサ部に供給される。
発電部501が発電した電力を蓄電し、蓄電した電力を車載装置500の各部に対して供給することができる。このため、例えば、車載装置500を動作させるための電池を不要とすることができ、電池の交換や電池の充電を行う必要がない。なお、本開示は、電池の使用を絶対的に排除するものではない。車載装置500では、実際上は、充電可能な二次電池が使用される。しかしながら、電池を使用した場合でも、車載装置500の各部に対して発電部501からの電力が供給されるため、電池の消耗や電池の劣化を抑制できる。
制御部505は、例えば、CPUによって構成され、車載装置500の各部を制御する。制御部505は、車載装置500の各部と、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を行うことでデータやコマンドのやり取りを行う。制御部505には、発電部501からの発電情報が供給される。また、制御部505には、センサ部からのセンサ情報が供給される。制御部505は、発電情報やセンサ情報を、適宜、デジタル信号に変換し、デジタル化された発電情報やセンサ情報を演算部506に供給する。
演算部506は、発電部501から供給される発電情報を使用して、例えば、車両Cが事故を起こしたか否かを判断する。車両Cが事故を起こしたと判断すると、車両Cが事故を起こしたことを示す通知信号を生成する。演算部506は、生成した通知信号を制御部505に供給する。なお、演算部506の機能が制御部505に組み込まれていてもよい。
通信部507は、車載装置500と外部装置600等との間の通信を行うためのインタフェースである。通信部507によってなされる通信は、例えば、無線を使用して行われる。無線の方式による通信としては、例えば、赤外線を用いた通信や、短距離低消費電力型のANT規格による通信、「Z−Wave」規格による通信、「Zigbee」規格による通信、「Bluetooth Low Energ」規格による通信、ネットワーク形成が容易な「Wi Fi」による通信などを利用することができる。もちろん、これらの規格や方式に基づく通信に限定されるものではない。
通信部507は、データを所定の方式で変調したり、受信したデータを復調する処理を行う。通信部507によって処理を施されたデータがアンテナ508を介して外部装置600等へ送信される。外部装置600から送信されたデータが、アンテナ508によって受信される。受信されたデータに対して、通信部507による復調処理やエラー訂正処理等の処理が行われる。
車載装置500の構成は一例であり、図示した構成に限定されるものではない。なお、図16では、例えば、カーオーディオやカーナビゲーションに係る構成や、ハンドル、レバーなどの操作に係る構成などの図示を適宜、省略している。
車載装置500の演算部506は、発電部501の発電情報に応じて、車両Cが事故を起こしたか否かを判断する。車両Cが事故を起こしたと判断されると、演算部506は通知信号を制御部505に供給する。制御部505は、通知信号に応じて緊急信号を生成する。制御部505は、緊急信号を通信部507およびアンテナ508を介して外部装置600に送信する。
「外部装置の構成の一例」
外部装置600は、例えば、セキュリティセンタや交通管理センタである。外部装置600は、警察署などでもよい。外部装置600は、携帯端末でもよい。携帯端末は、例えば、車載装置500によって予め登録された端末である。外部装置600は、例えば、制御部610、メモリ620、表示部630および通信部640を含む構成とされる。これらの各部は、バス650を介して接続されている。通信部640は、アンテナ660と接続されている。
制御部610は、例えば、CPUで構成され、外部装置600の各部を制御する。メモリ620は、例えば、制御部610のワークエリアとして使用される。メモリ620に、制御部610によって実行されるプログラムや表示部630に表示するための表示データが記憶されてもよい。
表示部630は、例えば、LCDなどの表示パネルと、表示パネルを駆動するためのドライバを含む。表示部630の表示パネルは、比較的、大型とされる。表示部630には、例えば、地図データに基づく地図が表示される。地図には、車両C等が存在する位置が重畳されて表示される。
通信部640は、データを所定の方式で変調したり、受信したデータを復調する処理を行う。通信部640によって処理を施されたデータがアンテナ660を介して他の装置へ送信される。例えば、車載装置500に対して、データが送信される。車載装置500から送信されたデータが、アンテナ660によって受信される。例えば、車載装置500から送信された緊急信号や車載装置500の位置情報がアンテナ660で受信される。受信された緊急信号や位置情報に対して、通信部640による復調処理やエラー訂正処理等の処理が行われる。外部装置600は、車載装置500から送信される位置情報に基づいて、車載装置500が存在する位置を取得できる。
外部装置600が、時間情報を取得するためのRTCを有する構成としてもよい。音声インタフェース、アンプ、スピーカ等を含む音声出力装置を有する構成としてもよい。このように、外部装置600の構成は適宜、変更することができる。
外部装置600は、車載装置500からの緊急信号を受信すると、異常対応処理を行う。異常対応処理は、車載装置500の位置情報に対応する場所へ交通管理員等を派遣する処理や、車載装置500の位置情報に対応する場所で事故が生じたことを放送等によって他のユーザに知らせる処理である。
「車載装置の処理の一例」
図17のフローチャートを参照して、車載装置500の処理の一例について説明する。車両Cが走行を開始する(ステップS30)。車両Cが走行することに応じて、車両Cが振動する。車両Cの振動に応じて発電部501が発電する。発電部501が発電することで生成される電圧波形が制御部505に供給される。制御部505は、電圧波形を例えばデジタル信号に変換する。デジタル信号に変換された電圧波形が演算部506に供給される。
なお、例えば、GPSセンサ509により取得された車両Cの位置情報は、制御部5050、通信部507およびアンテナ508を介して外部装置600に送信される。車両Cの位置情報は、例えば、周期的(例えば、1分間隔)に外部装置600に送信される。
演算部506は、電圧波形に基づいて発電部501の発電量を取得し、発電量をモニタリングする(ステップS31)。通常の走行では、発電部501の発電量は略一定である。
演算部506は、発電量に変化があるか否かを判断する(ステップS32)。変化がない場合には、発電量をモニタリングする処理が継続される(ステップS31)。発電量の変化がある場合は、発電量の変化が閾値より大きいか否かが判断される(ステップS33)。閾値は、例えば、以下のようにして設定される。車両Cが壁部W等に衝突したときの衝撃のレベルと略同レベルの衝撃を与えたときの、発電部501の発電量を測定する。このときの発電量と、車両Cの通常の走行時における発電部501の発電量の差を閾値として設定する。
発電量の変化が閾値以下である場合には、発電量をモニタリングする処理が継続される(ステップS31)。例えば、車両Cが信号によって停止した場合などは、発電量が略0になる。しかしながら、例えば、上述したように閾値を設定することで、通常の発電量が略0に変化した場合でも、その変化量は閾値より小さくすることができる。このため、車両Cが信号によって停止した場合に、誤って異常と判断されることを防止できる。
発電量の変化が閾値より大きい場合には、演算部506は、車両Cに対して強いレベルの衝撃が加わったと判断する。このような場合は、車両Cが壁部Wなどに衝突したことが想定されるが、危険を回避するために急ブレーキをかけられ、車両Cに対して大きな制動力が加わる場合にも起こり得る。このため、演算部506は、発電部501が無発電状態になったか否かを判断する(ステップS34)。無発電状態とは、発電部501の発電量が0または略0である状態を示す。
発電部501が無発電状態ではなく、発電する場合には、車両Cが再度、走行可能な状態になったと判断する。そして、発電部501の発電量が再度、モニタリングされる(ステップS31)。発電部501が無発電状態である場合には、車両Cが走行不能な状態になったと判断する。すなわち、車両Cに強いレベルの衝撃が加わり、かつ、車両Cが走行不能な状態になったことから、演算部506は、車両Cが事故にあったものと判断する。そして、車載装置500における異常対応処理が行われる(ステップS35)。
異常対応処理は、例えば、外部装置600に事故を起こしたことを報知する処理である。例えば、演算部506は、車両Cが事故にあったものと判断すると、その旨を制御部505に通知する。制御部505は、この通知に応じて事故発生信号を生成する。事故発生信号が通信部507およびアンテナ508を介して、外部装置600に送信される。
外部装置600は、事故発生信号に応じて、外部装置600における異常対応処理を行う。例えば、車載装置500から送信される位置情報に基づいて、車載装置500が存在する場所を特定する。車載装置500が存在する場所に警察官や警備員を派遣する処理が行われる。異常対応処理として他の処理が行われてもよい。
例えば、車載装置500が存在する場所で事故が生じたことを、他の車両のドライバに報知するようにしてもよい。例えば、放送やナビゲーションシステムを利用して、他の車両のドライバに対する報知がなされる。予め登録された、車載装置500のユーザの携帯電話等に発信がなされ、ユーザの安否の確認がなされるようにしてもよい。
「第3の実施形態の変形例」
第3の実施形態は、例えば、以下のような変形が可能である。例えば、車載装置500から外部装置600に対して事故発生信号を送信する際に、GPSセンサ509により取得される車載装置500の位置情報を送信してもよい。さらに、加速度センサ510などの他のセンサによって取得されるセンサ情報が外部装置600に送信されるようにしてもよい。
発電部501の発電量ではなく、発電の最大レベルをモニタリングするようにしてもよい。最大レベルが所定のレベルを上回る場合に、車両Cに大きな衝撃が加わったと判断するようにしてもよい。
車載装置500から外部装置600に対して、リアルタイムもしくは周期的に、発電部501の発電量を示す情報を送信してもよい。そして、外部装置600によって、車両Cが事故などに遭遇したか否かを判断してもよい。外部装置600を判別装置として構成できる。
<4.変形例>
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限られることなく、種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
位置情報を取得する方法は、GPSセンサによって取得される位置情報を使用する方法に限られない。例えば、携帯電話等の基地局や無線LAN(Local Area Network)のホットスポット、長距離無線LANの基地局の位置情報を、携帯端末等のユーザの現在地としてもよい。無線LANの場合には、多くの登録アクセスポイント網を利用するPlace Engine(登録商標)のシステムを利用することができる。これらの情報とGPSセンサによって取得される位置情報とを併用し、携帯端末等のユーザの現在地を精度よく推定できる。
本開示は、不審者の有無やユーザの体調の不良等を判別するだけでなく、他の様々な異常の有無を判別する装置として、広く応用が可能である。
本開示は、装置のほか、方法や複数の装置からなるシステムとして実現することができる。さらに、本開示は、例示した処理が複数の装置によって分散して処理される、いわゆるクラウドシステムに対して適用することができる。例えば、例示した処理の全部または一部が行われるシステムであって、その全部または一部の処理のうち、一部の処理が行われる装置として構成することもできる。
なお、実施形態および変形例における構成および処理は一例であり、技術的矛盾が生じない範囲で適宜、構成等の追加、削除または変更することができる。さらに、実施形態および変形例において例示した構成、材料、通信の方式等は、技術的矛盾が生じない範囲で適宜、組み合わせることができる。
本開示は、以下の構成をとることもできる。
(1)
発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別部を有する判別装置。
(2)
複数の発電素子が接触部材に配されることにより、前記発電部が形成される(1)に記載の判別装置。
(3)
前記接触部材上の所定部分を移動体が移動することにより、前記所定部分に対応する前記発電素子が発電する(2)に記載の判別装置。
(4)
前記発電情報は、前記発電した前記発電素子の位置情報であり、
前記判別部は、
前記位置情報に応じて、前記異常の有無を判別する(3)に記載の判別装置。
(5)
前記発電情報は、前記発電した前記発電素子の発電量であり、
前記判別部は、
前記発電した前記発電素子の発電量に応じて、前記異常の有無を判別する(3)に記載の判別装置。
(6)
前記複数の発電素子が前記接触部材にマトリクス状に配される(2)〜(5)のいずれか1に記載の判別装置。
(7)
前記発電素子は、前記移動体の移動に伴って印加される圧力により発電する(3)〜(6)のいずれか1に記載の判別装置。
(8)
前記判別部は、
前記発電情報およびセンサ部からのセンサ情報に応じて、前記異常の有無を判別する(1)に記載の判別装置。
(9)
前記センサ情報は、ユーザの位置、ユーザの進行方向およびユーザの身体の状況の少なくとも一つを示す情報である(8)に記載の判別装置。
(10)
前記発電情報は、発電量の変化を示す情報であり、
前記判別部は、
前記発電量の変化が閾値より大きい場合に、前記異常が有ると判別する(1)に記載の判別装置。
(11)
移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
少なくとも、前記異常が有ると判別された場合に、前記位置情報を他の装置に送信する送信部と
を有する(10)に記載の判別装置。
(12)
前記発電部から前記判別部に対して電力が供給される(1)〜(11)のいずれか1に記載の判別装置。
(13)
前記判別部により前記異常が有ると判別された場合に、前記異常に対応する処理を行う処理部を有する(1)〜(12)のいずれか1に記載の判別装置。
(14)
前記発電部は、周囲の環境に存在するエネルギーに基づいて発電する(1)〜(13)のいずれか1に記載の判別装置。
(15)
発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別装置における判別方法。
(16)
周囲の環境に存在するエネルギーに基づいて発電する発電部と、
前記発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別部と
を有する判別システム。
1・・・発電床
100・・・判別装置
110・・・発電部
160・・・演算部
200・・・外部装置
300・・・携帯端末
301・・・発電部
302・・・心拍センサ
303・・・発汗センサ
304・・・GPSセンサ
305・・・地磁気センサ
310・・・演算部
400・・・外部装置
500・・・車載装置
501・・・発電部
506・・・演算部
509・・・GPSセンサ
600・・・外部装置
U・・・ユーザ
SU・・・不審者
C・・・車両
W・・・壁部

Claims (16)

  1. 発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別部を有する判別装置。
  2. 複数の発電素子が接触部材に配されることにより、前記発電部が形成される請求項1に記載の判別装置。
  3. 前記接触部材上の所定部分を移動体が移動することにより、前記所定部分に対応する前記発電素子が発電する請求項2に記載の判別装置。
  4. 前記発電情報は、前記発電した前記発電素子の位置情報であり、
    前記判別部は、
    前記位置情報に応じて、前記異常の有無を判別する請求項3に記載の判別装置。
  5. 前記発電情報は、前記発電した前記発電素子の発電量であり、
    前記判別部は、
    前記発電した前記発電素子の発電量に応じて、前記異常の有無を判別する請求項3に記載の判別装置。
  6. 前記複数の発電素子が前記接触部材にマトリクス状に配される請求項2に記載の判別装置。
  7. 前記発電素子は、前記移動体の移動に伴って印加される圧力により発電する請求項2に記載の判別装置。
  8. 前記判別部は、
    前記発電情報およびセンサ部からのセンサ情報に応じて、前記異常の有無を判別する請求項1に記載の判別装置。
  9. 前記センサ情報は、ユーザの位置、ユーザの進行方向およびユーザの身体の状況の少なくとも一つを示す情報である請求項8に記載の判別装置。
  10. 前記発電情報は、発電量の変化を示す情報であり、
    前記判別部は、
    前記発電量の変化が閾値より大きい場合に、前記異常が有ると判別する請求項1に記載の判別装置。
  11. 移動体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
    少なくとも、前記異常が有ると判別された場合に、前記位置情報を他の装置に送信する送信部と
    を有する請求項10に記載の判別装置。
  12. 前記発電部から前記判別部に対して電力が供給される請求項1に記載の判別装置。
  13. 前記判別部により前記異常が有ると判別された場合に、前記異常に対応する処理を行う処理部を有する請求項1に記載の判別装置。
  14. 前記発電部は、周囲の環境に存在するエネルギーに基づいて発電する請求項1に記載の判別装置。
  15. 発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別装置における判別方法。
  16. 周囲の環境に存在するエネルギーに基づいて発電する発電部と、
    前記発電部からの発電情報に応じて、異常の有無を判別する判別部と
    を有する判別システム。
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